JP2663856B2 - エッジ型ジョセフソン接合を用いる超伝導回路およびその製造方法 - Google Patents
エッジ型ジョセフソン接合を用いる超伝導回路およびその製造方法Info
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Description
高温超伝導エッジ型ジョセフソン接合を含む超伝導回路
とその製造方法に関するものである。
Ba−Cu−O系超伝導体の発見以来、銅酸化物系高温
超伝導体の高いTC をもたらす超伝導機構の解明のため
の基礎研究や電子素子および回路への応用研究が活発に
行われている。Y系超伝導体は約90K、Bi系超伝導
体は80〜110Kという高いTC を持っている。その
ためその使用に際しては、冷媒として77Kの沸点を持
つ安価な液体窒素や、小型で簡便な冷凍機を使用するこ
とが可能である。またその低温の維持のための設備も簡
単なものですむという長所を持っている。このため、従
来の低いTC を持つ物質を用いて実現した超伝導電子素
子および回路を、高温超伝導体を用いて実現すること
は、産業上大きな貢献となる。
薄膜は600〜800℃の高基板温度、約100mTo
rrの高酸素分圧の条件で気相成長させたものである。
この中でも特に特性の良い薄膜は、c軸が基板表面に垂
直なc軸配向薄膜である。これに対し、成長条件によっ
てはaまたはb軸配向薄膜も成長させることが可能であ
るが、c軸配向薄膜に比べて超伝導特性は劣っている。
ている。その超伝導コヒーレンス長はc軸方向に比べa
・b軸方向のほうが長く、高温超伝導体を用いた超伝導
回路においてはa・b軸方向に電流を流すことが好まし
い。超伝導電子回路を構成する重要な要素のひとつであ
るジョセフソン素子についても同じことが言える。この
ため超伝導特性が優れたc軸配向薄膜を用いた場合、膜
厚方向すなわちc軸方向に電流を流す積層型ジョセフソ
ン接合は好ましくない。高温超伝導体を用い、接合特性
が良好で制御性・再現性も優れているジョセフソン接合
としては、超伝導薄膜のエッジ部分にジョセフソン接合
を作製し、電流を薄膜面内すなわちa・b軸方向に流す
エッジ型ジョセフソン接合がふさわしい。
は、図2の断面図に示すように基板1上の下部超伝導薄
膜2および層間絶縁膜3を加工して直線状のエッジを設
け、このエッジ部分で中間層4を介して電気的に接触す
るような上部超伝導薄膜5を設けることによってジョセ
フソン接合を作製する。この際、上部超伝導薄膜の粒界
が形成されないように、下部超伝導薄膜に設けるエッジ
部が基板表面となす角をできるだけ小さくする必要があ
る。このため下部超伝導薄膜のエッジを作製する工程で
は、薄膜の断面方向から見て基板表面からできるだけ小
さな角度でイオンビーム6を照射するのが一般的であ
る。
3の平面図に示すように複数(図では2個)のジョセフ
ソン接合9を含んでいる。ジョセフソン接合をエッジ型
にした場合、これらのジョセフソン接合をすべて同一直
線上に、しかも同じ電流方向を持つように作製しなけれ
ばならず、回路設計上の制約が大きいという問題があ
る。なお図3において、図2と同一の要素には同一の参
照番号を付しており、7は上部超伝導体層用パッド、8
は下部超伝導体層用パッドである。
つの種類のエッジを作製する際は他のエッジ部分が加工
されないような何らかの被覆を施さなければならず、そ
のためエッジ部分が劣化してしまうという問題があっ
た。
し、高温超伝導体のエッジ型ジョセフソン接合を含む超
伝導回路において、ジョセフソン接合の位置・電流方向
などに自由度を持たせることにある。
路の製造方法を提供することにある。
られた第1の超伝導薄膜と、前記第1の超伝導薄膜上に
設けられた第1の非超伝導薄膜と、前記第1の超伝導薄
膜の端部および前記基板上で第1の超伝導薄膜で覆われ
ていない部分に設けられた第2の非超伝導薄膜と、前記
第2の非超伝導薄膜を介して前記第1の超伝導薄膜と電
気的に接続するように設けられた第2の超伝導薄膜とで
構成されたエッジ型ジョセフソン接合を少なくとも2個
用いる超伝導回路において、前記第1の超伝導体の端部
の平面形状が互いに平行でない少なくとも2種類の方向
を持つ折れ線状となっており、電流方向の異なる少なく
とも2種類のジョセフソン接合を含むことを特徴とす
る。
導薄膜の代わりに第1の超伝導薄膜よりも低い超伝導転
移温度を持つ超伝導薄膜を用いることを特徴とする。
たり、エッジ型ジョセフソン接合における第1の超伝導
薄膜の端部を形成する工程において、どの端部とも平行
でない方向からイオンを照射することを特徴とする。
いる超伝導回路において、超伝導体の端部の平面形状が
互いに平行でない少なくとも2種類の方向を持つ折れ線
状となっており、電流方向の異なる少なくとも2種類の
ジョセフソン接合を含むこととしたのは、超伝導回路に
おけるジョセフソン素子の位置・電流方向などの自由度
を増すためである。
て、中間層として非超伝導薄膜の代わりに下部超伝導薄
膜よりも低い超伝導転移温度を持つ超伝導薄膜を用いる
こととしたのは、中間層の常伝導コヒーレンス長がより
長くなり、高温で動作させるのにより有利になるからで
ある。
下部超伝導薄膜のエッジ部を形成する工程において、ど
のエッジ部とも平行でない方向からイオンを照射するこ
ととしたのは、多種類のエッジ部を被覆等の工程なしで
一工程で作製できるからである。
ョセフソン接合を用いた回路の概略平面図である。
板を用いた。基板の大きさは15mm角で厚さは0.5
mmであった。基板上にまず下部YBa2 Cu3 Ox 超
伝導体薄膜11を成長させた。成長手法はパルスレーザ
蒸着法を用いた。レーザはKrFのエキシマレーザで、
レーザ波長は248nm、レーザ出力1000mJ、レ
ーザ周波数は3Hzとした。ターゲットはYBa2 Cu
3 Ox の組成の焼結ターゲットを用いた。成長中の基板
温度は700〜800℃、雰囲気は酸素で酸素分圧は約
200mTorrとした。膜厚は約200nmであっ
た。成長した薄膜はc軸配向薄膜となっており、YBa
2 Cu3 Ox 以外の相はほとんど存在せず表面は平坦で
あった。また超伝導転移温度Tc は約89Kであった。
フィー法とイオンミリング法により加工した。この上に
層間絶縁層12として、LaAlO3 薄膜を約250n
m成長させた。この層間絶縁層12は、ターゲットにL
aAlO3 焼結体を用いたほかは、下部超伝導薄膜成長
と同じ条件で成長させた。ここでフォトリソグラフィ法
とイオンミリング法により下部超伝導体薄膜11および
層間絶縁膜層12を加工し、約90°の角度で交わって
いる折れ線状のエッジ型ジョセフソン接合用のエッジを
作製した。ただし、各エッジの方向は互いに90°にな
っている必要はなく、各エッジの長さも同じである必要
はない。また2種類以上のエッジが存在してもさしつか
えない。
てどのエッジ部とも平行でない方向18から、かつ薄膜
の断面方向から見て基板表面から20〜30°の小さな
角度でArイオンを照射した。この角度は20°より小
さな角度でもさしつかえない。ただしその場合イオンミ
リング速度が遅くなり、ミリング時間が長くなる。この
イオンミリングの際、基板の回転は行わなかった。
2 Cu3 Ox を20〜60nm、続いて上部YBa2 C
u3 Ox 超伝導薄膜14を約200nm成長させた。成
長条件は下部超伝導薄膜11を成長させたときと同じで
あった。この中間層13および上部超伝導体層14を加
工し、中間層13を介して上下の超伝導層が接続したエ
ッジ型ジョセフソン接合15を作製した。この例では、
同一直線をなすエッジ上に1個のジョセフソン接合を作
製しているが、同一直線をなすエッジ上に2個以上のジ
ョセフソン接合を作製してもさしつかえない。最後にパ
ッド部16の層間絶縁層12を除去し、下部超伝導薄膜
11を露出させたうえ、パッド部16,17にAu蒸着
を行った。
ソン接合の特性を評価したところ、いずれも超伝導−常
伝導−超伝導(SNS)型ジョセフソン接合として動作
した。その臨界電流−常伝導抵抗(Ic Rn )積は4.
2Kで約1mV、77kで約0.1mVであった。また
マイクロ波照射によりシャピロステップが理論通りの電
圧に現れ、磁場による臨界電流の周期的な変化も観察さ
れた。
0.5 )Ba2 Cu3 Ox を用いた場合にも得られた。
伝導体を用いた、エッジ型ジョセフソン接合を含む超伝
導回路において、電流方向の異なる少なくとも2種類の
ジョセフソン接合を比較的自由な位置に設ける方法を実
現でき、Y系・Bi系等の高温超伝導体を用いた超伝導
電子素子および回路への応用上効果が大きい。
平面図である。
る。
である。
Claims (3)
- 【請求項1】基板上に設けられた第1の超伝導薄膜と、
前記第1の超伝導薄膜上に設けられた第1の非超伝導薄
膜と、前記第1の超伝導薄膜の端部および前記基板上で
第1の超伝導薄膜で覆われていない部分に設けられた第
2の非超伝導薄膜と、前記第2の非超伝導薄膜を介して
前記第1の超伝導薄膜と電気的に接続するように設けら
れた第2の超伝導薄膜とで構成されたエッジ型ジョセフ
ソン接合を少なくとも2個用いる超伝導回路において、
前記第1の超伝導体の端部の平面形状が互いに平行でな
い少なくとも2種類の方向を持つ折れ線状となってお
り、電流方向の異なる少なくとも2種類のジョセフソン
接合を含むことを特徴とする超伝導回路。 - 【請求項2】前記第2の非超伝導薄膜の代わりに第1の
超伝導薄膜よりも低い超伝導転移温度を持つ超伝導薄膜
を用いることを特徴とする超伝導回路。 - 【請求項3】請求項1または請求項2記載の超伝導回路
を製造するにあたり、エッジ型ジョセフソン接合におけ
る第1の超伝導薄膜の端部を形成する工程において、基
板の法線方向から見てどの端部とも平行でない方向から
イオンを照射することを特徴とする超伝導回路の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5325585A JP2663856B2 (ja) | 1993-12-24 | 1993-12-24 | エッジ型ジョセフソン接合を用いる超伝導回路およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5325585A JP2663856B2 (ja) | 1993-12-24 | 1993-12-24 | エッジ型ジョセフソン接合を用いる超伝導回路およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07183583A JPH07183583A (ja) | 1995-07-21 |
JP2663856B2 true JP2663856B2 (ja) | 1997-10-15 |
Family
ID=18178526
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5325585A Expired - Fee Related JP2663856B2 (ja) | 1993-12-24 | 1993-12-24 | エッジ型ジョセフソン接合を用いる超伝導回路およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2663856B2 (ja) |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5823456A (ja) * | 1981-08-05 | 1983-02-12 | Fujitsu Ltd | 半導体装置の製造方法 |
JPS62128581A (ja) * | 1985-11-29 | 1987-06-10 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | 半導体レ−ザの端面形成方法 |
JPH01117376A (ja) * | 1987-07-17 | 1989-05-10 | Mitsubishi Electric Corp | エッジ接合型単結晶薄膜超伝導体トンネル接合素子およびその製造方法 |
-
1993
- 1993-12-24 JP JP5325585A patent/JP2663856B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH07183583A (ja) | 1995-07-21 |
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