JP2003124534A - 高温超伝導体膜及びその形成方法並びに超伝導素子 - Google Patents

高温超伝導体膜及びその形成方法並びに超伝導素子

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜質の良好なYBCO系の高温超伝導体膜及
びその製造方法、並びにそのYBCO系の高温超伝導体
膜を用いた良好な電気的特性を有する超伝導素子を提供
する。 【解決手段】 誘電体基板10上に形成されたY−Ba
−Cu−O系の高温超伝導体膜であって、膜の上面近傍
におけるBaに対するCuの組成比が、膜の内部におけ
るBaに対するCuの組成比より大きくなっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温超伝導体膜及
びその製造方法並びにその高温超伝導体膜を用いた超伝
導素子に係り、特に、Y−Ba−Cu−O系の高温超伝
導体膜及びその製造方法並びにその高温超伝導体膜を用
いた超電導素子に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化物高温超伝導体は、銅などの電気良
導体と比較して高周波における表面抵抗が極めて小さい
ことが知られている。例えば、Y−Ba−Cu−O系の
高温超伝導体膜(以下、「YBCO系高温超伝導体膜」
ともいう。)では、例えば2GHzにおいて、銅より2
桁以上小さい表面抵抗が得られる。
【0003】このため、YBCO系高温超伝導体膜を回
路パターンとして用いて、挿入損失が小さく、かつ周波
数遮断特性が急峻な高無負荷Qの超伝導フィルタを提供
することが期待されている。なお、無負荷Q値とは、損
失の逆数のことである。
【0004】挿入損失が小さく、かつ周波数遮断特性が
急峻な高無負荷Qの超伝導フィルタを、移動体通信の基
地局の通信機器に用いれば、周波数利用効率の向上を図
ることが可能となる(参考文献:応用物理、70 [1] (20
01) 野島俊雄、佐藤圭)。
【0005】従来のYBCO系高温超伝導体膜の形成方
法を図6を用いて説明する。図6(a)は、従来のYB
CO系高温超伝導体膜を示す断面図(その1)である。
図6(b)は、従来のYBCO系高温超伝導体膜を示す
断面図(その2)である。
【0006】まず、パルスレーザ蒸着(Pulsed Laser D
eposition、PLD)装置の成膜室内に、例えばMgO
単結晶より成る誘電体基板110を載置する。
【0007】次に、パルスレーザ蒸着法により、誘電体
基板110上の全面に、YBCO系高温超伝導体膜11
2を成長する。ターゲットとしては、YBCO系高温超
伝導体膜の化学量論的組成(Y:Ba:Cu=1:2:
3)にできる限り近い組成のターゲット、具体的には、
例えばY1Ba2Cu3Xより成る焼結体を用いる。
【0008】このようにしてYBCO系高温超伝導体膜
112を成長すると、誘電体基板110の面に対してc
軸方向、即ち結晶格子の長軸方向に配向されたYBCO
系高温超伝導体膜112が形成される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
YBCO系高温超伝導体膜112は、膜質が良好ではな
かった。即ち、図6(a)に示す従来のYBCO系高温
超伝導体膜112では、膜内に、結晶欠陥(結晶転位)
113や結晶歪み(図示せず)等が生じてしまってい
た。また、図6(b)に示す従来のYBCO系高温超伝
導体膜112では、膜内に、Y23やY2Ba1Cu15
等のY(イットリウム)酸化物115が生成されてしま
っており、Y酸化物115の近傍に孔隙(Pore)117
が発生してしまっていた。
【0010】超伝導体フィルタの回路パターンは、高温
超伝導体膜を所定の形状にパターニングすることにより
形成される。このため、図6に示すような高温超伝導体
膜112をパターニングして回路パターンを構成した場
合には、回路パターンの側面に、結晶欠陥113や凹凸
が現れたり、Y酸化物112等の非超伝導相が現れたり
してしまう。高温超伝導体膜を用いてフィルタの回路パ
ターンを構成した場合、高周波信号は回路パターンの側
面を伝わる傾向がある。このため、回路パターンの側面
に、結晶欠陥113や凹凸が現れていたり、Y酸化物1
12等の非超伝導相が現れていたりすると、高周波にお
ける表面抵抗が大きくなってしまう。
【0011】従って、図6(a)や図6(b)に示すよ
うな従来のYBCO系高温超伝導体膜112を用いて回
路パターンを構成した場合には、挿入損失が小さく、か
つ周波数遮断特性が急峻な高無負荷Qの超伝導フィルタ
を得ることは困難であった。
【0012】本発明の目的は、膜質の良好なYBCO系
の高温超伝導体膜及びその製造方法、並びにそのYBC
O系の高温超伝導体膜を用いた良好な電気的特性を有す
る超伝導素子を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的は、誘電体基板
上に形成されたY−Ba−Cu−O系の高温超伝導体膜
であって、膜の上面近傍におけるBaに対するCuの組
成比が、膜の内部におけるBaに対するCuの組成比よ
り大きくなっていることを特徴とする高温超伝導体膜に
より達成される。
【0014】また、上記目的は、誘電体基板上に、Y−
Ba−Cu−O系の高温超伝導体膜を成長する工程を有
し、前記高温超伝導体膜を成長する工程では、膜の上面
近傍におけるBaに対するCuの組成比を、膜の内部に
おけるBaに対するCuの組成比より大きく保ちつつ、
前記高温超伝導体膜を成長することを特徴とする高温超
伝導体膜の形成方法により達成される。
【0015】また、上記目的は、誘電体基板上に形成さ
れたY−Ba−Cu−O系の高温超伝導体膜を有する超
伝導素子であって、膜の上面近傍におけるBaに対する
Cuの組成比が、膜の内部におけるBaに対するCuの
組成比より大きくなっていることを特徴とする超電導素
子により達成される。
【0016】
【発明の実施の形態】[本発明の原理]パルスレーザ蒸
着法やスパッタ法等により、誘電体基板上にYBCO系
高温超伝導体膜を成長すると、YBCO系高温超伝導体
膜の成長過程でY23、Y2Ba1Cu15等のY酸化物
が生成されたり、CuOやBaCuO2などのCu酸化
物が生成される。
【0017】Y酸化物は、YBCO系高温超伝導体膜の
膜中に残留しやすい性質を有している。また、Y酸化物
の成長速度は、YBCO結晶の成長速度の成長速度より
遅い。このため、YBCO系高温超伝導体膜の成長中に
Y酸化物が成長した場合、Y酸化物が生成された部分の
上方に孔隙(Pore)等が生じてしまう。従って、YBC
O系高温超伝導体膜の成長中にY酸化物が成長すると、
良好な膜質のYBCO系高温超伝導体膜を得ることが困
難となる。
【0018】一方、Cu酸化物は、YBCO系高温超伝
導体膜の成長中に膜中に残留しにくく、膜の表面に析出
されやすい性質を有している。従って、YBCO系高温
超伝導体膜の成長中にCu酸化物が生成されたとして
も、Cu酸化物の生成に起因して膜中に孔隙(Pore)や
結晶歪が生じてしまうことはない。むしろ、Cu酸化物
は、YBCO系高温超伝導体膜の結晶成長を促すフラッ
クスとして作用する。
【0019】本願発明者らは、鋭意検討した結果、膜の
表面近傍において化学量論的組成に対してCu組成を大
きく保ちつつ、YBCO系高温超伝導体膜を成長するこ
とに想到した。膜の表面近傍において化学量論的組成に
対してCu組成を大きく保ちつつYBCO系高温超伝導
体膜を成長すれば、Cu酸化物が生成されやすくなる一
方、Y酸化物は生成されにくくなる。Cu酸化物は、上
述したように、YBCO系高温超伝導体膜の結晶成長を
促すフラックスとして作用するため、結晶欠陥や結晶歪
のない、ほぼ単結晶状態の良質なYBCO系高温超伝導
体膜の形成に寄与し得る。しかも、Cu酸化物は、上述
したように、YBCO系高温超伝導体膜の表面に析出さ
れやすい性質を有しているため、膜中の組成が化学量論
的組成からずれてしまうこともない。
【0020】従って、膜の表面近傍において化学量論的
組成に対してCu組成を大きく保ちつつ、YBCO系高
温超伝導体膜を成長すれば、良好な膜質を有するほぼ単
結晶状態のYBCO系高温超伝導体膜を提供することが
可能となる。
【0021】なお、YBCO系高温超伝導体膜は、所定
の形状にパターニングされて、例えば超伝導フィルタの
回路パターン等として用いられる。高周波信号は回路パ
ターンの側面を伝わる傾向があるため、YBCO系高温
超伝導体膜の上面にCu酸化物が析出されていても、特
段の問題はない。
【0022】[第1実施形態]本発明の第1実施形態に
よるYBCO系高温超伝導体膜及びその形成方法を図1
を用いて説明する。図1は、本実施形態によるYBCO
系高温超伝導体膜を示す断面図である。図2は、本実施
形態によるYBCO系高温超伝導体膜の形成方法を示す
工程断面図である。
【0023】まず、本実施形態によるYBCO系高温超
伝導体膜を図1を用いて説明する。
【0024】図1に示すように、例えばMgO単結晶よ
り成る誘電体基板10上には、例えば膜厚0.9μmの
YBCO系高温超伝導体膜12が形成されている。YB
CO系高温超伝導体膜12の表面近傍を除く部分、即ち
上面近傍を除く部分の組成は、化学量論的組成であるY
1Ba2Cu3Xにほぼ等しい組成になっている。Baに
対するCuの組成比は、ほぼ1.5になっている。
【0025】なお、ここでは、YBCO系高温超伝導体
膜12の膜厚を0.9μmとしたが、YBCO系高温超
伝導体膜12の膜厚は、0.9μmに限定されるもので
はない。YBCO系高温超伝導体膜12を、例えばフィ
ルタの回路パターンとして用いる場合には、例えば0.
5〜1.2μmの範囲で適宜膜厚を設定すればよい。
【0026】YBCO系高温超伝導体膜12の表面近傍
では、YBCO系高温超伝導体の化学量論的組成(Y:
Ba:Cu=1:2:3)に対してCu組成が大きくな
っている。具体的には、YBCO系高温超伝導体膜12
の表面近傍では、Ba組成に対するCu組成が、例えば
1.51以上となっている。
【0027】なお、後述するように、膜の表面近傍にお
けるBa組成に対するCu組成を例えば1.55以上に
保ちつつYBCO系高温超伝導体膜12を成長すれば、
Cu酸化物がより生成されやすくなる一方、Y酸化物が
より生成されにくくなる。従って、YBCO系高温超伝
導体膜12の表面近傍におけるBa組成に対するCu組
成が、例えば1.55以上となっていれば、より良好な
膜質のYBCO系高温超伝導体膜12が得られているこ
ととなる。
【0028】また、YBCO系高温超伝導体の化学量論
的組成に対してCu組成が大きくなっている部分の厚さ
は、YBCO系高温超伝導体膜12の膜厚の例えば30
%以下となっている。
【0029】YBCO系高温超伝導体膜12の表面に
は、CuO又はBaCuO2等のCu酸化物14が析出
されている。Cu酸化物14の径は、例えば2μm以下
になっている。Cu酸化物14の析出量は、膜厚1μm
当たり例えば3×107個/cm2以上となっている。
【0030】こうして、本実施形態によるYBCO系高
温超伝導体膜が構成されている。
【0031】(YBCO系高温超伝導体膜の形成方法)
次に、本実施形態によるYBCO系高温超伝導体膜の形
成方法を図2を用いて説明する。図2は、本実施形態に
よるYBCO系高温超伝導体膜の形成方法を示す工程断
面図である。
【0032】まず、図2(a)に示すように、例えばパ
ルスレーザ蒸着装置の成膜室内に、MgO単結晶より成
る誘電体基板10を載置する。YBCO系高温超伝導体
膜12が成長される誘電体基板10の面は、例えば(1
00)面とする。
【0033】次に、図2(b)に示すように、全面に、
例えばパルスレーザ蒸着法により、膜厚が例えば0.9
μmになるまで、YBCO系高温超伝導体膜12を成長
する。この際、YBCO系高温超伝導体膜12の表面近
傍において化学量論的組成に対してCu組成を大きく保
ちつつ、YBCO系高温超伝導体膜12を成長する。例
えば、膜の表面近傍においてBa組成に対するCu組成
を1.51以上に保ちつつ、YBCO系高温超伝導体膜
12を成長する。表面近傍においてBa組成に対するC
u組成を1.51以上に保ちつつYBCO系高温超伝導
体膜12を成長すれば、YBCO系高温超伝導体膜12
の表面にCu酸化物14が生成されやすくなる一方、Y
酸化物の生成が抑制される。Cu酸化物はYBCO系高
温超伝導体膜12の結晶成長を促進するフラックスとし
て作用し、孔隙の発生や結晶歪みの発生を抑制する。C
u酸化物は、膜の外側に析出される性質を有しているた
め、YBCO系高温超伝導体膜12の膜中にCu酸化物
14が残留してしまうことはない。YBCO系高温超伝
導体膜12の表面近傍を除く部分の膜中の組成は、化学
量論的組成であるY1Ba2Cu3Xとなる。
【0034】YBCO系高温超伝導体膜12を成長する
際に用いるターゲットとしては、YBCO系高温超伝導
体膜12の化学量論的組成であるY1Ba2Cu3Xより
Cu組成が大きいターゲットを用いる。具体的には、例
えばY1Ba2Cu3.6Xより成る焼結体のターゲットを
用いる。化学量論的組成に対してCu組成が大きいター
ゲットを用いてYBCO系高温超伝導体膜12を成長す
るため、YBCO系高温超伝導体膜12の表面にCu酸
化物が生成されやすくなる一方、Y酸化物の生成が抑制
される。
【0035】なお、誘電体基板10とターゲットとの間
の距離は、例えば105mmとする。基板温度は、例え
ば700℃とする。基板温度を700℃にするために
は、例えばランプヒータを用いて、60℃/minで7
00℃まで上昇すればよい。成膜室内の酸素分圧は、例
えば240mTorrとする。ターゲットをアブレート
するためのレーザとしては、例えばKrFレーザを用い
る。
【0036】また、YBCO系高温超伝導体膜12を成
長する際の成長速度は、例えば6nm/minとする。
なお、YBCO系高温超伝導体膜12の成長速度は6n
m/minに限定されるものではない。比較的遅い速度
で成長した方が良好な膜質のYBCO系高温超伝導体膜
12を形成し得る傾向があるため、成長速度は例えば7
nm/min以下の範囲内で適宜設定することが望まし
い。
【0037】また、ここでは、膜の表面近傍におけるB
a組成に対するCu組成を1.51以上に保ちつつYB
CO系高温超伝導体膜12を成長するとしたが、膜の表
面近傍におけるBa組成に対するCu組成は例えば1.
55以上にすることがより望ましい。膜表面近傍におけ
るBa組成に対するCu組成を、例えば1.55以上に
保ちつつYBCO系高温超伝導体膜12を成長すれば、
Cu酸化物14の生成をより促進しつつ、Y酸化物の生
成をより抑制することができ、より膜質の良好なYBC
O系高温超伝導体膜12を形成することができる。
【0038】YBCO系高温超伝導体膜12を成膜する
際における膜の表面近傍におけるBaに対するCuの組
成比が十分に大きくない場合には、Cu酸化物の生成が
必ずしも十分に促進されず、Y酸化物の生成が必ずしも
十分に抑制されない場合もあり得る。この場合、膜の内
部に孔隙が生じることもあり得るが、たとえ膜の内部に
孔隙が生じたとしても、孔隙の径は0.05μm以下、
大きい場合でも0.1μm以下であり、少なくとも従来
のYBCO系高温超伝導体膜に生じていた孔隙よりは小
さくなる。
【0039】この後、成膜室内の圧力が例えば200T
orrになるまで酸素を導入し、誘電体基板10を冷却
する。
【0040】こうして、本実施形態によるYBCO系高
温超伝導体膜が形成される。
【0041】このように、本実施形態によれば、膜表面
において化学量論的組成に対してCu組成を大きく保ち
つつYBCO系高温超伝導体膜を生成するため、Cu酸
化物が生成されやすくなる一方、Y酸化物の生成が抑制
される。本実施形態によれば、Y酸化物が生成されにく
いため、孔隙や結晶歪が発生しにくくなる一方、Cu酸
化物が結晶成長を促すフラックスとして作用するため、
良好な膜質のほぼ単結晶状態のYBCO系高温超伝導体
膜を形成することができる。
【0042】(評価結果)次に、本実施形態によるYB
CO系高温超伝導体膜の評価結果を表1を用いて説明す
る。
【0043】
【表1】
【0044】(a)表面析出量 まず、表面析出量、即ち、YBCO系高温超伝導体膜の
表面に析出されたCu酸化物の量について説明する。
【0045】表1に示すように、比較例、即ち、従来の
YBCO系高温超伝導体膜では、表面に析出されたCu
酸化物の数は、1.6×107個/cm2程度であった。
【0046】これに対し、実施例、即ち、本実施形態に
よるYBCO系高温超伝導体膜では、表面に析出された
Cu酸化物の数は、3.2×107個/cm2程度となっ
た。
【0047】このことから、本実施形態では、従来のY
BCO系高温超伝導体膜と比較して、膜表面に析出され
るCu酸化物の数が多くなっていることが分かる。
【0048】(b)結晶粒のサイズ 次に、結晶粒のサイズ、即ち、YBCO系高温超伝導体
膜を構成する結晶の粒径について説明する。
【0049】表1に示すように、比較例、即ち、従来の
YBCO系高温超伝導体膜では、結晶粒径は0.5μm
程度であった。
【0050】これに対し、実施例、即ち、本実施形態に
よるYBCO系高温超伝導体膜では、結晶粒径は3μm
程度となっている。
【0051】このことから、本実施形態によれば、結晶
粒径の大きな良好な膜質のYBCO系高温超伝導体膜を
形成し得ることが分かる。
【0052】(c)表面抵抗値 次に、表面抵抗値について説明する。
【0053】まず、表面抵抗値の評価に用いられた超伝
導共振器を図3を用いて説明する。図3は、評価に用い
られた超伝導共振器を示す斜視図である。
【0054】図3に示すように、MgO単結晶より成る
厚さ0.5mmの誘電体基板10上には、膜厚0.9μ
m、幅0.5mmのYBCO系高温超伝導体膜より成る
ヘアピン型パターン16が形成されている。ヘアピン型
パターン16の両側の誘電体基板10上には、膜厚0.
9μm、幅0.5mmの酸化物高温超伝導体膜より成る
フィーダラインパターン18a、18bが形成されてい
る。フィーダラインパターン18a、18bの端部に
は、電極20が形成されている。誘電体基板10の下面
には、YBCO系高温超伝導体膜より成るグランドプレ
ーン22が形成されている。こうして超伝導共振器24
が構成されている。
【0055】なお、表面抵抗値の測定条件は、共振周波
数を約2GHz、周囲温度を70Kとした。
【0056】表1に示すように、比較例、即ち、従来の
YBCO系高温超伝導体膜を用いて超伝導共振器24の
ヘアピン型パターン16及びフィーダラインパターン1
8a、18bを構成した場合には、表面抵抗値は33μ
Ω程度であった。
【0057】これに対し、実施例、即ち、本実施形態に
よるYBCO系高温超伝導体膜を用いて超伝導共振器2
4のヘアピン型パターン16及びフィーダラインパター
ン18a、18bを構成した場合には、表面抵抗値は1
9μΩ程度となった。
【0058】このことから、本実施形態によれば、表面
抵抗値の小さくし得ることが分かる。
【0059】(d)入力電力依存性 次に、入力電力依存性(Power Handling Capability)
について説明する。
【0060】入力電力依存性とは、入力電力を増加した
ときに生じる高周波特性の変化の程度、一般的には高周
波特性の劣化の程度のことをいい、共振器においては共
振周波数が変化する。入力電力依存性が小さいほど入力
電力の変化に影響を受けない安定した超伝導素子が得ら
れる。
【0061】−34.4dBmを基準電力とし、基準電
力の入力信号を超伝導共振器24に入力したときの共振
周波数をfB、基準電力より3.14dBm大きい入力
信号を超伝導共振器24に入力したときの共振周波数を
Aとすると、入力電力依存性は、(fA−fB)/fB
表される。
【0062】入力電力依存性の測定条件は、表面抵抗値
の測定条件と同様に、共振周波数を約2GHz、周囲温
度を70Kとした。
【0063】表1に示すように、比較例、即ち、従来の
YBCO系高温超伝導体膜を用いて超伝導共振器24の
ヘアピン型パターン16及びフィーダラインパターン1
8a、18bを構成した場合には、入力電力依存性は、
−6.35×10-5程度であった。
【0064】これに対し、実施例、即ち、本実施形態に
よるYBCO系高温超伝導体膜を用いて超伝導共振器2
4のヘアピン型パターン16及びフィーダラインパター
ン18a、18bを構成した場合には、入力電力依存性
は、−1.32×10-5程度と小さくなっている。
【0065】このことから、本実施形態によれば、入力
電力依存性の小さい安定した超電導素子を提供しうるこ
とが分かる。
【0066】(e)透過電子顕微鏡写真 次に、YBCO系高温超伝導体膜の透過電子顕微鏡写真
を図4を用いて説明する。図4は、YBCO系高温超伝
導体膜の断面を示す透過電子顕微鏡写真である。図4
(a)は、従来のYBCO系高温超伝導体膜の断面を示
す透過電子顕微鏡写真であり、図4(b)は、本実施形
態によるYBCO系高温超伝導体膜の断面を示す透過電
子顕微鏡写真である。
【0067】図4(a)に示すように、従来のYBCO
系高温超伝導体膜では、Y酸化物115が生成されてお
り、Y酸化物115の近傍に孔隙117が生じている。
【0068】これに対し、図4(b)に示すように、本
実施形態によるYBCO系高温超伝導体膜では、Y酸化
物が生成されておらず、孔隙も発生していない。
【0069】このことから、本実施形態によれば、極め
て良好な膜質のほぼ単結晶状態のYBCO系高温超伝導
体膜が得られることが分かる。
【0070】[第2実施形態]本発明の第2実施形態に
よる超電導素子を図5を用いて説明する。図5は、本実
施形態による超電導素子を示す斜視図である。図1乃至
図4に示す第1実施形態による高温超伝導体膜及びその
製造方法と同一の構成要素には、同一の符号を付して説
明を省略または簡潔にする。
【0071】本実施形態による超伝導素子は、第1実施
形態によるYBCO系高温超伝導体膜が用いられた超伝
導フィルタであることに主な特徴がある。
【0072】なお、本実施形態では、超伝導フィルタを
例に説明するが、第1実施形態によるYBCO系高温超
伝導体膜は、超伝導フィルタのみならず、超伝導共振器
や超伝導アンテナ等、あらゆる超伝導素子に用いること
ができる。
【0073】図5に示すように、誘電体基板10上に
は、YBCO系高温超伝導体膜より成る1/2波長型の
ヘアピン型パターン26a、26bが交互に形成されて
いる。ヘアピン型パターン26aとヘアピンパターン2
6bは、全体として一列に配置されている。一列に配置
されたヘアピン型パターン26a、26bの両側の誘電
体基板10上には、YBCO系高温超伝導体膜より成る
1/4波長型のフィーダラインパターン28a、28b
が形成されている。
【0074】ヘアピン型パターン26a、26b及びフ
ィーダラインパターン28a、28bは、第1実施形態
によるYBCO系高温超伝導体膜12を、フォトリソグ
ラフィ技術を用いてパターニングすることにより構成さ
れている。YBCO系高温超伝導体膜12は、ウエット
エッチングによりパターニングすることができる。
【0075】フィーダラインパターン28a、28bの
端部には、それぞれ電極30が形成されている。
【0076】誘電体基板10の下面には、YBCO系高
温超伝導体膜より成るグランドプレーン22が形成され
ている。
【0077】こうして、本実施形態による超電導素子が
構成されている。
【0078】こうして構成された超電導素子は、金属製
容器(図示せず)内に実装され、冷凍機(図示せず)に
より冷却されて用いられる。
【0079】[変形実施形態]本発明は上記実施形態に
限らず種々の変形が可能である。
【0080】例えば、上記実施形態では、誘電体基板1
0の材料としてMgOを用いたが、誘電体基板10の材
料はMgOに限定されるものではなく、例えば、LaA
lO 3やサファイアを用いてもよい。但し、誘電体基板
の材料としてサファイアを用いる場合には、サファイア
より成る誘電体基板上に、CeO2等より成る緩和層を
形成し、緩和層上にYBCO系高温超伝導体膜12を形
成することを要する。
【0081】また、第2実施形態では、第1実施形態に
よるYBCO系高温超伝導体膜を用いて超伝導フィルタ
を構成する場合を例に説明したが、第1実施形態による
YBCO系高温超伝導体膜は、上述したように、超伝導
フィルタのみならず、超伝導共振器や超伝導アンテナ等
あらゆる超電導素子に用いることができる。
【0082】また、上記実施形態では、パルスレーザ蒸
着法によりYBCO系高温超伝導体膜12を成長する場
合を例に説明したが、YBCO系高温超伝導体膜12の
成長方法はパルスレーザ蒸着法に限定されるものではな
く、スパッタ法等他の成長方法を用いてもよい。
【0083】(付記1) 誘電体基板上に形成されたY
−Ba−Cu−O系の高温超伝導体膜であって、膜の上
面近傍におけるBaに対するCuの組成比が、膜の内部
におけるBaに対するCuの組成比より大きくなってい
ることを特徴とする高温超伝導体膜。
【0084】(付記2) 付記1記載の高温超伝導体膜
において、前記膜の上面近傍におけるBaに対するCu
の組成比が、1.51以上になっていることを特徴とす
る高温超伝導体膜。
【0085】(付記3) 付記1記載の高温超伝導体膜
において、前記膜の上面近傍におけるBaに対するCu
の組成比が、1.55以上になっていることを特徴とす
る高温超伝導体膜。
【0086】(付記4) 付記1乃至3のいずれかに記
載の高温超伝導体膜において、前記膜の内部におけるB
aに対するCuの組成比が、ほぼ1.5になっているこ
とを特徴とする高温超伝導体膜。
【0087】(付記5) 付記1乃至4のいずれかに記
載の高温超伝導体膜において、上面にCu酸化物が析出
されていることを特徴とする高温超伝導体膜。
【0088】(付記6) 付記5記載の高温超伝導体膜
において、前記Cu酸化物は、CuO又はBaCuO2
より成ることを特徴とする高温超伝導体膜。
【0089】(付記7) 付記1乃至6のいずれかに記
載の高温超伝導体膜において、前記Cu酸化物の径が2
μm以下であることを特徴とする高温超伝導体膜。
【0090】(付記8) 付記5乃至7のいずれかに記
載の高温超伝導体膜において、膜厚1μm当たりの前記
Cu酸化物の析出量が、3×107個/cm2以上である
ことを特徴とする高温超伝導体膜。
【0091】(付記9) 付記1乃至8のいずれかに記
載の高温超伝導体膜において、結晶粒径の平均が3μm
以上であることを特徴とする高温超伝導体膜。
【0092】(付記10) 付記1乃至9のいずれかに
記載の高温超伝導体膜において、ほぼ単結晶状態になっ
ていることを特徴とする高温超伝導体膜。
【0093】(付記11) 付記1乃至10のいずれか
に記載の高温超伝導体膜において、前記膜の内部に存在
する孔隙の径が、0.1μm以下であることを特徴とす
る高温超伝導体膜。
【0094】(付記12) 付記1乃至11のいずれか
に記載の高温超伝導体膜において、前記誘電体基板は、
MgO、LaAlO3、又はサファイアより成ることを
特徴とする高温超伝導体膜。
【0095】(付記13) 付記1乃至12のいずれか
に記載の高温超伝導体膜において、膜厚が0.5〜1.
2μmであることを特徴とする高温超伝導体膜。
【0096】(付記14) 付記1乃至13のいずれか
に記載の高温超伝導体膜において、Baに対するCuの
組成比が、前記膜の内部におけるBaに対するCuの組
成比より大きくなっている部分の厚さは、膜厚の30%
以下であることを特徴とする高温超伝導体膜。
【0097】(付記15) 誘電体基板上に、Y−Ba
−Cu−O系の高温超伝導体膜を成長する工程を有し、
前記高温超伝導体膜を成長する工程では、膜の上面近傍
におけるBaに対するCuの組成比を、膜の内部におけ
るBaに対するCuの組成比より大きく保ちつつ、前記
高温超伝導体膜を成長することを特徴とする高温超伝導
体膜の形成方法。
【0098】(付記16) 付記15記載の高温超伝導
体膜の形成方法において、前記高温超伝導体膜を成長す
る工程では、前記膜の上面近傍におけるBaに対するC
uの組成比を1.51以上に保ちつつ、前記高温超伝導
体膜を成長することを特徴とする高温超伝導体膜の形成
方法。
【0099】(付記17) 付記15記載の高温超伝導
体膜の形成方法において、前記高温超伝導体膜を成長す
る工程では、前記膜の上面近傍におけるBaに対するC
uの組成比を1.55以上に保ちつつ、前記高温超伝導
体膜を成長することを特徴とする高温超伝導体膜の形成
方法。
【0100】(付記18) 付記15乃至17のいずれ
かに記載の高温超伝導体膜の形成方法において、前記高
温超伝導体膜を成長する工程では、前記膜の内部におけ
るBaに対するCuの組成比がほぼ1.5の前記高温超
伝導体膜を成長することを特徴とする高温超伝導体膜の
形成方法。
【0101】(付記19) 付記15乃至18のいずれ
かに記載の高温超伝導体膜の形成方法において、前記高
温超伝導体膜を成長する工程では、蒸着法又はスパッタ
法により前記高温超伝導体膜を成長することを特徴とす
る高温超伝導体膜の形成方法。
【0102】(付記20) 付記15乃至19のいずれ
かに記載の高温超伝導体膜の形成方法において、前記高
温超伝導体膜を成長する工程では、7nm/min以下
の速度で前記高温超伝導体膜を成長することを特徴とす
る高温超伝導体膜の形成方法。
【0103】(付記21) 誘電体基板上に形成された
Y−Ba−Cu−O系の高温超伝導体膜を有する超伝導
素子であって、膜の上面近傍におけるBaに対するCu
の組成比が、膜の内部におけるBaに対するCuの組成
比より大きくなっていることを特徴とする超電導素子。
【0104】(付記22) 付記21記載の超電導素子
において、前記膜の上面近傍におけるBaに対するCu
の組成比が、1.51以上になっていることを特徴とす
る超電導素子。
【0105】(付記23) 付記21記載の超電導素子
において、前記膜の上面近傍におけるBaに対するCu
の組成比が、1.55以上になっていることを特徴とす
る超電導素子。
【0106】(付記24) 付記21乃至23のいずれ
かに記載の超電導素子において、前記膜の内部に存在す
る孔隙の径が、0.1μm以下であることを特徴とする
超電導素子。
【0107】(付記25) 付記21乃至24のいずれ
かに記載の超電導素子において、前記膜の内部に存在す
る孔隙の径が、0.05μm以下であることを特徴とす
る超電導素子。
【0108】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、膜表面に
おいて化学量論的組成に対してCu組成を大きく保ちつ
つYBCO系高温超伝導体膜を生成するため、Cu酸化
物が生成されやすくなる一方、Y酸化物の生成が抑制さ
れる。本発明によれば、Y酸化物が生成されにくいた
め、孔隙や結晶歪が発生しにくくなる一方、Cu酸化物
が結晶成長を促すフラックスとして作用するため、良好
な膜質のほぼ単結晶状態のYBCO系高温超伝導体膜を
提供することができる。そして、本発明によれば、この
ような良好な膜質のYBCO系高温超伝導体膜を用い
て、良好な電気的特性を有する超伝導素子を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態によるYBCO系高温超
伝導体膜を示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるYBCO系高温超
伝導体膜の形成方法を示す工程断面図である。
【図3】評価に用いられた超伝導共振器を示す斜視図で
ある。
【図4】YBCO系高温超伝導体膜の断面を示す透過電
子顕微鏡写真である。
【図5】本発明の第2実施形態による超電導素子を示す
斜視図である。
【図6】従来のYBCO系高温超伝導体膜を示す断面図
である。
【符号の説明】
10…誘電体基板 12…YBCO系高温超伝導体膜 14…Cu酸化物 16…ヘアピン型パターン 18a、18b…フィーダラインパターン 20…電極 22…グランドプレーン 24…超伝導共振器 26a、26b…ヘアピン型パターン 28a、28b…フィーダラインパターン 30…電極 110…誘電体基板 112…YBCO系高温超伝導体膜 113…結晶欠陥 115…Y酸化物 117…孔隙
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 12/06 H01M 12/06 H01P 1/203 H01P 1/203 (72)発明者 中西 輝 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 Fターム(参考) 4G047 JA03 JB03 JC02 KE02 KG07 4M113 AC44 AD35 AD36 AD37 AD42 AD68 BA04 BA09 BC05 CA34 5G321 AA04 CA03 CA20 CA27 5H032 EE02 EE18 HH01 HH04 5J006 HB03 HB14 JA01

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体基板上に形成されたY−Ba−C
    u−O系の高温超伝導体膜であって、 膜の上面近傍におけるBaに対するCuの組成比が、膜
    の内部におけるBaに対するCuの組成比より大きくな
    っていることを特徴とする高温超伝導体膜。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の高温超伝導体膜におい
    て、 前記膜の上面近傍におけるBaに対するCuの組成比
    が、1.51以上になっていることを特徴とする高温超
    伝導体膜。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の高温超伝導体膜に
    おいて、 上面にCu酸化物が析出されていることを特徴とする高
    温超伝導体膜。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の高温超伝導体膜におい
    て、 前記Cu酸化物は、CuO又はBaCuO2より成るこ
    とを特徴とする高温超伝導体膜。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の
    高温超伝導体膜において、 ほぼ単結晶状態になっていることを特徴とする高温超伝
    導体膜。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の
    高温超伝導体膜において、 前記膜の内部に存在する孔隙の径が、0.1μm以下で
    あることを特徴とする高温超伝導体膜。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の
    高温超伝導体膜において、 前記誘電体基板は、MgO、LaAlO3、又はサファ
    イアより成ることを特徴とする高温超伝導体膜。
  8. 【請求項8】 誘電体基板上に、Y−Ba−Cu−O系
    の高温超伝導体膜を成長する工程を有し、 前記高温超伝導体膜を成長する工程では、膜の上面近傍
    におけるBaに対するCuの組成比を、膜の内部におけ
    るBaに対するCuの組成比より大きく保ちつつ、前記
    高温超伝導体膜を成長することを特徴とする高温超伝導
    体膜の形成方法。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の高温超伝導体膜の形成方
    法において、 前記高温超伝導体膜を成長する工程では、前記膜の上面
    近傍におけるBaに対するCuの組成比を1.51以上
    に保ちつつ、前記高温超伝導体膜を成長することを特徴
    とする高温超伝導体膜の形成方法。
  10. 【請求項10】 誘電体基板上に形成されたY−Ba−
    Cu−O系の高温超伝導体膜を有する超伝導素子であっ
    て、 膜の上面近傍におけるBaに対するCuの組成比が、膜
    の内部におけるBaに対するCuの組成比より大きくな
    っていることを特徴とする超電導素子。
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