JP2003172865A - 撮影機能付観察光学装置 - Google Patents

撮影機能付観察光学装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被写体像のモニタ用表示器の設置箇所につい
て工夫された撮影機能付双眼鏡を提供する。 【解決手段】 撮影機能付双眼鏡は、一対の観察光学系
(12R、12L)と、撮影光学系(68、70)と、
これら光学系を収容するケーシング10とを具備する。
一対の観察光学系の間には転輪軸54が配置され、転輪
軸の回転により一対の観察光学系の合焦が行われる。転
輪軸はその回転作動のためにケーシングの頂部壁から部
分的に露出された転輪部56を備える。頂部壁上には被
写体像を表示する表示器86が設けられ、この表示器の
表示画面はその収納位置で頂部壁の上側壁面側に向けら
れているが、その表示位置で一対の観察光学系の接眼側
に向けられる。表示器が収納位置に置かれると、転輪部
の露出部や被写体像表示スイッチが該表示器そのものや
該表示器の一部によって覆われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は撮影系を搭載した撮
影機能付観察光学装置に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、双眼鏡や単眼鏡等の観察
光学装置は例えばスポーツ観戦や野鳥観察等に利用され
る。このような場合、観戦者及び観察者は写真として記
録したい場面に屡々遭遇するが、しかし観察光学装置を
カメラに持ち替える間にシャッタチャンスを逃すことは
容易に想像し得る。そこで、観察光学装置で観戦或いは
観察中にシャッタチャンスを逃すことなく直ちに撮影を
行えるように、観察光学装置に撮影機能を搭載すること
が既に提案されている。例えば、実開平6-2330号公報に
は双眼鏡の上部にカメラ部を搭載したタイプの撮影機能
付双眼鏡が開示されている。
【0003】ところで、撮影機能付観察光学装置に撮影
機能として所謂デジタルカメラ機能を与えるような場合
には、通常のデジタルカメラのように、被写体像をモニ
タするために例えばモニタ用表示例えばLCD(liquid
crystal display)表示器を撮影機能付観察光学装置にも
設置することが望まれるが、しかしそのようなLCD表
示器の設置箇所については撮影機能付観察光学装置の双
眼鏡或いは単眼鏡としての機能を配慮して決められるべ
きである。即ち、撮影機能付観察光学装置でもその主機
能は双眼鏡或いは単眼鏡としての機能であり、かくして
双眼鏡或いは単眼鏡での観察時にその観察者の観察動作
に余り支障を来すことなくLCD表示器の表示画面が容
易にモニタし得るように、LCD表示器の設置箇所につ
いては配慮することが必要である。
【0004】また、撮影機能付観察光学装置にLCD表
示器を設置した場合、被写体像をLCD表示器に表示す
るか否かを選択するための被写体像表示スイッチを撮影
機能付観察光学装置のケーシングの適当な箇所に設ける
ことが必要となる。従来のデジタルカメラと同様に、被
写体像表示スイッチは電源スイッチのオン状態でオン操
作されると、撮影光学系で捉えられた被写体像がLCD
表示器に動画として表示され、その動画表示は被写体像
表示スイッチのオフ操作で解消される。撮影機能付観察
光学装置の場合、デジタルカメラと異なり、観察目的の
みでも利用されるためケースから取り出した状態で長時
間携帯する場合が多く、また手袋などをしたままで保持
されたり、スイッチ操作されることが多い。従って、例
えば、撮影機能付観察光学装置の電源スイッチをオン状
態の儘で持ち運ばれたとき、不用意に被写体像表示スイ
ッチがオンすると、LCD表示器での動画表示が無用に
行われて、撮影機能付観察光学装置のバッテリ電源が無
駄に消費されるとういことになる。
【0005】更に、上述の実開平6-2330号公報に開示さ
れているように、観察光学装置としての双眼鏡に単にカ
メラ部を附加した構成の撮影機能付観察光学装置の場合
には、その全体構成が該カメラ部の分だけ嵩張った構造
となり、使い勝手の面で実用化し難いものと言わざるを
得ない。
【0006】一方、観察光学系の一方にハーフミラーを
組み込んで該観察光学系から得られる観察像を撮影光学
系に導くタイプの撮影機能付観察光学装置も提案されて
いる。このような撮影機能付観察光学装置においては、
撮影光学系の一部は観察光学系の対物レンズ系によって
代用される。従って、この種のタイプの撮影機能付観察
光学装置は上述の実開平6-2330号公報に開示されたもの
に比べるとコンパクトな構成となり得るが、しかしカメ
ラの撮影光学系に導かれる光量が少ないという点が問題
とされる。即ち、観察光学系に導入される全光量の半分
程度が撮影光学系に導かれるに過ぎない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、撮影光学系を搭載した撮影機能付観察光学装置であ
って、被写体像のモニタ用表示器の設置箇所について工
夫された撮影機能付観察光学装置を提供することであ
る。
【0008】本発明の別の目的は、上述したような撮影
機能付観察光学装置であって、被写体像をモニタ用表示
器に表示するか否かを選択するための被写体像表示スイ
ッチの操作が必要とされないとき、その誤操作を確実に
回避し得るように構成された撮影機能付観察光学装置を
提供することである。
【0009】本発明の更に別の目的は、上述したような
撮影機能付観察光学装置であって、その双眼鏡或いは単
眼鏡としての機能を果たすために必要とされる全体構成
以上に大巾に嵩張らせることなく構成された撮影機能付
観察光学装置を提供することである。
【0010】本発明の更に別の目的は、上述したような
撮影機能付観察光学装置であって、撮影を十分な光量で
行い得る撮影機能付観察光学装置を提供することであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明による撮影機能付
観察光学装置は、観察光学系と、撮影光学系と、該観察
光学系及び該撮像光学系を収容するケーシングとを具備
し、観察光学系を合焦させるべく該観察光学系の一部分
はその他の部分に対して相対的に移動可能とされる。本
発明による撮影機能付観察光学装置は、更に、観察光学
系に合焦を行わせるための転輪部と、この転輪部の回転
運動を観察光学系の双方の部分の相対的移動に変換させ
る運動変換機構とを具備し、転輪部がその回転操作のた
めにケーシングの頂部壁から部分的に露出された転輪部
を備える。本発明によれば、このような撮影機能付観察
光学装置において、ケーシングの頂部壁の上側壁面には
撮影光学系によって捉えられた被写体像を表示するため
のモニタ用表示器が設けられ、このモニタ用表示器はそ
の前方縁側で撮影光学系の光軸に対して直角な回動軸線
のまわりで収納位置と表示位置との間で回動自在とさ
れ、モニタ用表示器が収納位置に置かれたとき、該モニ
タ用表示器の表示画面がケーシングの頂部壁の上側壁面
側に向けられ、モニタ用表示器が表示位置に置かれたと
き、該モニタ用表示器の表示画面が観察光学系の接眼側
に向けられ、モニタ用表示器が収納位置に置かれたと
き、転輪部の露出部が該モニタ用表示器によって覆われ
る。
【0012】本発明の好適な実施形態にあっては、ケー
シングの上側壁面には撮影光学系で捉えられた被写体像
をモニタ用表示器に動画として表示するか否かを選択す
るための被写体像表示スイッチが設けられ、モニタ用表
示器が収納位置に置かれたとき、前記被写体像表示スイ
ッチが該モニタ用表示器によって覆われる。好ましく
は、モニタ用表示器が収納位置に置かれたとき、被写体
像表示スイッチが該モニタ用表示器に隣接して配置さ
れ、モニタ用表示器には被写体像表示スイッチを覆うた
めの張出し部が形成される。
【0013】また、本発明の好適な実施形態にあって
は、転輪部は転輪軸筒の周囲拡張部として構成され、撮
影光学系が転輪軸筒内に設置される。
【0014】更に、本発明の好適な実施形態にあって
は、観察光学系が一対設けられ、これにより撮影機能付
観察光学装置は双眼鏡として構成される。この場合に
は、好ましくは、ケーシングは、ケーシング本体部分
と、このケーシング本体部分に対して摺動自在となった
可動ケーシング部分とから構成される。ケーシング本体
部分には一対の観察光学系の一方が収容され、可動ケー
シング部分には一対の観察光学系の他方が収容され、ケ
ーシング本体部分に対して可動ケーシング部分を相対的
に移動させることにより一対の観察光学系の眼幅調節が
行われ、モニタ用表示器はケーシング本体部分の頂部壁
上に配置される。
【0015】本発明の更に別の好適な実施形態では、撮
影光学系を合焦させるべく転輪軸筒の回転運動を該撮影
光学系の直線運動に変換させる合焦機構が設けられる。
この場合には、好ましくは、転輪軸筒の後方側端から所
定距離だけ離れて撮影光学系と整列された固体撮像素子
が設けられ、撮影光学系の合焦点が固体撮像素子の受光
面とされ、固体撮像素子によって捉えられた被写体像が
モニタ用表示器に必要に応じて表示される。
【0016】本発明の更に別の好適な実施形態では、観
察光学系の一部分はケーシング内に完全に収容された収
納位置と該ケーシングから突出した観察位置との間で移
動可能とされ、該観察光学系の一部分が収納位置に収納
されたとき、撮影機能付観察光学装置は最もコンパクト
な状態とされる。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、添付図面を参照して、本発
明による撮影機能付観察光学装置の一実施形態について
説明する。
【0018】本実施形態では、撮影機能付観察光学装置
は撮影機能付双眼鏡として構成される。先ず、図1を参
照すると、本発明による撮影機能付双眼鏡の内部構造が
示され、図2を参照すると、図1のII-II線に沿う断面
図が示されている。本実施形態では、撮影機能付双眼鏡
は略直方形を呈するケーシング10を具備し、このケー
シング10はケーシング本体部分10Aと可動ケーシン
グ部分10Bとから成る。
【0019】ケーシング10内には一対の観察光学系1
2R及び12Lが設けられ、この一対の観察光学系12
R及び12Lは左右対象な構成を有し、それぞれ右眼観
察用及び左眼観察用として使用される。右側観察光学系
12Rはケーシング本体部分10Aに組み込まれ、この
右側観察光学系12Rには対物レンズ系14R、光学プ
リズム系16R及び接眼レンズ系18Rが含まれる。ケ
ーシング本体部分10Aの前方壁には観察窓19Rが形
成され、この観察窓19Rは右側観察光学系12Rの対
物レンズ系14Rと整列させられる。また、左側観察光
学系12Lは可動ケーシング部分10B側に組み込ま
れ、この左側観察光学系12Lには対物レンズ系14
L、光学プリズム系16L及び接眼レンズ系18Lが含
まれる。可動ケーシング部分10Bの前方壁には観察窓
19Lが形成され、この観察窓19Lは左側観察光学系
12Lの対物レンズ系14Lと整列させられる。
【0020】なお、以下の記載では、説明の便宜上、前
方側及び後方側とはそれぞれ撮影機能付双眼鏡の観察光
学系(12R、12L)に対して対物側及び接眼側とし
て定義される。
【0021】可動ケーシング部分10Bはケーシング本
体部分10Aから左方側に引き出し得るように該ケーシ
ング本体部分10Aに対して摺動自在に係合させられ
る。即ち、可動ケーシング部分10Bは図2に示す収納
位置と図3に示す最大引出し位置との間で左右方向に移
動自在とされる。可動ケーシング部分10Bとケーシン
グ本体部分10Aとの間の摺動係合面には或る程度の摩
擦力が働くようになっており、このためケーシング本体
部分10Aに対して可動ケーシング部分10Bを移動さ
せる際には双方の部分10A及び10B間に所定以上の
引出し力或いは押込み力を及ぼすことが必要となる。要
するに、可動ケーシング部分10Bはその収納位置(図
2)と最大引出し位置(図3)との間の任意の位置で摩
擦力で留めておくことが可能である。
【0022】図2及び図3の比較から明らかなように、
可動ケーシング部分10Bがケーシング本体部分10A
から引き出されたとき、左側観察光学系12Lは可動ケ
ーシング部分10Bと共に移動するが、しかし右側観察
光学系12Rはケーシング本体部分10A側に留められ
る。即ち、可動ケーシング部分10Bをケーシング本体
部分10Aに対して任意の引出し位置に位置決めするこ
とにより、右側観察光学系12Rの接眼レンズ系18R
と左側観察光学系12Lの接眼レンズ系18Lとの光軸
間距離即ち眼幅を調節することが可能である。
【0023】本実施形態においては、右側観察光学系1
2Rの対物レンズ系14Rはケーシング本体部分10A
に対して固定位置に設置されるが、その光学プリズム系
16R及び接眼レンズ系18Rは対物レンズ系14Rに
対して前後方向に移動可能であり、これにより右側観察
光学系12Rの合焦(フォーカシング)が行われる。同
様に、左側観察光学系12Lの対物レンズ系14Lは可
動ケーシング部分10Bに対して固定位置に設置される
が、その光学プリズム系16L及び接眼レンズ系18L
は対物レンズ系14Lに対して前後方向に移動可能であ
り、これにより左側観察光学系12Lの合焦(フォーカ
シング)が行われる。
【0024】以上で述べたような眼幅調節及び合焦動作
を行わせるために、ケーシング10の底部側には図4に
示すような支持板構造体20が設けられる。なお、図1
では、図示の複雑化を避けるために支持板構造体20は
省かれている。
【0025】支持板構造体20は、ケーシング本体部分
10Aに対して適宜固定された矩形状固定板20Aと、
この矩形状固定板20A上に摺動自在に配置されかつ可
動ケーシング部分10Bに対して適宜固定されたスライ
ド板20Bとから成る。スライド板20Bは矩形状固定
板20Aの前後方向の幅にほぼ等しい幅を持つ矩形状部
22と、この矩形状部22から右方側に一体的に延在し
た延在部24とから成る。右側観察光学系12Rの対物
レンズ系14Rは矩形状固定板20A上の所定位置に固
定設置され、左側観察光学系12Lの対物レンズ系14
Lはスライド板20B上の所定位置に固定設置させられ
る。
【0026】スライド板20Bの矩形状部22には一対
の案内スロット26が形成され、またその延在部24に
は案内スロット27が形成される。一方、固定板22に
は、一対の案内スロット26に摺動自在に受け入れるよ
うになった一対の案内ピン26′と、案内スロット27
に摺動自在に受け入れるようになった案内ピン27′と
が植設される。各案内スロット(26、27)は左右方
向に同じ長さだけ延び、その長さはケーシング本体部分
10Aに対する可動ケーシング部分10Bの移動距離、
即ち可動ケーシング部分10Bの収納位置(図2)と可
動ケーシング部分10Bの最大引出し位置(図3)との
間の距離に対応する。
【0027】図2及び図3から明らかなように、支持板
構造体20はケーシング10内にその底部から適当な間
隔を空けて設置され、このとき矩形状固定板20Aはケ
ーシング本体部分10A側に適宜固定され、またスライ
ド板20Bは可動ケーシング部分10B側に適宜固定さ
れる。なお、図示の実施形態では、可動ケーシング部分
10Bに対するスライド板20Bの固定のために、その
矩形状部22の左辺縁の一部に沿って取付片28が設け
られ、この取付片28が可動ケーシング部分10Bの仕
切り壁29に適宜固着される。
【0028】図5を参照すると、右側観察光学系12R
の光学プリズム系16Rを搭載するための右側マウント
板30Rと、左側観察光学系12Lの光学プリズム系1
6Lを搭載するための左側マウント板30Lが示され
る。図5及び図6から明らかなように、右側マウント板
30R及び左側マウント板30Lのそれぞれの後方側縁
辺に沿って直立板32R及び32Lが設けられる。図1
に示すように、右側直立板32Rは右側接眼レンズ系1
8Rの取付座として用いられ、左側直立板32Lは左側
接眼レンズ系18Lの取付座として用いられる。
【0029】図6に示すように、右側マウント板30R
の底面にはその右側縁辺のほぼ中央に沿って案内シュー
34Rが固着され、この案内シュー34Rには図2及び
図3に示すように矩形状固定板20Aの右側端縁を摺動
自在に受け入れる溝36Rが形成される。また、右側マ
ウント板30Rの左側縁辺に沿って側壁38Rが設けら
れ、この側壁38Rの底部側は肥大部40Rとして形成
され、この肥大部40Rには案内ロッド42Rを摺動自
在に挿通させるボアが形成される。案内ロッド42Rの
両端は矩形状固定板20Aの前方側縁辺及び後方側縁辺
にそれぞれ一体的に形成された一対の対向直立支持片4
4Rに形成された孔に挿通させられて適宜固定される。
【0030】一方、左側マウント板30Lの底面にはそ
の左側縁辺のほぼ中央に沿って案内シュー34Lが固着
され、この案内シュー34Lには図2及び図3に示すよ
うにスライド板20Bの左側端縁を摺動自在に受け入れ
る溝36Lが形成される。また、左側マウント板30L
の右側縁辺に沿って側壁38Lが設けられ、この側壁3
8Lの底部側は肥大部40Lとして形成され、この肥大
部40Lには案内ロッド42Lを摺動自在に挿通させる
ボアが形成される。案内ロッド42Lの両端はスライド
板20Bの前方側縁辺及び後方側縁辺にそれぞれ一体的
に形成された一対の対向直立支持片44Lに形成された
孔に挿通させられて適宜固定される。
【0031】なお、上述したように、支持板構造体20
は図1では省かれているが、一対の対向直立支持片44
Rと一対の対向直立支持片44Lとについては図示され
ている。
【0032】右側観察光学系12Rの対物レンズ系14
Rは右側マウント板30Rの前方側に配置されているの
で、右側マウント板30Rを案内ロッド42Rに沿って
前後に移動させることにより、対物レンズ系14Rと光
学プリズム系16Rとの距離が調節させられ、このため
右側観察光学系12Rの合焦動作が行われることにな
る。同様に、左側観察光学系12Lの対物レンズ系14
Lは左側マウント板30Lの前方側に配置されているの
で、左側マウント板30Lを案内ロッド42Lに沿って
前後に移動させることにより、対物レンズ系14Lと光
学プリズム系16Lとの距離が調節させられ、このため
左側観察光学系12Lの合焦動作が行われることにな
る。
【0033】右側マウント板30R及び左側マウント板
30Lをそれぞれの案内ロッド42R及び42Lに沿っ
て同期して移動させると共に右側マウント板30Rに対
する左側マウント板30Lの左右方向の移動を許容させ
るために、図5に最もよく示すように、右側マウント板
30R及び左側マウント板30Lは伸縮自在の連結手段
46によって互いに連結させられる。
【0034】詳述すると、本実施形態では、連結手段4
6は、右側マウント板30Rの側壁40Rの肥大部42
Rの前方端部から左方側に延びた横断面矩形状のロッド
部材46Aと、このロッド部材46Aを摺動自在に受け
入れる二股部材46Bとから成る。ロッド部材46A及
び二股部材46Bの長さについては、可動ケーシング部
分10Bが収納位置(図2)から最大引出し位置(図
3)まで引き出された際にもロッド部材46Aと二股部
材46Bとの摺動係合が維持され得るものとされる。か
くして、可動ケーシング部分10Bがケーシング本体部
分10Aに対してどのような引出し位置にあっても、右
側マウント板30R及び左側マウント板30Lはそれぞ
れの案内ロッド42R及び42Lに沿って同期して移動
することができる。なお、ロッド部材46Aには横断面
矩形状の孔47が形成されるが、この孔47の機能につ
いては後で説明する。
【0035】図7を参照すると、図1のVII-VII線に沿
って切断された縦断面図が示される。図1及び図7から
明らかなように、ケーシング本体部分10Aの前方壁面
には円形開口部48が形成され、この円形開口部48は
可動ケーシング部分10Bがケーシング本体部分10A
に対して収納位置に置かれているときケーシング10の
前方壁の中央に位置させられる。
【0036】ケーシング本体部分10Aの前方側壁の内
側壁面からは円形開口部48を取り囲むように前方スリ
ーブ部材50が一体的に突出させられ、この前方スリー
ブ部材50の頂部側は図7に示すようにケーシング本体
部分10Aと一体化させられる。一方、前方スリーブ部
材50から後方側に所定の間隔を置いて後方スリーブ部
材52が配置させられ、この後方スリーブ部材52はケ
ーシング本体部分10Aの頂部壁の内側壁面から吊下す
るような態様で一体成形される。
【0037】前方スリーブ部材50と後方スリーブ部材
52とは互いに整列させられ、その間には転輪軸筒54
が回転自在に適宜保持される。転輪軸筒54には転輪部
56が後方スリーブ部材52に接近して設けられ、この
転輪部56は転輪軸筒54の周囲拡張部として一体的に
形成される。転輪部56が後方スリーブ部材52に接近
して一体的に形成され、この転輪部56の一部はケーシ
ング本体部分10Aの頂部壁に形成された矩形開口部5
8を通して外部に露出させられる。なお、一対の観察光
学系12R及び12Lの合焦動作時、転輪部56の露出
部分は本発明による撮影機能付双眼鏡の観察者の例えば
人指し指によって回転させられるようになっている。
【0038】転輪軸筒54にはその前方端と転輪部56
との間に雄ねじ60が形成され、この雄ねじ60には環
状体62が螺着される。図2、図4及び図7から明らか
なように、環状体62には半径方向外側に突出する突起
部64が形成され、この突起部64の先端は連結手段4
6のロッド部材46Aに形成された横断面矩形状の孔4
7に嵌入させられる。従って、転輪部56が回転させら
れると、環状体62は転輪軸筒54の雄ねじ60と螺着
されているためにその長手軸線方向に沿って移動させら
れ、その移動方向は転輪部56の回転方向に依存する。
要するに、転輪軸筒54と環状体62とは転輪軸筒54
の回転運動を環状体62の直線運動に変換させる運動変
換機構を形成する。
【0039】環状体62の突起部64の先端は連結手段
46のロッド部材46Aの孔47に嵌入されているの
で、環状体62の移動に伴い、右マウント板30R及び
左マウント板30Lも移動させられる。要するに、転輪
部56の回転により、対物レンズ系14R及び14Lの
それぞれに対する光学プリズム系16R及び16Lの距
離が調整され、このため一対の観察光学系12R及び1
2Lの合焦動作が行われることになる。
【0040】環状体62が両対物レンズ系に最も近い位
置(以下、収納位置)にあるとき、両接眼レンズ系18
R、18Lはケーシング10内に完全に収納された位置
にあり、撮影機能付双眼鏡は最もコンパクトな状態とな
る。そして、使用時においては、転輪部56を操作し
て、この収納位置から若干対物光学系から離れた位置に
ある観察位置まで移動させるように構成されている。即
ち、非使用時においては、ユーザが転輪部を回転操作し
て接眼レンズ系18R,18Lをケーシング内に収納
し、最もコンパクトな状態で携行できるように構成され
ている。
【0041】本実施形態では、一対の観察光学系12R
及び12Lについては、例えば、環状体62が上記観察
位置にあるときに40メール先から無限遠までの観察対象
物の合焦が得られるようなパンフォーカス設計とされ、
2メートル先から40メートル先までの観察対象物を観察
するとき、転輪軸筒54の回転により光学プリズム系1
6R及び16Lをそれぞれ対物レンズ系14R及び14
Lから引き離して観察対象物の合焦が行われる。勿論、
光学プリズム系16R及び16Lがそれぞれ対物レンズ
系14R及び14Lから最大距離まで引き離されたと
き、2メートル先の観察対象物の合焦が得られることに
なる。
【0042】転輪軸筒54内にはレンズ鏡筒66が設置
させられ、このレンズ鏡筒66内には第1レンズ群68
と第2レンズ群70とから成る撮影光学系が保持され
る。一方、ケーシング本体部分10Aの後方側壁の内側
壁面には回路基板72が取り付けられ、この回路基板7
2上には固体撮像素子例えばCCD(charge-coupled de
vice)撮像素子74が搭載され、このCCD撮像素子7
4はその受光面が撮影光学系(68、70)と整列する
ように配置される。後方スリーブ部材52の後方端面側
には内側フランジ部が形成され、その内側フランジ部に
は光学的ローパスフィルタ76が支持される。要する
に、本実施形態では、撮影機能付双眼鏡には所謂デジタ
ルカメラとしての撮影機能が与えられ、被写体は撮影光
学系(68、70)によって光学的ローパスフィルタ7
6を通してCCD撮像素子74の受光面に結像させられ
る。
【0043】図1ないし図3では、撮影光学系(68、
70)の光軸は参照符号OSで示され、また右側及び左
側観察光学系12R及び12Lのそれぞれの光軸が参照
符号OR及びOLで示される。勿論、右側及び左側観察
光学系12R及び12Lの光軸OR及びOLは互いに平
行であり、しかも撮影光学系(68、70)の光軸OS
とも平行である。図2及び図3に示すように、右側及び
左側観察光学系12R及び12Lの光軸OR及びOLは
撮影光学系(68、70)の光軸OSに平行な平面Pを
決定し、右側及び左側観察光学系12R及び12Lは該
平面Pに対して平行に移動することによりその光軸間距
離即ち眼幅の調節がなされる。
【0044】もし撮影光学系(68、70)が適当な距
離の前景被写体から無限遠の遠景被写体までの合焦が得
られるようなパンフォーカス設計とされ、しかもその合
焦可能範囲内だけで撮影を行うことが前提とされている
場合には、レンズ鏡筒66に合焦機構を組み込むことは
必要とされない。しかしながら、本発明による撮影機能
付双眼鏡を通常のカメラの場合と同様に、例えば2メー
ル先の前景被写体についても撮影することが望まれる場
合には、レンズ鏡筒66にも合焦機構が必要となる。
【0045】そこで、本実施形態では、転輪軸筒54の
内周壁面には雌ねじが形成され、一方レンズ鏡筒66の
外周壁面には雄ねじが形成され、これによりレンズ鏡筒
66は転輪軸筒54内で螺着される。レンズ鏡筒66の
前方端部は前方スリーブ部材50内に挿入させられ、該
前方端部には図7に示すように一対のキー溝78が直径
方向に形成され、各キー溝78はレンズ鏡筒66の前方
端縁からその長手軸線方向に沿って所定長さだけ延び
る。一方、前方スリーブ部材50の後方側端面に接近し
た箇所には一対のボアが直径方向に形成され、各ボアに
はキー溝78に係合するようになったピン要素80が植
設される。要するに、キー溝78とピン要素80との係
合により、レンズ鏡筒66の回転が阻止される。
【0046】かくして、転輪軸筒54がその転輪部56
の操作により回転させられると、レンズ鏡筒66はその
光軸に沿って移動させられる。即ち、転輪軸筒54の内
周壁面に形成された雌ねじとレンズ鏡筒66の外周壁面
に形成された雄ねじとは該転輪軸筒54の回転運動をレ
ンズ鏡筒66の直線運動に変換するための運動変換機能
を形成し、この運動変換機構はレンズ鏡筒66の合焦機
構として機能させられる。
【0047】転輪軸筒54の外周壁面に形成される雄ね
じ60とその内周壁面に形成される雌ねじとは互いに逆
向きとされ、このため転輪軸筒54が光学プリズム系1
6R及び16Lをそれぞれ対物レンズ系14R及び14
Lから引き離すように回転させられたとき、レンズ鏡筒
66はCCD撮像素子74から遠のくように移動させら
れ、かくしてパンフォーカスの範囲から外れた前景被写
体がCCD撮像素子74の受光面に合焦された状態で結
像される。勿論、転輪軸筒54の外周壁面の雄ねじピッ
チ及びその内周壁面の雌ねじピッチのそれぞれについて
は、一対の観察光学系12R及び12Lの光学特性及び
撮影光学系(68、70)の光学特性に応じて異なった
ものとされる。
【0048】図2、図3及び図7に示すように、ケーシ
ング本体部分10Aの底部壁の下側壁面には三脚の雲台
の雄ねじと螺着するようになった雌ねじ孔81が形成さ
れる。図2から明らかなように、可動ケーシング部分1
0Bがケーシング本体部分10Aに対して収納位置にあ
るとき、雌ねじ孔81はケーシング10の左右長のほぼ
中央に位置し、その位置は撮影光学系(68、70)の
光軸の直下となる。また、図7から明らかなように、雌
ねじ孔81はケーシング本体部分10Aの前方側縁辺に
近接して配置される。
【0049】図1、図2及び図3に示すように、ケーシ
ング本体部分10Aの右側端部内には電源回路基板82
が設けられ、この電源回路基板82はケーシング本体部
分10Aに対して適宜保持される。また、図2及び図3
に示すように、ケーシング本体部分10Aの底部壁と支
持板構造体20との間には主制御回路基板84が設けら
れ、この主制御回路基板84はケーシング本体部分10
Aの底部壁によって適宜支持される。主制御回路基板8
4にはマイクロコンピュータやメモリ等の電子部品が搭
載され、CCD搭載用回路基板72及び電源回路基板8
2は平坦なフレキシブル配線コード(図示されない)を
介して主制御回路基板84に適宜接続される。
【0050】本実施形態では、図2、図3及び図7に示
すように、ケーシング本体部分10Aの頂部壁の外側壁
面にはLCD(liquid crystal display)表示器86が配
置され、このLCD表示86は平坦な矩形状を呈する。
矩形状LCD表示器86はその一方の対向側辺が撮影光
学系(68、70)の光軸に対して直角となるように配
置され、しかもその前方側縁辺に沿う回動軸88のまわ
りで回動自在とされる。矩形状LCD表示器86は通常
は図7に実線で示す収納位置に置かれ、このとき矩形状
LCD表示器86の液晶表示画面はケーシング本体部分
10Aの頂部壁の上側壁面に対して直接対向しかつ平行
となるような姿勢とされるので、その液晶表示画面はモ
ニタされ得ない。CCD撮像素子74によって撮影作動
が行われるとき、LCD表示器86はその収納位置から
図7で破線で部分的に示すような表示位置まで手動操作
により回動させられ、このときLCD表示器86の液晶
表示画面が接眼レンズ系18R及び18Lの側からモニ
タされ得るようになっている。
【0051】図1、図2及び図3から明らかなように、
可動ケーシング部分10Bの左側端部内は仕切り壁29
によって仕切られ、その内部はバッテリ充填室90とし
て郭成される。バッテリ充填室90には二本のバッテリ
92が充填され、電源回路基板82は給電配線コード
(図示されない)を介してバッテリ92から給電を受
け、CCD搭載用回路基板72上のCCD撮像素子、主
制御回路基板84上のマイクロコンピュータやメモリ等
の電子部品及びLCD表示器86は電源回路基板82か
ら給電される。
【0052】図2及び図3に最もよく示すように、電源
回路基板82には2つの接続コネクタ、即ちビデオ出力
端子コネクタ出力94とUSB出力端子コネクタ95と
が上下方向に並んで搭載され、これら接続コネクタ94
及び95は例えば画像処理コンピュータ(図示されな
い)との接続ために用いられる。電源回路基板82は接
続コネクタ94及び95と共にシールドカバー96によ
って覆われ、シールドカバー96については適当な導体
材料例えば適当な厚さの鋼板から形成することができ
る。
【0053】また、図2及び図3に示すように、主制御
回路基板84の下側にはCFカードホルダ97が設けら
れ、このCFカードホルダ97にはCFカードがメモリ
カードとして抜差し自在に挿入し得るようになってい
る。
【0054】図8及び図9を参照すると、本発明による
撮影機能付双眼鏡の外観が平面図として図示される。図
8及び図9において、参照符号18R′及び18L′は
それぞれ接眼レンズ系18R及び18Lを収納するため
のレンズ鏡筒を示し、これらレンズ鏡筒18R′及び1
8L′の各々は横断面矩形状となっている。レンズ鏡筒
18R′は右側マウント板30Rの後方縁辺に沿う直立
板32Rに装着され、レンズ鏡筒18L′は左側マウン
ト板30Lの後方側縁辺に沿う直立板32Lに装着され
る(図6)。なお、参照符号98は可動ケーシング部分
10Bの頂部壁の上側壁面に形成された略半月状凹部を
示し、この略半月状凹部98には可動ケーシング部分1
0Bをケーシング本体部分10Aから引き出す際に指を
引っかけることができるので、ケーシング本体部分10
Aからの可動ケーシング部分10Bの引出しを容易に行
うことができる。
【0055】図8ではLCD表示器86は収納位置で示
され、また図9ではLCD表示器86は表示位置で示さ
れ、その液晶表示画面は参照符号100で示される。図
8及び図9から明らかなように、LCD表示器86が収
納位置から表示位置まで移動させられると、LCD表示
器86の液晶表示画面100は撮影機能付双眼鏡の後方
側即ち接眼側に向けられるので、観察者は観察動作時に
撮影機能付双眼鏡を少し下げることによりLCD表示器
86の液晶表示画面100をモニタすることができるだ
けでなく撮影機能付双眼鏡を少し上げることにより直ち
に観察動作に戻ることもできる。要するに、観察者は一
対の観察光学系12R及び12Lによる観察と液晶表示
画面100のモニタとの切替を迅速に行うことができる
ので、観察対象物(被写体)を見失うことなく最良のシ
ャッタチャンスを容易に捉えることが可能となる。
【0056】また、図8から明らかなように、LCD表
示器86が収納位置に置かれたとき、転輪部56の露出
部はLCD表示器86によって完全覆われるので、撮影
機能付双眼鏡の持ち運び時等に転輪部56が何かに触れ
て不用意に回転させられるというようなことが防止され
る。上述したように、撮影機能付双眼鏡の非使用時で
は、両接眼レンズ系18R、18Lはケーシング10内
に完全に収納され、このとき撮影機能付双眼鏡は最もコ
ンパクトな状態とされる。従って、このような状態でL
CD表示器86で転輪部56の露出部が覆われると、転
輪部56が不用意に操作あるいは動かされることが防止
されるので、撮影機能付双眼鏡の最もコンパクトな収納
状態が維持され得る。
【0057】図8及び図9に示すように、ケーシング本
体部分10Aの頂部壁の上側壁面上にはレリーズスイッ
チ102、被写体像表示スイッチ104、メニュー表示
スイッチ106及び方向スイッチ108が設けられ、こ
れらスイッチは右側観察光学系12Rの上方領域に纏め
て配置される。これらのスイッチは、不図示の電源スイ
ッチと同様に、主制御回路基板84上の不図示のマイク
ロコンピュータに接続されており、マイクロコンピュー
タはこれらスイッチの入力状態に基づいて、各スイッチ
操作に割り当てられた動作を行う。勿論、スイッチ10
2、104、106及び108の操作は電源スイッチの
オフ状態では無効であり、電源スイッチのオン後に有効
となる。なお、電源スイッチはケーシング本体部分10
Aの側壁の適当な箇所に設けられ、その頂部壁の上側壁
面上には配置されない。
【0058】レリーズスイッチ102は撮影動作を開始
させるスイッチであり、レリーズスイッチ102の押下
により撮影作動が開始される。
【0059】被写体像表示スイッチ104はLCD表示
器86の液晶表示画面100に被写体像を動画として表
示させるか否かを選択する切替スイッチである。電源ス
イッチのオン直後では、LCD表示器86の液晶表示画
面100は何も表示されていない無表示状態とされる。
被写体像表示スイッチ104が押下されると、即ち被写
体像表示スイッチ104のオン操作が行われると、LC
D表示器86の液晶表示画面100に被写体像が動画と
して表示される。被写体像表示スイッチ104が再び押
下されると、即ち被写体像表示スイッチ104のオフ操
作が行われると、液晶表示画面100は無表示状態に戻
る。要するに、撮影機能付双眼鏡の電源スイッチがオン
状態で被写体像表示スイッチ104が押下される度毎
に、そのオン操作及びオフ操作が繰り返され、オン操作
時にLCD表示器86での動画表示が行われ、オフ操作
時にLCD表示器86での動画表示が解除されて無表示
状態となる。
【0060】メニュー表示スイッチ106はLCD表示
器86の液晶表示画面100にメニュー選択画面を表示
させるか否かを選択する切替スイッチである。電源スイ
ッチのオン直後では、LCD表示器86の液晶表示画面
100は何も表示されていない無表示状態とされる。メ
ニュー表示スイッチ106が押下されると、LCD表示
器86の液晶表示画面100には種々の設定項目を含む
メニュー選択画面が表示される。このとき方向スイッチ
108のいずれかを押下することにより、設定項目が反
転表示により選択されて確定される。メニュー表示スイ
ッチ106が再び押下されると、液晶表示画面100は
無表示状態に戻る。
【0061】電源スイッチのオン後に被写体像表示スイ
ッチ104が押下されると、CCD撮像素子74の受光
面に結像された被写体像は一フレーム分の画像データに
光電変換され、その一フレーム分の画像信号は所定の時
間間隔で順次読み出されて適宜画像処理された後に一フ
レーム分のデジタル画像データに変換される。次いで、
一フレーム分の画像データは主制御回路基板84上のフ
レームメモリに一旦書き込まれ、そのフレームメモリか
らデジタルビデオ信号として読み出される。続いて、デ
ジタルビデオ信号はアナログビデオ信号に変換された後
に適宜画像処理されてLCD表示器86に送られ、これ
によりLCD表示器86の液晶表示画面100には被写
体像が動画として再現表示される。勿論、被写体像表示
スイッチ104が再び押下されると、LCD表示器86
の液晶表示画面100は無表示状態に戻る。
【0062】レリーズスイッチ102がオンされると、
上述のフレームメモリに書き込まれた一フレーム分の画
像データが静止画像データとして読み出されて、主制御
回路基板84上のマイクロコンピュータ内のメモリに取
り込まれ、そこで適宜画像処理された後にCFカード9
7に所定のフォーマットに従って書き込まれる。CFカ
ード97は必要に応じてCFカードホルダ97から取り
出され、例えば画像処理コンピュータのCFカード用ド
ライバに装填され、そこで一フレーム分の画像データは
適宜処理された後に例えばプリンタによって撮影画像と
して出力される。一方、撮影機能付双眼鏡が接続コネク
タ94或いは95を介して画像処理コンピュータに接続
されている場合には、CFカードをCFカードホルダ9
7に装填された儘でその画像データを画像処理コンピュ
ータに転送することも可能である。
【0063】図10は図7と同様な縦断面図であって、
上述した実施形態の変形実施形態を示す図である。図1
0に示す変形実施形態では、転輪軸筒54の回転運動を
環状体62の直線運動に変換するための運動変換機構と
転輪軸筒54の回転運動をレンズ鏡筒66の直線運動に
変換するための運動変換機構とが上述した実施形態の場
合とは異なり、この点を除けば図10の撮影機能付双眼
鏡は図1ないし図9に示した撮影機能付双眼鏡と実質的
に同じものである。なお、図10では、図7に示した構
成要素と同様な構成要素については同じ参照符号が用い
られる。
【0064】詳述すると、図10に示す変形実施形態で
は、転輪軸筒54の外周壁面にはカム溝110(図10
では、カム溝110が平面上に展開された状態で破線に
よって示される)が形成され、このカム溝110には環
状体62の内側壁面からカムフォロワとして突出した短
軸112が摺動係合させられ、このカム溝110と短軸
112とにより、転輪軸筒54の回転運動を環状体62
の直線運動に変換するための運動変換機構が形成され
る。一方、転輪軸筒54の内周壁面にはカム溝114
(図10では、カム溝114が平面上に展開された状態
で破線によって示される)が形成され、このカム溝11
4にはレンズ鏡筒66の外側壁面からカムフォロワとし
て突出した短軸116が摺動係合させられ、このカム溝
114と短軸116とにより、転輪軸筒54の回転運動
をレンズ鏡筒66の直線運動に変換するための運動変換
機構が形成される。
【0065】図1ないし図9に示す実施形態のように、
運動変換機構が雄ねじと雌ねじとの螺着により形成され
る場合、転輪軸筒54の回転量は環状体62或いはレン
ズ鏡筒66の直線運動量に対して線型関係となる。しか
しながら、一対の観察光学系12R及び12L或いは撮
影光学系(68、70)の合焦位置については、対物光
学系14R及び14Lに対する光学プリズム系16R及
び16Lとの距離或いはCCD撮像素子74の受光面に
対する撮影光学系(68、70)に対する距離に対して
必ずしも線型関係とはならない。
【0066】従って、一対の観察光学系12R及び12
L或いは撮影光学系(68、70)について正確な合焦
位置を得るためには、図10に示すような変形実施形態
の場合のように、運動変換機構についてはカム溝(11
0、114)と短軸(112、116)とにより形成す
ることが好ましい。というのは、勿論、転輪軸筒54の
回転量と環状体62或いはレンズ鏡筒66の直線運動量
との関係を容易に非線型とすることが可能であり、その
結果として、一対の観察光学系12R及び12L或いは
撮影光学系(68、70)について正確な合焦位置が得
られるからである。しかしながら、実際には、一対の観
察光学系12R及び12Lについても或いは撮影光学系
(68、70)についても或る程度の焦点深度が得られ
るので、図1ないし図9に示す実施形態のように、運動
変換機構を雄ねじと雌ねじとの螺着により形成しても特
に差し支えはない。
【0067】図11及び図12を参照すると、本発明に
よる撮影機能付双眼鏡の別の実施形態が示され、この実
施形態はLCD表示器86の右方側辺から張出し部11
8が突出させられている点を除けば上述した実施形態と
同じものである。なお、図11及び図12は図8及び図
9にそれぞれ対応するものであり、図11及び図12で
は、図8及び図9に示す構成要素と同様な構成要素につ
いては同じ参照符号が用いられている。
【0068】図11及び図12の比較から明らかなよう
に、張出し部118はLCD表示器86が表示位置(図
12)から収納位置(図11)に戻されたとき、張出し
部118は被写体像表示スイッチ104を覆うように機
能する。換言すれば、LCD表示器86が収納位置に置
かれたとき、被写体像表示スイッチ104は張出し部1
18によって覆い隠されるようにLCD表示器86の右
方側辺に隣接して配置される。このような構成によれ
ば、撮影機能付双眼鏡の電源スイッチがオン状態でしか
もLCD表示器86に被写体像を動画として表示する必
要のないとき(即ち、LCD表示器86が収納位置に置
かれているとき)、被写体像表示スイッチ104を誤っ
て操作することが回避され得る。
【0069】例えば、LCD表示器86を収納位置に置
いた状態で撮影機能付双眼鏡を持ち運ぶとき、被写体像
表示スイッチ104は張出し部118によって覆い隠さ
れているので、被写体像表示スイッチ104が誤って動
作されてLCD表示器86での動画表示が無用に行われ
るということは回避され、このため撮影機能付観察光学
装置のバッテリ92が無駄に消費されるとうい事態が回
避される。
【0070】なお、LCD表示器86が収納位置に置か
れたとき、被写体像表示スイッチ104が転輪部56の
ようにLCD表示器86自体によって覆い隠されるよう
な位置に配置されている場合には、勿論、LCD表示器
86に張出し部118を設ける必要は無い。
【0071】
【発明の効果】以上の記載から明らかなように、本発明
による撮影機能付双眼鏡にあっては、観察者は被写体像
をモニタするための表示器の表示画面と一対の観察光学
系12R及び12Lによる観察との切替を迅速に行うこ
とができるので、観察対象物(被写体)を見失うことな
く最良のシャッタチャンスを容易に捉えることが可能と
なる。
【0072】また、本発明による撮影機能付双眼鏡にお
いては、転輪軸筒内に撮影光学系が組み込まれるので、
その双眼鏡としての機能を果たすために必要とされる全
体構成以上に大巾に嵩張らせることなく撮影機能を組み
込むことが可能であり、また撮影光学系は一対の観察光
学系とは独立しているので、十分な光量で撮影を行うこ
とができる。なお、双眼鏡の転輪部には観察者の指で容
易に回転し得るように比較的大きな径が与えられるの
で、該転輪部の回転軸が撮影光学系を設置するための転
輪軸筒として形成されたとしても、双眼鏡としての機能
を果たすために必要とされる全体構成が大巾に嵩張ると
いうようなことはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による撮影機能付双眼鏡の一実施形態を
示す平面断面図である。
【図2】図1のII-II線に沿う断面図であって、撮影機
能付双眼鏡の可動ケーシング部分を収納位置で示す図で
ある。
【図3】図2の同様な断面図であって、撮影機能付双眼
鏡の可動ケーシング部分を最大引出し位置で示す図であ
る。
【図4】撮影機能付双眼鏡のケーシング内に設けられる
支持板構造体の平面図である。
【図5】図4に示す支持板構造体上に設置される右側マ
ウント板及び左側マウント板の平面図である。
【図6】図5のVI-VI線に沿う矢視図である。
【図7】図1のVII-VII線に沿う縦断面図である。
【図8】本発明による撮影機能付双眼鏡の外観を示す平
面図であって、LCD表示器を収納位置で示す図であ
る。
【図9】図8と同様な平面図であって、LCD表示器を
表示位置で示す図である。
【図10】図7と同様な縦断面図であって、本発明によ
る撮影機能付双眼鏡の変形実施形態を示す図である。
【図11】本発明による撮影機能付双眼鏡の別の実施形
態の外観を示す、図8に対応した平面図であって、LC
D表示器を収納位置で示す図である。
【図12】図11と同様な平面図であって、LCD表示
器を表示位置で示す図である。
【符号の説明】
10 ケーシング 10A ケーシング本体部分 10B 可動ケーシング部分 12R 右側観察光学系 12L 左側観察光学系 20 支持板構造体 20A 矩形状固定板 20B スライド板 30R 右側マウント板 30L 左側マウント板 46 連結手段 46A ロッド部材 46B 二股部材 50 前方スリーブ部材 52 後方スリーブ部材 54 転輪軸筒 56 転輪部 62 環状体 66 レンズ鏡筒 68 第1レンズ群 70 第2レンズ群 74 CCD撮像素子 76 光学的ローパスフィルタ 86 LCD表示器 100 液晶表示画面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H04N 5/225 H04N 5/225 F 5C022 (72)発明者 米山 修二 東京都板橋区前野町2丁目36番9号 旭光 学工業株式会社内 (72)発明者 金井 守康 東京都板橋区前野町2丁目36番9号 旭光 学工業株式会社内 (72)発明者 舩津 剛治 東京都板橋区前野町2丁目36番9号 旭光 学工業株式会社内 (72)発明者 白井 雅実 東京都板橋区前野町2丁目36番9号 旭光 学工業株式会社内 Fターム(参考) 2H039 AA05 AA06 AB22 AB43 AC04 2H044 CA02 CA06 2H100 AA11 AA18 AA32 AA33 BB05 BB06 CC01 CC05 DD08 2H102 AA41 BA21 BA22 BB01 CA01 CA04 2H104 AA01 5C022 AA13 AC01 AC06 AC11 AC32 AC78 CA00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 観察光学系と、撮影光学系と、該観察光
    学系及び該撮像光学系を収容するケーシングとを具備
    し、前記観察光学系を合焦させるべく該観察光学系の一
    部分はその他の部分に対して相対的に移動可能とされ、
    更に、前記観察光学系に合焦を行わせるための転輪部
    と、この転輪部の回転運動を前記観察光学系の双方の部
    分の相対的移動に変換させる運動変換機構とを具備し、
    前記転輪部がその回転操作のために前記ケーシングの頂
    部壁から部分的に露出された転輪部を備える撮影機能付
    観察光学装置において、 前記ケーシングの頂部壁の上側壁面には前記撮影光学系
    によって捉えられた被写体像を表示するためのモニタ用
    表示器が設けられ、このモニタ用表示器はその前方縁側
    で前記撮影光学系の光軸に対して直角な回動軸線のまわ
    りで収納位置と表示位置との間で回動自在とされ、前記
    モニタ用表示器が前記収納位置に置かれたとき、該モニ
    タ用表示器の表示画面が前記ケーシングの頂部壁の上側
    壁面側に向けられ、前記モニタ用表示器が前記表示位置
    に置かれたとき、該モニタ用表示器の表示画面が前記観
    察光学系の接眼側に向けられ、前記モニタ用表示器が前
    記収納位置に置かれたとき、前記転輪部の露出部が該モ
    ニタ用表示器によって覆われることを特徴とする撮影機
    能付観察光学装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の撮影機能付観察光学装
    置において、前記ケーシングの上側壁面には前記撮影光
    学系で捉えられた被写体像を前記モニタ用表示器に動画
    として表示するか否かを選択するための被写体像表示ス
    イッチが設けられ、前記モニタ用表示器が前記収納位置
    に置かれたとき、前記被写体像表示スイッチが該モニタ
    用表示器によって覆われることを特徴とする撮影機能付
    観察光学装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の撮影機能付観察光学装
    置において、前記モニタ用表示器が前記収納位置に置か
    れたとき、前記被写体像表示スイッチが該モニタ用表示
    器に隣接して配置され、前記モニタ用表示器には前記被
    写体像表示スイッチを覆うための張出し部が形成される
    ことを特徴とする撮影機能付観察光学装置。
  4. 【請求項4】 請求項1から3までのいずれか1項に記
    載の撮影機能付観察光学装置において、前記転輪部が転
    輪軸筒の周囲拡張部として構成され、前記撮影光学系が
    前記転輪軸筒内に設置されることを特徴とする撮影機能
    付観察光学装置。
  5. 【請求項5】 請求項1から4までのいずれか1項に記
    載の撮影機能付観察光学装置において、前記観察光学系
    が一対設けられ、前記ケーシングには、ケーシング本体
    部分と、このケーシング本体部分に対して摺動自在とな
    った可動ケーシング部分とが含まれ、前記ケーシング本
    体部分には前記一対の観察光学系の一方が収容され、前
    記可動ケーシング部分には前記一対の観察光学系の他方
    が収容され、前記ケーシング本体部分に対して前記可動
    ケーシング部分を相対的に移動させることにより前記一
    対の観察光学系の眼幅調節が行われ、前記モニタ用表示
    器が前記ケーシング本体部分の頂部壁上に配置されるこ
    とを特徴とする撮影機能付観察光学装置。
  6. 【請求項6】 請求項4または5に記載の撮影機能付観
    察光学装置において、前記撮影光学系を合焦させるべく
    前記転輪軸筒の回転運動を該撮影光学系の直線運動に変
    換させる合焦機構が設けられることを特徴とする撮影機
    能付観察光学装置。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の撮影機能付観察光学装
    置において、前記転輪軸筒の後方側端から所定距離だけ
    離れて前記撮影光学系と整列された固体撮像素子が設け
    られ、前記撮影光学系の合焦点が前記固体撮像素子の受
    光面とされ、前記固体撮像素子によって捉えられた被写
    体像が前記モニタ用表示器に必要に応じて表示されるこ
    とを特徴とする撮影機能付観察光学装置。
  8. 【請求項8】 請求項1から7までのいずれか1項に記
    載の撮影機能付観察光学装置において、前記観察光学系
    の一部分が前記ケーシング内に完全に収容された収納位
    置と該ケーシングから突出した観察位置との間で移動可
    能とされることを特徴とする撮影機能付観察光学装置。
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