JP2003183932A - ポリエステル異収縮混繊糸 - Google Patents
ポリエステル異収縮混繊糸Info
- Publication number
- JP2003183932A JP2003183932A JP2001381634A JP2001381634A JP2003183932A JP 2003183932 A JP2003183932 A JP 2003183932A JP 2001381634 A JP2001381634 A JP 2001381634A JP 2001381634 A JP2001381634 A JP 2001381634A JP 2003183932 A JP2003183932 A JP 2003183932A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- shrinkage
- yarn
- fiber
- boiling water
- fiber group
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Abstract
(57)【要約】
【課題】 耐光堅牢度が良好で、ふくらみ、ソフト感、
ドレープ性、ハリコシ感等の風合に優れたシルキー調の
織編物を得ることができるポリエステル異収縮混繊糸を
提供する。 【解決手段】 主として2,2-ビス[4-(ヒドロキシエトキ
シ)シクロヘキシル]プロパン等の化合物を3〜6モル%と
イソフタル酸を共重合した共重合ポリエステルと、通常
のポリエステルとからなる異収縮混繊糸であって、糸全
体の沸水収縮率が15〜45%、沸水収縮率が最大の繊維群
と最小の繊維群との差が10%以上であるポリエステル異
収縮混繊糸。
ドレープ性、ハリコシ感等の風合に優れたシルキー調の
織編物を得ることができるポリエステル異収縮混繊糸を
提供する。 【解決手段】 主として2,2-ビス[4-(ヒドロキシエトキ
シ)シクロヘキシル]プロパン等の化合物を3〜6モル%と
イソフタル酸を共重合した共重合ポリエステルと、通常
のポリエステルとからなる異収縮混繊糸であって、糸全
体の沸水収縮率が15〜45%、沸水収縮率が最大の繊維群
と最小の繊維群との差が10%以上であるポリエステル異
収縮混繊糸。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐光堅牢度が良好
で、ふくらみ、ソフト感、ドレープ性、ハリコシ感の優
れたシルキー調の織編物を得ることができるポリエステ
ル異収縮混繊糸に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より、ポリエチレンテレフタレート
(以下、PETと略称する)繊維からなる異収縮混繊糸は、
ソフト感とドレープ性に富んだシルクライクな織編物を
提供することは公知であり、紡糸混繊法、延伸混繊法な
どについて様々な提案がなされてきている。 【0003】しかし、これらの方法は、単に構成繊維間
の沸水収縮率に差をつけるに過ぎず、製織までの糊付
け、乾燥工程等で熱履歴を受けるため、熱収縮率差が初
期より小さくなり、織編物とした場合、風合が劣るもの
であった。特に、最近ではよりソフトな風合を有し、ま
た、仕立て映えのする織編物にしようとする際には、沸
水収縮率差が少ないものでは満足することができなかっ
た。 【0004】これらの問題を解決すべく、低収縮成分と
してPET、高収縮成分として2,2-ビス[4-(β-ヒドロキシ
エトキシ)フェニル]プロパン(以下、BA-EOと略称する)
を特定量共重合したPETを用いた混繊糸(特公昭60-35450
号公報、特開昭55-57013号公報)、低収縮成分としてPE
T、高収縮成分としてBA-EOとイソフタル酸(以下、IPAと
略称する)を特定量共重合したポリエステルを用いた混
繊糸(特開平2-19528号公報、特開平2-19539号公報)等が
提案されている。 【0005】前者の場合、BA-EOを共重合することによ
って、収縮性能は向上するが、共重合PETの耐光堅牢度
が著しく悪化し、染色性の面で好ましくないという問題
点があった。また、後者の場合、収縮性能を向上させる
成分としてIPAを併用するため、BA-EOの共重合量を低く
することができることから、共重合 PETの耐光堅牢度は
一応改善されるが、ふくらみ、ソフト感、ドレープ性、
ハリ、コシ感の全てを同時に満足させるものは得られ
ず、ある程度風合を犠牲にせざるを得なかった。さら
に、両者とも高価な原料であるBA-EO を比較的多めに用
いるため、経済的に好ましいものではなかった。 【0006】そこで、耐光堅牢性が良好で風合にも優れ
たポリエステル繊維異収縮混繊糸として、特開平9-1328
32号公報には、後者と同様に低収縮成分としてPET、高
収縮成分としてBA-EOとIPAを特定量共重合したポリエス
テルを用いた混繊糸であり、かつ沸水収縮率を特定の値
に設定したものが提案されている。この混繊糸において
は、併用するBA-EOとIPAの共重合量の範囲を適正なもの
とすることによって、ふくらみ、ソフト感、ドレープ
性、ハリ、コシ感の全ての風合を良好とすることができ
た。 【0007】しかしながら、この繊維においてもBA-EO
を用いているため、IPAの共重合量の範囲を適正なもの
としているとはいえ、BA-EOの構造中のフェニルエーテ
ル部分が耐光堅牢度を悪化させてしまうため、得られる
布帛の染色性は不十分であるという問題点があった。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐光堅牢度
が良好で、ふくらみ、ソフト感、ドレープ性、ハリコシ
感等の風合に優れたシルキー調の織編物を得ることがで
きるポリエステル異収縮混繊糸を提供することを技術的
な課題とするものである。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために検討した結果、本発明に到達した。すな
わち、本発明は、熱収縮率の異なる少なくとも2種類の
繊維群からなり、沸水収縮率が最大の繊維群と最小の繊
維群との差が少なくとも10%で、糸全体の収縮率が15〜4
5%であり、低収縮繊維群は主としてポリエチレンテレフ
タレートからなり、高収縮繊維群は、下記化合物(A)〜
(D)を式(1)〜(4)を同時に満足するように共重合した
ポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とする
ポリエステル異収縮混繊糸を要旨とするものである。 【化2】 3≦M(A)+M(B)+M(C)≦6 (1) 6≦M(A)+M(B)+M(C)+M(D)≦12 (2) 0.7≦M(A)/[M(A)+M(B)+M(C)]≦0.9 (3) M(D)/[M(A)+M(B)+M(C)]<1 (4) ただし、式中、M(A)、M(B)、M(C)は共重合ポリエチレン
テレフタレート中の全グリコール成分に対する(A)、(B)
及び(C)で示される化合物のモル分率を示し、(D)は共重
合ポリエチレンテレフタレート中の全酸成分に対するイ
ソフタル酸のモル分率を示す。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明で目的とする豊かなふくらみ、ソフト感、
ドレープ性、ハリコシ感を得るためには、異収縮混繊糸
の熱収縮特性が特定の範囲内にあることが必要であり、
糸全体の沸水収縮率が15〜45%であることが必要であ
る。糸全体の沸水収縮率が15%より小さいと十分なハ
リ、コシ感が得られず、45%より大きいと混繊糸の熱安
定性が悪く、沸水収縮率を始めとする糸質が経時変化
し、好ましくない。 【0011】また、沸水収縮率が最大の繊維群と最小の
繊維群との差(DW)が10%以上であることが必要であり、D
Wが10%未満になると目的とする風合を満足することがで
きない。本発明者らの検討結果からすると、DWは13〜45
%の範囲であることが好ましい。 【0012】そして、本発明の異収縮混繊糸を構成する
高収縮繊維群は、前記式(1)〜(4)を満足するように、
前記(A)〜(D)で示される化合物を共重合した共重合PET
からなるものであることが必要である。つまり、(A)〜
(C)で示される化合物は、2,2-ビス[4-(ヒドロキシエト
キシ)シクロヘキシル]プロパン等の化合物であり、BA-E
Oと類似の構造を有するが、フェニルエーテル部分を有
しないものであり、BA-EOを用いる場合に比べて耐光堅
牢度に優れるものである。そして、(D)で示される化合
物はイソフタル酸(IPA)である。 【0013】(A)〜(C)で示される化合物を共重合するこ
とにより、繊維の収縮特性を向上させることができる。
また、IPAを共重合することにより、繊維の収縮特性を
向上させることができると同時にソフト性も付与するこ
とができる。 【0014】共重合PETにおけるM(A)+M(B)+M(C)の共
重合量の合計が3モル%未満の場合、収縮特性が不十分な
混繊糸となり、得られた織物はふくらみ、ソフト感、ド
レープ性、ハリ、コシ感等の風合に劣るものとなる。一
方、6モル%を超えると、耐光堅牢度が劣る場合があり、
好ましくない。 【0015】また、M(A)+M(B)+M(C)+M(D)の共重合量
の合計が6モル%未満の場合、沸水収縮率が15%以上の混
繊糸とすることができない。一方、12モル%を超える
と、ポリマーチップの乾燥時に融着したり、製糸後の延
伸糸の収縮特性に経時変化が生じたりすることがあり、
好ましくない。 【0016】さらに、M(D)/[M(A)+M(B)+M(C)]が1以
上の場合も、ポリマーチップの乾燥時にチップが融着し
たり、製糸後の延伸糸の収縮特性に経時変化が生じたり
することがあり、好ましくない。 【0017】M(A)/[M(A)+M(B)+M(C)]の比は0.7〜0.9
であることが必要である。0.7未満の場合、ポリマーの
色調が悪くなったり、ポリマーチップの乾燥時にチップ
が融着したりすることがあり、好ましくない。一方、0.
9を超えると原料の精製工程が複雑になり、経済的に好
ましくない。 【0018】上記のように、本発明の混繊糸において
は、高収縮繊維群を構成する共重合PETにおいて、化合
物(A)〜(D)を式(1)〜(4)を同時に満足するように
共重合することによって、風合と耐光堅牢度の両方に優
れた繊維とすることができる。なお、m+n≧5の化合物に
ついては、実質的に含まれないことが好ましいが、完全
に除外することは精製工程が複雑になって、経済的に好
ましくないので、微量の混入は差し支えない。 【0019】高収縮繊維群に用いられる共重合PETに
は、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、2,2-
ビス[4-(β-ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホン等
のジオール化合物、アジピン酸、アゼライン酸、フタル
酸等のジカルボン酸化合物、ε-カプロラクトン、4−ヒ
ドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸化合物を特
性が損なわれない範囲内で適量共重合されていてもよ
い。 【0020】また、異収縮混繊糸を構成する低収縮繊維
群は主としてPETからなるものであるが、本発明の目的
を損なわない程度に公知の艶消剤、耐熱剤、抗酸化剤、
耐光剤、難燃剤、蛍光剤などを配合してもよい。そし
て、これらの添加剤は、高収縮繊維群を構成する共重合
PETにも含まれていてもよく、低収縮繊維群を構成するP
ET及び高収縮繊維群を構成する共重合PETの両方に含ま
れていても、又は一方のみに含まれていてもよい。 【0021】本発明の異収縮混繊糸を構成する繊維群に
用いられる繊維の断面形状は、円形、三角形、偏平、六
角形等から適宜選択すればよい。 【0022】さらに、本発明の異収縮混繊糸を構成する
高収縮繊維群の単糸繊度は1〜12デシテックス、低収縮
繊維群の単糸繊度は5デシテックス以下が好適であり、
高収縮糸と低収縮糸の質量比は1:1〜1:5の範囲が織編物
の風合の面から好ましく、それぞれのフィラメント数
は、これらの範囲内であれば任意に選定することが出来
る。 【0023】本発明の異収縮混繊糸は、通常の共紡糸
法、延伸混繊法、リワインド混繊法、加工時混繊法等に
より製造されるが、低収縮繊維群を構成する未延伸糸と
高収縮繊維群を構成する未延伸糸群とを、それぞれ異な
る熱処理条件下で熱処理しながら延伸、混繊して捲き取
る方法が、生産性、作業性の面から好ましい。また、製
織時の糸条通過性を向上させるために、流体交絡処理を
施すのが好ましい。 【0024】次に、本発明の異収縮混繊糸の製造方法に
ついて一例を挙げて説明する。まず、温度230〜250℃で
窒素ガス制圧下、ビス-(β-ヒドロキシエチル)テレフタ
レートおよび/またはその低重合体(以下、PETオリゴマ
ーと略称する)の存在するエステル化反応槽に、グリコ
ール成分/酸成分のモル比1.1〜2.0のエチレングリコー
ル(以下EGと略称する)とテレフタル酸(以下TPAと略称す
る)のスラリーを添加し、滞留時間7〜8時間で、エステ
ル化反応物を得る。 【0025】このエステル化反応物を重合反応缶に移送
し、(A)〜(D)で示される化合物を添加し、0.5〜1.5時間
程度溶融保持した後、重合反応缶の温度を260〜285℃に
昇温しつつ、0.01〜13.3hPaの減圧下にて、所定の極限
粘度となるまで重縮合反応を行うことにより、高収縮繊
維群用の共重合ポリエステルを得る。なお、重縮合反応
は、通常、重縮合反応触媒の存在下で行われ、アンチモ
ン、ゲルマニウム、スズ、チタン、亜鉛、アルミニウ
ム、コバルトなどの金属化合物が好適に用いられる。 【0026】次に、通常のPETと上記の方法で得られた
共重合PETとを別々に紡糸して捲き取り、未延伸糸を
得、これら2種類の未延伸糸を一つの延伸機に供給し、7
0〜90℃の加熱ローラーで加熱しながら、2.5〜3.5倍に
延伸し、続いてPET糸と共重合PET糸をそれぞれ異なる温
度の熱板に接触させて熱処理し、流体交絡処理装置を用
いて交絡を付与し、一本の糸条として捲き取ることによ
り、本発明の異収縮混繊糸が得られる。延伸、熱処理時
の熱板の温度は100〜200℃の範囲が好ましく、この範囲
内で高収縮糸側を低くし、低収縮糸側を高くすることに
より、沸水収縮率差を大きくすることができる。 【0027】 【作用】本発明の異収縮混繊糸が耐光堅牢度が良好で、
ふくらみ、ソフト感、ドレープ性、ハリコシ感の優れた
シルキー調織編物を与える理由として、本発明者は次の
ように考察している。本発明の高収縮繊維群を構成する
共重合PETは、共重合成分として、従来のBA-EOとは異な
る前記(A)〜(C)で示される化合物を用いているため、構
造中にフェニルエーテル結合を含んでおらず、優れた耐
光堅牢度が得られ、かつ、収縮性能を向上させることが
できる。また、共重合PETは、(A)〜(C)で示される化合
物以外にIPAを含んでいるため、収縮性を向上させるこ
とができると同時にソフト性も付与することができ、
(A)〜(C)で示される化合物とIPAの共重合量が適切な範
囲となっているために、得られる混繊糸は、PETの優れ
た物性を損なうことなく優れた熱収縮能を得ることが可
能となる。その結果、通常のPETからなる繊維群と組み
合わせることにより、両者の熱収縮率の差がより大きな
異収縮混繊糸となり、製編織することにより、ふくら
み、ソフト感、ドレープ性、ハリコシ感に優れたシルキ
ー調の織編物を得ることができる。 【0028】 【実施例】次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
る。なお、各種特性値の測定、評価は、次の通りに行っ
た。 ・極限粘度〔η〕 フェノールとテトラクロロエタンとの等重量混合物を溶
媒とし、温度20℃で測定した。 ・沸水収縮率(100W) 異収縮混繊糸に110mg/dtexの荷重をかけて試料長L0を測
定した後、試料を無荷重の状態で30分間沸水処理し、再
び110mg/dtexの荷重をかけて試料長L1を測定し、次式で
算出した。 100W(%)=〔(L0−L1)/L0〕×100 ・沸水収縮率差(DW) 異収縮混繊糸を高収縮糸と低収縮糸とに分けた後、それ
ぞれを前述の沸水収縮率の測定法に従って、それぞれの
沸水収縮率W1、W2を求め、次式で算出した。 DW(%)=W1−W2 ・耐光堅牢度 布帛を分散染料(Resoline blue FBL)により、130℃×60
分間染色し、JIS L-0842(カーボンアーク灯法)に基づい
て8段階で判定した。(8級が最高、1級が最低で、6級以
上が合格。) ・風合 得られた異収縮混繊糸を300T/mに加撚し、糊付け(30
℃)、乾燥(85℃)、整経後、織幅137cm、経/緯密度=99/7
3(本/2.54cm)の条件で製織し、97℃の熱水でリラックス
精練、170℃で仕上げセットしてツイル織物を作成し
た。この織物の、ふくらみ、ソフト感、ドレープ性、ハ
リ、コシについて、5人のパネラーによる官能評価によ
り、8段階で判定した。(5人の平均値で表し、8級が最
良、1級が最も不良で、全ての項目で5級以上が合格。) ・パーンの経時変化 異収縮混繊糸の捲き取られたパーンを40℃の恒温室に2
ヶ月間保管し、パーン表面にループ、スナール、単糸の
切断の発生が無いものを◎、1〜5個のものを○、6〜10
個のものを△、11個以上のものを×とした。 【0029】実施例1 PETオリゴマーの存在するエステル化反応缶にTPAとEGと
のモル比1:1.6のスラリーを連続的に供給し、温度250
℃、圧力0.1MPaG、平均滞留時間8時間でエステル化反応
を行い、反応率95%のPETオリゴマーを連続的に得た。こ
のPETオリゴマー54.8kgを重合反応缶に移送し、これに
(A)〜(C)で示される化合物の混合物((A):(B):(C)のモル
分率80:14:6)を5.3kg(M(A)+M(B)+M(C)が全グリコール
成分の5.2モル%となる量)、(D)で示される化合物として
IPA2kgをEG2.2kgに分散させたスラリー(IPAが全酸成分
の4モル%となる量)、抗酸化剤としてイルガノックス245
(チバスペシャリティズ社製ヒンダードフェノール系抗
酸化剤)を123g(生成するポリマーに対して0.2質量%とな
る量)を添加し、1時間溶融保持した。続いて、二酸化チ
タンの30質量%EGスラリーを830g(生成するポリマーに対
して二酸化チタンが0.4質量%となる量)、三酸化アンチ
モンの2質量%EG溶液を870g(三酸化アンチモンが全酸成
分に対して2×10-4モル%となる量)添加し、重縮合反応
缶内の温度を30分間で275℃に昇温しつつ、圧力を徐々
に減じて60分後に1.2hPa以下とした。この条件下で撹拌
しながら4時間重縮合反応を行い、常法により払い出し
てチップ化することにより、〔η〕が0.75の共重合PET
を得た。また、(A)、(B)、(C)で示される化合物、IPAと
EGのスラリー、イルガノックス245を添加しないこと以
外は、前述の共重合PETの製造法と同様に行い、重縮合
反応時間を3時間とすることで、〔η〕が0.65のPETチッ
プを得た。得られたPETチップをタンブラー型乾燥機に
仕込み、12hPa以下の減圧下、80℃で2時間予備乾燥した
後、130℃に昇温して8時間乾燥した。同様の方法で、共
重合PETチップの乾燥も行ったが、チップ同士の融着お
よび乾燥機内壁への付着は見られなかった。次に、乾燥
したPET及び共重合PETをそれぞれ別々に通常の溶融紡糸
装置を用いて、紡糸温度290℃、紡糸速度1400m/分で紡
糸して捲き取り、円形断面の未延伸糸を得た。これら2
種類の未延伸糸を同時に一つの延伸機に供給し、延伸速
度700m/分で加熱ローラ温度80℃、熱板温度をそれぞ
れ、PET糸条側は170℃、共重合PET糸条側は110℃とし、
3.1倍に延伸しながら熱処理し、流体交絡処理装置を用
いて交絡度7個/mの交絡を付与してパーンに捲き取っ
た。得られた異収縮混繊糸は、89dtex/48f(高収縮糸
群:33dtex/12f、低収縮糸群:56dtex/36f)で、沸水収
縮率30%、沸水収縮率差25%の糸質を有していた。 【0030】実施例2〜9 (A)〜(D)で示される化合物の共重合量、さらに延伸時の
熱板温度を変えることにより異収縮混繊糸の沸水収縮
率、沸水収縮率差を、表1に示すように変更した以外
は、実施例1と同様に実施した。 【0031】比較例1〜3 延伸時の熱板温度を変えることにより異収縮混繊糸の沸
水収縮率、沸水収縮率差を表1に示すように変更した以
外は、実施例1と同様に実施した。 【0032】比較例4〜9 (A)〜(D)で示される化合物の共重合量を表1に示すよう
に変更した以外は、実施例1と同様に実施した。 【0033】実施例1〜9、比較例1〜9で得られた異
収縮混繊糸の各種物性値及び評価の結果を表1に示す。 【0034】 【表1】 【0035】表1から明らかなように、実施例1〜9の混
繊糸は収縮特性を満足しており、得られた織物は耐光堅
牢度が良好で、ふくらみ、ソフト感、ドレープ性、ハ
リ、コシ感の全ての風合にも優れていた。また、異収縮
混繊糸を捲き取ったパーン表面に経時によるループなど
の発生は見られなかった。一方、比較例1の混繊糸は糸
全体の収縮率が小さいために、比較例2の混繊糸は収縮
率の差が小さいために、両者ともに得られた織物はふく
らみ、ソフト感、ドレープ性、ハリ、コシ感の風合に劣
っていた。比較例3の混繊糸は糸全体の収縮率が大きす
ぎたため、異収縮混繊糸を40℃の恒温室に保管したとこ
ろ、1週間経時した時点でパーン表面にループが多量に
発生した。比較例4ではM(A)+M(B)+M(C)の共重合量が
少なすぎたために、比較例6ではM(A)+M(B)+M(C)+M
(D)の共重合量が少なすぎたために、両者ともに収縮特
性が不十分な混繊糸となり、得られた織物はふくらみ、
ソフト感、ドレープ性、ハリ、コシ感の風合に劣ってい
た。比較例5では、M(A)+M(B)+M(C)の共重合量が多す
ぎたために、得られた織物は耐光堅牢度に劣るものであ
った。比較例7ではM(A)+M(B)+M(C)+M(D)の共重合量
が多すぎたために、比較例8ではM(A)/[M(A)+M(B)+M
(C)]の比が0.7未満であったために、比較例9ではM(D)/
[M(A)+M(B)+M(C)]が1を超えているために、それぞれ
ポリマーチップの乾燥時にチップの融着が発生し、比較
例7、9では、異収縮混繊糸のパーンを経時させると表面
にループが多量に発生した。 【0036】 【発明の効果】本発明の異収縮混繊糸によれば、耐光堅
牢度が良好で、ふくらみ、ソフト感、ドレープ性、ハリ
コシ感等の風合に優れたシルキー調の織編物を得ること
が可能となる。
で、ふくらみ、ソフト感、ドレープ性、ハリコシ感の優
れたシルキー調の織編物を得ることができるポリエステ
ル異収縮混繊糸に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より、ポリエチレンテレフタレート
(以下、PETと略称する)繊維からなる異収縮混繊糸は、
ソフト感とドレープ性に富んだシルクライクな織編物を
提供することは公知であり、紡糸混繊法、延伸混繊法な
どについて様々な提案がなされてきている。 【0003】しかし、これらの方法は、単に構成繊維間
の沸水収縮率に差をつけるに過ぎず、製織までの糊付
け、乾燥工程等で熱履歴を受けるため、熱収縮率差が初
期より小さくなり、織編物とした場合、風合が劣るもの
であった。特に、最近ではよりソフトな風合を有し、ま
た、仕立て映えのする織編物にしようとする際には、沸
水収縮率差が少ないものでは満足することができなかっ
た。 【0004】これらの問題を解決すべく、低収縮成分と
してPET、高収縮成分として2,2-ビス[4-(β-ヒドロキシ
エトキシ)フェニル]プロパン(以下、BA-EOと略称する)
を特定量共重合したPETを用いた混繊糸(特公昭60-35450
号公報、特開昭55-57013号公報)、低収縮成分としてPE
T、高収縮成分としてBA-EOとイソフタル酸(以下、IPAと
略称する)を特定量共重合したポリエステルを用いた混
繊糸(特開平2-19528号公報、特開平2-19539号公報)等が
提案されている。 【0005】前者の場合、BA-EOを共重合することによ
って、収縮性能は向上するが、共重合PETの耐光堅牢度
が著しく悪化し、染色性の面で好ましくないという問題
点があった。また、後者の場合、収縮性能を向上させる
成分としてIPAを併用するため、BA-EOの共重合量を低く
することができることから、共重合 PETの耐光堅牢度は
一応改善されるが、ふくらみ、ソフト感、ドレープ性、
ハリ、コシ感の全てを同時に満足させるものは得られ
ず、ある程度風合を犠牲にせざるを得なかった。さら
に、両者とも高価な原料であるBA-EO を比較的多めに用
いるため、経済的に好ましいものではなかった。 【0006】そこで、耐光堅牢性が良好で風合にも優れ
たポリエステル繊維異収縮混繊糸として、特開平9-1328
32号公報には、後者と同様に低収縮成分としてPET、高
収縮成分としてBA-EOとIPAを特定量共重合したポリエス
テルを用いた混繊糸であり、かつ沸水収縮率を特定の値
に設定したものが提案されている。この混繊糸において
は、併用するBA-EOとIPAの共重合量の範囲を適正なもの
とすることによって、ふくらみ、ソフト感、ドレープ
性、ハリ、コシ感の全ての風合を良好とすることができ
た。 【0007】しかしながら、この繊維においてもBA-EO
を用いているため、IPAの共重合量の範囲を適正なもの
としているとはいえ、BA-EOの構造中のフェニルエーテ
ル部分が耐光堅牢度を悪化させてしまうため、得られる
布帛の染色性は不十分であるという問題点があった。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐光堅牢度
が良好で、ふくらみ、ソフト感、ドレープ性、ハリコシ
感等の風合に優れたシルキー調の織編物を得ることがで
きるポリエステル異収縮混繊糸を提供することを技術的
な課題とするものである。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために検討した結果、本発明に到達した。すな
わち、本発明は、熱収縮率の異なる少なくとも2種類の
繊維群からなり、沸水収縮率が最大の繊維群と最小の繊
維群との差が少なくとも10%で、糸全体の収縮率が15〜4
5%であり、低収縮繊維群は主としてポリエチレンテレフ
タレートからなり、高収縮繊維群は、下記化合物(A)〜
(D)を式(1)〜(4)を同時に満足するように共重合した
ポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とする
ポリエステル異収縮混繊糸を要旨とするものである。 【化2】 3≦M(A)+M(B)+M(C)≦6 (1) 6≦M(A)+M(B)+M(C)+M(D)≦12 (2) 0.7≦M(A)/[M(A)+M(B)+M(C)]≦0.9 (3) M(D)/[M(A)+M(B)+M(C)]<1 (4) ただし、式中、M(A)、M(B)、M(C)は共重合ポリエチレン
テレフタレート中の全グリコール成分に対する(A)、(B)
及び(C)で示される化合物のモル分率を示し、(D)は共重
合ポリエチレンテレフタレート中の全酸成分に対するイ
ソフタル酸のモル分率を示す。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明で目的とする豊かなふくらみ、ソフト感、
ドレープ性、ハリコシ感を得るためには、異収縮混繊糸
の熱収縮特性が特定の範囲内にあることが必要であり、
糸全体の沸水収縮率が15〜45%であることが必要であ
る。糸全体の沸水収縮率が15%より小さいと十分なハ
リ、コシ感が得られず、45%より大きいと混繊糸の熱安
定性が悪く、沸水収縮率を始めとする糸質が経時変化
し、好ましくない。 【0011】また、沸水収縮率が最大の繊維群と最小の
繊維群との差(DW)が10%以上であることが必要であり、D
Wが10%未満になると目的とする風合を満足することがで
きない。本発明者らの検討結果からすると、DWは13〜45
%の範囲であることが好ましい。 【0012】そして、本発明の異収縮混繊糸を構成する
高収縮繊維群は、前記式(1)〜(4)を満足するように、
前記(A)〜(D)で示される化合物を共重合した共重合PET
からなるものであることが必要である。つまり、(A)〜
(C)で示される化合物は、2,2-ビス[4-(ヒドロキシエト
キシ)シクロヘキシル]プロパン等の化合物であり、BA-E
Oと類似の構造を有するが、フェニルエーテル部分を有
しないものであり、BA-EOを用いる場合に比べて耐光堅
牢度に優れるものである。そして、(D)で示される化合
物はイソフタル酸(IPA)である。 【0013】(A)〜(C)で示される化合物を共重合するこ
とにより、繊維の収縮特性を向上させることができる。
また、IPAを共重合することにより、繊維の収縮特性を
向上させることができると同時にソフト性も付与するこ
とができる。 【0014】共重合PETにおけるM(A)+M(B)+M(C)の共
重合量の合計が3モル%未満の場合、収縮特性が不十分な
混繊糸となり、得られた織物はふくらみ、ソフト感、ド
レープ性、ハリ、コシ感等の風合に劣るものとなる。一
方、6モル%を超えると、耐光堅牢度が劣る場合があり、
好ましくない。 【0015】また、M(A)+M(B)+M(C)+M(D)の共重合量
の合計が6モル%未満の場合、沸水収縮率が15%以上の混
繊糸とすることができない。一方、12モル%を超える
と、ポリマーチップの乾燥時に融着したり、製糸後の延
伸糸の収縮特性に経時変化が生じたりすることがあり、
好ましくない。 【0016】さらに、M(D)/[M(A)+M(B)+M(C)]が1以
上の場合も、ポリマーチップの乾燥時にチップが融着し
たり、製糸後の延伸糸の収縮特性に経時変化が生じたり
することがあり、好ましくない。 【0017】M(A)/[M(A)+M(B)+M(C)]の比は0.7〜0.9
であることが必要である。0.7未満の場合、ポリマーの
色調が悪くなったり、ポリマーチップの乾燥時にチップ
が融着したりすることがあり、好ましくない。一方、0.
9を超えると原料の精製工程が複雑になり、経済的に好
ましくない。 【0018】上記のように、本発明の混繊糸において
は、高収縮繊維群を構成する共重合PETにおいて、化合
物(A)〜(D)を式(1)〜(4)を同時に満足するように
共重合することによって、風合と耐光堅牢度の両方に優
れた繊維とすることができる。なお、m+n≧5の化合物に
ついては、実質的に含まれないことが好ましいが、完全
に除外することは精製工程が複雑になって、経済的に好
ましくないので、微量の混入は差し支えない。 【0019】高収縮繊維群に用いられる共重合PETに
は、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、2,2-
ビス[4-(β-ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホン等
のジオール化合物、アジピン酸、アゼライン酸、フタル
酸等のジカルボン酸化合物、ε-カプロラクトン、4−ヒ
ドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸化合物を特
性が損なわれない範囲内で適量共重合されていてもよ
い。 【0020】また、異収縮混繊糸を構成する低収縮繊維
群は主としてPETからなるものであるが、本発明の目的
を損なわない程度に公知の艶消剤、耐熱剤、抗酸化剤、
耐光剤、難燃剤、蛍光剤などを配合してもよい。そし
て、これらの添加剤は、高収縮繊維群を構成する共重合
PETにも含まれていてもよく、低収縮繊維群を構成するP
ET及び高収縮繊維群を構成する共重合PETの両方に含ま
れていても、又は一方のみに含まれていてもよい。 【0021】本発明の異収縮混繊糸を構成する繊維群に
用いられる繊維の断面形状は、円形、三角形、偏平、六
角形等から適宜選択すればよい。 【0022】さらに、本発明の異収縮混繊糸を構成する
高収縮繊維群の単糸繊度は1〜12デシテックス、低収縮
繊維群の単糸繊度は5デシテックス以下が好適であり、
高収縮糸と低収縮糸の質量比は1:1〜1:5の範囲が織編物
の風合の面から好ましく、それぞれのフィラメント数
は、これらの範囲内であれば任意に選定することが出来
る。 【0023】本発明の異収縮混繊糸は、通常の共紡糸
法、延伸混繊法、リワインド混繊法、加工時混繊法等に
より製造されるが、低収縮繊維群を構成する未延伸糸と
高収縮繊維群を構成する未延伸糸群とを、それぞれ異な
る熱処理条件下で熱処理しながら延伸、混繊して捲き取
る方法が、生産性、作業性の面から好ましい。また、製
織時の糸条通過性を向上させるために、流体交絡処理を
施すのが好ましい。 【0024】次に、本発明の異収縮混繊糸の製造方法に
ついて一例を挙げて説明する。まず、温度230〜250℃で
窒素ガス制圧下、ビス-(β-ヒドロキシエチル)テレフタ
レートおよび/またはその低重合体(以下、PETオリゴマ
ーと略称する)の存在するエステル化反応槽に、グリコ
ール成分/酸成分のモル比1.1〜2.0のエチレングリコー
ル(以下EGと略称する)とテレフタル酸(以下TPAと略称す
る)のスラリーを添加し、滞留時間7〜8時間で、エステ
ル化反応物を得る。 【0025】このエステル化反応物を重合反応缶に移送
し、(A)〜(D)で示される化合物を添加し、0.5〜1.5時間
程度溶融保持した後、重合反応缶の温度を260〜285℃に
昇温しつつ、0.01〜13.3hPaの減圧下にて、所定の極限
粘度となるまで重縮合反応を行うことにより、高収縮繊
維群用の共重合ポリエステルを得る。なお、重縮合反応
は、通常、重縮合反応触媒の存在下で行われ、アンチモ
ン、ゲルマニウム、スズ、チタン、亜鉛、アルミニウ
ム、コバルトなどの金属化合物が好適に用いられる。 【0026】次に、通常のPETと上記の方法で得られた
共重合PETとを別々に紡糸して捲き取り、未延伸糸を
得、これら2種類の未延伸糸を一つの延伸機に供給し、7
0〜90℃の加熱ローラーで加熱しながら、2.5〜3.5倍に
延伸し、続いてPET糸と共重合PET糸をそれぞれ異なる温
度の熱板に接触させて熱処理し、流体交絡処理装置を用
いて交絡を付与し、一本の糸条として捲き取ることによ
り、本発明の異収縮混繊糸が得られる。延伸、熱処理時
の熱板の温度は100〜200℃の範囲が好ましく、この範囲
内で高収縮糸側を低くし、低収縮糸側を高くすることに
より、沸水収縮率差を大きくすることができる。 【0027】 【作用】本発明の異収縮混繊糸が耐光堅牢度が良好で、
ふくらみ、ソフト感、ドレープ性、ハリコシ感の優れた
シルキー調織編物を与える理由として、本発明者は次の
ように考察している。本発明の高収縮繊維群を構成する
共重合PETは、共重合成分として、従来のBA-EOとは異な
る前記(A)〜(C)で示される化合物を用いているため、構
造中にフェニルエーテル結合を含んでおらず、優れた耐
光堅牢度が得られ、かつ、収縮性能を向上させることが
できる。また、共重合PETは、(A)〜(C)で示される化合
物以外にIPAを含んでいるため、収縮性を向上させるこ
とができると同時にソフト性も付与することができ、
(A)〜(C)で示される化合物とIPAの共重合量が適切な範
囲となっているために、得られる混繊糸は、PETの優れ
た物性を損なうことなく優れた熱収縮能を得ることが可
能となる。その結果、通常のPETからなる繊維群と組み
合わせることにより、両者の熱収縮率の差がより大きな
異収縮混繊糸となり、製編織することにより、ふくら
み、ソフト感、ドレープ性、ハリコシ感に優れたシルキ
ー調の織編物を得ることができる。 【0028】 【実施例】次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
る。なお、各種特性値の測定、評価は、次の通りに行っ
た。 ・極限粘度〔η〕 フェノールとテトラクロロエタンとの等重量混合物を溶
媒とし、温度20℃で測定した。 ・沸水収縮率(100W) 異収縮混繊糸に110mg/dtexの荷重をかけて試料長L0を測
定した後、試料を無荷重の状態で30分間沸水処理し、再
び110mg/dtexの荷重をかけて試料長L1を測定し、次式で
算出した。 100W(%)=〔(L0−L1)/L0〕×100 ・沸水収縮率差(DW) 異収縮混繊糸を高収縮糸と低収縮糸とに分けた後、それ
ぞれを前述の沸水収縮率の測定法に従って、それぞれの
沸水収縮率W1、W2を求め、次式で算出した。 DW(%)=W1−W2 ・耐光堅牢度 布帛を分散染料(Resoline blue FBL)により、130℃×60
分間染色し、JIS L-0842(カーボンアーク灯法)に基づい
て8段階で判定した。(8級が最高、1級が最低で、6級以
上が合格。) ・風合 得られた異収縮混繊糸を300T/mに加撚し、糊付け(30
℃)、乾燥(85℃)、整経後、織幅137cm、経/緯密度=99/7
3(本/2.54cm)の条件で製織し、97℃の熱水でリラックス
精練、170℃で仕上げセットしてツイル織物を作成し
た。この織物の、ふくらみ、ソフト感、ドレープ性、ハ
リ、コシについて、5人のパネラーによる官能評価によ
り、8段階で判定した。(5人の平均値で表し、8級が最
良、1級が最も不良で、全ての項目で5級以上が合格。) ・パーンの経時変化 異収縮混繊糸の捲き取られたパーンを40℃の恒温室に2
ヶ月間保管し、パーン表面にループ、スナール、単糸の
切断の発生が無いものを◎、1〜5個のものを○、6〜10
個のものを△、11個以上のものを×とした。 【0029】実施例1 PETオリゴマーの存在するエステル化反応缶にTPAとEGと
のモル比1:1.6のスラリーを連続的に供給し、温度250
℃、圧力0.1MPaG、平均滞留時間8時間でエステル化反応
を行い、反応率95%のPETオリゴマーを連続的に得た。こ
のPETオリゴマー54.8kgを重合反応缶に移送し、これに
(A)〜(C)で示される化合物の混合物((A):(B):(C)のモル
分率80:14:6)を5.3kg(M(A)+M(B)+M(C)が全グリコール
成分の5.2モル%となる量)、(D)で示される化合物として
IPA2kgをEG2.2kgに分散させたスラリー(IPAが全酸成分
の4モル%となる量)、抗酸化剤としてイルガノックス245
(チバスペシャリティズ社製ヒンダードフェノール系抗
酸化剤)を123g(生成するポリマーに対して0.2質量%とな
る量)を添加し、1時間溶融保持した。続いて、二酸化チ
タンの30質量%EGスラリーを830g(生成するポリマーに対
して二酸化チタンが0.4質量%となる量)、三酸化アンチ
モンの2質量%EG溶液を870g(三酸化アンチモンが全酸成
分に対して2×10-4モル%となる量)添加し、重縮合反応
缶内の温度を30分間で275℃に昇温しつつ、圧力を徐々
に減じて60分後に1.2hPa以下とした。この条件下で撹拌
しながら4時間重縮合反応を行い、常法により払い出し
てチップ化することにより、〔η〕が0.75の共重合PET
を得た。また、(A)、(B)、(C)で示される化合物、IPAと
EGのスラリー、イルガノックス245を添加しないこと以
外は、前述の共重合PETの製造法と同様に行い、重縮合
反応時間を3時間とすることで、〔η〕が0.65のPETチッ
プを得た。得られたPETチップをタンブラー型乾燥機に
仕込み、12hPa以下の減圧下、80℃で2時間予備乾燥した
後、130℃に昇温して8時間乾燥した。同様の方法で、共
重合PETチップの乾燥も行ったが、チップ同士の融着お
よび乾燥機内壁への付着は見られなかった。次に、乾燥
したPET及び共重合PETをそれぞれ別々に通常の溶融紡糸
装置を用いて、紡糸温度290℃、紡糸速度1400m/分で紡
糸して捲き取り、円形断面の未延伸糸を得た。これら2
種類の未延伸糸を同時に一つの延伸機に供給し、延伸速
度700m/分で加熱ローラ温度80℃、熱板温度をそれぞ
れ、PET糸条側は170℃、共重合PET糸条側は110℃とし、
3.1倍に延伸しながら熱処理し、流体交絡処理装置を用
いて交絡度7個/mの交絡を付与してパーンに捲き取っ
た。得られた異収縮混繊糸は、89dtex/48f(高収縮糸
群:33dtex/12f、低収縮糸群:56dtex/36f)で、沸水収
縮率30%、沸水収縮率差25%の糸質を有していた。 【0030】実施例2〜9 (A)〜(D)で示される化合物の共重合量、さらに延伸時の
熱板温度を変えることにより異収縮混繊糸の沸水収縮
率、沸水収縮率差を、表1に示すように変更した以外
は、実施例1と同様に実施した。 【0031】比較例1〜3 延伸時の熱板温度を変えることにより異収縮混繊糸の沸
水収縮率、沸水収縮率差を表1に示すように変更した以
外は、実施例1と同様に実施した。 【0032】比較例4〜9 (A)〜(D)で示される化合物の共重合量を表1に示すよう
に変更した以外は、実施例1と同様に実施した。 【0033】実施例1〜9、比較例1〜9で得られた異
収縮混繊糸の各種物性値及び評価の結果を表1に示す。 【0034】 【表1】 【0035】表1から明らかなように、実施例1〜9の混
繊糸は収縮特性を満足しており、得られた織物は耐光堅
牢度が良好で、ふくらみ、ソフト感、ドレープ性、ハ
リ、コシ感の全ての風合にも優れていた。また、異収縮
混繊糸を捲き取ったパーン表面に経時によるループなど
の発生は見られなかった。一方、比較例1の混繊糸は糸
全体の収縮率が小さいために、比較例2の混繊糸は収縮
率の差が小さいために、両者ともに得られた織物はふく
らみ、ソフト感、ドレープ性、ハリ、コシ感の風合に劣
っていた。比較例3の混繊糸は糸全体の収縮率が大きす
ぎたため、異収縮混繊糸を40℃の恒温室に保管したとこ
ろ、1週間経時した時点でパーン表面にループが多量に
発生した。比較例4ではM(A)+M(B)+M(C)の共重合量が
少なすぎたために、比較例6ではM(A)+M(B)+M(C)+M
(D)の共重合量が少なすぎたために、両者ともに収縮特
性が不十分な混繊糸となり、得られた織物はふくらみ、
ソフト感、ドレープ性、ハリ、コシ感の風合に劣ってい
た。比較例5では、M(A)+M(B)+M(C)の共重合量が多す
ぎたために、得られた織物は耐光堅牢度に劣るものであ
った。比較例7ではM(A)+M(B)+M(C)+M(D)の共重合量
が多すぎたために、比較例8ではM(A)/[M(A)+M(B)+M
(C)]の比が0.7未満であったために、比較例9ではM(D)/
[M(A)+M(B)+M(C)]が1を超えているために、それぞれ
ポリマーチップの乾燥時にチップの融着が発生し、比較
例7、9では、異収縮混繊糸のパーンを経時させると表面
にループが多量に発生した。 【0036】 【発明の効果】本発明の異収縮混繊糸によれば、耐光堅
牢度が良好で、ふくらみ、ソフト感、ドレープ性、ハリ
コシ感等の風合に優れたシルキー調の織編物を得ること
が可能となる。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 熱収縮率の異なる少なくとも2種類の繊
維群からなり、沸水収縮率が最大の繊維群と最小の繊維
群との差が少なくとも10%で、糸全体の収縮率が15〜45%
であり、低収縮繊維群は主としてポリエチレンテレフタ
レートからなり、高収縮繊維群は、下記化合物(A)〜
(D)を式(1)〜(4)を同時に満足するように共重合した
ポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とする
ポリエステル異収縮混繊糸。 【化1】 3≦M(A)+M(B)+M(C)≦6 (1) 6≦M(A)+M(B)+M(C)+M(D)≦12 (2) 0.7≦M(A)/[M(A)+M(B)+M(C)]≦0.9 (3) M(D)/[M(A)+M(B)+M(C)]<1 (4) ただし、式中、M(A)、M(B)、M(C)は共重合ポリエチレン
テレフタレート中の全グリコール成分に対する(A)、(B)
及び(C)で示される化合物のモル分率を示し、(D)は共重
合ポリエチレンテレフタレート中の全酸成分に対するイ
ソフタル酸のモル分率を示す。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001381634A JP2003183932A (ja) | 2001-12-14 | 2001-12-14 | ポリエステル異収縮混繊糸 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001381634A JP2003183932A (ja) | 2001-12-14 | 2001-12-14 | ポリエステル異収縮混繊糸 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003183932A true JP2003183932A (ja) | 2003-07-03 |
Family
ID=27592251
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001381634A Pending JP2003183932A (ja) | 2001-12-14 | 2001-12-14 | ポリエステル異収縮混繊糸 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003183932A (ja) |
-
2001
- 2001-12-14 JP JP2001381634A patent/JP2003183932A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3317445B2 (ja) | ポリエステル繊維 | |
JP3473890B2 (ja) | ポリエステル系複合繊維 | |
JPH10204721A (ja) | 高収縮性ポリエステル短繊維およびその製造方法 | |
JP2008174871A (ja) | カチオン可染性極細混繊糸 | |
JP3583402B2 (ja) | ポリエステル繊維 | |
JP2003183932A (ja) | ポリエステル異収縮混繊糸 | |
JPH08209443A (ja) | ポリエステル系異収縮混繊糸 | |
JP3182275B2 (ja) | 異色効果を呈する複合繊維 | |
JP3069426B2 (ja) | カチオン染料可染性ポリエステル仮撚加工糸の製造方法 | |
JPH1193020A (ja) | カチオン可染性ポリエステル繊維及びその製造方法 | |
JP3004695B2 (ja) | ポリエステル異収縮混繊糸 | |
JPH03241024A (ja) | カチオン可染極細仮撚加工糸の製造方法 | |
JPH08113826A (ja) | 高収縮繊維およびその製造法 | |
JPH0759770B2 (ja) | ポリエステル収縮差混繊糸 | |
JPH04119134A (ja) | ポリエステル異収縮混繊糸 | |
JPH09132832A (ja) | ポリエステル異収縮混繊糸 | |
JP3796053B2 (ja) | 捲縮性複合繊維 | |
JP4559044B2 (ja) | 潜在捲縮性繊維用ポリエステル樹脂、及びこれを用いた潜在捲縮性ポリエステル複合繊維 | |
JPH08209475A (ja) | ポリエステル系異収縮混繊糸 | |
JP3193933B2 (ja) | ポリエステルミシン糸 | |
JPH0978345A (ja) | 高収縮繊維およびその製造方法 | |
JP3281767B2 (ja) | ランダム異捲縮糸 | |
JP3182267B2 (ja) | 伸縮性複合繊維 | |
JP3285685B2 (ja) | ポリエステルマルチフィラメント糸条およびその製造方法 | |
JPH05171536A (ja) | ポリエステル混繊糸 |