JP2003170449A - ビニルアルコール系重合体フィルムの製造法および偏光フィルム - Google Patents

ビニルアルコール系重合体フィルムの製造法および偏光フィルム

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JP2003170449A
JP2003170449A JP2001375269A JP2001375269A JP2003170449A JP 2003170449 A JP2003170449 A JP 2003170449A JP 2001375269 A JP2001375269 A JP 2001375269A JP 2001375269 A JP2001375269 A JP 2001375269A JP 2003170449 A JP2003170449 A JP 2003170449A
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slit
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pva
vinyl alcohol
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JP2001375269A
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English (en)
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Shigeyuki Harita
滋行 榛田
Akira Shiraishi
旭 白石
Toru Saneto
徹 実藤
Takanori Isozaki
孝徳 磯▲ざき▼
Satoshi Fujita
聡 藤田
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 厚みが均一で表面平滑性に優れた、特に偏光
フィルム用として好適なビニルアルコール系重合体フィ
ルムの製造法と、これにより得られるビニルアルコール
系重合体フィルムを用いて作製した偏光性能が均一な偏
光フィルムを提供する。 【解決手段】 ビニルアルコール系重合体を含有する製
膜原料を、スリット状開口部から二本以上のロール間に
架け渡されたエンドレスベルト上に流延または吐出して
製膜する際に、スリット状開口部に最も近いロールの中
心軸とスリット状開口部を結ぶ平面と、そのロールの中
心軸とロールの頂点を結ぶ平面とのなす角度が30°以
下に設定され、かつ、スリット状開口部とエンドレスベ
ルトとの間隔が10mm以下に設定されていることを特
徴とするビニルアルコール系重合体フィルムの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏光フィルムの製
造原料として有用で、表面平滑性と厚み均一性に優れた
ビニルアルコール系重合体フィルムの製造法と、これに
より得られるビニルアルコール系重合体フィルムを用い
て作製した偏光フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】光の透過および遮蔽機能を有する偏光板
は、光のスイッチング機能を有する液晶とともに、液晶
ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。こ
のLCDの適用分野も、開発初期の頃の電卓および腕時
計等の小型機器から、近年ではラップトップパソコン、
ワープロ、液晶カラープロジェクター、車載用ナビゲー
ションシステム、液晶テレビ等の広範囲に広がり、従来
以上に光学特性の均一性に優れた偏光板が求められてい
る。
【0003】一般に偏光板は、ビニルアルコール系重合
体フィルム(以下、これを「PVAフィルム」と略記
し、また、これの原料であるビニルアルコール系重合体
を「PVA」と略記することがある)を一軸延伸し、染
色することにより製造した偏光フィルムの両面に、三酢
酸セルロース(TAC)フィルムなどの保護フィルムを
貼り合わせた構成をしている。
【0004】特開平5−337967号公報や特開平5
−305642号公報には、エンドレスベルト上で熱風
を吹き付けて乾燥した後に、さらに高温の熱風で熱処理
を行うPVAフィルムの製造法について開示されてい
る。しかしながら、これらの先行文献には、均一なPV
Aフィルムを得るために、スリット状開口部とエンドレ
スベルトの距離などに関することは開示されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】偏光板の偏光性能を均
一化させるためには、PVAフィルムを均一に延伸する
こと、ムラなく貼り合わせることなど多くの注意点があ
るが、最も重要な点は偏光フィルムの素材となるPVA
フィルムの表面を平滑にすることと、厚みを均一にする
ことである。PVAフィルムの表面平滑性が劣っていた
り、厚みが不均一な場合には、得られる偏光板の偏光性
能を均一化させることが困難である。
【0006】そこで本発明の目的は、厚みが均一で表面
平滑性に優れた、特に偏光フィルム用として好適なPV
Aフィルムの製造法と、これにより得られるPVAフィ
ルムを用いて作製した偏光性能が均一な偏光フィルムを
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の製造法は、PVAを含有する製膜原料を、
ダイやホッパープレートなどのスリット状開口部から、
二本以上のロール間に架け渡されたエンドレスベルト上
に流延または吐出させて製膜する際に、スリット状開口
部に最も近いロールの中心軸とスリット状開口部を結ぶ
平面と、そのロールの中心軸とロールの頂点を結ぶ平面
とのなす角度が30°以下に設定され、かつ、スリット
状開口部とエンドレスベルトとの間隔が10mm以下に
設定されている。以上の製造法によれば、表面平滑性に
優れ、厚み均一性が良好なPVAフィルムが得られる。
【0008】このとき、前記ロールの中心軸とスリット
状開口部を結ぶ平面よりもスリット状開口部内部の面
が、上流側に10°乃至60°傾斜させて設置されてい
ることが好ましい。これによれば、より良好なPVAフ
ィルムが得られる。
【0009】また、PVAフィルムの製造時には、PV
Aを含有する製膜原料がスリット状開口部から流延また
は吐出されてエンドレスベルトに接触する位置のエンド
レスベルトの裏面は、ロールと接触していることが好ま
しい。これによっても、より良好なPVAフィルムが得
られる。
【0010】以上の製造法は、偏光フィルム用PVAフ
ィルムを作製するときに好適に用いられる。また、この
PVAフィルムを用いることにより、偏光性能が均一な
偏光フィルムが得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。図1は、本発明の製造法に用いる
PVAフィルムのベルト製膜装置の一例として、含水P
VA(有機溶剤を含んでいても良い。以下同じ)を溶融
して押し出す溶融押出製膜機を示しており、図2は、そ
の主要部を示している。この製膜機は、エンドレスベル
トの幅方向に細長いダイ1のスリット状開口部3から定
量の溶融PVA(製膜原料)4を定速で移動するエンド
レスベルト2上に押し出し、このエンドレスベルト2の
一部を通過させて、PVAフィルムを乾燥させる。この
後、このPVAフィルム11は、図示しないフローティ
ングドライヤーや乾燥用金属ロールや検査機などを通過
してワインダーに巻き取られる。
【0012】本発明は、以上のベルト製膜機を用いてP
VAフィルムを製膜する際に、前記ロール6の中心軸7
とスリット状開口部3を結ぶ平面Aと、ロール6の中心
軸7とロール6の頂点8を結ぶ平面Bとのなす角度θ1
が30°以下、より好ましくは25°以下、特に好まし
くは3°乃至20°の範囲に設定され、この範囲内に前
記スリット状開口部3が設置される。前記両平面A、B
のなす角度θ1が30°を超える位置にスリット状開口
部3を設置すると、得られるPVAフィルムの厚み均一
性が悪化する。
【0013】さらに、前記スリット状開口部3からエン
ドレスベルト2までの間隔Dは、10mm以下、より好
ましくは5mm以下、さらに好ましくは3mm以下に設
定される。このとき、前記間隔Dは、ダイ1の幅方向
(紙面に垂直方向)にわたって均一に保つことが重要で
ある。前記間隔Dが10mmを超える場合は、製膜原料
4がエンドレスベルト2に均一に接触しにくくなり、得
られるPVAフィルムの厚み均一性が悪化する。エンド
レスベルトとダイが接触すると装置破損の恐れがあるた
め、下限は1mmである。
【0014】ここで、前記スリット状開口部3からエン
ドレスベルト2表面までの間隔Dとは、前記平面Aとロ
ール表面の交差する点9からスリット状開口部3までの
間隔であり、一般に言われるエアギャップE(スリット
状開口部3から製膜原料4がエンドレスベルト2と接触
する位置5までの直線距離)ではない。
【0015】また、前記ダイ1を設置するに際しては、
そのスリット状開口部の内部の面が作る平面Cを、前記
金属ロール6の中心軸7とスリット状開口部3を結ぶ平
面Aに対して所定角度θ2だけ上流側(樹脂吐出方向後
方側)に傾斜させることが好ましい。この角度θ2は、
10°乃至60°、より好ましくは15°乃至50°、
最も好ましくは15°乃至40°である。ここで、前記
スリット状開口部の内部の面が作る平面Cを前記平面A
に対し上流側に10°未満傾斜させたり、上流側に60
°を超えて傾斜させたり、また、図2の二点鎖線で示す
ように、スリット状開口部の内部が作る平面Cを下流側
(樹脂吐出方向前方側)に傾けてダイ1の設置を行う場
合は、得られるPVAフィルムの表面平滑性が悪化する
場合がある。
【0016】さらにまた、前記スリット状開口部3から
吐出された製膜原料4が定速で移動するエンドレスベル
ト2に接触する位置5のエンドレスベルト2の裏面が、
ロール6に接触していることが好ましい。裏面がロール
6に接触していない場合は、得られるPVAフィルムの
厚み均一性が悪化する場合がある。
【0017】前記ロール6は、スチーム・熱媒・温水・
電気ヒーターなどにより加熱する。また、エンドレスベ
ルト2を囲むように設置された乾燥室は5部屋以上に分
割されており、各部屋で異なる温度の温風をPVAフィ
ルムに吹き付けたり、PVAフィルム周囲の空気や蒸気
などを吸引することが好ましい。
【0018】前記エンドレスベルト2は、金属製が好ま
しく、特に鏡面仕上げされたステンレス鋼製のものが好
ましい。エンドレスベルト2の幅は、ロールの幅と同じ
であるかまたはより狭く、より好ましくは1cm以上狭
く、さらに好ましくは5cm以上狭い方が好ましい。エ
ンドレスベルト2の幅がロールの幅より広い場合には、
PVAフィルムの幅方向の両端部付近の厚み斑が大きく
なる傾向がある。
【0019】本発明において用いることができるPVA
は、たとえば、ビニルエステルを重合して得られたポリ
ビニルエステルのエステル基のすべてまたは一部を水酸
基に変換することにより製造される。またPVAを不飽
和カルボン酸またはその誘導体、不飽和スルホン酸また
はその誘導体、オレフィンなどをグラフト共重合した変
性PVAや、ビニルエステルと不飽和カルボン酸または
その誘導体、不飽和スルホン酸またはその誘導体、オレ
フィンなどを共重合した変性ポリビニルエステルのエス
テル基のすべてまたは一部を水酸基に変換することによ
り製造される変性PVAや、未変性または変性PVAを
アルデヒド類で水酸基の一部を架橋したいわゆるポリビ
ニルアセタール樹脂などを挙げることができる。
【0020】前記のビニルエステルとしては、酢酸ビニ
ル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピ
バリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸
ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニルなどが例
示され、これらの1種または2種以上を使用することが
できるが、酢酸ビニルが好ましい。
【0021】一方、変性PVAに使用されるコモノマー
は、主としてPVAの変性を目的に共重合させるもの
で、本発明の趣旨を損なわない範囲で使用される。この
ようなコモノマーとして、たとえば、オレフィン類、ア
クリル酸およびその誘導体、メタクリル酸およびその誘
導体、マレイン酸およびその誘導体、イタコン酸および
その誘導体、アクリルアミド誘導体、メタクリルアミド
誘導体、N−ビニルアミド類、ビニルエーテル類、ニト
リル類、ハロゲン化ビニル類、アリル化合物類、ビニル
シリル化合物類、脂肪酸イソプロペニルなどが挙げら
れ、これらの1種または2種以上を使用することができ
る。
【0022】変性PVAを用いる場合の変性量は15モ
ル%以下が好ましく、5モル%以下がより好ましい。ま
たコモノマーとしては、炭素数2乃至30のα−オレフ
ィンが好ましく、特にエチレンが好ましい。
【0023】PVAのけん化度は、偏光性能と耐久性の
点から95モル%以上が好ましく、98モル%以上がよ
り好ましく、99モル%以上がさらに好ましく、特に9
9.5モル%以上が最も好ましい。
【0024】前記けん化度とは、けん化によりビニルア
ルコール単位に変換され得る単位の中で、実際にビニル
アルコール単位にけん化されている単位の割合を示した
ものである。なお、PVAのけん化度は、JIS記載の
方法により測定を行った。
【0025】PVAの重合度は、得られる偏光フィルム
の偏光性能と耐久性の点から1000以上が好ましく、
特に2500以上が最も好ましい。PVA重合度の上限
は8000以下が好ましく、6000以下がより好まし
い。
【0026】前記PVAの重合度(Po)は、JIS
K 6726に準じて測定される。すなわちPVAを再
けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘
度[η](単位:デシリットル/g)から次式により求
められる。 Po=([η]×10 /8.29)
(1/0.62)
【0027】PVAフィルムを製造する際に使用される
PVAを溶解する溶剤としては、公知のものが使用可能
であるが、ジメチルスルホキシド、水、またはグリセリ
ンと水の混合溶媒が好適に使用される。PVAフィルム
を製造する際に使用される含水PVAには、必要に応じ
てジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレング
リコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチ
レングリコール、トリメチロールプロパン、エチレンジ
アミン、ジエチレントリアミン、ジグリセリンなどの溶
媒が1種または2種以上含まれていても良い。
【0028】PVAフィルムを製造する際に使用される
PVA溶液または含水PVAのPVA濃度は、10乃至
70重量%が好適であり、10乃至60重量%がより好
適であり、13乃至55重量%がさらに好適であり、1
5乃至50重量%が最も好適である。このPVA溶液ま
たは含水PVAには、必要に応じて可塑剤、界面活性
剤、二色性染料などを含有させてもよい。
【0029】PVAフィルムを製造する際に可塑剤とし
て、グリセリンなどの多価アルコールを添加することが
好ましい。多価アルコールの添加量としては、PVA1
00重量部に対して30重量部以下が好ましく、3乃至
25重量部がより好ましく、5乃至20重量部が最も好
ましい。30重量部を超えると、PVAフィルムが柔軟
になりすぎて、取り扱い性が低下する場合がある。
【0030】PVAフィルムを製造する際には、界面活
性剤を添加することが好ましい。界面活性剤の種類とし
ては特に限定はないが、アニオン性またはノニオン性の
界面活性剤が好ましい。界面活性剤の添加量としては、
PVA100重量部に対して0.01乃至1重量部が好
ましく、0.02乃至0.5重量部がより好ましく、
0.05乃至0.3重量部が最も好ましい。0.01重
量部未満では、延伸性向上や染色性向上の効果が現れに
くく、1重量部を超えると、PVAフィルム表面に溶出
してブロッキングの原因になり、取り扱い性が低下する
場合がある。
【0031】製膜原料(溶融PVA)4の揮発分は、4
0重量%乃至90重量%が好適であり、特に45重量%
乃至85重量%が最も好適である。揮発分が90重量%
を超える場合は、得られる偏光フィルムに色斑が発生し
やすく、40重量%未満の場合には、均一な厚みのPV
Aフィルムが得られにくくなる場合がある。
【0032】PVAフィルムの厚さは、10μm乃至1
50μmが好ましく、20μm乃至80μmがより好ま
しい。PVAフィルムの厚みが10μm未満では、偏光
フィルムを製造する際の一軸延伸時に切断しやすく、一
方150μmを超えると、前記一軸延伸時に延伸斑が発
生し、得られる偏光フィルムに染色斑や光学斑が発生し
やすい場合がある。
【0033】このようにして得られたPVAフィルム
は、幅方向の両端部を除去した後に、金属またはプラス
チックでできた筒状のコアに巻き取られ、防湿包装の
上、宙吊り状態で保管することが好ましい。
【0034】また、本発明の方法によって得られるPV
Aフィルムから偏光フィルムを製造するには、たとえば
PVAフィルムを染色、一軸延伸、固定処理、乾燥処
理、さらに必要に応じて熱処理を行えばよく、染色、一
軸延伸、固定処理の操作順に特に制限はない。また、各
操作を二回またはそれ以上行ってもよい。
【0035】染色は、一軸延伸前、一軸延伸時、一軸延
伸後のいずれでも可能である。染料としては、ヨウ素−
ヨウ化カリウムや二色性直接染料などが使用できる。通
常、染色は、PVAフィルムを上記染料を含有する溶液
中に浸漬させることにより行うことが一般的であるが、
PVAフィルムに塗工したり、PVAフィルムに混ぜて
製膜するなど、その処理条件や処理方法は特に制限され
るものではない。
【0036】一軸延伸は、湿式延伸法または乾熱延伸法
が使用でき、温水中(前記染料を含有する液体中や後記
固定処理浴中でも良い)または吸水後のPVAフィルム
を用いて空気中で行うことができる。延伸温度は特に限
定されないが、PVAフィルムを温水中で延伸(湿式延
伸)する場合は30℃乃至90℃が、また乾熱延伸する
場合は50℃乃至180℃が好適である。また一軸延伸
の延伸倍率(多段の一軸延伸の場合には合計の延伸倍
率)は、得られる偏光フィルムの偏光性能の点から4倍
以上が好ましく、特に5倍以上が最も好ましい。延伸倍
率の上限は特に制限はないが、8倍以下であると均一な
延伸が得られやすいので好ましい。延伸後のフィルムの
厚みは、3μm乃至75μmが好ましく、5μm乃至5
0μmがより好ましい。
【0037】延伸フィルムへの上記染料の吸着を強固に
することを目的に、固定処理を行うことが多い。固定処
理に使用する処理浴には、通常、ホウ酸および/または
ホウ素化合物が添加される。また、必要に応じて処理浴
中にヨウ素化合物を添加しても良い。
【0038】前記延伸フィルムの乾燥処理(熱処理)は
30℃乃至150℃で行うのが好ましく、50℃乃至1
50℃で行うのがより好ましい。
【0039】以上のようにして得られた本発明の偏光フ
ィルムは、通常、その両面または片面に、光学的に透明
で、かつ機械的強度を有した保護フィルムを貼り合わせ
て偏光板として使用される。保護フィルムとしては、脂
肪酸セルロース系フィルム、アクリル系フィルム、ポリ
エステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリ
カーボネート系フィルム、ポリエーテルエーテルケトン
系フィルム、ポリスルホン系フィルムなどが挙げられる
が、三酢酸セルロースフィルムが好ましい。該保護フィ
ルムには、紫外線吸収剤を配合してもよい。偏光フィル
ムと保護フィルムの接着力を上げるため、両フィルムま
たは片方のフィルムの貼り合わせる面にコロナ処理、火
炎処理などの表面処理を行うことが好ましい。また、貼
り合わせのための接着剤としては、PVA系、ウレタン
系、アクリル系の各接着剤などを挙げることができる
が、なかでもPVA系の接着剤が好適である。
【0040】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものでは
ない。 実施例1 図2に記載した溶融押出製膜機を用いた。この実施例1
では、スリット状開口部3が、ロール6の中心軸7とス
リット状開口部3を結ぶ平面Aと、ロール6の中心軸7
とロール6の頂点8を結ぶ平面Bとのなす角度θ1が1
5°に設定されている。また、スリット状開口部3の内
部の面が作る平面Cと、前記ロール6の中心軸7とスリ
ット状開口部3を結ぶ平面Aとの傾斜角度θ2が20°
となるように、ダイ1の全体を上流側(樹脂吐出方向後
方側)に傾けている。さらに、前記スリット状開口部3
とロール6の表面との間隔Dが2mmに設定されてい
る。
【0041】そして、けん化度99.9モル%で重合度
1750のPVA100重量部とグリセリン12重量部
および水130重量部を押出機で溶融混練させ、90℃
に加熱された定速で移動するエンドレスベルト2に押し
出して、130℃の熱風で乾燥させて、フローティング
ドライヤーで再乾燥して、厚さ75μmの偏光フィルム
用PVAフィルムを得た。この時、製膜原料(溶融PV
A)がエンドレスベルトに接触する位置の裏面は、ロー
ル6に接触していた。このPVAフィルムの表面は平滑
であり、フィルム幅方向の厚み斑は1.3μmと良好で
あった。
【0042】前記PVAフィルムを予備膨潤、染色、一
軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順に処理して偏光フ
ィルムを作製した。すなわち、前記PVAフィルムを3
0℃の水中に5分間浸漬させて予備膨潤し、ヨウ素濃度
0.4g/リットル、ヨウ化カリウム濃度40g/リッ
トルの35℃の水溶液中に3分間浸漬させた。続いて、
ホウ酸濃度4%の40℃の水溶液中で5.5倍に一軸延
伸を行い、ヨウ化カリウム濃度40g/リットル、ホウ
酸濃度40g/リットル、塩化亜鉛濃度10g/リット
ルの30℃の水溶液中に5分間浸漬させて固定処理を行
った。この後延伸フィルムを取り出し、定長下、40℃
で熱風乾燥し、さらに100℃で5分間熱処理を行っ
た。
【0043】得られた偏光フィルムの厚みは22μmで
あり、蛍光灯にかざして目視で観察したところ色斑は無
かった。
【0044】実施例2 図2に記載した溶融押出製膜機を用いた。この実施例2
では、前記ロール6の中心軸7とスリット状開口部3を
結ぶ平面Aと、金属ロール6の中心軸7と金属ロール6
の頂点8を結ぶ平面Bとのなす角度θ1が7°に設定さ
れている。また、前記ダイ1の内部のリップ面が作る平
面Cと、前記金属ロール6の中心軸7とスリット状開口
部3を結ぶ平面Aとの傾斜角度θ2が30°となるよう
に、前記ダイ1の全体を上流側に傾けている。さらに、
前記スリット状開口部3と金属ロール6の表面との間隔
Dが1.5mmに設定されている。
【0045】そして、けん化度99.9モル%で重合度
4000のPVA100重量部とグリセリン10重量部
および水110重量部を押出機で溶融混練させ、90℃
に加熱した定速で移動するエンドレスベルト2に押出し
て、120℃の熱風で乾燥させ、その後フローティング
ドライヤーで乾燥させて、厚さ75μmの偏光フィルム
用PVAフィルムを得た。この時、製膜原料(溶融PV
A)がエンドレスベルトに接触する位置の裏面は、ロー
ル6に接触していた。このPVAフィルムは表面が平滑
であり、フィルム幅方向の厚み斑は1.5μmと良好で
あった。
【0046】前記PVAフィルムを予備膨潤、染色、一
軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順に処理して偏光フ
ィルムを作製した。すなわち、前記PVAフィルムを3
0℃の水中に5分間浸漬させて予備膨潤し、ヨウ素濃度
0.4g/リットル、ヨウ化カリウム濃度40g/リッ
トルの35℃の水溶液中に3分間浸漬させた。続いて、
ホウ酸濃度4%の40℃の水溶液中で5.6倍に一軸延
伸を行い、ヨウ化カリウム濃度40g/リットル、ホウ
酸濃度40g/リットル、塩化亜鉛濃度10g/リット
ルの30℃の水溶液中に5分間浸漬させて固定処理を行
った。この後延伸フィルムを取り出し、定長下、40℃
で熱風乾燥し、さらに100℃で5分間熱処理を行っ
た。
【0047】得られた偏光フィルムの厚みは22μmで
あり、蛍光灯にかざして目視で観察したところ色斑は無
かった。
【0048】実施例3 実施例2において、前記ダイ1の内部のリップ面が作る
平面Cと、前記金属ロール6の中心軸7とスリット状開
口部3を結ぶ平面Aとの傾斜角度θ2を0°とした以外
は、実施例1と同様にして、厚さ75μmの偏光フィル
ム用PVAフィルムを得た。この時、製膜原料(溶融P
VA)がエンドレスベルトに接触する位置の裏面は、ロ
ール6に接触していなかった。このPVAフィルムに
は、フィルムの幅方向にわずかなスジが見られた。
【0049】そして、実施例2と同様にして偏光フィル
ムを得た。この偏光フィルムでは薄い筋状の斑がわずか
に観察されたが、LCD用途には使用可能なレベルであ
った。
【0050】比較例1 実施例1において、前記金属ロール6の中心軸7と金属
ロール6の頂点8を結ぶ平面Bと、金属ロール6の中心
軸7とスリット状開口部3を結ぶ平面Aとのなす角度θ
1を90°に設定した以外は、実施例1と同様にして、
厚さ75μmの偏光フィルム用PVAフィルムを得た。
この時、製膜原料(溶融PVA)がエンドレスベルトに
接触する位置の裏面は、ロール6に接触していた。この
PVAフィルムには、フィルムの長さ方向にスジが見ら
れ、フィルム幅方向の厚み斑も8μmと大きかった。
【0051】そして、実施例1と同様にして偏光フィル
ムを得た。この偏光フィルムには、筋状の斑と不定形な
斑が観察されて、LCD用途には使用できなかった。
【0052】比較例2 実施例2において、スリット状開口部3とエンドレスベ
ルト2の表面との間隔Dを25mmとした以外は、実施
例2と同様にして、厚さ75μmの偏光フィルム用PV
Aフィルムを得た。この時、製膜原料(溶融PVA)が
エンドレスベルトに接触する位置の裏面は、ロール6に
接触していなかった。当該PVAフィルムには、フィル
ムの長さ方向にスジが見られ、フィルム幅方向の厚み斑
も8μmと大きかった。
【0053】そして、実施例2と同様にして偏光フィル
ムを得た。この偏光フィルムには、筋状の斑と不定形な
斑が観察されて、LCD用途には使用できなかった。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、厚みが均一で表面平滑
性に優れた、特に偏光フィルム用として好適なPVAフ
ィルムを得ることができる。また、このPVAフィルム
を用いて偏光性能に優れた偏光フィルムを得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるPVAフィルムの製造法に用い
るベルト製膜機の一例を示す正面図である。
【図2】本発明にかかるPVAフィルムの製造法に用い
るベルト製膜機の要部を示す正面図である。
【符号の説明】
1…ダイ、2…エンドレスベルト、3…スリット状開口
部、4…製膜原料、5…製膜原料がエンドレスベルトに
接触する位置、6,6′…ロール、7…ロールの中心
軸、8…ロールの頂点、9…ロールの中心軸とスリット
状開口部を結ぶ平面が金属ロールの表面と交差する点、
10…剥がしロール、11…PVAフィルム A…ロールの中心軸とスリット状開口部を結ぶ平面、B
…ロールの中心軸とロールの頂点を結ぶ平面、C…スリ
ット状開口部内部の面が作る平面、D…スリット状開口
部からエンドレスベルトまでの間隔、E…エアギャップ θ1…ロールの中心軸とスリット状開口部を結ぶ平面と
ロールの中心軸とロールの頂点を結ぶ平面とのなす角
度、θ2…ロールの中心軸とスリット状開口部を結ぶ平
面とスリット状開口部内部の面が作る平面とのなす角度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 29:00 B29K 29:00 B29L 7:00 B29L 7:00 C08L 29:04 C08L 29:04 Z (72)発明者 磯▲ざき▼ 孝徳 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 藤田 聡 愛媛県西条市朔日市892番地 株式会社ク ラレ内 Fターム(参考) 2H049 BA02 BB43 BC03 BC09 BC22 2H091 FA08X FA08Z FB02 FB12 FB13 FC01 FC05 FC07 FD06 LA12 LA30 4F071 AA14X AA23X AA29 AA30X AA31X AA36X AA39X AF35 BA02 BB02 BC01 4F205 AA19 AC05 AG01 AH73 AR07 GA07 GB02 GC07 GF24 GF41 GN24 GN28

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニルアルコール系重合体を含有する製
    膜原料を、スリット状開口部から二本以上のロール間に
    架け渡されたエンドレスベルト上に流延または吐出させ
    て製膜する際に、スリット状開口部に最も近いロールの
    中心軸とスリット状開口部を結ぶ平面と、そのロールの
    中心軸とロールの頂点を結ぶ平面とのなす角度が30°
    以下に設定され、かつ、スリット状開口部とエンドレス
    ベルトとの間隔が10mm以下に設定されていることを
    特徴とするビニルアルコール系重合体フィルムの製造
    法。
  2. 【請求項2】 前記ロールの中心軸とスリット状開口部
    を結ぶ平面よりもスリット状開口部内部の面が、上流側
    に10°乃至60°傾斜していることを特徴とする請求
    項1に記載のビニルアルコール系重合体フィルムの製造
    法。
  3. 【請求項3】 ビニルアルコール系重合体を含有する製
    膜原料がスリット状開口部から流延または吐出されてエ
    ンドレスベルトに接触する位置のエンドレスベルトの裏
    面が、ロールに接触していることを特徴とする請求項1
    または2に記載のビニルアルコール系重合体フィルムの
    製造法。
  4. 【請求項4】 偏光フィルム用である請求項1から3の
    いずれかに記載のビニルアルコール系重合体フィルムの
    製造法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の製造法で得られたビニ
    ルアルコール系重合体フィルムを用いて作製した偏光フ
    ィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114889023A (zh) * 2022-06-02 2022-08-12 重庆光谱新材料科技有限公司 聚乙烯醇系薄膜的制备方法和偏光片

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