JP2003123957A - 加熱装置および画像形成装置 - Google Patents

加熱装置および画像形成装置

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heating
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電磁誘導加熱方式であって、非通紙部昇温対策
として磁束遮蔽手段を用いた加熱装置について、磁束遮
蔽部材の待機スペース、駆動手段のスペースを削減して
コンパクトな磁束遮蔽機構を構成し、装置の省スペース
化、低コスト化を図りつつ、省電力化・生産性を向上し
た加熱装置を実現する。 【解決手段】加熱部Nにおいて磁束発生手段5の発生す
る磁束の、被加熱材の搬送方向に交差する加熱部長尺方
向に関する密度分布を変化せしめる磁束調整手段を備
え、磁束調整手段は、磁束遮蔽部材3a・3bと、この
磁束遮蔽部材を磁束発生手段の発生する磁束を調整する
位置に移動させる移動手段4・11・20を有し、磁束
発生手段の発生する磁束を調整する位置は、磁束遮蔽部
材が磁束発生手段の励磁コイル5の内側の空間を通る磁
気回路内の磁束を阻害する位置であることを特徴とする
加熱装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁(磁気)誘導
加熱方式の加熱装置、および該加熱装置を画像定着等の
像加熱装置として備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真複写機・プリンタ・ファックス
等の画像形成装置における画像加熱定着装置を例にして
説明する。
【0003】画像形成装置における画像加熱定着装置
は、画像形成装置の作像部において電子写真・静電記録
・磁束記録等の適宜の画像形成プロセス手段により、加
熱溶融性の樹脂等よりなるトナー(顕画剤)を用いて記
録材の面に直接方式若しくは間接(転写)方式で形成し
た未定着のトナー画像を記録材面に永久固着画像として
加熱定着処理する装置である。
【0004】従来、そのような画像加熱定着装置とし
て、熱ローラ方式、フィルム加熱方式、電磁誘導加熱方
式等の各種装置がある。
【0005】a.熱ローラ方式 これは、ハロゲンランプ等の熱源を内蔵させて所定の定
着温度に加熱・温調した定着ローラ(熱ローラ)と加圧
ローラとの回転ローラ対からなり、該ローラ対の圧接ニ
ップ部(定着ニップ部)に被加熱材としての、未定着ト
ナー画像を形成担持させた記録材を導入して挟持搬送さ
せることで未定着のトナー画像を記録材面に加熱定着す
る装置である。
【0006】しかしながら、この装置は定着ローラの熱
容量が大きくて、加熱に要する電力が大きい、ウエイト
タイム(装置電源投入時からプリント出力可能状態にな
るまでの待ち時間)が長い等の問題があった。また、定
着ローラの熱容量が大きいため、限られた電力で定着ニ
ップ部の温度を上昇させるためには大きな電力を必要と
するという問題があった。
【0007】その対策としては、定着ローラの肉厚を薄
くして、定着ローラの熱容量を低減することが行われ
る。しかし、薄す過ぎると強度不足となる。さらに、後
述するフィルム定着と同様に非通紙部昇温の問題が発生
する。
【0008】b.フィルム加熱方式 これは、加熱体と、一方の面がこの加熱体と摺動し他方
の面が記録材と接して移動するフィルムを有し、加熱体
の熱をフィルムを介して記録材に付与して未定着のトナ
ー画像を記録材面に加熱定着処理する装置である(特開
昭63−313182号公報、特開平2−157878
号公報、特開平4−44075〜44083、2049
80〜204984号公報等)。
【0009】このようなフィルム加熱方式の装置は、加
熱体として低熱容量のセラミックヒータ等を、フィルム
として耐熱性で薄い低熱容量のものを用いることができ
て、熱容量が大きい定着ローラを用いる熱ローラ方式の
装置に比べて格段に省電力化・ウエイトタイム短縮化が
可能となり、クイックスタート性があり、また機内昇温
を抑えることができる等の利点がある。
【0010】c.電磁誘導加熱方式 これは加熱体として電磁誘導発熱体を用い、該電磁誘導
発熱体に磁場発生手段で磁場を作用させて該電磁誘導発
熱体に発生する渦電流に基づくジュール発熱で被加熱材
としての記録材に熱を付与して未定着のトナー画像を記
録材面に加熱定着処理する装置である。
【0011】特公平5−9027号公報には強磁性体の
定着ローラを電磁誘導加熱する熱ローラ方式の装置が開
示されており、発熱位置を定着ニップ部に近くすること
ができ、ハロゲンランプを熱源として用いた熱ローラ方
式の装置よりも高効率の定着プロセスを達成している。
【0012】しかしながら、定着ローラの熱容量が大き
いため、限られた電力で定着ニップ部の温度を上昇させ
るためには大きな電力を必要とするという問題があっ
た。定着ローラの熱容量を低減することが、この問題の
一つの解決方法である。たとえば、定着ローラの肉厚を
薄くすることである。
【0013】特開平4−166966号公報には熱容量
を低減したフィルム状の定着ローラ(フィルム)を用い
た電磁誘導加熱方式の定着装置が開示されている。
【0014】しかしながら、熱容量を低減したフィルム
状の定着ローラ(フィルム)では、長尺方向(定着ニッ
プ部長手方向)の熱流が阻害されるため、小サイズ記録
材を通紙した場合に非通紙部での過昇温(非通紙部昇
温)が発生して、フィルムや加圧ローラの寿命を低下さ
せるという問題が発生していた。この非通紙部昇温の問
題は前記b項のフィルム加熱方式の装置の場合も同様で
ある。
【0015】特開平9−171889号公報・特開平1
0―74009号公報に、定着ローラ(フィルム)の長
手方向に関する磁束発生手段から誘導発熱体に対する作
用磁束の密度分布を変化せしめる磁束調整手段を有する
ことを特徴とする加熱装置が開示されている。この電磁
誘導加熱方式の定着装置により、非通紙部昇温を解決す
る一つの方法が示された。
【0016】特開平9−171889号公報・特開平1
0―74009号公報はフィルム状の誘導発熱体を加熱
させた構成を実施例としているが、円筒状の誘導発熱体
を定着ローラにした構成に対しても非通紙部昇温の問題
の対策として効果があると考えられる。
【0017】その他の非通紙部昇温を解決する方法とし
ては、小サイズ記録材を通紙したときに定着スピードを
遅くする方法もある(スループットダウン)。定着スピ
ードを遅くすることで、定着ローラの端部方向(非通紙
部)への熱移動時間を設けている。しかし、この方法で
は画像形成装置の生産性を低下することになっている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のうち特
にc項の電磁誘導加熱方式であって、非通紙部昇温対策
として磁束遮蔽手段を用いた加熱装置についての更なる
改善に係り、磁束遮蔽部材の待機スペース、駆動手段の
スペースを削減してコンパクトな磁束遮蔽機構を構成し
て装置の省スペース化(コンパクト化)、低コスト化を
図りつつ、省電力化・生産性を向上した加熱装置を実現
するものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の構成を特
徴とする加熱装置および画像形成装置である。
【0020】(1)励磁コイルを有する磁束発生手段
と、磁束発生手段の発生磁束の作用により電磁誘導発熱
する誘導発熱体を有し、加熱部に被記録材を導入搬送さ
せて誘導発熱体の熱により加熱する加熱装置において、
加熱部において磁束発生手段の発生する磁束の、被加熱
材の搬送方向に交差する加熱部長尺方向に関する密度分
布を変化せしめる磁束調整手段を備え、磁束調整手段
は、磁束遮蔽(阻害)部材と、この磁束遮蔽部材を磁束
発生手段の発生する磁束を調整する位置に移動させる移
動手段を有し、磁束発生手段の発生する磁束を調整する
位置は、磁束遮蔽部材が磁束発生手段の励磁コイルの内
側(励磁コイルが誘導発熱体と対向する側と反対の側)
の空間を通る磁気回路内の磁束を阻害する位置であるこ
とを特徴とする加熱装置。
【0021】(2)磁束遮蔽部材移動手段は、磁束遮蔽
部材を被加熱材の搬送方向に交差する加熱部長尺方向
(スラスト方向)にスラストさせる移動手段であり、磁
束遮蔽部材の移動をガイドし、かつ、磁束遮蔽部材に駆
動を伝達する長尺方向に伸びたガイド兼駆動伝達部材で
あることを特徴とする(1)に記載の加熱装置。
【0022】(3)磁束遮蔽部材のガイド兼駆動伝達部
材として、リードねじ、あるいは、円筒カムを用いてい
ることを特徴とする(2)に記載の加熱装置。
【0023】(4)被加熱材が誘導発熱体の長手方向の
中央を基準にして搬送される場合において、磁束遮蔽部
材は誘導発熱体の長尺方向の両側にそれぞれ設けられ、
被加熱材の搬送方向に交差する加熱部長尺方向にスラス
ト移動する磁束遮蔽部材移動手段はリードねじあるいは
円筒カムであり、該リードねじあるいは円筒カムは上記
それぞれの磁束遮蔽部材に対応して設けられ、該リード
ねじあるいは円筒カムの回転によって磁束遮蔽部材がそ
れぞれ逆のスラスト方向に移動するように、それぞれの
磁束遮蔽部材に対応したリードねじ部あるいは円筒カム
のカム溝部は逆方向にスラスト移動する逆ねじ逆のカム
溝の関係の形状であることを特徴とする(1)に記載の
加熱装置。
【0024】(5)励磁コイルの形状は、被加熱材の搬
送方向に交差する加熱部長尺方向に長手半径を持つ略楕
円形状、かつ、断面形状は略半円形状(円弧形状)であ
り、長手方向の端部のUターン部も同様に略半円形状の
形状であることを特徴とする(1)から(4)の何れか
1つに記載の加熱装置。
【0025】(6)磁束発生手段に、少なくとも1つの
磁性体コアを設け、磁性体コアは、誘導発熱体と励磁コ
イルのギャップと略同じギャップで誘導発熱体に対向す
るように配置し、磁性体コアの誘導発熱体に対向しない
反対側の磁気回路上をスラスト方向から移動する磁束遮
蔽部材により磁束の流れを遮蔽することを特徴とする
(1)から(5)の何れか1つに記載の加熱装置。
【0026】(7)長尺方向に伸びたガイド兼駆動伝達
部材に磁性体コアを設けていることを特徴とする(1)
から(6)の何れか1つに記載の加熱装置。
【0027】(8)磁束発生手段に、少なくとも1つの
磁性体コアを設け、磁性体コアは、誘導発熱体と励磁コ
イルのギャップと略同じギャップで誘導発熱体に対向す
るように配置し、磁性体コアの誘導発熱体に対向しない
反対側に長尺方向に伸びたガイド兼駆動伝達部材に磁性
体コアを設け、上記磁性体コアの間には、スラスト方向
から移動する磁束遮蔽部材が進入する隙間を有し、磁気
回路上をスラスト方向から移動する磁束遮蔽部材により
磁束の流れを遮蔽することを特徴とする(1)から
(5)の何れか1つに記載の加熱装置。
【0028】(9)誘導発熱体が断面略円形のとき、磁
束発生手段、磁束調整手段が略円筒形状の誘導発熱体の
内部にあることを特徴とする(1)から(8)の何れか
1つに記載の加熱装置。
【0029】(10)磁束遮蔽部材は、非磁性かつ良電
気導電性の物質であることを特徴とする(1)から
(9)の何れか1つに記載の加熱装置。
【0030】(11)磁束遮蔽部材は、アルミニウム、
銅、マグシウム、銀などの合金であることを特徴とする
(10)に記載の加熱装置。
【0031】(12)長尺方向に伸びたガイド兼駆動伝
達部材は、両端部を励磁コイルを保持する部材に支持さ
れ、磁束発生手段である励磁コイル、磁性体コアと一体
に組み立てられたアセンブリ(ユニット)構成にしたこ
とを特徴とする(2)から(11)の何れか1つに記載
の加熱装置。
【0032】(13)長尺方向に伸びたガイド兼駆動伝
達部材は、両端部を励磁コイルを保持する部材に支持さ
れ、磁束発生手段である励磁コイル、磁性体コアと一体
に組み立てられたアセンブリ構成にし、一つの誘導発熱
体に対して少なくても一つのアセンブリを設けたことを
特徴とする(2)から(11)の何れか1つに記載の加
熱装置。
【0033】(14)被加熱材が画像を担持した記録材
であることを特徴とする(1)から(13)の何れかに
記載の加熱装置。
【0034】(15)記録材に対して画像を形成する作
像手段と、記録材上の画像を加熱する像加熱手段を有す
る画像形成装置において、像加熱手段が(1)から(1
4)の何れかに記載の加熱装置であることを特徴とする
画像形成装置。
【0035】
【発明の実施の形態】[第一の実施例] (1)画像形成装置例 図1は本実施例における画像形成装置100の構成略図
である。本実施例の画像形成装置100は転写式電子写
真プロセスを用いたレーザー複写機である。
【0036】101は原稿台ガラスであり、この原稿台
ガラス101の上に原稿Oを画像面を下向きにして所定
の載置基準に従って載置し、その上から原稿圧着板10
2を被せてセットする。コピースタートキーが押される
と、移動光学系を含む画像光電読取装置(リーダ部)1
03が動作して原稿台ガラス101上の原稿Oの下向き
画像面の画像情報が光電読取処理される。原稿台ガラス
101上に原稿自動送り装置(ADF、RDF)を搭載
して原稿を原稿台ガラス101上に自動送りさせること
もできる。
【0037】104は回転ドラム型の電子写真感光体
(以下、感光ドラム)であり、矢印の時計方向に所定の
周速度にて回転駆動される。感光ドラム104はその回
転過程で、帯電装置105により所定の極性・電位の一
様な帯電処理を受け、その一様帯電面に対して画像書き
込み装置106による像露光Lを受けることで一様帯電
面の露光明部の電位が減衰して感光ドラム104面に露
光パターンに対応した静電潜像が形成される。画像書き
込み装置106は本例の場合はレーザースキャナであ
り、不図示のコントローラからの指令により、上記の光
電読取装置103で光電読取した原稿画像情報の時系列
電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザー光
Lを出力し、回転する感光ドラム104の一様帯電面を
走査露光して原稿画像情報に対応した静電潜像を形成す
る。
【0038】次いで、その静電潜像が現像装置107に
よりトナー画像として現像され、転写帯電装置108の
位置において、給紙機構部側から感光ドラム104と転
写帯電装置108との対向部である転写部に所定の制御
タイミングにて給送された記録材Sに感光ドラム104
面側から静電転写される。
【0039】給紙機構部は、本例の画像形成装置の場合
は、第一〜第四のカセット給紙部109〜112、MP
トレー(マルチ・パーパス・トレー)113、及び反転
再給紙部114からなり、それ等から記録材Sが転写部
に選択的に給送される。115は転写部に対して記録材
をタイミング給送するレジストローラである。
【0040】転写部で感光ドラム104面側からトナー
画像の転写を受けた記録材は、感光ドラム104面から
分離され、定着装置116へ搬送されて未定着トナー画
像の定着処理を受け、排紙ローラ117により装置外部
の排紙トレー118上に排紙される。
【0041】一方、記録材分離後の感光ドラム104面
はクリーニング装置119により転写残りトナー等の付
着汚染物の除去を受けて清掃されて繰り返して作像に供
される。
【0042】両面コピーモードの場合は、定着装置11
6を出た第一面コピー済みの記録材が反転再給紙部11
4に導入されて転写部に反転再給送されることで記録材
の第二面に対するトナー画像の転写がなされ、再び定着
装置116を通って両面コピーとして排紙ローラ117
により装置外部の排紙トレー118上に排紙される。
【0043】なお、本実施例の複写機は、プリンタ機
能、ファクシミリ機能も有する複合機能機であるが、本
発明の要点外であるのでその説明は省略する。
【0044】(2)定着装置116 図2は定着装置116の縦断面模型図(装置長手方
向)、図3は横断面模型図(装置短手方向)である。こ
の定着装置116は本発明に従う、電磁誘導加熱方式で
あって、磁束遮蔽手段を用いた磁束調整タイプの加熱装
置である。
【0045】7は電磁誘導発熱する誘導発熱体としての
円筒状の定着ローラであり、装置側板25a・25b間
に軸受(ベアリング)21a・21bを介して回転自在
に保持させてある。定着ローラ7は、鉄、ニッケル、コ
バルトなどの金属を用いることが良い。強磁性の金属
(透磁率の大きい金属)を使うことで、磁束発生手段か
ら発生する磁束を強磁性の金属内により多く拘束させる
ことができる。すなわち、磁束密度を高くすることがで
きる。それにより、効率的に強磁性金属の表面にうず電
流を発生させ、発熱させられる。定着ローラ7の肉厚
は、略0.3〜2mm程度にすることで熱容量を低減し
ている。定着ローラ7の外側表面には不図示のトナー離
型層がある。一般にはPTFE10〜50μmやPFA
10〜50μmで構成されている。また、トナー離型層
の内側にはゴム層を用いる構成にしても良い。
【0046】1は定着ローラ7内に配設した磁束調整型
の加熱アセンブリであり、磁束発生手段5・6(a〜
c)と、磁束調整手段3(a・b)・4等からなる。こ
の加熱アセンブリ1の構成は次の(3)項で詳述する。
【0047】8は定着ローラ7の下側に定着ローラに並
行に配列した弾性加圧ローラであり、軸受31a・31
b間に回転自在に保持させて、かつ定着ローラ7の下面
に対して不図示の付勢手段により弾性に抗して所定の押
圧力にて圧接させて所定幅の加熱部としての定着ニップ
部Nを形成させている。加圧ローラ8は鉄製の芯金の外
周に、シリコーンゴム層と、定着ローラ7と同様にトナ
ー離型層を設けた構成である。
【0048】定着ローラ7はその一端部側に固着させた
定着ローラギア18に不図示の駆動系から回転力が伝達
されることで、図3において矢印の時計方向Aに所定の
周速度にて回転駆動される。加圧ローラ8はこの定着ロ
ーラ7の回転駆動に従動して矢印の反時計方向Bに回転
する。
【0049】定着ローラ7内に配設した加熱アセンブリ
1の励磁コイル5に電力制御装置(励磁回路)25から
コイル供給線15を介して電力(高周波電流)が供給さ
れ、これにより加熱アセンブリ1から発生する磁束(交
番磁界)の作用で誘導発熱体としての定着ローラ7が誘
導発熱(うず電流損によるジュール熱)する。この定着
ローラ7の温度が第一の温度検知手段(サーミスタ等)
32で検出され、その検出温度信号が制御回路34に入
力する。制御回路34はこの第二の温度検知手段32か
ら入力する定着ローラ7の検出温度が所定の定着温度に
維持されるように電力制御装置25から加熱アセンブリ
1の励磁コイル5への供給電力を制御して定着ローラ温
度を温調する。
【0050】上記のように定着ローラ7・加圧ローラ8
が回転駆動され、定着ローラ7が加熱アセンブリ1の励
磁コイル5への電力供給により誘導発熱して所定の定着
温度に温調された状態において、画像形成装置の前記転
写部において静電的に転写された未定着トナー画像を担
持した記録材Sが図3のように用紙搬送路Hを矢印C方
向から定着装置116の定着ニップ部Nに導入されて挟
持搬送されていく。この挟持搬送過程で記録材S面の未
定着トナー画像が定着ローラ7の熱とニップ圧で永久固
着画像として記録材S面に定着される。30は分離爪で
あり、定着ニップ部Nに導入されて定着ニップ部Nを出
た記録材が定着ローラ7に巻き付くのを抑え、定着ロー
ラ7から分離させる役目をする。
【0051】定着装置116に対する記録材Sの通紙は
本実施例では中央基準搬送でなされる。図2において、
W1は定着装置116に対する記録材Sの最大サイズ紙
幅、W2は小サイズ紙幅、W3・W3は小サイズ紙幅W
2の記録材Sを通紙したときに定着ニップ部Nに生じる
非通紙部であり、最大サイズ紙幅W1と小サイズ紙幅W
2との差領域である。
【0052】本実施例の定着装置116においては、最
大サイズ紙幅W1はA4幅(297mm)、小サイズ紙
幅W2はA4R(210mm)である。本実施例の装置
において最大サイズ紙幅W1が通常紙サイズ幅であり、
以下、W1を通常紙サイズ幅と記す。
【0053】(3)加熱アセンブリ1 加熱アセンブリ1は、ホルダー2に、磁束発生手段を構
成する励磁コイル5と磁性体コア6(a・b・c)と、
磁束調整手段を構成する磁束遮蔽部材3(a・b)とこ
れを移動させる移動手段としてのリードねじ部材4等を
組み込んだものである。
【0054】ホルダー2は横断面略半円樋型で、このホ
ルダー2の内面の略中央部にホルダー長手に長手に沿っ
て第一磁性体コア6a(以下、第一コア6aと略記す
る)を配設して保持させてある。この第一コア6aの長
さ寸法は通常紙サイズ幅W1と略同じで、通常紙サイズ
幅部に対応位置している。
【0055】励磁コイル5(以下、コイル5と略記す
る)もホルダー2の内面に第一コア6aを巻き中心部に
して配設して保持させてある。コイル5は、定着ローラ
7の長手方向には略楕円形状で、定着ローラ7のような
円筒物の内面に沿うような形状である。このコイル5の
特徴はUターン部においても定着ローラ7の内面に沿う
ような形状である。これにより、後述するリードねじ部
材4をコイル5に近接して配置できる。また、コイル5
はホルダー2の内周面に沿うように配置されている。
【0056】19は横断面略半円樋型のホルダーフタで
あり、上記のように内側に第一コア6aとコイル5を配
設したホルダー2に嵌着され、ホルダー2とホルダーフ
タ19の間に第一コア6aとコイル5が抑え込まれて保
持される。
【0057】このホルダーフタ19の長手両側部には2
つの第二磁性コア6b・6b(以下、第二コア6bと略
記する)を配置して保持させてある。この第二コア6b
の長さ寸法は通常紙サイズ幅W1と略同じで、通常紙サ
イズ幅部に対応位置している。
【0058】リードねじ部材4は、ホルダーフタ19に
並行に配列し、かつホルダーフタ中央部の横断面略半円
樋型内に、軸線をこの略半円樋型の軸線にほぼ一致させ
て嵌入させ、一方側と他方側の軸端部4c・4dを夫々
ホルダー2の両端部の軸受部2a・2bに回転自由に支
持させて配設してある。上記軸受部2a・2bは耐久性
のある軸受け部材を別に設けても良い。
【0059】上記のリードねじ部材4の一方端側と他方
端側の軸部は互いに反対ねじ部4a・4bとしてある。
またこのリードねじ部材4の上記一方端側と他方端側の
ねじ部4a・4b間のリードねじ部材中央部分には第三
磁性体コア6c(以下、第三コア6cと略記する)を設
けてある。この第三コア6cの長さ寸法は通常紙サイズ
幅W1と略同じで、通常紙サイズ幅部に対応位置してい
る。この第三コア6cはリードねじ部材4に設けたコア
セット部で接着、パッチン止めなどによりリードねじ部
材4に一体化されている。また、樹脂成形で一体成形し
てもよい。本発明はリードねじ部材とコアの接合を規定
するものではない。
【0060】磁束発生手段を構成するの磁性体コア6は
上記のように互いに並行の、第一コア6a、2つの第二
コア6b・6b、第三コア6cとに分割してあり、この
ように分割されたコア6a・6b・6cを用いて磁束の
通路(磁気回路)を形成し、それぞれのコアの間を磁束
遮蔽部材3a・3bの移動が可能なように配置してい
る。
【0061】本実施例では、図3の横断面において、コ
イル5の巻き中心部に第一コア6aで垂直部を形成し、
2つの第二コア6b・6bで水平部を形成し、さらに第
三コア6cは略T字型の中央部を形成し、これら第一か
ら第三の3種のコア6a、6b、6cにより、横断面略
T字型のコア6が形成され、磁束遮蔽部材3a・3bが
介入しない状態においては図5の(a)のように磁気回
路Jaができるのである。磁力線Jaはコイル5に電力
制御装置25から電力を入力したときの、発生した磁力
線の磁気回路を示したものである。磁力線Jaは、第一
コア6a(垂直部)、定着ローラ7、第二コア6b(水
平部)、第三コア6c(中央部)を通過する。実際には
磁力線は透磁率の高い定着ローラ7の内部を通るが、説
明をわかりやすくするために図のように示した。
【0062】本実施例における第三コア6cは、リード
ねじ部材4の回転の影響が少ないように正方形の断面形
状をしたコアである。また、リードねじ部材4の回転に
より、断面の位置が多少斜めになる位置で回転が止まっ
ても、定着ローラ7の長手方向の発熱分布としては、定
着ローラ表面温度の分布は変わらない(全体としての発
熱効率は変わる)。本実施例では正方形の断面形状にし
ている。要するに、対象形状である。また、円柱形のコ
アであればリードねじ部材4の回転による影響を無くす
ことができる。
【0063】本実施例においては、図2のように、第一
コア6aの端部が中央部と比べて大きいが、これは定着
ローラ7の端部から逃げる熱を補うための形状である。
【0064】リードねじ部材4の一方端側と他方端側の
ねじ部4a・4bにはそれぞれ円筒形状の磁束遮蔽部材
3a・3bを外嵌させ、ボス部3fをねじ部4a・4b
に係合させている。また磁束遮蔽部材3a・3bは不図
示の回転阻止部材で回転止めされている。図4は磁束遮
蔽部材3(a・b)部分の斜視模型図である。リードね
じ部材4が正転駆動aされることで上記2つの磁束遮蔽
部材3a・3bは夫々リードねじ部材4に沿って第三コ
ア6c側に寄っていく方向にスラスト前進移動cされ、
リードねじ部材4が逆転駆動bされることで上記2つの
磁束遮蔽部材3a・3bは夫々リードねじ部材4に沿っ
て第三コア6cから離れていく方向にスラスト後退移動
dされる。
【0065】上記の、ホルダー2、コイル5、第一コア
6a、ホルダーフタ19、第二コア6b・6b、第三コ
ア6c、リードねじ部材4、磁束遮蔽部材3a・3bの
組み立て体である加熱アセンブリ1は、定着ローラ7内
に挿入され、ホルダー2の両端部の係止部2c・2dを
夫々装置本体側の支持側板13・14にそれぞれ位置決
めして不動に固定支持させて配設してある。
【0066】加熱アセンブリ1は定着ローラ7の内面と
は非接触であり、また図3の横断面において第一コア6
aが定着ニップ部Nよりも定着ローラ7の回転方向上流
側において斜め下向きで位置する角度姿勢にて定着ロー
ラ7内に配設してある。
【0067】また、リードねじ部材4の一方側の軸部4
cは延長して外部に突出させ、その突出軸部4eをD字
型形状にし、ギア11を固着し、このギア11と駆動モ
ータ20のドライブギア20aとを噛合させてある。
【0068】制御回路34はドライバ35を介して駆動
モータ20を制御してギア20a・11を介して加熱ア
センブリ1のリードねじ部材4を正転駆動aまたは逆転
駆動bすることで、磁束遮蔽部材3a・3bの移動位置
を後述するように第一と第二の移動位置に切り替え制御
する。
【0069】また、加熱アセンブリ1のコイル5と電力
制御装置25はコイル供給線15を介して電気的に導通
させてある。
【0070】.磁束遮蔽部材3a・3bの第一移動位
置 リードねじ部材4が逆転駆動b(図4)されることで上
記2つの磁束遮蔽部材3a・3bが夫々リードねじ部材
4に沿って第三コア6cから離れていく方向にスラスト
後退移動dされて、図2のように、第三コア6cの両端
部から外側の所定位置に後退した位置が磁束遮蔽部材3
a・3bの第一移動位置である。
【0071】制御回路34は通常は磁束遮蔽部材3a・
3bをこの第一移動位置に移動待機させており、非通紙
部昇温の起こらない通常紙サイズ幅W1の記録材S(A
4)が通紙使用されるときは磁束遮蔽部材3a・3bを
そのまま第一移動位置に待機させた状態に保持する。
【0072】磁束遮蔽部材3a・3bが第一移動位置状
態にあるときは、通常紙サイズ幅W1域の磁気回路内の
磁束は磁束遮蔽部材3a・3bで遮蔽されないので、通
常紙サイズ幅W1の全域各部の磁気回路は図5の(a)
のような磁気回路Jaができる。
【0073】これにより、通常紙サイズ幅W1の端部の
発熱分布が図7の(2)のようになり、定着ローラ7の
長手方向に沿う発熱分布は端部が高くなる。図7の
(3)は、そのときの、定着ローラ表面温度で、端部ダ
レとの相殺で長手方向で均一化されて、通常紙サイズ幅
W1の全域幅で定着が可能である。
【0074】.磁束遮蔽部材3a・3bの第二移動位
置 リードねじ部材4が正転駆動aされることで上記2つの
磁束遮蔽部材3a・3bは夫々リードねじ部材4に沿っ
て第三コア6c側に寄っていく方向にスラスト前進移動
cされ、図6のように、第三コア6cの両端部側の非通
紙部W3・W3に対応する部分まで前進移動した位置が
磁束遮蔽部材3a・3bの第二移動位置である。
【0075】制御回路34は非通紙部昇温の起こる小サ
イズ紙幅W2の記録材S(A4R)が通紙使用されると
きは磁束遮蔽部材3a・3bをこの第二移動位置に前進
移動させた状態に切り替え制御する。
【0076】これにより、磁束遮蔽部材3a・3bが介
入していない小サイズ紙幅W2域の磁気回路内の磁束は
磁束遮蔽部材3a・3bで遮蔽されないので、この小サ
イズ紙幅W2域での磁気回路は図5の(a)のような磁
気回路Jaである。しかし、磁束遮蔽部材3a・3bが
介入した非通紙部W3・W3域での磁気回路は、非通紙
部W3・W3域に対応する第三コア6c部分が磁束遮蔽
部材3a・3bで覆われることで非通紙部W3・W3域
に対応する第三コア6c部分内部の磁束の流れが遮蔽さ
れ、イメージ的には図5の(b)のような磁気回路Jb
になる。即ち磁束遮蔽部材3a・3bが非通紙部W3・
W3域の磁束の流れを阻害する。これにより、図8のよ
うに、小サイズ紙幅W2の全域幅で定着が可能であり、
かつ定着ニップ部Nの非通紙部W3・W3域では電磁誘
導による発熱が減少し、非通紙部昇温を抑えることがで
きる。
【0077】以上のように、磁束調整手段は、非通紙部
昇温の起こる小サイズ紙幅W2の記録材S(A4R)が
通紙使用されるときは磁束遮蔽部材3a・3bをスラス
ト移動して、第三コア6cと第一コア6a、第二コア6
b間に磁束遮蔽部材3a・3b・を置くことで、コア間
を行き来する磁束の通路を変化させて、定着ローラ長手
方向の電磁誘導の発熱を制御するのである。
【0078】コイル5と誘導発熱体である定着ローラ7
のギャップは近いほど発熱効率が良いことが分かってい
る。本発明は従来に比べて、コイル5と定着ローラ7の
ギャップに磁束遮蔽部材を設けないので、発熱効率を従
来より良くできるのである。
【0079】リードねじ部材4の正逆回転制御による磁
束遮蔽部材3a・3bの第一と第二の位置切り替えは、
通紙使用される記録材のサイズが、形成される画像によ
って制御回路34で自動的に決められることで、もしく
はユーザーが用紙サイズを指定して、決定された用紙サ
イズのセットされている給紙カセットから給紙されるる
ことで、それに基づいて制御回路34によりなされる。
そのとき、給紙される記録材が非通紙部昇温の発生する
用紙サイズの場合に、磁束遮蔽部材3a・3bを第二移
動位置に移動させて定着ローラ7の非通紙部昇温を防止
するのである。
【0080】さらに、定着ローラの表面温度の検知手段
を長手方向に複数設けた画像形成装置では、非通紙部の
温度を検知して、磁束遮蔽部材3a・3bを所要に作動
させることもできる。具体的には、図2・図6のよう
に、定着ローラ7の表面温度検知手段として第一の温度
検知手段32の他に非通紙部対応位置に第二の温度検知
手段33を設け、非通紙部の温度検知によって、磁束遮
蔽部材3a・3bを第二位置に移動制御させても良い。
第一の温度検知手段32は小サイズ紙幅対応位置に配設
してある。
【0081】本発明は、磁束遮蔽部材3a・3bの作動
シーケンスを限定するものではない。
【0082】また、通紙使用される記録材Sの通紙幅サ
イズが通常紙サイズ幅W1(A4)よりも小さく、小サ
イズ紙幅W2(A4R)よりも大きいサイズ(例えば、
B4=257mm)などのときは、磁束遮蔽部材3a・
3bをその通紙幅サイズにあわせて無段階移動制御する
こともできる。本発明は、磁束調整手段の作動シーケン
スを限定するものではない。
【0083】磁束遮蔽部材3a・3bは非磁性かつ良電
気導電性の部材で構成されている。非磁性部材にするこ
とで磁束を遮断する効果がある。良電気導電性部材にす
ることで磁束遮蔽部材自身の電磁誘導の発熱を抑える効
果がある。本実施例では、アルミニウム合金を用いた
が、銅・マグネシウム・銀などの合金でもよい。
【0084】磁束遮蔽部材3a・3bの厚さは、略0.
3〜1.0mm程度でよい。薄すぎると、磁束遮蔽部材
自身が電磁誘導発熱する。また、強度不足にもなる。逆
に厚すぎると、磁束遮蔽部材の熱容量が増加して定着ロ
ーラを温めるとき逆に熱を奪ってしまい、ウエイトタイ
ムの増加につながる。
【0085】リードねじ部材4、ホルダー2の材質は、
耐熱性と機械的強度を兼ね備えた、PPS系樹脂、PE
EK系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ
アミドイミド系樹脂、セラミック、液晶ポリマー、フッ
素系樹脂などの物質が適している。さらに、それら樹脂
にガラスを添加したものを用いる。磁束発生手段の内部
のリードねじ部材、ホルダーが磁性材料であると、電磁
誘導によりリードねじ部材、ホルダーが発熱して定着ロ
ーラの発熱効率が落ちてしまう。樹脂以外の金属を用い
る場合は、非磁性、良電気伝導性の材料を選択すると発
熱効率の低下が押えられる。
【0086】コイル5としては加熱に十分な交番磁束を
発生するものでなければならないが、そのためには抵抗
成分を低く、インダクタンス成分を高くとる必要があ
る。コイルの芯線としては、φ0.1〜0.3の細線を
略80〜160本程度に束ねたリッツ線を用いている。
細線には絶縁被覆電線を用いている。第一コア6aを周
回するように8〜12回巻回してコイル5を構成したも
のが使われる。コイル5には励磁回路が接続されており
交番電流をコイル5へ供給できるようになっている。
【0087】コア6(a〜c)にはフェライト、パーマ
ロイなどの高透磁率で残留磁束密度の低いものを用いる
と良いが、磁束を発生できるものであれば良く特に規定
するものではない。
【0088】本発明は、磁束発生手段のコイル・コア・
誘導発熱体としての定着ローラの形状・材質を限定する
ものではない。
【0089】以下の第二、第三、第四の実施例は、第一
の実施例の定着装置のリードねじ部材4に設けられてい
る第三コア6cのバリエーション例を示したものであ
る。
【0090】磁束発生手段はコアの形状、配置を変える
ことで、発熱効率を制御することができる。本発明を用
いることで、コア形状、配置の設計の自由度が広がり、
本体の多くの仕様に対応した定着装置を作ることが可能
になる。
【0091】[第二の実施例]この第二の実施例におい
ては、図9のように、第三コア6cが横断面十字形状で
ある。十字コアにすることで、第一コア6a、第二コア
6b間の距離を短くできるので、発熱効率が良い。横断
面T字型の第三コア6cでも同程度の発熱効率は得られ
るが、十字型にすることで、リードねじ部材4の回転に
よる影響を少なくできる。リードねじ部材4の回転角度
が90度ごとに同一断面のコア形状になるからである。
【0092】[第三の実施例]この第三実施例において
は、第三コア6cが図10のようにI字型である。また
第二コア6b・6bは無しとしてある。発熱効率的には
前記実施例に劣るが、コア部材、ホルダー2、ホルダー
フタ19の簡略化による低コスト化が可能である。
【0093】第一、第二、第三の実施例のリードねじ部
材4の回転数の制御、リードねじ部4a・4bのピッチ
を変更することで、非通紙部昇温の無いとき(待機時)
と同じコア断面にすることが、磁束遮蔽部材3a・3b
が移動しているときにできる。例えば、第三の実施例の
ときには、リードねじ部材4の回転を角度90度ごとに
制御することで、スラスト移動量は制限されるが、断面
コア形状を待機時と同じにできる。また、リードねじ部
4a・4bのピッチを良く使う紙サイズなどに設定する
こともできる。
【0094】[第四の実施例]この第四実施例は、図1
1・図12のように、リードねじ部材4に第三コア6c
を設けない構成である。従って磁束発生手段の磁性体コ
ア6は、図12のように、第一コア6aと第二コア6b
・6bで構成される .非通紙部昇温の起こらない通常紙サイズ幅W1の記
録材S(A4)が通紙使用されるときは磁束遮蔽部材3
a・3bを図11において実線示の第一移動位置に待機
させた状態に保持する。
【0095】磁束遮蔽部材3a・3bが第一移動位置状
態にあるときは、通常紙サイズ幅W1域の磁気回路内の
磁束は磁束遮蔽部材3a・3bで遮蔽されないので、通
常紙サイズ幅W1の全域各部の磁気回路は図12の
(a)のような磁気回路Jaができる。これにより、通
常紙サイズ幅W1の端部の発熱分布が図7の(2)のよ
うになり、定着ローラ7の長手方向に沿う発熱分布は端
部が高くなる。図7の(3)は、そのときの、定着ロー
ラ表面温度で、長手方向で均一化されて、通常紙サイズ
幅W1の全域幅で定着が可能である。
【0096】.非通紙部昇温の起こる小サイズ紙幅W
2の記録材S(A4R)が通紙使用されるときは磁束遮
蔽部材3a・3bを図11において2点鎖線示の第二移
動位置に前進移動させた状態に切り替え制御する。
【0097】これにより、磁束遮蔽部材3a・3bが介
入していない小サイズ紙幅W2域の磁気回路内の磁束は
磁束遮蔽部材3a・3bで遮蔽されないので、この小サ
イズ紙幅W2域での磁気回路は図12の(a)のような
磁気回路Jaである。
【0098】しかし、磁束遮蔽部材3a・3bが介入し
た非通紙部W3・W3域での磁気回路は、非通紙部W3
・W3域に対応する第一コア6a部分と第二コア6b部
分間の磁束の流れが遮蔽されることで、イメージ的には
図12の(b)のような磁気回路Jbになる。即ち磁束
遮蔽部材3a・3bが非通紙部W3・W3域の磁束の流
れを阻害する。これにより、図8のように、小サイズ紙
幅W2の全域幅で定着が可能であり、かつ定着ニップ部
Nの非通紙部W3・W3域では電磁誘導による発熱が減
少し、非通紙部昇温を抑えることができる。
【0099】このように本実施例でも上記実施例と同様
に、磁束遮蔽部材3a・3bをスラスト移動すること
で、第一コア6aと第二コア6b間の磁束の流れ阻害
し、長手方向での発熱効率を変えることで定着ローラ表
面の温度の長手分布を変えることができる。
【0100】また本実施例では、図11のようにリード
ねじ部材4のねじ部4a、4bを定着ローラ中央部まで
形成することができるので、紙サイズの対応幅を大きく
することができる。
【0101】また、コアを1つも設けない磁束発生手段
(空芯コイル)においても、磁束遮蔽部材3a・3bを
移動してコイル5の内側に置くことで、上記実施例と同
様に発熱効率を長手方向で変化させることができる。
【0102】要するに、コイル5の内側の磁束の流れを
長手方向で変化させることで、定着ローラの長手方向の
発熱分布を変えることができるのである。
【0103】[第五の実施例]本実施例は、図13・図
14のように、リードねじ部材4の径を大きくして、リ
ードねじ部材4の内部に第三コア6cを設けた実施例で
ある。
【0104】これにより、第一の実施例のような円筒形
状の磁束遮蔽部材3a・3bを専用に設ける必要がな
く、図13、図14のように、リードねじ部材4のねじ
部4a・4bとの噛合う部3f部の磁束遮蔽部材3だけ
でよい。長手方向の省スペース化が可能になる。
【0105】本実施例でも上記第四の実施例と同様、図
14のように、リードねじ部材4のねじ部4a・4bを
定着ローラ中央部まで形成することができるので、紙サ
イズの対応幅を大きくすることができる。
【0106】以上のように5種類の実施例を示したが、
画像形成装置の仕様、定着装置の配置などにより適時、
本発明を用いるとよい。
【0107】また、定着ローラの替わりに、定着フィル
ムを用いても本発明の効果は変わらない。
【0108】本発明に従う加熱装置としての上記各実施
例の定着装置についてその効果をまとめると下記のとお
りである。
【0109】磁束を遮蔽(阻害)する磁束遮蔽部材3a
・3bをコイル5が誘導発熱体である定着ローラ7に対
向する側と反対側に設けることで、コイル5と定着ロー
ラ7の隙間(ギャップ)を減少でき、発熱効率の向上に
より省エネルギー化が可能である。
【0110】また、反対側に設けることで、省スペース
化ができる。
【0111】定着ローラ(またはフィルム)の外部に磁
束遮蔽部材の待機スペースを減少させることができるの
で、省スペース化が実現でき、画像形成装置本体の大き
さを抑える効果がある。
【0112】従来の磁束遮蔽部材を回転移動させる構成
では、磁束遮蔽部材がとコイルが接触し、コイルを破損
することが考えられたが、本発明ではコイルと磁束遮蔽
部材の接触を無くすことができる。
【0113】従来は用紙が定着フィルムの中央を送る場
合(中央基準の紙搬送系)、磁束遮蔽部材の待機スペー
スおよび磁束遮蔽部材の駆動手段スペースが、定着フィ
ルム長手方向の両側に必要であったが、本発明では定着
ローラの内部に磁束遮蔽部材を待機させるとともに、駆
動手段を片側に配置することができるので、省スペース
化が実現でき、画像形成装置本体の大きさを抑える効果
がある。
【0114】本発明では、定着スピードを落とすことな
く非通紙部昇温の解決ができるので、画像形成の生産性
の向上につながる。
【0115】磁束発生手段(コイル・コア)、ホルダ
ー、磁束遮蔽部材を一つのアセンブリ構成にしたので、
組立て性・サービス性の向上が図れる。
【0116】[その他] 1)磁束遮蔽部材3a・3bのスラスト方向への移動手
段は、実施例のリードねじ部材4等に限られるものでは
なく、適宜の機構構成にすることができる。例えば、ズ
ームカメラなどに多く用いられる公知のカム溝付きの円
筒カムを用いても良いことは言うまでも無い。
【0117】2)被加熱材の搬送基準は片側搬送基準で
あっても勿論よく、加熱装置はその片側搬送基準に対応
して構成される。
【0118】3)本発明の電磁誘導加熱方式・磁束調整
型の加熱装置は、実施例のような画像加熱定着装置とし
てばかりではなく、その他、例えば、画像を担持した記
録材を加熱してつや等の表面性を改質する像加熱装置、
仮定着処理する像加熱装置、シート状物等の被加熱材を
給送して乾燥処理・ラミネート処理する等の加熱熱装
置、インクジェットプリンタ等に用いられる乾燥用加熱
装置などとして広く使用出来る。
【0119】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、電
磁誘導加熱方式であって、非通紙部昇温対策として磁束
遮蔽手段を用いた加熱装置について、磁束遮蔽部材の待
機スペース、駆動手段のスペースを削減してコンパクト
な磁束遮蔽機構を構成して装置の省スペース化、低コス
ト化を図りつつ、省電力化・生産性を向上した加熱装置
を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第一の実施例における画像形成装置の構成略
【図2】 定着装置(電磁誘導加熱方式の加熱装置)の
縦断面模型図(磁束遮蔽部材−第一移動位置)
【図3】 同じく横断面模型図
【図4】 一方側の磁束遮蔽部材部分の斜視模型図
【図5】 磁束遮蔽部材が介在していない部分と、介在
している部分の磁気回路のイメージ図
【図6】 定着装置の縦断面模型図(磁束遮蔽部材−第
二移動位置)
【図7】 磁束遮蔽部材が第一移動位置にある時の、コ
ア配置、発熱分布、定着ローラの表面温度分布の説明図
【図8】 磁束遮蔽部材が第二移動位置にある時の、コ
ア配置、発熱分布、定着ローラの表面温度分布の説明図
【図9】 第二の実施例における定着ローラの横断面模
型図
【図10】 第三の実施例における定着ローラの横断面
模型図
【図11】 第四の実施例における定着装置の縦断面模
型図(磁束遮蔽部材−第一移動位置)
【図12】 磁束遮蔽部材が介在していない部分と、介
在している部分の磁気回路のイメージ図
【図13】 第五の実施例における定着装置の縦断面模
型図(磁束遮蔽部材−第一移動位置)
【図14】 磁束遮蔽部材が介在している部分の磁気回
路のイメージ図
【符号の説明】
1・・磁束調整加熱アセンブリ、2・・ホルダー、3
(a・b)・・磁束遮蔽部材、4・・リードねじ部材、
5・・励磁コイル、6(a〜c)・・磁性体コア、7・
・定着ローラ、8・・加圧ローラ、11・・ギア、15
・・コイル電力供給線、21(a・b)・・ベアリン
グ、N・・定着ニップ部、J(a・b)・・磁束発生部
の磁力線(磁気回路)
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年12月6日(2002.12.
6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】その対策としては、定着ローラの肉厚を薄
くして、定着ローラの熱容量を低減することが行われ
る。しかし、薄過ぎると強度不足となる。さらに、後述
するフィルム定着と同様に非通紙部昇温の問題が発生す
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正内容】
【0060】磁束発生手段を構成する磁性体コア6は上
記のように互いに並行の、第一コア6a、2つの第二コ
ア6b・6b、第三コア6cとに分割してあり、このよ
うに分割されたコア6a・6b・6cを用いて磁束の通
路(磁気回路)を形成し、それぞれのコアの間を磁束遮
蔽部材3a・3bの移動が可能なように配置している。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】励磁コイルを有する磁束発生手段と、磁束
    発生手段の発生磁束の作用により電磁誘導発熱する誘導
    発熱体を有し、加熱部に被記録材を導入搬送させて誘導
    発熱体の熱により加熱する加熱装置において、 加熱部において磁束発生手段の発生する磁束の、被加熱
    材の搬送方向に交差する加熱部長尺方向に関する密度分
    布を変化せしめる磁束調整手段を備え、 磁束調整手段は、磁束遮蔽部材と、この磁束遮蔽部材を
    磁束発生手段の発生する磁束を調整する位置に移動させ
    る移動手段を有し、磁束発生手段の発生する磁束を調整
    する位置は、磁束遮蔽部材が磁束発生手段の励磁コイル
    の内側の空間を通る磁気回路内の磁束を阻害する位置で
    あることを特徴とする加熱装置。
  2. 【請求項2】 磁束遮蔽部材移動手段は、磁束遮蔽部材
    を被加熱材の搬送方向に交差する加熱部長尺方向にスラ
    ストさせる移動手段であり、磁束遮蔽部材の移動をガイ
    ドし、かつ、磁束遮蔽部材に駆動を伝達する長尺方向に
    伸びたガイド兼駆動伝達部材であることを特徴とする請
    求項1に記載の加熱装置。
  3. 【請求項3】 磁束遮蔽部材のガイド兼駆動伝達部材と
    して、リードねじ、あるいは、円筒カムを用いているこ
    とを特徴とする請求項2に記載の加熱装置。
  4. 【請求項4】 被加熱材が誘導発熱体の長手方向の中央
    を基準にして搬送される場合において、磁束遮蔽部材は
    誘導発熱体の長尺方向の両側にそれぞれ設けられ、被加
    熱材の搬送方向に交差する加熱部長尺方向にスラスト移
    動する磁束遮蔽部材移動手段はリードねじあるいは円筒
    カムであり、該リードねじあるいは円筒カムは上記それ
    ぞれの磁束遮蔽部材に対応して設けられ、該リードねじ
    あるいは円筒カムの回転によって磁束遮蔽部材がそれぞ
    れ逆のスラスト方向に移動するように、それぞれの磁束
    遮蔽部材に対応したリードねじ部あるいは円筒カムのカ
    ム溝部は逆方向にスラスト移動する逆ねじ逆のカム溝の
    関係の形状であることを特徴とする請求項1に記載の加
    熱装置。
  5. 【請求項5】 励磁コイルの形状は、被加熱材の搬送方
    向に交差する加熱部長尺方向に長手半径を持つ略楕円形
    状、かつ、断面形状は略半円形状であり、長手方向の端
    部のUターン部も同様に略半円形状の形状であることを
    特徴とする請求項1から4の何れか1つに記載の加熱装
    置。
  6. 【請求項6】 磁束発生手段に、少なくとも1つの磁性
    体コアを設け、磁性体コアは、誘導発熱体と励磁コイル
    のギャップと略同じギャップで誘導発熱体に対向するよ
    うに配置し、磁性体コアの誘導発熱体に対向しない反対
    側の磁気回路上をスラスト方向から移動する磁束遮蔽部
    材により磁束の流れを遮蔽することを特徴とする請求項
    1から5の何れか1つに記載の加熱装置。
  7. 【請求項7】 長尺方向に伸びたガイド兼駆動伝達部材
    に磁性体コアを設けていることを特徴とする請求項1か
    ら6の何れか1つに記載の加熱装置。
  8. 【請求項8】 磁束発生手段に、少なくとも1つの磁性
    体コアを設け、磁性体コアは、誘導発熱体と励磁コイル
    のギャップと略同じギャップで誘導発熱体に対向するよ
    うに配置し、磁性体コアの誘導発熱体に対向しない反対
    側に長尺方向に伸びたガイド兼駆動伝達部材に磁性体コ
    アを設け、上記磁性体コアの間には、スラスト方向から
    移動する磁束遮蔽部材が進入する隙間を有し、磁気回路
    上をスラスト方向から移動する磁束遮蔽部材により磁束
    の流れを遮蔽することを特徴とする請求項1から5の何
    れか1つに記載の加熱装置。
  9. 【請求項9】 誘導発熱体が断面略円形のとき、磁束発
    生手段、磁束調整手段が略円筒形状の誘導発熱体の内部
    にあることを特徴とする請求項1から8の何れか1つに
    記載の加熱装置。
  10. 【請求項10】 磁束遮蔽部材は、非磁性かつ良電気導
    電性の物質であることを特徴とする請求項1から9の何
    れか1つに記載の加熱装置。
  11. 【請求項11】 磁束遮蔽部材は、アルミニウム、銅、
    マグシウム、銀などの合金であることを特徴とする請求
    項10に記載の加熱装置。
  12. 【請求項12】 長尺方向に伸びたガイド兼駆動伝達部
    材は、両端部を励磁コイルを保持する部材に支持され、
    磁束発生手段である励磁コイル、磁性体コアと一体に組
    み立てられたアセンブリ構成にしたことを特徴とする請
    求項2から11の何れか1つに記載の加熱装置。
  13. 【請求項13】 長尺方向に伸びたガイド兼駆動伝達部
    材は、両端部を励磁コイルを保持する部材に支持され、
    磁束発生手段である励磁コイル、磁性体コアと一体に組
    み立てられたアセンブリ構成にし、一つの誘導発熱体に
    対して少なくても一つのアセンブリを設けたことを特徴
    とする請求項2から11の何れか1つに記載の加熱装
    置。
  14. 【請求項14】 被加熱材が画像を担持した記録材であ
    ることを特徴とする請求項1から13の何れかに記載の
    加熱装置。
  15. 【請求項15】 記録材に対して画像を形成する作像手
    段と、記録材上の画像を加熱する像加熱手段を有する画
    像形成装置において、像加熱手段が請求項1から14の
    何れかに記載の加熱装置であることを特徴とする画像形
    成装置。
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