JP2006243172A - 定着装置およびこれを備えた画像形成装置 - Google Patents
定着装置およびこれを備えた画像形成装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006243172A JP2006243172A JP2005056301A JP2005056301A JP2006243172A JP 2006243172 A JP2006243172 A JP 2006243172A JP 2005056301 A JP2005056301 A JP 2005056301A JP 2005056301 A JP2005056301 A JP 2005056301A JP 2006243172 A JP2006243172 A JP 2006243172A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- magnetic flux
- fixing device
- fixing
- heat generating
- roller
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Fixing For Electrophotography (AREA)
Abstract
【課題】 品質管理の困難なコイルを用いたりローラ最端部に具備される軸受け等が発熱してしまうといった問題を惹き起こすことなく、発熱部材の均一な温度分布を得ることのできる定着装置とこれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】 導電層21を有し回転体を構成する発熱部材12Aと、発熱部材12Aに対向して配置され電磁誘導により導電層21を誘導加熱する磁界発生ユニット3とを備えた定着装置には、発熱部材12Aの端部に対向して導電性を有する磁束遮蔽部材11Aを設けている。発熱部材12Aの導電層21の厚さが、印加する交流電流の周波数における電流の浸透深さ以下の厚みであるのがよい。
【選択図】 図1
【解決手段】 導電層21を有し回転体を構成する発熱部材12Aと、発熱部材12Aに対向して配置され電磁誘導により導電層21を誘導加熱する磁界発生ユニット3とを備えた定着装置には、発熱部材12Aの端部に対向して導電性を有する磁束遮蔽部材11Aを設けている。発熱部材12Aの導電層21の厚さが、印加する交流電流の周波数における電流の浸透深さ以下の厚みであるのがよい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、誘導加熱方式の定着装置およびこれを備えた画像形成装置、特に、電子写真方式の複写機、プリンター、ファクシミリ装置等の画像形成装置で用いられるトナー定着用に好適な定着装置とこれを備えた画像形成装置に関する。
複写機、プリンター、ファクシミリ装置(FAX)等は、普通紙やOHP等の記録媒体上に画像を形成する工程を有し、様々な画像記録方式のものが実現されている。
この種の画像記録方式のなかでも、高速性、画像品質、コストなどの面から、上記の機器に広く採用されているのが電子写真方式であり、この方式では、紙やOHP等の記録媒体上に未定着トナー像を形成し、熱と圧力で固定する定着工程がある。
この種の画像記録方式のなかでも、高速性、画像品質、コストなどの面から、上記の機器に広く採用されているのが電子写真方式であり、この方式では、紙やOHP等の記録媒体上に未定着トナー像を形成し、熱と圧力で固定する定着工程がある。
この定着方式としては、高速性、安全性等の面からヒートローラ方式が現在最も多く採用されている。
従来のヒートローラ方式では、ハロゲンヒータなどの発熱部材により加熱される定着ローラとこれに対向配置される加圧ローラとを圧接して、ニップ部と呼ばれる相互圧接部を形成し、両ローラ間にトナーの顕像を担持したシートを通してそのトナー像を記録紙に定着させる。このようなヒートローラ方式では、定着ローラの小熱容量化(薄肉化)に限界があることと、ハロゲンヒータ自体の立ち上がりが遅いことから、装置の立上時間が遅くなる。
そのため、近年では、加熱方式として誘導加熱方式を利用する定着が検討されている。これは導電層を有する発熱部材に磁界発生ユニットによって発生させた交番磁界により渦電流を発生させて誘導加熱を行うものである。この方式は加熱の立ち上がりがハロゲンヒータに比べて速く、加熱対象を直接加熱することができるため、従来のヒートローラ方式と比較して、非常に短時間での立上げが可能になるという利点がある。また、誘導加熱方式の定着装置は、ハロゲンヒータ等の熱源を有する定着装置と比較すると、加熱効率が高く、定着部材の表層部だけを選択的に加熱することができる。
しかしながら、誘導加熱方式の定直装置では、加熱ローラの長手方向の温度分布設計が難しく、特にコイルがその折返し部と直線部とで発生する磁束の様子が違うものとなり、ローラ端部と中央部の温度の差異が大きくなるという問題が生じ易く、ローラ端部の温度が中央に対して低くなる傾向がある。そして、また、A3サイズ紙(サイズの大きいカット紙)を定着装置に通紙するときに、加熱ローラ端部の熱量不足が問題になり易い。
そこで、コイル折返し部の磁束減少による発熱量の低下を防止すべく、コイル端部での折返しのループ径を大きくすることで磁束を調整して、発熱部材の均一な温度分布を得るようにしたものがあるが(特許文献1参照)、コイルの品質管理が難しいという問題点がある。
これに対し、コイル長手方向長さを発熱部材の長手方向長さよりも長くして、コイル折返し部の磁束が発熱部材に影響しないように設計することで、発熱部材の均一な温度分布を得るようにしたものが提案されている(特許文献2参照)。
図を用いて説明すると、図13〜図15は、従来の誘導加熱方式の定着装置の一例を示す図であり、図13に示すように、この定着装置100は、発熱部材である定着ローラ2と、磁界発生ユニットである誘導コイル3と、定着ローラ2との間にニップを形成する加圧ローラ4と、誘導コイル3より発生した磁界を外部に漏らさないようにするフェライトコア5とによって構成されている。定着ローラ2は、導電性の発熱層2a、弾性層2bおよび芯金層2cを有し、誘導コイル3より発生した磁界が発熱層2aを誘導加熱させることで発熱ができるようになっている。そして、トナー像を担持した記録紙等のシート状記録部材P(図15参照)が、定着ローラ2と加圧ローラ4によって構成されるニップ部(シート状記録部材Pを挟圧する部位)を通過することにより、定着ローラ2からシート状記録部材Pに熱が与えられ、トナー像が定着される。
しかしながら、上述のようにローラよりコイルを長くした定着装置にあっても、誘導コイル3の長手方向長さを定着ローラ2よりも長くすることで、定着ローラ2に全体的に同程度の磁束を鎖交させ得るものの、誘導コイル3の折返し部の磁束が定着ローラ2以外の金属部品、例えば図示しない定着ローラ2の軸受け等を誘導加熱してしまうことになってしまい、高耐熱性、断熱性を考慮した軸受け構成等が必要となることから、省スペースやコスト低減が要求される近時の画像形成装置にとっては実用的でないという難点がある。
したがって、誘導コイル3の長手方向長さを定着ローラ2の長さと略等しくしなければならず、図14に誘導コイル3の長手方向の平面図で示すように、誘導コイル3の部分から発生する磁束に対してコイルの折返し部分では異なる磁束が発生することから(同図(b)参照)、上述のように定着ローラ2の端部を鎖交する磁束の多くが定着ローラ2の外部を通過することになって、中央部と比較して端部の発熱量が低下せざるを得なかった。
あるいは、コイル端部での折返しのループ径を変えて磁束調整する従来例のように、コイルの品質管理が難しくなったりコスト高にならざるを得なかった。
付言すれば、磁束発生手段であるコイルから発生する磁束がローラの長手方向で均一であれば、定着ローラ(発熱部材)を均一に加熱することができるが、実際にはコイルはどこかで折り返さなければならず、一般的には、発熱部材の端部部分がコイルの折返し部にあたり、発熱部材を鎖交する磁束が中央と端部で異なるため長手方向の発熱分布が均一にならず、発熱分布の端部の鎖交磁束は中央と比較して少なくなり発熱量が少なくならざるを得なかった。
本発明は、上述のような従来の課題に鑑みてなされたものであり、コイル端部での折返しのループ径を大きくする等の品質管理の困難なコイルを用いたりそのコイル性能によって発熱分布が左右されたりする問題を解消するとともに、コイルを発熱部材であるローラより長くすることでローラ最端部に具備される軸受け等が発熱してしまうという問題を解消し、かつ、発熱部材の均一な温度分布を得ることのできる定着装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、上記課題を解決するため、(1)導電層を有し回転体を構成する発熱部材と、前記発熱部材に対向して配置され電磁誘導により前記導電層を誘導加熱する磁界発生ユニットと、を備えた定着装置であって、導電性を有するとともに前記発熱部材の端部に対向する磁束遮蔽部材を設けたことを特徴とするものである。
この構成により、発熱部材の端部の内周面に対向して導電性を有する磁束遮蔽部材を有することで、発熱部材端部の端部(例えば通紙域端部)側に磁束を集中させることができ、発熱部材の全域を均等に加熱することが可能となる。なお、ここで、回転体とは、軸線回りに所定半径を有する円筒部材に限らず、可撓性の無端ベルトのようにループ状で回動可能なものを含む。
本発明の定着装置においては、(2)前記発熱部材の導電層の厚さが、印加する交流電流の周波数における電流の浸透深さ以下の厚みであるのがよい。この構成により、磁束遮蔽部材の効果をあげることができ、通紙域端部の発熱量を増加させて、通紙域全域を均一に加熱することが可能となる。
また、(3)前記発熱部材の導電層が非磁性であるのが好ましい。これにより、前記発熱部材の導電層厚さを、印加する交流電流の周波数における電流の浸透深さ以下の厚みにすることが容易となり、磁束遮蔽部材の効果をあげることができ、通紙域端部の発熱量を増加させて、通紙域全域を均一に加熱することができる。
本発明の定着装置においては、(4)前記磁束遮蔽部材の厚さが、印加する交流電流の周波数における電流の浸透深さ以上の厚みであるのがよい。このようにすると、磁束遮蔽部材の効果をあげることができ、通紙域端部の発熱量を増加させて、通紙域全域を均一に加熱することができる。
さらに、(5)前記磁束遮蔽部材が、前記発熱部材の内周面上に設置されるのがよい。これにより、磁束遮蔽部材と発熱部材の距離を短くして磁束遮蔽部材の効果をあげることができ、通紙域端部の発熱量を増加させて、通紙域全域を均一に加熱することができる。
本発明の定着装置においては、(6)前記発熱部材の内方に磁性コアが設けられ、前記磁束遮蔽部材が該磁性コアの外表面部に設置されたものであるのが好ましい。この構成により、コアによって磁束発生手段と発熱部材が有する導電層との磁気結合を良好にして電力を効率よく発熱部材の発熱に投入することができ、さらに磁束遮蔽部材を設置するための部品を新たに備える必要がない。
また、(7)前記発熱部材が定着ローラであるのがよい。発熱部材を定着ローラとして、誘導加熱により直接加熱することで、定着ローラ方式の利点である簡易な構成を損なうことなく実質的な熱容量を小さくすることが可能となる。
あるいは、(8)前記発熱部材が定着ベルトであってもよい。発熱部材を定着ベルトにして、誘導加熱により直接加熱することで定着装置の熱容量を非常に小さくすることが可能となる。
本発明の定着装置は、また、上記構成に加え、(9)定着ベルトと、該定着ベルトを移動可能にする懸架する加熱ローラと、前記定着ベルト内周面側に接する定着ローラと、該定着ローラとの間に前記定着ベルトを挟んで該定着ベルトの外周面にニップを形成する加圧手段とを設けたことを特徴とするものである。この構成により、定着ベルトにより、記録部材を加熱することで定着装置の熱容量を非常に小さくするとともに、定着ローラと加圧手段によりニップを形成することで、ニップ幅の確保及びベルトの走行性を良好にすることが可能となる。
この場合、さらに、(10)前記発熱部材が定着ベルトであるのが好ましい。発熱部材を定着ベルトにして、誘導加熱により直接加熱することで、定着装置の熱容量を非常に小さくすることができ、立上時間の短縮が可能となる。
あるいは、(11)前記発熱部材が加熱ローラであってもよい。この場合、定着ベルトに金属層を入れる必要がなくなり、ベルトの加工性や寿命が向上する。
本発明の定着装置においては、(12)前記磁束遮蔽部材が、前記加熱ローラの内周面側に設置されたものであるのがよい。このようにすると、磁束遮蔽部材を設置するための部品を新たに備える必要がない。
本発明の定着装置は、また、上記構成に加え、(13)前記加熱ローラ内に磁性コアが設けられ、前記磁束遮蔽部材が該磁性コアの外表面部に設置されたものであるのが望ましい。この構成では、磁性コアによって磁束発生手段と発熱部材が有する導電層との磁気結合を良好にして、電力を効率よく発熱部材の発熱に投入することができるから、磁束遮蔽部材を設置するための部品を新たに備える必要もない。
本発明の定着装置においては、(14)前記磁束遮蔽部材が通紙サイズ領域の範囲外に設置されたものであるのがよい。これにより、発熱が必要な範囲に電力を集中させることが可能となる。
また、(15)前記磁界発生ユニットの長手方向長さが前記発熱部材の長手方向長さよりも短いことが好ましい。このようにすると、磁界発生ユニットにより発熱部材以外の金属部品、例えば軸受け等が加熱されて無駄な電力を消費することが防止できる。
本発明は、また、(16)上記定着装置のいずれか1つを備えた画像形成装置である。
この発明の画像形成装置では、上述した通り、その定着装置において、発熱部材の端部の内周面に対向して導電性を有する磁束遮蔽部材を有することで、発熱部材端部の端部(例えば通紙域端部)側に磁束を集中させることができ、発熱部材の全域を均等に加熱することが可能となることから、画像形成領域の全域において安定した定着処理を施すことができ、高品質の画像形成(特に定着記録)を行なうことができる。
本発明によれば、発熱部材の端部の内周面に対向して導電性を有する磁束遮蔽部材を設け、発熱部材端部の磁束を端部側に集中させて発熱部材の全域を均等加熱するようにしているので、コイル端部での折返しのループ径を大きくする等の品質管理の困難なコイルを用いたりそのコイル性能によって発熱分布が左右されたりするといった問題を解消するとともに、コイルを発熱部材であるローラより長くすることでローラ最端部に具備される軸受け等が発熱してしまうという問題を解消し、かつ、発熱部材の均一な温度分布を得ることのできる定着装置を提供することができ、これを用いた高品質画像形成の可能な画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1〜図6は、本発明に係る定着装置の第1の実施の形態を示す図であり、本発明を画像形成装置の定着装置に適用した例を示している。なお、本実施形態における画像形成装置は、全体的には、図15に示した従来の画像形成装置と同様な基本的構成を備えており、定着装置も従来と同様な構成部分を有しているので、そのような部分については図13〜図15と同一の符号を用いて説明する。また、本実施形態は、請求項1〜5、7、14および15に対応している。
[第1の実施の形態]
図1〜図6は、本発明に係る定着装置の第1の実施の形態を示す図であり、本発明を画像形成装置の定着装置に適用した例を示している。なお、本実施形態における画像形成装置は、全体的には、図15に示した従来の画像形成装置と同様な基本的構成を備えており、定着装置も従来と同様な構成部分を有しているので、そのような部分については図13〜図15と同一の符号を用いて説明する。また、本実施形態は、請求項1〜5、7、14および15に対応している。
まず、画像形成装置の構成から説明すると、本実施形態における画像形成装置は上部側と下部側に分割されており、これらを分離したり異なる仕様の組合せにしたりできるようになっている。そして、この画像形成装置の上部側の最上部に図示しない自動原稿搬送装置が付設されており、自動原稿搬送装置の下方に位置する複数の光学要素を含む光学ユニットと、その下方に位置する作像系の各ユニットとにより、上部側が構成されている。下部側は、複数サイズのシート状記録部材Pがそれぞれ積層・載置された複数の給紙トレイが収納された給紙ユニットが設けられている。
具体的には、先の図15に示したように、電子写真感光体(以下、単に感光体という)41は回転体を構成する像担持体の一例であってドラム形状を有しており、この感光体41のまわりに、同図中矢印で示す回転方向に順次、帯電ローラからなる帯電装置42、露光手段の一部を構成するミラー43、現像ローラ44aを備えた現像手段44、シート状記録部材Pとしての転写紙に現像された画像(トナー像)を転写する転写装置48、感光体41の周面に摺接するブレード46aを具備したクリーニング手段46等が配置されている。そして、帯電装置42と現像ローラ44aとの間において、感光体41にはミラー43を介して露光光Lbが露光照射され走査されるようになっている。ここでは、この露光光Lbの照射位置を露光部150と呼ぶことにする。
転写装置48が感光体41の下面と対向する部位は、転写紙にトナー像が転写される公知の転写部47となっており、この転写部47より給紙方向上流側には一対のレジストローラ49が設けられている。これらレジストローラ49には、給紙トレイ40に収納されたシート状記録部材Pが、給紙コロ群110のコロ121、122、123および124のうち何れかによって送り出され、搬送ガイドおよび搬送ローラ群(符号なし)に案内されながら搬送されてくるようになっている。また、転写部47より給紙方向下流の位置には、定着装置10Aが配置されており、定着装置10Aより給紙方向下流側には両面記録実行時に転写紙の表裏を反転させ記録済みの紙面を下向きにして転写部47に再給紙する自動両面装置39が配置されている。
本実施形態における画像形成は、概ね次のようにして行なわれる。
装置上部側では、感光体41が回転を始め、この回転中に感光体41が暗中において帯電装置42により均一に帯電され、作成すべき画像に対応する露光光Lbが露光部150に照射および走査されることで、作成すべき画像に対応した潜像が感光体41上に形成される。この潜像は感光体41の回転により現像装置44に近接したとき、ここでトナーにより可視像(顕像)化されて、感光体41に担持されたトナー像となる。一方、装置下部側では、給紙コロ群110のいずれかの給紙コロ111、112、113又は114により、給紙トレイ群40のうちいずれか1つのトレイ41、42、43又は44上からシート状記録部材Pは呼び出され、例えば図中に破線で示すような所定の搬送経路を経て一対のレジストローラ49の位置まで搬送されて、ここで一旦停止し、感光体41上のトナー像が転写部47でシート状記録部材Pの所定位置に対向するようなタイミングで送り出される。すなわち、かかる好適なタイミングが到来すると、レジストローラ49に停止していたシート状記録部材Pはレジストローラ49から送り出され、転写部47に向けて搬送される。
感光体41上のトナー像とこのトナー像が転写されるべきシート状記録部材Pの所定位置とは、その位置が転写部47で合致し、転写部材48による電界により、トナー像はシート状記録部材P上に吸引され転写される。こうして感光体41周りの画像形成部でトナー像を転写され担持したシート状記録部材Pは、定着装置10Aに向けて送り出される。そして、シート状記録部材P上のトナー像が、定着装置10Aを通過する間に加熱・加圧されてシート状記録部材Pに定着された後、シート状記録部材Pは排紙部に排紙される。
また、シート状記録部材Pの両面に画像形成をする場合、図示しない分岐爪により自動両面装置39に排紙されたシート状記録部材Pが、自動両面装置39でスイッチバック反転され、レジストローラ49の手前の搬送経路に搬送される。
なお、転写部47で転写されずに感光体41上に残った残留トナーは、感光体41の回転と共にクリーニング装置46に至り、このクリーニング装置46を通過する間に感光体41上から清掃・除去され、次の画像形成に移行可能となる。
次に、本実施形態の定着装置について説明する。
図1は、本実施例における定着装置10Aの断面図であり、図2は定着装置10Aの長手方向(ローラ縦断面方向)の概略断面図である。
本実施形態の定着装置10Aは、図示しない離型層、導電性の発熱層21(導電層)、弾性層22および芯金層23を有する所定径、例えば直径40mmの定着ローラ12Aと、磁界発生ユニットである誘導コイル3と、定着ローラ12Aとの間にニップを形成する加圧ローラ4と、誘導コイル3より発生した磁界を外部に漏らさないように遮蔽するフェライトコア5と、非磁性の絶縁及び断熱部材9とを具備しており、さらに、定着ローラ12Aの長手方向における両端部部分の芯金層23の内周面上にはそれぞれ芯金層23に対し放射方向内外に対向するよう一対の断面円弧状のリング状の磁束遮蔽部材11A(磁束遮蔽部材)が設けられている。フェライトコア5は誘導コイル3の放射外方を覆うよう図示しない支持部材に支持されており、一対の磁束遮蔽部材11Aもそれぞれ前記支持部材により固定支持されている。
ここで、定着ローラ12Aの長手方向における磁束遮蔽部材11Aの離間距離は、本実施例の定着装置10Aにおけるシート状記録部材Pを通紙する範囲が一対の磁束遮蔽部材11Aの間(内側)に位置するように設定されている。
また、磁束遮蔽部材11Aは、非磁性かつ体積抵抗率の低い、電気的に良伝導の部材であり、誘導コイル3より発生した磁界を外部に漏らさないように制限するフェライトコア5と共に、この非磁性かつ電気的に良伝導の磁束遮蔽部材11Aを使用することで、磁束遮蔽部材11A自身の発熱を抑えつつ、誘導コイル3より発生した磁界の範囲を定着ローラ12Aの端部側でも内方に集中させるように制限し有効に遮蔽して、定着ローラ12Aの端部を鎖交する磁束の多くが定着ローラ12Aの外部を通過することを抑制することができる。
本実施例では、磁束遮蔽部材11Aとして、例えば図1に示すように半円形状に湾曲した帯状の銅板を使用しているが、銀、アルミニウム、マグネシウム等の合金であってもよい。また、磁束遮蔽部材11Aは、印加する交流電流の周波数における電流の浸透深さ以上の厚みであることが望ましい。これにより、磁束遮蔽部材11Aの磁束遮蔽効果を大きくすることができる。
具体的に説明すると、高周波電流によってできる高周波磁束が金属に誘導する渦電流は、金属の表面に近いほど大きく、内部になるにつれて指数関数的に小さくなる。渦電流が表面における電流密度の0.368倍に減少した点での表面からの深さを電流の浸透深さδと呼び、この電流の浸透深さは、次式1で与えられる。
金属表面から浸透深さδより内部に流れる渦電流は、表面と比較して非常に小さく、誘導加熱にほとんど影響を与えない。また、磁束遮蔽部材11Aの厚さを浸透深さ以上にすることで、遮蔽部材に進入した磁束は金属層中でエネルギーを消失し、磁束遮蔽部材11Aをほとんど透過することができなくなる。したがって、磁束遮蔽部材11Aが浸透深さδ以上であれば、それ以上の厚さは理論上必要ない。
逆に、磁束遮蔽部材11Aの厚さが浸透深さδ以下である場合、磁束は磁束遮蔽部材11Aを透過し易くなるため、磁束遮蔽部材11Aの磁束遮蔽効果は低減する。そのため、磁束遮蔽部材11Aを設置する際の組付け性等もを考慮すると、磁束遮蔽部材11Aの厚さは、その材料と使用する周波数から算出される浸透深さの1倍以上2倍未満が好ましい。
本実施形態においては、例えば銅の磁束遮蔽部材11Aを用いて周波数25000Hzで誘導加熱を行なう。この場合、銅の体積抵抗率ρ=1.72E−8、比透磁率μ=1、周波数f=25000Hzで計算した時の浸透深さ0.42mmであるので、磁束遮蔽部材11Aを構成する銅板は、0.4mm〜1.0mm程度の厚さであるのが望ましい。
一方、定着ローラ12Aは、その発熱層21も非磁性、良伝導の部材で構成されている。誘導加熱に適した金属としては一般的には磁性を持ち、高抵抗のものが知られているが、良伝導の部材を薄層化することにより、発熱層21の実質的な抵抗を任意に設定することができ、その発熱量を向上させることができる。
本実施形態では、発熱層21には例えば10μmの厚さの銀層を使用できる。当然、発熱層21は非磁性、良伝導であればよいので、銀、アルミニウム、マグネシウム等の他の金属層を用いてもよい。
発熱層21を非磁性にすることで、誘導コイル3から発生する磁束が発熱層21を透過するため、磁束遮蔽部材11Aを誘導コイル3から見て発熱層21の内側に設置することができ、誘導コイル3と発熱層21の間に設置するよりも非常に容易に設置することができる。
また、誘導コイル3と発熱層21の距離は、近ければ近いほど誘導加熱の効率は向上するため、高効率な誘導加熱定着装置を設計することができる。
定着ローラ12Aの芯金には、例えば非磁性のステンレスであるSUS304を使用することができる。その場合、肉厚を0.4mmと薄くして、熱容量を小さくするとともに、誘導加熱のエネルギーを発熱層に集中させる構成とするのがよい。
また、定着ローラ12Aの芯金の内周面側に対向して磁束遮蔽部材11Aを設置するため、芯金層23の金属の厚さは、印加する交流電流の周波数における電流の浸透深さδ以下の厚みであることが望ましい。これにより、磁束遮蔽部材11Aの磁束遮蔽効果を大きくすることができる。例えば、SUS304の体積抵抗率ρ=7.20E−7、比透磁率μ=1、周波数f=25000Hzとして計算したとき、浸透深さδは2.7mmであり、アルミニウム等と比較して非常に深い。
本実施形態では、誘導コイル3から発生した磁束は、定着ローラ12Aの中央部では発熱層21、芯金層23の順に透過し、磁束遮蔽部材11Aを備えた軸方向両端部の上半部では発熱層21、芯金層23、磁束遮蔽部材11Aの順に透過するため、芯金層23の誘導加熱のエネルギーが奪われる構成となっている。
そこで、定着ローラ12Aの芯金層23に、アルミ等と比較して浸透深さの非常に深いSUS304を使用することにより、芯金が磁束から奪うエネルギーが非常に小さくなる構成としている。これにより、誘導加熱のエネルギーを発熱層21に集中させるとともに、磁束遮蔽部材11Aがある部分と無い部分での磁気抵抗(磁束の通りにくさ、磁気抵抗が小さい部分に磁力が集中する)の差を大きくすることができる。
さらに、芯金層23の厚さを薄くすれば、芯金層23が磁束から奪うエネルギーが小さくなり、誘導加熱のエネルギーが発熱層21に集中し、かつ磁束遮蔽部材11Aの効果が大きくなるが、本実施形態では、定着ローラ12Aは加圧ローラ4と厚接してニップを形成するため、荷重に耐えるだけの厚さが必要であり、例えば0.4mm程度の厚さはあるのが好ましい。
図3は定着装置10Aの長手方向中央部分での断面図であり、誘導コイル3より発生する磁界の様子を示している。図中の矢印磁束Aが誘導コイル3より発生する磁界を示している。
磁束はフェライトコア5を経路として発熱層21、弾性層22、芯金層23を透過して再びフェライトコア5に戻る。この中で磁束が発熱層21を透過することにより発熱層21に誘導電流が流れジュール熱により発熱する。
図4は定着装置10Aの長手方向の断面図であり、誘導コイル3より発生する磁界の様子を示している。従来技術のように誘導コイル直線部の磁束Aに対して誘導コイル折返し部の磁束Bの方が発熱層21を鎖交する磁束が少なくなると、発熱量が低下するが、本実施形態においては、定着ローラ12Aの両端部に内向する磁束遮蔽部材11Aを設置することにより、最端部部分の発熱層21、芯金層23および磁束遮蔽部材11Aによる磁気抵抗を、中央部の発熱層21および芯金層23による磁気抵抗よりも高くしている。
磁束は、電気と同様に通り易い部分、すなわち磁気抵抗の低い部分を選択的に通過するため、磁気抵抗の低い部分に磁束が集中する性質があるから、定着ローラ12Aの最端部を鎖交しようとした磁束Bは、磁束遮蔽部材11Aの存在により、磁気抵抗の低い中央部側に曲がるように方向を制限され、磁束遮蔽部材11Aのエッジ部分にあたる定着ローラ12Aの部位に磁束が集中して、その部分の発熱量が大きくなる。この作用により、誘導コイル3の折返し部にあたる定着ローラ12Aの端部部分の発熱量を従来例より高めることができ、定着ローラ12Aの端部と中央部をほぼ均一に加熱することができる。
また、誘導コイル3の長手方向長さを定着ローラ12Aより若干短くすることで、定着ローラ12Aに具備される図示しない軸受け等の金属部品に誘導加熱エネルギーを奪われることなく、定着ローラ12Aだけを確実に加熱することができる。
(実施例1)
図5には、誘導加熱シミュレーションにより計算した、実施例1の定着ローラの長手方向における発熱量分布を、従来例のそれと比較参照できるように示している。
この実施例1は、周波数25000Hzの誘導加熱の場合で、定着ローラ12Aは、直径40mm、長手方向長さが350mm、その両端側の最端部から15mmの位置までの範囲内に、誘導コイル3から見て発熱層21の内側に、定着ローラ12Aの端部内周面に対向する0.8mm厚の銅の帯状の磁束遮蔽部材11Aを配置した。発熱層21は10μmの厚さの銀層、芯金層23は肉厚0.4mmのSUS304の層とした。
図5中のY軸は、各部分の発熱量Qを、中央部の発熱量Qoすなわちコイル直線部分の発熱量で割った値である。
従来例は、図12と同様の構成であり、磁束遮蔽部材を設置せず、定着ローラと誘導コイルの長手方向長さを略等しくした。定着ローラ端部は誘導コイルの折返し部により発生した磁束により加熱される。
同図中、従来例では、定着ローラ端部を加熱する誘導コイル折返し部により発生した磁束が誘導コイル中央部の磁束に対して少ないため、端部から最端部にかけて発熱量が低下している。この熱量分布では、連続通紙時に記録部材の端部で熱量不足による定着不良が発生する恐れがある。これに対し、本実施例では、磁束遮蔽部材11Aより5mm程度中央部に発熱のピークを持ち、それより端部部分では発熱量が急激に低下している。したがって、磁束遮蔽部材11Aの設置位置より5mm程度内側の部分を通紙領域とすることにより、シート状記録部材Pに均一な熱量を与えることができることとなる。
図5から、本実施例では、磁束遮蔽部材11Aが定着ローラ最端部を鎖交しようとした磁束を中央部に曲げて、磁束遮蔽部材11Aのエッジ部分にあたる定着ローラ2の部位の発熱量を大きくすることで、通紙領域を均一に誘導加熱することができることがわかる。しかも、定着ローラ2の最端部の発熱量が非常に小さいため、定着ローラ2の最端部より支持部分の軸受に伝熱する熱量が減少する。その上、最端部を鎖交しようとした磁束を中央部に曲げているので、誘導加熱により軸受け等の金属部品が加熱されなくなり、それら金属部材の耐熱温度を下げることができ、コストダウンを図ることができる。
なお、磁束遮蔽部材11Aは磁界発生ユニットである誘導コイル3が発する磁界の範囲内に設置されていればよく、上記実施例1と異なる形態も採り得る。
実施例1では、組付け性及び回転により磁束遮蔽部材11Aが磁界の範囲外に移動しないことを考慮して芯金層23の内周部側に設置したが、定着ローラ2内に磁束遮蔽部材11Aを設置する部品を設けてもよいし、定着ローラ2の外側かつ誘導コイル3の間に設置してもよい。
このような構成にすることで、磁束遮蔽部材11Aをリング状にする必要がなくなり、磁束遮蔽部材11Aの磁界に対する遮蔽範囲を調整することができるため、端部の発熱ピーク等を調整することができる。また、図6に示すように、磁束遮蔽部材11Aをリング状又はそれに近い態様で定着ローラ12Aの端部に接合してもよい。この場合、磁束遮蔽部材11Aと誘導コイル3の距離が近くなることにより、磁束遮蔽部材11Aが磁気回路に与える影響が大きくなり、最端部を透過しようとする磁束を中央部に曲げる効果が大きくなる。
上述のように、本実施形態においては、発熱部材である定着ローラ12Aの両端部内周面に対向して導電性を有する磁束遮蔽部材11Aを設けているので、定着ローラ12Aの端部の磁束を通紙域端部に集中させることができ、通紙域全域を均一に加熱することができる。また、定着ローラ12Aの導電性の発熱層21の厚さを、印加する交流電流の周波数における電流の浸透深さδ以下の厚みにすることで、磁束遮蔽部材11Aの磁束遮蔽効果を高めることができ、通紙域端部の発熱量を増加させて、通紙域全域を均一に加熱することができる。しかも、その発熱層21が非磁性であるので、導電層21の厚さを印加する交流電流の周波数における電流の浸透深さδ以下の厚みにすることが容易となる。
また、本実施形態においては、磁束遮蔽部材11Aの厚さが印加する交流電流の周波数における電流の浸透深さδ以上の厚みに設定されているので、磁束遮蔽部材11Aの磁束遮蔽効果をあげることができ、通紙域端部の発熱量を増加させて、通紙域全域を均一に加熱することができる。さらに、磁束遮蔽部材11Aを定着ローラ12Aの内周面側に、定着ローラ12Aと一体的に固定設置しているので、磁束遮蔽部材11Aと定着ローラ12Aの距離を短縮して磁束遮蔽部材11Aの磁束遮蔽効果を高めることができ、通紙域端部の発熱量を増加させて、通紙域全域を均一に加熱することができる。また、発熱部材を定着ローラ12Aとして誘導加熱により直接加熱することで、定着ローラ方式の利点である簡易な構成を損なうことなく、実質的な熱容量を小さくすることができ、装置の立上時間を短時間に抑えることができる。
[第2の実施の形態]
図7は、本発明に係る定着装置の第2の実施の形態を示す図である。なお、本実施形態は、上述の第1実施形態の定着装置と同一又は類似の構成部分を有しているので、そのような部分についは図1〜図6と同一の符号を用いて説明する。また、本実施形態は、請求項8〜10に対応している。
本実施形態の定着装置10Bは、図7(a)に示すように、ベルト定着方式を採用しており、例えば発泡シリコンゴムからなる弾性層を有した直径40mmの定着ローラ12Bと、定着ローラ12Bとの間にニップを形成する加圧ローラ4と、磁界発生ユニットを構成する誘導コイル3と、誘導コイル3により発生した磁界を外部に漏らさないように誘導コイル3の外方を覆うフェライトコア5と、少なくとも外周表面部に導電性の発熱層(導電層;符号なし)を有する発熱部材である無端の定着ベルト17Bと、定着ベルト17Bを回転(所定回転方向に移動)させる加熱ローラ18Bとを含んで構成されている。
この加熱ローラ18Bは、第1の実施の形態の定着ローラ12Bの場合と同様に、その長手方向における両端部分のローラ内周面側に一対の磁束遮蔽部材11Bを具備しており、これら磁束遮蔽部材11Bはそれぞれリング状に形成されている。
また、定着装置10Bにおけるシート状記録部材Pの通紙範囲は、図7(b)に示すように、定着ローラ12Bの軸方向において両磁束遮蔽部材11Bの間に位置する内側部分である。
本実施形態においては、加熱ローラ18Bが、上述の実施形態の定着ローラ12Bと異なり、加圧ローラ4と圧接してニップを形成する必要がないので、ローラ厚さを薄くすることができ、さらにローラ径を小さくすることができる。
これにより、誘導加熱される加熱ローラ18Bの金属が磁束から奪うエネルギーをより減少させることができ、誘導加熱エネルギーを定着ベルト17Bの有する発熱層(外周表面部)に集中させるともに、磁束遮蔽部材11Bがある部分と無い部分での磁気抵抗の差を大きくして磁束遮蔽部材11Bの磁束遮蔽効果を高めることができる。
(実施例2)
加熱ローラ18Bを直径20mmの金属ローラとして肉厚0.1mmのSUS304で形成し、また、発熱部材である定着ベルト17Bを表面から見て離型層、発熱層、基材層の三層で構成するとともに、その離型層に厚さ20μmのフッ素樹脂を、発熱層には厚さ10μmの銀を、基材層には厚さ50μmのポリイミド樹脂を、それぞれ使用して定着ベルト17Bを形成したところ、磁束遮蔽部材11Bの良好な磁束遮蔽効果が得られ、発熱部材である定着ベルト17Bの均一な加熱ができた。
本実施例では、より表面部分だけを加熱することができるため、定着装置10Bの実質的な熱容量を非常に小さくできる。また、発熱部材をベルト構成にすることより、加圧ローラとのニップを広く取ることができる。さらに、定着ローラを断熱性の高い発泡シリコンゴムにすることにより、定着ベルトから伝導する熱量を極限まで減らすことができる。
上述のように、本実施形態においては、発熱部材を定着ベルト17Bにして誘導加熱により直接加熱しているので、定着装置の熱容量を非常に小さくすることができ、立上時間を短くすることができる。また、定着ベルト17Bによりシート状記録部材Pを加熱することで、定着装置の熱容量を非常に小さくするとともに、定着ローラ12Bと加圧ローラ4によりニップを形成することで、ニップ幅の確保及び定着ベルト17Bの走行性を良好に確保することができる。
[第3の実施の形態]
図8は、本発明に係る定着装置の第3の実施の形態を示す図である。なお、本実施形態は、上述の第2実施形態の定着装置とほぼ同様な構成を有しているので、そのような部分についは図7と同一の符号を用いて説明する。また、本実施形態は、請求項9〜12に対応している。
本実施形態の定着装置10Cは、図8(a)に示すように、第2の実施の形態と同様にベルト定着方式を採用しており、例えば発泡シリコンゴムからなる弾性層を有した直径40mmの定着ローラ12Cと、定着ローラ12Cとの間にニップを形成する加圧ローラ4と、磁界発生ユニットを構成する誘導コイル3と、誘導コイル3により発生した磁界を外部に漏らさないよう誘導コイル3の外方を覆うフェライトコア5と、離型層、基材層からなる定着ベルト17Cと、定着ベルト17Cを回転移動させるとともに内方から加熱する加熱ローラ18C(発熱部材)とを含んで構成されている。加熱ローラ18Cは導電性の発熱層81(導電層)および芯金層82を有しており、実施例2の加熱ローラ8Bと同様に、加熱ローラ18Cの長手方向両端の端部部分の芯金内周面側にリング状の磁束遮蔽部材11Cが装着されている。そして、この定着装置10Cのニップ部分に給送されるシート状記録部材Pは、定着ベルト17Cからの加熱を受けながら定着ローラ12Cおよび加圧ローラ4によって加圧され、転写済みのトナー像を定着させる。
このように、発熱部材が加熱ローラ18Cであって定着ベルト17Cを巻き付けて定着を行う定着装置においては、定着ベルト17Cの回転中に定着ベルト17Cが加熱ローラ18Cの長手方向の片側に寄る「ベルト寄り」が生じると、定着ベルト17Cと接触しなくなった加熱ローラ18Cの端部部分が定着ベルト17Cに熱量を奪われないために異常に昇温するという問題が懸念されるが、本実施形態においては、加熱ローラ18Cの両端側の最端部の部分に磁束遮蔽部材11Cを設置しているので、その部分の加熱ローラ18Cの発熱が低減されており、ベルト寄りによるローラ端部の異常昇温を確実に防止することができる。
(実施例3)
加熱ローラ18Cを、直径20mmで、芯金層82には肉厚0.1mmのSUS304を使用し、その芯金表面に銅ペーストを5μm塗布して発熱層81とした。また、定着ローラ12Cは発泡シリコンゴムからなる弾性層を有する直径40mmのものとした。その結果、磁束遮蔽部材11Cの良好な磁束遮蔽効果が得られ、発熱部材である定着ベルト17Cの均一な加熱ができた。
本実施形態においては、第1の実施形態の効果に加えて、加熱ローラ18Cを発熱部材にすることで、定着ベルト17Cに金属層を入れる必要がなくなり、定着ベルト17Cの加工性や寿命が向上する。さらに、磁束遮蔽部材11Cを加熱ローラ18Cの内周面側に設置することで、磁束遮蔽部材11Cを設置するための支持部品を新たに備える必要がなく、装置構成を簡素化できる。
[第4の実施の形態]
図9〜図11は、本発明に係る定着装置の第4の実施の形態を示す図である。なお、本実施形態は、上述の第1実施形態の定着装置に後述する内側のフェライトコアを追加したものであり、第1実施形態とほぼ同様な構成を有しているので、同一の構成部分についは図1〜図6と同一の符号を用いて説明する。また、本実施形態は、請求項6および13にそれぞれ対応している。
本実施形態の定着装置10Dは、第1の実施形態の定着装置10Aのものと同様に発熱層21(導電層)、弾性層22および芯金層23を有する定着ローラ12D(発熱部材)の内方に、フェライトコア5と同様な素材からなる円柱状のフェライトコア6Dを設置したものであり、定着ローラ12Dの長手方向両端部部分に近いフェライトコア6Dの外周端部に磁束遮蔽部材11Dを固定設置している。
また、フェライトコア6Dはフェライトコア5を支持する図示しない支持部材に支持され、磁束遮蔽部材11Dと共に定着ローラ12Dの外部から同ローラ内の定位置に固定保持された状態となっている。磁束遮蔽部材11Dは誘導コイル3が発生する磁界の範囲に対応して半円状の形で設置されている。
本実施形態においては、誘導コイル3より発生する磁界は、図10に示す磁束A'のようにフェライトコア5とフェライトコア6Dを磁気経路とするため、誘導コイル3と発熱層21の磁気結合が非常に良くなり、効率的に誘導加熱を行うことができる。さらに、フェライトコア6Dと定着ローラ12Dの長手方向長さを略等しくし、フェライトコア6Dの最端部を磁束遮蔽部材11Dにより覆うことで、図11に示すように、磁束遮蔽部材11Dにより遮蔽された磁束B'が磁束遮蔽部材11Dのエッジ部分のフェライトコア6Dの磁性に引き付けられて、定着ローラ12Dの中央側のエッジに集中することになる。
したがって、定着ローラ12Dの通紙範囲の端部の発熱量がより増加し、定着ローラ12Dを長手方向に均一に加熱することができる。また、フェライトコア6D上に磁束遮蔽部材11Dを設置することで、磁束遮蔽部材11Dを支持するために部品点数を増加させる必要がなく、かつ、磁束遮蔽部材11Dの磁界に対する遮蔽範囲の調整が容易であり、容易に端部の発熱ピーク等を調整することができる。
本実施形態においては、上述の第1実施形態の効果に加えて、定着ローラ12D内にフェライトコア6Dを設け、磁束遮蔽部材11Dをフェライトコア6Dの外表面に固定支持させることで、誘導コイル3(磁束発生手段)側と定着ローラ12D(発熱部材)の導電層21側との磁気結合を良好にして、電力を効率よく発熱部材の発熱に投入することができるとともに、磁束遮蔽部材11Dを設置するための支持部品を新たに備える必要がなく、装置構成を簡素化できる。
[第5の実施の形態]
図12は、本発明に係る定着装置の第4の実施の形態を示す図であり、ベルト定着方式を採用した装置を示している。なお、本実施形態は、上述の各実施形態の定着装置と類似する構成を有しているので、同一又は類似の構成部分については図1〜図11と同一の符号を用いて説明する。また、本実施形態は、請求項6および13にそれぞれ対応している。
本実施形態の定着装置10Eは、第2の実施形態の定着装置10Bと同様な装置の加熱ローラ18Eの内方に、リング状の磁束遮蔽部材ではなく、上述の第4の実施形態と同様に、断面半円形の磁束遮蔽部材11Eと、フェライトコア5と同様な素材からなる円柱状のフェライトコア6Eを設置したものであり、加熱ローラ12Dの長手方向両端部部分に近いフェライトコア6Eの外周端部に磁束遮蔽部材11Eを固定設置している。
本実施形態では、定着ベルト17Eを移動可能にするため、加熱ローラ18E内にフェライトコア6Eを設置している。ここで、フェライトコア6Eはフェライトコア5を支持する支持部材に固定支持されることで、加熱ローラ18E内に固定保持されている。磁束遮蔽部材11Eは誘導コイル3が発生する磁界の範囲を覆うように、半円状の形で設置した。
発熱層は加熱ローラ18Eと定着ベルト17Eのどちらか片方に設ければよく、例えば定着ベルト17Eの外周表面部が導電性の発熱層となる。
本実施形態では、加熱ローラ18Eの両端部に近接する磁束遮蔽部材11Eによって外部への磁束を有効に抑制し、加熱ローラ18Eの両端部を十分加熱でき、上述の実施形態と同様な効果を得ることができる。また、加熱ローラ18E内にフェライトコア6Eを設け、磁束遮蔽部材11Eをフェライトコア6Eの外表面に固定支持させているので、誘導コイル3(磁束発生手段)側と定着ベルト17Eの導電層若しくは加熱ローラ18Eの導電層との磁気結合を良好にして、電力を効率よく発熱部材の発熱に投入することができるとともに、磁束遮蔽部材11Eを設置するための支持部品を新たに備える必要がなく、装置構成を簡素化できる。
以上説明したように、本発明は、発熱部材の端部の内周面に対向して導電性を有する磁束遮蔽部材を設け、発熱部材端部の磁束を端部側に集中させて発熱部材の全域を均等加熱するようにすることで、コイル端部での折返しのループ径を大きくする等の品質管理の困難なコイルを用いたりそのコイル性能によって発熱分布が左右されたりするといった問題を解消するとともに、コイルを発熱部材であるローラより長くすることでローラ最端部に具備される軸受け等が発熱してしまうという問題を解消し、かつ、発熱部材の均一な温度分布を得ることのできる定着装置を提供することができ、これを用いた高品質画像形成の可能な画像形成装置を提供することができるという効果を奏するものであり、誘導加熱方式の定着装置およびこれを備えた画像形成装置、特に、電子写真方式の複写機、プリンター、ファクシミリ装置等の画像形成装置で用いられるトナー定着用に好適な定着装置とこれを備えた画像形成装置全般に有用である。
10A、10B、10C、10D、10E 定着装置
11A、11B、11C、11D、11E 磁束遮蔽部材
12A、12D 定着ローラ(発熱部材)
17B、17E 定着ベルト(発熱部材、導電層)
18C、18E 加熱ローラ(発熱部材)
21 発熱層(導電層)
22 弾性層
23 芯金層
81 発熱層(導電層)
82 芯金層
11A、11B、11C、11D、11E 磁束遮蔽部材
12A、12D 定着ローラ(発熱部材)
17B、17E 定着ベルト(発熱部材、導電層)
18C、18E 加熱ローラ(発熱部材)
21 発熱層(導電層)
22 弾性層
23 芯金層
81 発熱層(導電層)
82 芯金層
Claims (16)
- 導電層を有し回転体を構成する発熱部材と、
前記発熱部材に対向して配置され、電磁誘導により前記導電層を誘導加熱する磁界発生ユニットと、を備えた定着装置であって、
導電性を有するとともに前記発熱部材の端部に対向する磁束遮蔽部材を設けたことを特徴とする定着装置。 - 前記発熱部材の導電層の厚さが、印加する交流電流の周波数における電流の浸透深さ以下の厚みであることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記発熱部材の導電層が非磁性であることを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。
- 前記磁束遮蔽部材の厚さが、印加する交流電流の周波数における電流の浸透深さ以上の厚みであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の定着装置。
- 前記磁束遮蔽部材が、前記発熱部材の内周面上に設置されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の定着装置。
- 前記発熱部材の内方に磁性コアが設けられ、前記磁束遮蔽部材が該磁性コアの外表面部に設置されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の定着装置。
- 前記発熱部材が定着ローラであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の定着装置。
- 前記発熱部材が定着ベルトであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載の定着装置。
- 請求項1乃至6のいずれか1つに記載の定着装置において、
定着ベルトと、
該定着ベルトを移動可能にする懸架する加熱ローラと、
前記定着ベルト内周面側に接する定着ローラと、
該定着ローラとの間に前記定着ベルトを挟んで該定着ベルトの外周面にニップを形成する加圧手段と、を設けたことを特徴とする定着装置。 - 前記発熱部材が定着ベルトであることを特徴とする請求項9に記載の定着装置。
- 前記発熱部材が加熱ローラであることを特徴とする請求項9に記載の定着装置。
- 前記磁束遮蔽部材が、前記加熱ローラの内周面側に設置されたことを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1つに記載の定着装置。
- 請求項9乃至11のいずれか1つに記載の定着装置において、
前記加熱ローラ内に磁性コアが設けられ、
前記磁束遮蔽部材が該磁性コアの外表面部に設置されたことを特徴とする定着装置。 - 前記磁束遮蔽部材が通紙サイズ領域の範囲外に設置されたことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1つに記載の定着装置。
- 前記磁界発生ユニットの長手方向長さが前記発熱部材の長手方向長さよりも短いことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1つに記載の定着装置。
- 請求項1乃至15のいずれか1つに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005056301A JP2006243172A (ja) | 2005-03-01 | 2005-03-01 | 定着装置およびこれを備えた画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005056301A JP2006243172A (ja) | 2005-03-01 | 2005-03-01 | 定着装置およびこれを備えた画像形成装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006243172A true JP2006243172A (ja) | 2006-09-14 |
Family
ID=37049666
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005056301A Pending JP2006243172A (ja) | 2005-03-01 | 2005-03-01 | 定着装置およびこれを備えた画像形成装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006243172A (ja) |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002236429A (ja) * | 2001-02-08 | 2002-08-23 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 定着装置 |
JP2003123957A (ja) * | 2001-10-12 | 2003-04-25 | Canon Inc | 加熱装置および画像形成装置 |
JP2004212919A (ja) * | 2002-11-15 | 2004-07-29 | Kyocera Mita Corp | 定着装置 |
WO2005038532A1 (ja) * | 2003-10-17 | 2005-04-28 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | 定着装置及び温度制御方法 |
-
2005
- 2005-03-01 JP JP2005056301A patent/JP2006243172A/ja active Pending
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002236429A (ja) * | 2001-02-08 | 2002-08-23 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 定着装置 |
JP2003123957A (ja) * | 2001-10-12 | 2003-04-25 | Canon Inc | 加熱装置および画像形成装置 |
JP2004212919A (ja) * | 2002-11-15 | 2004-07-29 | Kyocera Mita Corp | 定着装置 |
WO2005038532A1 (ja) * | 2003-10-17 | 2005-04-28 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | 定着装置及び温度制御方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5673053B2 (ja) | 定着装置、及び、画像形成装置 | |
JP4982000B2 (ja) | 定着装置、画像形成装置 | |
JP5403264B2 (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP5585839B2 (ja) | 定着装置、及び、画像形成装置 | |
JP5569159B2 (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP4636605B2 (ja) | 定着装置、及び、画像形成装置 | |
JP4917903B2 (ja) | 加熱装置、定着装置、加熱部材の温度制御方法及び画像形成装置 | |
JP2007003808A (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP2008129517A (ja) | 定着装置、及び画像形成装置 | |
JP4909083B2 (ja) | 加熱装置 | |
JP5470329B2 (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP2007334081A (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP2012093413A (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP2007017723A (ja) | 加熱装置、定着装置、及び、画像形成装置 | |
JP4999496B2 (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP4526019B2 (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP2008287136A (ja) | 定着装置、これを用いた画像形成装置 | |
JP2008257155A (ja) | 定着装置、これを用いた画像形成装置 | |
JP2007248600A (ja) | 無端ベルト駆動装置、定着装置、及び、画像形成装置 | |
JP2006243172A (ja) | 定着装置およびこれを備えた画像形成装置 | |
JP2005234000A (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP2017009710A (ja) | 定着装置 | |
JP4947685B2 (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP2007286080A (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP2019101364A (ja) | 定着装置および画像形成装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080225 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100713 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100819 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20101207 |