JP2003146107A - 生体状態検出を具備する指認証装置 - Google Patents

生体状態検出を具備する指認証装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、生体認証技術と健康診断技術
とを組み合わせることにより、高いセキュリティと高い
安全性とを同時に実現することにある。特に、ユーザに
とって少ない操作で、その恩恵が享受できる、使い易い
操作性を実現することにある。 【解決手段】近赤外光を発する光源と、近赤外光に対し
て感度のある撮像手段と、撮像された指の画像を入力し
処理する画像処理手段とを設け、該画像処理手段では、
撮像された指の血管パターン画像の特徴と、前もって登
録しておいた正当な権利者の血管パターン画像の特徴と
を比較照合し、相関が閾値より高いときには正当な権利
者と認め、エンジンの始動やドアの施解錠などのセキュ
リティ制御を行うとともに、撮像と同時に取得する指の
生体情報、もしくはその時間変化を解析し、健康・体調
等の生体状態を計測し、該計測結果に応じて適応的に通
知や警告・機構制御を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は生体を用いた個人認
証装置に関し、特に指の血管パターンに基づく生体個人
認証装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車を盗難や悪戯などから守るため、
従来の錠前式の鍵よりもセキュリティの高いキーシステ
ムとして生体認証技術への期待が高まっている。人間の
体の一部を鍵として利用する生体認証技術は、遺失や複
製等による不正行使の恐れが少ないことも大きな特徴に
なっている。車載向け生体認証技術としては、操作の手
軽さやコストの安さなどから指紋が多く採用されている
が、生体認証技術自体としては、よりセキュリティの高
い認証方法として、虹彩や指の血管パターンなどを用い
た手法が提案されている。中でも、指の血管パターンを
用いた認証方法は、虹彩のように直接眼球に光を照射し
たりすることがないので心理的抵抗感が少なく、また、
生体の表面ではなく内部の特徴を読み取るため、偽造が
困難という利点がある。
【0003】指の血管パターンによる認証は、一般に
は、次のようにして実現されている。まず近赤外光を発
する光源を用意し、その光を撮影するように対峙させて
カメラを設置する。カメラには、近赤外域の波長だけを
通すような光学フィルタを装着する。認証時には、カメ
ラと光源の間に指を挿入し、そのときの指の画像を撮
る。血液中のヘモグロビンは近赤外光を良く吸収するた
め、血管部分は光が透過せずに暗く映る。このようにし
て撮影された血管パターンの画像と、登録されている血
管パターンの画像との間で照合を行い、個人認証を行
う。
【0004】一方で、指の血管の状態は、認証のみなら
ず、健康状態を示す手がかりとしても使える。すでに広
く知られた技術として、指尖容積脈波やその二次微分で
ある加速度脈派による血液循環系の状態を調べる方法が
ある。指尖容積脈波は、指先の抹消血管に流れる血液量
の変化を捉えたもので、上記と同様、ヘモグロビンの吸
光特性を利用して血液量を計測している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来、自動車のキーシ
ステムと健康状態の計測とは全く別個のものとして扱わ
れ、エンジンの始動やドアの施解錠はキーで、ドライバ
ーの健康診断は家庭や病院等で医療器具を用いてと明確
に役割が分担されていた。また、計測部位も異なり、キ
ーには指先の指紋を、簡単な健康診断として血圧や脈拍
を測るには腕を、といったように独立して計測してい
た。一方で、昨今のように自動車が日常の足となり、事
故件数も高止まりしている中、事故を未然に防ぐ仕組み
がますます切望されている。事故の一因として、過労な
ど、ドライバーの健康状態と密接に関連しているケース
も多い。ドライバーの健康状態を知り、それに適した自
動車制御を行うことで事故を抑止できる可能性がある。
しかしながら、キーシステムと健康診断とを、それぞれ
独立に行うことは、ドライバーにとって煩わしく、せっ
かくの健康診断機能も結局は使われないということにな
りかねない。
【0006】本発明の目的は、生体認証技術と健康診断
技術とを組み合わせることにより、高いセキュリティと
運転時の高い安全性とを同時に実現することにある。特
に、ユーザにとって少ない操作で、その恩恵が享受でき
る、使い易い操作性を実現することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、近赤外光を発する光源と、近赤外光に対して感度の
ある撮像手段と、撮像された指の画像を入力し処理する
画像処理手段とを設け、該画像処理手段では、撮像され
た指の血管パターン画像の特徴と、前もって登録してお
いた正当な権利者の血管パターン画像の特徴とを比較照
合し、相関が閾値より高いときには正当な権利者と認
め、エンジンの始動やドアの施解錠などのセキュリティ
制御を行うとともに、撮像と同時に取得する指の生体情
報、もしくはその時間変化を解析し、健康・体調等の生
体状態を計測し、該計測結果に応じて適応的に通知や警
告・機構制御等を行う。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の1実施例を詳細に
説明する。
【0009】図1は、本発明を実現するシステム構成の
概略ブロック図の一例である。100は手であり、光源1
02とカメラ104との間に、その指を挿入し、血管パ
ターンの画像信号を取得する。カメラ104の画像信号
は、画像入力器106によってデジタルデータに変換さ
れ、コンピュータ108の入出力インタフェース114を
介してメモリ112に格納される。入出力インタフェー
ス114を介してスイッチ108を設け、スイッチのオ
ン・オフの状態をメモリ210に格納するか、もしく
は、オンになると同時にCPU110に対して割り込み
信号を発生することで、認証のタイミングをCPUに明
示的に指示することもできる。CPU110は、上記のス
イッチ108もしくは、カメラ104の画像変化の監視
によって、指が挿入されたことを検知すると、認証を行
うソフトウェアプログラムを起動し実行する。そして、
プログラムの処理結果に基づき、結果を表示器116に
表示したり、スピーカ120を通して音声で伝えたり、
あるいは、電気錠122やECU(Engine Control Uni
t :エンジン制御コンピュータ)124に適切な信号を
送って扉や錠を開閉したり、エンジンの始動を許可した
りといった各種制御を行う。キーボード118は、例え
ば、暗証番号などの、認証に関する補助情報を入力する
などに用いる。126〜130は、指の健康状態を検出
する一方法である脈波計の一般的な構成であり、光セン
サ126は、光源102によって、指を透過した光の強
度を電気信号に変換する。この電気信号を、増幅器12
8を通して増幅し、フィルタ130によってノイズ成分
を除去した後、インタフェース114を介して、メモリ
112に格納する。光センサは、単画素のカメラと原理
的に等価であるから、カメラ104のみで126〜13
0をすべて代用することが可能である。感度の問題や、
指画像と脈波を同時に取得したい場合などの場合に設け
ることができる。また、脈波から血圧を求めるために
は、一般に、心臓の収縮時点を知る必要があるが、これ
は132の電極センサ、および増幅器134,フィルタ
136などを経由して計測する。
【0010】図2は、上記ハードウェア、特にCPU1
10によって実行されるソフトウェアフローの一例を示
している。処理200では、ハードウェア全体の初期化
やプログラム実行に必要となる一時変数に初期値を代入
する。初期状態への移行が完了すると、プログラムはア
イドリング状態に入り、指が撮像可能範囲内に挿入され
るのを待つ(202)。指の挿入の検知は、センサでチェ
ックしたり、操作者が明示的にスイッチ108の押下し
たりの方法で行えるほか、カメラからの画像を入力し続
け、指の挿入に伴う画像変化を待つこともできる。指の
挿入が検出されると、カメラ104が指を撮影し、その
画像をメモリ210に取り込む(204)。取り込んだ指
画像では、ヘモグロビンが近赤外線を吸収するため、血
管部分が黒く浮き出て見える。この画像データについて
画像処理を行い、血管パターンの特徴を抽出し(20
6)、すでに登録してあるパターンと一致するものがな
いか照合探索を行う(208)。もし、一致するパター
ンが存在すれば(210)、次の健康診断の処理に進
む。本実施例では、脈波をもとに健康診断を行う例を示
す。脈波の計測は、一般には光センサ126を用いる
が、ここではカメラ画像から脈波を得る方法について記
述する。カメラを認証と共用することにより、システム
コストの低減が可能になる。また、同様の見地から、脈
波を計測する光源も、専用の波長を持った光源ではなく
共用した例となっている。精度を重視する場合には、波
長を最適に調整した光源を複数用意し、必要に応じて切
り替えてもよい。あるいは、光学センサではなく、圧力
センサを用いる方法も知られている。脈波を光学的に求
める方法としては、動脈血酸素飽和度(SpO2)の変
化を観測する方法が知られている。心拍の都度、指先や
その他の末梢組織に送り込まれる動脈血では、酸素と結
合したヘモグロビンが多く存在し、体内組織で酸素が奪
われて、酸化ヘモグロビンの数は次第に減少する。ヘモ
グロビンは、酸化の有無で近赤外光の吸収度が異なるた
め、これによって酸素と結合したヘモグロビンの量が計
測できる。この時間変化は、脈拍と連動して周期的な山
と谷を持つサイン波状の波形を形成する。山の周期は脈
拍を示す。1周期のうちで、最も低い値をとる谷底の時
点と、心電図におけるR時点との間の時間差は、心臓が
収縮してから血液が末端に届くまでの時間であり、脈波
伝播時間(PWTT:Pulse WaveTransmit Time )と呼
ばれ、血圧との相関が確認されている。電極センサ13
2によって心電図のR時点は容易に得られるので、これ
によって、脈拍・血圧が同時に得られる。また、時間変
化のパターンは、体調との相関があるとされ、疲労度の
指標としても利用できる。これら脈波と血圧や健康との
関係は個人差があるが、前段の認証処理によって本人が
特定されるので、事前に登録した個人データと参照する
ことで適切に対応可能である。実際の処理であるが、ま
ず処理212では、204で取得した指画像中におい
て、背景を除いた指領域の全体もしくはその一部分につ
いて、領域を構成する画素の輝度の総和を求める。もち
ろん、背景が一定ならば、特に指領域のみを限定して抽
出する必要はない。さらに、処理204と同様にして指
画像を再び入力し、同様に輝度の総和を求める。これを
一定期間繰り返し、輝度の総和の時間変化を計測する。
ここでの輝度の総和は、正規化しても良いし、平均値を
用いても構わない。これによって、光センサを用いた脈
波計測と等価の計測結果が得られる。得られた計測結果
のパターンから、上述のように脈拍・血圧・体調などの
健康状態を推定することができる(214)。得られた
健康状態は、表示器116に表示したり、スピーカ12
0から音声で出力したりする。健康状態そのものではな
く、それに関連した通知や警告のメッセージであっても
良い。過去の実績と大きく異なるデータを示したり、飲
酒等が検出されたりなど致命的な健康問題がなければ
(216)、認証できた旨の確認信号を電気錠やECU
に送信し、ドアの施解錠やエンジンの始動を許可する
(218)。このとき、健康状態の情報をECUに送る
ことで、ECUは、図3に示すように、ドライバーの健
康状態に応じた車両制御を行うことができる。124の
ECUから、エンジン300,サスペンション302,
空調機304,ステアリングホイール306,シート3
08,カーナビゲーションシステム310に制御線が接続
されている。車両制御の具体例としては、例えば、電子
制御サスペンションを制御することで、体調の悪いとき
には振動の少ない柔らかめの設定を、また眠気の強いと
きには逆に硬めにして目を覚まさせる、などが考えられ
る。同様に、エンジンの回転数や、ステアリングホイー
ルやブレーキペダルの軽重,変速タイミング,空調のき
き具合,シートポジションなどを調整することで、ドラ
イバーの健康状態に合った走行環境を提供することがで
きる。明らかに病気とわかる場合には、カーナビゲーシ
ョンシステムと連動して、現在の車両位置に最も近い病
院や診療所への経路を示したりすることも可能である。
また、健康状態の診断結果は、車両の運行上に支障ない
場合でも、病気の早期発見を目的として、積極的に警告
のメッセージを伝えてもよい。
【0011】以上では、車載の生体認証装置を例にして
説明したが、本発明は、それに限定されるものではな
く、入退室やタイムカード等での生体認証装置の利用の
際にも、健康管理機能を、追加の操作手順なしに提供で
きる利点がある。あるいは、指先型の血圧計や脈波計等
の医療器具に、生体認証技術を組み込むことで、個人の
識別が自動ででき、個人ごとの計測データの履歴管理の
省力化が可能になる。また、生体認証の方法について
も、血管パターンに換えて指紋等を用いても構わない。
さらには、他の生体部位について、認証と健康診断の双
方に対する計測データが同時に得られる部位であれば、
その部位を本発明と同じ目的に用いることも可能であ
る。
【0012】
【発明の効果】本発明によれば、高いセキュリティと運
転時の安全とを、簡潔な操作で同時に実現することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実現する装置システム構成の一例であ
る。
【図2】本発明を実現するソフトウェアフローの一例で
ある。
【図3】ECUと車両構成部品との接続を示した一例で
ある。
【符号の説明】
100…手、102…光源、104…カメラ、106…
画像入力器、108…ボタンスイッチ、110…CP
U、112…メモリ、114…入出力インタフェース、
116…表示器、118…キーボード、120…スピー
カ、122…電気錠、124…エンジン制御コンピュー
タ、126…光センサ、128,134…増幅器、13
0,136…フィルタ、132…電極センサ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61B 5/117 G06T 7/00 300E 5L096 G06T 1/00 400 G08B 13/00 B 13/06 7/00 300 B60R 25/00 606 G08B 13/00 25/04 602 13/06 A61B 5/10 320Z // B60R 25/00 606 5/02 310A 25/04 602 337E 320C (72)発明者 宮武 孝文 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 三浦 直人 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 Fターム(参考) 3D037 FA01 FA02 FB09 4C017 AA08 AA09 AB03 AC27 BC07 FF30 4C038 VA07 VB13 VC01 VC05 5B047 AA17 AA23 CB04 5C084 AA02 AA04 AA09 AA10 BB24 BB33 CC02 DD11 EE02 EE06 GG23 GG38 GG52 GG78 HH02 HH10 5L096 CA02 DA03 FA00 GA51 HA07 JA11

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】近赤外光を発する光源と、近赤外光に対し
    て感度のある撮像手段と、撮像された指の画像を入力し
    処理する画像処理手段とを設け、該画像処理手段では、
    撮像された指の血管パターン画像の特徴と、前もって登
    録しておいた正当な権利者の血管パターン画像の特徴と
    を比較照合し、相関が閾値より高いときには正当な権利
    者と認めてセキュリティ制御を行うとともに、撮像と同
    時に取得する指の生体情報、もしくはその時間変化を解
    析し、健康・体調等の生体状態を計測し、該計測結果に
    応じて適応的に通知や警告・機構制御を行うことを特徴
    とする指認証装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の指認証装置において、認証
    後に特定の機構を制御することが、生体状態の計測結果
    から飲酒運転等の違法状態を導くと推定されるときに
    は、認証を取り消すことができることを特徴とする指認
    証装置。
  3. 【請求項3】請求項1記載の指認証装置において、健康
    ・体調等の生体状態を一定期間記録し、計測された生体
    状態が過去の情報と著しく異なる場合には、認証を取り
    消すことができることを特徴とする指認証装置。
  4. 【請求項4】請求項3記載の指認証装置において、健康
    ・体調等の生体状態を一定期間記録する場合には、認証
    によって識別される個人ごとに整理して記録することを
    特徴とする指認証装置。
  5. 【請求項5】請求項1記載の指認証装置において、生体
    状態の計測結果に応じて行う機構制御は、車両のサスペ
    ンションの硬軟であることを特徴とする指認証装置。
  6. 【請求項6】請求項1記載の指認証装置において、生体
    状態の計測結果に応じて行う機構制御は、車両のトラン
    スミッションの変速タイミングであることを特徴とする
    指認証装置。
  7. 【請求項7】請求項1記載の指認証装置において、生体
    状態の計測結果に応じて行う機構制御は、車両のエンジ
    ン回転数であることを特徴とする指認証装置。
  8. 【請求項8】請求項1記載の指認証装置において、生体
    状態の計測結果に応じて行う機構制御は、車両の空調機
    であることを特徴とする指認証装置。
  9. 【請求項9】請求項1記載の指認証装置において、生体
    状態の計測結果に応じて行う機構制御は、カーナビゲー
    ションシステムと連動して、必要と推定される、病院等
    の最寄りの施設の紹介であることを特徴とする指認証装
    置。
  10. 【請求項10】請求項1記載の指認証装置において、該
    認証装置を使用できる一人以上の権利者の個人生体情報
    を予め格納しておく手段を有し、指の生体情報、もしく
    はその時間変化の解析にあたって、血管パターンの特徴
    によって認証された正当な権利者の該個人生体情報を用
    いて、健康・体調等の生体状態を推定することを特徴と
    する指認証装置。
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