JP2003183442A - ゴム組成物およびそれを用いたタイヤ - Google Patents

ゴム組成物およびそれを用いたタイヤ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性、加工性、転がり抵抗、ウェットス
キッド性能のバランスに優れたゴム組成物、および該ゴ
ム組成物をトレッドに使用したタイヤを提供する。 【解決手段】 ジエン系ゴムおよび/または天然ゴム1
00重量部に対して、シリカ30〜120重量部、なら
びに、平均粒子径が10μm以下のジルコニウムシリケ
イト5〜40重量部を含有するゴム組成物をタイヤトレ
ッド用ゴム組成物として用いる。また、このゴム組成物
からタイヤのトレッドを作製し、該トレッドを使用し
て、タイヤを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴム組成物および
タイヤに関する。さらに詳しくは、タイヤの加工性、転
がり抵抗、ウェットスキッド性能のバランスに優れたタ
イヤトレッド用ゴム組成物、および、該ゴム組成物から
なるトレッドを有するタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、世界的に省資源、省エネルギーの
意識が高まり、自動車産業においても燃料消費を節約す
るためにタイヤの転がり抵抗を低減した低燃費タイヤの
研究が盛んに行なわれている。タイヤの転がり抵抗を低
減させる効果的な手段の1つとしては、補強剤として従
来から用いられてきたカーボンブラックの一部または全
部にかえてシリカを用いる方法があげられる。しかしな
がら、タイヤに対する要求はさらに高くなってきてお
り、シリカを用いる方法のみでは対応しきれなくなって
きており、さらなる性能の向上が必要とされる。
【0003】自動車タイヤに要求される性能は、低燃費
のほかに、ウェットスキッド性能、耐摩耗性、加工性な
ど多岐にわたり、種々の工夫がなされている。
【0004】たとえば、ウェットスキッド性能を向上さ
せる目的で、金属のケイ酸化合物をゴム組成物に配合し
た先行技術がある(特開2001−40143公報)。
しかしながら、耐摩耗性、転がり抵抗、加工性などその
他の諸機能を満足させるには至っていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、加工性、転
がり抵抗、ウェットスキッド性能のバランスに優れたゴ
ム組成物、および該ゴム組成物からなるタイヤを提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、ジエン系ゴム
および/または天然ゴム100重量部に対して、シリカ
30〜120重量部、ならびに、平均粒子径が10μm
以下のジルコニウムシリケイト5〜40重量部を含有す
るゴム組成物に関する。
【0007】また、前記ゴム組成物からなるトレッドを
有するタイヤに関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のゴム組成物は、ゴム成
分、シリカ、ジルコニウムシリケイトからなる。
【0009】前記ゴム成分は、ジエン系ゴムおよび/ま
たは天然ゴムである。ジエン系ゴムとしては、たとえ
ば、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプ
レンゴムなどがあり、これらの混合物なども使用するこ
とができる。
【0010】前記シリカとしては、とくに制限はない
が、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水
ケイ酸)などを使用することができ、湿式法シリカが好
ましい。湿式法シリカの好適例としては、デグッサ製の
ウルトラジル VN3(商品名)、日本シリカ(株)製
のニップシールVN3 AQ(商品名)などがあげられ
る。
【0011】シリカとしては、たとえば、チッ素吸着比
表面積(N2SA)が50〜300m2/gのシリカを含
有することができる。N2SAが50m2/g未満のシリ
カでは分散改良効果や補強効果が小さくなる傾向があ
り、300m2/gをこえるシリカでは分散性がわる
く、発熱性が増大する傾向がある。
【0012】シリカの配合量は、前記ゴム成分100重
量部に対して、30〜120重量部であり、好ましくは
40〜90重量部、さらに好ましくは45〜80重量部
である。シリカの配合量が30重量部未満では、ウェッ
ト性能や補強性が低下し、120重量部をこえると混練
り時の粘度が高くなり、作業性が低下する。
【0013】前記ジルコニウムシリケイトは微粉末であ
ることが好ましく、その平均粒子径が10μm以下、好
ましくは2μm以下である。ジルコニウムシリケイトの
平均粒子径が10μmをこえると耐摩耗性、カットチッ
ピング性能が低下する。
【0014】ジルコニウムシリケイトの配合量は、前記
ゴム成分100重量部に対して、5〜40重量部であ
り、好ましくは8〜30重量部、さらに好ましくは10
〜20重量部である。ジルコニウムシリケイトの配合量
が5重量部未満では、充分な効果得られず、40重量部
をこえると耐摩耗性が低下する。
【0015】本発明では、シリカとジルコニウムシリケ
イトを併用することによって、これらを単独で使用する
場合と比較して、耐摩耗性と転がり抵抗およびウェット
スキッド性能のバランスの向上という効果が得られる。
【0016】本発明のゴム組成物には、前記シリカと併
用してシランカップリング剤を配合することができる。
【0017】シランカップリング剤としては、たとえば
ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイ
ド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジサルファイ
ド、トリエトキシシリルプロピルイソシアネート、ビニ
ルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ
−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メ
タクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グ
リシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メル
カプトプロピルトリメトキシシラン、γ−(ポリエチレ
ンアミノ)−プロピルトリメトキシシラン、N−β−
(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、N’−ビニルベンジル−N−トリメトキシシリル
プロピルエチレンジアミン塩などがあげられる。なかで
も、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラサルフ
ァイド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジサルフ
ァイド、トリエトキシシリルプロピルイソシアネート、
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランが好まし
く、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジサルファイ
ドがさらに好ましい。
【0018】シランカップリング剤の配合量は、好まし
くは前記シリカの配合量の4〜14重量%、さらに好ま
しくは6〜10重量%である。シランカップリング剤の
配合量が4重量%未満であると、耐摩耗性、ウェットス
キッド性能が低下する傾向があり、14重量%をこえる
と、コストに対しての物性向上が小さくなる傾向があ
る。
【0019】また、本発明のゴム組成物には、前記ゴム
成分、シリカ、ジルコニウムシリケイト、シランカップ
リング剤のほかに、通常ゴム組成物として使用される配
合剤、たとえば、カーボンブラック、プロセスオイル、
亜鉛華、ワックス、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤な
どを適宜配合することができる。
【0020】本発明のゴム組成物は、前記ゴム成分、シ
リカ、ジルコニウムシリケイトおよび必要に応じてその
ほかの配合剤を、通常の加工装置、たとえば、ロール、
バンバリーミキサー、ニーダーなどを用いて混練りする
ことにより得られる。
【0021】本発明のタイヤは、前記ゴム組成物をタイ
ヤのトレッドに用いて、通常の方法によって製造され
る。すなわち、前記ゴム組成物を未加硫の段階でタイヤ
のトレッド部の形状に押し出し加工し、タイヤ成形機上
で通常の方法により貼り合わせて未加硫タイヤを成形す
る。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱・加圧してタイ
ヤを得る。このようにして得られたタイヤは、加工性、
転がり抵抗、ウェットスキッド性能のバランスに優れる
ものである。
【0022】
【実施例】つぎに、実施例および比較例により本発明を
具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定さ
れるものではない。なお、実施例および比較例では、以
下の各原料を用いた。
【0023】天然ゴム:RSS#3 S−SBR:日本ゼオン(株)製のニッポールNS11
6R (スチレン単位量:20%、1,2−ジエン単位量:6
0%) シリカ:Rhoia(株)製のゼオシル 1165MP ジルコニウムシリケート:ハクスイテック(株)製のミ
クロパックスSS (平均粒子径:2μm以下が100%) シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69 プロセスオイル:出光興産(株)製のダイナプロセスA
H40 亜鉛華:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2号 ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワッ
クス ステアリン酸:日本油脂(株)製の桐 老化防止剤:フレキシス製のサントフレックス13
((N−1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−
p−フェニレンジアミン) 硫黄:(株)軽井沢精錬所製の硫黄 加硫促進剤CBS:大内新興化学工業(株)製のノクセ
ラーCZ−G(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾ
リルスルフェンアミド) 加硫促進剤DPG:住友化学工業(株)製のソクシノー
ルD(ジフェニルグアニジン)
【0024】実施例1〜2および比較例1〜3 (加工方法)表1、2の配合処方にしたがい、硫黄およ
び加硫促進剤以外の配合剤と原料ゴムとをバンバリー型
インターナルミキサーで混合し、得られたマスターバッ
チに硫黄と加硫促進剤をオープンロール上で添加し、タ
イヤトレッド用ゴム組成物を調製した。ついで、空気入
りタイヤのタイヤトレッドに実施例1〜2および比較例
1〜3のゴム組成物を使用して、以下に示す各特性の評
価試験を行なった。
【0025】(転がり抵抗)荷重4.66キロニュート
ン、内圧200キロパスカル、速度80km/時間の条
件で、定法により転がり抵抗を測定し、比較例1を10
0として下記式により指数表示した(転がり抵抗指
数)。指数が大きいほど転がり抵抗は低く、良好であ
る。 (転がり抵抗指数)=(比較例1の転がり抵抗)÷(各
実施例または各比較例の転がり抵抗)×100
【0026】(ウェットスキッド性能)湿潤アスファル
ト路面にて初速度64km/時間からの制動距離を求め
た。タイヤサイズは185/65R14とし、試験車両
は、国産FF車を用いた。結果は、比較例1を100と
して下記式により指数で表示した(ウェットスキッド指
数)。指数が大きいほどウェットスキッド性能が良好で
ある。 (ウエットスキッド指数)=(比較例1の制動距離)÷
(各実施例または各比較例の制動距離)×100
【0027】(耐摩耗性)国産FF車にトレッドを装着
し、舗装路面1.5万キロ走行後、タイヤトレッドが1
mm摩耗する際の走行距離を比較し、比較例1を100
として下記式により指数表示した(耐摩耗指数)。指数
が大きいほど、耐摩耗性および加工性がよい。 (耐摩耗指数)=(各実施例または各比較例の走行距
離)÷(比較例1の走行距離)×100 結果を表2に示す。
【0028】シリカ配合ゴム組成物にジルコニウムシリ
ケイトを配合しなかった比較例1、およびジルコニウム
シリケイトを少量配合した比較例2と比べて、ジルコニ
ウムシリケイトを適量配合した実施例1〜2は、耐摩耗
性、加工性、ウェットスキッド性能、転がり抵抗のバラ
ンスが向上した。
【0029】一方、ジルコニウムシリケイトを多量に配
合した比較例3では、転がり抵抗、ウェットスキッド性
能は向上したものの、耐摩耗性および加工性が大幅に低
下した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、シリカ配合ゴム組成物
に特定量のシリカおよびジルコニウムシリケイトを配合
することによって、従来技術に比べて、タイヤの加工
性、耐摩耗性、転がり抵抗、ウェットスキッド性能のバ
ランスを向上させることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジエン系ゴムおよび/または天然ゴム1
    00重量部に対して、シリカ30〜120重量部、なら
    びに、平均粒子径が10μm以下のジルコニウムシリケ
    イト5〜40重量部を含有するゴム組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のゴム組成物からなるトレ
    ッドを有するタイヤ。
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