JP2003175854A - 車両操舵装置 - Google Patents

車両操舵装置

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JP2003175854A JP2001376323A JP2001376323A JP2003175854A JP 2003175854 A JP2003175854 A JP 2003175854A JP 2001376323 A JP2001376323 A JP 2001376323A JP 2001376323 A JP2001376323 A JP 2001376323A JP 2003175854 A JP2003175854 A JP 2003175854A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 少ない操作量かつ小さいゲインでも、運転者
が望む転舵が可能な車両操舵装置を提供することを課題
とする。 【解決手段】 操作機構と転舵機構とを分離し、操作機
構と転舵機構とを電気的に連動して転舵輪を転舵する車
両操舵装置S1であって、運転席の近傍に設けられた操
作装置(ジョイスティック)1と、車両の転舵輪W,W
を転舵するアクチュエータ(ステアリングモータ)5
と、転舵輪W,Wの転舵速度を検出するラック位置セン
サ10および微分器521と、操作装置1の操作量に転
舵輪W,Wの転舵速度が対応するようにアクチュエータ
5を制御する制御手段(制御装置)4とを備えることを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、操作機構と転舵機
構とを分離し、操作機構と転舵機構とを電気的に連動し
て転舵輪を転舵する車両操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】運転者が操作を行うための操作機構と転
舵輪を転舵させるための転舵機構とを分離し、この2つ
の機構をSBW(Steer By Wire)制御によって電気的
に連動させる車両操舵装置が開発されている。この車両
操舵装置は、操作機構としてジョイスティック等の操作
装置を備え、この操作装置の操作量に基づいて目標転舵
角を設定し、この目標転舵角に応じて転舵機構によって
転舵輪を転舵させている。この車両操舵装置の転舵制御
では、操作量に応じて転舵輪の転舵角を比例制御してお
り、必要に応じてその比例係数を車速等の車両の挙動に
より変えている。また、この車両操舵装置は、操作機構
に反力用モータを備え、運転者による操作装置への操作
中に、反力用モータによって操作装置を介して運転者に
反力を与え、車両の運転状態を操作装置に反映させてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ジョイ
スティックのように操作量を十分に確保できないような
操作装置において操作量と転舵角とを比例制御した場
合、大きなゲイン(転舵角/操作量)を設定しなければ
ならないので、操舵フィーリングに違和感を生じる。そ
こで、操舵フィーリングを向上させるために、車両の挙
動に応じてゲインを変化させた場合、小さなゲインによ
り転舵角が不足したり、あるいは操作量が最大に近づい
た付近で急に大きなゲインに変えたりしなければならな
かった。つまり、従来の車両操舵装置では、操作装置の
操作位置に応じて転舵輪の転舵角を制御する位置制御な
ので、どうしてもゲインを大きくせざるを得なかった。
【0004】そのため、このような位置制御においてゲ
インをできるだけ小さくするためには、操作装置での操
作量を十分に確保しなければならない。しかし、運転者
がジョイスティック等の操作装置を操作する場合、ドア
アームレスト等の運転者の上腕を自然に置くことができ
る場所に操作装置を配置しなければ、操作性が低下す
る。このような場所に操作装置を配置した場合、車室内
のレイアウト上、操作装置の左右方向の操作量を十分に
確保することはできない。ちなみに、特開平11−19
2960号公報の図面(該公報の図1)には、運転席の
右隣にジョイスティックレバー部(操作装置)を配置し
た運転操作装置(車両操舵装置)が記載されている。
【0005】また、車両を定常円旋回する場合、運転者
が操作装置に対して同じ操作量を維持するように操作し
続けなければならない。しかし、前記したような車両操
舵装置では操作装置から運転者に反力が作用するので、
運転者に肉体的な負担が生じる。
【0006】そこで、本発明の課題は、少ない操作量か
つ小さいゲインでも、運転者が望む転舵が可能な車両操
舵装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決した本発
明の請求項1に係る車両操舵装置は、操作機構と転舵機
構とを分離し、操作機構と転舵機構とを電気的に連動し
て転舵輪を転舵する車両操舵装置であって、運転席の近
傍に設けられた操作装置と、車両の転舵輪を転舵するア
クチュエータと、前記転舵輪の転舵速度を検出する転舵
速度検出手段と、前記操作装置の操作量に前記転舵輪の
転舵速度が対応するように前記アクチュエータを制御す
る制御手段とを備えることを特徴とする。この車両操舵
装置によれば、操作装置の操作量に応じて転舵輪の転舵
速度を変えているので、ゲインが転舵輪の転舵速度/操
作装置の操作量となる。したがって、この車両操舵装置
では、操作装置の操作量が少なくかつゲインを小さくし
た場合でも、操作装置での操作時間を長くすればラック
軸の移動量が増すので、運転者が望む転舵角まで転舵輪
を転舵させることができる。その結果、運転者の操舵フ
ィーリングに違和感を与えることなく、操作スペースが
狭い場所でも操作装置を設置できる。ちなみに、転舵輪
の転舵速度は、路面反力が同じとすれば、アクチュエー
タの出力(ラック軸力)が大きくなるほど速くなる。一
方、転舵輪の転舵速度は、アクチュエータの出力が同じ
とすれば、路面反力が大きくなるほど遅くなる。
【0008】また、請求項2に係る車両操舵装置は、前
記請求項1に係る車両操舵装置において、前記操作装置
は、車両の前後左右方向に回動可能なジョイスティック
であり、前記制御手段は、前記ジョイスティックの左右
方向の操作により転舵輪の転舵方向を制御するととも
に、前記ジョイスティックの前後方向の操作量により前
記転舵輪の転舵速度を制御することを特徴とする。この
車両操舵装置によれば、ジョイスティックの左右方向の
操作量としては、転舵輪の転舵方向のみ判別可能な操作
量だけ確保すればよいので、非常に少ない操作量でよ
い。そのため、左右方向の操作スペースが非常に狭い場
所でも操作装置を設置できる。
【0009】また、請求項3に係る車両操舵装置は、前
記請求項1に係る車両操舵装置において、前記操作装置
は、車両の左右方向に回動可能なジョイスティックと、
前記ジョイスティックに設けられ、車両の前後方向に回
動可能なレバーとからなり、前記制御手段は、前記ジョ
イスティックの左右方向の操作により転舵輪の転舵方向
を制御するとともに、前記レバーの前後方向の操作量に
より前記転舵輪の転舵速度を制御することを特徴とす
る。この車両操舵装置によれば、ジョイスティックの左
右方向の操作量としては、転舵輪の転舵方向のみ判別可
能な操作量だけ確保すればよいので、非常に少ない操作
量でよい。そのため、左右方向の操作スペースが非常に
狭い場所でも操作装置を設置できる。
【0010】さらに、請求項4に係る車両操舵装置は、
前記請求項1ないし請求項3のいずれか1項に係る車両
操舵装置において、前記転舵輪を直進状態に戻すための
戻し操作手段を備え、前記制御手段は、前記戻し操作手
段が操作された場合には転舵輪の転舵方向を直進状態に
戻すことを特徴とする。この車両操舵装置によれば、戻
し操作手段が操作された時には操作装置による転舵方向
に関係なくラック軸を強制的に中立位置に戻して転舵輪
を直進状態に戻すので、車庫入れ時等の車両が極低速あ
るいは停止の場合(転舵輪からラック軸に作用するセル
フアライニングトルクが小さいかあるいは無い場合)で
も、転舵輪を確実に直進状態に戻すことができる。
【0011】なお、本発明では、前方は車両の進行方向
であり、後方は車両の後退方向であり、左方は進行方向
に向かって左方であり、右方は進行方向に向かって右方
である。また、本発明では、操作されていない位置(定
常位置)から前方または後方にしか回動しない操作装置
やレバーも、前後方向に回動可能な操作装置やレバーに
含む。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明に
係る車両操舵装置の実施の形態について説明する。
【0013】本発明に係る車両操舵装置は、少ない操作
量(狭いスペースに設置可能)と小さいゲイン(操舵フ
ィーリングが良好)とを両立させるために、操作装置の
操作量に応じて転舵輪を転舵する、転舵速度を制御する
構成とした。特に、この車両操舵装置は、左右方向の操
作量を少なくするために、ジョイスティックの左右方向
の操作により転舵輪の転舵方向を制御するとともに前後
方向の操作量により転舵輪の転舵速度を制御する構成、
あるいはジョイスティックの左右方向の操作により転舵
輪の転舵方向を制御するとともにジョイスティックに設
けられるレバーの前後方向の操作量により転舵輪の転舵
速度を制御する構成とした。さらに、この車両操舵装置
は、転舵輪を確実に直進状態に戻すために、戻し操作手
段が操作された場合には転舵輪を直進状態に戻すように
制御する構成とした。
【0014】本実施の形態に係る車両操舵装置には、ジ
ョイスティック(操作装置)の構成が異なる3つの実施
の形態がある。第1実施形態では、ジョイスティックの
操作によってスロットル操作、ブレーキ操作および転舵
操作が可能な運転操作装置に車両操舵装置が組み込まれ
ており、ジョイスティックにおける前方への操作量がス
ロットル操作量であり、後方への操作量がブレーキ操作
量であり、左右方向への操作量が転舵操作量であり、左
右方向への操作が転舵方向である。第2実施形態では、
ジョイスティックの操作によって転舵操作が可能な車両
操舵装置であり、ジョイスティックにおける前方への操
作量が転舵操作量であり、左右方向への操作が転舵方向
である。第3実施形態では、ジョイスティックおよびジ
ョイスティックに備えられるレバーの操作によって転舵
操作が可能な車両操舵装置であり、レバーにおける後方
への操作量が転舵操作量であり、ジョイスティックにお
ける左右方向への操作が転舵方向である。
【0015】≪第1実施形態≫第1実施形態について説
明する。第1実施形態では、車両操舵装置S1が運転操
作装置Aに組み込まれているので、運転操作装置Aの全
体構成およびその動作について説明する。まず、図1を
参照して、運転操作装置Aの全体構成について説明す
る。図1は、第1実施形態に係る車両操舵装置S1が組
み込まれている運転操作装置Aの全体構成図である。
【0016】運転操作装置Aは、ジョイスティック1、
転舵操作量センサ2、加減速操作量センサ3、制御装置
4、ステアリングモータ5、スロットルアクチュエータ
6、ブレーキアクチュエータ7、転舵操作反力モータ
8、加減速操作反力モータ9、転舵速度センサ10、ス
ロットル開度センサ11、ブレーキ液圧センサ12、ヨ
ーレートセンサ13、車速センサ14、ボールねじ機構
30、ラック軸31、タイロッド32,32等から構成
される。ちなみに、車両操舵装置S1は、ジョイスティ
ック1、転舵操作量センサ2、制御装置4、ステアリン
グモータ5、転舵操作反力モータ8、ラック位置センサ
10、ヨーレートセンサ13、車速センサ14、ボール
ねじ機構30、ラック軸31、タイロッド32,32等
から構成される。なお、第1実施形態では、ジョイステ
ィック1が特許請求の範囲に記載する操作装置に相当
し、制御装置4が特許請求の範囲に記載する制御手段に
相当し、ステアリングモータ5が特許請求の範囲に記載
するアクチュエータに相当する。
【0017】〔ジョイスティック〕ジョイスティック1
(操作機構)の構成について説明する。運転操作装置A
は、車両の加減速操作および転舵操作を行うためのジョ
イスティック1を備えている。そのために、ジョイステ
ィック1は、車両の進行方向に対して前後方向への回動
によって傾動する操作ができるとともに左右方向への回
動によって傾動する操作ができるように傾動支持機構2
0に支持されている(図2、図3参照)。したがって、
ジョイスティック1は、楕円運動を描くように操作する
ことができる。また、傾動支持機構20は、ジョイステ
ィック1を前後左右方向に傾動する操作に対して、その
操作量が多くなればなるほど受動的にジョイスティック
1を中立位置に復帰する力が大きく発生するような、バ
ネ(弾性体)を用いた復帰機構21,22を有している
(図2ないし図4参照)。
【0018】ジョイスティック1を前後方向に傾動する
操作は、ジョイスティック1の前後方向の操作を可能と
する回転軸に備えられたポテンショメータ等からなる加
減速操作量センサ3により、その操作量が電圧として検
出(出力)されるようになっている。この操作量は、ジ
ョイスティック1の中立位置を基準にして、後方に傾動
する場合がブレーキ操作量であり、前方に傾動する場合
がスロットル操作量である。そして、加減速操作量セン
サ3は、検出した電圧を加減速操作量信号STBとして
制御装置4に送信する。ちなみに、このジョイスティッ
ク1を前後方向に傾動する操作が、車両への加減速操作
となる。
【0019】図7の(a)図を参照して、ジョイスティ
ック1の前後方向の操作量に対する加減速操作量センサ
3の出力の設定について説明する。図7の(a)図は、
ジョイスティック1の前後方向の位置と加減速操作量セ
ンサ3の出力との関係図である。この図から判るよう
に、加減速操作量センサ3は、ジョイスティック1を前
方に傾動する操作を行うと出力を増加させ、後方に傾動
する操作を行うと出力を低下させるように設定されてい
る。そして、加減速操作量センサ3の出力は、基準値を
上回る部分がスロットル操作量であり、基準値を下回る
部分がブレーキ操作量である。したがって、加速操作お
よび減速操作(制動操作)とも、ジョイスティック1を
傾動する操作の度合いが大きくなればなるほど、加減速
操作量センサ3で検出(出力)されるスロットル操作量
およびブレーキ操作量も大きくなる。なお、スロットル
操作量かブレーキ操作量かの判断は、後記する制御装置
4の目標ブレーキ液圧設定部40および目標スロットル
開度設定部47で判断される(図5参照)。
【0020】また、ジョイスティック1を左右方向に傾
動する操作も、ジョイスティック1の左右方向の操作を
可能とする回転軸に備えられたポテンショメータ等から
なる転舵操作量センサ2により、その操作量が電圧とし
て検出(出力)されるようになっている。この場合の操
作量も、ジョイスティック1の中立位置を基準にして、
右方に傾動する場合が右方転舵操作量であり、左方に傾
動する場合が左方転舵操作量である。そして、転舵操作
量センサ2は、検出した電圧を転舵操作量信号SSRと
して制御装置4に送信する。ちなみに、このジョイステ
ィック1を左右方向に傾動する操作が、車両への転舵操
作となり、転舵方向操作と転舵操作量操作を兼ねてい
る。
【0021】図7の(b)図を参照して、ジョイスティ
ック1の左右方向の操作量に対する転舵操作量センサ2
の出力の設定について説明する。図7の(b)図は、ジ
ョイスティック1の左右方向の位置と転舵操作量センサ
2の出力との関係図である。この図から判るように、転
舵操作量センサ2は、ジョイスティック1を右方に傾動
する操作を行うと出力を増加させ、左方に傾動する操作
を行うと出力を低下させるように設定されている。そし
て、転舵操作量センサ2の出力は、基準値を上回る部分
が右方転舵操作量であり、基準値を下回る部分が左方転
舵操作量である。したがって、右方転舵操作および左方
転舵操作は、ジョイスティック1を傾動する操作の度合
いが大きくなればなるほど、転舵操作量センサ2で検出
(出力)される右方転舵操作量および左方転舵操作量も
大きくなる。ちなみに、右方転舵操作量および左方転舵
操作量は、ラック軸31の目標転舵速度(ステアリング
モータ5を駆動する速度)を設定するための操作量であ
り、微妙な位置制御が必要な転舵角を設定するための操
作量ではない。したがって、右方転舵操作量および左方
転舵操作量の最大操作量は、ラック軸31の目標転舵速
度(ステアリングモータ5の出力)の大きさを数段階設
定できる程度の少ない操作量でよい。ちなみに、転舵輪
W,Wの転舵角は、転舵操作の量とその操作時間によっ
て決まる。また、右方転舵操作量か左方転舵操作量かの
判断(すなわち、転舵方向の判断)は、基準値に基づい
て、後記する制御装置4の目標転舵速度設定部52で判
断される(図6参照)。
【0022】図2ないし図4を参照して、ジョイスティ
ック1と傾動支持機構20および復帰機構21,22と
の構成を詳細に説明する。なお、図2は、ジョイスティ
ック1の傾動支持機構20の一部破断側面図である。図
3は、ジョイスティック1の傾動支持機構20の一部破
断平面図である。図4は、ジョイスティック1の復帰機
構21,22の一部破断正面図である。
【0023】ジョイスティック1は、車両の運転者が片
手で操作できるように、右フロントドアのアームレスト
に配置されている。ジョイスティック1は、パイプ状の
スティック本体1aの上端に操作グリップ1bが固定さ
れた構造を有し、スティック本体1aの下端部が傾動支
持機構20を介して左右方向および前後方向に傾動自在
に支持されている。なお、この傾動支持機構20は、ス
ティック本体1aに外装されたブーツ1cによって覆わ
れている(図1参照)。
【0024】傾動支持機構20は、ジョイスティック1
を左右の転舵方向に傾動操作自在に支持する機構とし
て、スティック本体1aの下端部を前後方向に貫通して
これに固定された左右傾動用支持軸20aと、この左右
傾動用支持軸20aの前後の両端部をベアリング20
e,20eを介して回転自在に支持する傾動支持ベース
20bとを備えている。この傾動支持ベース20bは、
平面視において上方が開口した左右方向に長い概略長方
形の枠状に形成されている。また、ジョイスティック1
を傾動支持ベース20bとともに前後の加減速方向に傾
動操作自在に支持する機構として、傾動支持ベース20
bの左右の端部に同軸状に突設された一対の前後傾動用
支持ピン20cと、この一対の前後傾動用支持ピン20
cをベアリング20e,20eを介して回転自在に支持
する固定支持ベース20dとを備えている。この固定支
持ベース20dは、左右の両端部に側壁を有する上方が
開口したコ字状に形成されている。
【0025】さらに、ジョイスティック1のスティック
本体1aと傾動支持機構20の傾動支持ベース20dと
の間には、ジョイスティック1を左右の転舵操作方向の
中立位置に復帰させる復帰機構21が設けられている。
また、傾動支持機構20の傾動支持ベース20bと固定
支持ベース20dとの間には、傾動支持ベース20bと
ともにジョイスティック1を前後の加減速操作方向の中
立位置に復帰させる復帰機構22が設けられている。
【0026】復帰機構21および復帰機構22は、略同
様に構成されているため、その一方の復帰機構21につ
いて説明し、他方の復帰機構22については説明を省略
する。この復帰機構21は、傾動支持ベース20bから
スティック本体1aへ向けて左右傾動用支持軸20aと
平行に突設された固定ピン21aと、スティック本体1
aから傾動支持ベース20bへ向けて左右傾動用支持軸
20aと平行に突設された回動ピン21bと、左右傾動
用支持軸20aに巻装された巻バネ21cとで構成され
ている。固定ピン21aは、左右傾動用支持軸20aの
軸心を通る鉛直線上に配置して左右傾動用支持軸20a
の上方に配置されている。また、巻バネ21cは、その
両端部を放射方向に折り曲げた係止部21dが固定ピン
21aに交差状態で係止されている。一方、回動ピン2
1bは、スティック本体1aの傾動操作に応じて巻バネ
21cの一対の係止部21dのいずれか一方を押動する
ように、交差状態の一対の係止部21dの間に挿入され
ている。そして、この回動ピン21bが一対の係止部2
1dに押動されて固定ピン21aの下方に位置すると、
ジョイスティック1が略垂直に起立して左右の転舵操作
方向の中立位置に停止するように構成されている。
【0027】また、傾動支持機構20は、運転者による
ジョイスティック1の操作に対して、ジョイスティック
1の動きに反力を加える反力発生手段を有する(反力の
方向および大きさについては後記する)。この反力発生
手段は、ジョイスティック1の前後方向の回転軸の動き
に反力を加える加減速操作反力モータ9、およびジョイ
スティック1の左右方向の回転軸の動きに反力を加える
転舵操作反力モータ8を有する(図1参照)。加減速操
作反力モータ9は、制御装置4が生成する加減速操作反
力モータ駆動電圧RSBに基づいて駆動される。また、
転舵操作反力モータ8は、制御装置4が生成する転舵操
作反力モータ駆動電圧RSRに基づいて駆動される。な
お、加減速操作反力モータ駆動電圧RSBおよび転舵操
作反力モータ駆動電圧RSRの大きさおよび印加方向は
制御装置4により設定されるが、この点は後記する。
【0028】〔ブレーキ系〕図1に戻って、運転操作装
置Aにおけるブレーキ系の構成を説明する。この車両の
ブレーキ系は、通常の車両と異なりブレーキペダルを有
しない。その代わりに、ジョイスティック1がブレーキ
ペダルの役割を有し、前記したように、中立位置のジョ
イスティック1を後方に傾動する操作を行うとブレーキ
が効くようになっている。
【0029】また、この車両のブレーキ系は、エンジン
の負圧等を利用するブレーキ倍力装置やマスタシリンダ
等を有しない。その代わりに、トラクションコントロー
ルシステム(TCS)やアンチブレーキロックシステム
(ABS)のような、ブレーキ液圧発生用のポンプおよ
びブレーキ液圧制御用の比例電磁弁を有し、ポンプが発
生したブレーキ液圧を、比例電磁弁を介してホイールシ
リンダに作用させるようになっている。なお、ブレーキ
アクチュエータ7は、前記した比例電磁弁に相当し、制
御装置4が生成するブレーキアクチュエータ駆動電圧D
BAに基づいて駆動される。
【0030】〔スロットル系〕運転操作装置Aにおける
スロットル系の構成を説明する。この車両のスロットル
系は、通常の車両と異なりスロットルペダル(アクセル
ペダル)を有しない。その代わりに、ジョイスティック
1がスロットルペダルの役割を有し、前記したように、
中立位置のジョイスティック1を前方に傾動する操作を
行うとスロットル弁が開くようになっている。
【0031】この車両のスロットル弁は、弁駆動モータ
により駆動される。なお、スロットルアクチュエータ6
は、前記した弁駆動モータに相当し、制御装置4が生成
するスロットルアクチュエータ駆動電圧DSAに基づい
て駆動される。
【0032】〔転舵系〕運転操作装置Aにおける転舵系
(転舵機構)の構成を説明する。この車両の転舵系は、
通常の車両と異なりステアリングホイールを有しない。
その代わりに、ジョイスティック1がステアリングホイ
ールの役割を有し、前記したように、中立位置のジョイ
スティック1を左方に傾動する操作を行うと、転舵輪
W,Wが左方に転舵するようになっている。一方、中立
位置のジョイスティック1を右方に傾動する操作を行う
と転舵輪W,Wが右方に転舵するようになっている。こ
のジョイスティック1の左右方向の操作では、操作量が
大きいほど転舵輪W,Wの転舵速度が速くなるため、操
作時間が長くなるほど転舵輪W,Wの転舵角が大きくな
る。
【0033】また、この車両は、運転者の操舵力をラッ
ク軸31に伝達するステアリング軸やラックアンドピニ
オン機構等を有しない。その代わりに、ラック軸31を
軸方向に動かすステアリングモータ(ステアリングアク
チュエータ)5およびボールねじ機構30を有する。な
お、ステアリングモータ5は車体フレームに対して固定
され、ステアリングモータ5の回転運動を、ボールねじ
機構30を介してラック軸31の直線運動に変換してい
る。これにより、ステアリングモータ5が発生する回転
トルクがラック軸31のラック軸力に変換され、ラック
軸31に生じたラックトルクは、ラック軸31の端部の
タイロッド32,32を介して転舵輪W,Wの転舵トル
クへと変換される。なお、ステアリングモータ5は、制
御装置4が生成するステアリングモータ駆動電圧DSM
に基づいて駆動される。
【0034】〔センサ類〕図1を参照して、運転操作装
置Aを制御装置4で制御するために車両の各種情報を制
御装置4に取り込むための他のセンサ10,11,1
2,13,14について説明する。ちなみに、運転操作
装置Aに備えられる各種センサ10,11,12,1
3,14は、運転操作装置Aの専用のセンサでもよい
し、他のシステムと共用するセンサでもよい。
【0035】ラック位置センサ10は、ラック軸31の
左右方向の位置を検出し、このラック軸の位置からなる
ラック位置信号SRを制御装置4に送信している。な
お、請求項の「転舵速度検出手段」は、この第1実施形
態では、ラック位置センサ10と後述する微分器521
(図6参照)とで構成される。
【0036】スロットル開度センサ11は、スロットル
弁の開度を検出し、このスロットル弁の開度からなるス
ロットル開度信号STを制御装置4に送信している。
【0037】ブレーキ液圧センサ12は、ホイールシリ
ンダのブレーキ液圧を検出し、このブレーキ液圧からな
るブレーキ液圧信号SBを制御装置4に送信している。
【0038】ヨーレートセンサ13は、車両の横方向の
運動状態としてヨーレートを検出し、このヨーレートか
らなるヨーレート信号SYを制御装置4に送信してい
る。
【0039】車速センサ14は、車速を単位時間当たり
のパルス数として検出し、検出したパルス数からなる車
速信号SSを制御装置4に送信している。
【0040】〔制御装置〕図5および図6を参照して、
制御装置4の構成について説明する。図5は、制御装置
4のブレーキ制御部4A、ブレーキ操作反力制御部4
B、スロットル制御部4Cおよびスロットル操作反力制
御部4Dの構成図である。図6は、制御装置4の転舵制
御部4Eおよび転舵操作反力制御部4Fの構成図であ
る。
【0041】制御装置4は、ジョイスティック1の操作
に基づいてステアリングモータ5、スロットルアクチュ
エータ6およびブレーキアクチュエータ7を制御すると
ともに、ジョイスティック1に操作反力を与えるために
転舵操作反力モータ8および加減速操作反力モータ9を
制御する。そのために、制御装置4は、図示しないRA
M[Random Access Memory]、ROM[Read Only Memor
y]、CPU[Central Processing Unit]およびI/Oイ
ンターフェース等からなるマイクロコンピュータ(図示
せず)や各種モータを駆動する駆動回路を備えており、
ブレーキ制御部4A、ブレーキ操作反力制御部4B、ス
ロットル制御部4C、スロットル操作反力制御部4D、
転舵制御部4Eおよび転舵操作反力制御部4Fを有して
いる。また、制御装置4は、取り込んだセンサ信号をデ
ィジタル信号に変換し、センサ信号をディジタル信号で
取り扱っている。なお、第1実施形態では、特に、制御
装置4の転舵制御部4Eおよび転舵操作反力制御部4F
が特許請求の範囲に記載する制御手段に相当する。
【0042】〔ブレーキ制御部〕図5を参照して、ブレ
ーキ制御部4Aについて説明する。ブレーキ制御部4A
は、運転者によるジョイスティック1の加減速操作のブ
レーキ操作量に応じたブレーキ液圧をホイールシリンダ
に作用させる制御を行う。そのために、ブレーキ制御部
4Aは、目標ブレーキ液圧設定部40、偏差演算部4
1、ブレーキアクチュエータ制御信号出力部42および
ブレーキアクチュエータ駆動回路43を備えている。な
お、ブレーキ制御部4Aのうち、ブレーキアクチュエー
タ駆動回路43を除いた部分は、制御装置4を構成する
マイクロコンピュータにソフトウェア的に構成される。
【0043】目標ブレーキ液圧設定部40は、加減速操
作量センサ3からの加減速操作量信号STBが入力さ
れ、目標ブレーキ液圧信号を偏差演算部41に出力す
る。目標ブレーキ液圧設定部40は、ブレーキ操作量に
応じた加減速操作量信号STBに基づいてブレーキマッ
プを検索し、ホイールシリンダに加えるべき目標ブレー
キ液圧信号を設定する(図8の(a)図参照)。なお、
ブレーキマップは、ブレーキ操作量が大きくなれば目標
ブレーキ液圧も大きくなるように設定されている。ただ
し、加減速操作量信号STBとブレーキ操作量との関係
は、加減速操作量センサ3の出力が小さいほどブレーキ
操作量が大きくなるというものである(図7の(a)図
参照)。したがって、ブレーキマップは、加減速操作量
センサ3の出力が0から基準値まで増加するに従って、
目標ブレーキ液圧が減少するように設定される(図8の
(a)図参照)。図8の(a)図は、加減速操作量セン
サ3の出力と目標ブレーキ液圧との関係図である。
【0044】偏差演算部41は、ブレーキ液圧センサ1
2からのブレーキ液圧信号SBおよび目標ブレーキ液圧
設定部40からの目標ブレーキ液圧信号が入力され、偏
差信号をブレーキアクチュエータ制御信号出力部42お
よび目標ブレーキ操作反力設定部44に出力する。偏差
演算部41は、目標ブレーキ液圧信号からブレーキ液圧
信号SBを減算し、その減算値を偏差信号とする。
【0045】ブレーキアクチュエータ制御信号出力部4
2は、偏差演算部41からの偏差信号が入力され、ブレ
ーキ制御信号をブレーキアクチュエータ駆動回路43に
出力する。ブレーキアクチュエータ制御信号出力部42
は、PID[Proportional Integral Differential]コン
トローラおよびPWM[Pulse Width Modulation]信号発
生部等を備えている。まず、ブレーキアクチュエータ制
御信号出力部42は、偏差信号にP(比例)、I(積
分)およびD(微分)制御を行い、偏差を0に近づける
ためにブレーキアクチュエータ7に供給する電流値を示
すPID制御信号を生成する。続いて、ブレーキアクチ
ュエータ制御信号出力部42は、このPID制御信号に
基づいて、ブレーキアクチュエータ7に供給する電流値
に対応したPWM信号を生成し、ブレーキ制御信号とす
る。
【0046】ブレーキアクチュエータ駆動回路43は、
ブレーキアクチュエータ制御信号出力部42からのブレ
ーキ制御信号が入力され、ブレーキアクチュエータ駆動
電圧DBAをブレーキアクチュエータ7に出力する。ブ
レーキアクチュエータ駆動回路43は、ブレーキ制御信
号に基づいてブレーキアクチュエータ駆動電圧DBAを
ブレーキアクチュエータ7に印加し、ブレーキアクチュ
エータ7を駆動する。そのために、ブレーキアクチュエ
ータ駆動回路43は、各車輪毎に設けられた比例電磁弁
に対応するように設けられた4つのFET[Field Effec
t Transistor:電界効果トランジスタ]および電源電圧
(12V)等で構成されている(図示せず)。そして、
ブレーキアクチュエータ駆動回路43は、4つのFET
の各ゲートにブレーキ制御信号が入力されると、このブ
レーキ制御信号に基づいて4つのFETがON/OFF
し、ブレーキアクチュエータ7にブレーキアクチュエー
タ駆動電圧DBAを印加する。すると、ブレーキアクチ
ュエータ7には電流が流れてブレーキアクチュエータ7
が駆動され(つまり、比例電磁弁が開閉駆動され)、ジ
ョイスティック1のブレーキ操作量に応じてホイールシ
リンダのブレーキ液圧が制御される。
【0047】〔ブレーキ操作反力制御部〕図5を参照し
て、ブレーキ操作反力制御部4Bについて説明する。ブ
レーキ操作反力制御部4Bは、運転者がジョイスティッ
ク1を後方に傾動する操作を行う際(つまり、ブレーキ
を効かせる操作を行う際)、加減速操作反力モータ9を
駆動して能動的にブレーキ操作反力をジョイスティック
1に作用させる制御を行う。そのために、ブレーキ操作
反力制御部4Bは、目標ブレーキ操作反力設定部44、
加減速操作反力モータ制御信号出力部45および加減速
操作反力モータ駆動回路46を備えている。なお、ブレ
ーキ操作反力制御部4Bのうち、加減速操作反力モータ
駆動回路46を除いた部分は、制御装置4を構成するマ
イクロコンピュータにソフトウェア的に構成される。
【0048】目標ブレーキ操作反力設定部44は、偏差
演算部41からの偏差信号が入力され、目標ブレーキ操
作反力信号を加減速操作反力モータ制御信号出力部45
に出力する。目標ブレーキ操作反力設定部44は、偏差
信号に所定のゲインを乗じて目標ブレーキ操作反力信号
を設定する。なお、目標ブレーキ操作反力設定部44
は、偏差信号が「プラスの値」である場合には偏差信号
に応じた目標ブレーキ操作反力信号を設定し、偏差信号
が「ゼロおよびマイナスの値」である場合には目標ブレ
ーキ操作反力信号をゼロに設定する。このように目標ブ
レーキ操作反力信号を設定するのは、ブレーキ力を増す
場合(通常の車両におけるブレーキペダルを踏み増す場
合)にのみブレーキ操作反力を生じさせるためである。
このため、ブレーキ力を減じるようなジョイスティック
1の操作を行う場合(ジョイスティック1を中立位置に
戻す操作を行う場合)には、ブレーキ操作反力(ジョイ
スティック1の動きの方向に反する力)は生じない。ち
なみに、偏差信号がマイナスの値の場合は、目標ブレー
キ操作反力設定部44がジョイスティック1の戻りをア
シストするように目標ブレーキ操作反力信号を設定する
ようにしてもよい。
【0049】加減速操作反力モータ制御信号出力部45
は、目標ブレーキ操作反力設定部44からの目標ブレー
キ操作反力信号が入力され、ブレーキ操作反力制御信号
を加減速操作反力モータ駆動回路46に出力する。加減
速操作反力モータ制御信号出力部45は、PWM信号発
生部等を備える。加減速操作反力モータ制御信号出力部
45は、目標ブレーキ操作反力信号に基づいて、加減速
操作反力モータ9に供給する電流の向きと電流値に対応
したPWM信号、オン信号、オフ信号を生成し、ブレー
キ操作反力制御信号とする。
【0050】加減速操作反力モータ駆動回路46は、加
減速操作反力モータ制御信号出力部45からのブレーキ
操作反力制御信号が入力され、加減速操作反力モータ駆
動電圧RSBを加減速操作反力モータ9に出力する。加
減速操作反力モータ駆動回路46は、ブレーキ操作反力
制御信号に基づいて加減速操作反力モータ駆動電圧RS
Bを加減速操作反力モータ9に印加し、加減速操作反力
モータ9を駆動する。そのために、加減速操作反力モー
タ駆動回路46は、4つのFET(スイッチング素子)
からなるブリッジ回路および電源電圧(12V)等で構
成されている(図示せず)。加減速操作反力モータ駆動
回路46は、4つのFETの各ゲートにブレーキ操作反
力制御信号が入力されると、ブレーキ操作反力制御信号
に基づいて4つのFETがON/OFFし、加減速操作
反力モータ9に加減速操作反力モータ駆動電圧RSBを
印加する。すると、加減速操作反力モータ9には電流が
流れて加減速操作反力モータ9が正転または逆転駆動さ
れ、ジョイスティック1のブレーキ操作反力が制御され
る。
【0051】したがって、運転者がジョイスティック1
によりホイールシリンダにおけるブレーキ液圧を増加す
る操作を行う際には、ジョイスティック1に対してブレ
ーキ操作反力が与えられる。このブレーキ操作反力の大
きさは、ジョイスティック1の傾動支持機構20におけ
る現在位置を基準にして、ジョイスティック1を大きく
かつ素早く後方に傾動する操作をすればするほど、ジョ
イスティック1には大きなブレーキ操作反力が生じるよ
うになる。
【0052】〔スロットル制御部〕図5を参照して、ス
ロットル制御部4Cについて説明する。スロットル制御
部4Cは、運転者によるジョイスティック1の加減速操
作のスロットル操作量に応じた開度になるように、スロ
ットル弁を制御する。そのために、スロットル制御部4
Cは、目標スロットル開度設定部47、偏差演算部4
8、スロットルアクチュエータ制御信号出力部49およ
びスロットルアクチュエータ駆動回路50を備えてい
る。なお、スロットル制御部4Cのうち、スロットルア
クチュエータ駆動回路50を除いた部分は、制御装置4
を構成するマイクロコンピュータにソフトウェア的に構
成される。
【0053】目標スロットル開度設定部47は、加減速
操作量センサ3からの加減速操作量信号STBが入力さ
れ、目標スロットル開度信号を偏差演算部48に出力す
る。目標スロットル開度設定部47は、スロットル操作
量に応じた加減速操作量信号STBに基づいてスロット
ルマップを検索し、目標スロットル開度信号を設定する
(図8の(b)図参照)。なお、スロットルマップは、
スロットル操作量が大きくなれば目標スロットル開度も
大きくなるように設定されている。このため、スロット
ルマップは、加減速操作量センサ3の出力が基準値から
増加するに従って、目標スロットル開度が増加するよう
に設定される(図8の(b)図参照)。図8の(b)図
は、加減速操作量センサ3の出力と目標スロットル開度
との関係図である。
【0054】偏差演算部48は、スロットル開度センサ
11からのスロットル開度信号STおよび目標スロット
ル開度設定部47からの目標スロットル開度信号が入力
され、偏差信号をスロットルアクチュエータ制御信号出
力部49および目標スロットル操作反力設定部51に出
力する。偏差演算部48は、目標スロットル開度信号か
らスロットル開度信号STを減算し、その減算値を偏差
信号とする。
【0055】スロットルアクチュエータ制御信号出力部
49は、偏差演算部48からの偏差信号が入力され、ス
ロットル制御信号をスロットルアクチュエータ駆動回路
50に出力する。スロットルアクチュエータ制御信号出
力部49は、PIDコントローラおよびPWM信号発生
部等を備えている。まず、スロットルアクチュエータ制
御信号出力部49は、偏差信号にP(比例)、I(積
分)およびD(微分)制御を行い、偏差を0に近づける
ためにスロットルアクチュエータ6に供給する電流の向
きと電流値とを示すPID制御信号を生成する。続い
て、スロットルアクチュエータ制御信号出力部49は、
このPID制御信号に基づいて、スロットルアクチュエ
ータ6に供給する電流の向きと電流値に対応したPWM
信号、オン信号、オフ信号を生成し、スロットル制御信
号とする。
【0056】スロットルアクチュエータ駆動回路50
は、スロットルアクチュエータ制御信号出力部49から
のスロットル制御信号が入力され、スロットルアクチュ
エータ駆動電圧DSAをスロットルアクチュエータ6に
出力する。スロットルアクチュエータ駆動回路50は、
スロットル制御信号に基づいてスロットルアクチュエー
タ駆動電圧DSAをスロットルアクチュエータ6に印加
し、スロットルアクチュエータ6を駆動する。そのため
に、スロットルアクチュエータ駆動回路50は、4つの
FET(スイッチング素子)からなるブリッジ回路およ
び電源電圧(12V)等で構成されている(図示せ
ず)。4つのFETの各ゲートにスロットル制御信号が
入力されると、スロットル制御信号に基づいて4つのF
ETがON/OFFし、スロットルアクチュエータ6に
スロットルアクチュエータ駆動電圧DSAが印加され
る。すると、スロットルアクチュエータ6には電流が流
れてスロットルアクチュエータ6が正転または逆転駆動
され(つまり、弁駆動モータが駆動され)、ジョイステ
ィック1のスロットル操作量に応じてスロットル弁の開
度が制御される。
【0057】〔スロットル操作反力制御部〕図5を参照
して、スロットル操作反力制御部4Dについて説明す
る。スロットル操作反力制御部4Dは、運転者がジョイ
スティック1を前方に傾動する操作を行う際(つまり、
エンジンの出力を増加する操作を行う際)、加減速操作
反力モータ9を駆動して能動的にスロットル操作反力を
ジョイスティック1に作用させる制御を行う。そのため
に、スロットル操作反力制御部4Dは、目標スロットル
操作反力設定部51、加減速操作反力モータ制御信号出
力部45および加減速操作反力モータ駆動回路46を備
えている。なお、スロットル操作反力制御部4Dのう
ち、加減速操作反力モータ駆動回路46を除いた部分
は、制御装置4を構成するマイクロコンピュータにソフ
トウェア的に構成される。また、スロットル操作反力制
御部4Dは、加減速操作反力モータ制御信号出力部45
および加減速操作反力モータ駆動回路46を、ブレーキ
操作反力制御部4Bと共用する構成である。
【0058】目標スロットル操作反力設定部51は、偏
差演算部48からの偏差信号が入力され、目標スロット
ル操作反力信号を加減速操作反力モータ制御信号出力部
45に出力する。目標スロットル操作反力設定部51
は、偏差信号に所定のゲインを乗じて目標スロットル操
作反力信号を設定する。なお、この目標スロットル操作
反力設定部51は、偏差信号が「プラスの値」である場
合には偏差信号に応じた目標スロットル操作反力信号を
設定し、偏差信号が「ゼロおよびマイナスの値」である
場合には目標スロットル操作反力信号をゼロに設定す
る。このように目標スロットル操作反力信号を設定する
のは、スロットルを増す場合(通常の車両におけるアク
セルペダルを踏み増す場合)にのみスロットル操作反力
を生じさせるためである。このため、スロットルを減じ
るようなジョイスティック1の操作を行う場合(ジョイ
スティック1を中立位置に戻す操作を行う場合)には、
スロットル操作反力は生じない。ちなみに、偏差信号が
マイナスの値の場合は、目標スロットル操作反力設定部
51がジョイスティック1の戻りをアシストするように
目標スロットル操作反力信号を設定するようにしてもよ
い。
【0059】加減速操作反力モータ制御信号出力部45
は、目標スロットル操作反力設定部51からの目標スロ
ットル操作反力信号が入力され、スロットル操作反力制
御信号を加減速操作反力モータ駆動回路46に出力す
る。加減速操作反力モータ制御信号出力部45は、目標
スロットル操作反力信号に基づいて、加減速操作反力モ
ータ9に供給する電流の向きと電流値に対応したPWM
信号、オン信号、オフ信号を生成し、スロットル操作反
力制御信号とする。
【0060】加減速操作反力モータ駆動回路46は、加
減速操作反力モータ制御信号出力部45からのスロット
ル操作反力制御信号が入力され、加減速操作反力モータ
駆動電圧RSBを加減速操作反力モータ9に出力する。
加減速操作反力モータ駆動回路46は、スロットル操作
反力制御信号に基づいて加減速操作反力モータ駆動電圧
RSBを加減速操作反力モータ9に印加し、加減速操作
反力モータ9を駆動する。加減速操作反力モータ駆動回
路46は、4つのFETの各ゲートにスロットル操作反
力制御信号が入力されると、スロットル操作反力制御信
号に基づいて4つのFETがON/OFFし、加減速操
作反力モータ9に加減速操作反力モータ駆動電圧RSB
を印加する。すると、加減速操作反力モータ9には電流
が流れて加減速操作反力モータ9が正転または逆転駆動
され、ジョイスティック1のスロットル操作反力が制御
される。
【0061】したがって、運転者がジョイスティック1
によりスロットル開度を増加する操作を行う際には、ジ
ョイスティック1に対してスロットル操作反力が与えら
れる。このスロットル操作反力の大きさは、ジョイステ
ィック1の傾動支持機構20における現在位置を基準に
して、ジョイスティック1を大きくかつ素早く前方に傾
動する操作をすればするほど、ジョイスティック1には
大きなスロットル操作反力が生じるようになる。
【0062】〔転舵制御部〕図6を参照して、転舵制御
部4Eについて説明する。転舵制御部4Eは、運転者に
よるジョイスティック1への転舵操作量に応じて転舵輪
W,Wの転舵速度を制御するとともにジョイスティック
1への転舵操作に応じて転舵方向を判別してステアリン
グモータ5の回転方向を制御し、転舵輪W,Wを転舵す
る制御を行う。そのために、転舵制御部4Eは、目標転
舵速度設定部52、偏差演算部53、ステアリングモー
タ制御信号出力部54およびステアリングモータ駆動回
路55を備えている。加えて、ラック位置センサ10か
ら入力したラック位置信号SRを微分する微分器521
を備えている。なお、転舵制御部4Eのうち、ステアリ
ングモータ駆動回路55を除いた部分は、制御装置4を
構成するマイクロコンピュータにソフトウェア的に構成
される。
【0063】目標転舵速度設定部52は、転舵操作量セ
ンサ2からの転舵操作量信号SSRおよび車速センサ1
4からの車速信号SSが入力され、目標転舵速度信号を
偏差演算部53に出力する。目標転舵速度設定部52
は、転舵操作量信号SSRに基づいて転舵方向(ラック
軸31の移動方向、ステアリングモータ5の回転方向)
を判定するとともに転舵操作量信号SSRおよび車速信
号SSに基づいて転舵マップから目標転舵速度を検索
し、ラック軸31の移動方向と目標転舵速度とからなる
目標転舵速度信号を設定する。目標転舵速度信号におい
てラック軸31の移動方向は、目標転舵速度に対するプ
ラスとマイナスで表され、例えば、移動方向が左方向
(転舵方向は右転舵)をプラスとし、右方向(転舵方向
は左転舵)をマイナスとする(ラック軸31の移動方向
と転舵輪W,Wの転舵方向は逆になる)。目標転舵速度
設定部52では、転舵操作量信号SSRが基準値を上回
る場合(すなわち、右方転舵操作量の場合)には転舵方
向を右転舵と判定し、ラック軸31の移動方向を左方向
とするとともに、転舵操作量信号SSRが基準値を下回
る場合(すなわち、左方転舵操作量の場合)には転舵方
向を左転舵と判定し、ラック軸31の移動方向を右方向
とする(図7の(b)図参照)。
【0064】転舵マップは、車速に応じて複数設定さ
れ、いずれの転舵マップも転舵操作量(第1実施形態で
は、右方転舵操作量または左方転舵操作量)が大きくな
れば転舵操作量に応じて目標転舵速度を大きくするよう
に設定されている。車速に応じて転舵マップが設定され
るのは、車庫入れなどを行う必要のある低速の場合には
目標転舵速度として大きな値(絶対値)を対応付けて転
舵特性を「クイック」にし、走行時の安定性を確保する
必要のある高速の場合には目標転舵速度として小さい値
(絶対値)を対応付けて転舵特性を「ダル」にするため
である。転舵操作量が大きくなれば目標転舵速度を大き
くするのは、運転者の意思に応じて、運転者が転舵輪
W,Wを速く転舵した場合には転舵輪W,Wの転舵速度
を速くするためである。目標転舵速度設定部52では、
このような転舵マップから車速と転舵操作量に応じた目
標転舵速度を検索する。
【0065】本実施の形態では、図9に示すように、車
速に応じてM1,M2,M3の3つの転舵マップが設定
されている。図9は、転舵操作量センサの出力と目標転
舵速度との関係図である。転舵マップM1は、低速時の
マップであり、小さな不感帯が設けてあり、不感帯を過
ぎると大きな比例定数で転舵操作量に応じて目標転舵速
度を対応付けている。転舵マップM2は、中速時のマッ
プであり、中程度の不感帯が設けてあり、この不感帯を
過ぎると、転舵マップM1より小さな比例定数で転舵操
作量に応じて目標転舵速度を対応付けている。さらに、
転舵マップM2は、運転者の緊急時の転舵操作に対応す
るために、所定転舵操作量より大きくなると、非常に大
きな比例定数で目標転舵速度を対応付けている。転舵マ
ップM3は、高速時のマップであり、大きな不感帯が設
けてあり、この不感帯を過ぎると、転舵マップM2より
小さな比例定数で転舵操作量に応じて目標転舵速度を対
応付けている。これらにより、高速では「ダル」な転舵
特性になって安定性が得られ、低速では「クイック」な
転舵特性になってきびきびとした運転性が得られる。な
お、3つの転舵マップM1,M2,M3以外の車速にお
ける転舵マップは、3つの転舵マップM1,M2,M3
から補完演算する。ちなみに、第1実施形態では、転舵
操作量信号SSRと左方転舵操作量との関係は、転舵操
作量センサ2の出力が基準値より小さいほど左方転舵操
作量が大きくなるというものである(図7の(b)図参
照)。したがって、第1実施形態では、転舵操作量セン
サ2の出力が基準値から減少するに従って左方向への目
標転舵速度が大きくなり、転舵操作量センサ2の出力が
基準値から増加するに従って右方向への目標転舵速度が
大きくなるように設定されている。
【0066】ところで、目標転舵速度設定部52では、
ジョイスティック1への転舵操作量に基づく目標転舵速
度を設定するだけであり、ラック軸31の位置(すなわ
ち、転舵角W,Wの転舵角)を設定しない。ラック軸3
1の位置は、転舵速度とその転舵している時間(すなわ
ち、ジョイスティック1への転舵操作時間)との積によ
って決まる。なお、路面反力が小さな場所(氷上等)と
大きな場所(グリップ力のよい路上等)とで、同じ転舵
速度を得るには、路面反力が小さな場所ではステアリン
グモータ5の出力は小さくてよい。一方、路面反力が大
きな場所では、ステアリングモータ5の出力を大きくし
なければならない。
【0067】微分器521は、所定の周期でラック位置
センサ10からラック位置信号SRを入力してラック位
置信号SRの前回値と今回値の差分を演算するととも
に、前回値と今回値の差分を所定の周期で除して実際の
転舵速度を演算する処理を行う。これにより、ラック位
置信号SRを実転舵速度信号に変換する。
【0068】偏差演算部53は、目標転舵速度設定部5
2からの目標転舵速度信号および微分器521からの実
転舵速度信号が入力され、偏差信号をステアリングモー
タ制御信号出力部54および目標転舵操作反力設定部5
6に出力する。偏差演算部53は、目標転舵速度信号か
ら実転舵速度信号を減算し、その減算値を偏差信号とす
る。
【0069】ステアリングモータ制御信号出力部54
は、偏差演算部53からの偏差信号が入力され、ステア
リング制御信号をステアリングモータ駆動回路55に出
力する。ステアリングモータ制御信号出力部54は、P
IDコントローラおよびPWM信号発生部等を備えてい
る。まず、ステアリングモータ制御信号出力部54は、
偏差信号にP(比例)、I(積分)およびD(微分)制
御を行い、偏差を0に近づけるためにステアリングモー
タ5に供給する電流の向きと電流値とを示すPID制御
信号を生成する。続いて、ステアリングモータ制御信号
出力部54は、このPID制御信号に基づいて、ステア
リングモータ5に供給する電流の向きと電流値に対応し
たPWM信号、オン信号、オフ信号を生成し、ステアリ
ング制御信号とする。
【0070】ステアリングモータ駆動回路55は、ステ
アリングモータ制御信号出力部54からのステアリング
制御信号が入力され、ステアリングモータ駆動電圧DS
Mをステアリングモータ5に出力する。ステアリングモ
ータ駆動回路55は、ステアリング制御信号に基づいて
ステアリングモータ駆動電圧DSMをステアリングモー
タ5に印加し、ステアリングモータ5を駆動する。その
ために、ステアリングモータ駆動回路55は、4つのF
ET(スイッチング素子)からなるブリッジ回路および
電源電圧(12V)等で構成されている(図示せず)。
そして、ステアリングモータ駆動回路55は、4つのF
ETの各ゲートにステアリング制御信号が入力される
と、ステアリング制御信号に基づいて4つのFETがO
N/OFFし、ステアリングモータ5にステアリングモ
ータ駆動電圧DSMを印加する。すると、ステアリング
モータ5には電流が流れてステアリングモータ5が正転
または逆転駆動され、ジョイスティック1の転舵操作量
に応じて転舵輪W,Wの転舵速度が制御される。
【0071】ちなみに、ラック位置を制御している従来
例では、実際のラック位置(実ラック位置)が目標ラッ
ク位置と一致するとステアリングモータ5は停止する
が、この第1実施形態では、実際の転舵速度(実転舵速
度)と目標転舵速度が一致してもステアリングモータ5
は停止しない。また、この第1実施形態では、右側にジ
ョイスティック1を傾動して転舵輪W,Wを右側に転舵
した後、ジョイスティック1を中立位置に戻しても転舵
輪W,Wは中立位置には戻らない。ジョイスティック1
の中立位置は、転舵速度がゼロの位置だからである。具
体的には、転舵輪W,Wが転舵されている状態でジョイ
スティック1を中立位置に戻すと、目標転舵速度設定部
52が目標転舵速度をゼロに設定する。すると、転舵速
度をゼロにするようにステアリングモータ5が駆動され
る。なお、ジョイスティック1の中立位置は転舵速度が
ゼロの位置であるため、喩えセルフアライニングトルク
が作用しても、転舵速度をゼロに維持するため、セルフ
アライニングトルクを打ち消すようにステアリングモー
タ5が駆動される。このため、転舵角は一定になる。な
お、転舵速度がゼロに維持される点(転舵角が一定にな
る点)は、後述する第3実施形態の図18(a)(c)
等のタイムチャートに示すとおりである。
【0072】〔転舵操作反力制御部〕図6を参照して、
転舵操作反力制御部4Fについて説明する。転舵操作反
力制御部4Fは、運転者がジョイスティック1を左右方
向に傾動する操作を行う際(つまり、転舵操作を行う
際)、転舵操作反力モータ8を駆動して能動的に転舵操
作反力をジョイスティック1に作用させる制御を行う。
そのために、転舵操作反力制御部4Fは、目標転舵操作
反力設定部56、転舵操作反力モータ制御信号出力部5
7および転舵速操作反力モータ駆動回路58を備えてい
る。なお、転舵操作反力制御部4Fのうち、転舵操作反
力モータ駆動回路58を除いた部分は、制御装置4を構
成するマイクロコンピュータにソフトウェア的に構成さ
れる。
【0073】目標転舵操作反力設定部56は、転舵操作
量センサ2からの転舵操作量信号SSR(右方転舵操作
量または左方転舵操作量)、ヨーレートセンサ13から
のヨーレート信号SYおよび偏差演算部53からの偏差
信号が入力され、目標転舵操作反力信号を転舵操作反力
モータ制御信号出力部57に出力する。目標転舵操作反
力設定部56は、転舵操作量信号SSRに基づいて転舵
操作反力の方向を判定するとともに転舵操作量信号SS
Rおよびヨーレート信号SYに基づいて転舵操作反力マ
ップから目標転舵操作反力を検索し、転舵操作反力の方
向と目標転舵操作反力とからなる目標転舵操作反力信号
を設定する。このとき、目標転舵操作反力設定部56で
は、偏差信号に基づいて転舵操作反力をジョイスティッ
ク1に与えるか否かを判定している。まず、目標転舵操
作反力設定部56では、転舵操作量信号SSRが基準値
を上回る場合(すなわち、右方転舵操作量の場合)には
転舵操作反力方向を右方操作に対する反力と判定すると
ともに、転舵操作量信号SSRが基準値を下回る場合
(すなわち、左方転舵操作量の場合)には転舵操作反力
方向を左方操作に対する反力と判定する(図7の(b)
図参照)。
【0074】転舵操作反力マップは、ヨーレートに応じ
て複数設定され、いずれの転舵操作反力マップも転舵操
作量(第1実施形態では、右方転舵操作量または左方転
舵操作量)が大きくなれば転舵操作量に応じて目標転舵
操作反力を大きくするように設定されている。ヨーレー
トに応じて転舵操作反力マップが設定されるのは、車両
状態として不安定なヨーレートが大きいほど転舵操作反
力を大きくして運転者に転舵を抑えるように促すためで
ある。転舵操作量が大きくなれば転舵操作反力を大きく
するのは、転舵輪W,Wの転舵速度が速くなる転舵操作
量が大きいほど運転者に転舵を抑えるように促すためで
ある。
【0075】本実施の形態では、図10に示すように、
ヨーレートに応じてM4,M5,M6の3つの転舵操作
反力マップが設定されている。図10は、転舵操作量セ
ンサの出力と目標転舵操作反力との関係図である。転舵
操舵反力マップM4は、ヨーレートが大きいときのマッ
プであり、大きな比例定数で転舵操作量に応じて目標転
舵操作反力を対応付けている。転舵操舵反力マップM5
は、ヨーレートが中程度の時のマップであり、転舵操作
反力マップM4より小さな比例定数で転舵操作量に応じ
て目標転舵操作反力を対応付けている。転舵操舵反力マ
ップM6は、ヨーレートが小さいときのマップであり、
転舵操作反力マップM5より小さな比例定数で転舵操作
量に応じて目標転舵操作反力を対応付けている。さら
に、転舵操作反力マップM4,M5,M6は、運転者に
よる急な転舵操作を抑制するために、所定量以上の転舵
操作量に対して非常に大きな比例定数で目標転舵操作反
力を対応付けている。また、3つの転舵操作反力マップ
M4,M5,M6以外のヨーレートにおける転舵操作反
力マップは、3つの転舵マップM4,M5,M6から補
完演算する。
【0076】このように転舵操作量に応じて目標転舵操
舵反力を設定するのは、転舵操作量を増すような操作が
行われた場合に転舵操作反力を生じさせるためである。
したがって、転舵操作量が0の場合(ジョイスティック
1の左右位置が中立位置の場合)や転舵操作量を一定に
保持する場合あるいは転舵操作量を減らす場合には、転
舵操作反力は生じない。
【0077】そして、目標転舵操作反力設定部56は、
「右方操作」かつ偏差信号が「プラスの値」である場合
には転舵操作反力マップで検索した目標転舵操作反力か
らなる目標転舵操作反力信号を設定し、「右方操作」か
つ偏差信号が「ゼロおよびマイナスの値」である場合に
は目標転舵操作反力信号をゼロに設定する。このように
目標転舵操作反力信号を設定するのは、転舵速度を増す
場合に転舵操作反力を生じさせるためである。このた
め、一定の転舵速度を保持する場合や転舵速度を減じる
ようなジョイスティック1の操作を行う場合(ジョイス
ティック1を中立側に戻す操作を行う場合)には、転舵
操作反力は生じない。ちなみに、偏差信号がマイナスの
値の場合は、目標転舵操作反力設定部56ではジョイス
ティック1の戻りをアシストするように目標転舵操作反
力信号を設定するようにしてもよい。一方、目標転舵操
作反力設定部56は、「左方操作」かつ偏差信号が「マ
イナスの値」である場合には転舵操作反力マップで検索
した目標転舵操作反力からなる目標転舵操作反力信号を
設定し、「左方操作」かつ偏差信号が「ゼロおよびプラ
スの値」である場合には目標転舵操作反力信号をゼロに
設定する。ちなみに、偏差信号がプラスの値の場合は、
目標転舵操作反力設定部56ではジョイスティック1の
戻りをアシストするように目標転舵操作反力信号を設定
するようにしてもよい。
【0078】転舵操作反力モータ制御信号出力部57
は、目標転舵操作反力設定部56からの目標転舵操作反
力信号が入力され、転舵操作反力制御信号を転舵操作反
力モータ駆動回路58に出力する。転舵操作反力モータ
制御信号出力部57は、PWM信号発生部を備えてい
る。転舵操作反力モータ制御信号出力部57は、目標転
舵操作反力信号に基づいて、転舵操作反力モータ8に供
給する電流の向きと電流値に対応したPWM信号、オン
信号、オフ信号を生成し、転舵操作反力制御信号とす
る。
【0079】転舵操作反力モータ駆動回路58は、転舵
操作反力モータ制御信号出力部57からの転舵操作反力
制御信号が入力され、転舵操作反力モータ駆動電圧RS
Rを転舵操作反力モータ8に出力する。転舵操作反力モ
ータ駆動回路58は、転舵操作反力制御信号に基づいて
転舵操作反力モータ駆動電圧RSRを転舵操作反力モー
タ8に印加し、転舵操作反力モータ8を駆動する。その
ために、転舵操作反力モータ駆動回路58は、4つのF
ET(スイッチング素子)からなるブリッジ回路および
電源電圧(12V)等で構成されている(図示せず)。
転舵操作反力モータ駆動回路58は、4つのFETの各
ゲートに転舵操作反力制御信号が入力されると、転舵操
作反力制御信号に基づいて4つのFETがON/OFF
し、転舵操作反力モータ8に転舵操作反力モータ駆動電
圧RSRを印加する。すると、転舵操作反力モータ8に
は電流が流れて転舵操作反力モータ8が正転または逆転
駆動され、ジョイスティック1の転舵操作反力が制御さ
れる。
【0080】したがって、運転者がジョイスティック1
により転舵速度を増加する操作を行う際には、ジョイス
ティック1に対して転舵操作反力が与えられる。この転
舵操作反力の大きさは、右方転舵状態の場合は、ジョイ
スティック1の傾動支持機構20における中立位置を基
準にしてジョイスティック1の右方への操作が大きいほ
どまたは/およびヨーレートが大きいほど、ジョイステ
ィック1には大きな転舵操作反力が生じるようになる。
一方、左方転舵状態の場合は、ジョイスティック1の傾
動支持機構20における中立位置を基準にしてジョイス
ティック1を左方への操作が大きいほどまたは/および
ヨーレートが大きいほど、ジョイスティック1には大き
な転舵操作反力が生じるようになる。
【0081】なお、ヨーレートの代りに、ステアリング
モータ5の出力(ステアリングモータ5に流れる電流
値)をパラメータとして、ステアリングモータ5の出力
が大きいほどジョイスティック1の転舵操作反力が大き
くなるようにしてもよい。ちなみに、ステアリングモー
タ5の出力が大きい場合は、路面反力も大きいといえ
る。なお、ステアリングモータ5の出力が大きいほどジ
ョイスティック1の転舵操作反力が大きくなる制御、換
言すると、路面反力が大きいほど転舵操作反力を大きく
するという制御は、理に適った自然な制御といえる。
【0082】〔運転操作装置の動作〕図1ないし図10
を参照して、運転操作装置Aの動作うち本発明の特徴と
なる転舵動作について説明する。ここでは、交差点での
右折時について説明する。
【0083】車両の交差点での右折開始時には、運転者
が、転舵輪W,Wを右方に転舵させるために、ジョイス
ティック1を右方に傾動する。このとき、ジョイスティ
ック1の右方への操作量は、運転者が緩やかに転舵を行
いたい場合には少量であり、運転者が素早い転舵を行い
たい場合には多量である。すると、運転操作装置Aで
は、転舵操作量センサ2がジョイスティック1での右方
転舵操作量(基準値から増加)に応じた転舵操作量信号
SSRを制御装置4に送信する。
【0084】制御装置4では、車速信号SSおよび転舵
操作量信号SSRに基づいて車速と右方転舵操作量に応
じた目標転舵速度とラック軸31の移動方向が左方向か
らなる目標転舵速度信号(転舵方向+目標転舵速度)を
設定し、さらにこの目標転舵速度信号とラック位置信号
SRを微分した実転舵速度信号とに基づいて偏差信号
(プラス値)を演算し、この偏差信号に基づいてステア
リング制御信号を設定する。このとき、右方転舵操作量
が大きいほどまたは/および車速が低速なほど、目標転
舵速度は大きい値となり、転舵輪W,Wの転舵速度が速
くなる。そして、制御装置4では、ステアリング制御信
号に基づいてステアリングモータ駆動電圧DSMを発生
させ、このステアリングモータ駆動電圧DSMをステア
リングモータ5に印加する。すると、ラック軸31が目
標転舵速度信号に応じた転舵速度を発生し、左方に移動
し始める。そして、ジョイスティック1での右方転舵操
作量と車速に応じた転舵速度で転舵輪W,Wが右回転方
向に転舵し始める。ちなみに、転舵量は、転舵速度と転
舵時間に比例する。
【0085】また、制御装置4では、ヨーレート信号S
Y、転舵操作量信号SSRおよび偏差信号(プラス値)
に基づいてヨーレートと右方転舵操作量に応じた目標転
舵操作反力と転舵操作反力方向が右方操作に対する反力
からなる目標転舵操作反力信号を設定し、さらに目標転
舵操作反力信号に基づいて転舵操作反力制御信号を設定
する。このとき、右方転舵操作量が大きいほどまたは/
およびヨーレートが大きいほど、目標転舵操作反力は大
きい値となり、ジョイスティック1の右方操作に対する
反力が大きくなる。続いて、制御装置4では、転舵操作
反力制御信号に基づいて転舵操作反力モータ駆動電圧R
SRを発生させ、この転舵操作反力モータ駆動電圧RS
Rを転舵操作反力モータ8に印加する。すると、転舵操
作反力モータ8が駆動され、ジョイスティック1の右方
向の操作に対して転舵操作反力が与えられる。
【0086】車両の転舵中、運転者が、転舵輪W,Wの
転舵角を一定にさせるために、ジョイスティック1を右
方から中立位置に戻す。すると、制御装置4の目標転舵
速度設定部52では、目標転舵速度をゼロに設定する。
そして、制御装置4では、転舵速度をゼロにする(ステ
アリングモータ5の動きを停止させる)ステアリング制
御信号に基づいてステアリングモータ駆動電圧DSMを
発生させ、このステアリングモータ駆動電圧DSMをス
テアリングモータ5に印加する。つまり、ジョイスティ
ック1の各々の位置では、その位置に応じた転舵速度を
維持するようにステアリングモータ5が駆動される。殊
に、ジョイスティック1の中立位置ではその転舵角度・
転舵位置を維持するように(つまり転舵速度ゼロを維持
するように)ステアリングモータ5が駆動される。
【0087】また、制御装置4では、目標転舵速度信号
と実転舵速度信号との偏差信号がゼロとなるので、目標
転舵操作反力信号にゼロを設定する。したがって、転舵
操作反力モータ8には転舵操作反力モータ駆動電圧RS
Rが印加されないので、ジョイスティック1の右方への
操作に対して転舵操作反力が与えられない。
【0088】なお、右方に転舵していた転舵輪W,Wを
直進に戻すためには(車両を直進状態に戻すために
は)、運転者は、ジョイスティック1を車両が直進状態
になるまで左方に傾動する。そして、直進状態になると
ジョイスティック1を中立位置に戻す。これにより、車
両は直進状態になる。
【0089】また、前記した同様の制御により、制御装
置4では、目標転舵速度信号と実転舵速度信号との偏差
信号がマイナス値となるので、目標転舵操作反力信号に
ゼロを設定する。したがって、転舵操作反力モータ8に
は転舵操作反力モータ駆動電圧RSRが印加されないの
で、ジョイスティック1の右方への操作に対して転舵操
作反力が与えられない。
【0090】この運転操作装置A(車両操舵装置S1)
によれば、ジョイスティック1の左右方向への操作量に
応じて転舵輪W,Wの転舵速度を制御しているので、少
ない操作量によって転舵輪W,Wを転舵することができ
る。そのため、フロントドアのアームレスト等の左右方
向の操作スペースが限られた場所でも、ジョイスティッ
ク1を設置することができる(設置しても操作性を損な
わない)。この運転操作装置A(車両操舵装置S1)に
よれば、ゲイン(転舵輪W,Wの転舵速度/ジョイステ
ィック1の左右方向の操作量)を小さくしても、操作時
間を長くすることにより大きな転舵角を得ることができ
るので、操舵フィーリングが良好である。
【0091】また、この運転操作装置A(車両操舵装置
S1)によれば、ジョイスティック1の左右方向への操
作量に応じて転舵輪W,Wの転舵速度を制御しているの
で、ジョイスティック1の操作量により転舵輪W,Wの
転舵速度を変えることができる。そのため、高速道路や
低速での交差点等の緩やかな転舵が必要な場合あるいは
車庫入れやワインディングロード等の素早い転舵が必要
な場合等、様々な運転状況に応じて転舵速度をコントロ
ールすることができる。また、この運転操作装置A(車
両操舵装置S1)によれば、ジョイスティック1を中立
位置にすれば転舵角が一定に保持されるので、例えば運
転者が定常円旋回等を楽に行うことができる。
【0092】≪第2実施形態≫第2実施形態について説
明する。第2実施形態では、第1実施形態に係る車両操
舵装置S1と同様の構成については同様の符号を付し、
その詳細な説明を省略する。まず、図11を参照して、
車両操舵装置S2の全体構成について説明する。図11
は、第2実施形態に係る車両操舵装置S2の全体構成図
である。
【0093】車両操舵装置S2は、ジョイスティック6
1、転舵方向センサ62、転舵操作量センサ63、制御
装置64、ステアリングモータ5、転舵操作反力モータ
65、ラック位置センサ10、ヨーレートセンサ13、
車速センサ14、ボールねじ機構30、ラック軸31、
タイロッド32,32等から構成される。なお、第2実
施形態では、ジョイスティック61が特許請求の範囲に
記載する操作装置に相当し(特に、請求項2に記載のジ
ョイスティックに相当し)、制御装置64が特許請求の
範囲に記載する制御手段に相当し、ステアリングモータ
5が特許請求の範囲に記載するアクチュエータに相当す
る。
【0094】〔ジョイスティック〕ジョイスティック6
1(操作機構)の構成について説明する。車両操舵装置
S2は、車両の転舵操作を行うためのジョイスティック
61を備えている。そのために、ジョイスティック61
は、車両の進行方向に対して前方向への回動によって傾
動する操作ができるとともに左右方向への回動によって
傾動する操作ができるように傾動支持機構(図示せず)
に支持されている。したがって、ジョイスティック61
は、半楕円運動を描くように操作することができる。ま
た、傾動支持機構は、ジョイスティック61を前方向に
傾動する操作に対して、その操作量が多くなればなるほ
ど受動的にジョイスティック61を中立位置に復帰する
力が大きく発生するような、バネ(弾性体)を用いた復
帰機構(図示せず)を有している。なお、傾動支持機構
は、第1実施形態に係る傾動支持機構20と同様の構成
であるが、後方への傾動するための機構を有していな
い。また、復帰機構も、第1実施形態に係る復帰機構2
1,22と同様の構成であるが、左右方向から中立位置
および後方から中立位置への復帰するための機構を有し
ていない。
【0095】ジョイスティック61を前方向に傾動する
操作は、ジョイスティック61の前方向の操作を可能と
する回転軸に備えられたポテンショメータ等からなる転
舵操作量センサ63により、その操作量が電圧として検
出(出力)されるようになっている。この場合の操作量
は、ジョイスティック61の中立位置を基準にして、前
方に傾動する場合が転舵操作量である。そして、転舵操
作量センサ63は、検出した電圧を転舵操作量信号SS
Rとして制御装置64に送信する。ちなみに、このジョ
イスティック61を前方向に傾動する操作が、車両への
転舵操作のうち操作量操作となる。
【0096】図13を参照して、ジョイスティック61
の前方向の操作量に対する転舵操作量センサ63の出力
の設定について説明する。図13は、ジョイスティック
61の前方向の位置(前方向操作量)と転舵操作量セン
サ63の出力との関係図である。この図から判るよう
に、転舵操作量センサ63は、ジョイスティック61を
前方に傾動する操作を行うと出力を増加させるように設
定される。したがって、前方操作量操作は、ジョイステ
ィック61を傾動する操作の度合いが大きくなればなる
ほど、転舵操作量センサ63で検出(出力)される転舵
操作量も大きくなる。転舵操作量は、転舵輪W,Wの目
標転舵角を設定するのでなくラック軸31の目標転舵速
度を設定するためのものなので、微妙な調整が必要な転
舵角を設定する操作量ではない。したがって、転舵操作
量の最大操作量は、ラック軸31の目標転舵速度の大き
さを数段階設定できる程度の操作量でよい。ちなみに、
転舵輪W,Wの転舵角は、転舵操作量操作および転舵方
向操作とその操作時間によって決まる。
【0097】ジョイスティック61を左右方向に傾動す
る操作は、ジョイスティック61の傾動支持機構内に設
けられた2つの電気接点等からなる転舵方向センサ62
により、その左右方向の操作に応じて所定電圧値として
検出(出力)されるようになっている。そして、転舵方
向センサ62は、ゼロ電圧または所定電圧値を転舵方向
信号SSDとして制御装置64に送信する。ちなみに、
このジョイスティック61を左右方向に傾動する操作
が、車両への転舵操作のうち転舵方向操作となる。
【0098】図14を参照して、ジョイスティック61
の左右方向の傾動操作に対する転舵方向センサ62の出
力の設定について説明する。図14は、ジョイスティッ
ク61の左右方向の位置(左右方向操作量)と転舵方向
センサ62の出力との関係図である。この図から判るよ
うに、転舵方向センサ62は、ジョイスティック61を
右方に所定操作量以上傾動する操作を行うと右方の電気
接点が閉じてプラスの一定電圧(例えば、5V)を出力
するとともに、左方に所定操作量以上傾動する操作を行
うと左方の電気接点が閉じてマイナスの一定電圧(例え
ば、−5V)を出力するように設定されている。したが
って、左右転舵方向操作は、ジョイスティック61を傾
動する操作の度合いが所定操作量以上になると、転舵方
向センサ62で転舵方向を検出する。また、転舵方向操
作の最大操作量は、電気接点を確実に閉じることができ
る程度の操作量でよいので、非常に少ない操作量であ
る。
【0099】ジョイスティック61は、車両の運転者が
片手で操作できるように、右フロントドアのアームレス
トに配置されている。ジョイスティック61は、パイプ
状のスティック本体61aの上端に操作グリップ61b
が固定された構造を有し、スティック本体61aの下端
部が傾動支持機構(図示せず)を介して左右方向および
前方向に傾動自在に支持されている。なお、この傾動支
持機構は、スティック本体61aに外装されたブーツ6
1cによって覆われている。また、傾動支持機構は、運
転者によるジョイスティック61の操作に対して、ジョ
イスティック61の動きに反力を加える反力発生手段を
有する(反力の方向および大きさについては後記す
る)。この反力発生手段は、ジョイスティック61の前
方向の回転軸の動きに反力を加える転舵操作反力モータ
65を有する。転舵操作反力モータ65は、制御装置6
4が生成する転舵操作反力モータ駆動電圧RSRに基づ
いて駆動される。なお、転舵操作反力モータ駆動電圧R
SRの大きさおよび印加方向は制御装置64により設定
されるが、この点は後記する。
【0100】〔転舵系〕車両操舵装置S2における転舵
系(転舵機構)の構成を説明する。この車両の転舵系
は、通常の車両と異なりステアリングホイールを有しな
い。その代わりに、ジョイスティック61がステアリン
グホイールの役割を有し、前記したように、中立位置の
ジョイスティック61を左方に傾動しかつ前方に傾動す
る操作を行うと、転舵輪W,Wが左方に転舵するように
なっている。一方、中立位置のジョイスティック61を
右方に傾動しかつ前方に傾動する操作を行うと転舵輪
W,Wが右方に転舵するようになっている。このジョイ
スティック61の操作では、前方向への操作量が大きい
ほど転舵輪W,Wの転舵速度が速くなり、操作時間が長
なるほど転舵輪W,Wの転舵角が大きくなる。
【0101】また、この車両は、運転者の操舵力をラッ
ク軸31に伝達するステアリング軸やラックアンドピニ
オン機構等を有しない。その代わりに、ラック軸31を
軸方向に動かすステアリングモータ(ステアリングアク
チュエータ)5およびボールねじ機構30を有する。な
お、ステアリングモータ5は車体フレームに対して固定
され、ステアリングモータ5の回転運動をボールねじ機
構30を介してラック軸31の直線運動に変換してい
る。これにより、ステアリングモータ5が発生する回転
トルクがラック軸31を左方又は右方に動かすラック軸
力に変換され、ラック軸31に生じたラック軸力は、ラ
ック軸31の端部のタイロッド32,32を介して転舵
輪W,Wの転舵トルクへと変換される。なお、ステアリ
ングモータ5は、制御装置64が生成するステアリング
モータ駆動電圧DSMに基づいて駆動される。
【0102】ちなみに、この車両は、通常の車両と同様
にブレーキペダルを有しており、ブレーキペダルの踏み
込みに応じてブレーキが効くようになっている。また、
この車両は、通常の車両と同様にスロットルペダル(ア
クセルペダル)を有しており、スロットルペダルの踏み
込みに応じてとスロットル弁が開くようになっている。
【0103】〔センサ類〕車両操舵装置S2は、制御装
置64で制御するために車両の各種情報を制御装置64
に取り込むために、前記センサの他にラック位置センサ
10、ヨーレートセンサ13および車速センサ14を有
している。車両操舵装置S2に備えられる各種センサ1
0,13,14は、車両操舵装置S2の専用のセンサで
もよいし、他のシステムと共用するセンサでもよい。
【0104】〔制御装置〕図12を参照して、制御装置
64の構成について説明する。図12は、制御装置64
の転舵制御部64Aおよび転舵操作反力制御部64Bの
構成図である。
【0105】制御装置64は、ジョイスティック61の
操作に基づいてステアリングモータ5を制御するととも
に、ジョイスティック61に操作反力を与えるために転
舵操作反力モータ65を制御する。そのために、制御装
置64は、図示しないRAM、ROM、CPUおよびI
/Oインターフェース等からなるマイクロコンピュータ
(図示せず)や各種モータを駆動する駆動回路を備えて
おり、転舵制御部64Aおよび転舵操作反力制御部64
Bを有している。また、制御装置64は、取り込んだセ
ンサ信号をディジタル信号に変換し、センサ信号をディ
ジタル信号で取り扱っている。
【0106】図12を参照して、転舵制御部64Aにつ
いて説明する。転舵制御部64Aは、運転者によるジョ
イスティック61への転舵操作量に応じてステアリング
モータ5の出力を制御するとともにジョイスティック6
1への転舵方向操作に応じて転舵方向を判別してステア
リングモータ5の回転方向を制御し、転舵輪W,Wを転
舵する制御を行う。そのために、転舵制御部64Aは、
目標転舵速度設定部66、微分器521、偏差演算部5
3、ステアリングモータ制御信号出力部54およびステ
アリングモータ駆動回路55を備えている。なお、転舵
制御部64Aのうち、ステアリングモータ駆動回路55
を除いた部分は、制御装置64を構成するマイクロコン
ピュータにソフトウェア的に構成される。
【0107】目標転舵速度設定部66は、転舵方向セン
サ62からの転舵方向信号SSD、転舵操作量センサ6
3からの転舵操作量信号SSRおよび車速センサ14か
らの車速信号SSが入力され、目標転舵速度信号を偏差
演算部53に出力する。目標転舵速度設定部66は、転
舵方向信号SSDに基づいて転舵方向(ラック軸31の
移動方向、ステアリングモータ5の回転方向)を判定す
るとともに転舵操作量信号SSRおよび車速信号SSに
基づいて転舵マップから目標転舵速度を検索し、ラック
軸31の移動方向と目標転舵速度とからなる目標転舵速
度信号を設定する。ラック軸31の移動方向は、目標転
舵速度に対するプラスとマイナスで表され、例えば、移
動方向が左方向をプラスとし、右方向をマイナスとす
る。目標転舵速度設定部66では、転舵方向信号SSD
がプラスの一定電圧の場合には転舵方向を右転舵と判定
し、ラック軸31の移動方向を左方向とするとともに、
転舵操作量信号SSRがマイナスの一定電圧の場合には
転舵方向を左転舵と判定し、ラック軸31の移動方向を
右方向とする(図14参照)。転舵マップは第1実施形
態と同様の転舵マップであり(図9参照)、目標転舵速
度設定部66では、転舵マップから車速と転舵操作量に
応じた目標転舵速度を検索する。
【0108】ちなみに、目標転舵速度設定部66では、
ジョイスティック61への転舵操作量に基づく転舵速度
を設定するだけであり、ラック軸31の位置(すなわ
ち、転舵輪W,Wの転舵角)を設定するものではない。
ラック軸31の位置は、転舵速度とその転舵速度を発生
させている時間(すなわち、ジョイスティック61への
転舵操作時間)との積によって決まる。
【0109】図12を参照して、転舵操作反力制御部6
4Bについて説明する。転舵操作反力制御部64Bは、
運転者がジョイスティック61を前方向に傾動する操作
を行う際(つまり、転舵操作量操作を行う際)、転舵操
作反力モータ65を駆動して能動的に転舵操作反力をジ
ョイスティック61に作用させる制御を行う。そのため
に、転舵操作反力制御部64Bは、目標転舵操作反力設
定部67、転舵操作反力モータ制御信号出力部68およ
び転舵速操作反力モータ駆動回路69を備えている。な
お、転舵操作反力制御部64Bのうち、転舵操作反力モ
ータ駆動回路69を除いた部分は、制御装置64を構成
するマイクロコンピュータにソフトウェア的に構成され
る。
【0110】目標転舵操作反力設定部67は、転舵操作
量センサ63からの転舵操作量信号SSR、ヨーレート
センサ13からのヨーレート信号SYおよび偏差演算部
53からの偏差信号が入力され、目標転舵操作反力信号
を転舵操作反力モータ制御信号出力部68に出力する。
目標転舵操作反力設定部67は、転舵操作量信号SSR
およびヨーレート信号SYに基づいて転舵操作反力マッ
プから目標転舵操作反力を検索し、目標転舵操作反力か
らなる目標転舵操作反力信号を設定する。このとき、目
標転舵操作反力設定部67では、偏差信号に基づいて転
舵操作反力をジョイスティック61に与えるか否かを判
定している。転舵操作反力マップは第1実施形態と同様
のマップであり(図10参照)、目標転舵操作反力設定
部67では、転舵操作反力マップからヨーレートと転舵
操作量に応じた目標転舵操作反力を検索する。ちなみ
に、転舵操作反力方向は、前方操作に対する反力のみで
ある。
【0111】そして、目標転舵操作反力設定部67は、
偏差信号が「プラスの値」である場合には転舵操作反力
マップで検索した目標転舵操作反力からなる目標転舵操
作反力信号を設定し、偏差信号が「ゼロおよびマイナス
の値」である場合には目標転舵操作反力信号をゼロに設
定する。このように目標転舵操作反力信号を設定するの
は、転舵速度を増す場合に転舵操作反力を生じさせるた
めである。このため、一定の転舵速度を保持する場合や
転舵速度を減じるようなジョイスティック61の操作を
行う場合(ジョイスティック61を中立側に戻す操作を
行う場合)には、転舵操作反力は生じない。ちなみに、
偏差信号がマイナスの値の場合は、目標転舵操作反力設
定部67ではジョイスティック61の戻りをアシストす
るように目標転舵操作反力信号を設定するようにしても
よい。
【0112】転舵操作反力モータ制御信号出力部68
は、目標転舵操作反力設定部67からの目標転舵操作反
力信号が入力され、転舵操作反力制御信号を転舵操作反
力モータ駆動回路69に出力する。転舵操作反力モータ
制御信号出力部68は、PWM信号発生部を備えてい
る。転舵操作反力モータ制御信号出力部68は、目標転
舵操作反力信号に基づいて、転舵操作反力モータ65に
供給する電流値に対応したPWM信号、オン信号、オフ
信号を生成し、転舵操作反力制御信号とする。ちなみ
に、ジョイスティック61に一方向にしか反力を与えな
いので、転舵操作反力モータ65に与える電流の向きは
一方向である。
【0113】転舵操作反力モータ駆動回路69は、転舵
操作反力モータ制御信号出力部68からの転舵操作反力
制御信号が入力され、転舵操作反力モータ駆動電圧RS
Rを転舵操作反力モータ65に出力する。転舵操作反力
モータ駆動回路69は、転舵操作反力制御信号に基づい
て転舵操作反力モータ駆動電圧RSRを転舵操作反力モ
ータ65に印加し、転舵操作反力モータ65を駆動す
る。そのために、転舵操作反力モータ駆動回路69は、
2つのFET(スイッチング素子)および電源電圧(1
2V)等で構成されている(図示せず)。転舵操作反力
モータ駆動回路69は、2つのFETの各ゲートに転舵
操作反力制御信号が入力されると、転舵操作反力制御信
号に基づいて2つのFETがON/OFFし、転舵操作
反力モータ65に転舵操作反力モータ駆動電圧RSRを
印加する。すると、転舵操作反力モータ65には電流が
流れて転舵操作反力モータ65が正転駆動され、ジョイ
スティック61の転舵操作反力が制御される。
【0114】したがって、運転者がジョイスティック6
1により転舵速度を増加する操作を行う際には、ジョイ
スティック61に対して転舵操作反力が与えられる。こ
の転舵操作反力の大きさは、ジョイスティック61の傾
動支持機構における中立位置を基準にしてジョイスティ
ック61の前方への操作が大きいほどまたは/およびヨ
ーレートが大きいほど、ジョイスティック61には大き
な転舵操作反力が生じるようになる。
【0115】〔車両操舵装置の動作〕図9ないし図14
を参照して、車両操舵装置S2の動作について説明す
る。ここでは、交差点での右折時について説明する。
【0116】車両の交差点での右折転舵開始時には、運
転者が、転舵輪W,Wを右方に転舵させるために、ジョ
イスティック61を右方に傾動するとともに中立位置
(直立位置)から前方に傾動する。このとき、ジョイス
ティック61の右方への操作量は、転舵方向センサ62
で検出できる量である(図14参照)。ジョイスティッ
ク61の前方への操作量は、運転者が緩やかに転舵を行
いたい場合には少量であり、運転者が素早い転舵を行い
たい場合には多量である。すると、車両操舵装置S2で
は、転舵方向センサ62がジョイスティック61での右
方操作によって電気接点が閉じるのに応じてプラスの一
定電圧の転舵方向信号SSDを制御装置64に送信する
とともに、転舵操作量センサ63がジョイスティック6
1での前方操作量に応じた転舵操作量信号SSRを制御
装置64に送信する。
【0117】制御装置64では、車速信号SS、転舵方
向信号SSDおよび転舵操作量信号SSRに基づいて車
速と転舵操作量に応じた目標転舵速度とラック軸31の
移動方向が左方向からなる目標転舵速度信号を設定し、
さらにこの目標転舵速度信号とラック位置信号SRを微
分した実転舵速度信号とに基づいて偏差信号(プラス
値)を演算し、この偏差信号に基づいてステアリング制
御信号を設定する。このとき、転舵操作量が大きいほ
ど、車速が低速なほど、目標転舵速度は大きい値とな
り、転舵輪W,Wの転舵速度が速くなる。そして、制御
装置64では、ステアリング制御信号に基づいてステア
リングモータ駆動電圧DSMを発生させ、このステアリ
ングモータ駆動電圧DSMをステアリングモータ5に印
加する。すると、ラック軸31が目標転舵速度信号に応
じた速度で左方に移動し始める。そして、ジョイスティ
ック61での転舵操作量と車速に応じた転舵速度で転舵
輪W,Wが右回転方向に転舵し始める。そして、時間経
過とともに、ラック軸31の左方への移動量が増加し、
転舵輪W,Wの転舵角が増大していく。
【0118】また、制御装置64では、ヨーレート信号
SY、転舵操作量信号SSRおよび偏差信号(プラス
値)に基づいてヨーレートと転舵操作量に応じた目標転
舵操作反力と転舵操作反力方向が前方操作に対する反力
からなる目標転舵操作反力信号を設定し、さらに目標転
舵操作反力信号に基づいて転舵操作反力制御信号を設定
する。続いて、制御装置64では、転舵操作反力制御信
号に基づいて転舵操作反力モータ駆動電圧RSRを発生
させ、この転舵操作反力モータ駆動電圧RSRを転舵操
作反力モータ65に印加する。すると、転舵操作反力モ
ータ65が駆動され、ジョイスティック61の前方への
操作に対して転舵操作反力が与えられる。
【0119】車両の転舵中、運転者が、転舵輪W,Wの
転舵角を一定にさせるために、ジョイスティック61を
前方から中立位置(直立位置)に戻す。ちなみに、運転
者は、ジョイスティック61の右方への操作は維持して
いる。すると、車両操舵装置S2では、転舵方向センサ
62がプラスの一定電圧の転舵方向信号SSDを制御装
置64に送信するとともに、転舵操作量センサ63がジ
ョイスティック61での転舵操作量に応じた転舵操作量
信号SSR(中立位置であるので転舵操作量信号=ゼ
ロ)を制御装置64に送信する。
【0120】前記した同様の制御により、制御装置64
では、目標転舵速度信号をゼロに設定し、さらに偏差信
号を演算し、ステアリング制御信号を設定する。そし
て、制御装置64では、ステアリング制御信号に基づい
てステアリングモータ駆動電圧DSMを発生させ、この
ステアリングモータ駆動電圧DSMをステアリングモー
タ5に印加する。すると、ラック軸31では、ゼロの目
標転舵速度信号に応じゼロの転舵速度を発生する。この
とき、ステアリングモータ5が発生するラック軸力と転
舵輪W,Wからラック軸31への反力(セルフアライニ
ングトルク等)とが釣り合い、ラック軸31の左方への
移動位置が固定され、転舵輪W,Wの右回転方向の転舵
角が一定となる(転舵速度=ゼロ)。
【0121】また、制御装置64では、目標転舵速度信
号と実転舵速度信号との偏差信号がゼロまたはマイナス
値となるので、目標転舵操作反力信号にゼロを設定す
る。したがって、転舵操作反力モータ65には転舵操作
反力モータ駆動電圧RSRが印加されないので、ジョイ
スティック61の前方への操作に対して転舵操作反力が
与えられない。
【0122】なお、右方向に転舵していた転舵輪W,W
を直進に戻すためには、つまり車両を直進状態に戻すた
めには、運転者は、ジョイスティック61を車両が直進
状態になるまで左方かつ前方に傾動する。そして、直進
状態になるとジョイスティック61を中立位置(左右方
向の中立位置+前後方向の中立位置〔直立位置〕)に戻
す。これにより、車両は直進状態になる。なお、ジョイ
スティック61が左右方向の中立位置にあるときは、ス
テアリングモータ5が外力を受けて自由に回転できるよ
うにして、セルフアライニングトルクにより、転舵輪
W,Wが自ずと中立位置に戻るようにしてもよい。具体
的には、転舵方向センサ62の転舵方向信号SSDがゼ
ロのときには、ステアリングモータ制御信号出力部54
が出力するステアリングモータ制御信号をゼロにするこ
とで(全てオフ信号にすることで)、ステアリングモー
タ5が外力を受けて自由に回転するようにしてもよい。
【0123】この車両操舵装置S2によれば、ジョイス
ティック61の前方向への操作量に応じて転舵輪W,W
の転舵速度を制御しているので、少ない操作量によって
転舵輪W,Wを転舵することができる。また、この車両
操舵装置S2によれば、ジョイスティック61の左右方
向の操作を転舵方向のみの操作としたので、左右方向の
最大操作量を非常に少なくできる。そのため、フロント
ドアのアームレスト等の左右方向の操作スペースが限ら
れた場所でも、ジョイスティック61を設置することが
できる(設置しても操作性を損なわない)。さらに、こ
の車両操舵装置S2によれば、ゲイン(転舵輪W,Wの
転舵速度/ジョイスティック61の前方の操作量)を小
さくしても、操作時間を長くすることにより大きな転舵
角を得ることができるので、操舵フィーリングが良好で
ある。
【0124】また、この車両操舵装置S2によれば、ジ
ョイスティック61の前方への操作量に応じて転舵輪
W,Wの転舵速度を制御しているので、ジョイスティッ
ク61の操作量により転舵輪W,Wの転舵速度を変える
ことができ、様々な運転状況に応じて転舵速度をコント
ロールすることができる。また、この車両操舵装置S2
によれば、ジョイスティック61を前方から中立位置に
引き戻すと転舵角が一定に保持されるので、例えば運転
者が定常円旋回等を楽に行うことができる。
【0125】≪第3実施形態≫第3実施形態について説
明する。第3実施形態では、第1実施形態に係る車両操
舵装置S1または第2実施形態に係る車両操舵装置S2
と同様の構成については同様の符号を付し、その詳細な
説明を省略する。まず、図15を参照して、車両操舵装
置S3の全体構成について説明する。図15は、第3実
施形態に係る車両操舵装置S3の全体構成図である。
【0126】車両操舵装置S3は、ジョイスティック7
1、転舵方向センサ72、転舵操作量センサ73、制御
装置74、ステアリングモータ5、転舵操作反力モータ
75、転舵速度センサ101、ヨーレートセンサ13、
車速センサ14、中立スイッチセンサ15、ラック中立
位置センサ16、ボールねじ機構30、ラック軸31、
タイロッド32,32等から構成される。特に、ジョイ
スティック71には、転舵操作量レバー71dおよび中
立スイッチ71eが装備されている。なお、第3実施形
態では、ジョイスティック71が特許請求の範囲に記載
する操作装置に相当し(特に、請求項3に記載のジョイ
スティックに相当し)、転舵操作量レバー71dが特許
請求の範囲に記載するレバーに相当し、中立スイッチ7
1eが特許請求の範囲に記載する戻し操作手段に相当
し、制御装置74が特許請求の範囲に記載する制御手段
に相当し、ステアリングモータ5が特許請求の範囲に記
載するアクチュエータに相当する。
【0127】〔ジョイスティック〕ジョイスティック7
1(操作機構)の構成について説明する。車両操舵装置
S3は、車両の転舵操作を行うためのジョイスティック
71を備えている。そのため、ジョイスティック71
は、車両の進行方向に対して左右方向への回動によって
傾動する操作ができるように傾動支持機構(図示せず)
に支持されている。したがって、ジョイスティック71
は、左右方向にのみ操作することができる。なお、傾動
支持機構は、第1実施形態に係る傾動支持機構20と同
様の構成であるが、前後方向に傾動するための機構は有
していない。
【0128】ジョイスティック71を左右方向に傾動す
る操作は、ジョイスティック71の傾動支持機構内に設
けられた2つの電気接点等からなる転舵方向センサ72
により、その左右方向の操作に応じて所定電圧値として
検出(出力)されるようになっている。そして、転舵方
向センサ72は、ゼロ電圧または所定電圧値を転舵方向
信号SSDとして制御装置74に送信する。ジョイステ
ィック71の左右方向の傾動操作に対する転舵方向セン
サ72の出力の設定については、第2実施形態と同様の
設定なので、説明を省略する(図14参照)。ちなみ
に、このジョイスティック71を左右方向に傾動する操
作が、車両への転舵操作のうち転舵方向操作となる。
【0129】さらに、ジョイスティック71には、転舵
操作量を操作するために、操作グリップ71bの左方面
に、後方への回動可能な転舵操作量レバー71dが設け
られている。転舵操作量レバー71dの回動軸には操作
グリップ71bの内部に取り付けられたスプリング(図
示せず)が連結されており、さらにスプリングにはワイ
ヤ71fが連結されている。スプリングは、転舵操作量
レバー71dを後方向に回動する操作に対して、その操
作量が多くなればなるほど受動的に転舵操作量レバー7
1dを定常状態に復帰する力が大きく発生する。ワイヤ
71fは、ジョイスティック71の下方に延び出してお
り、転舵操作量レバー71dを後方向に回動する操作に
対して、その操作量が多くなればなるほどジョイスティ
ック71の内部に引っ張られる。
【0130】転舵操作量レバー71dを後方向に回動す
る操作は、ワイヤ71fに取り付けた転舵操作量センサ
73により、操作量が電圧として検出(出力)されるよ
うになっている。転舵操作量センサ73では、ワイヤ7
1fの引っ張られる量を検出しており、この引っ張られ
る量を操作量としている。この場合の操作量は、転舵操
作量レバー71dの定常状態を基準にして、後方に回動
する場合が転舵操作量である。そして、転舵操作量セン
サ73は、検出した電圧を転舵操作量信号SSRとして
制御装置74に送信する。ちなみに、この転舵操作量レ
バー71dを後方向に傾動する操作が、車両への転舵操
作のうち操作量操作となる。
【0131】図17を参照して、転舵操作量レバー71
dの後方向の操作量に対する転舵操作量センサ73の出
力の設定について説明する。図17は、ジョイスティッ
ク71に備えられる転舵操作量レバー71dの後方向の
位置(後方向操作量)と転舵操作量センサ73の出力と
の関係図である。この図から判るように、転舵操作量セ
ンサ73は、転舵操作量レバー71dを後方に回動する
操作を行うと出力を増加させるように設定されている。
したがって、転舵操作量レバー71dでの後方操作は、
転舵操作量レバー71dを回動する操作の度合いが大き
くなればなるほど、転舵操作量センサ73で検出(出
力)される転舵操作量も大きくなる。転舵操作量は、転
舵輪W,Wの目標転舵角を設定するのでなく転舵輪W,
Wの目標転舵速度を設定するためのものなので、微妙な
調整が必要な転舵角を設定する操作量ではない。したが
って、転舵操作量の最大操作量は、目標転舵速度の大き
さを数段階設定できる程度の操作量でよい。ちなみに、
転舵輪W,Wの転舵角は、転舵操作量操作および転舵方
向操作とその操作時間によって決まる。
【0132】また、転舵操作量レバー71dには、運転
者による転舵操作量レバー71dの操作に対して、転舵
操作量レバー71dの動きに反力を加える反力発生手段
を有する(反力の方向および大きさについては後記す
る)。この反力発生手段は、転舵操作量レバー71dの
後方向への動きに反力を加える転舵操作反力モータ75
を有する。転舵操作反力モータ75は、制御装置74が
生成する転舵操作反力モータ駆動電圧RSRに基づいて
駆動される。そして、転舵操作反力モータ75は、ワイ
ヤ71fに連結されおり、その駆動力をワイヤ71fに
作用させることによって反力を発生させている。なお、
転舵操作反力モータ駆動電圧RSRの大きさおよび印加
方向は制御装置74により設定されるが、この点は後記
する。
【0133】さらに、ジョイスティック71には、転舵
輪W,Wを強制的に直進状態に戻すために、操作グリッ
プ71bの上面に、中立スイッチ71eが設けられてい
る。中立スイッチ71eは、押しボタン式のスイッチで
あり、定常状態で押されると操作グリップ71b内に一
部が押し込まれた状態となってONし、この押し込まれ
た状態で再び押されると定常状態に戻ってOFFする。
中立スイッチ71eをONすると、車両操舵装置S3で
は、ラック軸31を中立位置に戻して、転舵輪W,Wを
直進状態にする。直進状態に戻すときの転舵速度は、転
舵操作量レバー71dで調整することができる。
【0134】中立スイッチ71eのON/OFF操作
は、中立スイッチ71eの下方に設けられた電気接点等
からなる中立スイッチセンサ15により、押す操作に応
じて所定電圧値として検出(出力)されるようになって
いる。中立スイッチセンサ15は、中立スイッチ71e
が押し込まれた状態(ON)になると電気接点が閉じて
プラスの一定電圧(例えば、5V)を出力し、定常状態
になると電気接点が開いてゼロ電圧を出力するように設
定されている。そして、中立スイッチセンサ15は、ゼ
ロ電圧またはプラスの一定電圧を中立スイッチ信号SN
Sとして制御装置74に送信する。
【0135】ジョイスティック71は、車両の運転者が
片手で操作できるように、右フロントドアのアームレス
トに配置されている。ジョイスティック71は、パイプ
状のスティック本体71aの上端に操作グリップ71b
が固定された構造を有し、スティック本体71aの下端
部が傾動支持機構(図示せず)を介して左右方向に傾動
自在に支持されている。なお、この傾動支持機構は、ス
ティック本体71aに外装されたブーツ71cによって
覆われている。
【0136】〔転舵系〕車両操舵装置S3における転舵
系(転舵機構)の構成を説明する。この車両の転舵系
は、通常の車両と異なりステアリングホイールを有しな
い。その代わりに、ジョイスティック71がステアリン
グホイールの役割を有し、前記したように、中立位置の
ジョイスティック71を左方に傾動し、かつ定常状態の
転舵操作レバー71dを後方に回動する操作を行うと、
転舵輪W,Wが左方に転舵するようになっている。一
方、中立位置のジョイスティック71を右方に傾動し、
かつ定常状態の転舵操作レバー71dを後方に回動する
操作を行うと転舵輪W,Wが右方に転舵するようになっ
ている。このジョイスティック71の操作では、転舵操
作レバー71dの後方向への操作量が大きいほど転舵輪
W,Wの転舵速度が速くなり、操作時間が長なるほど転
舵輪W,Wの転舵角が大きくなる。また、ジョイスティ
ック71の中立スイッチ71eを押してONする操作を
行うと、ジョイスティック71による転舵方向操作に関
係なく、転舵輪W,Wが直進状態に戻るようになってい
る。
【0137】また、この車両は、運転者の操舵力をラッ
ク軸31に伝達するステアリング軸やラックアンドピニ
オン機構等を有しない。その代わりに、ラック軸31を
軸方向に動かすステアリングモータ(ステアリングアク
チュエータ)5およびボールねじ機構30を有する。な
お、ステアリングモータ5は車体フレームに対して固定
され、ステアリングモータ5の回転運動をボールねじ機
構30を介してラック軸31の直線運動に変換してい
る。これにより、ステアリングモータ5が発生する回転
トルクがラック軸31におけるラック軸力に変換され、
ラック軸31の端部のタイロッド32,32を介して転
舵輪W,Wの転舵トルクへと変換される。なお、ステア
リングモータ5は、制御装置74が生成するステアリン
グモータ駆動電圧DSMに基づいて駆動される。
【0138】ちなみに、この車両は、通常の車両と同様
にブレーキペダルを有しており、ブレーキペダルの踏み
込みに応じてブレーキが効くようになっている。また、
この車両は、通常の車両と同様にスロットルペダル(ア
クセルペダル)を有しており、スロットルペダルの踏み
込みに応じてとスロットル弁が開くようになっている。
【0139】〔センサ類〕車両操舵装置S3は、制御装
置74で制御するために車両の各種情報を制御装置74
に取り込むために、前記のとおり転舵速度センサ10
1、ヨーレートセンサ13、車速センサ14およびラッ
ク中立位置センサ16を有している。車両操舵装置S3
に備えられる各種センサ101,13,14,16は、
車両操舵装置S3の専用のセンサでもよいし、他のシス
テムと共用するセンサでもよい。
【0140】このうち、転舵速度センサ101は、ラッ
ク軸31の移動速度(つまり転舵速度)を検出するセン
サであり、例えばタコジネレータなどの安価なセンサを
適用できる。この転舵速度センサ101は、転舵速度が
速いほど大きな値の実転舵速度信号SVを出力する。ま
た、ラック中立位置センサ16は、ラック軸31が中立
位置か否かのみを検出し、中立位置の場合にプラスの一
定電圧(例えば、5V)および中立位置でない場合には
ゼロ電圧からなるラック中立位置信号SNを制御装置7
4に送信する。ラック中立位置センサ16は、例えば、
電気接点等で構成される。これらセンサは、ラック位置
センサに比較して安価である。つまり、この車両操舵装
置S3によれば、従来のように正確な位置制御に必要で
あった高価なラック位置センサ等を必要としないので、
従来よりもコストダウンできる。
【0141】〔制御装置〕図16を参照して、制御装置
74の構成について説明する。図16は、制御装置74
の転舵制御部74Aおよび転舵操作反力制御部74Bの
構成図である。
【0142】制御装置74は、ジョイスティック71
(転舵操作量レバー71dおよび中立スイッチ71eを
含む)の操作に基づいてステアリングモータ5を制御す
るとともに、転舵操作量レバー71dに操作反力を与え
るために転舵操作反力モータ75を制御する。そのため
に、制御装置74は、図示しないRAM、ROM、CP
UおよびI/Oインターフェース等からなるマイクロコ
ンピュータ(図示せず)や各種モータを駆動する駆動回
路を備えており、転舵制御部74Aおよび転舵操作反力
制御部74Bを有している。また、制御装置74は、取
り込んだセンサ信号をディジタル信号に変換し、センサ
信号をディジタル信号で取り扱っている。
【0143】図16を参照して、転舵制御部74Aにつ
いて説明する。転舵制御部74Aは、運転者による転舵
操作量レバー71dへの転舵操作量に応じて転舵輪W,
Wの転舵速度を制御するとともにジョイスティック71
への転舵方向操作に応じて転舵方向を判別してステアリ
ングモータ5の回転方向を制御し、転舵輪W,Wを転舵
する制御を行う。さらに、転舵制御部74Aは、運転者
による中立スイッチ71eへのON操作に応じて、転舵
輪W,Wを直進状態に戻す制御を行う。そのために、転
舵制御部74Aは、目標転舵速度設定部76、偏差演算
部53、ステアリングモータ制御信号出力部54、転舵
制御遮断部77およびステアリングモータ駆動回路55
を備えている。なお、転舵制御部74Aのうち、ステア
リングモータ駆動回路55を除いた部分は、制御装置6
4を構成するマイクロコンピュータにソフトウェア的に
構成される。
【0144】目標転舵速度設定部76は、転舵方向セン
サ72からの転舵方向信号SSD、転舵操作量センサ7
3からの転舵操作量信号SSR、車速センサ14からの
車速信号SSおよび中立スイッチセンサ15からの中立
スイッチ信号SNSが入力され、目標転舵速度信号を偏
差演算部53に出力する。目標転舵速度設定部76は、
転舵方向信号SSDに基づいて転舵方向(ラック軸31
の移動方向、ステアリングモータ5の回転方向)を判定
するとともに転舵操作量信号SSRおよび車速信号SS
に基づいて転舵マップから目標転舵速度を検索し、ラッ
ク軸31の移動方向と目標転舵速度とからなる目標転舵
速度信号を設定する。ラック軸31の移動方向は、目標
転舵速度に対するプラスとマイナスで表され、例えば、
移動方向が左方向をプラスとし、右方向をマイナスとす
る。目標転舵速度設定部76では、転舵方向信号SSD
がプラスの一定電圧の場合には転舵方向を右転舵と判定
し、ラック軸31の移動方向を左方向とするとともに、
転舵操作量信号SSRがマイナスの一定電圧の場合には
転舵方向を左転舵と判定し、ラック軸31の移動方向を
右方向とする(図14参照)。転舵マップは第1実施形
態と同様の転舵マップであり(図9参照)、目標転舵速
度設定部76では、転舵マップから車速と転舵操作量に
応じた目標転舵速度を検索する。
【0145】また、目標転舵速度設定部76は、中立ス
イッチ信号SNSがプラスの一定電圧の場合(中立スイ
ッチ71eがONの場合)、転舵輪W,Wを直進状態
(ラック軸31を中立位置)に戻すために、直前の転舵
方向信号SSDに基づいてラック軸31の移動方向を判
定する。つまり、目標転舵速度設定部76では、ラック
軸31が中立位置に対して現在移動している方向から逆
方向を移動方向とするために、直前の転舵方向信号SS
Dがプラスの一定電圧の場合にはラック軸31が中立位
置から左方向に移動しているのでラック軸31の移動方
向を右方向と判定し、直前の転舵方向信号SSDがマイ
ナスの一定電圧の場合にはラック軸31が中立位置から
右方向に移動しているのでラック軸31の移動方向を左
方向と判定する。そして、目標転舵速度設定部76は、
この判定したラック軸31の移動方向と目標転舵速度と
からなる目標転舵速度信号を設定する。このとき、目標
転舵速度は、前記と同様に、転舵操作量信号SSRおよ
び車速信号SSに基づいて転舵マップから検索されたも
のである。
【0146】ちなみに、目標転舵速度設定部76では、
ジョイスティック71への転舵操作量に基づく転舵速度
を設定するだけであり、ラック軸31の位置(すなわ
ち、転舵角W,Wの転舵角)を設定するものではない。
ラック軸31の位置は、転舵速度とその転舵速度を発生
させている時間(すなわち、ジョイスティック71(転
舵操作量レバー71dを含む)への転舵操作時間)との
積によって決まる。
【0147】偏差演算部53は、目標転舵速度設定部7
6からの目標転舵速度信号および転舵速度センサ101
からの実転舵速度信号SVが入力され、偏差信号をステ
アリングモータ制御信号出力部54および目標転舵操作
反力設定部56に出力する。偏差演算部53は、目標転
舵速度信号から実転舵速度信号を減算し、その減算値を
偏差信号とする。なお、転舵速度センサ101からの実
転舵速度信号SVを偏差演算部53に入力するため、第
1実施形態などで必要とした微分器521(図6参照)
は不要である。
【0148】転舵制御遮断部77は、中立スイッチセン
サ15からの中立スイッチ信号SNS、ラック中立位置
センサ16からのラック中立位置信号SNおよびステア
リングモータ制御信号出力部54からのステアリング制
御信号が入力され、ステアリング制御信号をステアリン
グモータ駆動回路55に出力する。転舵制御遮断部77
は、中立スイッチ71eがONの場合、ラック軸31が
中立位置になるとその状態を保持するために、ステアリ
ングモータ5の駆動を停止する。そのために、転舵制御
遮断部77は、中立スイッチ信号SNSがプラスの一定
電圧の場合(中立スイッチ71eがONの場合)、ラッ
ク中立位置信号SNがゼロ電圧の時(ラック軸31が中
立位置でないとき)にはステアリング制御信号としてス
テアリングモータ制御信号出力部54からのステアリン
グ制御信号をそのまま設定し、ラック中立位置信号SN
がプラスの一定電圧の時(ラック軸31が中立位置のと
き)にはステアリング制御信号として全てオフ信号を設
定する。また、転舵制御遮断部77は、中立スイッチ信
号SNSがゼロ電圧の場合(中立スイッチ71eがOF
Fの場合)、ラック中立位置信号SNに関係なくステア
リング制御信号としてステアリングモータ制御信号出力
部54からのステアリング制御信号をそのまま設定す
る。
【0149】図16を参照して、転舵操作反力制御部7
4Bについて説明する。転舵操作反力制御部74Bは、
運転者が転舵操作量レバー71dを後方向に回動する操
作を行う際(つまり、転舵操作量操作を行う際)、転舵
操作反力モータ75を駆動して能動的に転舵操作反力を
転舵操作量レバー71dに作用させる制御を行う。その
ために、転舵操作反力制御部74Bは、目標転舵操作反
力設定部78、転舵操作反力モータ制御信号出力部79
および転舵速操作反力モータ駆動回路80を備えてい
る。なお、転舵操作反力制御部74Bのうち、転舵操作
反力モータ駆動回路80を除いた部分は、制御装置64
を構成するマイクロコンピュータにソフトウェア的に構
成される。
【0150】目標転舵操作反力設定部78は、転舵操作
量センサ73からの転舵操作量信号SSR、ヨーレート
センサ13からのヨーレート信号SYおよび偏差演算部
53からの偏差信号が入力され、目標転舵操作反力信号
を転舵操作反力モータ制御信号出力部79に出力する。
目標転舵操作反力設定部78は、転舵操作量信号SSR
およびヨーレート信号SYに基づいて転舵操作反力マッ
プから目標転舵操作反力を検索し、目標転舵操作反力か
らなる目標転舵操作反力信号を設定する。このとき、目
標転舵操作反力設定部78では、偏差信号に基づいて転
舵操作反力を転舵操作量レバー71dに与えるか否かを
判定している。転舵操作反力マップは第1実施形態と同
様のマップであり(図10参照)、目標転舵操作反力設
定部78では、転舵操作反力マップからヨーレートと転
舵操作量に応じた目標転舵操作反力を検索する。ちなみ
に、転舵操作反力方向は、後方操作に対する反力のみで
ある。
【0151】そして、目標転舵操作反力設定部78は、
偏差信号が「プラスの値」である場合には転舵操作反力
マップで検索した目標転舵操作反力からなる目標転舵操
作反力信号を設定し、偏差信号が「ゼロおよびマイナス
の値」である場合には目標転舵操作反力信号をゼロに設
定する。このように目標転舵操作反力信号を設定するの
は、転舵速度を増す場合に転舵操作反力を生じさせるた
めである。このため、転舵速度を減じるような転舵操作
量レバー71dの操作を行う場合(転舵操作量レバー7
1dを定常状態に戻す操作を行う場合)には、転舵操作
反力は生じない。ちなみに、偏差信号がマイナスの値の
場合は、目標転舵操作反力設定部78では転舵操作量レ
バー71dの戻りをアシストするように目標転舵操作反
力信号を設定するようにしてもよい。
【0152】転舵操作反力モータ制御信号出力部79
は、目標転舵操作反力設定部78からの目標転舵操作反
力信号が入力され、転舵操作反力制御信号を転舵操作反
力モータ駆動回路80に出力する。転舵操作反力モータ
制御信号出力部79は、PWM信号発生部を備えてい
る。転舵操作反力モータ制御信号出力部79は、目標転
舵操作反力信号に基づいて、転舵操作反力モータ75に
供給する電流値に対応したPWM信号、オン信号、オフ
信号を生成し、転舵操作反力制御信号とする。ちなみ
に、転舵操作量レバー71dに一方向にしか反力を与え
ないので、転舵操作反力モータ75に与える電流の向き
は一方向である。
【0153】転舵操作反力モータ駆動回路80は、転舵
操作反力モータ制御信号出力部79からの転舵操作反力
制御信号が入力され、転舵操作反力モータ駆動電圧RS
Rを転舵操作反力モータ75に出力する。転舵操作反力
モータ駆動回路80は、転舵操作反力制御信号に基づい
て転舵操作反力モータ駆動電圧RSRを転舵操作反力モ
ータ75に印加し、転舵操作反力モータ75を駆動す
る。そのために、転舵操作反力モータ駆動回路80は、
2つのFET(スイッチング素子)および電源電圧(1
2V)等で構成されている(図示せず)。転舵操作反力
モータ駆動回路80は、2つのFETの各ゲートに転舵
操作反力制御信号が入力されると、転舵操作反力制御信
号に基づいて2つのFETがON/OFFし、転舵操作
反力モータ75に転舵操作反力モータ駆動電圧RSRを
印加する。すると、転舵操作反力モータ75には電流が
流れて転舵操作反力モータ75が正転駆動され、転舵操
作量レバー71dの転舵操作反力が制御される。
【0154】したがって、運転者が転舵操作量レバー7
1dにより転舵速度を増加する操作を行う際には、転舵
操作量レバー71dに対して転舵操作反力が与えられ
る。この転舵操作反力の大きさは、転舵操作量レバー7
1dの定常状態を基準にして転舵操作量レバー71dの
後方への操作が大きいほどまたは/およびヨーレートが
大きいほど、転舵操作量レバー71dには大きな転舵操
作反力が生じるようになる。
【0155】〔車両操舵装置の動作〕図9、図10およ
び図14〜図20を参照して、車両操舵装置S3の動作
について説明する。ここでは、交差点での右折(2パタ
ーン)および右→左→直進のスラローム走行について説
明する。図18は、車両操舵装置S3による交差点で右
折した場合のタイムチャートであり、(a)は転舵操作
量レバー71dによる転舵操作量であり、(b)はジョ
イスティック71による転舵方向であり、(c)は転舵
輪W,Wの転舵角である。図19は、車両操舵装置S3
による交差点での右折に中立スイッチ71eを使用する
場合のタイムチャートであり、(a)は転舵操作量レバ
ー71dによる転舵操作量であり、(b)はジョイステ
ィック71による転舵方向であり、(c)は中立スイッ
チ71eのON/OFFであり、(d)は転舵輪W,W
の転舵角である。図20は、車両操舵装置S3による右
→左→直進のスラローム走行した場合のタイムチャート
であり、(a)は転舵操作量レバー71dによる転舵操
作量であり、(b)はジョイスティック71による転舵
方向であり、(c)は転舵輪W,Wの転舵角である。
【0156】(交差点での右折時)まず、図18に示す
タイムチャートに沿って、交差点での右折時の車両操舵
装置S3の動作について説明する。
【0157】この第3実施形態の車両操舵装置S3で
は、直進状態から交差点を右折し、再び直進状態に戻る
ように車両を操舵するには、運転者は、図18(a)に
示すようにして、ジョイスティック71の転舵操作量レ
バー71dを操作する。操作領域R1は右側の転舵角を
増す領域であり、交差点の入口部分に相当する。操作領
域R2は転舵角を一定に保つ領域であり、交差点の中央
部分に相当する。操作領域R3は転舵角をゼロに戻す領
域であり、交差点の出口部分に相当する。かつ、運転者
は、図18(b)に示すように、操作領域R1をカバー
するようにジョイスティック71を右方に傾動し(T1
→T4)、操作領域R3をカバーするようにジョイステ
ィック71を左方に傾動する(T5→T8)。
【0158】補足すると、T1でジョイスティック71
を右方に傾動し、T2で転舵操作量レバー71dを回動
すると、図18(c)に示すように右側への転舵角が増
していく(右旋回開始)。操作領域R1での転舵角の増
加パターンは、当該領域R1における転舵操作量レバー
71dの操作パターンを反映して略S字状になる。
【0159】T3で転舵操作量レバー71dを定常状態
に戻して転舵操作量をゼロにすると、転舵角は一定状態
を保つ(転舵操作量ゼロ=転舵速度ゼロ)。このため、
T3で転舵操作量レバー71dを完全に戻しても、さら
には、操作領域R2のT4でジョイスティック71を中
立位置に戻しても、そのままの転舵角が維持される。
【0160】T4とT5でジョイスティック71を右方
から逆の左方に傾動し、T6で転舵操作量レバー71d
を回動すると、図18(c)に示すように右側への転舵
角が減って直進状態になって行く。操作領域R3での転
舵角の減少パターンは、当該領域R3における転舵操作
量レバー71dの操作パターンを反映して略S字状にな
る。そして、車両は交差点を右折して通過してゆく。
【0161】なお、どの操作領域R1,R2,R3で
も、転舵操作量レバー71dの転舵操作量に転舵輪W,
Wの転舵速度が対応している。また、仮に車速が一定で
あるとすれば、図18(a)の転舵操作量のタイムチャ
ートにおける操作領域R1での転舵操作量の面積と操作
領域R3での転舵操作量の面積は同じになる。
【0162】この第3実施形態の車両操舵装置S3は、
この図18のタイムチャートに示すように、交差点での
右折を支障なく、行うことができる。
【0163】(交差点での右折に中立スイッチを使用す
る場合)次に、図19に示すタイムチャートに沿って、
交差点での右折に中立スイッチ71eを使用する場合の
車両操舵装置S3の動作について説明する。
【0164】中立スイッチ71eを使用する場合に、直
進状態から交差点を右折し、再び直進状態に戻るように
車両を操舵するには、運転者は、図19(a)に示すよ
うにして、ジョイスティック71の転舵操作量レバー7
1dを操作する。操作領域R11は右側の転舵角を増す
領域であり、交差点の入口部分に相当する。操作領域R
12は転舵角を一定に保つ領域であり、交差点の中央部
分に相当する。操作領域R13は転舵角をゼロに戻す領
域であり、交差点の出口部分に相当する。なお、この実
施形態では、中立スイッチ71eを使用する場合も、操
作領域R13での転舵操作量レバー71dの操作を行
う。かつ、運転者は、図19(b)に示すように、操作
領域R11をカバーするようにジョイスティック71を
右方に傾動する(T11→T15)。なお、T15の操
作は、T14の操作(中立スイッチ71eのON)の前
に行なってもよい。さらに、運転者は、図19(c)に
示すように、中立スイッチ71eをONにする(T14
→T19)。なお、中立スイッチ71eを使用するた
め、ジョイスティック71を左方に傾動する操作は不要
である。
【0165】補足すると、T11でジョイスティック7
1を右方に傾動し、T12で転舵操作量レバー71dを
回動すると、図19(d)に示すように右側への転舵角
が増していく(右旋回開始)。操作領域R11での転舵
角の増加パターンは、当該領域R11における転舵操作
量レバー71dの操作パターンを反映して略S字状にな
る。
【0166】T13で転舵操作量レバー71dを定常状
態に戻して転舵操作量をゼロにすると、転舵角は一定状
態を保つ(転舵操作量ゼロ=転舵速度ゼロ)。このた
め、T13で転舵操作量レバー71dを完全に戻して
も、さらには、操作領域R12のT15でジョイスティ
ック71を中立位置に戻しても、T14で中立スイッチ
71eをONにしても、そのままの転舵角が維持され
る。
【0167】T14で中立スイッチ71eをONにし、
かつT16で転舵操作量レバー71dを回動すると、図
19(d)に示すように右側への転舵角が減っていく。
そして、T17で直進状態になるとラック中立位置セン
サ16(図15参照)が中立位置を検出し、制御装置7
4がステアリングモータ5の駆動を停止する。ステアリ
ングモータ5の駆動を停止するのは、図16に示す転舵
制御遮断部77が、ステアリング制御信号として全てオ
フ信号を設定するからである。これにより、転舵輪W,
Wは転舵角がゼロになって車両は直進し、図19(d)
のT17から右斜め下に延びる破線に示すように、転舵
角が左側になって車両が左旋回を開始することはない。
よって、運転者にとって運転がさらに容易になる。な
お、操作領域R13での転舵角の減少パターンは、当該
領域R13における転舵操作量レバー71dの操作パタ
ーンを反映して略S字状になる。ちなみに、転舵操作量
レバー17dの操作はT18で終了するが、それ以前に
(既に)転舵角がゼロになっているので、T17とT1
8の間における転舵操作量は制御装置74における制御
には反映されない。
【0168】なお、このタイムチャートにおけるどの操
作領域R11,R12,R13でも、転舵操作量レバー
71dの転舵操作量に転舵輪W,Wの転舵速度が対応し
ている。仮に車速が一定であるとすれば、図19(a)
の転舵操作量のタイムチャートにおける操作領域R11
での転舵操作量の面積と操作領域R13(T16→T1
7)での転舵操作量の面積は同じになる。
【0169】ところで、運転者は、直進状態になると再
度中立スイッチ71eを押して、該スイッチ71eをO
FFにする(T19)。この際、運転者の操作によらず
とも、ラック中立センサ16が転舵輪W,W(ラック軸
31)の中立位置を検知した時点(図19(d)のT1
7)、あるいは、転舵操作量がゼロになった時点(同
(a)のT18)で中立スイッチ71eがOFFになる
ようにしてもよい。
【0170】この第3実施形態の車両操舵装置S3は、
図19のタイムチャートに示すように、交差点での右折
を支障なく、行うことできる。また、ジョイスティック
71を中立位置にして転舵角をゼロに戻す(直進状態に
する)ので、運転操作として理解し易いものである。な
お、中立スイッチ71eは、駐車場で駐車する場合に、
転舵輪W,Wを中立位置に戻すとき等にも使用すること
ができる。
【0171】(スラローム走行)次に、図20に示すタ
イムチャートに沿って、右→左→直進のスラローム走行
時の車両操舵装置S3の動作について説明する。
【0172】この第3実施形態の車両操舵装置S3で
は、右→左→直進のスラローム走行を行うには、運転者
は、図20(a)に示すようにして、ジョイスティック
71の転舵操作量レバー71dを操作する。操作領域R
21は右側の転舵角を増す領域であり、右側への旋回を
開始した部分に相当する。操作領域R22は転舵角を一
定に保つ領域であり、右側への旋回を継続する部分に相
当する。操作領域R23は転舵角をゼロに戻すとともに
左方向に転舵角を増す領域であり、右旋回から左旋回に
移行する部分に相当する。操作領域R24は転舵角を一
定に保つ領域であり、左側への旋回を継続する部分に相
当する。操作領域R25は転舵角をゼロに戻す領域であ
り、スラローム走行から直進走行に移行する部分に相当
する。かつ、運転者は、図20(b)に示すように、操
作領域R21をカバーするようにジョイスティック71
を右方に傾動し(T21→T24)、操作領域R23を
カバーするようにジョイスティック71を左方に傾動し
(T25→T27)、操作領域R25をカバーするよう
にジョイスティック71を右方に傾動する(T28→T
31)。
【0173】補足すると、T21でジョイスティック7
1を右方に傾動し、T22で転舵操作量レバー71dを
回動すると、図20(c)に示すように右側への転舵角
が増していく(右旋回開始)。操作領域R21での転舵
角の増加パターンは、当該領域R21における転舵操作
量レバー71dの操作パターンを反映して略S字状にな
る。
【0174】T23で転舵操作量レバー71dを定常状
態に戻して転舵操作量をゼロにすると、転舵角は一定状
態を保つ(転舵操作量ゼロ=転舵速度ゼロ)。このた
め、T23で転舵操作量レバー71dを完全に定常状態
に戻しても、そのままの転舵角が維持され、旋回を継続
する。
【0175】次に、T24とT25でジョイスティック
71を右方から左方に傾動し、かつT25で転舵操作量
レバー71dを回動すると、図20(c)に示すように
右側への転舵角が減って直進から左側への転舵角が増し
て行く(右旋回から左旋回に移行)。操作領域R23で
の転舵角の増加パターンは、当該領域R23における転
舵操作量レバー71dの操作パターンを反映して直進位
置をはさんだ略S字状になる。
【0176】T26で転舵操作量レバー71dを定常状
態に戻して転舵操作量をゼロにすると、転舵角は一定状
態を保つ。このため、T26で転舵操作量レバー71d
を完全に戻しても、さらには、操作領域R24のT27
でジョイスティック71を中立位置に戻しても、そのま
まの転舵角が維持され、左旋回を続行する。
【0177】T27とT28でジョイスティック71を
左方から右方に傾動し、T29で転舵操作量レバー71
dを回動すると、図20(c)に示すように左側への転
舵角が減って直進状態になって行く。操作領域R25で
の転舵角の減少パターンは、当該領域R25における転
舵操作量レバー71dの操作パターンを反映して略S字
状になる。
【0178】つまり、どの操作領域R21からR25で
も、転舵操作量レバー71dの転舵操作量に転舵輪W,
Wの転舵速度が対応している。なお、車速が一定である
とすれば、図20(a)の転舵操作量のタイムチャート
における操作領域R21での転舵操作量の面積と操作領
域R25での転舵操作の面積の和は、操作領域R23で
の転舵操作量の面積に等しくなる(b=a+c)。
【0179】この第3実施形態の車両操舵装置S3は、
この図20のタイムチャートに示すように、スラローム
走行を支障なく、行うことができる。
【0180】また、説明を省略したが、図18から図2
0のどのタイムチャートにおいても、偏差に基づく転舵
操作反力が適切に作用する。
【0181】以上、本発明の実施形態について説明した
が、本発明は、前記の実施形態に限定されることなく、
様々な形態で実施される。例えば、本実施の形態では操
作装置として傾動(回動)可能なジョイスティックとし
たが、スライド量や自転量を操作量とする操作装置等の
他の操作装置でもよい。また、操作装置は、コンピュー
タに指示を与える際に用いるポインティングデバイス等
の操作装置でもよい。
【0182】また、本実施形態では転舵速度を、ラック
軸センサを用いて検出したり、タコジェネレータを用い
て検出したりしたが、転舵速度を、ステアリングモータ
の回転速度に基づいて検出するようにしてもよい。ま
た、フィードバック制御を例に説明したが、オープン制
御であってもよい。また、本実施形態では第3実施形態
に係るジョイスティックにのみ中立スイッチを設ける構
成としたが、第1実施形態や第2実施形態に係るジョイ
スティックにも中立スイッチを設ける構成としてもよ
い。また、本実施形態では車速に応じて転舵マップを設
定し、ヨーレートに応じて転舵操作反力マップを設定し
たが、転舵マップをヨーレート等の他の車両挙動情報に
応じて設定してもよいし、転舵操作反力マップを車速等
の他の車両挙動情報に応じて設定してもよい。また、転
舵マップ(または転舵操作反力マップ)を車速(または
ヨーレート)に応じて3つ設定したが、さらに詳細に、
車速(またはヨーレート)に応じて4つ以上転舵マップ
(または転舵操作反力マップ)を設定してもよいし、1
つまたは2つの転舵マップ(または転舵操作反力マッ
プ)でもよい。また、車速を加味しない転舵マップでも
よい。
【0183】セルフアライニングトルクを有効に活用で
きるように、例えば、ジョイスティックの左右方向の中
立位置では、ステアリングモータに電流を流さないよう
にして、セルフアライニングトルクにより転舵輪(ラッ
ク軸)が中立位置に戻るようにしてもよい。なお、ジョ
イスティックが左右方向の中立位置にあり、かつ転舵輪
が中立位置にある場合は、転舵輪が路上にある石などを
踏むことでふらつくことがないよいうに、制御装置にお
ける偏差演算部が演算した偏差に基づいてステアリング
モータを通常通りに制御するようにしたり、ステアリン
グモータを含む閉回路を作り、ステアリングモータの発
電抵抗で該モータ自身の動きを規制したりしておくのが
好ましい。また、中立スイッチが、車両の停止中はステ
アリングモータを駆動することにより転舵輪を中立位置
に戻す役割を有するものであり、車両の走行中はステア
リングモータを自由に動くようにしてセルフアライニン
グトルクにより転舵輪を中立位置に戻す役割を有するも
のであってもよい。また、本実施の形態では右フロント
ドアのアームレストにジョイスティックを設ける構成と
したが、センタコンソール等の他の場所に設けてもよ
い。
【0184】
【発明の効果】本発明の請求項1に係る車両操舵装置
は、操作装置の操作量に転舵輪の転舵速度が対応するよ
うにアクチュエータの出力(ラック軸力)発生させて転
舵輪を転舵するので、操作装置の操作量が少なくかつゲ
インを小さくした場合でも、操作装置での操作時間に応
じて運転者が必要とする転舵角まで転舵輪を転舵させる
ことができる。その結果、運転者の操舵フィーリングに
違和感を与えることもなく、操作スペースがコンパクト
な場所でも操作装置を設置できる。
【0185】本発明の請求項2に係る車両操舵装置は、
ジョイスティックの左右方向の操作量としては、転舵輪
の転舵方向のみ判別可能な操作量だけ確保すればよいの
で、左右方向の操作スペースが非常に狭い場所でも操作
装置を設置できる。
【0186】本発明の請求項3に係る車両操舵装置は、
ジョイスティックの左右方向の操作量としては、転舵輪
の転舵方向のみ判別可能な操作量だけ確保すればよいの
で、左右方向の操作スペースが非常に狭い場所でも操作
装置を設置できる。
【0187】本発明の請求項4に係る車両操舵装置は、
戻し操作手段が操作されたときには転舵輪を直進状態に
戻すので、車庫入れ時等の車両が極低速や停止状態でも
転舵輪を確実に直進状態に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る車両操舵装置が組み込まれ
ている運転操作装置の全体構成図である。
【図2】図1のジョイスティックの傾動支持機構の一部
破断側面図である。
【図3】図1のジョイスティックの傾動支持機構の一部
破断平面図である。
【図4】図1のジョイスティックの復帰機構の一部破断
正面図である。
【図5】図1の制御装置のブレーキ制御部、ブレーキ操
作反力制御部、スロットル制御部およびスロットル操作
反力制御部の構成図である。
【図6】図1の制御装置の転舵制御部および転舵操作反
力制御部の構成図である。
【図7】図1のジョイスティックの操作量と各操作量セ
ンサの出力との関係図であり、(a)はジョイスティッ
クの前後方向の位置(前後方向操作量)と加減速操作量
センサの出力との関係図であり、(b)はジョイスティ
ックの左右方向の位置(左右方向操作量)と転舵操作量
センサの出力との関係図である。
【図8】図1の加減速操作量センサの出力と各目標制御
量との関係図であり、(a)は加減速操作量センサの出
力と目標ブレーキ液圧との関係図であり、(b)は加減
速操作量センサの出力と目標スロットル開度との関係図
である。
【図9】本実施の形態に係る転舵操作量センサの出力と
目標転舵速度との関係図である。
【図10】本実施の形態に係る転舵操作量センサの出力
と目標転舵操作反力との関係図である。
【図11】第2実施形態に係る車両操舵装置の全体構成
図である。
【図12】図11の制御装置の転舵制御部および転舵操
作反力制御部の構成図である。
【図13】図11のジョイスティックの前方向の位置
(前方向操作量)と転舵操作量センサの出力との関係図
である。
【図14】図11のジョイスティックの左右方向の位置
(左右方向操作量)と転舵方向センサの出力との関係図
である。
【図15】第3実施形態に係る車両操舵装置の全体構成
図である。
【図16】図15の制御装置の転舵制御部および転舵操
作反力制御部の構成図である。
【図17】図15のジョイスティックに備えられる転舵
操作量レバーの後方向の位置(後方向操作量)と転舵操
作量センサの出力との関係図である。
【図18】図15の車両操舵装置による交差点で右折し
た場合のタイムチャートであり、(a)は転舵操作量レ
バーによる転舵操作量であり、(b)はジョイスティッ
クによる転舵方向であり、(c)は転舵輪の転舵角であ
る。
【図19】図15の車両操舵装置による交差点での右折
に中立スイッチを使用する場合のタイムチャートであ
り、(a)は転舵操作量レバーによる転舵操作量であ
り、(b)はジョイスティックによる転舵方向であり、
(c)は中立スイッチのON/OFFであり、(d)は
転舵輪の転舵角である。
【図20】図15の車両操舵装置による右→左→直進の
スラローム走行した場合のタイムチャートであり、
(a)は転舵操作量レバーによる転舵操作量であり、
(b)はジョイスティックによる転舵方向であり、
(c)は転舵輪の転舵角である。
【符号の説明】
1,61,71…ジョイスティック(操作装置) 4,64,74…制御装置(制御手段) 4E,64A,74A…転舵制御部 4F,64B,74B…転舵操作反力制御部 10(521),101…転舵速度検出手段 5…ステアリングモータ(アクチュエータ) 71d…転舵操作量レバー(レバー) 71e…中立スイッチ(戻し操作手段) S1,S2,S3…車両操舵装置 W…転舵輪
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B62D 117:00 B62D 117:00 137:00 137:00 (72)発明者 鶴宮 修 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 3D032 CC08 CC12 DA03 DA05 DA08 DA33 DB11 DC03 DD02 DD17 DE02 EA01 EB04 EB08 EB12 EC22 FF01 FF07 GG01 3D033 CA02 CA12 CA13 CA17 CA18 CA19 CA21 3D037 EA01 EB03 EB16

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】操作機構と転舵機構とを分離し、操作機構
    と転舵機構とを電気的に連動して転舵輪を転舵する車両
    操舵装置であって、 運転席の近傍に設けられた操作装置と、車両の転舵輪を
    転舵するアクチュエータと、前記転舵輪の転舵速度を検
    出する転舵速度検出手段と、前記操作装置の操作量に前
    記転舵輪の転舵速度が対応するように前記アクチュエー
    タを制御する制御手段と、を備えることを特徴とする車
    両操舵装置。
  2. 【請求項2】前記操作装置は、車両の前後左右方向に回
    動可能なジョイスティックであり、 前記制御手段は、前記ジョイスティックの左右方向の操
    作により転舵輪の転舵方向を制御するとともに、前記ジ
    ョイスティックの前後方向の操作量により前記転舵輪の
    転舵速度を制御することを特徴とする請求項1に記載の
    車両操舵装置。
  3. 【請求項3】前記操作装置は、車両の左右方向に回動可
    能なジョイスティックと、前記ジョイスティックに設け
    られ、車両の前後方向に回動可能なレバーと、からな
    り、 前記制御手段は、前記ジョイスティックの左右方向の操
    作により転舵輪の転舵方向を制御するとともに、前記レ
    バーの前後方向の操作量により前記転舵輪の転舵速度を
    制御することを特徴とする請求項1に記載の車両操舵装
    置。
  4. 【請求項4】前記転舵輪を直進状態に戻すための戻し操
    作手段を備え、前記制御手段は、前記戻し操作手段が操
    作された場合には転舵輪の転舵方向を直進状態に戻すこ
    とを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項
    に記載の車両操舵装置。
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