JP2003164740A - 水素透過体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
膜として用い、該膜の多孔質支持体への密着性および水
素透過性能の耐久性を向上させた水素透過体と、その製
造方法を提供する。 【解決手段】 ステンレス鋼製またはアルミナ製多孔質
支持体の片側表面に岩塩構造型の窒化膜を有し、且つ該
窒化膜表面に、希土類元素の少なくとも1種を5at%
以上含有するPd合金膜を有する水素透過体と、その製
造方法である。
Description
類のガスとの混合ガス(以下、「粗製ガス」という)か
ら水素を分離するために用いられる水素透過体と、その
製造方法に関するものである。
膜による気体の選択分離法が注目されている。例えば最
近、燃料電池の実用化研究が進んでくるにつれて、燃料
となる水素ガスを如何に高純度で効率よく製造するかが
重要な課題となっており、その代表的な方法として、都
市ガスや天然ガスの如き炭化ガスの熱分解によって水素
を製造し、該生成ガス(粗製ガス)から高純度の水素を
得る方法がある。この場合、熱分解によって得られる粗
製ガスには、水素の他、一酸化炭素や炭酸ガスなどが多
量に含まれているので、それらを含む組成ガスの中から
水素を分離する必要があり、そのための分離法として、
多孔質体の表面に水素選択透過膜を形成させた水素透過
体を利用する方法が知られている。
過する水素選択透過膜と、この膜を支持する支持体から
構成され、該支持体には、粉末を焼結した多孔質の金属
やセラミックス、金属不織布、発泡メタル、さらにはバ
ルク材に微細な穴を無数にあけたものなどが使用されて
いる。
ばスパッタリング法、アークイオンプレーティング法、
めっき法、溶射法、もしくは圧延箔の積層法などによっ
て水素選択透過膜を形成し、水素透過体を得ている。
dや、Pd−Ag合金などのPd合金によって構成され
る膜)などがよく知られている。さらに、このPd系膜
としては、特開2001−46845号、および特開2
001−131653号に、特定の希土類元素を3〜1
5at%含有するPd合金膜が開示されている。これら
の記載によると、上記希土類元素を含有するPd合金膜
は、従来のPd−Ag合金膜の約2倍の水素透過性能を
有している。
過膜を、金属製の多孔質支持体上に直接形成させた水素
透過体では、次のような問題がある。高温で粗製ガスを
分離処理するなど、上記水素透過体が高温に曝された場
合に、多孔質支持体の金属成分がPd系膜中に拡散し、
Pdなどと反応する。よって、粗製ガスの分離処理時間
の経過と共に、Pd系膜の水素選択透過性が低下してし
まうのである。
へ拡散することを防止するため、多孔質支持体の素材に
アルミナなどの酸化物を用いる方法や、金属製多孔質支
持体の表面に酸化物層を形成させる方法が知られてい
る。しかし、これら酸化物と上記の希土類元素を含有す
るPd系膜とは密着性が低いため、該膜が剥離してしま
うといった問題があった。また、金属製多孔質支持体表
面に酸化物層を形成させる場合では、支持体金属と酸化
物層との熱膨張率の相違から、粗製ガス分離処理を繰り
返し行うことで支持体−酸化物層界面に発生する熱応力
の影響によって、酸化物層が支持体表面から剥離すると
いった問題もあった。
2000−126565号に、金属製多孔質支持体の表
面に酸化処理または窒化処理を施すことで、該表面に酸
化層または窒化層を形成し、該層上に水素選択透過膜を
形成する方法が提案されている。この技術は、水素選択
透過膜と金属製多孔質支持体との間に、酸化層または窒
化層を存在させることで、該多孔質支持体の金属成分が
該膜中に拡散するのを防止し、該膜の水素選択透過性の
劣化を抑制するものである。さらに、この技術では、支
持体の表面を酸化処理または窒化処理して酸化層または
窒化層を形成するため、該酸化層や窒化層の剥離も完全
に防止される。
または窒化層と、上述の希土類元素を含有するPd系膜
との密着性は必ずしも良好とはいえず、該膜の形成時、
あるいは水素透過体の使用時に該膜が剥離する場合があ
った。
みてなされたものであり、その目的は、希土類元素を含
むPd合金膜を水素選択透過膜として用い、該膜の多孔
質支持体への密着性および水素透過性能の耐久性を向上
させた水素透過体と、その製造方法を提供することにあ
る。
発明の水素透過体は、ステンレス鋼製またはアルミナ製
多孔質支持体の片側表面に岩塩構造型の窒化膜を有し、
且つ該窒化膜表面に、希土類元素の少なくとも1種を5
at%以上含有するPd合金膜を有するところに要旨が
存在する。
Cr、Alおよび希土類元素よりなる群から選択される
少なくとも1種の元素の窒化物から構成されるものであ
ることが好ましい。
素は、Y、Ce、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er
およびYbよりなる群から選択される少なくとも1種で
あることが推奨される。
よび/またはCuを含有するものであることが望まし
い。
合、該支持体の片側表面に形成される上記窒化膜は、厚
みが0.5μm以上であることが好ましく、他方、アル
ミナ製多孔質支持体を使用する場合では、該窒化膜の厚
みは、0.05μm以上であることが推奨される。さら
に、上記Pd合金膜は厚みが2〜50μmであることが
望ましい。
型の窒化膜、および該窒化膜表面のPd合金膜を、イオ
ンプレーティング法またはスパッタリング法により形成
する上記水素透過体の製造方法も本発明に包含される。
形成には、アークイオンプレーティング法(AIP法)
を採用することが推奨される。
6565号に開示の技術では、金属製多孔質支持体表面
に形成された酸化層または窒化層と、希土類元素を含有
するPd系の水素選択透過膜(以下、「Pd−REM合
金膜」という)とは、密着性があまり良好ではなく、成
膜時や水素分離時に該膜が剥離する場合があるといった
問題が生じていた。
質支持体上に形成させた水素透過体において、該膜と該
支持体との密着性を高め、且つ水素透過性能の耐久性を
向上させるべく、鋭意研究を重ねた。そして、Pd−R
EM合金膜が、岩塩構造型の窒化物と良好な親和性を示
すことに着目し、本発明を完成させたのである。
にPd−REM合金膜を形成させるに当たり、該支持体
と該膜の間に、岩塩構造型の窒化膜を介在させるところ
に最大の特徴を有している。本発明において、上記窒化
膜は、以下の機能を有する。
には、既述の通り、金属成分がPd合金膜中に拡散して
該膜の水素透過性能を損なう問題があるが、上記岩塩構
造型の窒化膜の存在により、該金属成分のPd−REM
合金膜中への拡散が防止される。また、岩塩構造型の窒
化物は安定であり、Pd−REM合金とは反応しないた
め、この窒化物から構成される膜自体がPd−REM合
金膜を侵すことはない。よって、水素透過体の水素透過
性能の耐久性が向上する。
土類元素は、それ自体岩塩構造型の窒化物を形成し得る
ものであり、他の元素の岩塩構造型窒化物とも親和性が
良好である。また、岩塩構造型の窒化物は、本発明の水
素透過体に係る多孔質支持体で採用されるステンレス鋼
やアルミナなどの酸化物との親和性も良好である。よっ
て、多孔質支持体表面に岩塩構造型の窒化膜を形成さ
せ、該窒化膜表面にPd−REM合金膜を形成させるこ
とで、Pd−REM合金膜−多孔質支持体間の密着性が
向上する。
用することで、水素透過性能に優れるPd−REM合金
膜の密着性と水素透過性能の耐久性が、従来よりも遥か
に優れた水素透過体の提供が可能となったのである。以
下、本発明の水素透過体の構成について詳細に説明す
る。
いられる。このような多孔質支持体を採用することで、
水素選択透過膜の厚みをできる限り小さくして粗製ガス
の処理量(すなわち水素透過量)を高く維持しつつ、水
素透過体の機械的強度を高めることができる。
離処理条件(通常、700℃以下)で耐久性を有する素
材から構成されるものであればよく、該素材としては、
ステンレス鋼(例えば、SUS310S,SUS31
6,SUS410,SUS430など)や、アルミナな
どの耐熱酸化物が挙げられる。
み込むためには、機械加工性や溶接性に優れることが望
ましい。よって、上記の素材の中でも、ステンレス鋼が
推奨される。
造型の窒化物を形成し得る元素(例えばTiやCrな
ど)を用い、上記特開2000−126565号に開示
の技術によって、該多孔質支持体表面を窒化処理して窒
化層を形成する、とする。この場合、上記窒化層は岩塩
構造型であるため、該窒化層上にPd−REM合金膜を
形成させることにより、該膜の多孔質支持体との密着性
と、水素透過性能の耐久性を確保し得ることが予想され
る。
を形成し得る元素は、溶接性や機械加工性が非常に悪い
ため、これらを素材として水素透過体を得ることは、実
質的に不可能である。
好ましくは2μm以上であって、10μm以下、好まし
くは6μm以下であることが推奨される。平均孔径が上
記範囲を下回ると、多孔質支持体を流れる水素の圧力損
失が大きくなり、水素の流量が少なくなる。他方、平均
孔径が上記範囲を超えると、孔を塞ぐためにPd−RE
M合金膜を厚くしなければならない。このため、水素透
過体の水素透過速度が低下すると共に、コストも増大す
る。
過体の機械的強度を確保する観点から、65%以上、好
ましくは70%以上とすることが望ましい。
製ガス処理装置の形状、構造などに応じて円筒状、平板
状など任意の形状に設計することができる。なお、現在
実用化されている粗製ガス処理装置に適用する上で最も
一般的なのは円筒状のものである。
はなく、従来公知の方法が採用できる。例えば、素材と
なるステンレス鋼粒子や、アルミナなどの酸化物の粒子
に、必要に応じてバインダーを混合し、焼結する方法な
どが挙げられる。
元素(Ti、Zr、Hf)、5a族元素(V、Nb、T
a)、Cr、Alおよび希土類元素(Sc、Y、La、
Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、D
y、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)よりなる群から選
択される少なくとも1種の元素の窒化物から構成される
ものが挙げられる。好ましい窒化物としては、例えば、
TiN、CrN、TiAlN、CrAlN、ZrN、H
fN、VN、TaNなどが挙げられるが、中でも、Ti
N、CrN、TiAlN、CrAlNがコストの面で特
に好ましく採用される。
孔質支持体の素材によって異なる。多孔質支持体の素材
としてステンレス鋼を採用する場合には、上記窒化膜は
より厚くする必要がある。Pd−REM合金膜は、多孔
質支持体の孔を塞ぐように厚く形成させるため、該孔の
内壁までPd−REM合金膜で被覆されてしまう。よっ
て、多孔質支持体の孔の内壁が上記窒化膜で被覆されて
いないと、該孔部でステンレス鋼とPd−REM合金膜
とが接触して反応するため、水素透過性能が損なわれて
しまう。このため、上記窒化膜は、上記孔の内壁まで該
窒化膜が回り込んで被覆される程度の厚みを有する必要
があるのである。具体的には、上記窒化膜の厚みは0.
5μm以上、好ましくは0.8μm以上とすることが推
奨される。
ナなどの耐熱酸化物を用いる場合は、該耐熱酸化物とP
d−REM合金膜とは反応しないため、該多孔質支持体
の孔内壁まで、上記窒化膜で覆う必要はない。よって、
上記窒化膜の厚みは、Pd−REM合金膜の密着性が確
保できる程度(すなわち、耐熱酸化物製多孔質支持体の
多孔質部の表面のほとんどが、上記窒化膜で覆われてい
る程度)であればよい。具体的には、上記窒化層の厚み
は0.05μm以上、好ましくは0.1μm以上とする
ことが推奨される。
上記窒化膜を厚くし過ぎると、多孔質支持体の孔を塞い
でしまい、水素透過体中を水素が透過し難くなる。よっ
て、上記窒化膜の厚みは、多孔質支持体の素材がステン
レス鋼の場合、およびアルミナなどの耐熱酸化物の場合
のいずれにおいても、多孔質支持体の平均孔径の1/3
以下とすることが望ましい。よって、上記窒化膜の厚み
の好ましい上限は、上述の、多孔質支持体で推奨される
平均孔径から求められる。
過性能を有すると共に、膜中の希土類元素の存在によっ
て、岩塩構造型の窒化膜との密着性に優れる。Pd−R
EM合金膜中の希土類元素の含有量は、5at%以上、
好ましくは7at%以上、さらに好ましくは8at%以
上である。希土類元素の含有量を上記下限以上とするこ
とで、上記窒化膜との良好な密着性、および高度な水素
透過性能を確保することができる。
素の含有量が多過ぎると、該希土類元素が金属間化合物
を形成し、これが析出するようになる。この金属間化合
物が析出すると、Pd−REM合金膜の水素透過性能が
低下する。よって、Pd−REM合金膜中の希土類元素
の含有量は15at%以下、好ましくは12at%以下
とすることが推奨される。
素は、Y、Ce、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er
およびYbよりなる群から選択される少なくとも1種で
あることが好ましい。これらの元素は、Pd−REM合
金膜中に5at%以上含有させることが容易であるた
め、該膜−上記窒化膜間の良好な密着性と、高度な水素
透過性能を確保することができる。他方、上記以外の希
土類元素では、上記の金属間化合物が生成し易いため、
Pd−REM合金膜中にあまり多く含有させることが困
難であり、上記の密着性や水素透過性能を十分に確保で
きない場合がある。
および/またはCuを含有するものであることが好まし
い。これらの元素の存在により、Pd−REM合金膜の
水素透過性能(水素透過速度)がさらに向上する。
好ましくは10at%以上、より好ましくは15at%
以上であって、好ましくは30at%以下、より好まし
くは25at%以下とすることが望ましい。水素選択透
過膜中の水素の透過速度は、該膜中の水素の拡散係数
と、該膜中の水素の固溶度との積で決定される。Pd−
REM合金膜中のAg含有量が上記範囲内にある場合、
該膜中の水素の固溶度が大きく増大するため、該膜中の
水素の透過速度が向上する。
量は、好ましくは45at%以上、より好ましくは47
at%以上であって、好ましくは55at%以下、より
好ましくは53at%以下とすることが望ましい。Cu
含有量が上記範囲内にある場合、Pd−Cu合金が面心
立方構造から体心立方構造に転移する。この転移によ
り、Pd−REM合金膜中の水素の拡散係数が増大する
ため、該膜中の水素の透過速度が向上する。
0μm以下とすることが好ましい。Pd−REM合金膜
の厚みをこのような範囲とすることで、高純度の水素を
良好な処理速度(すなわち、水素透過速度)で確保でき
る。
途にもよるが、通常は99.99%以上が要求される。
よって、これ以上の水素純度が確保できる程度のピンホ
ールはPd−REM膜に存在していても構わない。しか
し、Pd−REM膜の厚みが2μm未満では、通常、多
孔質支持体の孔が完全に塞がらずにピンホールが多数存
在するため、分離処理後の水素純度を99.99%以上
とすることが困難である。Pd−REM合金膜の厚みの
下限は、より好ましくは5μm、さらに好ましくは8μ
mとすることが望ましい。
ると、上記ピンホールは減少するものの、水素透過速度
が該膜厚に反比例して低下する。また、Pdは高価であ
るため、コストの面からもPd−REM合金膜を薄くす
ることが好ましい。よって、実用的な水素透過速度を確
保と、コスト面での有利さを考慮すると、Pd−REM
合金膜の厚みは50μm以下とすることが好ましい。よ
り好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm
以下が推奨される。
法としては、従来公知の種々の方法が採用できるが、緻
密且つ薄い膜を、多孔質支持体表面(上記窒化膜)や上
記窒化膜表面(Pd−REM合金膜)に直接形成できる
点で、イオンプレーティング法やスパッタリング法が好
ましい。特にPd−REM合金膜は、該膜と同じ組成の
合金固体ターゲットを用いて上記例示の方法によって形
成することが、該膜の組成を均一にし得る点で推奨され
る。また、上記窒化膜の形成においても、例えばTiA
lNなどの2種以上の元素と窒素から構成される窒化物
を素材とする場合は、特に上記例示の方法を採用するこ
とが好ましい。
緻密な膜形成の観点から、AIP法が特に推奨される。
施すことにより膜中のピンホールが埋められ、一層緻密
な膜とすることが可能となる。
る。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではな
く、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をする
ことは全て本発明の技術的範囲に包含される。
質支持体1は、多孔質部2がSUS410製であり、こ
の両端にSUS410製のキャップ3をレーザー溶接し
たものである。なお、キャップ3のうちの一方は、SU
S410製のパイプ4(1/4インチφ)をレーザー溶
接したものを用いた。
お、多孔質部の平均孔径は、次の方法で求めた。光学顕
微鏡を用い、倍率1000倍で多孔質支持体の多孔質部
を4箇所写真撮影した。得られた写真の孔の部分を黒く
塗りつぶし、画像処理によって孔の面積を測定後、孔の
個数で該孔の面積を割って1個当たりの孔の面積を算出
し、孔を円形と仮定して平均孔径を求めた。また、多孔
質部2は、外径22mm、厚み2mm、長さ70mmで
ある。
に示すイオンプレーティング装置内にセットした。イオ
ンプレーティング装置の真空チャンバー5内の下部に有
る3個の坩堝に、夫々Ti、Pd、Yを入れた。真空チ
ャンバー5内を1×10-3Paまで減圧した後、窒素ガ
スを導入して、該真空チャンバー5内の圧力を1.3P
aとした。この後、ステンレス鋼製多孔質支持体に1
3.56MHzの高周波(RF)を500Wで印加し、
窒素プラズマを形成した。さらに、Tiの入った坩堝に
電子銃6で電子線を照射し、Tiを溶解蒸発させて、ス
テンレス鋼製多孔質支持体表面にTiN膜を形成した
(膜厚1μm)。
5内への窒素の導入を止め、再び真空チャンバー5内を
1×10-3Paまで減圧した。次に真空チャンバー5内
にアルゴンガスを導入して、該チャンバー内の圧力を
1.3Paとした。この後、ステンレス鋼製多孔質支持
体に13.56MHzの高周波(RF)を500Wで印
加し、アルゴンプラズマを形成した。さらに、Pdおよ
びYの入った各坩堝に電子銃6で電子線を交互に照射し
てPdおよびYを溶解蒸発させ、上記TiN膜表面にP
d−Y合金膜を形成して(膜厚20μm)、水素透過体
(1)を得た。なお、各坩堝への電子線の照射時間を調
整して、Pd−Y合金膜中のY含有量を10at%とし
た。
体(1)では、Pd−Y合金膜の剥離は認められなかっ
た。
のピンホール評価、および水素透過耐久性試験を行っ
た。
を、図3に示す水素透過試験装置の加熱炉8内にセット
し、該水素透過体(1)の外側および内側をロータリー
ポンプで減圧した後、加熱ヒーター10によって、加熱
炉9内を600℃に加熱した。次に、水素透過体(1)
の外側および内側にヘリウムガスを流し、外側圧力が
2.026×105Pa、内側圧力が1.013×105
Pa(大気圧)とした。その後、水素透過体(1)の内
側から加熱炉9外へ流れ出すヘリウムガスの流量を測定
し、該水素透過体(1)のPd合金膜中のピンホールの
有無を確認した。
価の後、真空ポンプによって加熱炉9内のヘリウムガス
を排気し、その後水素透過体(1)の外側に水素ガスを
流して、圧力を2.026×105Paとした。このと
き、水素透過体(1)の内側にはPd合金膜を通過した
水素が流入して大気圧以上となるため、水素透過体
(1)の内側の圧力を大気開放することによって1.0
13×105Paとした。他方、水素透過体(1)の外
側には圧力が2.026×105Paとなるように水素
を流し続けた。このようにして水素透過体(1)の外側
と内側の水素の圧力に差を設けた水素透過試験を100
0時間継続し、透過水素流量の経時変化を測定すること
によって、水素透過体(1)の水素透過性能の耐久性を
評価した。
(1)は、ヘリウムガス流量が0であり、Pd合金膜中
にピンホールの無いことが確認された。また、水素透過
体(1)の水素透過量は1L/minであり、1000
時間経過後もこの値に変化は見られなかった。さらに上
記水素透過耐久性試験後においても、Pd合金膜の剥離
は認められず、良好な密着性を有していた。
で、650℃、10分の条件で酸化処理を行い、該支持
体表面に酸化層を形成した(層厚約0.3μm)。その
後、図2に示すイオンプレーティング装置内にセット
し、上記窒化膜を形成しなかった他は、実験1と同様に
して上記ステンレス鋼製多孔質支持体の酸化層表面に、
Y:10at%を含有するPd合金膜を形成して(膜厚
20μm)、水素透過体(2)を作製した。しかし、P
d合金膜形成後、真空チャンバー5から水素透過体
(2)を取り出したところ、Pd合金膜に剥離が生じて
いた。
気中で1000℃の条件で熱処理を施し、該支持体表面
に窒化層を形成した(層厚1μm)。その後、実験2と
同様にして上記ステンレス鋼製多孔質支持体の窒化層表
面に、Y:10at%を含有するPd合金膜を形成して
(膜厚20μm)、水素透過体(3)を作製した。しか
し、Pd合金膜形成後、真空チャンバー5から水素透過
体(3)を取り出したところ、Pd合金膜に剥離が生じ
ていた。
いた。多孔質部2の両端のキャップ3のうち、一方はア
ルミナ製である。もう一方のキャップ3はSUS410
製で、同じくSUS410製のパイプ4を溶接によって
取り付けたものである。これらのキャップ3は、いずれ
もAg−Cuろう付けによって多孔質部2に接合した。
なお、このアルミナ製多孔質支持体の形状・サイズは、
実験1で用いたステンレス鋼製多孔質支持体と同じであ
る。また、実験1と同様にして測定したアルミナ製多孔
質部2の平均孔径は、1.5μmである。
験2と同様にしてY:10at%を含有するPd合金膜
を形成して(膜厚20μm)、水素透過体(4)を作製
した。しかし、Pd合金膜形成後、真空チャンバー5か
ら水素透過体(4)を取り出したところ、Pd合金膜に
剥離が生じていた。
製多孔質支持体、および実験4で用いたものと同じアル
ミナ製多孔質支持体の表面に、以下のようにして岩塩構
造型の窒化膜を形成し、次いでPd−REM合金膜を形
成した。なお、本実験で用いた多孔質支持体の多孔質部
について、実験1と同様にして測定した平均孔径は、い
ずれも3μmである。また、ステンレス鋼製多孔質支持
体の素材には、SUS310、SUS316、SUS4
10、SUS430のいずれかを採用した。
リング装置を用いた。直径6インチのTiターゲット1
1およびPd合金ターゲット12を取り付けたスパッタ
リング装置内の回転テーブル13上に、上記の多孔質支
持体をセットし、真空チャンバー5内が1×10-3Pa
以下まで真空排気した。次に、真空チャンバー5内に、
窒素ガスとアルゴンガスを1:1の流量比で導入し、該
チャンバー5内の圧力を1.3Paとした。その後、多
孔質支持体に100Vの負のバイアス電圧を印加し、T
iターゲット11をDCパワー1kWで放電させ、該T
iターゲット11をスパッタさせて、多孔質支持体表面
にTiN膜を形成した。
め、真空チャンバー5内を真空排気後、アルゴンガスを
導入して該チャンバー5内の圧力を1.3Paとした。
次に、Pd合金ターゲット12をDCパワー1kWで放
電させ、該Pd合金ターゲット12をスパッタさせて、
上記TiN膜表面にPd合金膜を形成して、水素透過体
(5)〜(18)を得た。
いて、実験1と同様のピンホール評価および水素透過耐
久性試験を行った。また、下記基準に従い、Pd合金膜
の密着性を目視評価した。 ○:Pd合金膜の剥離が認められない。 △:Pd合金膜の剥離が若干認められる。 ×:Pd合金膜の剥離が認められる。 水素透過体(5)〜(18)の構成と上記の評価・試験
結果を、表1および表2に示す。
(5)のPd合金組成「Pd−10at%Ho」とは、
「Hoを10at%含有するPd合金」であることを意
味する。また、「多孔質支持体」の欄は、該支持体の多
孔質部の素材を示す(以下同じ)。
過体(5)〜(12)は、Pd合金膜の密着性、ピンホ
ールフリー性、水素透過性とその耐久性のいずれもが良
好である。
膜を形成しなかったため、Pd合金膜が剥離した。この
ため、ピンホール評価や水素透過耐久性試験は行わなか
った。
直後には、該膜の剥離は認められなかった。また、水素
透過耐久性試験の結果も良好で、水素透過量の低下は認
められなかった。しかし、水素透過耐久性試験の終了後
に直径1mm程度のPd合金膜のふくれが認められ、該
膜の若干の剥離が観察された。
d合金膜の密着性およびピンホールフリー性は良好であ
った。しかし、TiN膜を厚くしたため、多孔質支持体
の孔がTiNで塞がれてしまい、水素透過量が極端に低
下した。
たため、ステンレス鋼製多孔質支持体の孔内壁へのTi
Nの被覆が不十分であり、ステンレス鋼が露出した多孔
質支持体の孔内壁にPd合金膜が形成されていた。この
ため、水素透過耐久性試験中にステンレス鋼成分とPd
合金とが反応し、該試験開始後1000時間での水素透
過量が、試験開始直後の約50%にまで低下した。
ていないため、水素透過耐久性試験開始後5時間で、水
素透過量が試験開始直後の約50%にまで低下し、さら
に試験開始後100時間では、ほぼ水素が透過しなくな
った(表2中、「*」印)。
を、図5に示す2つの蒸発源を有するAIP装置の真空
チャンバー5内にセットした。AIP装置の片方の蒸発
源には岩塩構造型の窒化膜を形成するための金属または
合金ターゲット14(以下、「窒化膜形成用ターゲッ
ト」という)を、他方の蒸発源にはPd合金ターゲット
12を取り付けた。真空チャンバー5内の圧力を1×1
0-3Paにまで減圧した。その後、真空チャンバー5内
に窒素ガスを導入し、該チャンバー5内の圧力を2.7
Paとした。次に多孔質支持体に50Vの負のバイアス
電圧を印加し、窒化膜形成用ターゲット14にアーク電
流100Aを流してアーク放電を行うことにより、多孔
質支持体表面に岩塩構造型の窒化膜を形成した。
圧力を1×10-3Paにまで減圧し、さらにアルゴンガ
スを導入して該チャンバー5内の圧力を2.7Paとし
た。次に多孔質支持体に50Vの負のバイアス電圧を印
加し、Pd合金ターゲット12にアーク電流80Aを流
してアーク放電を行うことにより、岩塩構造型の窒化膜
表面にPd合金膜を形成し、水素透過体(19)〜(3
0)を得た。
化合物、窒化膜およびPd合金膜の厚み、Pd合金膜の
組成を示す。なお、Pd合金膜の組成は、ICP発光分
析法によって測定した値である。表3から、Pd合金膜
の組成は、使用したターゲットの組成とほぼ同じになる
ことが分かる。
0)について、実験1と同様のピンホール評価および水
素透過耐久性試験、並びに実験5と同様のPd合金膜密
着性評価を行った。結果を表4に示す。
9)〜(26)は、Pd合金膜の密着性、ピンホールフ
リー性、水素透過性とその耐久性のいずれもが良好であ
る。
金膜の厚みが薄く、ピンホール評価において、多くのヘ
リウムガスリークが測定された。水素透過量に対するヘ
リウムガスリーク量の割合から水素の純度を概算すると
99.90%となり、通常要求されるような高純度(9
9.99%以上)の水素を確保することができない。
く、水素透過耐久性試験の際に水素透過性能が劣化し、
測定開始後600時間で水素透過量が約50%に低下し
た。
d合金膜中の希土類元素量が少なく、該膜の形成直後に
剥離が生じた。
テンレス鋼製またはアルミナ製多孔質支持体表面に岩塩
構造型の窒化膜を形成し、該窒化膜表面にPd−REM
合金膜を形成するものであり、該窒化膜とPd−REM
合金膜の良好な親和性を利用して、Pd−REM合金膜
の密着性を高めたものである。さらに、ステンレス鋼製
多孔質支持体を用いた場合には、該ステンレス鋼成分と
Pd−REM合金膜との反応を上記窒化膜が防止するた
め、Pd−REM合金膜の水素透過性の劣化が抑制され
る。これにより、水素透過性の耐久性も向上する。
で、優れた水素透過性能を有するPd−REM合金膜
を、従来よりも有効な形で利用し得る水素透過体の提供
が可能となった。
の側面模式図である。
グ装置の概略図である。
概略図である。
の概略図である。
ティング装置の概略図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 ステンレス鋼製またはアルミナ製多孔質
支持体の片側表面に岩塩構造型の窒化膜を有し、且つ該
窒化膜表面に、希土類元素の少なくとも1種を5at%
以上含有するPd合金膜を有することを特徴とする水素
透過体。 - 【請求項2】 上記窒化膜は、4a族元素、5a族元
素、Cr、Alおよび希土類元素よりなる群から選択さ
れる少なくとも1種の元素の窒化物から構成されるもの
である請求項1に記載の水素透過体。 - 【請求項3】 上記Pd合金膜が含有する希土類元素
は、Y、Ce、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Erお
よびYbよりなる群から選択される少なくとも1種であ
る請求項1または2に記載の水素透過体。 - 【請求項4】 上記Pd合金膜が、さらにAgおよび/
またはCuを含有するものである請求項1〜3のいずれ
かに記載の水素透過体。 - 【請求項5】 ステンレス鋼製多孔質支持体の片側表面
に形成される上記窒化膜は、厚みが0.5μm以上であ
る請求項1〜4のいずれかに記載の水素透過体。 - 【請求項6】 アルミナ製多孔質支持体の片側表面に形
成される上記窒化膜は、厚みが0.05μm以上である
請求項1〜4のいずれかに記載の水素透過体。 - 【請求項7】 上記Pd合金膜は、厚みが2〜50μm
である請求項1〜6のいずれかに記載の水素透過体。 - 【請求項8】 多孔質支持体の片側表面の岩塩構造型の
窒化膜、および該窒化膜表面のPd合金膜を、イオンプ
レーティング法またはスパッタリング法により形成する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の水素
透過体の製造方法。 - 【請求項9】 上記窒化膜および上記Pd合金膜を、ア
ークイオンプレーティング法により形成する請求項8に
記載の製造方法。
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JP2007253066A (ja) * | 2006-03-23 | 2007-10-04 | Tokyo Gas Co Ltd | 水素透過膜モジュール及びその製造方法 |
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- 2001-11-30 JP JP2001366198A patent/JP4064662B2/ja not_active Expired - Fee Related
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