JP2003147698A - インクジェット記録用原紙、及びその製造方法、並びにその原紙を用いたインクジェット記録シート - Google Patents

インクジェット記録用原紙、及びその製造方法、並びにその原紙を用いたインクジェット記録シート

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JP2003147698A
JP2003147698A JP2001344967A JP2001344967A JP2003147698A JP 2003147698 A JP2003147698 A JP 2003147698A JP 2001344967 A JP2001344967 A JP 2001344967A JP 2001344967 A JP2001344967 A JP 2001344967A JP 2003147698 A JP2003147698 A JP 2003147698A
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Akemasa Murase
明正 村瀬
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Abstract

(57)【要約】 【課題】表裏でインク吸収性とペン書き適性の相反する
画像記録適性が要求されるインクジェット記録用シート
の支持体として、サイズ性に表裏差のあるインクジェッ
ト記録紙用原紙を提供する。 【解決手段】サイズ剤の添加を原料調成の段階で行わず
に、抄紙機ワイヤー上からサイズ剤を添加するインクジ
ェット記録紙用原紙の製造方法である。また該原紙のI
SO535で規定されたサイズ度が13〜50g/m2
で、かつ、表裏のサイズ度の差を2g/m2以上である
と好ましい。さらに、古紙パルプを使用してもサイズ性
を制御することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録原紙の製造方法に関する発明であり、詳細には、イン
ク吸収性とペン書き適性の相反する品質特性をそれぞれ
表裏で合わせ持つことが要求されるサイズ性に表裏差の
あるインクジェット記録紙用原紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式に使用される記
録用シート(インクジェット記録用シート)としては、
パルプを主成分とする通常の紙や一般的にインクジェッ
ト記録紙用原紙と称される支持体上に非晶質シリカ等の
顔料とポリビニルアルコール等の親水性バインダーから
なる多孔質のインク吸収層を設けてなる記録用シートが
知られている。
【0003】例えば、特開昭62−160277号、同
62−184879号、同62−183382号、及び
同64−11877号公報等に開示のごとく、シリカ等
の含珪素顔料を水系バインダーと共に紙支持体に塗布し
て得られる記録用シートが提案されている。
【0004】一方、支持体であるインクジェット記録紙
用原紙は、サイズ度、及び透気度を一定値に調整するこ
とが要求されている。特に、インク受容層のインク吸収
性、ペン書き適性との関連に於いてサイズ度は最重要因
子として考察されており、インク受容層の塗抹操業性に
とっても多大な影響を与える特性として着目されてい
る。
【0005】インクジェット記録用シートの画像記録適
性を支持体のサイズ性から考察した例として特許第29
88941号、同3097272号、同3105943
号等が開示されており、パルプ原料の叩解性とカチオン
性高分子電解質の表面塗布との組み合わせから考察した
事例も報告されている。又、各種マーキングシステムに
対応できる記録用紙として、平滑性とコブサイズ度の因
子から考察した事例が特開平8−72394号で報告さ
れている。
【0006】これら技術の利用によって記録用シートに
要求されるインク吸収性、印字濃度付与、最適ドット径
の再現、保存性等が向上し、ニーズの多様化に見合う商
品が上市されているが、こうした情況の中、ハガキ・名
刺類に代表される両面用途の需要が伸びてきている。特
に、通信面と称する文書面にインク受容層を設けてなる
いわゆる「インクジェットハガキ」の需要の伸びは飛躍
的である。このような記録用シートは、通信面に付与す
る画像記録適性と、サインペンや万年筆のような筆記具
が用いられる宛名面とに要求される品質特性が異なり、
この為に、表裏に差のある特性を持ち合わせた支持体が
必要となった。
【0007】一般的に、紙中の紙層構造を厚み方向で見
た場合にワイヤー面側になるに従って填料の溜まりが少
なくなる等、紙質面での表裏差を形成する要因が知られ
ているが、一般的な抄紙方法によって得られる紙のサイ
ズ性についても表裏で多少の差が生じることは周知の事
実である。しかしながら、サイズ剤の添加を原料調成の
段階で配合するこれまでの抄紙方法ではサイズ性の表裏
差が小さ過ぎるので、得られた原紙にインキ吸収層を設
ける記録用シートでは必要とする表裏の差が十分に再現
できなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述のよう
な、表裏で異なる画像記録特性が要求される記録用シー
トの支持体として、サイズ性に表裏差のあるインクジェ
ット記録紙用原紙を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述の課
題を解決するためにインクジェット記録紙用原紙のサイ
ズ度の表裏差を再現する方法について鋭意検討を重ね
た。
【0010】本発明は、サイズ剤を抄紙機ワイヤー上か
ら散布するインクジェット記録紙用原紙の製造方法であ
る。好ましくは、原紙がISO535に規定されるコブ
サイズ度が13〜50g/m2であり、かつ、表裏の差
が2g/m2以上であるインクジェット記録紙用原紙で
ある。また、該原紙中に古紙パルプが含まれるインクジ
ェット記録紙用原紙である。さらに、該原紙上に、イン
ク吸収層を設けたインクジェット記録シートでもある。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明について、更に具体的に説
明する。
【0012】本発明の製造方法は、パルプ叩解工程から
填料・紙力剤・歩留剤等を添加する原料調成工程を経た
後、抄紙機ヘッドボックスから均一分散されたワイヤー
上の原料にサイズ剤を散布する。この方法を用いること
によってサイズ度を一定以上の表裏差に調節することが
可能となり、インク吸収性とペン書き適性の相反する品
質特性を表裏にそれぞれ合わせ持つ記録用シートが製造
できることを見いだした。
【0013】本発明の製造方法をより具体的に説明する
と、抄紙機ワイヤー上にサイズ剤を散布する方法とし
て、一定間隔でシャワーノズルを取り付けた配管を巾方
向に設置して定量ポンプにて一定流量のサイズ剤を供給
することが好ましい。なお、サイズ剤の供給を抄紙機巾
方向の一定の距離で制限することや、ノズルの種類を選
定することによって散布形態を変えることが可能であ
り、ここに記述するまでも無いが、定量ポンプの流量制
御によって添加量を調節し、サイズ性を調整することが
可能である。
【0014】本発明では、インク吸収性とペン書き適性
の相反する品質特性が表裏でバランスのとれた最適条件
とするため、インクジェット記録紙用原紙のサイズ度の
表裏差を2g/m2以上とすると好ましい。
【0015】万年筆やサインペン等の筆記具を使用して
も滲みの起きない「ペン書き適性」を付与するため、片
方の面(宛名面に該当)のコブサイズ度を13〜50g
/m 2の範囲とする。そして、他方の面(文書面に該
当)については、インクジェットプリンターやカードプ
リンター等で高速かつ大量印字した場合、紙表面でイン
キあふれの起きない「インク吸収性」やインク裏移りの
ない「インク乾燥性」を付与するため、宛名面に比べて
低サイズとなる様に2g/m2以上のコブサイズ度の差
を付ける様制御する。
【0016】原紙サイズ性の表裏差が2g/m2未満の
場合、インク吸収層を設けた記録用シートの宛名面側で
ペン書き適性が十分でも、片方の面(文書面)でのイン
ク吸収性は不十分となり、また、文書面でのインク吸収
性が十分でも宛名面のペン書き適性が不十分となる。
【0017】本発明のサイズ剤としては、ロジン系サイ
ズ剤、アルキルケテンダイマー、アルケニルコハク酸ソ
ーダ等のサイズ剤が使用できる。
【0018】本発明に使用されるパルプとして、NBK
P、LBKP、GP、TMP等の他に古紙パルプが挙げ
られる。使用に当っては、それらを数種類目的に応じた
比率で混合して用いる。
【0019】なお、本発明で言う古紙パルプの原料とし
ては、(財)古紙再生促進センターの古紙標準品質規格
表に示されている、上白、罫白、クリーム白、カード、
特白、中白、模造、色白、ケント、白アート、特上切、
別上切、新聞、雑誌等が挙げられる。更に具体例として
は、情報関連用紙である非塗工コンピューター用紙、感
熱紙、感圧紙などのプリンター用紙、及びPPC用紙等
のOA古紙、アート紙、コート紙、微塗工紙、マット紙
等の塗被紙、あるいは上質紙、色上質、ノート、便箋、
包装紙、ファンシーペーパー、中質紙、新聞用紙、更
紙、スーパー掛け紙、模造紙、純白ロール紙、ミルクカ
ートン等の非塗被紙等の紙や板紙の古紙で、化学パルプ
紙、高歩留りパルプ含有紙等が使用されるが、印字、複
写、印刷、非印刷を問わず特に限定されるものではな
い。これら古紙パルプには、サイズ剤が含まれることが
あるため、本発明のサイズ剤を抄紙機ワイヤー上から散
布することで、サイズ性を制御できるばかりではなく、
表裏面のサイズ性を制御することも可能である。
【0020】本発明の方法で得られる紙料中には、必要
に応じて填料を添加できる。又、本発明の所望の効果を
損なわない範囲で従来から使用されている各種のアニオ
ン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留り向
上剤、ろ水向上剤、紙力増強剤等の抄紙用添加助剤が適
宜添加される。例えばFe、Sn、Zn等の多価金属化
合物、及び各種澱粉、ポリアクリルアミド、ポリアミ
ン、ポリアミド・ポリアミン、尿素ホルマリン樹脂、メ
ラミンホルマリン樹脂、植物ガム、ポリビニルアルコー
ル、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、ポリアミド
樹脂、親水性架橋ポリマー粒子分散物等、及びこれらの
誘導体、或いは変性物などやコロイダルシリカ、ベント
ナイト等の化合物の内の1種類或いは2種類以上が適宜
組み合わされて使用される。なお、染料、pH調節剤、
消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール
剤等の抄紙用内添助剤を目的に応じて適宜添加すること
も可能である。
【0021】本発明の抄紙方法については、抄紙機とし
て長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、コンビネーショ
ン抄紙機、丸網抄紙機、ヤンキー抄紙機等を適宜使用で
きる。
【0022】本発明のインクジェット記録紙用原紙に
は、サイズプレス液を塗布することができる。抄紙機サ
イズプレス工程で塗布する方法として、コンベンショナ
ルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、あるい
は、フィルムトランスファー方式のサイズプレス、ロッ
ドコーター、ビルブレード、ショートドウェルコーター
等の装置を用いることができる。更に、同時に、エチレ
ン−尿素樹脂等の寸法安定化剤、塩化ナトリウム、塩化
カリウム等の無機電導剤、有機電導剤、界面活性剤、顔
料、染料を塗抹することが可能である。
【0023】本発明におけるインク吸収層とは、顔料と
接着剤を含有する多孔性の塗工層である。
【0024】本発明において、インク吸収層に用いられ
る顔料としては、公知の白色顔料を1種以上用いること
ができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カル
シウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリ
ウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、
サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸
カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コ
ロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、
水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライ
ト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグ
ネシウムなどの白色無機顔料、スチレン系プラスチック
ピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリ
エチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂
などの有機顔料などを用いることができる。上述の顔料
の中でも、多孔性無機顔料が好ましく、多孔性非晶質合
成シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナな
どが挙げられ、特に細孔容積の大きい多孔性合成非晶質
シリカが好ましい。
【0025】本発明のインク吸収層に用いられる接着剤
としては、例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸
エステル化澱粉などの澱粉誘導体;カルボキシメチルセ
ルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロー
ス誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニル
アルコール、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹
脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレ
ート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体
ラテックス;アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エ
ステルの重合体または共重合体などのアクリル系共重合
体ラテックス;エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビ
ニル系共重合体ラテックス;あるいはこれらの各種共重
合体のカルボキシ基などの官能基含有単量体による官能
基変性共重合体ラテックス;メラミン樹脂、尿素樹脂な
どの熱硬化合成樹脂などの水性接着剤;ポリメチルメタ
クリレートなどのアクリル酸エステルやメタクリル酸エ
ステルの重合体または共重合体樹脂ラテックス;ポリウ
レタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、アルキッド
樹脂ラテックス等が挙げられる。
【0026】さらに、染料系インクを併用するインクジ
ェット記録方式に適用する場合には上記の他、カチオン
性化合物を含有することが好ましい。また、これらに添
加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、界面
活性剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着
色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防
止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、
乾燥紙力増強剤などを適宜配合することもできる。
【0027】本発明で使用されるカチオン性化合物とは
水性染料インク中に含有される水溶性直接染料や水溶性
酸性染料中のスルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基
等と不溶な塩を形成する2級アミン、3級アミン或いは
4級アンモニウム塩を含有するいわゆる染料定着剤であ
る。カチオン性化合物は単独または二種以上を組み合わ
せて用いても良い。また、支持体に隣接するインク吸収
層に適宜添加してもよい。
【0028】本発明において、支持体上に設けられるイ
ンク吸収層の総数および、構成については特に限定され
ない。つまり、インク吸収層を支持体の片面に2層以上
設けることも可能である。
【0029】インク吸収層の塗工量としては、インク吸
収層のインク吸収容量及び実用に耐えられる程度のイン
ク吸収層と支持体間の接着強度を基準に決定することが
好ましく、乾燥塗工量が5〜40g/m2の範囲である
ことが好ましい。乾燥塗工量が5g/m2に満たない
と、インク吸収層が支持体表面を完全に覆うことが難し
く、インクの吸収性が十分ではないため、吸収ムラ等が
発生し、インクジェット印字性能に悪影響が生じる。ま
た、乾燥塗工量が40g/m2を超えると、インク吸収
層と支持体間の接着強度が実用に耐えられないレベルと
なり、粉落ちと呼ばれる支持体からの塗層の剥離等が発
生し、好ましくない。
【0030】本発明においてインク吸収層を形成する塗
被組成物を塗工または含浸する装置には、各種ブレード
コーター、ロールコーター、エアナイフコーター、バー
コーター、ロッドブレードコーター、カーテンコータ
ー、ショートドウェルコーターなどの各種装置をオンマ
シンあるいはオフマシンで用いることができる。
【0031】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明をより詳細に説
明する。なお、本発明はこれによって限定されるもので
はない。以下における部、%はすべて質量によるもので
ある。
【0032】 実施例1 LBKP(濾水度 400ml,csf) 80部 NBKP(濾水度 420ml,csf) 20部 軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業(株)製、 TP−121) 8部 カチオン澱粉(日澱化学製、 EX−No.4) 10部 歩留り向上剤(ハイモ社製、NR−11LS) 0.02部 上記配合のスラリーを調成し、抄巾1,300mm、抄
紙速度150m/分、で長網抄紙機により180g/m
2原紙の抄造を行った。原紙抄造の際、ワイヤー上の流
れと垂直方向(CD方向)に一定間隔でスプレーノズル
を取り付けた配管を設置し、サイズ剤の添加を行った。
スプレーノズルには、SSCO−JAPAN社製Uni
Jet扇型スプレーチップを使用し、日本PMC製アル
キルケテンダイマー AS263 0.1部添加とし
た。更に、日本食品化工製の酸化澱粉MS−3800
5部、水、95部からなる塗工液によりサイズプレス処
理を行い、ISO535に規定されたサイズ度が20g
/m2で、サイズ度の表裏差が5g/m2であるインクジ
ェット記録紙用原紙を得た。
【0033】この支持体に、合成非晶質シリカ(ファイ
ンシールX−37B/トクヤマ社製、平均粒径3.7μ
m)100部、シラノール変性ポリビニルアルコール
(クラレRポリマーR−1130/クラレ社製)17.
5部、エチレン酢酸ビニルエマルジョン(リカボンドB
EF9857/中央理化工業社製)17.5部、カチオ
ン性化合物(スミレーズレジン1001/住友化学社
製)30部を配合し、塗液濃度を15%に調整し、乾燥
塗工量10g/m2になるように、エアーナイフコータ
ーを用いて、前記インクジェット記録用原紙に塗工、乾
燥しインク受容層を形成し、表裏で画像記録適性の異な
るインクジェット記録用シートを作製した。
【0034】得られたインクジェット記録用シートの画
像記録適性は、セイコーエプソン社製PM770Cを用
いてブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色が隣
接した格子状のベタ画像をインク吸収層塗工面(通信
面)に印字し、以下の方法にて評価を行った。 (インク吸収性)各色が隣接する境界部分の滲み具合に
ついて、その優劣を4段階評価した。実用的には、△以
上の評価が必要である。 ◎:良好 ○:多少の滲みはあるが、境界がはっきりしている状態 △:普通 ×:悪い (インク乾燥性)印字直後の印字面に未印字のインク受
容層非塗工面(宛名面)を当て、手のひらで軽く擦った
際のインクの転写具合を評価する。実用的には、△以上
の評価が必要である。 ◎:インクの転写がなく、非常に良い ○:良い △:普通 ×:悪い
【0035】また、記録用シートのインク受容層非塗工
面(宛名面)の画像記録特性は、キヤノン社製BJC4
30Jを用いて以下の方法によるフェザリング評価を行
った。 (フェザリング)横罫線のパターン、及びアルファベッ
ト文字を印字し、目視にて線の太りを5段階で評価し
た。ハガキ等の用途では、4以上のフェザリングが必要
とされる。
【0036】実施例2 実施例1でサイズ剤の添加量を0.05部とした以外
は、同様にしてサンプルを調整して実施例2とした。
【0037】実施例3 実施例2でサイズプレス処理を酸化澱粉7部、水93部
とした以外は、同様にサンプルを調整して実施例3とし
た。
【0038】実施例4 実施例1でサイズ剤の添加量を0.5部とした以外は、
同様にしてサンプルを調整して実施例4とした。
【0039】実施例5 実施例4でサイズプレス処理を酸化澱粉3部、水97部
とした以外は、同様にサンプルを調整して実施例5とし
た。
【0040】実施例6 実施例1で軽質炭酸カルシウムを添加せず、代わりにタ
ルク(兵庫タルク社製兵庫タルク)を8部とした以外
は、同様にサンプルを調整して実施例6とした。
【0041】実施例7 実施例6でAS263を添加せず、代わりにコロパール
E−5H(星光化学社製)を0.5部とした以外は、同
様にサンプルを調整して実施例7とした。
【0042】実施例8 実施例1で原紙のパルプ配合をLBKP40部、NBK
P20部、模造古紙40部とした以外は、同様にサンプ
ルを調整して実施例8とした。
【0043】実施例9 実施例4でサイズ剤の添加量を0.4部とした以外は、
同様にサンプルを調整して実施例9とした。
【0044】比較例1 実施例1でサイズ剤を抄紙機ワイヤー上で添加せず、原
料調成の段階で添加した以外は、同様にサンプルを調整
して比較例1とした。
【0045】比較例2 比較例1でサイズ剤の添加量を0.05部とした以外
は、同様にサンプルを調整して比較例2とした。
【0046】比較例3 比較例2でサイズプレス処理を酸化澱粉7部、水93部
とした以外は、同様にサンプルを調整して比較例3とし
た。
【0047】比較例4 比較例1で軽質炭酸カルシウムを添加せず、代わりにタ
ルク(兵庫タルク社製兵庫タルク)を8部とした以外
は、同様にサンプルを調整して比較例4とした。
【0048】比較例5 比較例4でAS263を添加せず、代わりにコロパール
E−5H(星光化学社製)を0.5部とした以外は、同
様にサンプルを調整して比較例5とした。
【0049】比較例6 比較例1でサイズ剤の添加量を0.01部とした以外
は、同様にサンプルを調整して比較例6とした。
【0050】比較例7 比較例1でサイズ剤の添加量を1.5部とした以外は、
同様にサンプルを調整して比較例7とした。
【0051】以上の結果を、表1にまとめて示した。品
質特性として、インクジェット記録紙用原紙のISO5
35に規定されたサイズ度(g/m2)表裏差、及び、
インク受容層非塗工面のペン書きサイズを記載した。 (ペン書きサイズ)PARKER社製の Royal
Blue Washable inkを充填したSan
ford rotring GmbH ロットリングペ
ンにて罫線を筆記し、目視にて罫線の太りを5段階で評
価した。ハガキ等の用途では、グレード3以上が必要と
されている。
【0052】
【表1】
【0053】実施例1〜8と比較例1〜7の結果から明
らかなように、本発明の原料調成の段階でサイズ剤の添
加せず、抄紙機ワイヤー上からサイズ剤を添加すること
によってインクジェット記録紙用原紙を製造すると、こ
の原紙を使用したインクジェット記録用シートのインク
吸収性、インク乾燥性、フェザリング、ペン書きサイズ
が優れていることがわかる。また、ISO535で規定
されたサイズ度が13〜50g/m2で、かつ、表裏の
サイズ度の差を2g/m2以上とした実施例1〜8のイ
ンクジェット記録用原紙を使用したインクジェット記録
用シートは、サイズ度の表裏差が1g/m2である実施
例9のインクジェット記録用原紙を使用したものと比べ
て、インク吸収層塗工面(通信面)に要求されるインク
吸収性、インク乾燥性、フェザリングの画像記録適性
と、その反対面(宛名面)のペン書きサイズとの品質バ
ランスが優れていることがわかる。さらに、実施例8の
ように古紙パルプを使用しても、表裏面のサイズ性を制
御したインクジェット記録紙用原紙を製造することがで
きる。
【0054】
【発明の効果】これまで説明してきたように、本発明に
よれば、表裏でサイズ性の異なるインクジェット記録紙
用原紙を提供することができる。したがって、ハガキ用
途として、通信面に要求されるインキ吸収性と、その反
対面である宛名面に必要なペン書き適性の相反する品質
適性を持つインクジェット記録用シートが製造可能とな
った。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サイズ剤を抄紙機ワイヤー上から散布し
    て製造することを特徴とするインクジェット記録紙用原
    紙の製造方法。
  2. 【請求項2】 ISO535に規定される該原紙のコブ
    サイズ度が13〜50g/m2であり、かつ、表裏面の
    コブサイズ度の差が2g/m2以上であることを特徴と
    する請求項1記載のインクジェット記録紙用原紙。
  3. 【請求項3】 該原紙中に、古紙パルプが含まれること
    を特徴とする請求項1または2記載のインクジェット記
    録紙用原紙。
  4. 【請求項4】 該原紙上に、インク吸収層を設けたこと
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のインク
    ジェット記録シート。
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JP2001344967A Pending JP2003147698A (ja) 2001-11-09 2001-11-09 インクジェット記録用原紙、及びその製造方法、並びにその原紙を用いたインクジェット記録シート

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103502018A (zh) * 2011-04-28 2014-01-08 惠普发展公司,有限责任合伙企业 高速数字喷墨卷筒纸印刷机印刷中使用的介质

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CN103502018A (zh) * 2011-04-28 2014-01-08 惠普发展公司,有限责任合伙企业 高速数字喷墨卷筒纸印刷机印刷中使用的介质

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