JP2003126301A

JP2003126301A - ゴルフボール

Info

Publication number: JP2003126301A
Application number: JP2001329273A
Authority: JP
Inventors: Atsunori Kasashima; 厚紀笠嶋; Michiya Takesue; 倫也竹末; Kazuto Maehara; 和人前原
Original assignee: Bridgestone Sports Co Ltd
Current assignee: Bridgestone Sports Co Ltd
Priority date: 2001-10-26
Filing date: 2001-10-26
Publication date: 2003-05-07
Also published as: US20030096663A1; US7083533B2

Abstract

(57)【要約】（修正有）【解決手段】弾性ソリッドコアと、該ソリッドコアを
被覆し、表面に多数のディンプルを備えた樹脂カバーと
を具備すると共に、これらコアとカバーとの間に中間層
を配設してなるゴルフボールにおいて、上記カバーと上
記中間層とのショアＤ硬度差が１０以下であり、かつ上
記ディンプルの総容積が２８０〜３５０ｍｍ³であるこ
とを特徴とするゴルフボールを提供する。【効果】本発明のゴルフボールは、反発性、スピン、
及び打感のバランスに優れ、トータル飛距離に優れたも
のである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、弾性ソリッドコア
を物性が異なる複数の樹脂層で被覆した、反発性、スピ
ン、打感、及び飛距離の面で優れたマルチピースソリッ
ドゴルフボールに関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ゴルフ
ボールは、近年糸巻構造から飛距離の面で優れたソリッ
ド構造へ圧倒的好評裏に推移している。ソリッド構造
は、ボールの大部分を占める中心部に反発弾性に優れた
ゴム製のソリッドコアを配置し、その周囲を外傷等に対
する保護のためにアイオノマー樹脂など硬質の樹脂カバ
ーで被覆したツーピースソリッドゴルフボールが当初代
表的であった。

【０００３】しかしながら、この構造は、飛距離が優れ
ていても、打撃時における変形が糸巻きタイプに比べて
小さいために、打感が硬い（悪い）、上記変形が小さい
ことによるクラブのフェース面に対する接触面積が小さ
いため、スピンがかかり難く、アイアンクラブ使用時の
コントロール性に劣る等の欠点を有していた。このよう
な欠点を改善するため、ソリッドコアの硬度を下げた
り、コアとカバーとの間に緩衝層を配置したり、カバー
材に比較的軟質のポリウレタンを用いることなどが試み
られた。

【０００４】その結果、上記打感及びスピン量の改善に
ついては、ほぼ達成できたが、一方でソリッド構造の長
所である飛距離が反発性の低下により落ちてしまった
り、距離を稼ぐためのウッドクラブ、特にドライバーに
よる打球にスピンがかかりすぎ、ふけ気味となって距離
が出ないなど、新たな問題が発生し、問題解決に大きい
進展をみないまま今日に至っている。

【０００５】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、ソリッドコアを複数の熱可塑性樹脂の層で被覆して
形成されたマルチピースタイプにつき、構成部材相互間
の硬さ、または硬度を調製して反発性、スピン、及び打
感のバランスをとると共に、ディンプルの最適配置によ
って飛距離に優れたゴルフボールを提供することを目的
とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記目的を達成するため、鋭意検討を行った
結果、弾性ソリッドコアと、該ソリッドコアを被覆し、
表面に多数のディンプルを備えた樹脂カバーとを具備す
ると共に、これらコアとカバーとの間に中間層を配設し
てなるゴルフボールにおいて、上記カバーと上記中間層
とのショアＤ硬度差が１０以下であり、かつ上記ディン
プルの総容積が２８０〜３５０ｍｍ³としたゴルフボー
ルが反発性、スピン及び打感に優れると共に、飛距離増
大を実現することができることを知見し、本発明をなす
に至ったものである。

【０００７】従って、本発明は、下記のマルチピースソ
リッドゴルフボールを提供することを目的とする。〔請求項１〕弾性ソリッドコアと、該ソリッドコアを
被覆し、表面に多数のディンプルを備えた樹脂カバーと
を具備すると共に、これらコアとカバーとの間に中間層
を配設してなるゴルフボールにおいて、上記カバーと上
記中間層とのショアＤ硬度差が１０以下であり、かつ上
記ディンプルの総容積が２８０〜３５０ｍｍ³であるこ
とを特徴とするゴルフボール。〔請求項２〕上記中間層と上記カバーのショアＤ硬度
が夫々５６〜６８，５１〜６２である請求項１記載のゴ
ルフボール。〔請求項３〕上記中間層のショアＤ硬度が５６〜６６
である請求項１又は２記載のゴルフボール。〔請求項４〕上記カバーのショアＤ硬度が５４〜６２
である請求項１〜３のいずれか１項記載のゴルフボー
ル。〔請求項５〕上記中間層がアイオノマー樹脂を主材と
した請求項１〜４のいずれか１項記載のゴルフボール。〔請求項６〕上記中間層に更にオレフィン系エラスト
マーを含有した請求項５記載のゴルフボール。〔請求項７〕上記カバーがポリウレタン系エラストマ
ーを主材とした請求項１〜６のいずれか１項記載のゴル
フボール。〔請求項８〕直径が３．７ｍｍ以上のディンプルを３
００〜４００個含んだ請求項１〜７のいずれか１項記載
のゴルフボール。〔請求項９〕ボール表面全体に対するディンプルの表
面占有率が７５％以上の請求項１〜８のいずれか１項記
載のゴルフボール。〔請求項１０〕ボール上に描かれる大円線であって、
ディンプルと交差しない大円線が０又は１本である請求
項１〜９のいずれか１項記載のゴルフボール。〔請求項１１〕上記弾性ソリッドコアに９８Ｎ（１０
ｋｇｆ）荷重を加えた状態から１２７５Ｎ（１３０ｋｇ
ｆ）荷重を増加させた時に生じる歪量が２．８〜４．２
ｍｍである請求項１〜１０のいずれか１項記載のゴルフ
ボール。〔請求項１２〕ボールの入射速度４３ｍ／ｓにおける
反発係数Ｃ．Ｏ．Ｒ値が０．７７〜０．８３である請求
項１〜１１のいずれか１項記載のゴルフボール。〔請求項１３〕ボールの打球の揚力係数ＣＬと抗力係
数ＣＤとの比ＣＬ／ＣＤ値が、レイノルズ数２００００
０，スピン量２７００ｒｐｍの条件で０．６７６〜０．
７９６、レイノルズ数１２００００，スピン量２４００
ｒｐｍの条件で０．８１３〜０．９３３、及びレイノル
ズ数８００００，スピン量２０００ｒｐｍの条件で０．
８５６〜０．９７６である請求項１〜１２のいずれか１
項記載のゴルフボール。

【０００８】以下、本発明について図面を用いて更に詳
しく説明する。本発明のゴルフボールＧは、図１に示し
たように、弾性ソリッドコア１と、このコア１の周囲
を、多数のディンプル２を具備するカバー３及びその内
側に接する中間層４の２層を含む樹脂の層で被覆したマ
ルチピースソリッドゴルフボールである。

【０００９】ここで、上記弾性ソリッドコアは、公知の
材料で製造することができ、ゴム組成物にて形成したも
のが好ましい。ゴム組成物としては、基材ゴムとしてポ
リブタジエンを使用したものが好ましい。このポリブタ
ジエンとしては、シス構造を少なくとも４０質量％有す
る１，４−シスポリブタジエンが好適に挙げられる。ま
た、この基材ゴム中には、所望により該ポリブタジエン
に天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエン
ゴムなどを適宜配合することができる。ゴム成分を多く
することにより、ゴルフボールの反発性を向上させるこ
とができる。

【００１０】更に、上記ゴム組成物中には、公知のコア
材を配合することができ、例えば、不飽和カルボン酸及
び／又はその金属塩、有機過酸化物、有機硫黄化合物等
を挙げることができる。本発明の弾性ソリッドコアは、
上記ゴム組成物を、公知の方法で加硫・硬化させて弾性
ソリッドコアを製造することができる。

【００１１】弾性ソリッドコアの直径は、通常３５．６
ｍｍ以上であり、好ましくは３６．２ｍｍ以上であり、
上限として３９．０ｍｍ以下、好ましくは３７．０ｍｍ
以下とすることが優れた飛び性能を確保する点から推奨
される。

【００１２】弾性ソリッドコアは、更に平板上におい
て、９８Ｎ（１０ｋｇｆ）負荷した状態から１２７５Ｎ
（１３０ｋｇｆ）に荷重を増加させたときに生じる歪量
を２．８〜４．２ｍｍの範囲とすることが好ましい。こ
の歪量が２．８ｍｍより小さくなると硬くなり過ぎて打
感が悪くなる場合があり、また４．２ｍｍより大きくな
ると反発性が低くなり飛び性能が不十分となる場合があ
る。

【００１３】次に、本発明の中間層は、公知の樹脂材料
を使用して常法に従って形成できるが、アイオノマー樹
脂を主成分とする組成物にて形成されたものであること
が推奨される。本発明の中間層の材料としてアイオノマ
ー樹脂を単独で使用することもできるが、アイオノマー
樹脂にオレフィン系エラストマーを添加した組成物を中
間層の材料とすることが好ましい。

【００１４】上記オレフィン系エラストマーとしては、
オレフィン系ブロック共重合体、オレフィン系ランダム
共重合体、及び動的架橋熱可塑性エラストマー等を挙げ
ることができる。これらオレフィン系エラストマーのう
ち好適な実施態様であるオレフィン系ブロック共重合体
の一例である結晶性ポリエチレンブロックを有する熱可
塑性エラストマーとしては、ハードセグメントとしてポ
リエチレン結晶ブロック（Ｅ）又はポリエチレン結晶ブ
ロック（Ｅ）とポリスチレン結晶ブロック（Ｓ）とから
なり、ソフトセグメントとしてエチレンとブチレンとか
らなる比較的ランダムな共重合構造（ＥＢ）からなるも
のが好ましく、分子構造としてハードセグメントが片末
端又は両末端にあるＥ−ＥＢ系、Ｅ−ＥＢ−Ｅ系、Ｅ−
ＥＢ−Ｓ系の構造を有するブロック共重合体が好ましく
用いられる。

【００１５】これらの熱可塑性エラストマーは、ポリブ
タジエンやスチレン−ブタジエン共重合体を水素添加す
ることにより得ることができる。また、本発明の中間層
の材料として、アイオノマー樹脂に水酸化カルシウムを
添加し、高中和化した材料を用いることによって反発性
を一層向上させることができる。

【００１６】ここで、中間層の厚さは図を参照すると、
ｔ₁（ｍｍ）で示され、ｔ₁は、通常０．７ｍｍ以上、
２．０ｍｍ以下の範囲が推奨される。なお、ｔ₁は後述
するカバーの厚さｔ₂と比べて同等又は若干厚めに形成
することが望ましい。

【００１７】また、本発明の中間層の表面ショアＤ硬度
（球体の表面で測定する表面硬度、以下、カバーの場合
も同じ）は、５６〜６８の範囲が好ましく、更には５６
〜６６の範囲が一層好ましい。中間層が軟らかすぎる
と、いずれのショット時にもスピン量が増えるおそれが
あり、また、飛距離が落ちてしまったり、打感が軟らか
くなりすぎることがある。硬すぎるとスピン量が減り、
コントロール性に劣ったり、打感が硬くなったり、繰り
返し打撃した時の割れ耐久性が劣化することがある。

【００１８】次に、本発明のカバーは、ウレタン系エラ
ストマーを主材として形成することができ、ウレタン系
エラストマーとしては、熱可塑性又は熱硬化性ポリウレ
タン系エラストマーを挙げることができる。なお、本発
明のカバーは常法に従って形成することができる。

【００１９】本発明のカバーの厚さは、図１を参照する
と、中間層４表面とカバー５表面の距離であり、上記カ
バー表面とはディンプル２の非形成部分の陸部５のこと
をいうものとする。本発明のカバーの厚さｔ₂は、通常
０．７ｍｍ以上、１．８ｍｍ以下の範囲であることが推
奨される。

【００２０】また、カバーの表面ショアＤ硬度は、５１
〜６２であることが好ましく、更には５４〜６２の範囲
が一層好ましい。カバーが軟らかすぎると、各ショット
時にスピン量が増えることにより、飛距離が落ちてしま
ったり、打感が軟らかくなりすぎることがある。硬すぎ
るとスピン量が減り、コントロール性に劣ったり、打感
が硬くなる傾向がある。

【００２１】上記ショアＤ硬度に関し、中間層とカバー
の性能及びバランスをとるために、両者の硬度差を１０
を超えない範囲で中間層又はカバーをより小さく、或い
はより大きく設定することができる。この硬度差は８以
下が好ましく、より好ましくは５以下である。このよう
な硬度差の例として中間層に対しカバーのショアＤ硬度
を例えば１〜１０の範囲内でより低く設定することがで
きる。

【００２２】本発明のゴルフボールは、カバー表面に多
数のディンプルを具備するものであるが、このディンプ
ルは、後述するように適正化されたものであることを要
する。ここで、図１を参照すると、本発明のディンプル
２は、直径及び／又は深さが異なる複数のディンプルで
形成されることが必要で、種類数は通常２種以上であれ
ば本発明の目的に沿うことができる。形状は特に制限さ
れるものではないが、平面視円形の場合、直径は、通常
２．０ｍｍ以上、好ましくは２．５ｍｍ以上、上限とし
て５．０ｍｍ以下、好ましくは４．５ｍｍ以下であるこ
とが推奨される。

【００２３】なお、上記ディンプルの直径とは、陸部５
に接続する最上端位置であるディンプル縁に囲まれた平
面視円形の直径のことをいい、塗装されるボールは、塗
装された状態においてディンプル深さは、この平面から
ディンプル最深部に至るボールの放射方向距離である。

【００２４】本発明のゴルフボールのディンプル総数
は、特に制限されるものではないが、通常３００個以
上、特に３６０個以上、上限として５５０個以下、特に
５００個以下であることが推奨される。

【００２５】本発明のゴルフボールは、直径を少なくと
も３．７ｍｍ有する大型ディンプルを３００〜４００個
含むことが好ましく、より好ましくは３３０〜４００個
である。３．７ｍｍ以上のディンプルが３００個に満た
ないときは、ドライバー等距離を稼ぐためのクラブによ
る打球の飛びが劣り、一方、４００個を越える場合、デ
ィンプルが干渉し合い、同様に飛びが劣る傾向がある。

【００２６】次に、ディンプルの縁部によって囲まれた
平面から下方に形成されるディンプル容積を全ディンプ
ルについて加算したディンプル総容積は、２８０〜３５
０ｍｍ³の範囲であることが好ましい。総容積が２８０
ｍｍ³に満たないときは、特にドライバーによる弾道が
高くなり過ぎ、一方、３５０ｍｍ³を超えると、弾道が
逆に低くなり過ぎる傾向がある。

【００２７】本発明のディンプルは、公知の配列方法を
採用して配列することができ、正２０面体配列、正１２
面体配列等を採用できるが、ボールに対してディンプル
と交差しない大円が存在しないか又は１本のみ存在する
ように実質上均等に配設することが必要である。それに
よって、ディンプルを高密度で配置することができる。

【００２８】ここで、図２及び図３にディンプル配置の
一例を示す。図２は、極Ｐ側からみた平面図であり、図
３は、赤道Ｅ側からみた側面図である。図２は、直径が
３．９１ｍｍ、３．８２ｍｍ、２．９６ｍｍ及び２．４
８ｍｍからなる４種類のディンプル２を夫々３００個，
６０個，１２個及び６０個の合計４３２個、球面正２０
面体に準拠して配置したもので、この例では、球面上、
ディンプル２が交差しない大円は存在しない。

【００２９】図３において、ボールの赤道Ｅに近接して
配置されたディンプル２’（斜線を施している）につい
ては、その他の区域のディンプル２よりも同じ直径のデ
ィンプル同士で比較すると、ディンプル２’の方が５〜
６０μｍ深く形成することが望ましい。その結果、ディ
ンプル容積も２〜３０％大きくなる。このようにディン
プル２’を通常よりも深く形成する理由としては、赤道
Ｅがカバー成形金型の分割面に相当し、この分割面上に
圧入ゲート内で硬化したカバー成形材料のバリが研磨し
除去されるので、その際に赤道面に沿って配置されたデ
ィンプルの深さが浅くなるおそれがあるのでこれを防ぐ
ことが理由の１つである。ディンプル２’はボール全周
面に亘って深く形成されることが望ましいが、１個置
き、または複数個置きにディンプル２’を深くすること
もできる。なお、深いディンプル２’については、赤道
Ｅ近接位置に限らず、南北緯各３０°の領域に含まれる
ディンプル２を対象にして深くすることもできる。

【００３０】また、図３は、ディンプルが交差しない大
円が１本も存在しない例のディンプル配列を示すもので
あるが、赤道Ｅを越えて他の半球内へはみ出したディン
プル（赤道と交差したディンプル）は周上８〜３０個の
範囲とすることが好ましく、はみ出し量はディンプルの
直径の１０〜４５％がボール成形時における作業性の面
から望ましい。このディンプルのはみ出しは、金型に配
置されたディンプル成形突起のはみ出し部分に対応し、
金型が２分割の場合、該金型分割面の形状は上記突起の
はみ出し形状に相当する。

【００３１】本発明のゴルフボールは、このようにし
て、ボール表面上にディンプルを高密度に配置させるも
のであるが、ディンプルの縁に囲まれた平面の面縁で定
義されるディンプル面積の合計が、ディンプルが存在し
ないと仮定したボール球面に占める比率、即ちディンプ
ル表面占有率は、７５％以上、特に７５〜８５％である
ことが飛び性能向上の面から好ましい。

【００３２】本発明のゴルフボール（完成品）において
は、平板上において９８Ｎ（１０ｋｇｆ）負荷した状態
から１２７５Ｎ（１３０ｋｇｆ）荷重を増加させた時に
生じる歪量は２．４〜３．５ｍｍの範囲であることが望
ましい。

【００３３】また、本発明におけるゴルフボールでは、
入射速度が４３ｍ/ｓのときのＣ．Ｏ．Ｒ値が０．７７
〜０．８３の範囲内であることが望ましい。ここで、
Ｃ．Ｏ．Ｒ値とは鉄鋼板（ボールが衝突しても変形しな
い）に対しボールを衝突させた場合、衝突前の速度（入
射速度）に対する衝突後のボールの速度比のことをい
い、その値は１に近いほど反発性が高いことを意味する
ものである。

【００３４】更に、本発明のゴルフボールにおいては、
打球の揚力係数ＣＬと抗力係数ＣＤの比ＣＬ／ＣＤがレ
イノルズ数２０００００，スピン量２７００ｒｐｍの条
件で０．６７６〜０．７９６、レイノルズ数１２０００
０，スピン量２４００ｒｐｍの条件で０．８１３〜０．
９３３、レイノルズ数８００００，スピン量２０００ｒ
ｐｍの条件で０．８５６〜０．９７６の範囲であること
が望ましい。

【００３５】これについて具体的に説明すると、ウッド
クラブ＃１（ドライバー）など距離を出すためのクラブ
による打球につき、飛距離が大きく、特に風に強く、ラ
ンがよく出るボールを得るには打球の揚力と抗力のバラ
ンスが適切であり、使用されるディンブルの種類、総
数、表面占有率、総体積等に依存するものである。

【００３６】また、クラブにより打撃された飛行中のゴ
ルフボールＧは、図４に示したように、重力６、空気に
よる抵抗(抗力)７、更にボールがスピンを有するために
マグヌス効果による揚力８を受けることが知られてい
る。なお、図中９は飛行方向、１０はボール中心を示
し、ボールＧは１１方向に回転している。

【００３７】この場合、ゴルフボールに働く力は下記弾
道方程式（１）で表される。Ｆ＝ＦＬ＋ＦＤ＋Ｍｇ（１）Ｆ：ゴルフボールに働く力ＦＬ：揚力ＦＤ：抗力Ｍｇ：重力

【００３８】また、上記弾道方程式（１）の揚力ＦＬ、
抗力ＦＤはそれぞれ下記数式（２）（３）で表される。ＦＬ＝０．５×ＣＬ×ρ×Ａ×Ｖ² （２）ＦＤ＝０．５×ＣＤ×ρ×Ａ×Ｖ² （３）ＣＬ：揚力係数ＣＤ：抗力係数 ρ ：空気密度Ａ：ゴルフボール最大断面積Ｖ：ゴルフボール対空気速度

【００３９】

【発明の効果】本発明のゴルフボールによれば、反発
性、スピン、及び打感のバランスに優れ、トータル飛距
離に優れたものである。

【００４０】

【実施例】以下、本発明の実施例及び比較例を示し、本
発明を具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に制
限されるものではない。

【００４１】〔実施例１〜３、比較例１，２〕実施例及
び比較例のソリッドゴルフボールでは、単一層のゴム製
コアを共通に用い、中間層として実施例１〜３はアイオ
ノマー樹脂にオレフィン系エラストマーとを加えた組成
物を用いる一方、比較例１，２ではアイオノマー樹脂単
独を中間層材料として用いた。また、カバーとしては、
実施例１〜３及び比較例１はポリウレタンエラストマ
ー、比較例２ではアイオノマー樹脂単独を用いた。

【００４２】ディンプルの配列については、実施例，比
較例共通として図２，３のものを使用した。またディン
プルの構造については表１に示し、各実施例及び比較例
における構造等の詳細，テスト及び評価結果を表２にそ
れぞれ示した。

【００４３】上記各ゴルフボールについて打感をテスト
した。打感テストは、アマチュア上級者３名のドライバ
ー（Ｗ＃１）使用による以下の評価である。〇 …良い △ …普通 × …悪いまた、アプローチスピン量を評価した。アプローチスピ
ンは、打撃マシンにピッチングウェッジ（ロフト角４６
°）を取り付け、ヘッドスピード２０ｍ／ｓで打撃し、
高速カメラを用いて打ち出し時のスピン量を調べた。

【００４４】

【表１】註）総容積欄における（）内の数値はゴルフボール
の体積（但しディンプルを具備しない状態）に対するデ
ィンプル総容積の比率

【００４５】

【表２】註１：コア及びボール欄の歪量は、９８Ｎ（１０ｋｇ
ｆ）負荷した状態から１２７５Ｎ（１３０ｋｇｆ）に荷
重を増加させたときに生じた歪量。註２：Ｃ．Ｏ．Ｒ値は、鋼鉄板に対しゴルフボールを
入射速度４３ｍ／ｓで衝突させ、衝突前の速度に対する
衝突後のボールの速度比。

【００４６】上記テスト結果より、本実施例１〜3は、
打感が良好でかつスヒン量が適量（５５００〜６５００
ｒｐｍ）であった。これに対して、比較例１ではスピン
量が大きくなり過ぎて適量なスピン量が得られず、比較
例２では打感が悪く、スピン量が小さくなり過ぎた。

【００４７】〔実施例１，４、比較例３，４〕次に、実
施例１，４及び比較例３，４との間でボールの揚力及び
抗力と飛距離(トータル)の測定を行った。

【００４８】ここで、実施例１は表２に挙げた構造であ
り、実施例４，比較例３及び４はディンプルの構造種の
み夫々Ｂ，Ｃ，Ｄ(表１)を適用し、その他のボール構
造，ボール材料は実施例１とすべて同一にして成形し
た。

【００４９】テストにあたっては、打撃マシンにドライ
バー（Ｗ＃１）を装着し、打出し時において初速７２ｍ
／ｓ、打出角１０°、スピン２７００ｒｐｍとなるよう
に調整した。テスト結果を表３に示す。

【００５０】

【表３】註１：実施例，比較例欄における（）内のアルフ
ァベットＡ，Ｂ，Ｃ，Ｄは表１のディンプル構造種を
示す。註２：ボールの位置欄における最高点とは、飛球線
上において地上の観測者が目視により最高点と目される
位置を指し、最低速度点とは、上記最高点と着地点との
ほぼ中間点を指す。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のゴルフボールの概略断面図である。

【図２】極側からみた本発明のゴルフボールの一例を示
す平面図である。

【図３】赤道側からみた同例の側面図である。

【図４】飛行中のゴルフボールの揚力と抗力の関係を説
明するための説明図である。

【符号の説明】

１弾性ソリッドコア２ディンプル３カバー４中間層５陸部Ｇゴルフボール

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者前原和人埼玉県秩父市大野原20番地ブリヂストンスポーツ株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】弾性ソリッドコアと、該ソリッドコアを
被覆し、表面に多数のディンプルを備えた樹脂カバーと
を具備すると共に、これらコアとカバーとの間に中間層
を配設してなるゴルフボールにおいて、上記カバーと上
記中間層とのショアＤ硬度差が１０以下であり、かつ上
記ディンプルの総容積が２８０〜３５０ｍｍ³であるこ
とを特徴とするゴルフボール。
【請求項２】上記中間層と上記カバーのショアＤ硬度
が夫々５６〜６８，５１〜６２である請求項１記載のゴ
ルフボール。
【請求項３】上記中間層のショアＤ硬度が５６〜６６
である請求項１又は２記載のゴルフボール。
【請求項４】上記カバーのショアＤ硬度が５４〜６２
である請求項１〜３のいずれか１項記載のゴルフボー
ル。
【請求項５】上記中間層がアイオノマー樹脂を主材と
した請求項１〜４のいずれか１項記載のゴルフボール。
【請求項６】上記中間層に更にオレフィン系エラスト
マーを含有した請求項５記載のゴルフボール。
【請求項７】上記カバーがポリウレタン系エラストマ
ーを主材とした請求項１〜６のいずれか１項記載のゴル
フボール。
【請求項８】直径が３．７ｍｍ以上のディンプルを３
００〜４００個含んだ請求項１〜７のいずれか１項記載
のゴルフボール。
【請求項９】ボール表面全体に対するディンプルの表
面占有率が７５％以上の請求項１〜８のいずれか１項記
載のゴルフボール。
【請求項１０】ボール上に描かれる大円線であって、
ディンプルと交差しない大円線が０又は１本である請求
項１〜９のいずれか１項記載のゴルフボール。
【請求項１１】上記弾性ソリッドコアに９８Ｎ（１０
ｋｇｆ）荷重を加えた状態から１２７５Ｎ（１３０ｋｇ
ｆ）荷重を増加させた時に生じる歪量が２．８〜４．２
ｍｍである請求項１〜１０のいずれか１項記載のゴルフ
ボール。
【請求項１２】ボールの入射速度４３ｍ／ｓにおける
反発係数Ｃ．Ｏ．Ｒ値が０．７７〜０．８３である請求
項１〜１１のいずれか１項記載のゴルフボール。
【請求項１３】ボールの打球の揚力係数ＣＬと抗力係
数ＣＤとの比ＣＬ／ＣＤ値が、レイノルズ数２００００
０，スピン量２７００ｒｐｍの条件で０．６７６〜０．
７９６、レイノルズ数１２００００，スピン量２４００
ｒｐｍの条件で０．８１３〜０．９３３、及びレイノル
ズ数８００００，スピン量２０００ｒｐｍの条件で０．
８５６〜０．９７６である請求項１〜１２のいずれか１
項記載のゴルフボール。