JP2003129856A - 補機取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】一般的に、オルタネータをエンジンに組み付け
る場合、一方の取付用ボス部をエンジンに直接固定し、
他方をブラケットを介して固定するが、オルタネータの
組付強度を高くしようとすると、ブラケットの重量が増
加した。 【解決手段】内燃機関の回転駆動力を伝達する駆動力伝
達手段を介して駆動される機械式過給機とその他の補機
とを内燃機関に取り付ける補機取付構造であって、機械
式過給機とその他の補機とをそれぞれの取付部において
連結した状態で内燃機関の外面に固定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、機械式過給機やオ
ルタネータ、エアコンのコンプレッサ等の補機を内燃機
関に取り付ける構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、オルタネータは、内燃機関（以
下、エンジンと称する）のクランク軸から例えばベルト
を介して回転駆動力を得て、エンジンの運転に必要な電
力を発電するものである。このようなオルタネータは、
その胴部分に、回転軸心を中心にしてほぼ１８０°離れ
た位置に、取付用フランジが突設してある。そして、オ
ルタネータの取付に際しては、一方の取付用フランジを
エンジンのシリンダブロックにボルトにて固定し、他方
の取付用フランジをエンジンのシリンダブロックに固定
したブラケットにボルトにて固定するものである（例え
ば、実開平６−２２５３９号公報）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、オルタネー
タは、コイルやロータと言った重量のあるものからなる
ので、全体重量が重くなる。また、エンジンのシリンダ
ブロックに取り付けられているので、エンジンの振動に
より取付部分を中心にして振動することがある。このよ
うに、オルタネータはエンジンが運転されている間は振
動するので、その振動によりブラケットが不具合が生じ
ないように、その強度を高くする必要ある。

【０００４】しかしながら、ブラケットの強度を高くす
るためには、ブラケットが大型のものになったり、その
厚みが厚くなり、その結果ブラケット自体の重量が増加
することになり、補機を含むエンジン全体の重量が重く
なることにより燃費を低下させる要因となった。また、
オルタネータの取付にブラケットを必要とするため、部
品点数が増加するとともに、シリンダブロックにブラケ
ットを取り付けるための作業により組立工数が増加し
た。

【０００５】本発明は、このような不具合を解消するこ
とを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、このような目
的を達成するために、次のような手段を講じたものであ
る。すなわち、本発明に係る補機取付構造は、内燃機関
の回転駆動力を伝達する駆動力伝達手段を介して駆動さ
れる機械式過給機とその他の補機とを内燃機関に取り付
ける補機取付構造であって、機械式過給機とその他の補
機とをそれぞれの取付部において直列に連結した状態で
内燃機関の外面に並列に固定することを特徴とする。

【０００７】このような構成のものであれば、機械式過
給機の取付に際して、その他の補機が従来のブラケット
の機能を発揮するものである。すなわち、機械式過給機
とその他の補機とは、それぞれの取付部において直列的
に連結されて内燃機関の外面に並列に固定されるので、
機械式過給機に対してその他の補機が取付用のブラケッ
トととして機能するとともに、その他の補機に対しては
機械式過給機が取付用のブラケットとして機能する。

【０００８】この場合に、機械式過給機は、コンプレッ
サを収容するハウジングを、またその他の補機に関して
もハウジングを備えているので、基本的にほぼ板状のブ
ラケットとは異なり、機械式過給機とその他の補機と
が、それぞれ他方に対して立体的な取付部材となり、非
常に高い剛性を有するものである。それゆえ、機械式過
給機とその他の補機との取付強度を高くすることができ
るとともに、取付に際してブラケットが不要になるの
で、部品点数が削減でき、よって組立工程を短縮するこ
とが可能になり、さらに軽量化を図ることができる。

【０００９】このような補機取付構造を採用する内燃機
関としては、シリンダブロック側面で、かつその他の補
機の取付位置より上方に掃気室を備える２サイクルのも
のであって、機械式過給機の吐出口を気密に掃気室に直
接に接続するものが好ましい。このように機械式過給機
の吐出口を掃気室に直接に接続して取り付けることによ
り、取付強度を高くすることが可能になるとともに、吐
出口と掃気室とを連通するための部材が不要となるの
で、部品点数を削減することができ、組立工数の短縮、
軽量化、さらには取付部分の小型化を図ることが可能に
なる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を、
図面を参照して説明する。

【００１１】図１に示すエンジン１００は、多気筒２サ
イクルのディーゼルエンジンで、シリンダブロック１の
側面で、補機であるオルタネータ２の取付位置より上方
に掃気室１ａを備え、そのシリンダブロック１の外面
に、オルタネータ２と機械式過給機すなわちスーパーチ
ャージャ３とが取り付けてある。なお、図１は、１気筒
の構成のみを示している。このエンジン１００はいわゆ
るユニフロータイプの掃気方式のもので、シリンダヘッ
ド４に排気弁５を有し、シリンダブロック１にそれぞれ
のシリンダ１ｂを取り囲むようにして掃気室１ａを備え
ている。この掃気室１ａは、それぞれのシリンダ１ｂに
共通の単一のものであり、シリンダブロック１にそれぞ
れのシリンダ１ｂの周壁を構成するシリンダライナ１ｄ
に所定ピッチで設けられた掃気口（スワールポート）１
ｃにより各シリンダ１ｂ内と連通するものである。掃気
口１ｃは、ピストンＰが下死点にある場合に、ピストン
Ｐの頂面の高さの近傍に開口するものである。さらに、
掃気室１ａは、オルタネータ２が取り付けられる外側面
に、新気を導入するための掃気導入開口部１ｄを備えて
いる。この掃気導入開口部１ｄには、後述するスーパー
チャージャ３の吐出口３ａが、気密に連結されるもので
ある。

【００１２】オルタネータ２とスーパーチャージャ３と
は、エンジン１００の前側、すなわち図示しないクラン
ク軸から車両の走行のための回転駆動力を取り出す端部
とは反対側の端部の近傍に取り付けられるものである。
そして、オルタネータ２とスーパーチャージャ３とは、
その反対側の端部において、図２に示すように、クラン
ク軸に取り付けられた駆動用プーリ６に掛けられた駆動
力伝達手段としての例えばＶベルト７を介して回転駆動
されるものである。Ｖベルト７は、オルタネータ２とス
ーパーチャージャ３とのそれぞれの回転軸に取り付けら
れた従動プーリ２ａ、３ｂと、ウォータポンプを回転さ
せるための従動プーリ８と、Ｖベルト７の張力を調整す
るためのアイドルプーリ９とに掛けられるもので、少な
くとも駆動用プーリ６とそれぞれの従動プーリ２ａ、３
ｂとにより駆動力伝達手段が構成される。

【００１３】オルタネータ２は、ロータ、ステータ、フ
ァン、ＩＣレギュレータ等を収納する例えば筒状アルミ
ダイキャスト製のハウジング２ｂを有し、そのハウジン
グ２ｂの外面のほぼ背向する２ヶ所に取付部すなわち取
付用ボス部２ｃ、２ｄを備えるものである。第１取付用
ボス部２ｃは、エンジン１００の外面、具体的にはシリ
ンダブロック１の下部に設けられた取付部１ｅに図示し
ないボルトにより固定される。第２取付用フランジ２ｄ
は、スーパーチャージャ３の第１取付用ボス部３ｄに固
定される。これにより、オルタネータ２とスーパーチャ
ージャ３とが直列に連結されるものである。

【００１４】一方、スーパーチャージャ３は、コンプレ
ッサを収容する筒状アルミダイキャスト製のハウジング
３ｃを有し、そのハウジング３ｃの外面の２ヶ所に取付
部である取付用ボス部３ｄ、３ｅを備えているととも
に、その側面に背向して新気の導入口３ｆとコンプレッ
サにより圧縮された新気を吐出する吐出口３ａを備えて
いる。第１取付用ボス部３ｄと第２取付用ボス部３ｅと
は、ハウジング３ｃの外面のほぼ背向する位置に設定し
てある。第１取付用ボス部３ｄは、上述のように、オル
タネータ２の第２取付用ボス部２ｄに固定される。第２
取付用ボス部３ｅは、オルタネータ２の取付位置より上
方の位置となるエンジン１００の側面、具体的にはシリ
ンダヘッド４に設けられた取付部４ａに固定される。ま
た、加えて、吐出口３ａが、エンジン１００の掃気導入
開口部１ｄに、例えばＯリング１０を介して気密に連結
される。

【００１５】以上の構成において、オルタネータ２とス
ーパーチャージャ３とは、オルタネータ２の第２取付用
ボス部２ｄとスーパーチャージャ３の第１取付用ボス部
３ｄとが固定されることにより、それぞれの回転軸が平
行になった状態でハウジング２ｂ、３ｃ同士が直列に連
結されるものである。このように、直列に連結されたオ
ルタネータ２とスーパーチャージャ３とは、オルタネー
タ２の第１取付用ボス部２ｃとスーパーチャージャ３の
第２取付用ボス部３ｅとがそれぞれ、シリンダブロック
１とシリンダヘッド４に固定されるので、エンジン１０
０に対しては並列に固定されるものである。これに加え
て、スーパーチャージャ３の吐出口３ａが掃気室１ａの
外側面に開口している掃気導入開口部１ｄに嵌め込まれ
て連結される。

【００１６】したがって、オルタネータ２とスーパーチ
ャージャ３とは、直列に連結された状態で、その下端部
をオルタネータ２の第１取付用ボス部２ｃによりシリン
ダブロック１に固定され、その上端部をスーパーチャー
ジャ３の第２取付用ボス部３ｅによりシリンダブヘッド
４に固定されることにより、オルタネータ２がスーパー
チャージャ３を介してエンジン１００に取り付けられる
と見做すことができるとともに、スーパーチャージャ３
がオルタネータ２を介してエンジン１００に取り付けら
れると見做すことができるものである。つまり、オルタ
ネータ２とスーパーチャージャ３とは、一方が他方に対
して取付のためのブラケットとして機能しているもので
ある。

【００１７】このような構造において、オルタネータ２
とスーパーチャージャ３とは、それぞれのハウジング２
ｂ、３ｃが取付のための構造部材となるので、別体の取
付のためのブラケットを必要としない。しかも、これら
のハウジング２ｂ、３ｃは、筒状の形状にそれぞれの取
付用ボス部２ｃ、２ｄ、３ｄ、３ｅを一体に形成してあ
り、単純な形状の板状のブラケットと比較して、格段の
強度を発揮するものとなる。したがって、従来のブラケ
ットを用いてオルタネータ２及びスーパーチャージャ３
を固定する場合に比べて、それぞれの取付強度を高くす
ることができる。加えて、別体のブラケットを廃止する
ことができるので、部品点数を削減することができ、ブ
ラケットにエンジン１００に固定し、そのブラケットに
オルタネータ２やスーパーチャージャ３を固定すると言
って組付工程がなくなり、オルタネータ２及びスーパー
チャージャ３のエンジン１００への組付工程を短縮する
ことができる。この結果、製造コストを低減することが
できる。

【００１８】また、スーパーチャージャ３の取付にあっ
ては、その吐出口３ａと掃気導入開口部１ｄとを直接に
連結しているので、従来、吐出口３ａと掃気導入開口部
１ｄとを連通していたホース等の連通部材が必要でなく
なり、部品点数を削減することができるとともに、作業
工程を短縮することができる。しかも、吐出口３ａと掃
気導入開口部１ｄとを直接に連結することにより、連結
部材による吐出口３ａの大きさの制限がなくなるので、
吐出口３ａ及び掃気導入開口部１ｄの開口径を大径化す
ることができるとともに、連結部材の長さ分、スーパー
チャージャ３と掃気室１ａとの距離を短縮することがで
きる。この結果、掃気室１ａへ新気を過給する過給効率
が高くなり、掃気効率を高くすることができる。また、
上記したように、吐出口３ａの連結に連結部材を使用し
ないため、スーパーチャージャ３をエンジンの極近傍に
組み付けることができ、スーパーチャージャ３を組み付
けた状態でエンジン１００をコンパクトに構成すること
ができる。

【００１９】加えて、オルタネータ２及びスーパーチャ
ージャ３を組み付けるにあたって、組付のためのブラケ
ットや連結部材を必要としないため、それらを用いての
組付に比べて軽量化することができる。

【００２０】なお、本発明は以上に説明した実施の形態
に限定されるものではない。

【００２１】上記実施の形態においては、スーパーチャ
ージャとオルタネータとを組み合わせた取付構造を説明
したが、オルタネータ以外の補機として、例えばエアコ
ンのコンプレッサやパワーステアリング装置の油圧ポン
プ等をスーパーチャージャと組み合わせるものであって
よい。

【００２２】また、上記実施の形態にあっては、オルタ
ネータ２及びスーパーチャージャ３を回転駆動するため
のＶベルト７の張力は、アイドルプーリ９の位置を調節
することにより調節するものを説明したが、スーパーチ
ャージャ３の第１取付用ボス部３ｄにおけるボルトの貫
通孔を長孔とすることにより、オルタネータ２の第２取
付用ボス部２ｄの位置を調整し得るように構成してＶベ
ルト７の張力を調整し得るようにするものであってもよ
い。

【００２３】その他、各部の構成は図示例に限定される
ものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変
形が可能である。

【００２４】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、機械式
過給機とその他の補機とは、それぞれの取付部において
直列的に連結されて内燃機関の外面に並列に固定される
ので、機械式過給機に対してその他の補機を取付用のブ
ラケットととして機能させることができるとともに、そ
の他の補機に対しては機械式過給機を取付用のブラケッ
トとして機能させることができる。

【００２５】したがって、ほぼ板状のブラケットとは異
なり、機械式過給機とその他の補機とが、それぞれ他方
に対して立体的な取付部材となるので、非常に高い剛性
を発揮し、それゆえ、機械式過給機とその他の補機との
取付強度を高くすることができるとともに、取付に際し
てブラケットが不要になるので、部品点数が削減でき
る。また、部品点数が減少することにより、組立工程を
短縮することができるとともに、機械式過給機とその他
の補機以外の重量が加算されないために軽量化を図るこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の一形態を示す断面図。

【図２】同実施の形態の正面図。

【符号の説明】

１…シリンダブロック １ａ…掃気室 ２…オルタネータ ２ａ…従動プーリ ２ｃ…第１取付用ボス部 ２ｄ…第２取付用ボス部 ３…スーパーチャージャ ３ｂ…従動プーリ ３ｄ…第１取付用ボス部 ３ｅ…第２取付用ボス部 ７…Ｖベルト

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内燃機関の回転駆動力を伝達する駆動力伝
   達手段を介して駆動される機械式過給機とその他の補機
   とを内燃機関に取り付ける補機取付構造であって、機械
   式過給機とその他の補機とをそれぞれの取付部において
   直列に連結した状態で内燃機関の外面に並列に固定する
   ことを特徴とする補機取付構造。
2. 【請求項２】内燃機関が、シリンダブロック側面で、か
   つその他の補機の取付位置より上方に掃気室を備える２
   サイクルのものであって、機械式過給機の吐出口を気密
   に掃気室に直接に接続することを特徴とする請求項１記
   載の補機取付構造。