JP4181368B2 - 撮影機能付双眼鏡 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はカメラを搭載した撮影機能付双眼鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、双眼鏡は例えばスポーツ観戦や野鳥観察等に利用される。このような場合、観戦者及び観察者は写真として記録したい場面に屡々遭遇するが、しかし双眼鏡をカメラに持ち替える間にシャッタチャンスを逃すことは容易に想像し得る。そこで、双眼鏡で観戦或いは観察中にシャッタチャンスを逃すことなく直ちに撮影を行えるように、双眼鏡にカメラを搭載した撮影機能付双眼鏡が既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような撮影機能付双眼鏡には、当然、観察対象物を拡大して観察するための一対の観察光学系と、該観察対象物を撮影するための撮影光学系とが設けられる。要するに、このような撮影機能付双眼鏡では、一対の観察光学系は観察対象物を拡大して観察する機能だけでなくカメラのファインダ光学系としての機能も担うことになる。
【0004】
一般的に、双眼鏡の観察光学系においては、その対物レンズ系の後側焦点と接眼レンズ系の前側焦点とがほぼ一致したとき、観察光学系によって無限遠の観察対象物(所謂遠景)が合焦状態で観察できるようになっている。従って、無限遠より近距離の観察対象物(所謂近景)を合焦状態で観察するためには、対物レンズ系と接眼レンズ系とを遠景に対する合焦状態から引き離して、近景を合焦させるための合焦操作が必要となる。そこで、観察光学系にはその対物レンズ系と接眼レンズ系とを相対的に移動させてその間の距離を調節するための合焦機構が組み込まれる。より具体的には、そのような合焦機構は、観察光学系に隣接して配置された転輪軸と、この転輪軸の回転運動を対物レンズと接眼レンズとの相対的な直進運動に変換させる運動変換機構として構成され、該転輪軸の周囲には転輪部が同軸に設けられ、観察者は該転輪部を指操作により回転させることにより運動変換機構を作動させるようになっている。
【0005】
ところが、特許文献1に開示されているような撮影機能付双眼鏡では、一対の観察光学系の合焦については何等言及されていない。また、上述したように、撮影時、一対の観察光学系は撮影範囲を表示するファインダ光学系として機能することになり、その観察対象物が被写体像として撮影光学系によって捉えられるとき、その被写体像を撮影光学系によってどのように合焦させるかについても何等言及されていない。
【0006】
また、撮影機能付双眼鏡にあっては、レリーズスイッチもその外部周囲の適当な箇所に設けることが必要であり、このようなレリーズスイッチの操作も観察者の指によって行われることになる。従って、一対の観察光学系に合焦機構が組み込まれる場合には、少なくとも転輪部の操作とレリーズスイッチの操作を指によって行うことが観察者に対して要求されることになる。この場合、観察者はそれぞれ別の操作部材を指の触感で探すことになるので、合焦操作から撮影操作あるいは撮影操作から合焦操作への移行が迅速に行えない場合があり、またこの間には双眼鏡の保持が不安定になる恐れがある。
【0007】
【特許文献1】
実開平6−2330号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、カメラを搭載した撮影機能付双眼鏡であって、双眼鏡を安定に保持しつつ、迅速且つ容易に合焦操作と撮影操作とが行い得るようにレリーズスイッチの配置が配慮されている撮影機能付双眼鏡を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による撮影機能付双眼鏡は、一対の観察光学系と、撮影光学系と、該一対の観察光学系及び該撮像光学系を収容するケーシングとを具備する。本発明によれば、一対の観察光学系に合焦運動を行わせるための転輪部とレリーズスイッチとがケーシングの頂部壁の上側壁面に設けられ、しかも該レリーズスイッチが転輪部の回転軸線のほぼ上方位置に配置されることが特徴とされる。このような構成によれば、観察者の指操作によって転輪部を回転させて合焦操作を行った後に、迷うことなく、同じ指でレリーズスイッチを直ちに操作することが可能となる。また逆に、撮影操作を行った後、直ちに次の観察物への合焦操作へ移行することが可能であり、双眼鏡を安定に保持したまま、撮影動作と合焦動作を迅速且つ容易に行うことができる。しかも観察者が右利きでも左利きでも転輪部及びレリーズスイッチの操作性は実質的に同様なものとなる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態では、レリーズスイッチの配置については、レリーズスイッチの操作釦の操作方向の延長軸が転輪部の回転軸線と実質的に直交するように規定される。
【0011】
本発明による撮影機能付双眼鏡では、撮影光学系で捉えた被写体像を表示する表示手段が設けられ得る。このような表示手段は好ましくはケーシングの上側壁面で収納位置と表示位置との間で移動自在に装着され、該表示手段が収納位置に置かれたとき、レリーズスイッチが表示手段によって覆い隠されるようにされる。このような構成によれば、表示手段が収納位置に置かれているとき、即ち撮影機能を使用しないとき、レリーズスイッチが不用意に操作されることが回避され得る。
【0012】
本発明の好適な実施形態にあっては、各観察光学系にはその光軸に沿って対物光学系、正立光学系及び接眼光学系が含まれ、しかも対物光学系と正立光学系及び接眼光学系とは該観察光学系の光軸に沿って互いに相対的に移動可能とされる。一対の観察光学系の間には転輪部によって回転させられるようになった転輪軸が設けられ、各観察光学系を合焦させるべく転輪軸の回転運動を該観察光学系の対物光学系と正立光学系及び接眼光学系との間の相対的直進運動に変換させる合焦機構が設けられる。
【0013】
また、本発明の好適な実施形態にあっては、ケーシングには、ケーシング本体部分と、このケーシング本体部分に対して摺動自在となった可動ケーシング部分とが含まれ、ケーシング本体部分には一対の観察光学系の一方が収容され、可動ケーシング部分には一対の観察光学系の他方が収容され、ケーシング本体部分に対して可動ケーシング部分を相対的に移動させることにより一対の観察光学系の眼幅調節が行われる。この場合、転輪部及びレリーズスイッチについてはケーシング本体部分の上側壁面に設けられる。
【0014】
更に、本発明の好適な実施形態にあっては、転輪軸は転輪軸筒として構成され、この転輪軸筒内に撮影光学系が設置される。この場合、転輪軸筒の後方側端から所定距離だけ離れて撮影光学系と整列された固体撮像素子が設けられ、また撮影光学系を合焦させるべく転輪軸筒の回転運動を該撮影光学系の直進運動に変換させる合焦機構が設けられる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照して、本発明による撮影機能付双眼鏡の一実施形態について説明する。
【0016】
先ず、図1を参照すると、本発明による撮影機能付双眼鏡の内部構造が平面図として示され、図2を参照すると、図1のII-II線に沿う断面図が示されている。本実施形態では、撮影機能付双眼鏡は略直方形を呈するケーシング10を具備し、このケーシング10はケーシング本体部分10Aと可動ケーシング部分10Bとから成る。
【0017】
ケーシング10内には一対の観察光学系12R及び12Lが設けられ、この一対の観察光学系12R及び12Lは左右対象な構成を有し、それぞれ右眼観察用及び左眼観察用として使用される。右側観察光学系12Rはケーシング本体部分10Aに組み込まれ、この右側観察光学系12Rには対物レンズ系14R、正立プリズム系16R及び接眼レンズ系18Rが含まれる。ケーシング本体部分10Aの前方壁には観察窓19Rが形成され、この観察窓19Rは右側観察光学系12Rの対物レンズ系14Rと整列させられる。また、左側観察光学系12Lは可動ケーシング部分10B側に組み込まれ、この左側観察光学系12Lには対物レンズ系14L、正立プリズム系16L及び接眼レンズ系18Lが含まれる。可動ケーシング部分10Bの前方壁には観察窓19Lが形成され、この観察窓19Lは左側観察光学系12Lの対物レンズ系14Lと整列させられる。
【0018】
なお、以下の記載では、説明の便宜上、前方側及び後方側とはそれぞれ撮影機能付双眼鏡の観察光学系(12R、12L)に対して対物側及び接眼側として定義される。
【0019】
可動ケーシング部分10Bはケーシング本体部分10Aから左方側に引き出し得るように該ケーシング本体部分10Aに対して摺動自在に係合させられる。即ち、可動ケーシング部分10Bは図2に示す収納位置と図3に示す最大引出し位置との間で左右方向に移動自在とされる。可動ケーシング部分10Bとケーシング本体部分10Aとの間の摺動係合面には或る程度の摩擦力が働くようになっており、このためケーシング本体部分10Aに対して可動ケーシング部分10Bを移動させる際には双方の部分10A及び10B間に所定以上の引出し力或いは押込み力を及ぼすことが必要となる。要するに、可動ケーシング部分10Bはその収納位置(図2)と最大引出し位置(図3)との間の任意の位置で摩擦力で留めておくことが可能である。
【0020】
図2及び図3の比較から明らかなように、可動ケーシング部分10Bがケーシング本体部分10Aから引き出されたとき、左側観察光学系12Lは可動ケーシング部分10Bと共に移動するが、しかし右側観察光学系12Rはケーシング本体部分10A側に留められる。即ち、可動ケーシング部分10Bをケーシング本体部分10Aに対して任意の引出し位置に位置決めすることにより、右側観察光学系12Rの接眼レンズ系18Rと左側観察光学系12Lの接眼レンズ系18Lとの光軸間距離即ち眼幅を調節することが可能である。
【0021】
本実施形態においては、右側観察光学系12Rの対物レンズ系14Rはケーシング本体部分10Aに対して固定位置に設置されるが、その正立プリズム系16R及び接眼レンズ系18Rは対物レンズ系14Rに対して前後方向に移動可能であり、これにより右側観察光学系12Rの合焦(フォーカシング)が行われる。同様に、左側観察光学系12Lの対物レンズ系14Lは可動ケーシング部分10Bに対して固定位置に設置されるが、その正立プリズム系16L及び接眼レンズ系18Lは対物レンズ系14Lに対して前後方向に移動可能であり、これにより左側観察光学系12Lの合焦(フォーカシング)が行われる。
【0022】
以上で述べたような眼幅調節及び合焦動作を行わせるために、ケーシング10の底部側には図4に示すような支持板構造体20が設けられる。なお、図1では、図示の複雑化を避けるために支持板構造体20は省かれている。
【0023】
支持板構造体20は、ケーシング本体部分10Aに対して適宜固定された矩形状固定板20Aと、この矩形状固定板20A上に摺動自在に配置されかつ可動ケーシング部分10Bに対して適宜固定されたスライド板20Bとから成る。スライド板20Bは矩形状固定板20Aの前後方向の幅にほぼ等しい幅を持つ矩形状部22と、この矩形状部22から右方側に一体的に延在した延在部24とから成る。右側観察光学系12Rの対物レンズ系14Rは矩形状固定板20A上の所定位置に固定設置され、左側観察光学系12Lの対物レンズ系14Lはスライド板20B上の所定位置に固定設置させられる。
【0024】
スライド板20Bの矩形状部22には一対の案内スロット26が形成され、またその延在部24には案内スロット27が形成される。一方、固定板22には、一対の案内スロット26に摺動自在に受け入れるようになった一対の案内ピン26′と、案内スロット27に摺動自在に受け入れるようになった案内ピン27′とが植設される。各案内スロット(26、27)は左右方向に同じ長さだけ延び、その長さはケーシング本体部分10Aに対する可動ケーシング部分10Bの移動距離、即ち可動ケーシング部分10Bの収納位置(図2)と可動ケーシング部分10Bの最大引出し位置(図3)との間の距離に対応する。
【0025】
図2及び図3から明らかなように、支持板構造体20はケーシング10内にその底部から適当な間隔を空けて設置され、このとき矩形状固定板20Aはケーシング本体部分10A側に適宜固定され、またスライド板20Bは可動ケーシング部分10B側に適宜固定される。なお、図示の実施形態では、可動ケーシング部分10Bに対するスライド板20Bの固定のために、その矩形状部22の左辺縁の一部に沿って取付片28が設けられ、この取付片28が可動ケーシング部分10Bの仕切り壁29に適宜固着される。
【0026】
図5を参照すると、右側観察光学系12Rの正立プリズム系16Rを搭載するための右側マウント板30Rと、左側観察光学系12Lの正立プリズム系16Lを搭載するための左側マウント板30Lが示される。図5及び図6から明らかなように、右側マウント板30R及び左側マウント板30Lのそれぞれの後方側縁辺に沿って直立板32R及び32Lが設けられる。図1に示すように、右側直立板32Rは右側接眼レンズ系18Rの取付座として用いられ、左側直立板32Lは左側接眼レンズ系18Lの取付座として用いられる。
【0027】
図6に示すように、右側マウント板30Rの底面にはその右側縁辺のほぼ中央に沿って案内シュー34Rが固着され、この案内シュー34Rには図2及び図3に示すように矩形状固定板20Aの右側端縁を摺動自在に受け入れる溝36Rが形成される。また、右側マウント板30Rの左側縁辺に沿って側壁38Rが設けられ、この側壁38Rの底部側は肥大部40Rとして形成され、この肥大部40Rには案内ロッド42Rを摺動自在に挿通させるボアが形成される。案内ロッド42Rの両端は矩形状固定板20Aの前方側縁辺及び後方側縁辺にそれぞれ一体的に形成された一対の対向直立支持片44Rに形成された孔に挿通させられて適宜固定される。
【0028】
一方、左側マウント板30Lの底面にはその左側縁辺のほぼ中央に沿って案内シュー34Lが固着され、この案内シュー34Lには図2及び図3に示すようにスライド板20Bの左側端縁を摺動自在に受け入れる溝36Lが形成される。また、左側マウント板30Lの右側縁辺に沿って側壁38Lが設けられ、この側壁38Lの底部側は肥大部40Lとして形成され、この肥大部40Lには案内ロッド42Lを摺動自在に挿通させるボアが形成される。案内ロッド42Lの両端はスライド板20Bの前方側縁辺及び後方側縁辺にそれぞれ一体的に形成された一対の対向直立支持片44Lに形成された孔に挿通させられて適宜固定される。
【0029】
なお、上述したように、支持板構造体20は図1では省かれているが、一対の対向直立支持片44Rと一対の対向直立支持片44Lとについては図示されている。
【0030】
以上述べたような構成により、可動ケーシング部分10Bがケーシング本体部分10Aから左方側に引き出されたとき、左側観察光学系12Lは可動ケーシング部分10Bと共に移動するので、右側観察光学系12Rの接眼レンズ系18Rと左側観察光学系12Lの接眼レンズ系18Lとの光軸間距離(即ち、眼幅)の調節が可能となる。
【0031】
また、右側観察光学系12Rの対物レンズ系14Rは右側マウント板30Rの前方側に配置されているので、右側マウント板30Rを案内ロッド42Rに沿って前後に移動させることにより、対物レンズ系14Rと正立プリズム系16Rとの距離が調節させられ、このため右側観察光学系12Rの合焦動作が行われることになる。同様に、左側観察光学系12Lの対物レンズ系14Lは左側マウント板30Lの前方側に配置されているので、左側マウント板30Lを案内ロッド42Lに沿って前後に移動させることにより、対物レンズ系14Lと正立プリズム系16Lとの距離が調節させられ、このため左側観察光学系12Lの合焦動作が行われることになる。
【0032】
右側マウント板30R及び左側マウント板30Lをそれぞれの案内ロッド42R及び42Lに沿って同期して移動させると共に右側マウント板30Rに対する左側マウント板30Lの左右方向の移動を許容させるために、図5に最もよく示すように、右側マウント板30R及び左側マウント板30Lは伸縮自在の連結手段46によって互いに連結させられる。
【0033】
詳述すると、本実施形態では、連結手段46は、右側マウント板30Rの側壁40Rの肥大部42Rの前方端部から左方側に延びた横断面矩形状のロッド部材46Aと、このロッド部材46Aを摺動自在に受け入れる二股部材46Bとから成る。ロッド部材46A及び二股部材46Bの長さについては、可動ケーシング部分10Bが収納位置(図2)から最大引出し位置(図3)まで引き出された際にもロッド部材46Aと二股部材46Bとの摺動係合が維持され得るものとされる。かくして、可動ケーシング部分10Bがケーシング本体部分10Aに対してどのような引出し位置にあっても、右側マウント板30R及び左側マウント板30Lはそれぞれの案内ロッド42R及び42Lに沿って同期して移動することができる。なお、ロッド部材46Rには横断面矩形状の孔47が形成されるが、この孔47の機能については後で説明する。
【0034】
図7を参照すると、図1のVII-VII線に沿って切断された縦断面図が示される。図1及び図7から明らかなように、ケーシング本体部分10Aの前方壁面には円形開口部48が形成され、この円形開口部48は可動ケーシング部分10Bがケーシング本体部分10Aに対して収納位置に置かれているときケーシング10の前方壁の中央に位置させられる。
【0035】
ケーシング本体部分10Aの前方側壁の内側壁面からは円形開口部48を取り囲むように前方スリーブ部材50が一体的に突出させられ、この前方スリーブ部材50の頂部側は図7に示すようにケーシング本体部分10Aと一体化させられる。一方、前方スリーブ部材50から後方側に所定の間隔を置いて後方スリーブ部材52が配置させられ、この後方スリーブ部材52はケーシング本体部分10Aの頂部壁の内側壁面から吊下するような態様で一体成形される。
【0036】
前方スリーブ部材50と後方スリーブ部材52とは互いに整列させられ、その間には転輪軸筒54が回転自在に適宜保持される。転輪軸筒54には転輪部56が後方スリーブ部材52に接近して一体的に形成され、この転輪部56の一部はケーシング本体部分10Aの頂部壁に形成された矩形開口部58を通して外部に露出させられる。なお、一対の観察光学系12R及び12Lの合焦動作時、転輪部56の露出部分は本発明による撮影機能付双眼鏡の観察者の例えば人指し指によって回転させられるようになっている。
【0037】
転輪軸筒54にはその前方端と転輪部56との間に雄ねじ60が形成され、この雄ねじ60には環状体62が螺着される。図2、図4及び図7から明らかなように、環状体62には半径方向外側に突出する突起部64が形成され、この突起部64の先端は連結手段46のロッド部材46Aに形成された横断面矩形状の孔47に嵌入させられる。従って、転輪部56が回転させられると、環状体62は転輪軸筒54の雄ねじ60と螺着されているためにその長手軸線方向に沿って移動させられ、その移動方向は転輪部56の回転方向に依存する。要するに、転輪軸筒54と環状体62とは転輪軸筒54の回転運動を環状体62の直進運動に変換させる運動変換機構を形成する。
【0038】
環状体62の突起部64の先端は連結手段46のロッド部材46Aの孔47に嵌入されているので、環状体62の移動に伴い、右マウント板30R及び左マウント板30Lも移動させられる。要するに、転輪部56の回転により、対物レンズ系14R及び14Lのそれぞれに対する正立プリズム系16R及び16Lの距離が調整され、このため一対の観察光学系12R及び12Lの合焦動作が行われることになる。
【0039】
本実施形態では、一対の観察光学系12R及び12Lについては、例えば、対物レンズ系14R及び14Lのそれぞれに対する正立プリズム系16R及び16Lの距離が最も短いときに40メール先から無限遠までの観察対象物の合焦が得られるようなレンズ設計とされ、2メートル先から40メートル先までの観察対象物を観察するとき、転輪軸筒54の回転により正立プリズム系16R及び16Lをそれぞれ対物レンズ系14R及び14Lから引き離して観察対象物の合焦が行われる。勿論、正立プリズム系16R及び16Lがそれぞれ対物レンズ系14R及び14Lから最大距離まで引き離されたとき、2メートル先の観察対象物の合焦が得られることになる。
【0040】
転輪軸筒54内にはレンズ鏡筒66が設置させられ、このレンズ鏡筒66内には第1レンズ群68と第2レンズ群70とから成る撮影光学系が保持される。一方、ケーシング本体部分10Aの後方側壁の内側壁面には回路基板72が取り付けられ、この回路基板72上には固体撮像素子例えばCCD(charge-coupled device)撮像素子74が搭載され、このCCD撮像素子74はその受光面が撮影光学系(68、70)と整列するように配置される。後方スリーブ部材52の後方端面側には内側フランジ部が形成され、その内側フランジ部には光学的ローパスフィルタ76が支持される。要するに、本実施形態では、撮影機能付双眼鏡には所謂デジタルカメラとしての撮影機能が与えられ、被写体は撮影光学系(68、70)によって光学的ローパスフィルタ76を通してCCD撮像素子74の受光面に結像させられる。
【0041】
撮影光学系(68、70)が適当な距離の前景被写体から無限遠の遠景被写体までの合焦が得られるようなパンフォーカス設計とされ、しかもその合焦可能範囲内だけで撮影を行うことが前提とされている場合には、レンズ鏡筒66に合焦機構を組み込むことは必要とされない。しかしながら、本発明による撮影機能付双眼鏡を通常のカメラの場合と同様に、例えば2メール先の前景被写体についても撮影することが望まれる場合には、レンズ鏡筒66にも合焦機構が必要となる。
【0042】
そこで、本実施形態では、転輪軸筒54の内周壁面には雌ねじが形成され、一方レンズ鏡筒66の外周壁面には雄ねじが形成され、これによりレンズ鏡筒66は転輪軸筒54内で螺着される。レンズ鏡筒66の前方端部は前方スリーブ部材50内に挿入させられ、該前方端部には図7に示すように一対のキー溝78が直径方向に形成され、各キー溝78はレンズ鏡筒66の前方端縁からその長手軸線方向に沿って所定長さだけ延びる。一方、前方スリーブ部材50の後方側端面に接近した箇所には一対のボアが直径方向に形成され、各ボアにはキー溝78に係合するようになったピン要素80が植設される。要するに、キー溝78とピン要素80との係合により、レンズ鏡筒66の回転が阻止される。
【0043】
かくして、転輪軸筒54がその転輪部56の操作により回転させられると、レンズ鏡筒66はその光軸に沿って移動させられる。即ち、転輪軸筒54の内周壁面に形成された雌ねじとレンズ鏡筒66の外周壁面に形成された雄ねじとは該転輪軸筒54の回転運動をレンズ鏡筒66の直進運動に変換するための運動変換機能を形成し、この運動変換機構はレンズ鏡筒66の合焦機構として機能させられる。
【0044】
転輪軸筒54の外周壁面に形成される雄ねじ60とその内周壁面に形成される雌ねじとは互いに逆向きとされ、このため転輪軸筒54が正立プリズム系16R及び16Lをそれぞれ対物レンズ系14R及び14Lから引き離すように回転させられたとき、レンズ鏡筒66はCCD撮像素子74から遠のくように移動させられ、かくしてパンフォーカスの範囲から外れた前景被写体がCCD撮像素子74の受光面に合焦された状態で結像される。勿論、転輪軸筒54の外周壁面の雄ねじピッチ及びその内周壁面の雌ねじピッチのそれぞれについては、一対の観察光学系12R及び12Lの光学特性及び撮影光学系(68、70)の光学特性に応じて異なったものとされる。
【0045】
図2、図3及び図7に示すように、ケーシング本体部分10Aの底部壁の下側壁面には三脚の雲台の雄ねじと螺着するようになった雌ねじ孔81が形成される。図2から明らかなように、本実施形態にあっては、可動ケーシング部分10Bがケーシング本体部分10Aに対して収納位置にあるとき、雌ねじ孔81はケーシング10の左右長のほぼ中央に位置し、その位置は撮影光学系(68、70)の光軸の直下となる。また、図7から明らかなように、雌ねじ孔81はケーシング本体部分10Aの前方側縁辺に近接して配置される。好ましくは、雌ねじ孔81の配置箇所については、可動ケーシング10Bがケーシング本体部分10Aに対して収納位置に置かれた状態での撮影機能付双眼鏡の重心の直下とされる。
【0046】
図1、図2及び図3に示すように、ケーシング本体部分10Aの右側端部内には電源回路基板82が設けられ、この電源回路基板82はケーシング本体部分10Aに対して適宜保持される。また、図2及び図3に示すように、ケーシング本体部分10Aの底部壁と支持板構造体20との間には主制御回路基板84が設けられ、この主制御回路基板84はケーシング本体部分10Aの底部壁によって適宜支持される。主制御回路基板84にはマイクロコンピュータやメモリ等の電子部品が搭載され、CCD搭載用回路基板72及び電源回路基板82は平坦なフレキシブル配線コード(図示されない)を介して主制御回路基板84に適宜接続される。
【0047】
本実施形態では、図2、図3及び図7に示すように、ケーシング本体部分10Aの頂部壁の外側壁面には撮影光学系(68、70)で捉えた被写体像を表示するための表示手段86が設けられる。本実施形態では、表示手段86は平坦な矩形状を呈するLCD(liquid crystal display)表示器として形成される。LCD表示器86はその一方の対向側辺が撮影光学系(68、70)の光軸に対して直角となるように配置され、しかもその前方側縁辺に沿う回動軸88のまわりで回動自在とされる。LCD表示器86は通常は図7に実線で示す収納位置に置かれ、このときLCD表示器86の液晶表示画面はケーシング本体部分10Aの頂部壁の上側壁面に対して直接対向しかつ平行となるような姿勢とされるので、その液晶表示画面はモニタされ得ない。CCD撮像素子74によって撮影作動が行われるとき、LCD表示器86はその収納位置から図7で破線で部分的に示すような表示位置まで手動操作により回動させられ、このときLCD表示器86の液晶表示画面が接眼レンズ系18R及び18Lの側からモニタされ得るようになっている。
【0048】
図1、図2及び図3から明らかなように、可動ケーシング部分10Bの左側端部内は仕切り壁29によって仕切られ、その内部はバッテリィ充填室90として郭成される。バッテリィ充填室90には二本のバッテリィ92が充填され、電源回路基板82は給電配線コード(図示されない)を介してバッテリィ92から給電を受け、CCD搭載用回路基板72上のCCD撮像素子74、主制御回路基板84上のマイクロコンピュータやメモリ等の電子部品及びLCD表示器86は電源回路基板82から給電される。
【0049】
図2及び図3に最もよく示すように、電源回路基板82には2つの接続コネクタ、即ちビデオ出力端子コネクタ出力94とUSB出力端子コネクタ95とが上下方向に並んで搭載され、これら接続コネクタ94及び95は例えば画像処理コンピュータ(図示されない)との接続ために用いられる。電源回路基板82は接続コネクタ94及び95と共にシールドカバー96によって覆われ、シールドカバー96については適当な導体材料例えば適当な厚さの鋼板から形成することができる。
【0050】
また、図2及び図3に示すように、主制御回路基板84の下側にはCFカードホルダ97が設けられ、このCFカードホルダ97にはCFカードがメモリカードとして抜差し自在に挿入し得るようになっている。
【0051】
図8及び図9を参照すると、本発明による撮影機能付双眼鏡の外観が平面図として図示される。図8及び図9において、参照符号18R′及び18L′はそれぞれ接眼レンズ系18R及び18Lを収納するためのレンズ鏡筒を示し、これらレンズ鏡筒18R′及び18L′の各々は横断面矩形状となっている。レンズ鏡筒18R′は右側マウント板30Rの後方縁辺に沿う直立板32Rに装着され、レンズ鏡筒18L′は左側マウント板30Lの後方側縁辺に沿う直立板32Lに装着される(図6)。なお、参照符号98は可動ケーシング部分10Bの頂部壁の上側壁面に形成された略半月状凹部を示し、この略半月状凹部98には可動ケーシング部分10Bをケーシング本体部分10Aから引き出す際に指を引っかけることができるので、ケーシング本体部分10Aからの可動ケーシング部分10Bの引出しを容易に行うことができる。
【0052】
図8ではLCD表示器86は収納位置で示され、また図9ではLCD表示器86は表示位置で示され、その液晶表示画面は参照符号100で示される。図8及び図9から明らかなように、LCD表示器86が収納位置から表示位置まで移動させられると、LCD表示器86の液晶表示画面100は撮影機能付双眼鏡の後方側即ち接眼側に向けられるので、観察者は観察動作時に撮影機能付双眼鏡を少し下げることによりLCD表示器86の液晶表示画面100をモニタすることができるだけでなく撮影機能付双眼鏡を少し上げることにより直ちに観察動作に戻ることもできる。要するに、観察者は一対の観察光学系12R及び12Lによる観察と液晶表示画面100のモニタとの切替を迅速に行うことができるので、観察対象物(被写体)を見失うことなく最良のシャッタチャンスを容易に捉えることが可能となる。
【0053】
図8及び図9に示すように、ケーシング本体部分10Aの頂部壁の上側壁面上にはレリーズスイッチ102、被写体像表示スイッチ104、メニュー表示スイッチ106及びクロススイッチ108が設けられ、これらスイッチは右側観察光学系12Rの上方領域に纏めて配置される。勿論、スイッチ102、104、106及び108の操作は電源スイッチのオフ状態では無効であり、電源スイッチのオン後に有効となる。なお、電源スイッチはケーシング本体部分10Aの側壁の適当な箇所に設けられ、その頂部壁の上側壁面上には配置されない。
【0054】
図9に示すように、ケーシング本体部分10Aの頂部壁の上側壁面上には更に別のレリーズスイッチ109が更に設けられる。スイッチ102、104、106及び108、109は、いずれも、操作釦と操作釦の押圧操作によりオンし、押圧が解除されるとオフされる自己復帰型スイッチとで構成されている(図中では、符号は各スイッチの操作釦を示している)。なお、各操作釦の操作方向は、図8、及び図9紙面に対して実質的に垂直方向となっている。可動ケーシング部分10Bがケーシング本体部分10Aに対して収納位置にあるとき、レリーズスイッチ109はケーシング10の左右長のほぼ中央に位置し、その位置は撮影光学系(68、70)の光軸即ち転輪部56の回転軸線のほぼ上方位置となる。好ましくは、レリーズスイッチ109の配置については、レリーズスイッチ109の操作釦の操作方向の延長軸(すなわち、図8及び図9紙面に垂直な軸)が前記転輪部56の回転軸線と実質的に直交するように規定される。
【0055】
また、本実施形態では、図9から明らかなように、レリーズスイッチ109はケーシング本体部分10Aの前方側縁辺に近接して配置される。要するに、レリーズスイッチ109は雌ねじ孔81と一直線上で実質的に整列する箇所に配置される。なお、レリーズスイッチ109の操作も電源スイッチのオフ状態では無効であり、電源スイッチのオン後に有効となる。また、図8から明らかなように、LCD表示器86が収納位置に置かれているとき、レリーズスイッチ109はLCD表示器86によって覆われて隠される。
【0056】
レリーズスイッチ102もレリーズスイッチ109も共に独立したスイッチであって、撮影動作を開始させるためのスイッチである。即ち、レリーズスイッチ102及びレリーズスイッチ109のいずれか一方の押下により、撮影作動が開始される。本実施形態では、レリーズスイッチ102については省いてもよく、この場合にはレリーズスイッチ109だけの操作で撮影動作が行われることになる。レリーズスイッチ109がLCD表示器86によって覆い隠されているとき、レリーズスイッチ109が不用意に操作されることが防止される。
【0057】
レリーズスイッチ102については、一対の観察光学系12R及び12Lを通して観察対象物を合焦状態で観察している間に撮影を行うときに使用することができる。左利きの観察者のために、レリーズスイッチ102は可動ケーシング部分10Bの頂部壁の上側壁面に配置させてもよい。
【0058】
転輪部56とレリーズスイッチ109とが上述したような配置関係にあると、転輪部56の操作後、即ち一対の観察光学系12R及び12Lによる観察対象物が合焦状態で観察された後、直ちに撮影を行うことが可能である。詳述すると、観察者が例えば人指し指で転輪部56の操作することにより、観察対象物が一対の観察光学系12R及び12Lを通して合焦されたとき、その観察対象物が直ちに撮影されべき状況であることが想定され得る。このような場合、観察者は転輪部56に添えられた人指し指を前方側にシフトすれば直ちにレリーズスイッチ109にアクセスすることができるので、シャッタチャンスを逃すことなく観察対象物を撮影することが可能である。なお、レリーズスイッチ109は転輪部56の回転軸線上に配置されているので、観察者が利きであるか左利きであるかに関係なく、レリーズスイッチ109観察者の右手或いは左手のいずれの人指し指でもアクセス可能である。
【0059】
被写体像表示スイッチ104はLCD表示器86の液晶表示画面100に被写体像を動画として表示させるか否かを選択する切替スイッチである。電源スイッチのオン直後では、LCD表示器86の液晶表示画面100は何も表示されていない無表示状態とされる。被写体像表示スイッチ104が押下されると、LCD表示器86の液晶表示画面100に被写体像が動画として表示される。被写体像表示スイッチ104が再び押下されると、液晶表示画面100は無表示状態に戻る。
【0060】
メニュー表示スイッチ106はLCD表示器86の液晶表示画面100にメニュー選択画面を表示させるか否かを選択する切替スイッチである。電源スイッチのオン直後では、LCD表示器86の液晶表示画面100は何も表示されていない無表示状態とされる。メニュー表示スイッチ106が押下されると、LCD表示器86の液晶表示画面100には種々の設定項目を含むメニュー選択画面が表示される。このときクロススイッチ108のいずれかを押下することにより、設定項目が反転表示により選択されて確定される。メニュー表示スイッチ106が再び押下されると、液晶表示画面100は無表示状態に戻る。
【0061】
電源スイッチのオン後に被写体像表示スイッチ104が押下されると、CCD撮像素子74の受光面に結像された被写体像は一フレーム分の画像データに光電変換され、その一フレーム分の画像信号は所定の時間間隔で順次読み出されて適宜画像処理された後に一フレーム分のデジタル画像データに変換される。次いで、一フレーム分の画像データは主制御回路基板84上のフレームメモリに一旦書き込まれ、そのフレームメモリからデジタルビデオ信号として読み出される。続いて、デジタルビデオ信号はアナログビデオ信号に変換された後に適宜画像処理されてLCD表示器86に送られ、これによりLCD表示器86の液晶表示画面100には被写体像が動画として再現表示される。勿論、被写体像表示スイッチ104が再び押下されると、LCD表示器86の液晶表示画面100は無表示状態に戻る。
【0062】
双方のレリーズスイッチ102及び109のいずれか一方がオンされると、上述のフレームメモリに書き込まれた一フレーム分の画像データが静止画像データとして読み出されて、主制御回路基板84上のマイクロコンピュータ内のメモリに取り込まれ、そこで適宜画像処理された後にCFカードに所定のフォーマットに従って書き込まれる。CFカードは必要に応じてCFカードホルダ97から取り出され、例えば画像処理コンピュータのCFカード用ドライバに装填され、そこで一フレーム分の画像データは適宜処理された後に例えばプリンタによって撮影画像として出力される。一方、撮影機能付双眼鏡が接続コネクタ94或いは95を介して画像処理コンピュータに接続されている場合には、CFカードをCFカードホルダ97に装填された儘でその画像データを画像処理コンピュータに転送することも可能である。
【0063】
また、本実施形態では、レリーズスイッチ109は撮影機能付双眼鏡が三脚の雲台上に搭載されたときに使用されることが意図されている。上述したように、レリーズスイッチ109は雌ねじ孔81と一直線上で実質的に整列させられているので、レリーズスイッチ109の押下時、撮影機能付双眼鏡に何等のモーメントも働くことはない。ここで言う「実質的に整列する」という意味は、レリーズスイッチ109と雌ねじ孔81とが幾何学的に完全に整列されなければならないということではなく、レリーズスイッチ109の押下時に撮影機能付双眼鏡にモーメントが働かない程度にレリーズスイッチ109と雌ねじ孔81とが整列していればよいということである。かくして、レリーズスイッチ109の押下時に撮影機能付双眼鏡が動くようなことはなく、このためブレ問題は発生し得ない。
【0064】
図10は図7と同様な縦断面図であって、上述した実施形態の変形実施形態を示す図である。図10に示す変形実施形態では、転輪軸筒54の回転運動を環状体62の直進運動に変換するための運動変換機構と転輪軸筒54の回転運動をレンズ鏡筒66の直進運動に変換するための運動変換機構とが上述した実施形態の場合とは異なり、この点を除けば図10の撮影機能付双眼鏡は図1ないし図9に示した撮影機能付双眼鏡と実質的に同じものである。なお、図10では、図7に示した構成要素と同様な構成要素については同じ参照符号が用いられる。
【0065】
詳述すると、図10に示す変形実施形態では、転輪軸筒54の外周壁面にはカム溝110(図10では、カム溝110が平面上に展開された状態で破線によって示される)が形成され、このカム溝110には環状体62の内側壁面からカムフォロワとして突出した短軸112が摺動係合させられ、このカム溝110と短軸112とにより、転輪軸筒54の回転運動を環状体62の直進運動に変換するための運動変換機構が形成される。一方、転輪軸筒54の内周壁面にはカム溝114(図10では、カム溝114が平面上に展開された状態で破線によって示される)が形成され、このカム溝114にはレンズ鏡筒66の外側壁面からカムフォロワとして突出した短軸116が摺動係合させられ、このカム溝114と短軸116とにより、転輪軸筒54の回転運動をレンズ鏡筒66の直進運動に変換するための運動変換機構が形成される。
【0066】
図1ないし図9に示す実施形態のように、運動変換機構が雄ねじと雌ねじとの螺着により形成される場合、転輪軸筒54の回転量は環状体62或いはレンズ鏡筒66の直進運動量に対して線型関係となる。しかしながら、一対の観察光学系12R及び12L或いは撮影光学系(68、70)の合焦位置については、対物光学系14R及び14Lに対する正立プリズム系16R及び16Lとの距離或いはCCD撮像素子74の受光面に対する撮影光学系(68、70)に対する距離に対して必ずしも線型関係とはならない。
【0067】
従って、一対の観察光学系12R及び12L或いは撮影光学系(68、70)について正確な合焦位置を得るためには、図8に示すような変形実施形態の場合のように、運動変換機構についてはカム溝(110、114)と短軸(112、116)とにより形成することが好ましい。というのは、勿論、転輪軸筒54の回転量と環状体62或いはレンズ鏡筒66の直進運動量との関係を容易に非線型とすることが可能であり、その結果として、一対の観察光学系12R及び12L或いは撮影光学系(68、70)について正確な合焦位置が得られるからである。しかしながら、実際には、一対の観察光学系12R及び12Lについても或いは撮影光学系(68、70)についても或る程度の焦点深度が得られるので、図1ないし図9に示す実施形態のように、運動変換機構を雄ねじと雌ねじとの螺着により形成しても特に差し支えはない。
【0068】
【発明の効果】
以上の記載から明らかなように、本発明による撮影機能付双眼鏡にあっては、そのケーシングの頂部壁の上側壁面にレリーズスイッチが転輪部の回転軸線のほぼ上方側にしかも該転輪部と整列して配置されるので、使用者は転輪部の操作後、即ち一対の観察光学系による観察対象物が合焦状態で観察された後、直ちに撮影動作態勢に入ることが可能であり、このため観察対象物を合焦させた直後でもシャッタチャンスを逃すことなく撮影を行うことができる。また、撮影操作後、直ちに観察対象物への合焦操作することも可能となる。また逆に、撮影操作を行った後、直ちに次の観察物への合焦操作へ移行することが可能であり、双眼鏡を安定に保持したまま、撮影動作と合焦動作を迅速且つ容易に行うことができる。
【0069】
また、本発明による撮影機能付双眼鏡にあっては、撮影機能付双眼鏡を三脚の雲台の装着させる雌ねじ孔をレリーズスイッチと一直線上で実質的に整列させた場合には、撮影機能付双眼鏡を三脚の雲台に搭載して撮影を行うときレリーズスイッチの押下時に撮影機能付双眼鏡に何等の動きを与えずに撮影を行うことができるので、高倍率の観察像を被写体像として鮮明に撮影することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による撮影機能付双眼鏡の一実施形態を示す平面断面図である。
【図2】図1のII-II線に沿う断面図であって、撮影機能付双眼鏡の可動ケーシング部分を収納位置で示す図である。
【図3】図2の同様な断面図であって、撮影機能付双眼鏡の可動ケーシング部分を最大引出し位置で示す図である。
【図4】撮影機能付双眼鏡のケーシング内に設けられる支持板構造体の平面図である。
【図5】図4に示す支持板構造体上に設置される右側マウント板及び左側マウント板の平面図である。
【図6】図5のVI-VI線に沿う矢視図である。
【図7】図1のVII-VII線に沿う縦断面図である。
【図8】本発明による撮影機能付双眼鏡の外観を示す平面図であって、LCD表示器を収納位置で示す図である。
【図9】図8と同様な平面図であって、LCD表示器を表示位置で示す図である。
【図10】図7と同様な縦断面図であって、本発明による撮影機能付双眼鏡の変形実施形態を示す図である。
【符号の説明】
10 ケーシング
10A ケーシング本体部分
10B 可動ケーシング部分
12R 右側観察光学系
12L 左側観察光学系
20 支持板構造体
20A 矩形状固定板
20B スライド板
30R 右側マウント板
30L 左側マウント板
46 連結手段
46A ロッド部材
46B 二股部材
50 前方スリーブ部材
52 後方スリーブ部材
54 転輪軸筒
56 転輪部
62 環状体
66 レンズ鏡筒
68 第1レンズ群
70 第2レンズ群
74 CCD撮像素子
76 光学的ローパスフィルタ
81 雌ねじ孔
86 LCD表示器
100 液晶表示画面
102 レリーズスイッチ
109 レリーズスイッチ

Claims (8)

  1. 一対の観察光学系と、撮影光学系と、該一対の観察光学系及び該撮像光学系を収容するケーシングと、前記撮影光学系で捉えた被写体像を表示するための表示手段とを具備する撮影機能付双眼鏡において、
    前記一対の観察光学系に合焦運動を行わせるための転輪部とレリーズスイッチとが前記ケーシングの頂部壁の上側壁面に設けられ、前記レリーズスイッチが、前記ケーシングの左右長の中央に位置し、前記転輪部の回転軸線のほぼ上方位置であって前記転輪部の近傍かつ前記転輪部よりも前記表示手段側に配置され、前記ケーシングの底部壁の下側壁面には三脚の雲台の雄ねじと螺着するようになった雌ねじ孔が形成され、前記雌ねじ孔が、前記レリーズスイッチと前記撮影機能付双眼鏡の重心と一直線上に実質的に整列するように、前記重心の真下に配置され、前記表示手段が前記上側壁面に対向する収納位置に置かれたとき、前記レリーズスイッチと、前記転輪部の一部と、前記転輪部を前記ケーシングの外部に露出させるために前記頂部壁に形成された開口部の一部とが前記表示手段によって覆い隠されることを特徴とする撮影機能付双眼鏡。
  2. 請求項1に記載の撮影機能付双眼鏡において、前記レリーズスイッチの配置については、該レリーズスイッチの操作釦の操作方向の延長軸線が前記転輪部の回転軸線と実質的に直交するように規定されることを特徴とする撮影機能付双眼鏡。
  3. 請求項1または2に記載の撮影機能付双眼鏡において、前記表示手段が、前記収納位置と、前記被写体像を観察するための表示位置との間で移動自在であることを特徴とする撮影機能付双眼鏡。
  4. 請求項1から3までのいずれか1項に記載の撮影機能付双眼鏡において、前記各観察光学系にはその光軸に沿って対物光学系、正立光学系及び接眼光学系が含まれ、しかも前記対物光学系と前記正立光学系及び接眼光学系とは該観察光学系の光軸に沿って互いに相対的に移動可能とされ、前記一対の観察光学系の間には前記転輪部によって回転させられるようになった転輪軸が設けられ、前記各観察光学系を合焦させるべく前記転輪軸の回転運動を該観察光学系の対物光学系と正立光学系及び接眼光学系との間の相対的直進運動に変換させる合焦機構が設けられることを特徴とする撮影機能付双眼鏡。
  5. 請求項4に記載の撮影機能付双眼鏡において、前記ケーシングには、ケーシング本体部分と、このケーシング本体部分に対して摺動自在となった可動ケーシング部分とが含まれ、前記ケーシング本体部分には前記一対の観察光学系の一方が収容され、前記可動ケーシング部分には前記一対の観察光学系の他方が収容され、前記ケーシング本体部分に対して前記可動ケーシング部分を相対的に移動させることにより前記一対の観察光学系の眼幅調節が行われ、前記転輪部及び前記レリーズスイッチが前記ケーシング本体の上側壁面に設けられることを特徴とする撮影機能付双眼鏡。
  6. 請求項4または5に記載の撮影機能付双眼鏡において、前記転輪軸が転輪軸筒として構成され、前記撮影光学系が前記転輪軸筒内に設置されることを特徴とする撮影機能付双眼鏡。
  7. 請求項6に記載の撮影機能付双眼鏡において、前記転輪軸筒の後方側端から所定距離だけ離れて前記撮影光学系と整列させられた固体撮像素子が設けられることを特徴とする撮影機能付双眼鏡。
  8. 請求項6または7に記載の撮影機能付双眼鏡において、前記撮影光学系を合焦させるべく前記転輪軸筒の回転運動を該撮影光学系の直進運動に変換させる合焦機構が設けられることを特徴とする撮影機能付双眼鏡。
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