JP2003171821A - エチレン−ビニルアルコール系共重合体繊維 - Google Patents

エチレン−ビニルアルコール系共重合体繊維

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発色性良好で、耐湿熱性に優れるエチレン−
ビニルアルコール系共重合体繊維を簡便に提供する。 【解決手段】 エチレン単位の含有量が25〜70モル
%であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)
とポリアミド系樹脂(B)とを溶融混練して得られる混
合物からなる繊維であって、該混合物は60℃のDMS
Oに対し不溶解性の成分を5〜75質量%含有してお
り、該不溶解性の成分は共重合体(A)成分中に島状に
分散し、該島の大きさが1nm〜300nm、島の数は繊維
断面でみて10ケ/μm以上存在しているエチレン−
ビニルアルコール系共重合体繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発色性、耐湿熱性
に優れる高吸湿性エチレン−ビニルアルコール系共重合
体からなる繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、合成繊維、例えばポリエステルや
ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド等の繊維は優れ
た物理的特性および化学的特性を有しており、衣料用途
のみならず広く産業用途にも使用されており、工業的に
貴重な価値を有している。これら合成繊維は、吸湿,吸
水性が低いため肌着、中衣、シーツ、タオル等の吸湿、
吸水性が要求される分野への進出は限定されているのが
実情である。例えばポリエステル繊維の場合には、従来
から最大の欠陥とも云える吸湿・吸水性を改善する提案
が種々なされ、具体的には、ポリエステル繊維を加工剤
で処理して親水化する方法やポリエステル繊維表面又は
内部を多孔質化して吸湿・吸水性を付与する方法などが
提案されている。しかしながら、これらの手法では吸湿
・吸水性が十分に付与できず、洗濯を行うことにより、
その性能が低下するという問題があつた。そこで、これ
らの問題点を改善するために、エチレン−酢酸ビニル系
共重合体のケン化物であるエチレン−ビニルアルコ−ル
系共重合体を一成分とする繊維が提案されている(特公
昭56−5846号公報、特公昭55−1372号公
報)。
【0003】これらの繊維は吸湿性を有しているもの
の、高温高圧染色や縫製、あるいはスチームアイロンの
使用により、繊維表面に露出したエチレン−ビニルアル
コール系共重合体が部分的に軟化や微膠着を生じ、織編
物としての風合が硬化するという課題があり、これを防
止するために、ジアルデヒド化合物によりアセタール化
処理する方法が、例えば、特公平7−84684号公報
に提案されている。しかしながら、アセタール化処理は
現行の染色工程以外の別工程を必要とするため加工コス
トが高くなるという問題、さらに廃液処理も煩雑である
などの種々の課題を有していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の従来技術の課題を解決し、アセタール化処理などの架
橋処理を繊維形成後に行うことなく、耐湿熱性と発色性
に優れる高吸湿性エチレン−ビニルアルコール系共重合
体繊維を簡便な手段で提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、エ
チレン単位の含有量が25〜70モル%であるエチレン
−ビニルアルコール系共重合体(A)とポリアミド系樹
脂(B)とを溶融混練して得られる混合物からなる繊維
であって、該混合物は60℃のDMSOに対し不溶解性
の成分を5〜75質量%含有しており、該不溶解性の成
分は共重合体(A)成分中に島状に分散し、該島の大き
さが1nm〜300nm、島の数は繊維断面でみて10ケ/
μm以上存在していることを特徴とするエチレン−ビ
ニルアルコール系共重合体繊維である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の繊維を構成するエチレン
−ビニルアルコール系共重合体(A)は、エチレン−酢
酸ビニル系共重合体のケン化物である。該共重合体に含
有されるエチレン単位の含有量は、好ましくは25〜7
0モル%であることが必要であり、好ましくは30〜5
5モル%である。該共重合体のエチレン単位の含有量が
70モル%を超えて高くなる、すなわちビニルアルコー
ル成分の含有量が低くなれば、得られるポリマーの融点
が低くなり、実用に満足な耐熱性を有するものを得るこ
とができない場合がある。また、水酸基の減少のために
親水性等の特性が低下し、親水性を有する天然繊維ライ
クの風合が得られにくくなる。一方、繊維構造から見る
と、ビニルアルコール成分の含有量が75%を超えて高
くなりすぎると、溶融紡糸性が低下するとともに、繊維
化する際の紡糸性が不良になる上、紡糸または延伸時に
単糸切れ、断糸が多くなる。
【0007】特に本発明においては、エチレン−ビニル
アルコール系共重合体(A)を紡糸する際に、共重合体
中のビニルアルコール成分の含有量が多くなれば、示差
走査熱量計(DSC)測定による融点ピークが高温側に
シフトし、ポリアミド系樹脂(B)とブレンド反応紡糸
性が好転する方向であるが、一方でエチレン単位の含有
量が少ないために溶融紡糸性が低下する低下する傾向が
ある。従って、高融点ポリアミドとをブレンド紡糸する
ことを考慮すれば、エチレン含有量が30〜55モル%
であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体を使用す
ることが好ましい。
【0008】本発明においては、エチレン−ビニルアル
コール系共重合体(A)にポリアミド系樹脂(B)を3
〜45質量%の割合、好ましくは5〜40質量%の割合
で溶融混練することによって該共重合体(A)とポリア
ミド系樹脂(B)との少なくとも一部を架橋結合させる
ことが重要である。この架橋反応は、溶融混練時のみに
止まらず繊維化した後の熱処理などによっても進行する
ものであるが、架橋反応は、主にポリアミドの末端カル
ボキシル基とエチレン−ビニルアルコール系共重合体の
−OHとの反応や、ポリアミドの末端アミノ基とエチレ
ン−ビニルアルコール系共重合体のカルボキシル基との
反応等によるものと推定される。架橋の程度は、95℃
の沸騰水中で膠着のない程度の耐熱性を有する必要があ
り、溶融混練時のポリアミド系樹脂(B)の分散状態に
よって、島表面と海成分の架橋反応の反応効率が影響さ
れ、ある範囲に分散していることが重要である。そし
て、本発明においては、溶融混練して得られる混合物に
は、60℃のDMSO中で2時間加熱攪拌した場合に、
不溶解性の成分が5〜75質量%含まれていることが重
要である。60℃のDMSO処理によって、混合物中の
エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)は溶解
し、ポリアミド系樹脂(B)と共重合体(A)とが架橋
反応して形成される樹脂成分および未反応のポリアミド
系樹脂(B)の両者が不溶解性の成分として確認され
る。本発明において、混合物中の不溶解性の成分の含有
量が5質量%未満であると、スチームアイロン、あるい
は洗濯、乾燥時に繊維間の膠着や過大収縮等を生じやす
い。一方、75質量%を越えると繊維化工程性が低下
し、風合いもぬめり感が強くなり好ましくない。したが
って、7〜50質量%の不溶解性の成分の含有量である
ことが好ましい。
【0009】本発明で使用されるポリアミド系樹脂
(B)の種類は特に限定されるものでないが、例えば、
ポリカプロラミド(ナイロン6)、ポリ−ω−アミノヘ
プタン酸(ナイロン7)、ポリウンデカンアミド(ナイ
ロン11)、ポリラウリンラクタム(ナイロン12)、
ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン2,6)ポ
リテトラメチレンアジパミド(ナイロン4,6)、ポリ
ヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6,6)、ポリヘ
キサメチレンセバカミド(ナイロン2,10)、ポリヘ
キサメチレンドデカミド(ナイロン6,12)、ポリオ
クタメチレンアジパミド(ナイロン8,6)、ポリデカ
ノメチレンアジパミド(ナイロン10,6)、ポリドデ
カメチレンセバカミド(ナイロン10,8)、あるい
は、カプロラクタム/ラウリンラクタム共重合体(ナイ
ロン6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸
共重合体(ナイロン6/9)、カプロラクタム/ヘキサ
メチレンアジペート共重合体(ナイロン6/6,6)、
ラウリンラクタム/ヘキサメチレンジアミンアジペート
共重合体(ナイロン12/6,6)、ヘキサメチレンジ
アミンアジペート/ヘキサメチレンジアミンセバケート
共重合体(ナイロン6,6/6,10)、エチレンジア
ミンアジペート/ヘキサメチレンジアミンアジペート共
重合体(ナイロン2,6/6,6)、カプロラクタム/
ヘキサメチレンジアミンアジペート/ヘキサメチレンジ
アミンセバケート共重合体(ナイロン6,6/6,1
0)などが挙げられる。なお、上記のナイロン表示中で
「,」の前後の数値はポリアミドを構成するジカルボン酸
成分とジアミン成分のそれぞれの炭素数を表すものであ
り、「/」は前後の数値で示されるポリアミド同士の共重
合体を表すものである。
【0010】これらのポリアミド系樹脂は、例えば、ナ
イロン6/12の縮重合時にポリエーテルジアミン類と
ジカルボン酸(ダイマー酸など)を添加して、高分子鎖
中にポリエーテル結合を有するポリアミドとしてもよ
い。また、縮合時にヘキサメチレンジアミンやラウリル
アミンのような脂肪族アミンやメタキシレンジアミンや
メチルベンジルアミンのような芳香族アミンを添加し
て、ポリアミド中のカルボキシル末端基を減少させたも
のも好ましい。また、例えば、メタキシリレンジアミン
と全量の80%以下のパラキシリレンジアミンを含む混
合キシリレンジアミンと、炭素数が6〜10個のα,ω
−脂肪族ジカルボン酸とから生成された構成単位を分子
鎖中に少なくとも70モル%含有するメタキシリレン基
含有ポリアミドも有効である。これらの重合体の例とし
ては、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリ
レンセバカミド、ポリメタキシリレンスペラミドなどの
ような単独重合体、およびメタキシリレン/パラキシリ
レンアジパミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリ
レンアゼラミド共重合体、などのような共重合体、なら
びにこれらの単独重合体または共重合体の成分とヘキサ
メチレンジアミンのような脂肪族ジアミン、ピペラジン
のような脂環式ジアミン、パラ−ビス−(2−アミノエ
チル)ベンゼンのような脂肪族ジアミン、テレフタル酸
のような脂肪族ジカルボン酸、ε−カプロラクタムのよ
うなラクタム、γ−アミノヘプタン酸のようなω−アミ
ノカルボン酸、パラ−アミノメチル安息香酸のような芳
香族アミノカルボン酸等とを共重合した共重合体等が挙
げられる。上記の共重合体において、パラキシリレンジ
アミンは全キシリレンジアミンに対して80%以下であ
り、好適には75%以下である。またキシリレンジアミ
ンと脂肪族ジカルボン酸とから生成された構成単位を分
子鎖中において少なくとも70モル%以上、さらには7
5モル%以上有していることが好ましい。また、これら
のポリマーには、たとえばナイロン6、ナイロン6,
6、ナイロン6,10、ナイロン11、ナイロン12、
ナイロン6,12等の重合体、帯電防止剤、滑剤、耐ブ
ロッキング剤、安定剤、染料、顔料等を含有してもよ
い。
【0011】さらに、非晶質ポリアミド、すなわち、D
SC測定において、実質上吸熱結晶融解ピークを有さな
いもので、主として、脂肪族ジアミンおよび芳香族ジカ
ルボン酸の重縮合体も用いられる。脂肪族ジアミンとし
ては、たとえばヘキサメチレンジアミン、2,2,4−
トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリ
メチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチ
レンジアミン、ビス−(4−アミノヘキシル)−メタ
ン、2,2−ビス−(4−アミノヘキシル)−イソプロ
ピリジン、1,4−(1,3)−ジアミノシクロヘキサ
ン、1,5−ジアミノペンタン、1,4−ジアミノブタ
ン、1,3−ジアミノプロパン、および2−エチルジア
ミノブタンなどが挙げられる。これらのジアミンは、一
種またはそれ以上を同時に用いることができる。なかで
も、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタンメチ
レンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、1,4−ジ
アミノブタン、および1,3−ジアミノプロパンが好適
に用いられる。芳香族ジカルボン酸としては、たとえば
イソフタール酸、テレフタール酸、アルキル置換イソフ
タール酸、アルキル置換テレフタール酸、ナフタレンジ
カルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸などが挙
げられる。これらのジカルボン酸は、一種またはそれ以
上を同時に用いることができる。なかでも、イソフター
ル酸、テレフタール酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフ
ェニルエーテルジカルボン酸などが熱成形性の面で好適
である。そして、非晶質ポリアミドとしての例として
は、ヘキサメチレンジアミン−イソフタール酸の重縮合
体、ヘキサメチレンジアミン−イソフタール酸/テレフ
タール酸の重縮合体、2,2,4−トリメチルヘキサメ
チレンジアミンおよび2,4,4−トリメチルヘキサメ
チレンジアミン−テレフタール酸の重縮合体などが挙げ
られる。なかでもイソフタール酸/テレフタール酸のモ
ル比が60/40〜95/5、さらには、65/35〜
90/10の範囲にあるヘキサメチレンジアミン−イソ
フタール酸/テレフタール酸の重縮合体が好適である。
【0012】上記のポリアミド系樹脂は1種または2種
以上用いられるが、上記樹脂のうち好適なポリアミド系
樹脂としては、ナイロン6、ナイロン6/6,6、ナイ
ロン6/12、メタキシリレンジアミン含有ポリアミ
ド、非晶質ポリアミドなどである。ナイロン6/12に
おける6成分と12成分の組成割合は特に制限はないが
12成分が60モル%以下、より好ましくは50モル%
以下が好ましい。
【0013】さらに本発明の(A)成分中においては、
不溶解性の成分が島形状となって分散し、その島の大き
さが1nm〜300nm、好ましくは10nm〜200
nmであり、島数は10ケ/μm以上であることが重
要である。島の大きさが300nmを超えると繊維化工
程性が不安定となるため好ましくなく、1nm未満にな
ると目的とする耐熱性が得られず不適当である。島数が
10ケ/μm未満になった場合も耐熱性が得られず不
適当である。島数の上限値は特に限定されないが、多す
ぎる場合はゲル化に至り紡糸不可能となるので、好まし
くは1000ケ/μm以下、さらには500ケ/μm
以下であることが望まれる。
【0014】本発明においては、その目的や効果を損な
わない範囲で、必要に応じて銅化合物等の安定剤、着色
剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止
剤、難燃剤、可塑剤、潤滑剤、結晶化速度遅延剤を重合
反応時、またはその後の工程で添加することができる。
【0015】また必要に応じて平均粒子径が0.01μ
m以上5μm以下の微粒子を0.05質量%以上10質
量%以下、重合反応時、またはその後の工程で添加する
ことができる。微粒子の種類は特に限定されず、たとえ
ばシリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫
酸バリウム等の不活性微粒子を添加することができ、こ
れらは単独で使用しても2種以上併用してもよい。特に
平均粒子径が0.02μm以上1μm以下の無機微粒子
が好ましく、紡糸性、延伸性が向上する。
【0016】また、本発明の繊維は、発色性に優れてお
り、例えば下記条件の染色加工を施した場合に、発色性
の指標であるL*値が18以下という優れた発色性を示
すものである。 染色条件 2段染色 1段目 Dianix Tuxedo Black Hconc 10%omf DisperTL 1g/l 酢酸(50%) 0.3cc/l 浴比 1:50 温度 105℃×40分 RC;80℃×20分 NaOH 1g/l ハイドロ 1g/l アミラジン 1g/l 2段目 Lanyl Black RW 3%omf (NH42SO4 5%omf NaSO 10%omf 浴比 1:50 温度 100℃×40分 ソーピング アミラジン 1g/l 70℃×20分
【0017】本発明の繊維を製造するには、エチレン−
ビニルアルコール系共重合体(A)とポリアミド系樹脂
(B)をチップブレンド、あるいはチップフィーダーを
用いて混合し、溶融混練効果の高いスクリュー構成にし
た二軸押出機で溶融押出し紡糸ヘッドに導入する。この
時の押し出し条件としては、温度はエチレン−ビニルア
ルコール系共重合体(A)とポリアミド系樹脂(B)の
融点の高い側を基準にして融点からプラス10℃の範
囲、滞留時間は2分から30分の範囲で設定する。エチ
レン−ビニルアルコール系共重合体は、260℃以上の
温度で長く滞留すると分解をはじめるため、高融点ポリ
アミドと混合紡糸する場合には、紡糸ヘッド温度を24
0〜290℃に押さえる必要がある。この場合、溶融紡
出速度などは、溶融紡出速度(溶融紡出量)を約20〜
50g/紡糸孔1mm・分程度とすると、品質の良好
な繊維を良好な紡糸工程性で得ることができるので好ま
しい。
【0018】また、紡糸口金における紡糸孔の大きさや
数、紡糸孔の形状などは、目的とする繊維の単繊維繊
度、トータルデニール、断面形状などに応じて調節する
ことができるが、紡糸孔(単孔)の大きさを約0.01
8〜0.07mm程度にしておくのが望ましい。紡糸
ヘッド温度条件によっては、紡糸口金の孔周囲にノズル
汚れが堆積して糸切れが発生するので、ノズル孔出口が
テーパー状に広がった形状にしたり、口金下の雰囲気を
スチームシールして酸素を遮断する手法が好ましい。
【0019】そして、上記によって溶融紡出した繊維
を、一旦ガラス転移温度以下の温度、好ましくはガラス
転移温度よりも10℃以上低い温度に冷却する。この場
合の冷却方法や冷却装置としては、紡出した繊維をその
ガラス転移温度以下に冷却できる方法や装置であればい
ずれでもよく特に制限されないが、紡糸口金の下に冷却
風吹き付け筒などの冷却風吹き付け装置を設けておい
て、紡出されてきた繊維に冷却風を吹き付けてガラス転
移温度以下に冷却するようにすることが好ましい。
【0020】その際に冷却風の温度や湿度、冷却風の吹
き付け速度、紡出繊維に対する冷却風の吹き付け角度な
どの冷却条件は、口金から紡出されてきた繊維を、揺れ
などを生じないようにしながら速やかに且つ均一にガラ
ス転移温度以下にまでに冷却できる条件であればよい。
そのうちでも、冷却風の温度を約20〜30℃、冷却風
の湿度を20〜60%、冷却風の吹き付け速度を0.4
〜1.0m/秒程度として、紡出繊維に対する冷却風の
吹き付け方向を紡出方向に対して垂直にして紡出した繊
維の冷却を行うのが、高品質の繊維を円滑に得ることが
できるので好ましい。また、冷却風吹き付け筒を用いて
前記の条件下で冷却を行う場合は、紡糸口金の直下にや
や間隔をあけてまたは間隔をあけないで、長さが約80
〜160cm程度の冷却風吹き付け筒を配置するのが好
ましい。また、引取り速度は、一旦巻き取ってから延伸
処理を行う場合、紡糸直結の一工程で紡糸延伸して巻き
取る場合、延伸を行わずに高速でそのまま巻き取る場合
で異なるが、おおよそ500m/minから6000m/minの
範囲で引き取れる。500m/min未満で紡糸できないこ
とはないが、生産性の点からは意味が少ない。一方、6
000m/minを越えるような高速では、繊維の断糸が起
こりやすい。生産性及び生産コストの面、さらには、本
発明のような溶融紡糸工程で架橋反応を生じるような繊
維においては高速紡糸方式(延伸省略)、紡糸直結延伸方
式で繊維化することが好ましい。
【0021】このようにして得られる本発明の繊維の単
繊維繊度は特に制限されず、用途に応じて適宜設定する
ことができ、例えば、0.1〜50dtexのものを製造する
ことができる。また、繊維の断面形状も丸断面以外の各
種断面形状(例えば中空状、偏平状、楕円状、多角形状
(3〜6角形など)3〜14葉状、T字状、H字状、V
字状、ドッグボーン状(I字状)など)とすることがで
きる。そして、かかる本発明の繊維は、例えば、衣料用途
や非衣料用途など各種の用途に好適に使用することがで
きるものである。
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれら実施例により何等限定されるものではな
い。なお、実施例中の測定値は以下の方法により測定さ
れたものである。 (1)融点(℃) 示差走査熱量計(DSC)により、以下の条件で測定し
て、吸熱ピーク温度で示す。 測定条件:35℃で1分間放置し、ついで300℃まで
速度10℃/分で昇温した。 (2)繊維の風合 ○:繊維の膠着が見られず、ソフトで嵩高感のある風合 ×:繊維に膠着が生じ、硬化している (3)L*値 染色物について日立307型カラーアナライザー(日立
製作所製;自動記録式分光光度計)を用いて測定した値
である。 (4)繊維化工程性 100kg紡糸した際の毛羽・断糸の発生状況で評価し
た。 ○:毛羽、断糸の発生なく良好 △:断糸はなく、毛羽の発生が僅かに認められる ×:断糸が発生 (5)島の分散状態、島の個数 透過型電子顕微鏡を用い観察した。 (6)不溶解性成分の含有量 繊維試料0.3gをDMSO溶媒50mlに入れ、60
℃×2時間加熱溶解し、処理前後の試料質量より求めた
値である。
【0023】実施例1 エチレン単位の含有量が44モル%であるエチレン−ビ
ニルアルコール系共重合体にナイロン6/12を10質
量%溶融混練し、口金温度260℃の条件で丸ノズルよ
り吐出し、1000m/分の速度で加熱ローラーに巻き
取り、次いで3000m/分の速度で直接延伸を行い、
83デシテックス/24フィラメントのマルチフィラメ
ントを得た。繊維化工程性は特に問題がなかった。次い
で得られた繊維を用いて編物を作成し、下記の条件で染
色および還元洗浄を行い、評価を行った結果、発色性、
風合ともに良好であった(表1参照)。 染色条件 2段染色 1段目 Dianix Tuxedo Black Hconc 10%omf DisperTL 1g/l 酢酸(50%) 0.3cc/l 浴比 1:50 温度 105℃×40分 RC;80℃×20分 NaOH 1g/l ハイドロ 1g/l アミラジン 1g/l 2段目 Lanyl Black RW 3%omf (NH42SO4 5%omf NaSO 10%omf 浴比 1:50 温度 100℃×40分 ソーピング アミラジン 1g/l 70℃×20分
【0024】
【表1】
【0025】実施例2〜5 ポリアミド系樹脂(B)の種類とその添加量を表1に示
すように変更すること以外は実施例1と同様に繊維化、
編成、染色処理を行った。いずれも、繊維化工程性に問
題はなく、編物の発色性、風合ともに良好であった。
【0026】実施例6〜8 エチレン単位の含有量を表1に示すように変更すること
以外は実施例1と同様に繊維化、編成、染色処理を行っ
た。いずれも、繊維化工程性に問題はなく、編物の発色
性、風合ともに良好であった。
【0027】比較例1、2 ポリアミド系樹脂(B)の添加量を表1に示すように変
更すること以外は実施例1と同様に繊維化、編成、染色
処理を行った。(B)の添加量が1質量%のものは繊維
化は可能であったがエチレン−ビニルアルコール系共重
合体の架橋反応が進行しないためか風合が硬いものであ
った。また、(B)の添加量が70質量%のものは、粘
度低下が大きく繊維化工程性が極めて悪く、得られた編
物の風合いもぬめり感の多いものであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D01F 6/90 311 D01F 6/90 311D (72)発明者 河本 正夫 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 下 浩幸 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 Fターム(参考) 4J002 BB22W CL01X CL03X CL05X CL07X GK01 4J031 AA12 AA15 AA55 AB01 AC03 AC07 AD01 AE03 AF15 4L035 AA05 BB36 EE01 EE05 EE20 LC05 LC06 LC09

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン単位の含有量が25〜70モル
    %であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)
    とポリアミド系樹脂(B)とを溶融混練して得られる混
    合物からなる繊維であって、該混合物は60℃のDMS
    Oに対し不溶解性の成分を5〜75質量%含有してお
    り、該不溶解性の成分は共重合体(A)成分中に島状に
    分散し、該島の大きさが1nm〜300nm、島の数は繊維
    断面でみて10ケ/μm以上存在していることを特徴
    とするエチレン−ビニルアルコール系共重合体繊維。
  2. 【請求項2】 ポリアミド系樹脂(B)がナイロン6/
    12、ナイロン6及びナイロン6,6からなる群より選
    ばれる少なくとも1種のポリアミド系樹脂である請求項
    1記載の繊維。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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