JPH10209514A - 銅酸化物超伝導薄膜の製造方法 - Google Patents
銅酸化物超伝導薄膜の製造方法Info
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- JPH10209514A JPH10209514A JP9009389A JP938997A JPH10209514A JP H10209514 A JPH10209514 A JP H10209514A JP 9009389 A JP9009389 A JP 9009389A JP 938997 A JP938997 A JP 938997A JP H10209514 A JPH10209514 A JP H10209514A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】正規組成の銅酸化物超伝導薄膜を製造すると薄
膜表面より突出物が形成され、微細回路パターンを形成
した場合、ショートが発生する。 【解決手段】基板1上にCu組成が正規組成より少ない
第1の銅酸化物超伝導薄膜2を形成することにより、基
板と第1の銅酸化物超伝導薄膜とのヘテロエピタキシャ
ル界面において銅を含む析出物の核が形成されることを
抑制する。次に、第1の薄膜2上にCu組成が正規組成
以上の第2の銅酸化物超伝導薄膜3をホモエピタキシャ
ル成長させる。
膜表面より突出物が形成され、微細回路パターンを形成
した場合、ショートが発生する。 【解決手段】基板1上にCu組成が正規組成より少ない
第1の銅酸化物超伝導薄膜2を形成することにより、基
板と第1の銅酸化物超伝導薄膜とのヘテロエピタキシャ
ル界面において銅を含む析出物の核が形成されることを
抑制する。次に、第1の薄膜2上にCu組成が正規組成
以上の第2の銅酸化物超伝導薄膜3をホモエピタキシャ
ル成長させる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は銅酸化物超伝導薄膜
の製造方法に関するものである。
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】銅酸化物超伝導薄膜をエレクトロニクス
分野で用いるためには、微細な回路パターンを形成する
必要がある。この様な微細な回路を作製する場合、薄膜
中に析出物等の突出物が存在すると、エッチング時にシ
ョートを発生したり、積層構造作製時にピンホールを生
じやすいため、銅酸化物超伝導薄膜には表面の平坦性が
求められる。
分野で用いるためには、微細な回路パターンを形成する
必要がある。この様な微細な回路を作製する場合、薄膜
中に析出物等の突出物が存在すると、エッチング時にシ
ョートを発生したり、積層構造作製時にピンホールを生
じやすいため、銅酸化物超伝導薄膜には表面の平坦性が
求められる。
【0003】しかしながら、銅酸化物超伝導薄膜を形成
する場合、通常銅酸化物超伝導体が4元ないしは5元の
物質か、あるいはそれらを母体としたさらに多元の化合
物であるため、成膜時の僅かな組成ずれにより超伝導相
以外の析出物を生じやすい。さらに、一般的に銅酸化物
超伝導薄膜を形成する場合、基板材料としては銅酸化物
超伝導体とは異なる材料を用いている為、ヘテロエピタ
キシャル成長技術が用いられている。従って、アプライ
ド・フィジクス・レターズ(Applid Physi
cs Letters)、57(5)、1990、p
p.523−525にも報告されているように、基板と
銅酸化物超伝導薄膜とのヘテロエピタキシャル界面にお
いて析出物の核が形成され、薄膜の成長とともに析出物
も成長する場合が多い。
する場合、通常銅酸化物超伝導体が4元ないしは5元の
物質か、あるいはそれらを母体としたさらに多元の化合
物であるため、成膜時の僅かな組成ずれにより超伝導相
以外の析出物を生じやすい。さらに、一般的に銅酸化物
超伝導薄膜を形成する場合、基板材料としては銅酸化物
超伝導体とは異なる材料を用いている為、ヘテロエピタ
キシャル成長技術が用いられている。従って、アプライ
ド・フィジクス・レターズ(Applid Physi
cs Letters)、57(5)、1990、p
p.523−525にも報告されているように、基板と
銅酸化物超伝導薄膜とのヘテロエピタキシャル界面にお
いて析出物の核が形成され、薄膜の成長とともに析出物
も成長する場合が多い。
【0004】それら析出物の内一部は、銅酸化物超伝導
体より成長速度が速いため、例えば膜厚0.5μm程度
の銅酸化物超伝導薄膜を形成する場合、その表面より
0.5μm以上、即ち薄膜の膜厚に匹敵するか、あるい
はそれ以上の高さに突出する形で薄膜中に形成される。
フィジカル・レビューB(Physical Revi
ew B)、50(5)、1994、pp.3280−
3287に報告されているように、この様な析出物は、
CuO、あるいはBaCuO2 の様な銅を含む酸化物で
あることが確認されている。
体より成長速度が速いため、例えば膜厚0.5μm程度
の銅酸化物超伝導薄膜を形成する場合、その表面より
0.5μm以上、即ち薄膜の膜厚に匹敵するか、あるい
はそれ以上の高さに突出する形で薄膜中に形成される。
フィジカル・レビューB(Physical Revi
ew B)、50(5)、1994、pp.3280−
3287に報告されているように、この様な析出物は、
CuO、あるいはBaCuO2 の様な銅を含む酸化物で
あることが確認されている。
【0005】以上記した様に、銅酸化物超伝導薄膜表面
より突出して形成される銅を含む析出物には、基板と銅
酸化物超伝導薄膜とのヘテロエピタキシャル界面でその
核が形成され、薄膜の膜厚に匹敵する程度表面から突出
するものが存在する。このため、微細回路パターンを形
成する際に、これら析出物のまわりの銅酸化物超伝導体
がエッチング残留物として残る傾向がある為、微細回路
パターン中のショートの原因となっていた。また、積層
回路を作製するために絶縁膜をこの様な銅酸化物超伝導
薄膜上に積層した場合、上記のような析出物は絶縁膜中
でピンホールを生じさせたり、あるいは絶縁膜に薄い部
分を形成させるため、回路の歩留まりの低下や絶縁膜の
絶縁耐力の低下を招いていた。
より突出して形成される銅を含む析出物には、基板と銅
酸化物超伝導薄膜とのヘテロエピタキシャル界面でその
核が形成され、薄膜の膜厚に匹敵する程度表面から突出
するものが存在する。このため、微細回路パターンを形
成する際に、これら析出物のまわりの銅酸化物超伝導体
がエッチング残留物として残る傾向がある為、微細回路
パターン中のショートの原因となっていた。また、積層
回路を作製するために絶縁膜をこの様な銅酸化物超伝導
薄膜上に積層した場合、上記のような析出物は絶縁膜中
でピンホールを生じさせたり、あるいは絶縁膜に薄い部
分を形成させるため、回路の歩留まりの低下や絶縁膜の
絶縁耐力の低下を招いていた。
【0006】そこで従来より上記の課題を解決するた
め、例えば、第43回応用物理学関係連合講演会講演予
稿集、第1分冊、28p−ZH−3、1996、pp.
160記載のように、Cu組成が正規組成より少ない状
態で銅酸化物超伝導薄膜を作製する技術が開発されてき
た。
め、例えば、第43回応用物理学関係連合講演会講演予
稿集、第1分冊、28p−ZH−3、1996、pp.
160記載のように、Cu組成が正規組成より少ない状
態で銅酸化物超伝導薄膜を作製する技術が開発されてき
た。
【0007】Cu組成が正規組成より少ない状態で銅酸
化物超伝導薄膜を作製した場合、銅が不足するため、基
板と銅酸化物超伝導薄膜とのヘテロエピタキシャル界面
において銅を含む析出物の核が形成されることを抑制す
ることが出来る。従って、この様にして作製することに
より、表面より突出する析出物を含まない表面平坦性の
優れた銅酸化物超伝導薄膜を作製することが可能であっ
た。
化物超伝導薄膜を作製した場合、銅が不足するため、基
板と銅酸化物超伝導薄膜とのヘテロエピタキシャル界面
において銅を含む析出物の核が形成されることを抑制す
ることが出来る。従って、この様にして作製することに
より、表面より突出する析出物を含まない表面平坦性の
優れた銅酸化物超伝導薄膜を作製することが可能であっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Cu組
成を正規組成より少なくした状態で銅酸化物超伝導薄膜
を作製した場合、超伝導転移(臨界)温度Tcや臨界電
流密度Jcの低下等、超伝導特性が劣化することが知ら
れていた。
成を正規組成より少なくした状態で銅酸化物超伝導薄膜
を作製した場合、超伝導転移(臨界)温度Tcや臨界電
流密度Jcの低下等、超伝導特性が劣化することが知ら
れていた。
【0009】従って、上述した従来の技術では超伝導特
性の劣化無しに薄膜表面より突出する析出物を含まない
平坦な銅酸化物超伝導薄膜を作製することは難しいとい
う問題があった。
性の劣化無しに薄膜表面より突出する析出物を含まない
平坦な銅酸化物超伝導薄膜を作製することは難しいとい
う問題があった。
【0010】本発明の目的は、良好な超伝導特性を有
し、しかも薄膜表面より突出する析出物を含まない平坦
な銅酸化物超伝導薄膜を製造する方法を提供することに
ある。
し、しかも薄膜表面より突出する析出物を含まない平坦
な銅酸化物超伝導薄膜を製造する方法を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、銅酸化物超伝
導薄膜の製造時に、基板上に銅酸化物超伝導体の正規組
成よりCu組成が少ない第1の銅酸化物超伝導薄膜を形
成した後、その薄膜上にCu組成が正規組成以上の第2
の銅酸化物超伝導薄膜を形成することを特徴とする銅酸
化物超伝導薄膜の製造方法である。
導薄膜の製造時に、基板上に銅酸化物超伝導体の正規組
成よりCu組成が少ない第1の銅酸化物超伝導薄膜を形
成した後、その薄膜上にCu組成が正規組成以上の第2
の銅酸化物超伝導薄膜を形成することを特徴とする銅酸
化物超伝導薄膜の製造方法である。
【0012】また、上記第1及び第2の銅酸化物超伝導
薄膜の形成工程を同一基板に対して繰り返して複数回行
ない積層構造とするものである。
薄膜の形成工程を同一基板に対して繰り返して複数回行
ない積層構造とするものである。
【0013】
【作用】本発明のように、予め基板上にCu組成が正規
組成より少ない第1の銅酸化物超伝導薄膜を形成するこ
とにより、基板と第1の銅酸化物超伝導薄膜とのヘテロ
エピタキシャル界面において、銅を含む析出物の核が形
成されることを抑制することが出来る。次にその薄膜上
にCu組成が正規組成以上の銅酸化物超伝導薄膜を形成
することにより、上層膜によりその特性が決るTcやJ
cに劣化の無い良好な超伝導特性を有した銅酸化物超伝
導薄膜が作製される。
組成より少ない第1の銅酸化物超伝導薄膜を形成するこ
とにより、基板と第1の銅酸化物超伝導薄膜とのヘテロ
エピタキシャル界面において、銅を含む析出物の核が形
成されることを抑制することが出来る。次にその薄膜上
にCu組成が正規組成以上の銅酸化物超伝導薄膜を形成
することにより、上層膜によりその特性が決るTcやJ
cに劣化の無い良好な超伝導特性を有した銅酸化物超伝
導薄膜が作製される。
【0014】また、この階段の薄膜成長はホモエピタキ
シャル成長となるため、従来、基板とのヘテロエピタキ
シャル界面に形成された銅を含む析出物の核は形成され
ない。さらに下地の第1の銅酸化物超伝導薄膜上にも銅
を含む析出物が存在していないため、Cu組成が正規組
成以上であるにも関わらず、下地の薄膜中の析出物を核
として銅を含む析出物が成長することはない。従って、
上記方法により銅酸化物超伝導薄膜を作製することによ
り、TcやJcに劣化の無い良好な超伝導特性を有し、
かつ、薄膜表面より突出する析出物を含まない平坦な銅
酸化物超伝導薄膜を製造することが可能となる。
シャル成長となるため、従来、基板とのヘテロエピタキ
シャル界面に形成された銅を含む析出物の核は形成され
ない。さらに下地の第1の銅酸化物超伝導薄膜上にも銅
を含む析出物が存在していないため、Cu組成が正規組
成以上であるにも関わらず、下地の薄膜中の析出物を核
として銅を含む析出物が成長することはない。従って、
上記方法により銅酸化物超伝導薄膜を作製することによ
り、TcやJcに劣化の無い良好な超伝導特性を有し、
かつ、薄膜表面より突出する析出物を含まない平坦な銅
酸化物超伝導薄膜を製造することが可能となる。
【0015】さらに、第1及び第2の銅酸化物超伝導薄
膜の形成工程を同一基板に対して繰り返して複数回用い
ることにより、各銅酸化物超伝導薄膜が、TcやJcに
劣化の無い良好な超伝導特性を有し、かつ、薄膜表面よ
り突出する析出物を含まない平坦な銅酸化物超伝導薄膜
であるため、析出物により絶縁膜中でピンホールを生じ
たり、あるいは絶縁膜の薄い部分を形成することがな
く、回路の歩留まりの低下や絶縁膜の絶縁耐力の低下を
生じることはなくなる。
膜の形成工程を同一基板に対して繰り返して複数回用い
ることにより、各銅酸化物超伝導薄膜が、TcやJcに
劣化の無い良好な超伝導特性を有し、かつ、薄膜表面よ
り突出する析出物を含まない平坦な銅酸化物超伝導薄膜
であるため、析出物により絶縁膜中でピンホールを生じ
たり、あるいは絶縁膜の薄い部分を形成することがな
く、回路の歩留まりの低下や絶縁膜の絶縁耐力の低下を
生じることはなくなる。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、本発明について図面を用い
て説明する。図1(a),(b)は本発明の第1の実施
の形態を説明する為の基板の断面図であり、本発明を銅
酸化物超伝導材料として銅の正規組成が3.0であるY
系超伝導体に適用した場合である。
て説明する。図1(a),(b)は本発明の第1の実施
の形態を説明する為の基板の断面図であり、本発明を銅
酸化物超伝導材料として銅の正規組成が3.0であるY
系超伝導体に適用した場合である。
【0017】まず図1(a)に示すとおり、エキシマレ
ーザーアブレーション法により、2.5cm角のMgO
基板1上に第1の銅酸化物超伝導薄膜として厚さ10n
mのYBa2 Cu2.8 O7-x 薄膜(第1の薄膜)2を形
成した。さらに大気中に取り出すことなく連続して(i
n−situで)、同じくエキシマレーザーアブレーシ
ョン法により、同図(b)に示すとおり、第2の銅酸化
物超伝導薄膜として厚さ300nmのYBa2 Cu3.1
O7-x 薄膜(第2の薄膜)3を第1の薄膜2上に積層し
た。走査型電子顕微鏡による観察では、この第2の薄膜
中には析出物は確認されなかった。
ーザーアブレーション法により、2.5cm角のMgO
基板1上に第1の銅酸化物超伝導薄膜として厚さ10n
mのYBa2 Cu2.8 O7-x 薄膜(第1の薄膜)2を形
成した。さらに大気中に取り出すことなく連続して(i
n−situで)、同じくエキシマレーザーアブレーシ
ョン法により、同図(b)に示すとおり、第2の銅酸化
物超伝導薄膜として厚さ300nmのYBa2 Cu3.1
O7-x 薄膜(第2の薄膜)3を第1の薄膜2上に積層し
た。走査型電子顕微鏡による観察では、この第2の薄膜
中には析出物は確認されなかった。
【0018】この第2の薄膜のTcは89K、77Kに
おけるJcは3×106 A/cm2と正規組成の薄膜と
同程度の良好な超伝導特性を示した。なお、MgO基板
上にCu組成が2.8と正規組成の3.0より少ないY
Ba2 Cu2.8 O7-x 薄膜のみを形成した場合、Tcは
80K、77KにおけるJcは2×105 A/cm2と
正規組成の薄膜と比較して、大幅な超伝導特性の劣化が
観察された。
おけるJcは3×106 A/cm2と正規組成の薄膜と
同程度の良好な超伝導特性を示した。なお、MgO基板
上にCu組成が2.8と正規組成の3.0より少ないY
Ba2 Cu2.8 O7-x 薄膜のみを形成した場合、Tcは
80K、77KにおけるJcは2×105 A/cm2と
正規組成の薄膜と比較して、大幅な超伝導特性の劣化が
観察された。
【0019】この第1及び第2の薄膜に対して、中心導
体幅5μm、中心導体−グランドプレーン間スペース
2.5μm、線路長20cmのコプレーナ伝送線路をパ
ターニングし、銅酸化物超伝導遅延線回路を作製した。
この遅延線の減衰定数は20GHz、60Kで10dB
/m以下と、銅を用いた場合と比較して30分の1とい
う極めて小さな値であり、高性能な遅延線を2.5cm
角に集積化することに成功した。上記の第1及び第2の
薄膜作製法を用いることにより、線路のパターニングの
際、従来問題であったCu組成が3.0の正規組成の薄
膜中の表面より突出した析出物に起因する中心導体とグ
ランドプレーン間のショートが無くなり、歩留まりが5
倍に向上した。
体幅5μm、中心導体−グランドプレーン間スペース
2.5μm、線路長20cmのコプレーナ伝送線路をパ
ターニングし、銅酸化物超伝導遅延線回路を作製した。
この遅延線の減衰定数は20GHz、60Kで10dB
/m以下と、銅を用いた場合と比較して30分の1とい
う極めて小さな値であり、高性能な遅延線を2.5cm
角に集積化することに成功した。上記の第1及び第2の
薄膜作製法を用いることにより、線路のパターニングの
際、従来問題であったCu組成が3.0の正規組成の薄
膜中の表面より突出した析出物に起因する中心導体とグ
ランドプレーン間のショートが無くなり、歩留まりが5
倍に向上した。
【0020】また、Cu組成が2.8の第1の薄膜のみ
で作製した場合と比較して伝送損失がほぼ5分の1と極
めて良好な特性を示した。この伝送損失より計算した表
面抵抗値は、Cu組成が3.0の正規組成の薄膜と同程
度の表面抵抗値を示し、超伝導特性の劣化がないことが
確認された。
で作製した場合と比較して伝送損失がほぼ5分の1と極
めて良好な特性を示した。この伝送損失より計算した表
面抵抗値は、Cu組成が3.0の正規組成の薄膜と同程
度の表面抵抗値を示し、超伝導特性の劣化がないことが
確認された。
【0021】図2(a)〜(c)は本発明の第2の実施
の形態を説明する為の基板の断面図であり、本発明を高
集積銅酸化物超伝導遅延線回路において放射損失を低減
するために、絶縁膜とYBa2 Cu3 O7-x 薄膜を積層
することにより、グランドプレーンを形成するのに適用
した場合である。
の形態を説明する為の基板の断面図であり、本発明を高
集積銅酸化物超伝導遅延線回路において放射損失を低減
するために、絶縁膜とYBa2 Cu3 O7-x 薄膜を積層
することにより、グランドプレーンを形成するのに適用
した場合である。
【0022】まず、図2(a)に示すとおり、第1の実
施の形態と同様に操作し、2.5cm角のMgO基板1
上に厚さ10nmの第1の薄膜(YBa2 Cu2.8 O
7-x )2を形成したのち、厚さ300nmの第2の薄膜
(YBa2 Cu3.1 O7-x )3を第1の薄膜2上に積層
した。
施の形態と同様に操作し、2.5cm角のMgO基板1
上に厚さ10nmの第1の薄膜(YBa2 Cu2.8 O
7-x )2を形成したのち、厚さ300nmの第2の薄膜
(YBa2 Cu3.1 O7-x )3を第1の薄膜2上に積層
した。
【0023】次に図2(b)に示すように、絶縁膜とし
て厚さ2μmのMgO薄膜4を積層した。次に図2
(c)に示すように、厚さ10nm厚のYBa2 Cu
2.8 O7-x薄膜(第3の薄膜)2Aと厚さ500nmの
YBa2 Cu3.1 O7-x 薄膜(第4の薄膜)3Aを積層
した。全ての薄膜の積層はエキシマレーザーアブレーシ
ョン法を用いて、大気中に取り出すことなく連続して
(in−situで)行った。
て厚さ2μmのMgO薄膜4を積層した。次に図2
(c)に示すように、厚さ10nm厚のYBa2 Cu
2.8 O7-x薄膜(第3の薄膜)2Aと厚さ500nmの
YBa2 Cu3.1 O7-x 薄膜(第4の薄膜)3Aを積層
した。全ての薄膜の積層はエキシマレーザーアブレーシ
ョン法を用いて、大気中に取り出すことなく連続して
(in−situで)行った。
【0024】この様にして作製した第3及び第4の薄膜
2Aと3Aに対して、中心導体幅5μm、中心導体−グ
ランドプレーン間スペース4μm、線路長20cmのコ
プレーナ伝送線路をパターニングし、第3及び第4の薄
膜2Aと3Aと絶縁膜であるMgO薄膜4の一部にコン
タクトホールを作製してAuを埋め込むことにより、第
2の薄膜3と第3及び第4の薄膜2Aと3Aからなるグ
ランドプレーンを相互に接続した。この様にして作製し
た積層回路は、下層の第2の薄膜3中に析出物を含まず
平坦であるため、従来見られた下層のグランドプレーン
と上層の中心導体とのショートも生じず、優れた絶縁特
性を示した。さらにこの配線の伝送特性を測定したとこ
ろ、下層にもグランドプレーンを設けたため放射損失が
半減し、優れた特性を示した。
2Aと3Aに対して、中心導体幅5μm、中心導体−グ
ランドプレーン間スペース4μm、線路長20cmのコ
プレーナ伝送線路をパターニングし、第3及び第4の薄
膜2Aと3Aと絶縁膜であるMgO薄膜4の一部にコン
タクトホールを作製してAuを埋め込むことにより、第
2の薄膜3と第3及び第4の薄膜2Aと3Aからなるグ
ランドプレーンを相互に接続した。この様にして作製し
た積層回路は、下層の第2の薄膜3中に析出物を含まず
平坦であるため、従来見られた下層のグランドプレーン
と上層の中心導体とのショートも生じず、優れた絶縁特
性を示した。さらにこの配線の伝送特性を測定したとこ
ろ、下層にもグランドプレーンを設けたため放射損失が
半減し、優れた特性を示した。
【0025】尚、この第2の実施の形態では、正規組成
よりCu組成が少ない第1の銅酸化物超伝導薄膜とCu
組成の多い第2の銅酸化物超伝導薄膜の形成工程を2回
くり返した場合について説明したが、2回以上であって
もい。例えば多層配線を形成する場合は、図2(c)に
おける第4の薄膜3A上にMgO薄膜を形成後、再度第
1,第2の薄膜とMgO薄膜及び第3,第4の薄膜を形
成すればよい。
よりCu組成が少ない第1の銅酸化物超伝導薄膜とCu
組成の多い第2の銅酸化物超伝導薄膜の形成工程を2回
くり返した場合について説明したが、2回以上であって
もい。例えば多層配線を形成する場合は、図2(c)に
おける第4の薄膜3A上にMgO薄膜を形成後、再度第
1,第2の薄膜とMgO薄膜及び第3,第4の薄膜を形
成すればよい。
【0026】前記二つの実施の形態では、銅酸化物超伝
導体としてY系超伝導体を用いたが、例えばYをNdや
Eu等に、あるいはBaをSr等の元素とした他の銅酸
化物超伝導体を用いた場合にも本発明が同様に適用でき
ることは言うまでもない。
導体としてY系超伝導体を用いたが、例えばYをNdや
Eu等に、あるいはBaをSr等の元素とした他の銅酸
化物超伝導体を用いた場合にも本発明が同様に適用でき
ることは言うまでもない。
【0027】
【発明の効果】以上説明したとおり本発明によれば、基
板上に銅酸化物超伝導体の正規組成よりCu組成が少な
い第1の銅酸化物超伝導薄膜を形成した後、この第1の
薄膜上にCu組成が正規組成以上の第2の銅酸化物超伝
導薄膜を形成することにより、良好な超伝導特性を有
し、薄膜表面より突出する析出物を含まない銅酸化物超
伝導薄膜を製造することが可能となる。
板上に銅酸化物超伝導体の正規組成よりCu組成が少な
い第1の銅酸化物超伝導薄膜を形成した後、この第1の
薄膜上にCu組成が正規組成以上の第2の銅酸化物超伝
導薄膜を形成することにより、良好な超伝導特性を有
し、薄膜表面より突出する析出物を含まない銅酸化物超
伝導薄膜を製造することが可能となる。
【0028】また、上記銅酸化物超伝導薄膜の形成工程
を同一基板に対して繰り返し複数回用いて積層構造のも
のを作製することにより、析出物により絶縁膜中でピン
ホールを生じたり、あるいは絶縁膜の薄い部分を形成す
ることがないため、回路の歩留まりの低下や絶縁膜の絶
縁耐力の低下を防止することができる。
を同一基板に対して繰り返し複数回用いて積層構造のも
のを作製することにより、析出物により絶縁膜中でピン
ホールを生じたり、あるいは絶縁膜の薄い部分を形成す
ることがないため、回路の歩留まりの低下や絶縁膜の絶
縁耐力の低下を防止することができる。
【図1】本発明の第1の実施の形態を説明する為の基板
の断面図。
の断面図。
【図2】本発明の第2の実施の形態を説明する為の基板
の断面図。
の断面図。
1 基板 2 第1の薄膜 2A 第3の薄膜 3 第2の薄膜 3A 第4の薄膜 4 MgO薄膜
Claims (2)
- 【請求項1】 基板上に銅酸化物超伝導体の正規組成よ
りCu組成が少ない第1の銅酸化物超伝導薄膜を形成す
る工程と、この第1の銅酸化物超伝導薄膜上にCu組成
が正規組成より多い第2の銅酸化物超伝導薄膜を形成す
る工程とを含むことを特徴とする銅酸化物超伝導薄膜の
製造方法。 - 【請求項2】 第1の銅酸化物超伝導薄膜と第2の銅酸
化物超伝導薄膜の形成工程を複数回繰り返して行う請求
項1記載の銅酸化物超伝導薄膜の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP00938997A JP3202631B2 (ja) | 1997-01-22 | 1997-01-22 | 銅酸化物超伝導薄膜の製造方法 |
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JPH10209514A true JPH10209514A (ja) | 1998-08-07 |
JP3202631B2 JP3202631B2 (ja) | 2001-08-27 |
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JP00938997A Expired - Fee Related JP3202631B2 (ja) | 1997-01-22 | 1997-01-22 | 銅酸化物超伝導薄膜の製造方法 |
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JP (1) | JP3202631B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003124534A (ja) * | 2001-10-12 | 2003-04-25 | Fujitsu Ltd | 高温超伝導体膜及びその形成方法並びに超伝導素子 |
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1997
- 1997-01-22 JP JP00938997A patent/JP3202631B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2003124534A (ja) * | 2001-10-12 | 2003-04-25 | Fujitsu Ltd | 高温超伝導体膜及びその形成方法並びに超伝導素子 |
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