JP2005056595A - 加熱装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】省スペース化、記録材の多サイズ対応、低コスト化を図りつつ、小電力化・生産性を向上した誘導加熱定着装置を提供する。
【解決手段】磁束遮蔽部材3を可撓性のシートで形成し、複数重ね構成し、コイル5と定着ローラ7の間に配置し、可動であり、励磁コイル5を支持するホルダー2に付勢、接触させる。
【選択図】図2
【解決手段】磁束遮蔽部材3を可撓性のシートで形成し、複数重ね構成し、コイル5と定着ローラ7の間に配置し、可動であり、励磁コイル5を支持するホルダー2に付勢、接触させる。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁(磁気)誘導加熱方式の加熱装置、および該加熱装置を画像加熱定着装置(以下、定着装置と略称する)として備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
便宜上、電子写真複写機・プリンタ・ファックス等の画像形成装置における定着装置を例にして説明する。
【0003】
この種の定着装置は、画像形成装置の作像部において電子写真・静電記録・磁気記録等の適宜の画像形成プロセス手段により、被加熱材(記録材)面に直接方式若しくは間接(転写)方式で形成した加熱溶融性の樹脂等よりなるトナー(顕画剤)画像を該被加熱材面に永久固着画像として加熱定着処理する装置である。
【0004】
従来、このような定着装置としては、熱ローラ方式、フィルム加熱方式、電磁誘導加熱方式等の各種装置がある。
以下、各種方式について詳述する。
【0005】
a.熱ローラ方式
この方式は、ハロゲンランプ等の熱源を内蔵させて所定の定着温度に加熱・温調した金属定着ローラ(熱ローラ)と加圧ローラとの回転ローラ対からなり、該ローラ対の圧接ニップ部(定着ニップ部)に未定着トナー画像を形成担持させた被加熱材を導入して挟持搬送させることで、未定着トナー画像を該被加熱材面に加熱定着する装置である。
【0006】
しかしながら、この装置は金属定着ローラの熱容量が大きいため、加熱に要する電力が大きく、ウエイトタイム(装置電源投入時からプリント出力可能状態になるまでの待ち時間)が長い等の問題があった。
【0007】
また、フルカラー画像形成装置用の定着装置の場合は、最大4層のトナー層を十分加熱溶融させる能力が要求されるために、金属定着ローラはその芯金を高い熱容量を有するものにし、またトナー層を包み込んで均一に溶融するために芯金外周にゴム弾性層を具備させ、このゴム弾性層を介してトナー像の加熱を行なっている。
【0008】
このように、特に熱容量の大きな金属定着ローラを用いる装置の場合には、この金属定着ローラの温調とローラ表面の昇温とに遅延が発生するため、定着不足、光沢ムラ、オフセット等の問題が発生していた。
【0009】
b.フィルム加熱方式
この方式は、一方の面が加熱体と摺動し他方の面が被加熱材と接して移動するフィルムを有し、加熱体の熱をフィルムを介して被加熱材に付与して、未定着トナー画像を被加熱材面に加熱定着処理する装置である(特開昭63−313182号公報、特開平2−157878号公報、特開平4−44075号公報〜特開平4−44083号公報、特開平4−204980号公報〜特開平4−204984号公報等)。
【0010】
このようなフィルム加熱方式の装置は、加熱体として低熱容量のセラミックヒータ等を、フィルムとして耐熱性で薄い低熱容量のものを用いることができる。
【0011】
この結果、熱容量が大きい金属定着ローラを用いる熱ローラ方式の装置に比べて格段に省電力化・ウエイトタイム短縮化が可能となり、クイックスタート性があり、また機内昇温を抑えることができる等の利点がある。
【0012】
c.電磁誘導加熱方式
この方式は、加熱体として電磁誘導発熱体を用い、この電磁誘導発熱体に磁場発生手段で磁場を作用させて該電磁誘導発熱体に発生する渦電流に基づくジュール発熱で被加熱材に熱を付与して、未定着トナー画像を被加熱材面に加熱定着処理する装置である。
【0013】
特公平5−9027号公報には強磁性体の金属定着ローラを電磁誘導加熱する熱ローラ方式の装置が開示されており、発熱位置を圧接ニップ部に近くすることができ、ハロゲンランプを熱源として用いた熱ローラ方式の装置よりも高効率の定着プロセスを達成している。
【0014】
しかしながら、金属定着ローラの熱容量が大きいため、限られた電力で圧接ニップ部の温度を上昇させるためには大きな電力を必要とするという問題があった。
【0015】
特開平4−166966号公報には熱容量を低減したフィルム状の金属定着ローラを用いた電磁誘導加熱方式の定着装置が開示されている。
【0016】
しかしながら、熱容量を低減したフィルム状の金属定着ローラでは、長尺方向(圧接ニップ部長手方向)の熱流が阻害されるため、小サイズ被加熱材を通材した場合に非通材部での過昇温(非通材部昇温)が発生して、フィルムや加圧ローラの寿命を低下させるという問題が発生していた。
【0017】
この非通材部昇温の問題は前記b項のフィルム加熱方式の装置の場合も同様である。
【0018】
特開平9−171889号公報・特開平10−74009号公報に、定着ローラ(フィルム)の長手方向に関する磁束発生手段から誘導発熱体に対する作用磁束の密度分布を変化せしめる磁束調整手段を有することを特徴とする加熱装置が開示されている。
【0019】
この電磁誘導加熱方式の定着装置により、非通紙部昇温を解決する1つの方法が示された。
【0020】
特開平9−171889号公報・特開平10−74009号公報はフィルム状の誘導発熱体を加熱させた構成を実施例としているが、円筒状の誘導発熱体を定着ローラにした構成に対しても非通紙部昇温の問題の対策として効果があると考えられる。
【0021】
その他の非通紙部昇温を解決する方法としては、小サイズ記録材を通紙したときに定着スピードを遅くする方法もある。
【0022】
定着スピードを遅くすることで、定着ローラの端部方向(非通紙部)への熱移動時間を設けている。
【0023】
しかし、この方法では画像形成装置の生産性を低下する問題がある。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように周知の電磁誘導加熱の定着器を用いた画像形成装置では次のような問題を抱えている。
【0025】
特開平9−171889号公報については以下の問題がある。
定着フィルム(ローラ)の外部に磁束遮蔽部材の待機スペースが必要である。
定着フィルムの内部で磁束遮蔽部材を回転移動させる構成では、コイル・コアを保持するホルダー兼フィルムガイド部材の内側に磁束遮蔽部材があるために磁束遮蔽部材とコイルが接触し、コイルを破損することが考えられる。
【0026】
さらに、記録材を定着フィルムの中央で送る場合(中央基準の記録材搬送系)、磁束遮蔽手段の待機スペースおよび磁束遮蔽部材の駆動手段スペースが、定着フィルム長手方向の両側に必要である。
【0027】
特開平10−74009号公報については以下の問題がある。
定着フィルム(ローラ)の外部に磁束遮蔽部材の待機スペースが必要である。
定着フィルムの内部で磁束遮蔽部材を回転移動させる構成では、定着加圧部材(フィルムガイド部材)を磁気遮蔽部材が兼ねているため、回転移動時にフィルムとの擦れによって定着フィルムの破損・劣化が考えられる。
定着加圧荷重が作用しているために、磁束遮蔽部材の回転時に大きなトルクを必要とする。
【0028】
以上の様に2つの公報では、省スペース化、記録材の多サイズ対応、低コスト化を実現するにはいくつかの課題がある。
【0029】
【課題を解決するための手段】
本発明ではこのような問題を解決した磁束遮蔽手段を用いた誘導発熱方式の定着器を提案するものである。
【0030】
これにより、省スペース化、記録材の多サイズ対応、低コスト化を図りつつ、省電力化・生産性を向上した定着装置を実現するものである。
【0031】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図1〜5に本発明の第1の実施例を示す。
【0032】
図1は定着ローラ長手方向を説明する図、図2は定着ローラの断面構成を説明する図、図3〜5は磁束遮蔽手段を説明する図である。
【0033】
磁束発生手段1は励磁コイル5(以下コイルと称す)と磁性体コア6(以下コアと称す)、コイル5とコア6を保持するホルダ2、コア6を覆うホルダフタ19などから成る。
【0034】
コイル5は定着ローラ7の長手方向に略楕円形状(横長舟形)をしており、定着ローラ7の内面に沿うようにホルダ2の内部に配置されている。
【0035】
コア6はコイル5の巻き中心部にある第1コア6a(垂直部)と上部に第2コア6b(水平部)が配置されてT字型コアを構成している。
【0036】
コイル5としては加熱に充分な交番磁束を発生するものでなければならないが、そのためには抵抗成分を低く、インダクタンス成分を高くとる必要がある。
【0037】
コイルの芯線としてはφ0。1〜φ0。3の細線を略80〜160本程度に束ねたリッツ線を用いている。
【0038】
細線には絶縁被覆電線を用いている。
【0039】
コア6aを周回するように8〜12回巻回してコイル5を構成したものが使われる。
【0040】
コイル5には励磁回路が接続されており交番電流をコイル5へ供給できるようになっている。
【0041】
コアにはフェライト、パーマロイなどの高透磁率で残留磁束密度の低いものを用いることが良いが、磁束を発生できるものであればよく、特に規定するものではない。
【0042】
本発明は、コアの形状・材質を規定するものではない。
【0043】
第1の実施例の第1コア6a、第2コア6bを一体成型でT字型にしても本発明の効果を得ることができる。
【0044】
第1実施例の誘導発熱体としての円筒状の定着ローラ7は、鉄・ニッケル・コバルトなどの金属を用いると良い。
【0045】
強磁性の金属(透磁率の大きい金属)を使うことで、磁束発生手段から発生する磁束を金属内により多く拘束させることができる。
すなわち、磁束密度を高くすることができる。
【0046】
それにより、効率的に強磁性金属の表面に渦電流を発生させ、発熱させられる。
【0047】
定着ローラの肉厚は、略0。3〜2mm程度にすることで熱容量を低減している。
【0048】
定着ローラの外側表面には不図示のトナー離型層がある。
【0049】
一般にはPTFE10〜50μmやPFA10〜50μmで構成されている。
【0050】
また、トナー離型層の内側にはゴム層を用いる構成にしても良い。
本発明の定着ローラ長手方向の磁束調整手段は、磁束遮蔽部材3、ホルダ2、駆動軸31、駆動ギヤ32、テンション軸33が主な構成要素である。
【0051】
本発明では磁束遮蔽部材3が可撓性の無端ベルト状に形成されていることを特徴とする。
【0052】
磁束遮蔽部材3は駆動軸31、テンション軸33、ホルダ2によって張架・支持される。
【0053】
テンション軸33は支持部材13・17に軸受34a・34bを介して回転自在・及び図1における上下方向に移動自在を支持される。
【0054】
そしてテンションバネ35a・35bにより磁束遮蔽部材3に所定の張力を付与する。
【0055】
駆動軸31は支持部材13・17に軸受37a・37bを介して回転自在に支持される。
【0056】
駆動軸31には駆動ギヤ32が一体的に構成され、不図示の駆動手段から回転駆動が与えられる。
【0057】
駆動手段の駆動源はステッピングモータが適当である。
【0058】
また駆動軸31は表面に不図示の高摩擦層(例えばゴム層・ウレタンコート・サンドブラスト処理など)が形成され、テンション軸による張力付与とともに駆動力が磁気遮蔽部材に滑ることなく伝達できるように構成されている。
【0059】
磁気遮蔽部材3の端部にはその円周上の一部に突出部30が形成され、磁気遮蔽部材などを支持する支持部材17上にこの突出部を検出する遮光式のセンサ36が設置されている。
【0060】
センサ36の検知信号により駆動源のステッピングモータを駆動・制御することで、磁気遮蔽部材3を所定の円周方向位置に移動・停止することが可能となる。
【0061】
なお、磁気遮蔽部材の円周方向位置の検知方式・駆動制御方式・駆動源の種類はこれに限定されるものではなく、本発明はこの構成に限定されない。
【0062】
ホルダ2は支持軸2a側を支持部材13、支持軸2b側を支持部材17で支持されている。
【0063】
支持軸2aと支持部材13の勘合部の形状はD字形状(Dカット)で勘合する構成である。
【0064】
D字形状にすることで、ホルダ2を定着ローラ円周方向において位置決めをしている。
【0065】
ホルダ2の材質は耐熱性と機械的強度を兼ね備え、かつ非磁性であることが必要である。
【0066】
また、可動な磁気遮蔽部材3を支持する為。摺動性が高いことも必要となる。
【0067】
例えばPPS系樹脂、PEEK系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、そしてそれらにガラスを添加したものが適している。
【0068】
ホルダ支持軸2b側は、コイル5への電力を供給しているコイル供給線15のガイドを兼ねた形状をしている。
【0069】
コイル供給線15の端部にはコネクタ部15aが設けられ電力制御装置25に接続する構成である。
【0070】
磁束遮蔽部材3は無端ベルト状に形成されている。
【0071】
図3に磁束遮蔽部材3を展開した図を示す。
【0072】
また、図4に磁束遮蔽部材3の断面構成を拡大した図を示す。
【0073】
磁束遮蔽部材3は無端ベルト状の基層3aと遮蔽層3b・3cで構成される。
【0074】
基層3aは非磁性で電気絶縁性があり耐熱性に優れた樹脂であるポリイミド樹脂などが適している。
【0075】
厚さは50μm〜200μm程度でよい。
【0076】
基層3aは磁束遮蔽部材3の内周側に形成されている。
【0077】
これによってホルダ2・駆動軸31・テンション軸34に直接遮蔽層が接触することを避けて、これらを保護する効果がある。
【0078】
遮蔽層3b・3cは非磁性で良導電性部材料が適している。
【0079】
非磁性であることで磁束を遮蔽する効果がある。
【0080】
良導電性であることで遮蔽層自身の電磁誘導の発熱を抑える効果がある。
【0081】
実施例では銅合金を用いたが、アルミニウム・マグネシウム・銀などの合金でもよい。
【0082】
厚さは100μm〜500μm程度でよい。
【0083】
遮蔽層3b・3cは基層3aに接着することで一体化している。
【0084】
遮蔽層は図5のように保護層3dによって基層3aとの間に挟みこみ、遮蔽層の保護をしてもよい。
【0085】
この場合の保護層3dは基層と同等の材質を用い、厚さは50μm〜200μm程度でよい。
【0086】
また、保護層3dは遮蔽層3b、3cに対応する部分のみを覆う構成でも、基層3a全域を覆う無端ベルト状の構成でもよい。
【0087】
遮蔽層3b・3cは紙サイズに対応した段階的に変化している形状になっている。
【0088】
本発明の磁束遮蔽部材は、その円周上の位置を紙サイズに対応した所定の箇所を駆動手段により移動して、コア6aの対向部に位置決めする。
【0089】
コア6aから定着ローラへと通る磁束線を遮蔽することで、遮蔽部(非通紙部)の定着ローラの発熱を緩和し、異常温度上昇を防止する。
【0090】
この作用を図6に示す磁気回路のイメージを用いて説明する。
図6の磁力線Ja(2点鎖線)は、磁束発生手段1に電力制御装置25から電力を入力した時の、発生した磁力線の磁気回路を示したものである。
【0091】
磁力線Jaは、第1コア6a(垂直部)、定着ローラ7、第2コア6b(水平部)を通過する。
【0092】
実際には磁力線は透磁率の高い定着ローラの内部を通るが、説明をわかりやすくするために図6の様に示した。
【0093】
ここで、電磁誘導加熱による発熱箇所について考えてみる。
【0094】
発熱箇所はコイル5の対向する定着ローラ部で特に大きくなる。
【0095】
これは第1コア6aと第2コア6bを磁力線が行き来するように発生するために、コイル5の対向する定着ローラ部において磁束密度が高くなるためと考えられる。
【0096】
このことを考慮に入れ、本発明の磁束発生手段はニップ部Nおよびその前方に発熱部がくるように傾いた配置にしている。
【0097】
定着ローラは図2のA方向に回転するため、このように配置することで磁束発生手段による発熱をニップ部Nにおいて被加熱物に効率よく伝達することができる。
【0098】
磁束調整手段は上述の原理に基づくものである。
【0099】
本発明の磁束調整手段は磁束遮蔽手段3によって定着ローラ内部を行き来する磁束の通路を変化させている。
【0100】
これにより定着ローラ長手方向の電磁誘導の発熱を制御するのである。
【0101】
実施例は、図3において非通紙部昇温の起こらない紙サイズ幅A(最大紙サイズ)より小さい紙サイズ幅Bおよび紙サイズ幅Cの3種類の磁束調整が可能な構成である。
【0102】
非通紙部昇温が起こらない紙サイズAのとき、磁束遮蔽部材3の遮蔽層3b・3cは図6(a)のように磁気回路Jaに影響の少ない範囲に待機している。
【0103】
このとき紙サイズ幅Aの全域で定着が可能である。
【0104】
非通紙部昇温が起こる紙サイズBのとき、磁束遮蔽部材3は遮蔽層3b・3cが図6(b)に示す位置にくるように回転移動する。
【0105】
図6(b)に示す磁気回路は、紙サイズBにおける非通紙部である図3のBa・Bbの範囲のもので、Jbのようになる。
【0106】
遮蔽層3b・3cが磁束の流れを阻害し、定着ローラ内部を通る磁束は図6(a)に較べて小さくなっている。
【0107】
これにより非通紙部Ba・Bbの範囲では電磁誘導による発熱が減少し、非通紙部昇温を抑えることができる。
【0108】
このとき紙サイズ幅Bすなわち遮蔽層3a・3cの幅Bが定着可能領域となる。
【0109】
非通紙部昇温が起こる紙サイズCのときも同様である。
【0110】
磁束遮蔽部材3は遮蔽層3b・3cが図6(c)に示す位置にくるようにさらに回転移動する。
【0111】
図6(c)に示す磁気回路は、紙サイズCにおける非通紙部のうち図3のCa・Cbの範囲のもので、Jc、Jc’のようになる。
【0112】
その外側の範囲であるBa・Bbでは遮蔽層3b・3cが磁束の流れを完全に遮蔽し、定着ローラ内部に磁束が通らない状態になる。
【0113】
従って紙サイズCの非通紙部(Ca+Ba)、(Cb+Bb)の範囲では定着ローラ内部を通る磁束は図6(a)に較べて小さくなっている。
【0114】
これにより非通紙部(Ca+Ba)、(Cb+Bb)の範囲では電磁誘導による発熱が減少し、非通紙部昇温を抑えることができる。
このとき紙サイズ幅Cすなわち遮蔽層3a・3cの幅Cが定着可能領域となる。
【0115】
以上のように本実施例においては、磁束遮蔽部材が待機状態においても定着ローラ内部に配置されること、スラスト方向両側に配置された磁束遮蔽層を一体的に形成しているため駆動を片側で行えることから、スラスト方向の省スペース化に有効である。
【0116】
コイル5はホルダ2により保護されていて、磁束遮蔽部材3の移動によりコイルを破損することはない。
【0117】
磁束遮蔽部材を移動させるときに、定着ローラと接触していないので回転トルクが小さく、また、定着ローラへのダメージがない。
【0118】
また、定着ローラを効率よく発熱させるにはコイル5と定着ローラの距離(図6(a)のL部)をできるだけ小さくするとよい。
【0119】
本実施例では磁束遮蔽部材をベルトのような可撓性の部材で形成したため、ホルダ外周に倣わせることができるので、距離Lを小さくすることができ、高効率の電磁誘導加熱が可能となる。
【0120】
次に、第1の実施例の画像形成動作を説明する。
【0121】
図7は本発明の加熱装置による定着装置10を備えた画像形成装置100を説明する図である。
【0122】
画像形成装置100は画像読取部108で原稿の画像を読み取り、読み取られた画像データに基づいたコントローラ(図示せず)からの指令により、感光ドラム101の表面に画像書き込み部109から露光を行って感光ドラム101上に静電潜像を形成する。
【0123】
なお、露光の前に感光ドラム101の表面が対電器102により所定の電位に一様に帯電されており、一様に帯電させられた感光ドラム101上に、画像書き込み部109からレーザー光等を照射することにより、感光ドラム101上に静電潜像が形成される。
【0124】
感光ドラム101上に形成された静電潜像は、現像装置103のトナーにより現像され、その後、現像されたトナー画像が感光ドラム101の回転により転写装置104との対向部へ搬送される。
【0125】
現像されたトナー画像の搬送に対応して、ピックアップローラ132により用紙Sが用紙カセットから1枚ずつ給紙されるとともに、レジストローラ対135によってタイミングを取って感光ドラム101と転写装置104との対向部へ搬送される。
【0126】
そして用紙Sが感光ドラム101と転写装置104との対向部を通過する際に、感光ドラム101上の現像されたトナー画像が転写装置104により用紙Sの上に転写される。
【0127】
トナー画像が転写された用紙Sは、所定の搬送装置により定着ローラ7の位置に搬送され、定着ローラ7と加圧ローラ8で圧接されるとともに、定着ローラ内に設けられた磁束発生手段により電磁誘導加熱されて、用紙S上のトナーが用紙Sに溶融定着させられる。
【0128】
その後、トナー画像が定着された用紙Sは、排紙ローラ111により装置本体外部のトレー115に収納され一連の画像形成プロセスが終了する。
【0129】
定着装置10の動作を詳しく説明する。(図1、2参照)
定着ローラ7は定着ローラギヤ18により矢印Aの方向に回転し、それに伴ない加圧ローラ8も従動して矢印Bの方向に回転する。
【0130】
加圧ローラ8は鉄製の芯金の外周に、シリコーンゴム層と定着ローラ7と同様にトナー離型層を設けた構成である。
【0131】
転写部位104において静電的に形成されたトナー像を担持する用紙Sが用紙搬送路H(1点鎖線)を矢印C方向から前記ニップNに搬送されて該部を通過すると、加熱されたトナー像が用紙Sに溶融固着されて機外に排出されるものとする。
【0132】
また、用紙Sが定着ローラに巻きつくのを抑え、定着ローラ7から分離させる分離爪が配置されている。
【0133】
(実施例2)
第2の実施例は、第1の実施例に対し磁束遮蔽部材3が無端ベルト状ではなく、有端のシート状の可撓性部材で形成されていることを特徴とする。
【0134】
第1の実施例と重複するところの説明は省略し、本実施例における特徴的な上記の部分のみ説明する。
【0135】
図8は定着ローラの断面構成を説明する図、図9は磁束遮蔽手段を説明する図である。
【0136】
磁束遮蔽手段3は、その両端部を第1駆動軸31および第2駆動軸38に一体的に固着されて構成されている。
【0137】
磁束遮蔽手段3は、第1駆動軸31または第2駆動軸38に巻きつけられ、その間にホルダ2を配置することで、ホルダ2に接触した状態でホルダ2の円周方向に移動自在に支持される。
【0138】
磁束遮蔽部材3を図8の矢印A方向に移動させるときは、第1駆動軸31を図示しない駆動源により矢印a方向に回転させ、第2駆動軸38は従動回転する。
【0139】
一方磁束遮蔽部材3を矢印Bに移動させるときは、第2駆動軸38を図示しない駆動源により矢印b方向に回転させ、第1駆動軸31は従動回転する。
【0140】
このようにして、磁束遮蔽手段3は所定の位置に移動・停止することが可能となる。
【0141】
図10に磁束遮蔽部材3を展開した図を示す。
【0142】
磁束遮蔽部材3の構成は第1の実施例と同様である。
【0143】
磁束遮蔽部材3は、上記のように第1駆動軸31または第2駆動軸38に巻きつけられる有端の可撓性部材で形成されるから、駆動軸31・38に数周に渡り巻きつけて収納可能である。
【0144】
従って、第1の実施例のように無端ベルトで形成される場合に較べ、可動方向の長さを大きく設定できる。
【0145】
従って第1の実施例に対し遮蔽層3b・3cの紙サイズに応じた段階的に変化する段数を多く構成できる。
【0146】
実施例では最大紙サイズ幅A(磁気遮蔽無し)・A1・A2・A3・A4の5種類の紙サイズに対応できる形状になっているが、段数はこの例に限らない。
【0147】
通常、画像形成装置で通紙できる紙サイズはメートル系であれば、A4(幅297mm)、B4(幅257mm)、A4R(幅210mm)、B5R(182mm)、A5R(148mm)等、多種に及ぶ。
またインチ系に対応しようとすれば、レター(幅267mm)、リーガル(幅216mm)、ステートメントR(幅140mm)等、種類はさらに増加する。
【0148】
非通紙部昇温防止のための磁気遮蔽部材の遮蔽幅は、通紙する紙サイズに対応していなければ効果が減少する。
【0149】
本実施例によると1つの磁束遮蔽部材によって多種類の紙サイズに対応できるため、非通紙部昇温を防止しつつ多種の紙サイズに対応する高機能な画像形成装置を提供できる。
【0150】
(実施例3)
第3の実施例は、第1の実施例に対し複数の磁束遮蔽部材を重ねて構成したことを特徴とする。
【0151】
第1の実施例と重複するところの説明は省略し、本実施例における特徴的な上記の部分のみ説明する。
【0152】
図10は定着ローラの断面構成を説明する図、図11〜13は磁束遮蔽手段を説明する図である。
【0153】
第1磁束遮蔽手段301は第1駆動軸31、テンション軸34とホルダ2によって張架・支持される。
【0154】
第2磁束遮蔽手段302は第1磁束遮蔽手段301の外周側に重なり、第1駆動軸・テンション軸34・第2駆動軸・ホルダ2によって張架・支持される。
【0155】
テンション軸34は第1の実施例と同様に構成され、第1磁束遮蔽部材301及び第2磁束遮蔽部材302に同時に所定の張力を付与する。
【0156】
第1駆動軸31は不図示の駆動源により駆動される。
【0157】
また、第1駆動軸31の表面に高摩擦層が形成され、テンション軸34による張力付与とともに駆動力が第1磁気遮蔽部材301に滑ることなく伝達できるように構成されている。
【0158】
第2駆動軸38は不図示の駆動源により駆動される。
【0159】
また、第2駆動軸38の表面に高摩擦層が形成され、テンション軸34による張力付与とともに駆動力が第2磁気遮蔽部材302に滑ることなく伝達できるように構成されている。
【0160】
磁気遮蔽部材を移動させるとき第1磁気遮蔽部材301と第2磁気遮蔽部材302の間にも摩擦力が作用するが、それぞれの駆動軸31、38とそれぞれの駆動する磁気遮蔽部材301、302との拘束力が上回るように設定することで、それぞれの磁気遮蔽部材301、302はそれぞれの駆動軸31、38により独立して駆動することが可能になっている。
【0161】
このようにして、磁束遮蔽部材301、302はそれぞれ所定の位置に移動・停止することが可能となる。
【0162】
図11に第1磁束遮蔽部材301を展開した図を示す。
【0163】
磁束遮蔽部材301の構成は第1の実施例と同様である。
【0164】
遮蔽層301b・301cは紙サイズ幅A1・A2に応じた段階的な形状になっている。
【0165】
図12に第2磁束遮蔽部材302を展開した図を示す。
【0166】
磁束遮蔽部材302の構成は第1の実施例と同様である。
【0167】
遮蔽層302b・302cは紙サイズ幅A3・A4に応じた段階的な形状になっている。
【0168】
図13に磁束遮蔽部材301・302を重ね合わせた状態の展開図を示す。
【0169】
遮蔽層301b・301c・302b・302cによって、最大紙サイズ幅A(磁気遮蔽無し)・A1・A2・A3・A4の5種類の紙サイズに対応できる形状になっている。
段数はこの例に限らないのは無論である。
【0170】
通常、画像形成装置で通紙できる紙サイズはメートル系であれば、A4(幅297mm)、B4(幅257mm)、A4R(幅210mm)、B5R(182mm)、A5R(148mm)等、多種に及ぶ。
またインチ系に対応しようとすれば、レター(幅267mm)、リーガル(幅216mm)、ステートメントR(幅140mm)等、種類はさらに増加する。
【0171】
非通紙部昇温防止のための磁気遮蔽部材の遮蔽幅は、通紙する紙サイズに対応していなければ効果が減少する。
【0172】
本実施例によると多種類の紙サイズに対応できるため、非通紙部昇温を防止しつつ多種の紙サイズに対応する高機能な画像形成装置を提供できる。
【0173】
また、画像形成装置は出力する紙サイズを検知して磁束遮蔽部材をこの紙サイズと適合するように移動・停止するまである程度の時間を要する。
【0174】
この間用紙を定着部に通紙すると、磁束遮蔽手段の遮蔽幅が次に通紙する紙幅より大きい場合は非通紙部昇温を起こしたり、逆に磁束遮蔽手段の遮蔽幅が次に通紙する紙幅より小さい場合は両端部の温度が低すぎて不完全な定着による定着オフセット現象を起こす不具合が生じる。
【0175】
従って正規の磁束遮蔽手段の位置にくるまで通紙ができないタイムラグが発生し、生産性が悪化する。
【0176】
本実施例によれば多種に及ぶ紙サイズに対応する磁束遮蔽部材を複数に分割することができる。
【0177】
個々の磁束遮蔽手段の周長は小さくなるため、所望の紙サイズに対応する遮蔽幅の磁束遮蔽手段の位置への移動距離は短くなり、上記タイムラグが減少するため、生産性が高く、かつ多種の紙サイズに対応する画像形成装置を提供できる。
【0178】
【発明の効果】
本発明では、定着ローラ(またはフィルム)の外部に磁束遮蔽部材の待機スペースを無くすことができるので省スペース化が実現でき、画像形成装置本体の大きさを抑える効果がある。
【0179】
従来の磁束遮蔽部材を回転させる構成では、磁束遮蔽部材とコイルが接触し、コイルを破損することが考えられたが、本発明ではコイルと磁束遮蔽手段の接触を無くすことができる。
【0180】
従来は用紙が定着フィルムの中央を送る場合(中央基準の紙搬送系)、磁束遮蔽部材の待機スペースおよび磁束遮蔽部材の駆動スペースが、定着フィルム長手方向の両側に必要であったが、本発明では定着ローラの内部に磁束遮蔽部材を待機させるとともに、駆動手段を片側に配置することができるので、省スペース化が実現でき、画像形成装置本体の大きさを抑えること効果がある。
【0181】
本発明では定着スピードを落とすことなく非通紙部昇温の解決ができるので、画像形成の生産性の向上につながる。
【0182】
従来の定着フィルムの内部で磁束遮蔽手段を回転移動させる構成では、定着加圧部を磁束遮蔽部材が兼ねているため、回転移動時にフィルムとの擦れによって定着フィルムの破損・劣化や、磁束遮蔽部材の回転駆動トルク上昇が考えられたが、本発明では磁束遮蔽部材が定着フィルム(定着ローラ)に接触しない為定着フィルム(定着ローラ)の破損・劣化を無くすことができ、駆動トルクが軽減する。
【0183】
以上により本発明は省スペース化・低コスト化をはかりつつ、小電力化・生産性を向上した磁束遮蔽手段を用いた電磁誘導発熱式の定着装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施例の定着ローラの長手方向を説明する図
【図2】本発明に係る第1の実施例の定着ローラの断面構成図
【図3】本発明に係る第1の実施例の磁束遮蔽手段の展開図
【図4】本発明に係る第1の実施例の磁束遮蔽手段の詳細図
【図5】本発明に係る第1の実施例の磁束遮蔽手段の詳細図
【図6】本発明に係る第1の実施例の磁束遮蔽手段による磁気回路を説明する図
【図7】本発明に係る画像形成装置の断面図
【図8】本発明に係る第2の実施例の定着ローラの断面構成図
【図9】本発明に係る第2の実施例の磁束遮蔽手段の展開図
【図10】本発明に係る第2の実施例の定着ローラの断面構成図
【図11】本発明に係る第2の実施例の磁束遮蔽手段の展開図
【図12】本発明に係る第2の実施例の磁束遮蔽手段の展開図
【図13】本発明に係る第2の実施例の磁束遮蔽手段の展開図
【符号の説明】
2 ホルダ
3 磁束遮蔽部材
5 コイル
6 コア
7 定着ローラ
8 加圧ローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁(磁気)誘導加熱方式の加熱装置、および該加熱装置を画像加熱定着装置(以下、定着装置と略称する)として備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
便宜上、電子写真複写機・プリンタ・ファックス等の画像形成装置における定着装置を例にして説明する。
【0003】
この種の定着装置は、画像形成装置の作像部において電子写真・静電記録・磁気記録等の適宜の画像形成プロセス手段により、被加熱材(記録材)面に直接方式若しくは間接(転写)方式で形成した加熱溶融性の樹脂等よりなるトナー(顕画剤)画像を該被加熱材面に永久固着画像として加熱定着処理する装置である。
【0004】
従来、このような定着装置としては、熱ローラ方式、フィルム加熱方式、電磁誘導加熱方式等の各種装置がある。
以下、各種方式について詳述する。
【0005】
a.熱ローラ方式
この方式は、ハロゲンランプ等の熱源を内蔵させて所定の定着温度に加熱・温調した金属定着ローラ(熱ローラ)と加圧ローラとの回転ローラ対からなり、該ローラ対の圧接ニップ部(定着ニップ部)に未定着トナー画像を形成担持させた被加熱材を導入して挟持搬送させることで、未定着トナー画像を該被加熱材面に加熱定着する装置である。
【0006】
しかしながら、この装置は金属定着ローラの熱容量が大きいため、加熱に要する電力が大きく、ウエイトタイム(装置電源投入時からプリント出力可能状態になるまでの待ち時間)が長い等の問題があった。
【0007】
また、フルカラー画像形成装置用の定着装置の場合は、最大4層のトナー層を十分加熱溶融させる能力が要求されるために、金属定着ローラはその芯金を高い熱容量を有するものにし、またトナー層を包み込んで均一に溶融するために芯金外周にゴム弾性層を具備させ、このゴム弾性層を介してトナー像の加熱を行なっている。
【0008】
このように、特に熱容量の大きな金属定着ローラを用いる装置の場合には、この金属定着ローラの温調とローラ表面の昇温とに遅延が発生するため、定着不足、光沢ムラ、オフセット等の問題が発生していた。
【0009】
b.フィルム加熱方式
この方式は、一方の面が加熱体と摺動し他方の面が被加熱材と接して移動するフィルムを有し、加熱体の熱をフィルムを介して被加熱材に付与して、未定着トナー画像を被加熱材面に加熱定着処理する装置である(特開昭63−313182号公報、特開平2−157878号公報、特開平4−44075号公報〜特開平4−44083号公報、特開平4−204980号公報〜特開平4−204984号公報等)。
【0010】
このようなフィルム加熱方式の装置は、加熱体として低熱容量のセラミックヒータ等を、フィルムとして耐熱性で薄い低熱容量のものを用いることができる。
【0011】
この結果、熱容量が大きい金属定着ローラを用いる熱ローラ方式の装置に比べて格段に省電力化・ウエイトタイム短縮化が可能となり、クイックスタート性があり、また機内昇温を抑えることができる等の利点がある。
【0012】
c.電磁誘導加熱方式
この方式は、加熱体として電磁誘導発熱体を用い、この電磁誘導発熱体に磁場発生手段で磁場を作用させて該電磁誘導発熱体に発生する渦電流に基づくジュール発熱で被加熱材に熱を付与して、未定着トナー画像を被加熱材面に加熱定着処理する装置である。
【0013】
特公平5−9027号公報には強磁性体の金属定着ローラを電磁誘導加熱する熱ローラ方式の装置が開示されており、発熱位置を圧接ニップ部に近くすることができ、ハロゲンランプを熱源として用いた熱ローラ方式の装置よりも高効率の定着プロセスを達成している。
【0014】
しかしながら、金属定着ローラの熱容量が大きいため、限られた電力で圧接ニップ部の温度を上昇させるためには大きな電力を必要とするという問題があった。
【0015】
特開平4−166966号公報には熱容量を低減したフィルム状の金属定着ローラを用いた電磁誘導加熱方式の定着装置が開示されている。
【0016】
しかしながら、熱容量を低減したフィルム状の金属定着ローラでは、長尺方向(圧接ニップ部長手方向)の熱流が阻害されるため、小サイズ被加熱材を通材した場合に非通材部での過昇温(非通材部昇温)が発生して、フィルムや加圧ローラの寿命を低下させるという問題が発生していた。
【0017】
この非通材部昇温の問題は前記b項のフィルム加熱方式の装置の場合も同様である。
【0018】
特開平9−171889号公報・特開平10−74009号公報に、定着ローラ(フィルム)の長手方向に関する磁束発生手段から誘導発熱体に対する作用磁束の密度分布を変化せしめる磁束調整手段を有することを特徴とする加熱装置が開示されている。
【0019】
この電磁誘導加熱方式の定着装置により、非通紙部昇温を解決する1つの方法が示された。
【0020】
特開平9−171889号公報・特開平10−74009号公報はフィルム状の誘導発熱体を加熱させた構成を実施例としているが、円筒状の誘導発熱体を定着ローラにした構成に対しても非通紙部昇温の問題の対策として効果があると考えられる。
【0021】
その他の非通紙部昇温を解決する方法としては、小サイズ記録材を通紙したときに定着スピードを遅くする方法もある。
【0022】
定着スピードを遅くすることで、定着ローラの端部方向(非通紙部)への熱移動時間を設けている。
【0023】
しかし、この方法では画像形成装置の生産性を低下する問題がある。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように周知の電磁誘導加熱の定着器を用いた画像形成装置では次のような問題を抱えている。
【0025】
特開平9−171889号公報については以下の問題がある。
定着フィルム(ローラ)の外部に磁束遮蔽部材の待機スペースが必要である。
定着フィルムの内部で磁束遮蔽部材を回転移動させる構成では、コイル・コアを保持するホルダー兼フィルムガイド部材の内側に磁束遮蔽部材があるために磁束遮蔽部材とコイルが接触し、コイルを破損することが考えられる。
【0026】
さらに、記録材を定着フィルムの中央で送る場合(中央基準の記録材搬送系)、磁束遮蔽手段の待機スペースおよび磁束遮蔽部材の駆動手段スペースが、定着フィルム長手方向の両側に必要である。
【0027】
特開平10−74009号公報については以下の問題がある。
定着フィルム(ローラ)の外部に磁束遮蔽部材の待機スペースが必要である。
定着フィルムの内部で磁束遮蔽部材を回転移動させる構成では、定着加圧部材(フィルムガイド部材)を磁気遮蔽部材が兼ねているため、回転移動時にフィルムとの擦れによって定着フィルムの破損・劣化が考えられる。
定着加圧荷重が作用しているために、磁束遮蔽部材の回転時に大きなトルクを必要とする。
【0028】
以上の様に2つの公報では、省スペース化、記録材の多サイズ対応、低コスト化を実現するにはいくつかの課題がある。
【0029】
【課題を解決するための手段】
本発明ではこのような問題を解決した磁束遮蔽手段を用いた誘導発熱方式の定着器を提案するものである。
【0030】
これにより、省スペース化、記録材の多サイズ対応、低コスト化を図りつつ、省電力化・生産性を向上した定着装置を実現するものである。
【0031】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図1〜5に本発明の第1の実施例を示す。
【0032】
図1は定着ローラ長手方向を説明する図、図2は定着ローラの断面構成を説明する図、図3〜5は磁束遮蔽手段を説明する図である。
【0033】
磁束発生手段1は励磁コイル5(以下コイルと称す)と磁性体コア6(以下コアと称す)、コイル5とコア6を保持するホルダ2、コア6を覆うホルダフタ19などから成る。
【0034】
コイル5は定着ローラ7の長手方向に略楕円形状(横長舟形)をしており、定着ローラ7の内面に沿うようにホルダ2の内部に配置されている。
【0035】
コア6はコイル5の巻き中心部にある第1コア6a(垂直部)と上部に第2コア6b(水平部)が配置されてT字型コアを構成している。
【0036】
コイル5としては加熱に充分な交番磁束を発生するものでなければならないが、そのためには抵抗成分を低く、インダクタンス成分を高くとる必要がある。
【0037】
コイルの芯線としてはφ0。1〜φ0。3の細線を略80〜160本程度に束ねたリッツ線を用いている。
【0038】
細線には絶縁被覆電線を用いている。
【0039】
コア6aを周回するように8〜12回巻回してコイル5を構成したものが使われる。
【0040】
コイル5には励磁回路が接続されており交番電流をコイル5へ供給できるようになっている。
【0041】
コアにはフェライト、パーマロイなどの高透磁率で残留磁束密度の低いものを用いることが良いが、磁束を発生できるものであればよく、特に規定するものではない。
【0042】
本発明は、コアの形状・材質を規定するものではない。
【0043】
第1の実施例の第1コア6a、第2コア6bを一体成型でT字型にしても本発明の効果を得ることができる。
【0044】
第1実施例の誘導発熱体としての円筒状の定着ローラ7は、鉄・ニッケル・コバルトなどの金属を用いると良い。
【0045】
強磁性の金属(透磁率の大きい金属)を使うことで、磁束発生手段から発生する磁束を金属内により多く拘束させることができる。
すなわち、磁束密度を高くすることができる。
【0046】
それにより、効率的に強磁性金属の表面に渦電流を発生させ、発熱させられる。
【0047】
定着ローラの肉厚は、略0。3〜2mm程度にすることで熱容量を低減している。
【0048】
定着ローラの外側表面には不図示のトナー離型層がある。
【0049】
一般にはPTFE10〜50μmやPFA10〜50μmで構成されている。
【0050】
また、トナー離型層の内側にはゴム層を用いる構成にしても良い。
本発明の定着ローラ長手方向の磁束調整手段は、磁束遮蔽部材3、ホルダ2、駆動軸31、駆動ギヤ32、テンション軸33が主な構成要素である。
【0051】
本発明では磁束遮蔽部材3が可撓性の無端ベルト状に形成されていることを特徴とする。
【0052】
磁束遮蔽部材3は駆動軸31、テンション軸33、ホルダ2によって張架・支持される。
【0053】
テンション軸33は支持部材13・17に軸受34a・34bを介して回転自在・及び図1における上下方向に移動自在を支持される。
【0054】
そしてテンションバネ35a・35bにより磁束遮蔽部材3に所定の張力を付与する。
【0055】
駆動軸31は支持部材13・17に軸受37a・37bを介して回転自在に支持される。
【0056】
駆動軸31には駆動ギヤ32が一体的に構成され、不図示の駆動手段から回転駆動が与えられる。
【0057】
駆動手段の駆動源はステッピングモータが適当である。
【0058】
また駆動軸31は表面に不図示の高摩擦層(例えばゴム層・ウレタンコート・サンドブラスト処理など)が形成され、テンション軸による張力付与とともに駆動力が磁気遮蔽部材に滑ることなく伝達できるように構成されている。
【0059】
磁気遮蔽部材3の端部にはその円周上の一部に突出部30が形成され、磁気遮蔽部材などを支持する支持部材17上にこの突出部を検出する遮光式のセンサ36が設置されている。
【0060】
センサ36の検知信号により駆動源のステッピングモータを駆動・制御することで、磁気遮蔽部材3を所定の円周方向位置に移動・停止することが可能となる。
【0061】
なお、磁気遮蔽部材の円周方向位置の検知方式・駆動制御方式・駆動源の種類はこれに限定されるものではなく、本発明はこの構成に限定されない。
【0062】
ホルダ2は支持軸2a側を支持部材13、支持軸2b側を支持部材17で支持されている。
【0063】
支持軸2aと支持部材13の勘合部の形状はD字形状(Dカット)で勘合する構成である。
【0064】
D字形状にすることで、ホルダ2を定着ローラ円周方向において位置決めをしている。
【0065】
ホルダ2の材質は耐熱性と機械的強度を兼ね備え、かつ非磁性であることが必要である。
【0066】
また、可動な磁気遮蔽部材3を支持する為。摺動性が高いことも必要となる。
【0067】
例えばPPS系樹脂、PEEK系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、そしてそれらにガラスを添加したものが適している。
【0068】
ホルダ支持軸2b側は、コイル5への電力を供給しているコイル供給線15のガイドを兼ねた形状をしている。
【0069】
コイル供給線15の端部にはコネクタ部15aが設けられ電力制御装置25に接続する構成である。
【0070】
磁束遮蔽部材3は無端ベルト状に形成されている。
【0071】
図3に磁束遮蔽部材3を展開した図を示す。
【0072】
また、図4に磁束遮蔽部材3の断面構成を拡大した図を示す。
【0073】
磁束遮蔽部材3は無端ベルト状の基層3aと遮蔽層3b・3cで構成される。
【0074】
基層3aは非磁性で電気絶縁性があり耐熱性に優れた樹脂であるポリイミド樹脂などが適している。
【0075】
厚さは50μm〜200μm程度でよい。
【0076】
基層3aは磁束遮蔽部材3の内周側に形成されている。
【0077】
これによってホルダ2・駆動軸31・テンション軸34に直接遮蔽層が接触することを避けて、これらを保護する効果がある。
【0078】
遮蔽層3b・3cは非磁性で良導電性部材料が適している。
【0079】
非磁性であることで磁束を遮蔽する効果がある。
【0080】
良導電性であることで遮蔽層自身の電磁誘導の発熱を抑える効果がある。
【0081】
実施例では銅合金を用いたが、アルミニウム・マグネシウム・銀などの合金でもよい。
【0082】
厚さは100μm〜500μm程度でよい。
【0083】
遮蔽層3b・3cは基層3aに接着することで一体化している。
【0084】
遮蔽層は図5のように保護層3dによって基層3aとの間に挟みこみ、遮蔽層の保護をしてもよい。
【0085】
この場合の保護層3dは基層と同等の材質を用い、厚さは50μm〜200μm程度でよい。
【0086】
また、保護層3dは遮蔽層3b、3cに対応する部分のみを覆う構成でも、基層3a全域を覆う無端ベルト状の構成でもよい。
【0087】
遮蔽層3b・3cは紙サイズに対応した段階的に変化している形状になっている。
【0088】
本発明の磁束遮蔽部材は、その円周上の位置を紙サイズに対応した所定の箇所を駆動手段により移動して、コア6aの対向部に位置決めする。
【0089】
コア6aから定着ローラへと通る磁束線を遮蔽することで、遮蔽部(非通紙部)の定着ローラの発熱を緩和し、異常温度上昇を防止する。
【0090】
この作用を図6に示す磁気回路のイメージを用いて説明する。
図6の磁力線Ja(2点鎖線)は、磁束発生手段1に電力制御装置25から電力を入力した時の、発生した磁力線の磁気回路を示したものである。
【0091】
磁力線Jaは、第1コア6a(垂直部)、定着ローラ7、第2コア6b(水平部)を通過する。
【0092】
実際には磁力線は透磁率の高い定着ローラの内部を通るが、説明をわかりやすくするために図6の様に示した。
【0093】
ここで、電磁誘導加熱による発熱箇所について考えてみる。
【0094】
発熱箇所はコイル5の対向する定着ローラ部で特に大きくなる。
【0095】
これは第1コア6aと第2コア6bを磁力線が行き来するように発生するために、コイル5の対向する定着ローラ部において磁束密度が高くなるためと考えられる。
【0096】
このことを考慮に入れ、本発明の磁束発生手段はニップ部Nおよびその前方に発熱部がくるように傾いた配置にしている。
【0097】
定着ローラは図2のA方向に回転するため、このように配置することで磁束発生手段による発熱をニップ部Nにおいて被加熱物に効率よく伝達することができる。
【0098】
磁束調整手段は上述の原理に基づくものである。
【0099】
本発明の磁束調整手段は磁束遮蔽手段3によって定着ローラ内部を行き来する磁束の通路を変化させている。
【0100】
これにより定着ローラ長手方向の電磁誘導の発熱を制御するのである。
【0101】
実施例は、図3において非通紙部昇温の起こらない紙サイズ幅A(最大紙サイズ)より小さい紙サイズ幅Bおよび紙サイズ幅Cの3種類の磁束調整が可能な構成である。
【0102】
非通紙部昇温が起こらない紙サイズAのとき、磁束遮蔽部材3の遮蔽層3b・3cは図6(a)のように磁気回路Jaに影響の少ない範囲に待機している。
【0103】
このとき紙サイズ幅Aの全域で定着が可能である。
【0104】
非通紙部昇温が起こる紙サイズBのとき、磁束遮蔽部材3は遮蔽層3b・3cが図6(b)に示す位置にくるように回転移動する。
【0105】
図6(b)に示す磁気回路は、紙サイズBにおける非通紙部である図3のBa・Bbの範囲のもので、Jbのようになる。
【0106】
遮蔽層3b・3cが磁束の流れを阻害し、定着ローラ内部を通る磁束は図6(a)に較べて小さくなっている。
【0107】
これにより非通紙部Ba・Bbの範囲では電磁誘導による発熱が減少し、非通紙部昇温を抑えることができる。
【0108】
このとき紙サイズ幅Bすなわち遮蔽層3a・3cの幅Bが定着可能領域となる。
【0109】
非通紙部昇温が起こる紙サイズCのときも同様である。
【0110】
磁束遮蔽部材3は遮蔽層3b・3cが図6(c)に示す位置にくるようにさらに回転移動する。
【0111】
図6(c)に示す磁気回路は、紙サイズCにおける非通紙部のうち図3のCa・Cbの範囲のもので、Jc、Jc’のようになる。
【0112】
その外側の範囲であるBa・Bbでは遮蔽層3b・3cが磁束の流れを完全に遮蔽し、定着ローラ内部に磁束が通らない状態になる。
【0113】
従って紙サイズCの非通紙部(Ca+Ba)、(Cb+Bb)の範囲では定着ローラ内部を通る磁束は図6(a)に較べて小さくなっている。
【0114】
これにより非通紙部(Ca+Ba)、(Cb+Bb)の範囲では電磁誘導による発熱が減少し、非通紙部昇温を抑えることができる。
このとき紙サイズ幅Cすなわち遮蔽層3a・3cの幅Cが定着可能領域となる。
【0115】
以上のように本実施例においては、磁束遮蔽部材が待機状態においても定着ローラ内部に配置されること、スラスト方向両側に配置された磁束遮蔽層を一体的に形成しているため駆動を片側で行えることから、スラスト方向の省スペース化に有効である。
【0116】
コイル5はホルダ2により保護されていて、磁束遮蔽部材3の移動によりコイルを破損することはない。
【0117】
磁束遮蔽部材を移動させるときに、定着ローラと接触していないので回転トルクが小さく、また、定着ローラへのダメージがない。
【0118】
また、定着ローラを効率よく発熱させるにはコイル5と定着ローラの距離(図6(a)のL部)をできるだけ小さくするとよい。
【0119】
本実施例では磁束遮蔽部材をベルトのような可撓性の部材で形成したため、ホルダ外周に倣わせることができるので、距離Lを小さくすることができ、高効率の電磁誘導加熱が可能となる。
【0120】
次に、第1の実施例の画像形成動作を説明する。
【0121】
図7は本発明の加熱装置による定着装置10を備えた画像形成装置100を説明する図である。
【0122】
画像形成装置100は画像読取部108で原稿の画像を読み取り、読み取られた画像データに基づいたコントローラ(図示せず)からの指令により、感光ドラム101の表面に画像書き込み部109から露光を行って感光ドラム101上に静電潜像を形成する。
【0123】
なお、露光の前に感光ドラム101の表面が対電器102により所定の電位に一様に帯電されており、一様に帯電させられた感光ドラム101上に、画像書き込み部109からレーザー光等を照射することにより、感光ドラム101上に静電潜像が形成される。
【0124】
感光ドラム101上に形成された静電潜像は、現像装置103のトナーにより現像され、その後、現像されたトナー画像が感光ドラム101の回転により転写装置104との対向部へ搬送される。
【0125】
現像されたトナー画像の搬送に対応して、ピックアップローラ132により用紙Sが用紙カセットから1枚ずつ給紙されるとともに、レジストローラ対135によってタイミングを取って感光ドラム101と転写装置104との対向部へ搬送される。
【0126】
そして用紙Sが感光ドラム101と転写装置104との対向部を通過する際に、感光ドラム101上の現像されたトナー画像が転写装置104により用紙Sの上に転写される。
【0127】
トナー画像が転写された用紙Sは、所定の搬送装置により定着ローラ7の位置に搬送され、定着ローラ7と加圧ローラ8で圧接されるとともに、定着ローラ内に設けられた磁束発生手段により電磁誘導加熱されて、用紙S上のトナーが用紙Sに溶融定着させられる。
【0128】
その後、トナー画像が定着された用紙Sは、排紙ローラ111により装置本体外部のトレー115に収納され一連の画像形成プロセスが終了する。
【0129】
定着装置10の動作を詳しく説明する。(図1、2参照)
定着ローラ7は定着ローラギヤ18により矢印Aの方向に回転し、それに伴ない加圧ローラ8も従動して矢印Bの方向に回転する。
【0130】
加圧ローラ8は鉄製の芯金の外周に、シリコーンゴム層と定着ローラ7と同様にトナー離型層を設けた構成である。
【0131】
転写部位104において静電的に形成されたトナー像を担持する用紙Sが用紙搬送路H(1点鎖線)を矢印C方向から前記ニップNに搬送されて該部を通過すると、加熱されたトナー像が用紙Sに溶融固着されて機外に排出されるものとする。
【0132】
また、用紙Sが定着ローラに巻きつくのを抑え、定着ローラ7から分離させる分離爪が配置されている。
【0133】
(実施例2)
第2の実施例は、第1の実施例に対し磁束遮蔽部材3が無端ベルト状ではなく、有端のシート状の可撓性部材で形成されていることを特徴とする。
【0134】
第1の実施例と重複するところの説明は省略し、本実施例における特徴的な上記の部分のみ説明する。
【0135】
図8は定着ローラの断面構成を説明する図、図9は磁束遮蔽手段を説明する図である。
【0136】
磁束遮蔽手段3は、その両端部を第1駆動軸31および第2駆動軸38に一体的に固着されて構成されている。
【0137】
磁束遮蔽手段3は、第1駆動軸31または第2駆動軸38に巻きつけられ、その間にホルダ2を配置することで、ホルダ2に接触した状態でホルダ2の円周方向に移動自在に支持される。
【0138】
磁束遮蔽部材3を図8の矢印A方向に移動させるときは、第1駆動軸31を図示しない駆動源により矢印a方向に回転させ、第2駆動軸38は従動回転する。
【0139】
一方磁束遮蔽部材3を矢印Bに移動させるときは、第2駆動軸38を図示しない駆動源により矢印b方向に回転させ、第1駆動軸31は従動回転する。
【0140】
このようにして、磁束遮蔽手段3は所定の位置に移動・停止することが可能となる。
【0141】
図10に磁束遮蔽部材3を展開した図を示す。
【0142】
磁束遮蔽部材3の構成は第1の実施例と同様である。
【0143】
磁束遮蔽部材3は、上記のように第1駆動軸31または第2駆動軸38に巻きつけられる有端の可撓性部材で形成されるから、駆動軸31・38に数周に渡り巻きつけて収納可能である。
【0144】
従って、第1の実施例のように無端ベルトで形成される場合に較べ、可動方向の長さを大きく設定できる。
【0145】
従って第1の実施例に対し遮蔽層3b・3cの紙サイズに応じた段階的に変化する段数を多く構成できる。
【0146】
実施例では最大紙サイズ幅A(磁気遮蔽無し)・A1・A2・A3・A4の5種類の紙サイズに対応できる形状になっているが、段数はこの例に限らない。
【0147】
通常、画像形成装置で通紙できる紙サイズはメートル系であれば、A4(幅297mm)、B4(幅257mm)、A4R(幅210mm)、B5R(182mm)、A5R(148mm)等、多種に及ぶ。
またインチ系に対応しようとすれば、レター(幅267mm)、リーガル(幅216mm)、ステートメントR(幅140mm)等、種類はさらに増加する。
【0148】
非通紙部昇温防止のための磁気遮蔽部材の遮蔽幅は、通紙する紙サイズに対応していなければ効果が減少する。
【0149】
本実施例によると1つの磁束遮蔽部材によって多種類の紙サイズに対応できるため、非通紙部昇温を防止しつつ多種の紙サイズに対応する高機能な画像形成装置を提供できる。
【0150】
(実施例3)
第3の実施例は、第1の実施例に対し複数の磁束遮蔽部材を重ねて構成したことを特徴とする。
【0151】
第1の実施例と重複するところの説明は省略し、本実施例における特徴的な上記の部分のみ説明する。
【0152】
図10は定着ローラの断面構成を説明する図、図11〜13は磁束遮蔽手段を説明する図である。
【0153】
第1磁束遮蔽手段301は第1駆動軸31、テンション軸34とホルダ2によって張架・支持される。
【0154】
第2磁束遮蔽手段302は第1磁束遮蔽手段301の外周側に重なり、第1駆動軸・テンション軸34・第2駆動軸・ホルダ2によって張架・支持される。
【0155】
テンション軸34は第1の実施例と同様に構成され、第1磁束遮蔽部材301及び第2磁束遮蔽部材302に同時に所定の張力を付与する。
【0156】
第1駆動軸31は不図示の駆動源により駆動される。
【0157】
また、第1駆動軸31の表面に高摩擦層が形成され、テンション軸34による張力付与とともに駆動力が第1磁気遮蔽部材301に滑ることなく伝達できるように構成されている。
【0158】
第2駆動軸38は不図示の駆動源により駆動される。
【0159】
また、第2駆動軸38の表面に高摩擦層が形成され、テンション軸34による張力付与とともに駆動力が第2磁気遮蔽部材302に滑ることなく伝達できるように構成されている。
【0160】
磁気遮蔽部材を移動させるとき第1磁気遮蔽部材301と第2磁気遮蔽部材302の間にも摩擦力が作用するが、それぞれの駆動軸31、38とそれぞれの駆動する磁気遮蔽部材301、302との拘束力が上回るように設定することで、それぞれの磁気遮蔽部材301、302はそれぞれの駆動軸31、38により独立して駆動することが可能になっている。
【0161】
このようにして、磁束遮蔽部材301、302はそれぞれ所定の位置に移動・停止することが可能となる。
【0162】
図11に第1磁束遮蔽部材301を展開した図を示す。
【0163】
磁束遮蔽部材301の構成は第1の実施例と同様である。
【0164】
遮蔽層301b・301cは紙サイズ幅A1・A2に応じた段階的な形状になっている。
【0165】
図12に第2磁束遮蔽部材302を展開した図を示す。
【0166】
磁束遮蔽部材302の構成は第1の実施例と同様である。
【0167】
遮蔽層302b・302cは紙サイズ幅A3・A4に応じた段階的な形状になっている。
【0168】
図13に磁束遮蔽部材301・302を重ね合わせた状態の展開図を示す。
【0169】
遮蔽層301b・301c・302b・302cによって、最大紙サイズ幅A(磁気遮蔽無し)・A1・A2・A3・A4の5種類の紙サイズに対応できる形状になっている。
段数はこの例に限らないのは無論である。
【0170】
通常、画像形成装置で通紙できる紙サイズはメートル系であれば、A4(幅297mm)、B4(幅257mm)、A4R(幅210mm)、B5R(182mm)、A5R(148mm)等、多種に及ぶ。
またインチ系に対応しようとすれば、レター(幅267mm)、リーガル(幅216mm)、ステートメントR(幅140mm)等、種類はさらに増加する。
【0171】
非通紙部昇温防止のための磁気遮蔽部材の遮蔽幅は、通紙する紙サイズに対応していなければ効果が減少する。
【0172】
本実施例によると多種類の紙サイズに対応できるため、非通紙部昇温を防止しつつ多種の紙サイズに対応する高機能な画像形成装置を提供できる。
【0173】
また、画像形成装置は出力する紙サイズを検知して磁束遮蔽部材をこの紙サイズと適合するように移動・停止するまである程度の時間を要する。
【0174】
この間用紙を定着部に通紙すると、磁束遮蔽手段の遮蔽幅が次に通紙する紙幅より大きい場合は非通紙部昇温を起こしたり、逆に磁束遮蔽手段の遮蔽幅が次に通紙する紙幅より小さい場合は両端部の温度が低すぎて不完全な定着による定着オフセット現象を起こす不具合が生じる。
【0175】
従って正規の磁束遮蔽手段の位置にくるまで通紙ができないタイムラグが発生し、生産性が悪化する。
【0176】
本実施例によれば多種に及ぶ紙サイズに対応する磁束遮蔽部材を複数に分割することができる。
【0177】
個々の磁束遮蔽手段の周長は小さくなるため、所望の紙サイズに対応する遮蔽幅の磁束遮蔽手段の位置への移動距離は短くなり、上記タイムラグが減少するため、生産性が高く、かつ多種の紙サイズに対応する画像形成装置を提供できる。
【0178】
【発明の効果】
本発明では、定着ローラ(またはフィルム)の外部に磁束遮蔽部材の待機スペースを無くすことができるので省スペース化が実現でき、画像形成装置本体の大きさを抑える効果がある。
【0179】
従来の磁束遮蔽部材を回転させる構成では、磁束遮蔽部材とコイルが接触し、コイルを破損することが考えられたが、本発明ではコイルと磁束遮蔽手段の接触を無くすことができる。
【0180】
従来は用紙が定着フィルムの中央を送る場合(中央基準の紙搬送系)、磁束遮蔽部材の待機スペースおよび磁束遮蔽部材の駆動スペースが、定着フィルム長手方向の両側に必要であったが、本発明では定着ローラの内部に磁束遮蔽部材を待機させるとともに、駆動手段を片側に配置することができるので、省スペース化が実現でき、画像形成装置本体の大きさを抑えること効果がある。
【0181】
本発明では定着スピードを落とすことなく非通紙部昇温の解決ができるので、画像形成の生産性の向上につながる。
【0182】
従来の定着フィルムの内部で磁束遮蔽手段を回転移動させる構成では、定着加圧部を磁束遮蔽部材が兼ねているため、回転移動時にフィルムとの擦れによって定着フィルムの破損・劣化や、磁束遮蔽部材の回転駆動トルク上昇が考えられたが、本発明では磁束遮蔽部材が定着フィルム(定着ローラ)に接触しない為定着フィルム(定着ローラ)の破損・劣化を無くすことができ、駆動トルクが軽減する。
【0183】
以上により本発明は省スペース化・低コスト化をはかりつつ、小電力化・生産性を向上した磁束遮蔽手段を用いた電磁誘導発熱式の定着装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施例の定着ローラの長手方向を説明する図
【図2】本発明に係る第1の実施例の定着ローラの断面構成図
【図3】本発明に係る第1の実施例の磁束遮蔽手段の展開図
【図4】本発明に係る第1の実施例の磁束遮蔽手段の詳細図
【図5】本発明に係る第1の実施例の磁束遮蔽手段の詳細図
【図6】本発明に係る第1の実施例の磁束遮蔽手段による磁気回路を説明する図
【図7】本発明に係る画像形成装置の断面図
【図8】本発明に係る第2の実施例の定着ローラの断面構成図
【図9】本発明に係る第2の実施例の磁束遮蔽手段の展開図
【図10】本発明に係る第2の実施例の定着ローラの断面構成図
【図11】本発明に係る第2の実施例の磁束遮蔽手段の展開図
【図12】本発明に係る第2の実施例の磁束遮蔽手段の展開図
【図13】本発明に係る第2の実施例の磁束遮蔽手段の展開図
【符号の説明】
2 ホルダ
3 磁束遮蔽部材
5 コイル
6 コア
7 定着ローラ
8 加圧ローラ
Claims (8)
- 励磁コイルと磁性体コアを有する磁束発生手段と、
磁束発生手段の発生磁束により電磁誘導発熱する誘導発熱体と、
加熱部において磁束発生手段から誘導発熱体に対する作用磁束の、被加熱材の搬送方向に交差する加熱部長尺方向に関する密度分布を変化せしめる磁束調整手段と、を備え、
加熱部に被加熱材を導入搬送させて誘導発熱体の熱により被加熱材を加熱する加熱装置において、
磁束発生手段は励磁コイルと磁性体コアを保持する保持部材を有し、
保持部材は励磁コイルと誘導発熱体の間に配置され、
磁束調整手段は磁束発生手段と誘導発熱体の間に配置され、可動な磁束遮蔽部材であり、前記保持部材に付勢・接触して支持されることを特徴とする加熱装置。 - 磁束遮蔽部材の可動方向は前記被加熱材の搬送方向であり、磁束遮蔽部材の磁束遮蔽部は可動方向で遮蔽幅が変化するように段階的な形状に形成され、
任意の可動方向位置に磁束遮蔽部材を位置決めできる駆動部を備えることで、前記加熱部長尺方向に関する作用磁束の密度分布を変化せしめることを特徴とする請求項1記載の加熱装置。 - 磁束遮蔽部材は可撓性のシートで形成され、
シートは前記加熱部長尺方向全域に渡り形成される基材層と、所定の磁束遮蔽部に応じて形成される磁束遮蔽層の、少なくとも2層で構成されることを特徴とする請求項2記載の加熱装置。 - 前記基材層が前記保持部材と接触することを特徴とする請求項3記載の加熱装置。
- 磁束遮蔽部材は無端ベルト状であり、
磁束遮蔽部材を張架する少なくとも1つの軸が前記駆動部に連結されていることを特徴とする請求項3又は4記載の加熱装置。 - 磁束遮蔽部材はその両端部をそれぞれ回転自在な軸の周面に一体的に固定され、
少なくとも1つの軸が前記駆動部に連結され、
磁束遮蔽部材の未使用部は少なくとも1つの軸に巻き取られて収納されていることを特徴とする請求項3又は4記載の加熱装置。 - 磁束調整手段は複数の磁束遮蔽手段を重ねて構成されることを特徴とする請求項5又は6記載の加熱装置。
- 記録材の表面に未定着トナー画像を形成する画像形成部と、未定着トナー画像を記録材の表面に加熱定着する加熱定着部を有する画像形成装置において、
加熱定着部に請求項1〜7の加熱装置を適用したことを特徴とする画像形成装置。
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