JP4026813B2 - 車両の運転操作装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の転舵輪を転舵する運転操作装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の転舵輪を転舵する運転操作装置としては、ステアリングホイールを用いたステアリングシステムが知られている。このステアリングシステムは、ステアリングホイールの回転運動がステアリングギアボックスにおいてラック軸の直線運動に変換され、ラック軸に連結されたリンク機構を駆動させることで転舵輪を転舵するものである。
【0003】
ここで、近年になってステアリングホイールの替わりにレバー等を用いて車両の転舵輪を転舵する運転操作装置が提唱されており、このような運転操作装置の従来例としては、特開平9−301193号公報に記載のものがあげられる。この運転操作装置は、運転操作用のレバー(制御ノブ)を用い、このレバーを前後左右に操作することにより車両の加減速や旋回を行うように構成されている。例えば、車両は、レバーに前方向の操作力を与えると加速し、後方向の操作力を与えると減速する。また、レバーに右方向の操作力を与えると転舵輪が右側に転舵し、左方向の操作力を与えると転舵輪が左側に転舵する。また、複数のレバーに、同等の機能を持たせて、レイアウトの自由度や信頼性を向上させたり、左右どちらのシートに座っていても操作できるようにする例も報告されている。
【0004】
このレバーを用いる場合は、操舵装置とステアリング装置機構が機械的には切り離され、ステアリング装置機構に設けられたステアリングモータを操舵装置から電気的に制御するいわゆるステアバイワイヤ方式が採用されている。また、ステアリングホイールを用いてステアバイワイヤを構成しているものもある。このような場合、レバーが機械的に転舵輪に接続されていないので、転舵輪に加わる外力がレバーに伝わらず、そのままでは運転者は転舵操作に対する手応えが得られず、転舵角や操作量に対応する感覚が得られない。
【0005】
この点に対しては、ステアバイワイヤ方式では反力モータを用いて反力を与えるようにして、転舵角や操作量に対応する感覚が得られるようにしている。例えば、特開2000−108914号公報に記載のステアバイワイヤ方式の「運転操作装置」は、操舵角に基づく制御量と、挙動状態検知手段(ヨーレートセンサ)で検知された車両の挙動状態に基づく制御量と、を元に、操作反力付与手段(反力モータ)に対する制御量を設定する。このため、車両の挙動変化により転舵輪に作用する外力の影響を操作反力に反映することができる。
【0006】
ところで、ステアバイワイヤ方式ではない通常車では、例えば交差点を曲がって直進状態に戻すような状態の時、セルフアライニングトルクと呼ばれる路面からの反力が加わり、ステアリングホイールに特別に転舵操作を加えなくてもステアリングホイールが自然に直進状態(中立位置)に戻り、直進状態以上に転舵操作が進みすぎるようなことはない。
【0007】
一方、ステアバイワイヤ方式ではレバーやステアリングホイール等(以下「レバー」という)を中央位置に戻すため、センタリングバネ(或いはゴム等の弾性体)を用いることが考えられる(センタリング機構)。センタリングバネを用いると、運転者がレバーから手を離すと自ずとレバーが中央位置に戻るので都合が良い。
【0008】
このようなセンタリングバネと反力モータを用いると、レバーに作用する力は、反力モータの反力と、センタリングバネによる力の合力になる。ここで、センタリングバネによる力は操作の行き戻りに関係なく、操作角(レバーの傾動角やステアリングホイールの回転角)に比例した中立位置に向けた力が与えられる。また、従来の反力モータによって与えられる反力は転舵角の目標値と実際の転舵角(ラック位置)との偏差の大きさに応じて与えられるいわゆる仮想トーションバー制御と呼ばれる反力である。この反力は偏差が大きい場合は大きく、偏差が小さい場合は小さくなるように制御されていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、レバーを一方へ操作した後に手を離したような場合に、センタリングバネを用いてレバーが中立位置に戻るようにすると、通常車のセルフアライニングトルクのような動作は期待できない。即ち、一般的には、レバーの中立位置への戻りが、セルフアライニングトルクによる転舵輪の中立位置への戻りよりも先行してしまう。すると、転舵角の目標値と実際の転舵角に偏差が生じてしまうので、結果としてレバー側から転舵輪を中立位置に戻す運転者が意図しない指示がなされてしまう。このため、運転者が期待していたよりも早く転舵輪が中立位置に戻ろうとする。これが運転者に違和感を与え、また、運転をギクシャクさせてしまった。
【0010】
特に、センタリングバネ及び反力モータによる反力は転舵輪を曲げる行きの操作を主体に設定されているため、戻りの場合では反力が効きすぎの傾向にあり、交差点を直角に曲がって直進状態に戻るような場合には戻し操作が難しく、運転者の操作に違和感を与え、転舵がギクシャクしてしまうという問題があった。
【0011】
さらには、セルフアライニングトルクは路面の状況、車速等により変化するので、転舵輪の戻り速度は変化するが、センタリングバネのバネ定数は一定なのでレバーの戻り速度はセルフアライニングトルクの大小に関わらず一定になる。このため、レバーの位置と転舵輪の位置の差は状況によって大きく異なり、さらに運転者に違和感を与えていた。
【0012】
図2(a)に従来の反力で交差点を直角に曲がって直進状態に戻る場合の車速、操作角、転舵角及び車両の旋回状態を検知するヨーレートセンサの出力(ヨーレート)の関係をタイムチャートとして示した。この場合、運転者の思惑よりも早く操作角が戻ってしまい、運転者が操作角修正を行うため、車両の動きがギクシャクする様子が示されている(図中破線で囲まれた部分参照)。
【0013】
従って、本発明の主たる課題は、操作部を用いてステアバイワイヤ方式で転舵輪の転舵を行うにあたって、簡単な構成で適切な反力を与えることで、通常車のセルフアライニングに近い操作フィーリングが得られ、運転者の操作に違和感がなく、車両の運転時の操作性を向上することができる車両の運転操作装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するため本発明の請求項1の発明は、運転者が操作する操作部と、前記操作部の操作量を検出する操作量検出手段と、少なくとも前記操作量検出手段が検出した操作量に基づいて前記転舵輪の実転舵量を制御する制御手段と、前記操作部に操作方向に対する操作反力を与える反力付与手段とを具備する車両の運転操作装置において、
前記操作部の操作の行き操作と戻り操作を判別する行き戻り判別手段と、この行き戻り判別手段が戻り操作を判別したときに前記反力付与手段が与える反力を前記行き操作の時よりも増加させる反力制御手段とを具備し、前記行き戻り判別手段は前記操作量検出手段の操作量検出値の絶対値の微分値の正負から行き操作と戻り操作を判別することを特徴とする。
【0015】
これにより、操作部の操作の行き操作と戻り操作を正確に判別することができ、戻り操作の際に操作部に与える反力を大きくして、操作部の戻り速度をセルフアライニングトルクで転舵輪が戻る速度に近付け、制御装置が無用な制御をすることを防いで運転者の違和感をなくして、車両の操作性を向上することができる。
なお、「反力を…増加させ」には、例えばゼロ(或いはマイナス)であった反力をゼロ以上の値にする場合、ゼロ以上であった反力を更に増加する場合等が含まれる。
【0016】
また、本発明の請求項2の発明は、運転者が操作する操作部と、前記操作部の操作量を検出する操作量検出手段と、少なくとも前記操作量検出手段が検出した操作量に基づいて前記転舵輪の実転舵量を制御する制御手段と、前記操作部に操作方向に対する操作反力を与える反力付与手段とを具備する車両の運転操作装置において、
前記操作部の操作の行き操作と戻り操作を判別する行き戻り判別手段と、この行き戻り判別手段が戻り操作を判別したときに前記反力付与手段が与える反力を前記行き操作の時よりも増加させる反力制御手段とを具備し、前記反力制御手段は、車速と反力との対応関係の情報に基づいて、制御する反力を、前記車速検出手段が戻り操作時において検出する車速の遅い場合に大きく、車速の早い場合に小さくする車速応動反力調整手段を有することを特徴とする。
これにより、交差点を曲がるときのように低車速のときに戻り操作時において反力を大きくして通常車のセルフアライニングトルクに近い操作フィーリングを得ることができる。
【0017】
また、本発明の請求項3の発明は、運転者が操作する操作部と、前記操作部の操作量を検出する操作量検出手段と、少なくとも前記操作量検出手段が検出した操作量に基づいて前記転舵輪の実転舵量を制御する制御手段と、前記操作部に操作方向に対する操作反力を与える反力付与手段とを具備する車両の運転操作装置において、
前記操作部の操作の行き操作と戻り操作を判別する行き戻り判別手段と、この行き戻り判別手段が戻り操作を判別したときに前記反力付与手段が与える反力を前記行き操作の時よりも増加させる反力制御手段と、前記操作部にかかる操作トルクを検出する操作トルク検出手段とを具備し、前記反力制御手段は、制御する反力を、前記操作トルク検出手段が戻り操作時において検出する操作トルクが大きい場合に小さく、操作トルクが小さい場合に大きくするトルク応動反力調整手段を有することを特徴とする。
これにより、運転者の意思を汲み取って運転者が早く戻したいと考えて強く操作している場合には反力を小さくすることができる。
【0018】
また、本発明の請求項4の発明は、前記操作量の変化速度を検出する操作量変化速度検出手段を具備し、前記反力制御手段は、制御する反力を、前記操作量変化速度検出手段が戻り操作時において検出する操作量の変化速度が大きい場合に小さく、変化速度が小さい場合に大きくする操作量変化速度応動反力調整手段を有することを特徴とする。
これにより、運転者の意思を汲み取って運転者が早く戻したいと考えて操作している場合には反力を小さくすることができる。
【0019】
また、本発明の請求項5の発明は、前記反力制御手段は、制御する反力を、前記操作量検出手段が戻り操作時において検出する操作部の操作量が大きい場合に大きく、操作量が小さい場合に小さくする操作量応動反力調整手段を有することを特徴とする。
これにより、転舵センタ付近の戻りから行きへの切返し時の違和感を解消することができると共に、交差点を曲がるときのように大きな転舵角をきった後の戻りで反力の効果が大きくなるようにすることができる。
【0020】
また、本発明の請求項6の発明は、前記行き戻り判別手段は前記操作検出手段の操作量検出値の絶対値の微分値の正負から行き操作と戻り操作を判別することを特徴とする。
これにより、操作部の操作の行き操作と戻り操作を正確に判別することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参考にして詳細に説明する。
【0022】
本発明の基本的な考え方を図1の機能ブロック図と図2の制御データの比較図に沿って述べる。従来のステアバイワイヤ方式の転舵輪の転舵方法によると、運転者がレバー等の操作部を操作した場合に操作部に反力が加わるようにして、運転者の手に操作に応じた手応えが加わるようにしていた。この反力はセンタリングバネによって与えられる操作部の操作角に比例する成分(図1のK1を含むループ)と、操作部の操作角で与えられる目標転舵角と実際の転舵角(ラック位置)との偏差の大きさに応じて反力モータによって与えられる仮想トーションバー制御と呼ばれる成分(図1のK2を含むループ)とから成り立っていた。なお、操作角は請求項の「操作量」に相当し、転舵角は請求項の「転舵量」に相当する。
【0023】
この内、操作角に比例する反力の成分K1は機械的な戻しバネ(センタリングバネ(ゴム等の弾性体))によって与えられ、操作の行き(操作角(絶対値)を大きくする方向)に対しは反力となり、戻り(操作角(絶対値)を小さくする方向)に対してはアシスト力となる同じ大きさで与えられる。この力の大きさを与えるバネ定数K1は安全の面を考慮して行きの反力に合わせてあるので戻りの場合には多少強めに働く傾向になる。交差点を曲がった後の戻り等で、通常車のセルフアライニングトルクを期待して、軽く手添えでレバー等の操作部を戻そうとすると運転者が意図するよりも早く戻り、場合によっては戻り過ぎてしまう恐れがある。ステアバイワイヤ方式では、レバー等の操作部の操作角に基づいて車輪の位置(転舵角)を制御してしまうので、このような戻り過ぎは実際の車の動きに影響する。そのため、運転者は修正操作が必要となり車両がギクシャクしてしまう。
【0024】
図2(a)に従来の反力で交差点を直角に曲がって直進状態に戻る場合の車速、操作角、転舵角及び車両の旋回挙動を検知するヨーレートセンサの出力(ヨーレート)の関係をタイムチャートとして示す。この場合、運転者の思惑よりも早く転舵角が戻ってしまい、運転者が転舵角修正を行うため、車両の動きがギクシャクする様子が、破線で囲まれた部分に示されている。
【0025】
本実施形態では、この問題を解決するため種々の検討を加え、その結果、戻り操作の時には反力付与手段(反力モータ)が与える反力を行き操作の時よりも増加させる追加制御(図1のK3を含むループ)を追加してこの問題を解決するようにした。この追加制御に用いる行き戻り判別手段は操作量検出手段の操作角検出値の絶対値の微分値の正負から行き操作と戻り操作を判別する。また、追加制御の中に車の走行速度(車速)、操作角、操作角速度、操作トルク等に対応して反力を変化させるパラメータを加えて、これらの要素によって反力を最適にセッティングして、セルフアライニングトルクで転舵輪が戻る速度と同様の速度で操作部が戻るようにして制御手段の無用な制御をなくすことで運転者に違和感を与えないようにする。さらに、これらの要素によって、運転者が意思をもって運転した場合は、それを感知して反力を押さえることも可能になっている。
【0026】
これのように戻り操作の時だけに反力を増加制御することによって、交差点を直角に曲がって直進状態に戻る場合の時刻に対する車速、操作角、転舵角及びヨーレートセンサ出力の関係を図2(b)のタイムチャートに示す。図2(a)の場合に比べて、運転者の思惑よりも早く転舵角が戻ることがなく、操作角、転舵角、及びヨーレートセンサ出力に凸凹がなくなり、車両の動きがスムーズになる(図2(b)の破線で囲まれた部分参照)。
【0027】
続いて本発明に係る実施形態の具体的な構成を説明する。
図3は、本実施形態における車両の運転操作装置の構成図である。
図3に示すように、この運転操作装置は、ステアバイワイヤ(Steer By Wire )を実現するものであり、操作部1はレバー11を備え、このレバー11の操作量を制御装置4で処理し、この処理結果に基づいて転舵機構部2のステアリングモータ5を駆動させて転舵輪W,Wを転舵する。
【0028】
ここで、転舵輪W,Wの転舵は、ステアリングモータ5の回転をボールねじ機構9によってラック軸7の直線運動に変換し、単にそれをタイロッド8,8を介して転舵輪W,Wの転舵運動に変換する転舵機構部2により行われている。つまり、ラック軸7の直線運動は、従来のラックアンドピニオン機構の代わりとなるステアリングモータ5及びボールねじ機構9により行われている。なお、直線運動時のラック軸7の位置は転舵角(転舵量)センサ10により検出され、制御装置4にフィードバックされている。ちなみに転舵角センサ10は、ラック位置を検出することにより転舵角を検出するラック位置センサであり、ラック軸に沿って設けられたリニアエンコーダやポテンショメータ等の公知のセンサが用いられ、複数のセンサを組み合わせて使用することも可能である。ちなみに、この転舵角センサ10の出力も、制御装置4にて、後述する操作トルクセンサ15や操作角センサ16の出力と同様に処理される。
なお、図3において、操作量検出手段12と操作反力モータ19については後で詳述する。
【0029】
次に、操作部1について説明する。
図4に示すように、操作部1は、運転者が操作するレバー11と、レバー11の操作量を検出する操作量検出手段12と、操作量検出手段12を保持するフレーム部13とを有している。
【0030】
レバー11は、その上部を運転者が手で握って操作するもので、その下部にはロッド14の一端部14aが固定されている。ロッド14はレバー11と直交するように固定されており、フレーム部13の壁部13a,13b,13c,13dにベアリング等により軸支されている。これによりレバー11は、ロッド14を支軸として左右方向に回転するように傾動させて操作することが可能となっている。なお、以降において、ロッド14を支軸としてレバー11を右側に傾動させて転舵輪W,Wを右側に転舵させることを右転舵操作、ロッド14を支軸としてレバー11を左側に傾動させて転舵輪W,Wを左側に転舵させることを左転舵操作として説明する。
【0031】
操作量検出手段12である操作トルクセンサ15及び操作角センサ16は、ロッド14の長手方向に沿って配置されている。
【0032】
このうち、操作トルクセンサ15は、ひずみゲージ等を用いた公知のセンサからなり、レバー11にかかるトルク量を検出することで、操作開始時や、転舵輪W,Wの方向切り替え時(切り返し時)の応答性を向上させるものである。ここで、本実施形態の操作トルクセンサ15は0.1V〜4.9Vのアナログで出力される。制御装置4を構成するCPU(Central Processing Unit )は、これをデジタル信号として入力する。そして、このデジタル信号を所定値オフセットして、アナログ出力での2.5Vが0点になるようにする。つまり、制御装置4は、操作トルクセンサ15の出力を、レバー11を中立位置から右転舵操作すると値(検出値Ts)が+に、中立位置から左転舵操作すると値(検出値Ts)が−になるようにした正負の値として処理する。これにより、制御装置4が認識する操作トルクセンサ15の出力特性は、図5に示すようなものになる。この操作トルクセンサ15からの出力(検出値Ts)は、後に説明するFF(Feed-Forward)制御に用いられる。
【0033】
操作角センサ16は、レバー11の操作によるロッド14の回転角度を検出するポテンショメータから構成されている。操作角センサ16はレバー11の操作角を電圧値(検出値θs)として出力するものである。制御装置4のCPUは、この操作角センサ16の出力も前記した操作トルクセンサ15の出力と同様に処理する。つまり、図6に示すように、レバー11が中立位置にあるときの基準電圧値が中立位置(0点)にされ、右転舵操作が行われると、レバー11の回転量に応じて検出値θsが増大し、左転舵操作が行われると、レバー11の回転量に応じて検出値θsが減少する。なお、この操作角センサ16からの出力(検出値θs)は、制御装置4が転舵輪W,Wの転舵角を設定するのに用いられる。
【0034】
さらに、ロッド14の他端部は、プーリ17を有しており、このプーリ17は、ベルト18を介して操作反力モータ19の回転軸に連結されている。
操作反力モータ19は、制御装置4からの信号を受けて、次に述べるセンタリング機構20と協働して、レバー11の位置、及び、操作方向に応じて、レバー11の操作方向(レバー11の動き)とは異なる向き及び所定の大きさの反力(操作反力)を発生させることで転舵操作の操作性及び精度を向上させる機能を有している。
【0035】
例えば、右転舵操作が行われている状態で、さらにレバー11が右側に押し込まれた場合は、センタリング機構20は右転舵操作の向きとは逆向きの操作反力を発生する。このとき、センタリング機構20はレバー11の操作量が大きい程、大きな操作反力を発生させるので、運転者は現在の転舵角度や自己の操作量を反力の大きさ等により感知することができる。
なお、制御装置4が操作反力モータ19に操作反力モータ制御信号出力部40と操作反力モータ駆動回路41を介して与える信号、操作反力モータ19がレバー11に与える反力については後ほど詳しく述べる。
【0036】
レバー11と操作角センサ16との間にはレバー11を中立位置に戻すように付勢するセンタリング機構20が設けられている。センタリング機構20は、ロッド14に固定されたプレート20aと、プレート20aの左右の両端部のそれぞれにフックが引っ掛けられたセンタリングバネ20b,20bとから構成されており、センタリングバネ20b,20bの下側のフックはフレーム部13の底部13eに引っ掛けられている。従って、例えば、左転舵操作が行われたときは、図4中の手前側に位置するセンタリングバネ20bが延び、このセンタリングバネ20bに元の長さに戻ろうとする反力が発生するので、レバー11は中立位置に戻るように付勢されることになる。また、レバー11を中立位置に戻す場合は、このセンタリングバネ20bの反力がレバー11の戻りをアシストする。なお、このセンタリングバネ20bを含むセンタリング機構20により、レバー11が自ずと中立位置に戻って都合がよい反面、状況によっては運転者が意図しない操舵指示がなされ、運転者が違和感を受けることがある。例えば、通常車のセルフアライニングトルクとは異なる操作フィーリングになってしまうことがある。
【0037】
次に、制御装置4について説明する。
制御装置4は、CPU(Central Processing Unit )、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び所定の電気回路を備えたECU(電子制御装置)から構成され、図7に示すように、操作部1及び転舵機構部2(ステアリングモータ5)とは信号伝達ケーブルであるハーネスを介して電気的に連結されている。
【0038】
図7に示すように、制御装置4は、ステアリングモータ5の制御を行う転舵制御部31と、操作部1の操作反力モータ19の制御を行う操作反力制御部32とから構成されている。なお、制御装置4のコンピュータに係る部分で取り扱われる信号は、全てデジタル化したデータ(制御量)や情報である。
【0039】
転舵制御部31は、操作部1の操作角センサ16の検出値(操作角)θsを入力して運転者の行った操作部1の操作量に対応する転舵輪W,Wの転舵角の目標値θmを設定する目標転舵角設定部34と、転舵角の目標値θmと現在の実転舵角(実転舵角信号θr)とから転舵角の偏差量(偏差量信号Drs)を演算する偏差演算部35と、偏差量信号Drsに対応してステアリングモータ5を駆動させる出力信号Ds(方向信号+PWM信号)を発生させるステアリングモータ制御信号出力部36と、この出力信号Dsに基づいてステアリングモータ5を駆動させる電気回路であるステアリングモータ駆動回路37とから構成されている。
【0040】
目標転舵角設定部34は、操作角センサ16の検出値θsをアドレスとしてマップ検索して目標転舵角を決定し、これに基づく目標転舵角信号θmを出力する。つまり、本実施形態の車両の運転操作装置は、レバー11の位置(操作角)に対応した転舵輪W,Wの位置(転舵角)の制御を行うことを基本にする。
【0041】
偏差演算部35は、目標転舵角信号θmと、転舵角センサ10で測定した現在の実転舵角信号θrとの偏差を演算するもので、偏差量が正の値であれば右方向への転舵と判断し、偏差量が負の値であれば左方向への転舵と判断し、それぞれに合わせた極性及び大きさの偏差量信号Drsを出力する。
【0042】
そして、ステアリングモータ制御信号出力部36は、偏差量信号Drsに対してP(Proportional)、I(Integral)、及び、D(Differential)処理を施した制御信号を演算し、これを後述する制御信号Fcsと合成する。そして、その合成値の符号及び絶対値の大きさに応じた制御出力信号Ds(方向信号+PWM信号)をステアリングモータ駆動回路37に出力する。なお、ステアリングモータ制御信号出力部36は、前記のようなPID機能を備えることで目標転舵角に対するラック軸7の移動の追従性を向上させている。
【0043】
ここで、転舵制御部31は、転舵操作における初期応答性を向上させるため、操作部1の操作トルクセンサ15のトルク検出値Tsに基づいてステアリングモータ制御信号出力部36に制御信号Fcsを出力することでFF制御を行うFF制御部38を備えている。これにより、操作の初期段階等のようにレバー11の操作角は小さいが、レバー11にかけられたトルクが大きい状態において、後に続くレバーの操作量の増加に先駆けてラック軸7を移動させることができるので、転舵操作の応答性を向上させることができる。ここで、この制御信号Fcsは、FF制御部38内に用意されたトルク検出値Tsとステアリングモータ5の駆動量とのマップに基づいて決定されている。
【0044】
また、操作反力制御部32は、操作部1の操作角センサ16の検出値θsと偏差演算部35からの偏差量信号Drsと操作部1外に設けられた車速センサ22からの車速検出値(以下「車速」と省略する)V及び操作トルクセンサ15のトルク検出値Tsに基づいてレバー11に作用させる目標操作反力を決定する目標操作反力設定部39と、目標操作反力設定部39から出力される目標操作反力信号Tmsを取得し、操作反力モータ19を駆動させるための制御信号Mcsを出力する操作反力モータ制御信号出力部40と、制御信号Mcsに基づいて操作反力モータ19を駆動させるための電気回路からなる操作反力モータ駆動回路41とから構成されている。
【0045】
目標操作反力設定部39の詳細な機能ブロックを図8に示す。仮想トーションバー制御に乗じられる定数K2のマップを図9に示す。操作角速度マップ処理部での処理マップを図11に示す。操作角マップ処理部での処理マップを図12に示す。車速マップ処理部での処理マップを図13に示す。転舵(操作)トルクマップ処理部での処理マップを図14に示す。行き戻り判定処理部で行われる演算処理の説明図を図10に示す。
【0046】
図8での仮想トーションバーマップ処理部51は、偏差演算部35で求めた転舵角の目標値θmと現在の実転舵角信号θrとの偏差量信号Drsに車速Vの関数であるK2を乗じた値を仮想トーションバー制御として目標操作反力信号Tmsの要素として与える機能を有している。すなわち、仮想トーションバーマップ処理部51の出力をCvtとすると、Cvtは、次式(1)で与えられる。
【0047】
Cvt=K2(V)Drs … (1)
【0048】
仮想トーションバー制御は、ステアバイワイヤ車両にあたかもトーションバー(ステアリング軸)があるかのように反力を発生させる制御である。なお定数K2は図9に示すように、低速時に操作力を軽くするため、高速時に車両を安定させるため、車速Vの値が大きな値の時に大きな値に、車速Vが小さな時に小さな値としている。
【0049】
行き戻り判定処理部52は、図10に示すような演算処理を行う。すなわち、操作角センサ16の検出値θsの絶対値|θs|の微分値が負の場合は戻り、正の場合は行きと判定し、例えば行きの場合は“1”、戻りの場合は“0”の行き戻り判定信号Dgbを出力する。この判定は戻り操作選択部60に送られて戻り時の反力の選択に用いられる。この判定では操作トルクを用いないので、操作トルクの値が変動することによる符号の変動がなく、安定して行きと戻りを判定することができる。この行き戻り判定処理部52は請求項の「行き戻り判別手段」に相当する。
【0050】
操作角速度演算部53では操作角センサ16の検出値θsを微分して操作角速度Srvを求め、求めた操作角速度Srvは操作角速度マップ処理部54に送られる。操作角速度マップ処理部54では操作角速度Srvをアドレスとしてマップ検索して出力Crvが得られる。すなわち次式(2)で表される変換処理を行う。
【0051】
Crv=f1(Srv) … (2)
【0052】
なお、請求項の「操作量変化速度検出手段」は操作角速度演算部53に、「操作量変化速度応動反力調整手段」は操作角速度マップ処理部54に相当する。
【0053】
ここで操作角速度マップf1(Srv)は図11に示すように、操作角速度Srvが早くなるにつれて制御量を低減するものであり、運転者が操作部1の戻り操作を急いでいる場合には戻り反力を小さくして運転者の意思を尊重する。この出力Crvは増幅器55でゲイン調整(増幅係数k)されて反力要素相乗積演算部59に入力される。
【0054】
操作角マップ処理部56では操作角センサ16の検出値θsをアドレスとしてマップ検索して出力Crsが得られる。すなわち次式(3)で表される変換処理を行う。
【0055】
Crs=f2(θs) … (3)
【0056】
ここで操作角マップf2(θs)は、切り返し時の違和感を解消するため、操作センタ(レバー11の中立位置)操作センタに近付くにつれて低減する。また、交差点を曲がる場合等、検出値(操作角)θsが大きい時に戻り反力を有効にしたいため、操作角信号θsが大きくなるにつれて制御量を大きくする(図12参照)。
なお、請求項の「操作量応動反力調整手段」は操作角マップ処理部56に相当する。
【0057】
車速マップ処理部57では、車速センサ22の検出値Vをアドレスとしてマップ検索して出力Cvが得られる。すなわち次式(4)で表される変換処理を行う。
【0058】
Cv=f3(V) … (4)
【0059】
ここで車速マップf3(V)は図13に示すように、低車速側で大きな反力を得るようになっている。これにより、例えば交差点を曲がるとき等の低車速時に戻り反力を効果的に発現できる。
なお、請求項の「車速応動反力調整手段」は車速マップ処理部57に相当する。
【0060】
操作トルクマップ処理部58では、操作トルクセンサ15の検出値Tsをアドレスとしてマップ検索して出力Ctsが得られる。すなわち次式(5)で表される変換処理を行う。
【0061】
Cts=f4(Ts) … (5)
【0062】
ここで操作(転舵)トルクマップf4(Ts)は図14に示すように、トルクが大きいときに制御量を減らすようにして、操作角速度マップと同様に運転者の意思を尊重するようにしている。
なお、請求項の「トルク応動反力調整手段」は操作トルクマップ処理部58に相当する。
【0063】
これらの戻り操作時に戻り反力を与える各要素は、反力要素相乗積演算部59ですべて掛け算され、その結果の相乗積Ptが戻り反力選択部60に入力される。なお、相乗積Ptは次式(6)で表される。
【0064】
Pt=kCrv・Crs・Cv・Cts … (6)
【0065】
戻り反力選択部60はこの反力要素相乗積演算部59の出力である相乗積Ptを行き戻り判定処理部52の出力である行き戻り判定信号Dgbが、“0”すなわち戻りの場合のみ選択する。戻り反力選択部60の出力Ptbは加算器61で仮想トーションバーマップ処理部51の出力Cvtと加算され、その出力は目標操作反力設定部39の出力である目標操作反力信号Tmsとして、操作反力モータ制御信号出力部40に入力され、操作反力モータ19で発生させる操作反力の向き及び大きさを決定し、この操作反力はセンタリング機構20からの力に加算されて、運転者が操作する操作部1のレバー11に反力として与えられる。戻り反力選択部60は請求項の「反力制御手段」に相当する。
【0066】
次に、この制御装置4を搭載した車両の動作について、図3、図4等を参照して説明する。
まず、運転者がレバー11を中立位置から右側に転舵操作をした場合は、操作の初期段階には、レバー11の操作量は少ないが、レバー11にかけられたトルクが大きくなる。ここで、操作トルクセンサ15からのトルク検出値Ts(正の出力値)が出力されるので、転舵制御部31のFF制御部38がトルク検出値Tsをアドレスとしてトルクマップを検索してステアリングモータ制御信号出力部36へ入力される制御信号Fcsを決定する。そして、この制御信号Fcsに基づいて、ラック軸7が直線運動し、レバー11の本格的な操作に先駆けてラック軸7が右側に移動し始める。
【0067】
そして、レバー11の操作角(検出値θs)に基づいて、制御装置4が目標転舵角信号θmを設定し、目標転舵角信号θmからの現在の実転舵角信号θrの偏差量(偏差量信号Drs)を演算する。そして、この偏差量信号Drsに基づいてステアリングモータ制御信号出力部36、ステアリングモータ駆動回路37が働いてステアリングモータ5が駆動し、ラック軸を所定量だけ右側に移動する。また、一方で、制御装置4の操作反力制御部32がこの偏差量信号Drsに応じてレバー11に作用させる操作反力を設定し、操作反力モータ19を駆動させて、レバー11に左向きに仮想トーションバーマップ処理部51の出力Cvtからなる目標操作反力信号Tmsに応じた操作反力を発生さる。この反力が、センタリング機構20が与える操作角信号θsに比例する反力と共にレバー11に左向きに加わる。
【0068】
この状態においてレバー11をさらに右側に向けて操作すると、左向きの操作反力が増加すると共に転舵角はさらに右側に増加する。一方、この時点からレバー11を左側に向けて操作すると、転舵角が減少すると共に、レバー11にはセンタリング機構20からの力がアシスト力となって左向きに働く。一方、制御装置4の操作反力制御部32は反力要素相乗積演算部59→戻り反力選択部60(図8参照)の出力Ptbと仮想トーションバーマップ処理部51の出力Cvtの和からなる目標操作反力信号Tmsに応じた操作反力Msを設定し、これに応じた操作反力モータ19の働きで操作反力がレバー11に右向きに加わる。
【0069】
次に、運転者がレバー11を中立位置から左側に操作を行った場合について説明する。
前記と同様にして操作の初期段階において操作部1の操作トルクセンサ15からのトルク出力値Tsが出力されるので、転舵制御部31のFF制御部38がトルク出力値Tsをアドレスとしてトルクマップを検索してステアリングモータ制御信号出力部36へ入力される制御信号Fcsを決定する。そして、この制御信号Fcsに基づいて、ラック軸7が直線運動し、レバー11の本格的な操作に先駆けてラック軸7が左側に移動し始める。このようにトルクに基づいてFF制御を行うので素早い応答性が得られる。
【0070】
そして、レバー11の操作量に基づいて、制御装置4において目標転舵角信号θmを設定し、目標転舵角信号θmからの現在の実転舵角信号θrの偏差量信号Drsを演算する。そして、この偏差量信号Drsに基づいてステアリングモータ制御信号出力部36、ステアリングモータ駆動回路37が働いてステアリングモータ5が駆動し、ラック軸7が所定量だけ左側に移動する。一方で、制御装置4の操作反力制御部32がレバー11にかけるこの偏差量に応じた操作反力を設定し、操作反力モータ19を駆動させて、レバー11に右向きに仮想トーションバーマップ処理部51の出力Cvtからなる目標操作反力信号Tmsに応じた操作反力を発生させ、この反力が、センタリング機構20が与える操作角信号θsに比例する反力と共にレバー11に右向きに加わる。
【0071】
この状態においてレバー11をさらに左側に向けて操作すると、右向きの操作反力が増加すると共に転舵角はさらに左側に増加する。一方、この状態からレバー11を右側に向けて操作すると、転舵角が減少すると共に、レバー11にはセンタリング機構20からの力がアシスト力となって右向きに働く。一方、制御装置4の操作反力制御部32は反力要素相乗積演算部59→戻り反力選択部60の出力Ptbと仮想トーションバーマップ処理部51の出力Cvtの和からなる目標操作反力信号Tmsに応じた操作反力Msを設定し、これに応じた操作反力モータ19の働きで操作反力がレバー11に左向きに加わる。
【0072】
このように転舵操作において、転舵操作の戻り時に車速、操作角、操作角速度、操作トルクに対応して最適な設定で操作部1のレバー11に反力を与えるようにしているので、疑似的に通常車のセルフアライニングトルクに近いものが得られ、操作に違和感がなく、転舵操作の操作性を向上させることができる。
【0073】
即ち、戻り操作を判別した際は、車速が遅い場合は反力を大きくするので(図13参照)、レバー11の中立位置への不必要に早い戻りが規制され、通常車のセルフアライニングトルクに近い操作フィーリングが得られる。なお、運転者が違和感を受けやすいのは低車速時や中車速時である。また、戻り操作を判別した際は、操作角が大きい場合は反力を大きくするので(図12参照)、レバー11の中立位置への不必要に早い戻りが規制され、通常車のセルフアライニングトルクに近い操作フィーリングが得られる。
【0074】
一方、戻り操作を判別した際は、操作角の変化速度(操作角速度)が大きい場合は反力を小さくするので(図11参照)、運転者の意に添ったレバー11の操作を行うことができる。また、戻り操作を判別した際は、操作トルクが大きい場合は反力を小さくするので(図14参照)、運転者の意に添ったレバー11の操作を行うことができる。
【0075】
つまり、本発明によれば、通常の場合はもちろん、例えば交差点を直角に曲がった場合等も、転舵輪W,Wの戻り速度に応じたレバー11の戻りになるので、図2(b)に破線で囲まれた部分に示されるように、スムーズな操作を行うことができる。一方、比較例として図2(a)に破線で囲まれた部分に示されるように、本発明の制御を行わない場合は、レバー11がセンタリング機構20(センタリングバネ20b)の影響で早く中立位置に戻ってしまうので、これを運転者が正すためにギクシャクした操作になっている(図2(a)では転舵角を戻す操作を運転者が行っている)。また、路面状況が変化しても、転舵輪W,Wの戻り状況を加味した反力(レバー11の戻り)になり、運転者は路面状況を擬似的ながらも的確に感じ取ることができる。
【0076】
以上説明した本発明は前記した発明の実施の形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。
例えば、運転者が操作する操作部を、レバー(ジョイスティック)を例に説明したが、これが通常のステアリングホイールでもよい。また、転舵のみをレバーで行うこととしたが、スロットル操作やブレーキ操作を同じレバーで行うようにしてもよい。また、制御装置はソフトウェア的にもハードウェア的にも構成することができる。また、反力制御手段は、操作量(目標転舵角)と実転舵量(転舵角)の偏差に応じてレバーに操作反力を与えることとしたが、両者の比に応じてレバーに操作反力を与えるようにしてもよい(比は偏差の一態様とみなすことができる)。
【0077】
【発明の効果】
本発明の請求項1の発明は、操作部の行き操作と戻り操作を、操作角検出値の絶対値の微分値の正負判定を元に判別して、戻り操作のときに反力を増加させるようにする。これにより、行き操作と戻り操作を正確に判定することができ、通常車のセルフアライニングトルクに近い操作フィーリングが得られ、操作に違和感がなく、転舵操作の操作性を向上させることができる。
【0078】
本発明の請求項2の発明は、車速と反力との対応関係の情報に基づいて、反力を戻り操作時において車速の遅い場合に大きく、車速の早い場合に小さくする。これにより、交差点を曲がった後のように戻り操作時において低速時の反力を大きくして通常車のセルフアライニングトルクに近い操作フィーリングを擬似的に得ることができる。
【0079】
本発明の請求項3の発明は、反力を戻り操作時において操作トルクが大きい場合に小さく、小さい場合に大きくする。これにより、運転者が転舵輪を早く戻したいと考えているときには反力を小さくして運転者の意思を汲んだ反力制御を行うことができる。
【0080】
本発明の請求項4の発明は、反力を戻り操作時において操作角の変化速度が大きい場合に小さく、変化速度が小さい場合に大きくする。これにより、運転者が転舵輪を早く戻したいと考えているときには反力を小さくして運転者の意思を汲んだ反力制御を行うことができる。
【0081】
本発明の請求項5の発明は、反力を戻り操作時において操作角が大きい場合に大きく、操作角が小さい場合に小さくする。これにより、「戻り→行き」の切り返し時の操作の違和感をなくすことができる(切り返しをスムーズに行える)。また、交差点を曲がった後のように大きく操作角を切った後の戻りで反力を大きくして通常車のセルフアライニングトルクに近い操作フィーリングを擬似的に得ることができる。
【0082】
本発明の請求項6の発明は、行き操作と戻り操作の判定を操作角検出値の絶対値の微分値の正負判定を元に行う。これにより、行き操作と戻り操作を正確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る実施形態の車両の運転操作装置の反力機能ブロック図。
【図2】 本発明に係る実施形態の反力制御データと従来のデータとの比較図。
【図3】 本発明に係る実施形態の車両の運転操作装置の全体構成図。
【図4】 本発明に係る実施形態の車両の運転操作装置の操作部の形態を示す斜視図。
【図5】 本発明に係る実施形態の操作トルクセンサの出力特性を示すグラフ。
【図6】 本発明に係る実施形態の操作角センサの出力特性を示すグラフ。
【図7】 本発明に係る実施形態の車両の運転操作装置において行われるデータ処理を説明するためのブロック図。
【図8】 本発明に係る実施形態の目標操作反力設定部の詳細な機能ブロック図。
【図9】 本発明に係る実施形態の仮想トーションバー制御に乗じられる定数K2のマップを示す図。
【図10】 本発明に係る実施形態の行き戻り判定処理部で行われる演算処理の説明図。
【図11】 本発明に係る実施形態の操作角速度マップ処理部での処理マップを示す図。
【図12】 本発明に係る実施形態の操作角マップ処理部での処理マップを示す図。
【図13】 本発明に係る実施形態の車速マップ処理部での処理マップを示す図。
【図14】 本発明に係る実施形態の操作(転舵)トルクマップ処理部での処理マップを示す図。
【符号の説明】
1…操作部、2…転舵機構、4…制御装置、5…ステアリングモータ、6…ギアボックス、7…ラック軸、8…タイロット、9…ボールねじ機構、10…転舵角センサ、11…レバー、12…操作量検出手段、14,24…ロッド、15…操作トルクセンサ、16…操作角センサ、17…プーリ、18…ベルト、19…操作反力モータ、20…センタリング機構、22…車速センサ、31…転舵制御部、32…操作反力制御部、34…目標転舵角設定部、35…偏差演算部、36…ステアリングモータ制御信号出力部、37…ステアリングモータ駆動回路、38…FF制御部、39…目標操作反力設定部、40…操作反力モータ制御信号出力部、41…操作反力モータ駆動回路、51…仮想トーションバーマップ処理部、52…行き戻り判定処理部、53…操作角速度演算部、54…操作角速度マップ処理部、55…増幅器、56…操作角マップ処理部、57…車速マップ処理部、58…操作トルクマップ処理部、59…反力要素相乗積演算部、60…戻り反力選択部、61…加算器

Claims (6)

  1. 運転者が操作する操作部と、前記操作部の操作量を検出する操作量検出手段と、少なくとも前記操作量検出手段が検出した操作量に基づいて前記転舵輪の実転舵量を制御する制御手段と、前記操作部に操作方向に対する操作反力を与える反力付与手段とを具備する車両の運転操作装置において、
    前記操作部の操作の行き操作と戻り操作を判別する行き戻り判別手段と、
    この行き戻り判別手段が戻り操作を判別したときに前記反力付与手段が与える反力を前記行き操作の時よりも増加させる反力制御手段とを具備し、
    前記行き戻り判別手段は前記操作量検出手段の操作量検出値の絶対値の微分値の正負から行き操作と戻り操作を判別することを特徴とする車両の運転操作装置。
  2. 運転者が操作する操作部と、前記操作部の操作量を検出する操作量検出手段と、少なくとも前記操作量検出手段が検出した操作量に基づいて前記転舵輪の実転舵量を制御する制御手段と、前記操作部に操作方向に対する操作反力を与える反力付与手段とを具備する車両の運転操作装置において、
    前記操作部の操作の行き操作と戻り操作を判別する行き戻り判別手段と、
    この行き戻り判別手段が戻り操作を判別したときに前記反力付与手段が与える反力を前記行き操作の時よりも増加させる反力制御手段とを具備し、
    前記反力制御手段は、車速と反力との対応関係の情報に基づいて、制御する反力を、前記車速検出手段が戻り操作時において検出する車速の遅い場合に大きく、車速の早い場合に小さくする車速応動反力調整手段を有することを特徴とする車両の運転操作装置。
  3. 運転者が操作する操作部と、前記操作部の操作量を検出する操作量検出手段と、少なくとも前記操作量検出手段が検出した操作量に基づいて前記転舵輪の実転舵量を制御する制御手段と、前記操作部に操作方向に対する操作反力を与える反力付与手段とを具備する車両の運転操作装置において、
    前記操作部の操作の行き操作と戻り操作を判別する行き戻り判別手段と、
    この行き戻り判別手段が戻り操作を判別したときに前記反力付与手段が与える反力を前記行き操作の時よりも増加させる反力制御手段と、
    前記操作部にかかる操作トルクを検出する操作トルク検出手段とを具備し、
    前記反力制御手段は、制御する反力を、前記操作トルク検出手段が戻り操作時において検出する操作トルクが大きい場合に小さく、操作トルクが小さい場合に大きくするトルク応動反力調整手段を有することを特徴とする車両の運転操作装置。
  4. 前記操作量の変化速度を検出する操作量変化速度検出手段を具備し、
    前記反力制御手段は、制御する反力を、前記操作量変化速度検出手段が戻り操作時において検出する操作量の変化速度が大きい場合に小さく、変化速度が小さい場合に大きくする操作量変化速度応動反力調整手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両の運転操作装置。
  5. 前記反力制御手段は、制御する反力を、前記操作量検出手段が戻り操作時において検出する操作部の操作量が大きい場合に大きく、操作量が小さい場合に小さくする操作量応動反力調整手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両の運転操作装置。
  6. 前記行き戻り判別手段は、前記操作量検出手段の操作量検出値の絶対値の微分値の正負から行き操作と戻り操作を判別することを特徴とする請求項2又請求項3に記載の車両の運転操作装置。
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