JP2003145462A - ロボットの協調制御システム - Google Patents

ロボットの協調制御システム

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数の制御装置を常に同期させた状態に維持
して、各ロボットの動作のずれを防止することができる
ようにしたロボットの協調制御システムを提供する。 【解決手段】 複数のロボットRa,Rbの動作を個別
に制御する複数の制御装置Ca,Cbと各制御装置C
a,Cbを相互に通信可能に接続してネットワークを構
成する通信接続手段21と、各制御装置Ca,Cb毎に
設けられ、各ロボットRa,Rbの動作指令を入力する
入力手段37a,37bと、タイミング発生手段69
a,69bと備え、各制御装置Ca,Cbは、単独機能
実行モード、マスタ機能実行モードおよびスレーブ機能
実行モードのいずれか1つに選択的に設定され、各制御
装置Ca,Cbのうちでマスタ動作させるべき制御装置
Caをマスタ実行モードに設定し、残余の制御装置Cb
はスレーブ機能実行モードに設定して、スレーブ側制御
装置Cbの最小割込み周期Ts(b)を修正しながら、
マスタ側制御装置CaのマスタロボットRaへの制御時
刻ta11,ta12,ta13を予め定める時間Tだ
け遅延させて、協調動作させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数のロボット毎
に設けられるロボットコントローラとも呼ばれる制御装
置を、通信ネットワークによって接続し、各ロボットを
協調動作させるロボットの協調制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ワークが重量物または大型物
である場合、複数台のロボットによって、前記ワークを
確実に把持した状態を維持しながら、予め設定された出
発点から到達点にわたる複数の教示点および各教示点間
の補間点を経て、正確にかつ安定して搬送する協調動作
を実現するために、各ロボットを協調制御する協調制御
システムが採用されている。
【0003】このような複数台のロボットを用いる協調
制御システムにおいては、作業空間内におけるロボット
の配置位置に応じた複数箇所で前記ワークを把持するこ
とができるため、前記ワークが大型物であっても、安定
した搬送が可能である。また、前記ワークが重量物であ
っても、複数のロボットにワークの重量が分散されるの
で、各ロボットの重量負荷および慣性負荷が少なく、搬
送速度を大きくして搬送時間を短縮することができる。
【0004】前記協調制御システムには、複数のロボッ
トを1台の制御装置によって統括的に制御する「多:
1」のシステムと、各ロボット毎に対応する制御装置が
個別に設けられる「1:1」のシステムとがある。複数
のロボットを1台の制御装置で統括的に制御する「多:
1」のシステムでは、1台の制御装置によって複数台の
ロボットを制御しなければならないために、制御装置が
特殊な構成となる。
【0005】これに対して、複数のロボット毎に制御装
置を設けて各ロボットを個別に制御する「1:1」のシ
ステムでは、1台のロボットを1台の制御装置によって
制御するため、上記「多:1」のシステムのように特殊
な構成を有する制御装置を用いる必要がなく、汎用の制
御装置を用いることができる。したがって「多:1」の
システムに比べて、協調制御用プログラムを導入して、
容易に協調制御システムを実現することができ、実現容
易性の点で優れている。
【0006】しかも、前記汎用の制御装置は、協調制御
システムを構築せずに、単独で他の用途に用いることが
可能であり、制御装置の購入コストを節約することがで
き、経済的であるという利点を有している。さらにま
た、ロボット台数を自在に変更することができるため、
システムの設計に際して自在に対応することができ、シ
ステム設計に対する自由度が高いという利点を有してい
る。
【0007】さらに他の従来の技術では、上記の複数の
ロボットに対して個別に制御装置を設ける「1:1」の
個別協調制御システムにおいて、各ロボットについてプ
ログラムを作成し、インタロックを用いて搬送動作を制
御する個別制御システムと、複数のロボットのうちの1
台をマスタロボットに設定し、マスタロボットを除く他
のロボットは、前記マスタロボットに同期して追従する
スレーブロボットに設定し、マスタロボットに対して実
装されるソフトウェアプログラムによって、マスタロボ
ットおよびスレーブロボットを協調制御して、ワークを
搬送するマスタ/スレーブ協調制御システムとが周知で
ある。
【0008】上記のマスタ/スレーブ協調制御システム
では、ワークの変更および搬送条件の変更などによって
ロボットの動作を変更する必要が生じた場合、前記マス
タロボットに実装されるプログラムだけを変更すればよ
いので、プログラムの変更、作成および管理が容易であ
るという利点を有している。そのため、汎用ロボットコ
ントローラによって実現される複数の制御装置のうちか
ら1台のマスタ制御装置を選択して、残余の1または複
数のスレーブ制御装置を協調動作させている。
【0009】このようなマスタ・スレーブ間で協調制御
を行うシステムにおいては、バス結合または通信回線に
よって接続された各制御装置間でデータの送受信を行う
場合、個々に独立して各ロボット毎に制御系を構成する
各制御装置は、相互に同期させる必要がある。この同期
をとるための手法としては、各制御装置間がバス結合さ
れ、かつ共有メモリ方式によって各制御装置間でデータ
の送受信を行う場合、共有メモリ上にフラグを設ける手
法と、割込みを利用し、割り込み処理内でイベントを発
生させる手法とがある。
【0010】図11は、従来の技術のマスタ/スレーブ
協調制御システムにおけるマスタロボットおよびスレー
ブロボットの各制御装置A,Bを同期させるためのソフ
トウェアプログラム上の構成の一部を示すブロック図で
ある。この従来の技術は、共有メモリ方式によって各制
御装置A,B間を同期させるために、マスタロボットを
制御するマスタ側制御装置Aと、スレーブロボットを制
御するスレーブ側制御装置Bとについて見ると、マスタ
側制御装置Aの演算処理装置2は、スレーブ側制御装置
Bの共有メモリ3のフラグ4に指令値を書き込み、スレ
ーブ側制御装置Bの演算処理装置5は、共有メモリ3上
のフラグ4に前記指令値が書き込まれるまで待機し、ス
レーブ側制御装置Bの演算処理装置5の演算処理動作が
終了した後、フラグ4を監視するために、ポーリング動
作に入り、非同期時に発生するイベントを処理すること
ができるように構成されている。
【0011】図12は、他の従来の技術のマスタ/スレ
ーブ協調制御システムに用いられる割込み方式によって
各制御装置A,Bを同期させる手法を説明するためのブ
ロック図である。各制御装置A,B間において、一方の
制御装置Aの演算処理装置11からの割込み指令を、通
信回線10を介して他方の制御装置Bが入力すると、他
方の制御装置Bは、割込み処理手段12が起動し、この
割込み処理手段12内でイベントを発生させて、演算処
理手段13を起動させる。この他方の制御装置Bの演算
処理手段13は、前記イベント処理を終了すると、再び
イベント待ち状態になる。
【0012】さらに他の従来の技術は、特開平7−20
915号公報に示されている。この従来の技術では、協
調動作の制御対象とされるアームを有する2台のロボッ
トと、各ロボットを個別に制御する制御装置とを備え、
各ロボットのうちで一方のロボットをマスタロボットと
し、他方のロボットをスレーブロボットとして、協調制
御するロボットの協調制御システムが開示されている。
【0013】各制御装置は、教示点データに基づいて補
間計算を行い、マスタロボットのアームの移動すべき通
過点を決定し、スレーブロボットのアームの次通過点
は、前記マスタロボットのアームが次に移動すべき点
と、運搬中のワークの状態などに対応する両アームの相
対的な位置および姿勢関係とに基づいて、各制御装置の
うちのいずれか一方の制御装置内で決定される。マスタ
側制御装置は、与えられた教示内容に応じてアームの次
通過点を決定し、そのデータをスレーブ側制御装置に送
信し、スレーブロボットのアームの次通過点が決定され
る。これらの制御装置は、上記のように相互のデータを
送受信するために通信回線によって接続される。また各
制御装置は同期をとるために、各制御装置のCPU(中
央演算処理装置)が内蔵しているクロック発振回路から
のクロック信号を用い、協調動作するために必要なデー
タおよびプログラムは、すべてのマスタロボットおよび
スレーブロボットに共通の制御装置のメモリに格納され
ている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上記の図11および図
12に示される各従来の技術では、他方の制御装置Bに
とっては、フラグに対するポーリングおよびイベント待
ちなどの無駄な待ち時間が発生してしまうという問題を
有する。また上記の特開平7−20915号公報に示さ
れる従来の技術では、マスタアームとスレーブアームと
を協調動作させるために、各制御装置を同期させるにあ
たって、各制御装置の同期信号間の微小な差、送信周期
と受信周期との微小な差の蓄積による制御周期のずれ、
および通信回線による不可避的な通信遅れなどを解消す
る具体的対策が採られていないため、複数の制御装置を
常に同期させた状態に維持することができないという問
題がある。さらに、ロボット毎に設けられる各制御手段
にそれぞれ備えられる入力手段から動作指令を入力する
手法、ロボット毎の入出力手段間の信号の送受信処理の
手法、および各ロボットの相対位置の設定に誤差が生じ
たときの対処の仕方については、何ら考慮されていない
ため、実際上、協調制御システムを構築することは不可
能である。
【0015】本発明の目的は、複数の制御装置間の同期
ずれを解消し、各ロボットの協調動作のずれを防止する
ことができるようにしたロボットの協調制御システムを
提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、複数のロボット毎に、各ロボットの動作を、予め定
める最小割込み周期で発生されるタイミング信号に同期
して、個別に制御する複数の制御装置と、各制御装置
を、相互に通信可能に接続してネットワークを構成する
通信接続手段と、各制御装置毎に設けられ、各ロボット
の動作指令を入力する入力手段と、各制御装置に設けら
れ、各ロボットの動作指令に応答して各ロボットを動作
させるプログラムが記憶される記憶手段と、各制御装置
毎に設けられ、前記最小割込み周期でタイミング信号を
発生するタイミング信号発生手段と含み、各制御装置
は、単独機能実行モード、マスタ機能実行モードおよび
スレーブ機能実行モードのうちの少なくとも1つを、前
記記憶手段に格納されたプログラムによって選択的に実
行可能とされ、各制御装置のうちの1つが前記プログラ
ムの実行によってマスタ機能実行モードに設定されたと
き、各制御装置のうちの前記マスタ機能実行モードに設
定された制御装置を除く残余の制御装置のうち少なくと
も1つが前記プログラムの実行によってスレーブ動作を
実行するスレーブ機能実行モードに設定され、マスタ機
能実行モードに設定された制御装置によって制御される
マスタロボットと、スレーブ機能実行モードに設定され
た制御装置によって制御されるスレーブロボットとは、
協調動作することを特徴とするロボットの協調制御シス
テムである。
【0017】本発明に従えば、複数のロボット毎に制御
装置が設けられ、各制御装置は、各ロボットの動作を、
タイミング信号発生手段から予め定める最小割込み周期
で発生されるタイミング信号に同期して、個別に制御す
る。各制御装置は、通信接続手段によって相互に通信可
能に接続され、各制御装置間に通信ネットワークが構築
される。各制御装置は、入力手段をそれぞれ備え、各ロ
ボットの単独動作および協調動作を行う際に必要な教示
データなどを入力することができる。また記憶手段に
は、各ロボット毎に予め定める動作指令に応答して各ロ
ボットを動作させるプログラムが格納され、このプログ
ラムの実行によって、各制御装置は、単独機能実行モー
ド、マスタ機能実行モードおよびスレーブ機能実行モー
ドのいずれかに選択的に設定され、1つの制御装置がマ
スタ機能実行モードに設定されると、残余の制御装置の
全部または一部がスレーブ機能実行モードに設定され
る。
【0018】このように各制御装置は、プログラムによ
って単独機能実行モード、マスタ機能実行モードおよび
スレーブ機能実行モードのいずれか1つを選択的に設定
可能とされるので、各制御装置のうちでマスタ動作させ
るべきロボットの制御装置、スレーブ動作させるべきロ
ボットの制御装置、および単独動作させるべきロボット
の制御装置をプログラム上に命令として記載しておくこ
とによって、その選択された制御装置は、マスタ動作を
実行するマスタ実行モードに設定される。また残余の制
御装置のうちでスレーブ動作させるべき制御装置の一部
または全部を選択、具体的にはプログラム上の命令とし
て設定しておくことによって、その選択された制御装置
は、スレーブ動作を実行するスレーブ実行モードに設定
される。
【0019】このようにして各ロボットが実行する一連
の作業のうちで、協調動作する行程については、各ロボ
ットをマスタロボットとスレーブロボットとに設定し
て、前記通信接続手段を介して相互に通信し、高精度で
同期させて協調動作させることができる。
【0020】請求項2記載の本発明は、前記スレーブ機
能実行モードに設定された制御装置は、マスタ機能実行
モードの制御装置が動作指令を送信した時刻taからス
レーブ機能実行モードの制御装置が前記動作指令を受信
して自己のロボットの制御を開始する時刻tbまでの通
信遅れ時間(tb−ta)が、予め定める時間Tになる
ように、前記スレーブ機能実行モードに設定された制御
装置の最小割込み周期Ts(b)を変化させることを特
徴とする。
【0021】本発明に従えば、スレーブ機能実行モード
の制御装置は、マスタ機能実行モードの制御装置が動作
指令を送信した時刻taから、スレーブ機能実行モード
の制御装置が前記動作指令を受信して自己のロボットの
制御を開始する時刻tbまでの通信遅れ時間(tb−t
a)が予め定める時間Tとなるように、最小割込み周期
を変化させるので、スレーブ側制御装置が自己のロボッ
トに対する制御を開始する時刻tbが、前記マスタ側制
御装置がマスタ側制御装置に対して動作指令を送信した
時刻taに対して、前記予め定める時間Tよりも長くな
る方向および予め定める時間Tよりも短くなる方向に大
きくずれることが防がれる。これによってスレーブロボ
ットのマスタロボットに対する動作上の時間的ずれを制
限して、各ロボットを正確に協調動作させることが可能
となる。
【0022】請求項3記載の本発明は、請求項2記載の
ロボットの協調制御システムにおいて、前記予め定める
時間Tは、各制御装置の制御周期W以下に選ばれること
を特徴とする。
【0023】本発明に従えば、前記予め定める時間Tが
各制御装置の制御周期W以下に選ばれるので、マスタ側
制御装置から動作指令が送信される時刻taから、スレ
ーブ側制御装置によって受信されて、このスレーブ側制
御装置が自己のロボットの制御を開始する時刻tbまで
の時間(tb−ta)が、制御周期Wを超えてしまうこ
とが防がれる。これによってスレーブ側制御装置は、ス
レーブ側制御装置の1制御周期Wの時間内に、マスタ側
制御装置から複数の動作指令を受信してしまうという不
具合が発生を確実に防止し、マスタロボットとスレーブ
ロボットとを高精度で協調動作させることが可能とな
る。
【0024】請求項4記載の本発明は、請求項3記載の
ロボットの協調制御システムにおいて、前記マスタ機能
実行モードに設定された制御装置は、自己の対象とする
ロボットへの指令を、スレ−ブ機能実行モードの制御装
置に対する前記通信遅れ時間(tb−ta)だけ遅延さ
せて送信することを特徴とする。
【0025】本発明に従えば、マスタ機能実行モードの
制御装置が指令を送信して、これをスレーブ機能実行モ
ードの制御装置が受信するまでには、通信による遅れ時
間(tb−ta)が存在し、マスタロボットとスレーブ
ロボットとの間には動作上のずれが発生する。これを防
止するために、マスタ機能実行モードの制御装置が制御
するロボットに対する指令を、スレ−ブ機能実行モ−ド
の制御装置の通信遅れ時間(tb−ta)だけ遅延させ
て送信することによって、システム全体の設定を変更せ
ずにマスタロボットに対するスレーブロボットの動作の
遅れを防止し、各ロボットを高精度で同期させて、協調
動作させることができる。
【0026】請求項5記載の本発明は、請求項1〜4の
いずれか1つに記載の協調制御システムにおいて、前記
協調動作は、スレーブ機能実行モードに設定された制御
装置が入力手段から動作指令を入力したとき、その動作
指令は、前記通信接続手段を介してマスタ機能実行モー
ドに設定された制御装置に入力され、このマスタ機能実
行モードに設定された制御装置は、前記入力した動作指
令に応答して制御動作を実行することを特徴とする。
【0027】本発明に従えば、スレーブ機能実行モード
の制御装置は、入力手段から動作指令を入力すると、こ
の動作指令は、通信接続手段を介してマスタ機能実行モ
ードの制御装置に入力される。このマスタ機能実行モー
ドの制御装置は、入力した動作指令に応答して制御動作
を実行し、こうしてスレーブ側制御装置からの動作指令
の入力によって、マスタロボットを制御することができ
る。したがってオペレータは、マスタ側制御装置からだ
けではなく、スレーブ側制御装置側からも動作指令を入
力して、場所的にスレーブロボットから離れた位置に設
置されているマスタロボットの動作を設定することがで
き、したがって協調制御システム全体を操作者の希望す
る場所から操作することが可能となり、操作上の利便性
が向上される。
【0028】請求項6記載の本発明は、請求項1〜5の
いずれか1つに記載のロボットの協調制御システムにお
いて、協調動作中は各制御装置毎に入出力装置が設けら
れ、各制御装置のうちでマスタ機能実行モードに設定さ
れた制御装置と、スレーブ機能実行モードに設定された
制御装置とは、前記通信接続手段を介して、マスタ機能
実行モードに設定された制御装置が、スレーブ機能実行
モードに設定された制御装置の入出力装置を使用して信
号を入出力することを特徴とする。
【0029】本発明に従えば、スレーブ機能実行モード
の制御装置によって制御されるロボットに接続されたエ
ンドエフェクタなどの外部機器は、スレーブ機能実行モ
ードに設定された制御手段の入出力装置(略称IO)を
用いて行なわれる。協調動作においては、マスタロボッ
ト側の記憶手段に記憶されたプログラムの動作命令にし
たがって動作するため、スレーブロボットに接続された
外部機器の制御は、マスタロボットの制御装置に設けら
れる入出力装置を用いて行なわれ、そのために信号の配
線が煩雑になり、スレーブロボットを単独で使用しよう
とした場合に、マスタロボットの信号の影響を受けてし
まう。このような不具合は、上記のようにマスタロボッ
トがスレーブ側制御装置の入出力装置を用いることによ
って、回避することができる。
【0030】請求項7記載の本発明は、請求項1〜6の
いずれか1つに記載のロボットの協調制御システムにお
いて、各制御装置は、協調動作中に各制御装置の協調動
作を停止するための緊急停止手段をそれぞれ有し、各緊
急停止手段のうちのいずれか1つから発生した緊急停止
信号は、この緊急停止信号を発生した緊急停止手段が設
けられる制御手段に入力されるとともに、残余の制御手
段に前記通信接続手段を介して入力され、全てのロボッ
トの動作を停止させることを特徴とする。
【0031】本発明に従えば、各制御装置には緊急停止
手段が備えられるので、どの位置のロボットからでも、
異常が発生したときに、前記緊急停止手段を用いて各ロ
ボットの一部または全体を緊急停止させることができ、
これによって安全性が向上される。
【0032】請求項8記載の本発明は、請求項1〜7の
いずれか1つに記載のロボットの協調制御システムにお
いて、各制御装置には、各ロボット毎に座標系が設定さ
れ、各ロボットのアームの先端部に寸法が既知である位
置決め用ツールを着脱可能に設け、相互に隣接する各ロ
ボットの位置決め用ツールの先端部を、少なくとも3点
で突き合わせて同一位置に配置することによって、各ロ
ボット用の座標変換行列を求め、この座標変換行列を用
いて前記協調動作を実行することを特徴とする。
【0033】本発明に従えば、マスタ座標系に設定され
た共通な3点を結ぶ仮想フレームを基準にして協調動作
するので、各制御装置は、各ロボットの位置および姿
勢、さらには位置および姿勢のずれを、常に共通な座標
系上で各ロボットが相対的位置を正確に認識可能とし、
各ロボットのうちで、いずれのロボットをマスタとして
設定しかつスレーブとして設定しても、1つの座標系内
で協調動作を高精度で制御することができる。
【0034】請求項9記載の本発明は、請求項8記載の
ロボットの協調制御システムにおいて、前記協調動作に
おいて、スレーブ機能実行モードに設定されているロボ
ットの前記マスタ機能実行モードに設定されているロボ
ットに対する相対位置は、教示された動作開始点での相
対位置関係と、教示された動作終了点での相対位置関係
と満たすように補間することを特徴とする。
【0035】本発明に従えば、マスタおよびスレーブの
各ロボット間の相対位置関係において、マスタロボット
とスレーブロボットとが実際の相対位置関係と設定され
た相対位置変換行列との間にずれがある場合、ツールの
寸法に誤差がある場合、ロボットリンク長のばらつきが
ある場合、ゼロイング精度とも呼ばれるロボットの基準
位置への設置精度自体にばらつきがある場合、ならびに
負荷によるロボットアームのたわみの影響によって、相
対的な位置および姿勢関係を一定に保つように制御して
も、実際の位置および姿勢関係が一定に保たれない場合
などの相対位置がずれる原因が存在しても、上記のよう
にマスタ機能実行モードに設定されたロボットの教示位
置の他に、スレーブ機能実行モードに設定されるロボッ
トの位置をも教示することによって、相対位置および姿
勢を変更しながらスレーブロボットをマスタロボットに
追従させて協調動作させることが可能となる。これによ
ってマスタおよびスレーブの各ロボットの相対位置およ
び姿勢のずれが時間経過とともに拡大することが防が
れ、相対位置および姿勢関係を高精度に維持しながら、
所定の動作を継続的に実行することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態の
ロボットの協調制御システム20の全体の構成を示す系
統図である。本実施の形態のロボットの協調制御システ
ム(以下、単に協調制御システムと略記する場合があ
る)20は、複数(本実施の形態では2)のロボットR
a,Rbと、各ロボットRa,Rbを相互に個別に独立
して制御する2台の制御装置Ca,Cbと、各制御装置
Ca,Cbを相互に通信可能に接続する通信接続手段2
1とを含む。
【0037】各ロボットRa,Rbは、一例として述べ
ると、工場内の所定の作業ステージの略水平な床22上
に相互に間隔をあけて設置される基台23上に、旋回体
24が設けられ、旋回体24には複数のアーム25,2
6,27が各軸まわりに角変位可能に設けられ、最も遊
端側のアームの先端部には手首28が設けられ、この手
首28にはワーク29を着脱可能に把持するハンド30
が設けられる6軸の多関節ロボットによってそれぞれ実
現される。
【0038】各制御装置Ca,Cbは、ロボットコント
ローラとも呼ばれ、相互に前記通信接続手段21によっ
て接続されて、通信ネットワークを構成する。これらの
制御装置Ca,Cbは、各ロボットRa,Rbにライン
31a,31bによってそれぞれ接続される制御装置本
体33a,33bと、ティーチペンダントとも呼ばれ、
各制御装置本体33a,33bにライン35a,35b
によって接続される教示入力手段37a,37bと有す
る。
【0039】前記通信接続手段21は、イーサネット
(Ethernet)によって実現される。本実施の形態におい
て「イーサネット」とは、米国電気電子学会(略称IEE
E;Institute of Electrical and Electronic Engineer
s)および国際標準化機構(略称IOS;International Or
ganization For Standardization)によって、IEEE802.
3およびISO8802-3として標準化されたLAN(Local Area
Network)をいう。
【0040】図2は、各制御装置Ca,Cbの構成を示
すブロック図である。上記の各制御装置Ca,Cbに
は、各ロボットRa,Rbにそれぞれ備えられる図示し
ないサーボモータを駆動するためのサーボ駆動手段41
a,41b、パワーシーケンス回路42a,42b、各
ロボットRa,Rbに動作指令を入力するための操作パ
ネル43a,43b、中央演算処理装置(略称CPU)
によって実現される制御手段44a,44b、メモリ4
5a,45b、前記教示入力手段37a,37b、教示
入力手段用インターフェイス回路46a,46b、パー
ソナルコンピュータ用インターフェイス回路(以下、P
C用インターフェイス回路と略記する)47a,47
b、信号入出力回路48a,48b、および通信制御手
段49a,49bを含む。前記遠隔制御装置用インター
フェイス回路47a,47bには、パーソナルコンピュ
ータ(以下、PCと略記する場合がある)53a,53
bが接続される。
【0041】前記パワーシーケンス回路42a,42
b、メモリ45a,45b、教示入力手段用インターフ
ェイス回路46a,46b、PC用インターフェイス回
路47a,47b、信号入出力回路48a,48b、お
よび通信制御手段49a,49bは、バスライン50
a,50bによって相互に接続される。各操作パネル4
3a,43bには、各ロボットRa,Rbの動作を停止
するための停止指令を入力するための停止スイッチSW
1,SW2と、緊急停止スイッチSW5,SW6とが設
けられる。また、信号入出力回路48a,48bには、
ハンド開閉検出スイッチSW3,SW4が接続される。
【0042】前記通信接続手段21は、ハブ(HUB)5
1、各制御装置Ca,Cbに設けられる通信制御手段4
9a,49b、および通信ケーブル52a,52bを含
む。各通信ケーブル52a,52bは、各通信制御手段
49a,49bとハブ51とをそれぞれ接続し、通信ネ
ットワークを構成する。
【0043】図3は、各制御装置Ca,Cbのソフトウ
ェア上の構成を示すブロック図である。各制御装置C
a,Cbは、各メモリ45a,45bにそれぞれ格納さ
れるプログラムを実行するために、プログラム格納部6
1a,61b、プログラム実行解釈部62a,62b、
スレーブ指令値生成部63a,63b、動作指令値生成
部64a,64b、指令値送信部65a,65b、指令
値遅延部66a,66b,指令値受信部67a,67
b、割込み処理部68a,68b、クロック発生部69
a,69b、および信号経路切換え部71a,71bを
含む。
【0044】各制御装置Ca,Cbは、前記メモリ45
a,45bに格納されるプログラムによって、単独機能
実行モード、マスタ機能実行モード、およびスレーブ機
能実行モードのいずれかにそれぞれ設定され、各制御装
置Ca,Cbのいずれか一方がマスタ機能実行モードに
設定されると、各制御装置Ca,Cbのいずれか他方は
スレーブ機能実行モードに設定され、各制御装置Ca,
Cbによって制御される各ロボットRa,Rbを協調動
作させることができるように構成される。
【0045】図4は、各制御装置Ca,Cbの同期処理
機能を説明するための図である。各制御装置Ca,Cb
は、同様な同期処理機能を有し、便宜上、マスタ機能実
行モードに設定された一方の制御装置Caを送信側と
し、スレ−ブ機能実行モードに設定された他方の制御装
置Cbを受信側として説明する。一方の制御装置Caか
ら所定の制御周期Wで時刻ta1,ta2,ta3,…
毎に送信された指令信号は、通信接続手段21を介して
他方の制御装置Cbに前回のスレーブロボットRbへの
制御時刻tb0,tb1,tb2…から所定時間Δt
1,Δt2,Δt3,…経過後の各時刻(tb0+Δt
1),(tb1+Δt2),(tb2+Δt3),…に
おいて時系列的に受信される。
【0046】このようなマスタ側制御装置Caからスレ
ーブ側制御装置Cbへの動作指令の通信接続手段21を
介する送信では、各制御装置Ca,Cbの制御手段44
a,44b(略称CPU)に内臓される水晶発振器の個
体差による発振周波数の微小な誤差に起因する受信時刻
(tb0+Δt1),(tb1+Δt2),(tb2+
Δt3),…の送信時刻ta1,ta2,ta3…に対
する第1の通信遅れ時間、および前記通信接続手段21
を介することによる通信遅れ時間とスレーブ側制御装置
Cbがマスタ側制御装置Caからの動作指令1,2,
3,…を受信時刻(tb0+Δt1),(tb1+Δt
2),(tb2+Δt3),…で受信してからスレーブ
ロボットRbの制御を開始する制御時刻tb1,tb
2,tb3,…までのタイムラグによる第2の通信遅れ
時間が存在するため、前記一方の制御装置Caによって
制御されるマスタロボットRaの動作に対して、他方の
制御装置Cbによって制御されるスレ−ブロボットRb
の動作のずれが発生し、同一時刻における各ロボットR
a,Rb間の相対位置のずれは、作業精度上、無視でき
なくなってしまう。
【0047】上記第1の通信遅れ時間は、図4におい
て、マスタ側(送信側)制御装置Caが送信時刻ta1
で指令1を送信すると、送信された指令1はスレーブ側
(受信側)制御装置Cbに受信時刻(tb0+Δt1)
で受信される。この受信時刻(tb0+Δt1)は、ス
レーブ側制御装置Cbが自己が制御対象とするロボット
Rbに対する前回の制御時刻tb0から所定時間Δt1
が経過した時刻であり、スレーブ側制御装置Cbの最小
割込み周期Ts(b)を4カウント目のタイミング信号
の発振時刻で受信している。
【0048】次に、1制御周期が経過した後の時刻ta
2で、マスタ側制御装置Caが指令2を送信し、この指
令2はスレーブ側制御装置Cbによって、次の受信時刻
(tb1+Δt2)で受信されるが、上記のようにスレ
ーブ側制御装置Cbの制御手段44bに内臓される水晶
発振器は、マスタ側制御装置Caの制御手段44aに内
臓される水晶発振器に対して、各CPU毎に水晶発振器
の個体差による発振周波数の微小な誤差が存在するた
め、最小割込み周期Ts(b)の1カウント目と2カウ
ント目との間に到達した指令2は、前回の制御時刻tb
1からみて2カウント目の時刻(tb1+Δt2)で受
信される。このように前回の制御時刻tb1からタイミ
ング信号が3カウント未満で指令2を受信したときに
は、受信側の制御装置Cbは自己の最小割込み周期Tb
(b)を短くし、受信時刻(tb1+Δt2)が3カウ
ント目以上でかつ5カウント目以下になるように制御す
る。
【0049】また、マスタ側制御装置Caが時刻ta3
で送信した指令3は、スレーブ側制御装置Cbに前回の
制御時刻tb2からみて5カウント目と6カウント目と
の間に到達しているため、6カウント目で受信され、ス
レーブ側制御装置CbはスレーブロボットRbに対して
制御時刻tb3で制御する。したがってスレーブ側制御
装置Cbは、自己の最小割込み周期Ts(b)を長くし
て、受信時刻(tb2+Δt3)が前回の制御時刻tb
2から3カウント目以上でかつ5カウント目以下になる
ように制御する。
【0050】このようにしてスレーブ側制御装置Cb
は、マスタ側制御装置Caから各指令1,2,3,…が
送信される時刻ta1、ta2,ta3,…から、スレ
ーブ側制御装置Cbによって受信されて、このスレーブ
側制御装置Cbが自己のロボットRaの制御を開始する
時刻tb1,tb2,tb3,…までの時間(tb1−t
a0),(tb2−ta1),(tb3−ta2),…
が、スレーブ側制御装置Cbの制御周期Wを超えてしま
うことが防がれる。これによってスレーブ側制御装置C
bは、スレーブ側制御装置Cbの1制御周期W内に、マ
スタ側制御装置Caから複数の動作指令を受信してしま
い、あるいは1制御周期W内に動作指令が受信されない
という不具合が発生を確実に防止し、マスタロボットと
スレーブロボットと高精度で協調動作させることができ
る。
【0051】さらに、マスタ側制御装置Caとスレーブ
側制御装置Cbとを完全に同期させるためには、上記通
信接続手段21を介することによる通信遅れ時間とスレ
ーブ側制御装置Cbがマスタ側制御装置Caからの動作
指令1,2,3,…を受信時刻(tb0+Δt1),
(tb1+Δt2),(tb2+Δt3),…で受信し
てからスレーブロボットRbの制御を開始する制御時刻
tb1,tb2,tb3,…までのタイムラグによる第
2の通信遅れを解消する必要がある。そこで、第1の通
信遅れを解消するために、上記のように制御されるスレ
ーブ側(または受信側)制御装置Cbの最小割込み周期
Ts(b)のn倍(たとえばn=8)が前記制御周期W
に相当するとしたとき、マスタ側の制御時刻ta11,
ta12,ta13,…をスレーブ側の制御時刻tb
1,tb2,tb3,…に一致させる必要がある。そのた
め、マスタ側制御装置Caは、指令値遅延部66aによ
って、動作指令値生成部64aにおいて生成された自己
のロボットRaへの制御時刻ta11,ta12,ta
13,…を、各送信時刻ta1,ta2,ta3,…か
ら予め定める時間Tだけ遅延させる。
【0052】図5は、各ロボットRa,Rb間の相対位
置の計測および設定の手順を説明するための図であり、
図6は各ロボットRa,Rb間の相対位置の計測および
設定を行う際に用いられる突合せ用ツール90を示す側
面図である。各ロボットRa,Rbの相対位置関係を維
持しながら各ロボットRa,Rbを協調動作させるため
に、各ロボットRa,Rb間の相対位置関係を計測し、
そのデータを双方の制御装置Ca,Cbに登録しておく
必要があり、その手順について説明する。
【0053】各ロボットRa,Rb間の相対位置を計測
し、設定するにあたって、各ロボットRa,Rbの手首
28には、図6に示される突合せ用ツール90がそれぞ
れ設けられる。この突合せ用ツール90は、前記手首2
8にボルトなどのねじ部材によって着脱可能に取り付け
られる円板状のフランジ部91と、フランジ部91の中
心軸線上に垂直に固定される円形断面を成す棒状部92
とを有する。前記棒状部92の先端部分は先細状に形成
され、さらに具体的には、円錐台状に形成される。
【0054】この突合せツール90は、フランジ部91
の手首28に接触する表面93から棒状部92の先端部
分94までの前記中心軸線方向の長さLが正確にわかっ
ている必要がある。この長さLは、各ロボットRa,R
b間で突き合わせることができる長さに選ばれている。
また前記突合せツール90は、円板状のフランジ部91
に中心軸線上に棒状部92を垂直に固定した構成である
ので、各先端部分94を突合せたときにその他の部位が
相互に干渉せず、また周囲に対しても干渉することが防
がれる。さらに前記棒状部92の先端部分94は、先細
状とされるので、突合せが容易であり、しかも相互に突
合せて接触させた状態でずれにくく、またずれた状態で
は被接触状態となって明確に認識されるため、正確に突
合せすることができる。
【0055】図17は、3点突合せによる各ロボットR
a,Rb間座標系の校正手順を説明するための図であ
る。3点突合せによる各ロボットRa,Rbの相対位置
の算出方法について説明する。他方のロボットRbの原
点Obに関するベース座標系ΣBaseBを、一方のロ
ボットRaのベース座標系ΣBaseAに変換するため
の変換行列TABと定義する。ここで、変換行列TABは次
のような同時変換行列とする。
【0056】
【数1】
【0057】一直線上には、任意の3点について突合せ
を行い、これによって得られるロボットRaベース座標
系ΣBaseAにおけるロボットRaのツール先端点の
位置と、ロボットRbのベース座標系ΣBaseBにお
けるロボットRbのツール先端点の位置とをそれぞれ、
点(PA,PB)、点(QA,QB)、点(RA,RB)とす
る。
【0058】次に、点PAを原点とし、この点PAから点
Aに向かう線分をX軸正方向として、点RAをXY平面
(ただし、Y>0)に含むようなロボットRaのベース
座標系ΣBaseAにおけるフレームをFAとする。
【0059】
【数2】
【0060】同様に、点PBを原点とし、この点PBが点
Bに向かう線分をX軸正方向として、点RBをXY平面
(ただし、Y>0)に含むようなロボットRBのベース
座標系ΣBaseBにおけるフレームをFBとする。
【0061】
【数3】
【0062】このとき、フレームFA,FBと変換行列T
ABとの間には、次式が成り立つ。 FA=TABB …(12) したがって、変換行列TABは次式によって求められる。 TAB=FA・FB -1 …(13)
【0063】このような変換行列TABは、自己(添え字
A側)から相手(添え字B側)への座標変換を行なう関
数などとして、各制御装置Ca,Cbのメモリ45a,
45bに格納される前記プログラムに記載されている。
【0064】図8は、マスタロボットの動作途中点Mi
に対応するスレーブロボットの動作途中点Siの算出方
法を説明するための図である。まず、一方のロボットR
aをマスタロボットとし、他方のロボットRbをスレー
ブロボットとしたとき、マスタロボットおよびスレーブ
ロボットの共通座標系Σ0において、マスタロボットR
aの動作開始点がMs、動作終了点がMeで教示され、
また前記共通座標系Σ0においてスレーブロボットRb
の動作開始点がSs、動作終了点がSeで教示されたと
する。マスタロボットRaの教示点MsからMeへの移
動するとき、マスタロボットRaの動作中間点Miに対
応するスレーブロボットRbの動作中間点Siを求め
る。
【0065】マスタロボットRaの動作途中点Miは、
パラメータsを用いて求められる。このパラメータsの
値は、s=1のとき、マスタロボットRaが動作開始点
Ms到達し、s=0.0のとき動作終了点Meに到達す
るものとする。また、マスタロボットRaが動作途中点
Miにあるときのパラメータsはsiで表し、このとき
のスレーブロボットRbの動作途中点をSiとする。マ
スタロボットRaの動作開始点Msからスレーブロボッ
トRbの動作開始点Ssへの変換行列をTAB(s)と
し、マスタロボットRaの動作終了点Meからスレーブ
ロボットRbの動作終了点への変換行列をTAB(e)と
し、次式で表すものとする。 TAB(s)=Ss・Ms-1 …(14) TAB(e)=Se・Me-1 …(15)
【0066】また上記の各変換行列TAB(s)、T
AB(e)をXYZオイラー角で表記するとき、T
AB(s)は(Xs,Ys,Zs,Os,As,Ts)と
し、TAB(e)は(Xe,Ye,Ze,Oe,Ae,T
e)として、マスタロボットRaの動作途中点Miに対
する変換行列Tiのオイラー角表記を、次式によって求
める。 Xi=Xe−(Xe−Xs)・s …(16) Yi=Ye−(Ye−Ys)・s …(17) Zi=Ze−(Ze−Zs)・s …(18) Oi=Oe−(Oe−Os)・s …(19) Ai=Ae−(Ae−As)・s …(20) Ti=Te−(Te−Ts)・s …(21)
【0067】これらの式14〜19を変換行列Tiと表
記し、マスタロボットRaの動作途中点Miに対するス
レーブロボットRbの動作途中点Siは、 Si=Ti・Mi …(22) によって求められる。
【0068】このようなマスタロボットRaの動作途中
点Miに対するスレーブロボットRbの動作途中点Si
の関係式は、各制御装置Ca,Cbのメモリ45a,4
5bにプログラムとして格納されており、後述するよう
に、各ロボットRa,Rbのうちで任意にマスタロボッ
トおよびスレーブロボットを設定して、協調動作させる
ことができるように構成されている。
【0069】図9は、協調動作部位を教示する手順を説
明するための各ロボットRa,Rbのアーム先端部分9
4a,94bの移動経路を示す斜視図である。同図にお
いて実線はマスタロボットのアーム先端部分94aの移
動経路を示し、破線はスレーブロボットのアーム先端部
分94bの移動経路を示す。図10は、図9に示される
各教示点に対応してマスタロボットおよびスレーブロボ
ットを協調動作させるための協調動作プログラムの一例
を示す図である。
【0070】次に、各協調動作のためのプログラムの作
成および位置の教示を行う。このプログラムは、一方の
ロボットRaによって実行されるプログラム「.PROGRAM
master( )」と、他方のロボットRbによって実行さ
れるプログラム「.PROGRAMslave( )」とが作成され
る。
【0071】一方のロボットRa側に設定されるプログ
ラム「.PRORAM. master( )」は、1〜20のステップ
を有し、図9の実線で示される動作目標位置Pm0から
各目標位置Pm1〜Pm9を経て動作終了位置Pa10
に至る動作を、一方のロボットRaに実行させるため
に、次のように構成される。
【0072】まず、ステップ1は、一方のロボットRa
の各軸を動作開始位置Pm0へ移動させるための動作命
令であり、「JMOVE #1c1#0」と入力される。「JMOVE」
はロボットを指定した目標位置への各軸の補間動作にお
ける移動させるための命令である。「#1c1#0」は動作目
標位置Pm0を指示する変数名である。
【0073】ステップ2は、動作開始位置Pm0から次
の目標位置Pm1へ一方のロボットRaを移動させるた
めの命令であり、「LMOVE #1c1#1」と入力される。「L
MOVE」は直線動作を指示する予約語であり、「#1c1#1」
は目標位置Pm1を指示する変数名である。
【0074】ステップ3は、前記ステップ2で指定した
位置Pm1でハンド30を閉じさせるための命令であ
り、「CLOSE」と記載される。以上がマスタロボットR
aの単独動作のプログラムである。
【0075】次に、ステップ4は、協調動作を宣言する
命令であり、「MASTER」と記載される。この命令によっ
て、一方のロボットRaがマスタロボットに設定され、
他方のロボットRb側でのスレーブ宣言されて、協調動
作が開始する。マスタ機能実行モードの制御装置Caが
指令を送信して、これをスレーブ機能実行モードの制御
装置Cbが受信するまでには、通信による遅れが発生す
るが、スレーブ機能実行モードの制御装置Cbの最小割
込み周期Ts(b)を、マスタ機能実行モードの制御装
置Caからの指令がスレーブ機能実行モードの制御装置
Cbに、たとえば上記のように3カウント未満で入力さ
れたときには、最小割込み周期Ts(b)を短くし、5
カウントを超えて入力されたときには、最小割込み周期
Ts(b)を長くするとともに、マスタ機能実行モード
の制御装置Caの自己のマスタロボットRaへの制御時
刻ta11,ta12,ta13,…を、予め定める時
間Tだけ遅延させて送信することによって、マスタロボ
ットRaに対するスレーブロボットRbの動作の遅れを
防止し、各ロボットを高精度で同期させて、協調動作さ
せることができる。
【0076】ステップ5は、マスタロボットRaに対し
てハンド30を閉じるための命令であり、「SIGNAL
2」と記載される。
【0077】ステップ6は、スレーブロボットRbのハ
ンド30を閉じるための命令であり、「SIGNAL 2:2」
と記載される。
【0078】ステップ7は、各ロボットRa,Rbを協
調動作させながら次の目標位置Pm2,Ps2へ移動さ
せるための命令であり、「MLLMOVE #1c2#2,#1c2#2」と
記載される。
【0079】ステップ8は、各ロボットRa,Rbを次
の目標位置Pm3,Ps3へ移動させるための命令であ
り、「MLLMOVE #1c1#3,#1c2#3」と記載される。
【0080】ステップ9は、マスタロボットRaを次の
指令を満足するまで待機させるための命令であり、「SW
AIT 1001」と記載される。
【0081】ステップ10は、スレーブロボットRbを
入出力回路48bに次の指令を入力するまで待機させる
ための命令であり、「SWAI 2:1001」と記載される。
【0082】ステップ11は、各ロボットRa,Rbを
次の目標位置Pm4,Ps4へ移動させるための命令で
あり、「MLC1MOVE #1c1#4,#1c2#4」と記載される。
【0083】ステップ12は、各ロボットRa,Rbを
次の目標位置Pm5,Ps5へ移動させるための命令で
あり、「MLC1MOVE #1c1#5,#1c2#5」と記載される。
【0084】ステップ13は、各ロボットRa,Rbを
次の目標位置Pm6,Ps6へ移動させるための命令で
あり、「MLC2MOVE #1c1#6,#1c2#6」と記載される。
【0085】ステップ14は、各ロボットRa,Rbを
次の目標位置Pm7,Ps7へ移動させるための命令で
あり、「MLLMOVE #1c1#7,#1c2#7」と記載される。
【0086】ステップ15は、各ロボットRa,Rbを
次の目標位置Pm8,Ps8へ移動させるための命令で
あり、「MLLMOVE#1c1#8,#1c2#8」と記載される。
【0087】ステップ16は、マスタロボットRaの協
調動作を解除するための命令であり、「ALONE」と記載
される。
【0088】ステップ17は、一方のロボットRaのハ
ンド30を開くための命令であり、「OPEN」と記載され
る。
【0089】ステップ18は、一方のロボットRaに対
して、タイマが変数名「1002」で指示された状態を満足
するまで待機させるための命令であり、「SWAIT 100
2」と記載される。
【0090】ステップ19は、一方のロボットRaを変
数名「#1c1#9」で指示させるも目標位置Pm9へ直線移
動させるための命令であり、「LMOVE #1c1#9」と記載
される。
【0091】ステップ20は、一方のロボットRaを動
作終了位置Pm10へ移動させるための命令であり、
「HOME」と記載される。
【0092】次に、他方のロボットRbに対して設定さ
れるプログラムについて説明する。この他方のロボット
Rb用プログラム「.PRORAM slave( )」は、1〜10
のステップを有し、図9の破線で示される動作目標位置
Ps0から各位置Ps1〜Ps9を経て動作終了位置P
s10に至る動作を、スレーブロボットRbに実行させ
るために、次のように構成される。
【0093】まず、ステップ1は、他方のロボットRa
の各軸を動作目標位置Ps0へ移動させるための動作命
令であり、「JMOVE #1c1#0」と入力される。「JMOVE」
はロボットを指定した位置への補間動作における移動さ
せるための命令である。「#1c1#0」は動作目標位置Ps
0の座標である。
【0094】ステップ2は、動作開始位置Ps0から次
の位置Ps1へ他方のロボットRbを移動させるための
命令であり、「LMOVE #1c1#1」と記載される。「LMOV
E」は直線動作命令であり、「#1c1#1」は次の位置Ps
1の座標である。
【0095】ステップ3は、前記ステップ2で指定した
位置Ps1でハンド30を閉じさせるための命令であ
り、「CLOSE」と記載される。以上がスレーブロボット
の単独動作のプログラムである。
【0096】次に、ステップ4は、他方のロボットRb
を変数名「1002」で指示される条件を満足するまで待機
させるための命令であり、「SWAIT 1002」と記載され
る。
【0097】ステップ5は、自己がスレーブロボットと
して動作することを宣言するための命令であり、「SLAV
E」と記載される。このプログラムの実行時において
は、スレーブロボットRbは、マスタロボットRa側か
らの各ステップ5〜15の命令に応答して協調動作を行
う。この協調動作時は、前述したように、他方のロボッ
トRbはネットワーク通信接続手段21によって一方の
ロボットRaに接続されるので、制御周期のずれを修正
しながら相互に正確に同期して協調動作させることがで
きる。
【0098】ステップ6は、協調動作を解除し、単独動
作に戻ったことを宣言するための命令であり、「ALON
E」と記載される。
【0099】ステップ7は、他方のロボットRbのハン
ド30を開くための命令であり、「OPEN」と記載され
る。
【0100】ステップ8は、マスタロボットRaおよび
スレーブロボットRbの双方に対して指令を個別に設定
するための命令であり、「SIGNAL 2」と記載される。
【0101】ステップ9は、他方のロボットRbを変数
名「#1c2#9」で指示される目標位置Ps9へ移動させる
ための命令であり、「LMOVE #1c2#9」と記載される。
【0102】ステップ10は、他方のロボットRbを動
作終了位置Ps10へ移動させるための命令であり、
「HOME」と記載される。
【0103】このようにして各ロボットが実行する一連
の作業のうちで、協調動作する行程については、各ロボ
ットをマスタロボットとスレーブロボットとに設定し
て、前記通信接続手段を介して相互に通信し、高精度で
同期させて協調動作させることができる。
【0104】またスレーブ機能実行モードの制御装置C
bは、入力手段から動作指令を入力すると、この動作指
令は、通信接続手段を介してマスタ機能実行モードの制
御装置Caに入力される。このマスタ機能実行モードの
制御装置Caは、入力した動作指令に応答して制御動作
を実行し、こうしてスレーブ側制御装置Cbからの動作
指令の入力によって、マスタロボットRaを制御するこ
とができる。したがってオペレータは、マスタ側制御装
置Caからだけではなく、スレーブ側制御装置Cb側か
らも動作指令を入力して、場所的にスレーブロボットR
bから離れた位置に設置されているマスタロボットRa
の動作を設定することができ、したがって協調制御シス
テム全体を操作者の希望する場所から操作することが可
能となり、操作上の利便性が向上される。
【0105】さらにスレーブ機能実行モードの制御装置
Cbによって制御されるロボットRaに接続されたエン
ドエフェクタなどの外部機器は、スレーブ機能実行モー
ドに設定された制御装置Cbの入出力回路(略称IO)
48bを用いて行なわれる。協調動作においては、マス
タロボット側のメモリ45aに記憶されたプログラムの
動作命令にしたがって動作するため、スレーブロボット
Rbに接続された外部機器の制御は、マスタロボットR
aの制御装置Caに設けられる入出力回路48aを用い
て行なわれ、そのために信号の配線が煩雑になり、スレ
ーブロボットRbを単独で使用しようとした場合に、マ
スタロボットRaの信号の影響を受けてしまう。このよ
うな不具合は、上記のようにマスタロボットRaがスレ
ーブ側制御装置Cbの入出力回路48aを用いることに
よって、回避することができる。
【0106】上述の実施の形態では、2台のロボットR
a,Rbに個別に設けられる2台の制御装置Ca,Cb
を通信接続手段21によって接続した構成について述べ
たが、本発明の実施の他の形態では、3台以上のロボッ
トに個別に設けられる制御装置を通信接続手段によって
接続して協調制御する構成に対しても、本発明を好適に
実施することができ、高精度で各制御装置を同期させ
て、協調動作させることができる。
【0107】
【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、単独機
能実行モード、マスタ機能実行モードおよびスレーブ機
能実行モードのいずれか1つをプログラム上の命令とし
て設定しておくことによって、各ロボットをマスタロボ
ットとスレーブロボットとに設定して、高精度で同期さ
せて協調動作させることができる。
【0108】請求項2記載の本発明によれば、マスタ側
制御装置が動作指令を送信した時刻taから、スレーブ
側制御装置が前記動作指令を受信して自己のロボットの
制御を開始する時刻tbまでの通信遅れ時間(tb−t
a)が予め定める時間Tとなるように、最小割込み周期
を変化させるので、スレーブ側制御装置が自己のロボッ
トに対する制御を開始する時刻tbが、前記マスタ側制
御装置がマスタ側制御装置に対して動作指令を送信した
時刻taに対して、前記予め定める時間Tよりも長くな
る方向および予め定める時間Tよりも短くなる方向に大
きくずれることが防がれる。
【0109】請求項3記載の本発明によれば、前記予め
定める時間間隔Tが各制御装置の制御周期W以下に選ば
れるので、マスタ側制御装置から動作指令が送信される
時刻taから、スレーブ側制御装置によって受信され
て、このスレーブ側制御装置が自己のロボットの制御を
開始する時刻tbまでの時間(tb−ta)が、制御周
期Wを超えてしまうことが防がれる。これによってスレ
ーブ側制御装置は、スレーブ側制御装置の1制御周期W
の時間内に、マスタ側制御装置から複数の動作指令を受
信してしまうという不具合が発生を確実に防止し、マス
タロボットとスレーブロボットとを高精度で協調動作さ
せることが可能となる。
【0110】請求項4記載の本発明によれば、マスタ機
能実行モードの制御装置の指令値をスレ−ブ機能実行モ
ードの制御装置の通信遅れ時間だけ遅延することによっ
て、マスタロボットに対するスレーブロボットの動作の
遅れを防止し、各ロボットを高精度で同期させて、協調
動作させることができる。
【0111】請求項5記載の本発明によれば、スレーブ
機能実行モードの制御装置は、入力手段から動作指令を
入力すると、この動作指令は、通信接続手段を介してマ
スタ機能実行モードの制御装置に入力される。このマス
タ機能実行モードの制御装置は、入力した動作指令に応
答して制御動作を実行し、こうしてスレーブ側制御装置
からの動作指令の入力によって、マスタロボットを制御
することができる。したがってオペレータは、マスタ側
制御装置からだけではなく、スレーブ側制御装置側から
も動作指令を入力して、場所的にマスタロボットから離
れた位置に設置されているマスタロボットの動作を設定
することができ、操作上の利便性が向上される。
【0112】請求項6記載の本発明によれば、協調動作
においては、マスタロボットのプログラムの動作命令に
したがって動作するため、スレーブロボットの信号の出
入力は、マスタロボットの制御装置に設けられる入出力
装置を用いて行なわれ、そのために信号の配線が煩雑に
なり、スレーブロボットを単独で使用しようとした場合
に、マスタロボットの信号の影響を受けてしまうという
不具合を、マスタロボットがスレーブ側制御装置の入出
力装置を用いることによって、回避することができる。
【0113】請求項7記載の本発明によれば、各制御装
置には緊急停止手段が備えられるので、どの位置のロボ
ットからでも、異常が発生したときに、前記緊急停止手
段を用いて各ロボットの一部または全体を緊急停止させ
ることができ、これによって安全性が向上される。
【0114】請求項8記載の本発明によれば、マスタ座
標系に設定された共通な3点を結ぶ仮想フレームを基準
にして協調動作するので、各制御装置は、各ロボットの
位置および姿勢、さらには位置および姿勢のずれを、常
に共通な座標系上で各ロボットが相対的位置を正確に認
識可能とし、各ロボットのいずれのロボットをマスタと
して設定しかつスレーブとして設定しても、1つの座標
系内で協調動作を高精度で制御することができる。
【0115】請求項9記載の本発明によれば、マスタロ
ボットとスレーブロボットとが実際の相対位置関係と設
定された相対位置変換行列との間にずれがある場合、ツ
ールの寸法に誤差がある場合、ロボットリンク長のばら
つきがある場合、ゼロイング精度とも呼ばれるロボット
の基準位置への設置精度自体にばらつきがある場合、な
らびに負荷によるロボットアームのたわみの影響によっ
て、相対的な位置および姿勢関係を一定に保つように制
御しても、実際の位置および姿勢関係が一定に保たれな
い場合などの相対位置がずれる原因が存在しても、上記
のようにマスタ機能実行モードに設定されたロボットの
教示位置の他に、スレーブ機能実行モードに設定される
ロボットの位置をも教示することによって、相対位置お
よび姿勢を変更しながらスレーブロボットをマスタロボ
ットに追従させて協調動作させることが可能となる。こ
れによってマスタおよびスレーブの各ロボットの相対位
置および姿勢のずれが時間経過とともに拡大することが
防がれ、相対位置および姿勢関係を高精度に維持しなが
ら、所定の動作を継続的に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態のロボットの協調制御シ
ステム20の全体の構成を示す系統図である。
【図2】各制御装置Ca,Cbの構成を示すブロック図
である。
【図3】各制御装置Ca,Cbのソフトウェア上の構成
を示すブロック図である。
【図4】各制御装置Ca,Cbを同期させるためのソフ
トウェアプログラムの構成を示す簡略化したブロック図
である。
【図5】各ロボットRa,Rb間の相対位置の計測およ
び設定の手順を説明するための図である。
【図6】各ロボットRa,Rb間の相対位置の計測およ
び設定を行う際に用いられる突合せ用ツール90を示す
側面図である。
【図7】3点突合せによる各ロボットRa,Rb間座標
系の校正手順を説明するための図である。
【図8】マスタロボットの動作途中点Miに対応するス
レーブロボットの動作途中点Siの算出方法を説明する
ための図である。
【図9】協調動作部位を教示する手順を説明するための
各ロボットRa,Rbのアーム先端部分94a,94b
の移動経路を示す斜視図である。
【図10】図9に示される各教示点に対応してマスタロ
ボットおよびスレーブロボットを協調動作させるための
協調動作プログラムの一例を示す図である。
【図11】従来の技術のロボットの協調制御システムの
マスタロボットおよびスレーブロボットの各制御装置を
同期させるためのソフトウェアプログラム上の構成の一
部を示すブロック図である。
【図12】他の従来の技術の協調制御システムに用いら
れる割込み方式によって各制御装置を同期させるソフト
ウェアプログラム上の手法を説明するためのブロック図
である。
【符号の説明】
20 ロボットの協調制御システム 21 通信接続手段 22 床 23 基台 24 旋回体 25,26,27 アーム 28 手首 29 ワーク 30 ハンド 31a,31b;35a,35b ライン 33a,33b 制御装置本体 37a,37b 教示入力手段 41a,41b サーボ駆動手段 42a,42b パワーシーケンス回路 43a,43b 操作パネル 44a,44b 制御手段 45a,45b メモリ 46a,46b 教示入力手段用インターフェイス回路 47a,47b パーソナルコンピュータ用インターフ
ェイス回路 48a,48b 入出力回路 49a,49b 通信制御手段 50a,50b バスライン 51 ハブ 52a,52b 通信ケーブル 53a,53b 61a,61b プログラム格納部 62a,62b プログラム解釈実行部 63a,63b スレーブ指令値生成部 64a,64b 動作指令値生成部 65a,65b 指令値送信部 67a,67b 指令値受信部 68a,68b 割込み処理部 69a,69b クロック発生部 Ca,Cb 制御装置 Ra,Rb ロボット SW1,SW2 停止スイッチ SW3,SW4 ハンド開閉検出スイッチ SW5,SW6 緊急停止スイッチ
フロントページの続き (72)発明者 前原 毅 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 (72)発明者 下村 信恭 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 (72)発明者 上野 高▲廣▼ 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 Fターム(参考) 3C007 BS10 JS03 LV02 LV12 MT04

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のロボット毎に、各ロボットの動作
    を、予め定める最小割込み周期で発生されるタイミング
    信号に同期して、個別に制御する複数の制御装置と、 各制御装置を、相互に通信可能に接続してネットワーク
    を構成する通信接続手段と、 各制御装置毎に設けられ、各ロボットの動作指令を入力
    する入力手段と、 各制御装置に設けられ、各ロボットの動作指令に応答し
    て各ロボットを動作させるプログラムが記憶される記憶
    手段と、 各制御装置毎に設けられ、前記最小割込み周期でタイミ
    ング信号を発生するタイミング信号発生手段と含み、 各制御装置は、単独機能実行モード、マスタ機能実行モ
    ードおよびスレーブ機能実行モードのうちの少なくとも
    1つを、前記記憶手段に格納されたプログラムによって
    選択的に実行可能とされ、 各制御装置のうちの1つが前記プログラムの実行によっ
    てマスタ機能実行モードに設定されたとき、各制御装置
    のうちの前記マスタ機能実行モードに設定された制御装
    置を除く残余の制御装置のうち少なくとも1つが前記プ
    ログラムの実行によってスレーブ動作を実行するスレー
    ブ機能実行モードに設定され、 マスタ機能実行モードに設定された制御装置によって制
    御されるマスタロボットと、スレーブ機能実行モードに
    設定された制御装置によって制御されるスレーブロボッ
    トとは、協調動作することを特徴とするロボットの協調
    制御システム。
  2. 【請求項2】 前記スレーブ機能実行モードに設定され
    た制御装置は、マスタ機能実行モードの制御装置が動作
    指令を送信した時刻taからスレーブ機能実行モードの
    制御装置が前記動作指令を受信して自己のロボットの制
    御を開始する時刻tbまでの通信遅れ時間(tb−t
    a)が、予め定める時間Tになるように、前記スレーブ
    機能実行モードに設定された制御装置の最小割込み周期
    Ts(b)を変化させることを特徴とする請求項1記載
    のロボットの協調制御システム。
  3. 【請求項3】 前記予め定める時間Tは、各制御装置の
    制御周期W以下に選ばれることを特徴とする請求項2記
    載のロボットの協調制御システム。
  4. 【請求項4】 前記マスタ機能実行モードに設定された
    制御装置は、自己の対象とするロボットへの指令を、ス
    レ−ブ機能実行モードの制御装置に対する前記通信遅れ
    時間(tb−ta)だけ遅延させて送信することを特徴
    とする請求項3記載のロボットの協調制御システム。
  5. 【請求項5】 前記協調動作において、スレーブ機能実
    行モードに設定された制御装置が入力手段から動作指令
    を入力したとき、その動作指令は、前記通信接続手段を
    介してマスタ機能実行モードに設定された制御装置に入
    力され、このマスタ機能実行モードに設定された制御装
    置は、前記入力した動作指令に応答して制御動作を実行
    することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記
    載のロボットの協調制御システム。
  6. 【請求項6】 各制御装置毎に入出力装置が設けられ、
    協調動作中は各制御装置のうちでマスタ機能実行モード
    に設定された制御装置と、スレーブ機能実行モードに設
    定された制御装置とは、前記通信接続手段を介して、マ
    スタ機能実行モードに設定された制御装置が、スレーブ
    機能実行モードに設定された制御装置の入出力装置を使
    用して信号を入出力することを特徴とする請求項1〜5
    のいずれか1つに記載のロボットの協調制御システム。
  7. 【請求項7】 各制御装置は、協調動作中に各制御装置
    の協調動作を停止するための緊急停止手段をそれぞれ有
    し、各緊急停止手段のうちのいずれか1つから発生した
    緊急停止信号は、この緊急停止信号を発生した緊急停止
    手段が設けられる制御手段に入力されるとともに、残余
    の制御手段に前記通信接続手段を介して入力され、全て
    のロボットの動作を停止させることを特徴とする請求項
    1〜6のいずれか1つに記載のロボットの協調制御シス
    テム。
  8. 【請求項8】 各制御装置には、各ロボット毎に座標系
    が設定され、各ロボットのアームの先端部に寸法が既知
    である位置決め用ツールを着脱可能に設け、相互に隣接
    する各ロボットの位置決め用ツールの先端部を、少なく
    とも3点で突き合わせて同一位置に配置することによっ
    て、各ロボット用の座標変換行列を求め、この座標変換
    行列を用いて前記協調動作を実行することを特徴とする
    請求項1〜8のいずれか1つに記載のロボットの協調制
    御システム。
  9. 【請求項9】 前記協調動作において、スレーブ機能実
    行モードに設定されているロボットの前記マスタ機能実
    行モードに設定されているロボットに対する相対位置
    は、教示された動作開始点での相対位置関係と、教示さ
    れた動作終了点での相対位置関係と満たすように補間す
    ることを特徴とする請求項8記載のロボットの協調制御
    システム。
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