JP2003140751A - マスタスレーブ式xy位置決め制御装置及び電子部品搭載装置 - Google Patents

マスタスレーブ式xy位置決め制御装置及び電子部品搭載装置

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JP2003140751A JP2001340864A JP2001340864A JP2003140751A JP 2003140751 A JP2003140751 A JP 2003140751A JP 2001340864 A JP2001340864 A JP 2001340864A JP 2001340864 A JP2001340864 A JP 2001340864A JP 2003140751 A JP2003140751 A JP 2003140751A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の課題は、マスタスレーブ式位置決め制
御方式において、外乱等が起きた異常状態の場合のトル
ク指令の急激な出力方向の変化を抑制することである。 【解決手段】マスタスレーブ式XY位置決め制御装置D
を備え電子部品21を回路基板22に搭載する電子部品
搭載装置Cにおいて、目標位置の位置指令、及びY軸リ
ニアエンコーダ7から出力された位置フィードバック信
号から算出された速度指令を微分した加速度指令の加速
方向又は減速方向に比較して、前記位置指令、位置フィ
ードバック信号及びその微分値である速度フィードバッ
ク信号から算出されたトルク指令の出力方向が逆転し、
かつ、当該トルク指令の変化幅が設定値よりも多い異常
状態の場合、前記トルク指令の変化幅を設定値よりも低
く制限して当該トルク指令をY軸リニアモータ5A,5
Bに入力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マスタスレーブ式
位置決め制御方式で搬送対象物をXY位置移動自在に位
置決めするマスタスレーブ式XY位置決め制御装置及び
電子部品を搭載する電子部品搭載装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、電子部品の搭載を行なうヘッ
ドや、部材を切削加工等するための工具を、XY平面の
所定位置に正確に位置決めするXY位置決め制御装置を
備えた、電子部品を回路基板に搭載するための電子部品
搭載装置や、各種工作機械等があった。
【0003】ここで、図5を参照して、従来の電子部品
搭載装置を説明する。電子部品搭載装置は、XY平面の
所定位置に位置決め制御するガントリ型(門形移動型)
のXY位置決め制御装置30と、電子部品を供給する図
示しない部品供給体と、回路基板を搬送するための図示
しない基板搬送装置とからなる。
【0004】XY位置決め制御装置30は、基板搬送装
置に対して直角に、かつ、基板搬送装置を跨ぐようにし
て設けられる二本の支持梁31A,31Bと、Y軸方向
へ移動自在となるように二本の支持梁31A,31B間
に架け渡されるビーム32と、ビーム32の長手方向に
移動自在に取付けられるヘッド33と、ヘッド33に搭
載され部品供給体から電子部品を吸着して回路基板上の
所定位置に装着する吸着ノズル34と、ビーム32の各
端で支持梁31A,31Bそれぞれの長手方向の移動の
駆動力を供給するY軸回転モータ35A,35Bと、Y
軸回転モータ35A,35Bから供給された駆動力をビ
ーム32にそれぞれ伝えるY軸タイミングベルト36
A,36Bと、ヘッド33に対してビーム32の長手方
向の移動の駆動力を供給するX軸回転モータ37と、X
軸回転モータ37から供給された駆動力をヘッド33に
伝えるX軸タイミングベルト38とを有する。
【0005】また、XY位置決め制御装置30は、ビー
ム32のY軸位置を検出するための位置検出手段であ
り、支持梁31A,31Bにそれぞれ設けられたY軸リ
ニアエンコーダ39と、ヘッド33のX軸位置を検出す
るための図示しない位置検出手段であるX軸リニアエン
コーダと、CPU41(Central Processing Unit)を
含みビーム32をY軸方向に位置決め制御するY軸位置
決め制御部40を備え、またヘッド33をX軸方向に位
置決め制御する制御手段とを有する。図5に示すよう
に、ビーム32の長手方向をX軸方向、支持梁31A、
31Bそれぞれの長手方向をY1軸方向、Y2軸方向と
する。
【0006】電子部品搭載装置は、CPU41が出力す
る位置指令(ビーム32及びヘッド33の位置、回路基
板上への電子部品の搭載位置、部品供給体上の電子部品
の吸着位置等に関する情報)に基づいて、Y軸位置決め
制御部40を含める制御手段が、各駆動手段の駆動を制
御することで、ヘッド33を部品供給体上の所定位置に
移動させ、ヘッド33が備える吸着ノズル34により電
子部品を吸着する。そして、ヘッド33を、回路基板搬
送装置で搬送された回路基板上の所定位置に移動させ、
電子部品を回路基板に装着する構造となっている。
【0007】XY位置決め制御装置30の位置決め制御
方式としては、X軸、Y1軸及びY2軸それぞれの軸に
リニアエンコーダを配置し、位置決め制御を行う全軸式
位置決め制御方式と、Y1軸、Y2軸の片方とX軸にリ
ニアエンコーダを配置し、位置決め制御を行うマスタス
レーブ式位置決め制御方式とがあった。
【0008】ここで、図6を参照して、マスタスレーブ
式位置決め制御方式を説明する。マスタスレーブ式位置
決め制御方式は、マスタ側であるY1軸側のY軸回転モ
ータ35Aにおいて位置検出してトルク制御し、スレー
ブ側であるY2軸側のY軸回転モータ35BにおいてY
1側のトルク指令(電流指令)を用いてトルク制御し、
ビーム32を位置制御する。Y軸位置決め制御部40
は、CPU41、位置偏差比例増幅器42、速度偏差P
I演算部43、低域フィルタ44、速度演算部45とを
設ける。
【0009】先ず、CPU41から目標位置の信号であ
る位置指令を出力し、位置偏差比例増幅器42で当該位
置指令と、Y軸リニアエンコーダ39からの位置フィー
ドバック信号との偏差を比例演算して、目標位置に対応
する速度の信号である速度指令を出力し、速度偏差PI
演算部43で、位置偏差比例増幅器42からの速度指令
と速度演算部45からの速度フィードバック信号との偏
差を積分演算して、当該偏差と積分値との和を比例演算
して、速度に対応する電流の信号であるトルク指令(電
流指令)を出力し、低域フィルタ44で当該トルク指令
の低域ノイズを除去して出力し、当該トルク指令を電流
アンプ46Aで増幅してY軸リニアモータ35Aに入力
する。
【0010】Y2軸側では、低域フィルタ44から出力
されたトルク指令を電流アンプ46Bで増幅してY軸回
転モータ35Bに入力してトルク制御し、ビーム32の
位置決め制御を行う。
【0011】マスタスレーブ式位置決め制御方式は、全
軸式位置決め制御方式に比べて、Y2軸側に、位置偏差
比例増幅器、速度偏差PI演算部、低域フィルタ、速度
演算部及びY軸リニアエンコーダを設置する必要がない
ので、XY位置決め制御装置の製造コストを低く抑える
ことができるという利点があった。
【0012】また、ここでは、X軸回転モータ37、X
軸タイミングベルト38、Y軸回転モータ35A,35
B、タイミングベルト36A,36Bを駆動手段として
用いたが、リニアモータ等の駆動手段も用いられてい
る。また、マスタスレーブ式位置決め制御方式でY1軸
側をスレーブ側、Y2軸側をマスタ側とする構成でもよ
い。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のマスタ
スレーブ式位置決め制御方式では、マスタ側であるY1
軸側の駆動手段であるY軸回転モータ35Aと、スレー
ブ側であるY2軸側の駆動手段であるY軸回転モータ3
5Bとの駆動時、Y1軸側の、支持梁31A、ビーム3
2、Y軸回転モータ35A、Y軸タイミングベルト36
Aの間の摩擦係数と、Y2軸側の、支持梁31B、ビー
ム32、Y軸回転モータ35B、Y軸タイミングベルト
36Bの間の摩擦係数との差や、外乱等の外的要因によ
り、Y1軸側とY2軸側それぞれで位置決め制御された
ビーム32の位置にずれが生ずる場合があった。
【0014】外乱とは、位置決め制御におけるビーム3
2の異常な動きであり、例えば、X軸におけるヘッド3
3の移動や、外部からの衝撃等で起こる。ビーム32の
各軸側での位置にずれが生ずる場合には、一方の軸側が
他方の軸側にそれぞれ干渉する外力をビーム32に与え
あうこととなっていた。
【0015】その場合、マスタ側では、位置フィードバ
ック信号及び速度フィードバックを用いた位置決めのサ
ーボ制御を行っているため、ビーム32は、基本的に位
置指令にほぼ正確に追随する。一方、スレーブ側では、
位置フィードバック信号及び速度フィードバックを用い
た位置決めのサーボ制御がなされておらず、マスタ側の
トルク信号が与えられているだけであるから、位置指令
と、実際のスレーブ側のビーム32の動きは異なってい
た。
【0016】このスレーブ側の動きは、マスタ側に対し
ては外乱として働き、マスタ側では、当該外乱を補正し
ようとするための位置決め制御を行うため、位置指令に
対応するトルク指令に不連続な部分が発生し、実駆動時
の衝撃や異音となって現れることがあった。
【0017】よって、マスタ側とスレーブ側でビーム3
2の位置のずれが起こり、その結果、スレーブ側からマ
スタ側へ外乱が伝わり、トルク指令の急激(断続的)な
出力方向(加速方向又は減速方向)の変化の発生によ
り、実駆動時の衝撃や異音が発生するという問題や、高
精度なビーム32の位置及び速度の制御、静かで滑らか
な位置決め制御を行おうとしても、実現できないという
問題があった。
【0018】上記の問題は、ビーム32の剛性を高くす
ればするほど顕著となる。しかし、剛性を低くすると制
御ゲインを上げることができず、位置決め目標への整定
時間(目標位置へ位置決め終了するまでの時間)が遅く
なるという問題が起こっていた。
【0019】本発明の課題は、マスタスレーブ式位置決
め制御方式において、外乱等が起きた異常状態の場合の
トルク指令の急激な出力方向の変化を抑制することであ
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
X軸方向に沿って延在し、X軸方向に直交するY軸方向
に沿って移動自在にさせると共に、搬送対象物(例え
ば、図1に示すヘッド3)をX軸方向に移動自在に支持
する移動体(例えば、図1に示すビーム2)と、当該移
動体の両端部をそれぞれ第1及び第2のY軸方向に沿っ
て案内する第1及び第2のガイド部材(例えば、図1に
示す支持梁1A,1B)と、前記移動体の一端部の第1
のY軸方向の位置を検出する位置検出手段(例えば、図
2に示すY軸リニアエンコーダ7)と、第1及び第2の
Y軸それぞれに沿って前記移動体を移動させる第1及び
第2の駆動手段(例えば、図2に示すY軸リニアモータ
5A,5B)と、前記位置検出手段から出力された位置
情報を用いて第1及び第2の駆動手段に、前記移動体を
Y軸方向の任意の位置へ位置決め制御する制御手段(例
えば、図3に示すY軸位置決め制御部10を含める制御
手段)とを備えるマスタスレーブ式XY位置決め制御装
置であって、前記制御手段は、目標位置の信号である位
置指令と、前記位置検出手段から出力された位置フィー
ドバック情報とを用いて、速度指令を算出する速度指令
算出手段(例えば、図3に示す位置偏差比例増幅器1
2)と、前記位置検出手段から出力された位置フィード
バック情報から、速度フィードバック情報を算出する速
度演算手段(例えば、図3に示す速度演算部16)と、
前記速度指令算出手段から出力された速度指令と、前記
速度演算手段から出力された速度フィードバック情報と
を用いて、前記第1及び第2の駆動手段の駆動の信号で
あるトルク指令を算出するトルク指令算出手段(例え
ば、図3に示す速度偏差PI演算部13)と、前記速度
指令算出手段から出力された速度指令を用いて、加速度
指令を算出する加速度指令算出手段(例えば、図3に示
す加速度指令演算部17)と、当該加速度指令算出手段
から出力された加速度指令が加速方向又は減速方向のど
ちらであるかを検出し、当該検出した加速度指令の加速
方向又は減速方向に比較して、前記トルク指令算出手段
から出力されたトルク指令の出力方向が逆転し、かつ、
前記トルク指令の変化幅が任意に設定された設定値より
も大きい、異常状態であるかを判別する異常判別手段
(例えば、図3に示す異常判別部18)と、当該異常判
別手段で異常状態であると判別した場合、前記トルク指
令の変化幅を前記設定値以下に制限するトルク指令制限
手段(例えば、図3に示すトルクリミッタ14)と、を
具備するマスタスレーブ式XY位置決め制御装置である
ことを特徴とする。
【0021】請求項1記載の発明によれば、製造コスト
の低いマスタスレーブ式XY位置決め制御装置におい
て、第1及び第2の駆動手段へ入力するトルク指令の出
力方向が、加速度指令の方向と逆転し、かつ、トルク指
令の変化幅がある設定値よりも大きい、外乱等が起こっ
た異常状態の場合に、トルク指令の変化幅をある設定値
以下に制限する。
【0022】従って、請求項1記載の発明によれば、移
動体への外力の干渉を抑え、衝撃や異音、移動体の破
損、第1及び第2の駆動手段の温度の上昇、並びに、余
分な電力の消費を避けることができ、また、移動体の剛
性を高くすることができるので、制御ゲインを高め、高
速な位置決め制御を行うことができる。
【0023】請求項2に記載の発明は、請求項1の特徴
の第1及び第2の駆動手段が、リニアモータである、マ
スタスレーブ式XY位置決め制御装置であることを特徴
とする。
【0024】従って、請求項2記載の発明によれば、第
1及び第2の駆動手段にリニアモータを用いるので、移
動体の高精度な位置決め制御を行うことができる。
【0025】請求項3に記載の発明は、請求項1又は2
何れかの特徴のマスタスレーブ式XY位置決め制御装置
を具備する電子部品搭載装置であって、前記搬送対象物
は、XY位置移動自在に電子部品を回路基板上に搭載す
る電子部品搭載ヘッドである、電子部品搭載装置である
ことを特徴とする。
【0026】従って、請求項3の発明によれば、請求項
1又は2記載の効果を得ると共に、移動体への外力の干
渉を抑えて、電子部品を回路基板上の所定位置に搭載す
ることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発
明の実施の形態を説明する。先ず、装置的特長を図1〜
図3を参照して説明する。なお、図面は発明が理解でき
る程度に概略的に示してあるにすぎず、従って発明を図
示例に限定するものではない。
【0028】図1〜図3に示すように、電子部品搭載装
置Cは、ヘッドをX軸及びY軸移動自在に位置決めする
ガントリ型のマスタスレーブ式XY位置決め制御装置D
と、電子部品21を供給する部品供給体23と、電子部
品21を搭載するための回路基板22を搬送するための
基板搬送装置24とからなる。
【0029】マスタスレーブ式XY位置決め制御装置D
は、基板搬送装置24に対して直角に、かつ、基板搬送
装置24を跨ぐようにして設けられる二本の支持梁1
A,1Bと、Y軸方向へ移動自在となるように二本の支
持梁1A,1B間に架け渡されるビーム2と、ビーム2
の長手方向に移動自在に取付けられるヘッド3と、ヘッ
ド3に搭載され部品供給体23から電子部品21を吸着
して回路基板22上の所定位置に装着する吸着ノズル4
と、ビーム2の各端で支持梁1A,1Bそれぞれの長手
方向の移動の駆動力を供給するY軸リニアモータ5A,
5Bと、ヘッド3のビーム2の長手方向の移動の駆動力
を供給するX軸リニアモータ6とを有する。
【0030】また、マスタスレーブ式XY位置決め制御
装置Dは、ビーム2のY1軸位置を検出するための位置
検出手段であり支持梁1Aにそれぞれ設けられたY軸リ
ニアエンコーダ7と、ヘッド3のX軸位置を検出するた
めの位置検出手段であるX軸リニアエンコーダ8と、C
PU11を含みビーム2をY軸方向に位置決め制御する
Y軸位置決め制御部10を備えまたヘッド3をX軸方向
に位置決め制御する制御手段とを有する。図1に示すよ
うに、ビーム2の長手方向をX軸方向、支持梁1A,1
Bそれぞれの長手方向をY1軸方向、Y2軸方向とす
る。
【0031】電子部品搭載装置Cは、CPU11から出
力される位置指令(ビーム2及びヘッド3の位置、回路
基板22上への電子部品21の搭載位置、部品供給体2
3上の電子部品21の吸着位置等に関する情報)に基づ
いて、Y軸位置決め制御部10を含む制御手段でX軸リ
ニアモータ6及びY軸リニアモータ5A,5Bの駆動を
制御することで、ヘッド3を部品供給体23上の所定位
置に移動させ、ヘッド3が備える吸着ノズル4により電
子部品21を吸着する。そして、ヘッド3を、基板搬送
装置24で搬送された回路基板22上の所定位置に移動
させ、電子部品21を回路基板22に装着する構造とな
っている。
【0032】Y軸位置決め制御部10は、各部を中央制
御するCPU11と、Y1軸側に、位置偏差比例増幅器
12、速度偏差PI演算部13、トルク指令を制限する
トルクリミッタ14、低域フィルタ15、速度演算部1
6、速度指令から加速度指令を演算する加速度指令演算
部17、加速度指令及びトルク指令から異常であるかを
判別する異常判別部18とを設け、電流アンプ19A,
19Bを介してY軸リニアモータ5A,5Bに接続さ
れ、また、Y軸リニアエンコーダ7とも接続する。
【0033】マスタスレーブ式XY位置決め制御装置D
は、マスタスレーブ式位置決め制御方式によりY軸方向
の位置制御を行い、マスタ側であるY1軸のY軸リニア
モータ5Aに対してビーム2の位置決めのサーボ制御を
行い、スレーブ側であるY2軸のY軸リニアモータ5B
に対して、マスタ側のトルク指令を用いてビーム2の位
置決め制御を行う構成である。
【0034】ここで、Y1軸のY軸リニアモータ5Aに
ついての位置決め制御を説明する。先ず、CPU11か
ら目標位置の信号である位置指令を出力し、位置偏差比
例増幅器12で当該位置指令と、Y軸リニアエンコーダ
7から出力された位置フィードバック信号との偏差を比
例演算して、目標位置に対応する速度の信号である速度
指令を出力し、速度偏差PI演算部13で、位置偏差比
例増幅器12からの速度指令と速度演算部16から出力
された速度フィードバック信号との偏差を積分演算し
て、当該偏差と積分値との和を比例演算して、速度に対
応する電流の信号であるトルク指令を出力し、トルクリ
ミッタ14で、当該トルク指令の急激な(断続的な)加
速方向又は減速方向への出力方向の逆転部分を制限し、
低域フィルタ15で当該トルク指令の低域ノイズを除去
して出力し、出力された当該トルク指令を電流アンプ1
9Aで増幅してY軸リニアモータ5Aに入力し、Y軸リ
ニアモータ5Aを当該トルク指令に対応して駆動させ、
ビーム2を位置指令に対応した位置へ移動させて、位置
決め制御する。
【0035】なお、Y軸リニアエンコーダ7は、Y1軸
側のビーム2の位置を検出し、検出した位置を位置フィ
ードバック信号として出力し、速度演算部16は、Y軸
リニアエンコーダ7からの位置フィードバック信号を微
分演算して、速度フィードバック信号を出力する。
【0036】Y2軸側のY軸リニアモータ5Bについて
の位置決め制御は、低域フィルタ15から出力されたト
ルク指令を電流アンプ19Bで増幅し、増幅したトルク
指令をY軸リニアモータ5Bに入力し、Y軸リニアモー
タ5Bを当該トルク指令に対応して駆動させ、ビーム2
を位置指令に対応した位置へ移動させて、位置決め制御
する。
【0037】ここで、トルクリミッタ14におけるトル
ク指令当該トルク指令の急激な(断続的な)加速方向又
は減速方向への出力方向の逆転部分を制限する制御につ
いて詳細に説明する。先ず、加速度指令演算部17は、
位置偏差比例増幅部12から出力された速度指令を微分
演算して、加速度指令を出力し、異常判別部18は、加
速度演算部17から出力された加速度指令が加速方向か
減速方向かを判別し、速度偏差PI演算部13からトル
クリミッタ14及び低域フィルタ15を介して出力され
たトルク指令の加速方向又は減速方向への出力方向と、
前記加速度指令の方向(加速方向又は減速方向)を比較
し、当該方向が異なる(逆転している)場合を判別す
る。
【0038】異常判別部18は、トルク指令の出力方向
と、前記加速度指令の方向とが同じである場合、異常状
態ではないと判別し、トルク指令の出力方向と、前記加
速度指令の方向とが異なると判別した場合、更に、トル
ク指令の信号の変化幅がある設定値以下であるかを判別
する。
【0039】異常状態とは、外乱等により、ビーム2に
対してY1軸及びY2軸上で位置ずれが起こり、スレー
ブ側であるY2軸側からマスタ側のY1軸側に外力を与
えて、トルク信号が急激(断続的)に出力方向を逆転し
た不連続部分が存在する状態である。トルク信号に不連
続部分が存在する場合、ビーム2の位置決め制御時の衝
撃や異音の原因となる。
【0040】異常判別部18は、トルク指令の出力方向
と加速度指令の方向とが異なると判別し、かつ、トルク
指令の信号の変化幅がある設定値以下の場合、異常状態
ではないと判別し、同じく、トルク指令の信号の変化幅
がある設定値よりも大きい場合、異常状態であると判別
し、トルクリミッタ14に稼動信号を入力し、トルクリ
ミッタ14は、当該稼動信号に従ってONされ、トルク
指令の信号の変化幅をある設定値以下に制限して抑制す
る。
【0041】このトルク指令の信号の変化幅をある設定
値以下に抑制する動作は、例えば、トルク指定信号Tr
(n)(nは1以上の整数)とした場合、現在のトルク
指定信号Tr(m)と、一つ前に出力されたトルク指定
信号Tr(m−1)を用いて、|Tr(m−1)−Tr
(m)|≧Tr_lmtの場合、現在のトルク信号Tr(m)
をTr(m)=Tr(m−1)+ΔTrに制限する。但
し、Tr_lmt及びΔTrは共に予め設定した設定値であ
る。
【0042】ここで、図4を参照して、異常判別部18
における、異常状態の判別の具体例を説明する。(I)
に示すように、時間に対して、位置偏差比例増幅器12
から速度指令が出力され、(II)に示すように、(I)
に対応し、時間に対して、加速度指令演算部17から加
速度指令が出力され、(II)の実線に示すように、正常
時では、時間に対する、速度偏差PI演算部13からト
ルクリミッタ14及び低域フィルタ15を介して加速度
指令が出力される。
【0043】及びの時間に異常が起こったとする
と、Y軸リニアエンコーダ7にビーム2を介して外力が
働く。しかし(I)及び(II)に示すように、位置フィ
ードバック信号の影響しか受けない速度指令及び加速度
指令は、ほとんど外力に影響されない。
【0044】しかし、速度フィードバック信号の影響を
受けるトルク指令は、(III)の一点鎖線に示すよう
に、において急激に加速方向へ向かう方向に出力され
る。(III)の一点鎖線は、トルク指令を補正しない場
合を示す。
【0045】異常判別部18では、加速度指令がで減
速方向にあり、トルク指令の出力方向がで加速方向へ
向かっているので、方向が異なり(逆転し)、かつトル
ク指令の変化幅がある設定値より大きいと判別するの
で、(III)の点線に示すように、トルクリミッタ14
に稼動信号を送信してトルクリミッタをONにし、トル
ク指定の変化幅をある設定値以下となるよう補正する。
【0046】よって、本実施の形態によれば、製造コス
トの低いマスタスレーブ式XY位置決め制御装置Dにお
いて、Y軸リニアモータ5A,5Bへ入力するトルク指
令の出力方向が、加速度指令の方向と逆転し、かつ、ト
ルク指令の変化幅がある設定値よりも大きい、外乱等が
起こった異常状態の場合にも、トルク指令の変化幅をあ
る設定値以下に制限するので、ビーム2を介して、Y2
軸側からY1軸側に働く外力の干渉による衝撃や異音を
抑えることができる。
【0047】また、外力の干渉による、ビーム2の破
損、及びY軸リニアモータ5A,5Bの温度の上昇、並
びに、余分な電力の消費を避けることができる。
【0048】また、ビーム2の剛性を高くすることがで
きるので、位置決め整定時間を短くすることができ、高
速な位置決め制御を行うことができる。
【0049】更に、Y1軸及びY2軸におけるビーム2
の駆動手段として、ビーム2の剛性を低くすることな
く、Y1軸及びY2軸それぞれでY軸リニアモータ5
A,5Bを用いることができるので、ビーム2の高精度
な位置決め制御を行うことができる。
【0050】なお、上記各実施の形態では、位置偏差比
例増幅器12から出力された速度指令を元に、加速度指
令演算部17で加速度指令を演算しているが、CPU1
1から出力された位置指令及びY1軸リニアエンコーダ
7から出力された位置フィードバック信号を元に、直
接、加速度指令演算部で位置偏差の比例演算及び微分演
算をして加速度指令を演算し、異常判別部18に入力す
る構成でもよい。
【0051】また、上記各実施の形態では、Y1側をマ
スタ側とし、Y2軸側をスレーブ側としているが、Y2
側をマスタ側としてY軸リニアエンコーダを設け、当該
Y2軸側のY軸リニアエンコーダからの位置フィードバ
ック信号を用いてY軸位置決め制御を行う。すなわち、
Y1軸側をスレーブ側として、Y2軸側のトルク指令を
用いてY1軸側のY軸リニアモータを駆動する構成でも
よい。
【0052】また、上記各実施の形態では、駆動手段と
してY軸リニアモータ5A,5Bを使用したが、駆動手
段としてタイミングベルト及び回転モータ等の他の駆動
手段を使用してもよく、その場合にも、ビーム2の剛性
を高くすることができ、制御ゲインを高め、高速の位置
決め制御を行うことができる。
【0053】更に、上記各実施の形態では、マスタスレ
ーブ式XY位置決め制御装置Dを電子部品搭載装置に設
けているが、X軸方向及びY軸方向移動自在に位置決め
制御する他の一般的な装置に設けることもできる。例え
ば、各種工作機械、縫製機、プロッタプリンタ等であ
る。
【0054】以上、本発明の実施の形態につき説明した
が、本発明は、必ずしも上述した手段及び手法にのみ限
定されるものではなく、本発明にいう目的を達成し、本
発明にいう効果を有する範囲内において適宜に変更実施
が可能なものである。
【0055】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、製造コス
トの低いマスタスレーブ式XY位置決め制御装置におい
て、第1及び第2の駆動手段へ入力するトルク指令の出
力方向が、加速度指令の方向と逆転し、かつ、トルク指
令の変化幅がある設定値よりも大きい、外乱等が起こっ
た異常状態の場合に、トルク指令の変化幅をある設定値
以下に制限するので、移動体を介して第2のY軸側から
第1のY軸側に働く外力の干渉を抑え、衝撃や異音、移
動体の破損、第1及び第2の駆動手段の温度の上昇、並
びに、余分な電力の消費を避けることができ、また、移
動体の剛性を高くすることができるので、制御ゲインを
高め、高速な位置決め制御を行うことができる。
【0056】請求項2記載の発明によれば、第1及び第
2の駆動手段にリニアモータを用いるので、移動体の更
に高精度な位置決め制御を行うことができる。
【0057】請求項3記載の発明によれば、請求項1又
は2の何れか記載の効果を得ると共に、移動体への外力
の干渉を抑えて電子部品を回路基板上の所定位置に搭載
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の電子部品搭載装置Cの斜
視図である。
【図2】マスタスレーブ式XY位置決め制御装置Dの上
面図である。
【図3】Y軸位置決め制御部10のブロック図である。
【図4】速度指令、加速度指令及びトルク指令を示すグ
ラフである。
【図5】従来の電子部品搭載装置のXY位置決め制御装
置30の斜視図である。
【図6】マスタスレーブ式位置決め制御方式を行う従来
のY軸位置決め制御部40のブロック構成図である。
【符号の説明】
C…電子部品搭載装置 D…マスタスレーブ式XY位置決め制御装置 1A,1B,31A,31B…支持梁 2,32…ビーム 3,33…ヘッド 4,34…吸着ノズル 5A,5B…Y軸リニアモータ 6…X軸リニアモータ 7,39…Y軸リニアエンコーダ 8…X軸リニアエンコーダ 10,40…Y軸位置決め制御部 11,41…CPU 12,42…位置偏差比例増幅器 13,43…速度偏差PI演算部 14…トルクリミッタ 15,44…低域フィルタ 16,45…速度演算部 17…加速度指令演算部 18…異常判別部 19A,19B,46A,46B…電流アンプ 21…電子部品 22…回路基板 23…部品供給体 24…回路基板搬送装置 30…XY位置決め制御装置 35A,35B…Y軸回転モータ 36A,36B…Y軸タイミングベルト 37…X軸回転モータ 38…X軸タイミングベルト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 13/04 H05K 13/04 A (72)発明者 安西 洋 東京都調布市国領町8丁目2番地の1 ジ ューキ株式会社内 (72)発明者 八幡 直幸 東京都調布市国領町8丁目2番地の1 ジ ューキ株式会社内 Fターム(参考) 5E313 AA01 AA11 EE01 EE02 EE24 FF24 FF28 5H269 AB01 BB12 CC01 DD01 EE01 GG01 GG02 HH03 JJ02 NN07 PP06 5H303 AA05 BB02 BB08 BB12 CC02 CC03 DD04 EE03 EE08 FF07 HH01 HH07 JJ02 JJ04 JJ05 KK08 KK18 KK20 LL06 MM05 QQ09

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】X軸方向に沿って延在し、X軸方向に直交
    するY軸方向に沿って移動自在にさせると共に、搬送対
    象物をX軸方向に移動自在に支持する移動体と、当該移
    動体の両端部をそれぞれ第1及び第2のY軸方向に沿っ
    て案内する第1及び第2のガイド部材と、前記移動体の
    一端部の第1のY軸方向の位置を検出する位置検出手段
    と、第1及び第2のY軸それぞれに沿って前記移動体を
    移動させる第1及び第2の駆動手段と、前記位置検出手
    段から出力された位置情報を用いて第1及び第2の駆動
    手段に前記移動体をY軸方向へ移動させ、前記搬送対象
    物をX軸方向に移動させて位置決め制御する制御手段と
    を備えるマスタスレーブ式XY位置決め制御装置であっ
    て、 前記制御手段は、 目標位置の信号である位置指令と、前記位置検出手段か
    ら出力された位置フィードバック情報とを用いて、速度
    指令を算出する速度指令算出手段と、 前記位置検出手段から出力された位置フィードバック情
    報から、速度フィードバック情報を算出する速度演算手
    段と、 前記速度指令算出手段から出力された速度指令と、前記
    速度演算手段から出力された速度フィードバック情報と
    を用いて、前記第1及び第2の駆動手段の駆動の信号で
    あるトルク指令を算出するトルク指令算出手段と、 前記速度指令算出手段から出力された速度指令を用い
    て、加速度指令を算出する加速度指令算出手段と、 当該加速度指令算出手段から出力された加速度指令が加
    速方向又は減速方向のどちらであるかを検出し、当該検
    出した加速度指令の加速方向又は減速方向に比較して、
    前記トルク指令算出手段から出力されたトルク指令の出
    力方向が逆転し、かつ、前記トルク指令の変化幅が任意
    に設定された設定値よりも大きい、異常状態であるかを
    判別する異常判別手段と、 当該異常判別手段で異常状態であると判別した場合、前
    記トルク指令の変化幅を前記設定値以下に制限するトル
    ク指令制限手段と、を具備する、 ことを特徴とするマスタスレーブ式XY位置決め制御装
    置。
  2. 【請求項2】前記第1及び第2の駆動手段は、 リニアモータである、 ことを特徴とする請求項1記載のマスタスレーブ式XY
    位置決め制御装置。
  3. 【請求項3】請求項1又は2の何れか記載のマスタスレ
    ーブ式XY位置決め制御装置を具備する電子部品搭載装
    置であって、 前記搬送対象物は、XY位置移動自在に電子部品を回路
    基板上に搭載する電子部品搭載ヘッドである、 ことを特徴とする電子部品搭載装置。
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