JP2014163958A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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Motoyoshi Yamano
元義 山野
Tetsuo Tokuda
哲生 徳田
Takashi Sakamaki
崇 酒巻
Jun Okamoto
潤 岡本
Satoshi Ueno
智志 上野
Naoto Suzuki
直人 鈴木
Fumihiro Hirose
文洋 廣瀬
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Abstract

【課題】記録媒体の幅方向に適切な温度分布を実現することができる。
【解決手段】加熱ローラ21および定着ローラ22に張架される定着ベルト24と、定着ローラ22との間にニップ部を形成する加圧ローラ23と、を備えた定着装置20において、加熱ローラ21の軸方向における長さが異なる複数のコイルであって、軸方向における長さが最大となるコイルの内周に他のコイルは配設されるとともに、各コイルは共振回路35への接続と短絡を制御されることで、交番磁束を生成して加熱ローラ21を誘導加熱する励磁状態と、他方のコイルにより生成した交番磁束を打ち消す消磁状態と、を切り替え可能な複数の励磁/消磁コイル31a,bと、励磁/消磁コイル31a,bに交流電流を供給する共振回路35と、共振回路35と、複数の励磁/消磁コイル31a,bとの接続状態と短絡状態を制御する切り替え回路34と、を有する誘導加熱手段30を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、定着装置および画像形成装置に関する。さらに詳述すると、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置に装着される定着装置に関する。
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置として、電子写真方式を利用した画像形成装置が種々考案されており公知技術となっている。その画像形成プロセスは、像担持体である感光ドラムの表面に静電潜像を形成し、感光ドラム上の静電潜像を現像剤であるトナー等によって現像して可視像化し、現像された画像を転写装置により記録媒体(用紙、記録紙、記録材ともいう)に転写して画像を担持させ、圧力や熱等を用いる定着装置によって記録紙上のトナー画像を定着する過程により成立している。
定着装置としては、様々な方式のものが提案されており、所定の温度に維持された定着ローラと、定着ローラに圧接する加圧ローラとを備え、加圧ローラと定着ローラとの圧接によって形成されたニップ部により、未定着トナー像を担持した転写材を挟持搬送しつつ加熱し、定着させるローラ定着方式が知られている。
また、加圧ローラに対向配置される定着ローラと、定着ローラと加熱ローラとの間に張架される無端状の定着ベルトとを備え、加圧ローラと定着ベルトとの圧接によって形成されたニップ部にて、定着ベルトを介して加熱ローラの熱を転写材に与えることで、未定着トナー像を転写材に加圧し、定着させるベルト定着方式が知られている。
また、近年、省エネルギー化の観点から、定着装置の通紙可能状態までの高速立上げによる立ち上り時間(ウォームアップタイム)の短縮が要求されており、定着ローラや加熱ローラなどの熱源としてハロゲンヒータを用いる従来の方式よりも、IHヒータ等の熱変換効率が高い電磁誘導加熱を熱源として用いた定着装置が提案されている。
この電磁誘導加熱(誘導加熱ともいう)方式の定着装置では、発熱部材である電磁誘導発熱性層が薄いため、定着部材の長手方向(軸方向)の温度分布を制御することが難しいことが知られている。なお、定着部材とは、ローラ定着方式では定着ローラ、ベルト定着方式では、定着ローラ、加熱ローラおよび定着ベルトを指すものとする。
一般的な画像形成装置では、幅方向のサイズが異なる数種類の記録媒体に対して、画像形成ができるように構成されている。なお、幅方向サイズの異なる記録媒体とは、JIS寸法のA列やB列における種々の定形サイズの記録媒体の他に、不定形サイズの記録媒体も含まれるものとする。
また、同一サイズ(例えば、A4サイズ)の記録媒体であっても、長手方向を搬送方向にした場合と、短手方向(長手方向に直交する方向)を搬送方向にした場合とでは、幅方向サイズの異なる記録媒体を扱っていることになる。
このような幅方向サイズの異なる記録媒体を定着装置で定着する場合において、記録媒体の幅方向サイズに応じて、定着部材の長手方向の熱分布が変動して、温度ムラが生じてしまうという問題がある。
例えば、常に記録媒体が通紙する定着部材の長手方向中央部の温度を基準として定着部材の長手方向全域の温度を制御すると、定着部材の長手方向中央部の温度は所望の温度に制御できるものの、幅方向サイズの小さな記録媒体を通紙して定着する場合には、その記録媒体の幅方向サイズに対応する定着部材の長手方向における中央側の領域(通紙領域)では熱が多く奪われて、その他の端部側の領域(非通紙領域)に比べて定着温度が低くなる。換言すれば、非通紙領域で過昇温が生じる。この現象は、幅方向サイズの小さな記録媒体を連続的に通紙するような場合に、特に顕著になる。
このように、定着部材の長手方向両端部の定着温度が上昇した状態で、幅方向サイズの大きな記録媒体を定着すると、温度上昇位置に対応した記録媒体上にトナー層が分断してホットオフセットが発生してしまう。
また、逆に、定着部材の長手方向における中央側の領域では、所望の温度となっていても、定着部材の長手方向両端部の定着温度が低い状態で、幅方向サイズの大きな記録媒体を定着すると、コールドオフセットが発生してしまう。
このような問題に対して、誘導加熱方式の定着装置において、消磁部材を利用する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、電磁誘導加熱を行う励磁コイルのほかに、消磁用のキャンセルコイルを非通紙領域に対応した位置に設置し、励磁コイルが発生する磁束変化によって発生するキャンセルコイルの誘導起電力と誘導電流によって非通紙領域の磁束を低減することで過昇温を防止する加熱装置が開示されている。
また、特許文献2には、キュリー温度以上になることで磁性、非磁性が変化する整磁合金と金属板を配置し、整磁合金を励磁コイルと金属板の間に介し、整磁合金がキュリー温度以上になったとき、金属板による反発磁束が励磁コイルによる誘導磁束を打ち消す形で自己温度制御機能を発揮させる熱ローラ装置が開示されている。
また、特許文献3には、電磁誘導により発熱する加熱ローラと、記録紙の幅方向に沿って配置され、電磁誘導の磁束を発生させる複数の励磁コイルと、複数の励磁コイルに選択的に電力供給するための複数の電力供給経路を含む電気回路と、励磁コイルに対する電力供給を制御するIH制御部とを備え、上記電力供給経路の少なくとも1つは、複数の励磁コイルのうちの所定の励磁コイルに対する電力供給を遮断または抑制すべく、当該所定の励磁コイルを迂回するバイパス経路を含み、IH制御部は、通紙される記録紙の幅に基づき、複数の電力供給経路のうちのいずれかを選択する電磁誘導加熱定着装置が開示されている。
さらに、特許文献4には、加熱部材に沿うように配置され交番磁束を生成して加熱部材を電磁誘導加熱する励磁コイルと、該励磁コイルにより生成した交番磁束の一部を周回し交番磁束を打ち消す方向に起電力を発生させる消磁コイルと、該消磁コイルを含む消磁回路中にあり消磁コイルに発生する電流を調整する消磁電流調整装置とを備えた加熱装置が開示されている。
しかしながら、特許文献1、2では、非通紙領域の温度が通紙領域の温度よりも高温になってしまうという問題を十分に解決することはできなかった。一方、特許文献3,4では、記録媒体の幅方向に適切な温度分布を実現することが可能となる。
しかしながら、特許文献3の技術では、複数のインバータ回路を用いて制御行うことが必要であり、特許文献4の発明では、消磁手段としての消磁コイルを別途設けるとともに、消磁コイルに発生する電流を調整する消磁電流調整手段等の構成を備える必要があり、加熱幅を変化させるための構成及び制御が複雑なものとなっていた。
そこで本発明は、複数のインバータ回路や消磁コイルなどの消磁部材を別途用いることなく、簡易な構成により、定着部材の軸方向の加熱幅を調整して、記録媒体の幅方向に適切な温度分布を実現することができる定着装置および該定着装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明に係る定着装置は、誘導加熱手段により加熱される定着部材と、該定着部材の少なくとも一部を押圧可能に配置され、前記定着部材との間にニップ部を形成する加圧部材と、を備えた定着装置において、前記誘導加熱手段は、前記定着部材の軸方向における長さが異なる複数のコイルであって、該複数のコイルのうち軸方向における長さが最大となるコイルの内周に他のコイルは配設されるとともに、各コイルは共振回路への接続状態と短絡状態を制御されることで、交番磁束を生成して前記定着部材を誘導加熱する励磁状態と、他のコイルにより生成した交番磁束を打ち消す消磁状態と、を切り替え可能な複数のコイルと、前記コイルに交流電流を供給する共振回路と、前記共振回路と、前記複数のコイルとの接続状態と短絡状態を切り替える切り替え回路と、を有するものである。
本発明によれば、定着部材の軸方向の加熱幅を調整して、記録媒体の幅方向に適切な温度分布を実現することができることができる。
本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す断面図である。 本発明に係る定着装置の一実施形態の構成を示す側面断面図である(第一の実施形態)。 加熱ローラに対する励磁/消磁コイルの配置を説明する模式図である。 励磁/消磁コイル切り替え時の加熱ローラの軸方向位置と発熱量との関係を示す発熱分布図である。 加熱ローラの軸方向位置と加熱ローラ温度との関係を示す温度分布図である(第一の実施形態)。 定着装置の制御手段による切り替え回路の制御フローチャートである(第一の実施形態)。 本発明に係る定着装置の一実施形態の構成を示す側面断面図である(第二の実施形態)。 加熱ローラに対する励磁コイルの配置を説明する模式図である。 励磁コイル切り替え時の加熱ローラの軸方向位置と発熱量との関係を示す発熱分布図である。 加熱ローラの軸方向位置と加熱ローラ温度との関係を示す温度分布図である(第一の実施形態)。 定着装置の制御手段による切り替え回路の制御フローチャートである(第一の実施形態)。
以下、本発明に係る構成を図1から図11に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
<第一の実施形態>
(画像形成装置)
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態であるタンデム型カラー複写機の全体構成を説明する概略構成図である。図1を参照して、この画像形成装置の内部構成の概要及び動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置本体、2は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部、3は原稿Dを原稿読込部4に搬送する原稿搬送部、4は原稿Dの画像情報を読み込む原稿読込部、7は転写紙等の記録媒体P(図示せず)が収容される給紙部、9は記録媒体Pの搬送タイミングを調整するレジストローラ、11Y,11M,11C,11BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される感光体ドラム、12は各感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK上を帯電する帯電部、13は各感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK上に形成される静電潜像を現像する現像部、14は各感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK上に形成されたトナー像を記録媒体P上に重ねて転写する転写バイアスローラ(1次転写バイアスローラ)、15は各感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK上の未転写トナーを回収するクリーニング部を示す。
また、16は中間転写ベルト17を清掃する中間転写ベルトクリーニング部、17は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト、18は中間転写ベルト17上のカラートナー像を記録媒体P上に転写するための2次転写バイアスローラ、20は記録媒体P上のトナー像を定着する定着装置を示す。
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。まず、原稿Dは、原稿搬送部3の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス5上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス5上に載置された原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。詳しくは、原稿読込部4は、コンタクトガラス5上の原稿Dの画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿Dにて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿Dのカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理をおこない、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部2に送信される。そして、書込み部2からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光(露光光)が、それぞれ、対応する感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK上に向けて発せられる。
一方、4つの感光体ドラム11Y,11M,11C,11BKは、それぞれ、図1の時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム11Y,11M,11C,11BKの表面は、帯電部12との対向部で、一様に帯電される(帯電工程)。こうして、感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK表面は、それぞれのレーザ光の照射位置に達する。
書込み部2において、4つの光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程)。
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目の感光体ドラム11Y表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム11Yの回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電部12にて帯電された後の感光体ドラム11Y上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から2番目の感光体ドラム11M表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光は、紙面左から3番目の感光体ドラム11C表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目の感光体ドラム11BK表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK表面は、それぞれ、現像部13との対向位置に達する。そして、各現像部13から感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK上の潜像が現像される(現像工程)。
その後、現像工程後の感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK表面は、それぞれ、中間転写ベルト17との対向部に達する。ここで、それぞれの対向部には、中間転写ベルト17の内周面に当接するように転写バイアスローラ14が設置されている。そして、転写バイアスローラ14の位置で、中間転写ベルト17上に、感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程)。
そして、転写工程後の感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK表面は、それぞれ、クリーニング部15との対向位置に達する。そして、クリーニング部15で、感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程)。
その後、感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK表面は、不図示の除電部を通過して、感光体ドラム11Y,11M,11C,11BKにおける一連の作像プロセスが終了する。
他方、感光体ドラム11Y,11M,11C,11BK上の各色のトナーが重ねて転写(担持)された中間転写ベルト17は、図中の時計方向に走行して、2次転写バイアスローラ18との対向位置に達する。そして、2次転写バイアスローラ18との対向位置で、記録媒体P上に中間転写ベルト17上に担持されたカラーのトナー像が転写される(2次転写工程)。
その後、中間転写ベルト17表面は、中間転写ベルトクリーニング部16の位置に達する。そして、中間転写ベルト17上に付着した未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング部16に回収されて、中間転写ベルト17における一連の転写プロセスが終了する。
ここで、中間転写ベルト17と2次転写バイアスローラ18との間(2次転写ニップ)に搬送される記録媒体Pは、給紙部7からレジストローラ9等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、記録媒体Pを収納する給紙部7から、給紙ローラ8により給送された記録媒体Pが、搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ9に導かれる。レジストローラ9に達した記録媒体Pは、タイミングを合わせて、2次転写ニップに向けて搬送される。
そして、フルカラー画像が転写された記録媒体Pは、搬送ベルトによって定着装置20に導かれる。定着装置20では、定着部材としての定着ローラ22と加圧部材としての加圧ローラ23とのニップにて、カラー画像(トナー)が記録媒体P上に定着される。
そして、定着工程後の記録媒体Pは、排紙ローラによって、装置本体1外に出力画像として排出されて、一連の画像形成プロセスが完了する。
(定着装置)
[定着装置の構成]
次に、画像形成装置1が備える定着装置20の構成及び制御について説明する。図2は、誘導加熱方式の定着装置20の一例を示し、定着ローラ22の軸方向での概略断面図である。また、図3は、定着装置20の加熱ローラ21に対する励磁/消磁コイル31a,31bの配置を説明するための図であり、図2の断面図における右斜め上部から励磁/消磁コイル31を見た図である。図3では、磁性コア等の部材は図示を省略している。
本実施形態に係る定着装置20は、図2および図3に示すように、誘導加熱手段30により加熱される加熱ローラ21と、定着ローラ22と、加熱ローラ21および定着ローラ22に張架される定着ベルト24と、定着ローラ22を押圧して定着ローラ22との間にニップ部を形成する加圧ローラ23と、を備えた定着装置20において、誘導加熱手段30は、加熱ローラ21の軸方向における長さが異なる複数のコイル31a,31bであって、該複数のコイルのうち軸方向における長さが最大となるコイル31aの内周に他のコイル31bは配設されるとともに、各コイルは共振回路35への接続と短絡を制御されることで、交番磁束を生成して加熱ローラ21を誘導加熱する励磁状態と、他方のコイルにより生成した交番磁束の一部を周回し交番磁束を打ち消す方向に起電力を発生させて、他方のコイルにより生成した磁束を打ち消す消磁状態と、を切り替え可能な複数のコイル(励磁/消磁コイルという)31a,31bと、励磁/消磁コイル31a,31bに交流電流を供給する共振回路(インバータ回路)35と、共振回路35と、複数の励磁/消磁コイル31a,31bとの接続状態と短絡状態を制御する切り替え回路34と、を有するものである。
また、切り替え回路34は、共振回路35と、複数の励磁/消磁コイル31a,31bとの接続状態(接続のオンオフ)を制御するスイッチ制御部34aと、共振回路35と複数の励磁/消磁コイル31a,31bとの間を短絡させる短絡制御部34bと、を備えている。なお、短絡制御部34bは、少なくとも共振回路35と励磁/消磁コイル31bとの間を短絡させるものであればよく、励磁/消磁コイル31aは、消磁状態とはならない励磁コイルとしても良い。
図2に示すように、誘導加熱方式の定着装置20は、金属芯金22aの外周に弾性層22bを有する定着ローラ22と、励磁/消磁コイル31a,31bにより加熱される加熱ローラ21と、加熱ローラ21と定着ローラ22との間に張架される無端状の定着ベルト24と、定着ベルト24の外周側に配設され、定着ローラ22との間でニップ領域を形成する加圧ローラ23と、加熱ローラ21を加熱する誘導加熱手段30と、を有している。
定着装置20は、定着ローラ22と加圧ローラ23との圧接によって形成される定着ベルト24と加圧ローラ23とのニップ部に未定着トナー像を担持した記録媒体P(用紙)を通紙して加熱定着を行うものである。なお、加熱ローラ21、定着ローラ22及び加圧ローラ23は、定着装置20の不図示の筐体の長手方向に回転可能に軸支され、図示しない各ローラの駆動手段等は、筐体に固定保持されている。
加熱ローラ21は、例えば、長手方向(軸方向)の長さは320mm、外径40mmで、発熱部材本体である導電性の発熱層21a、弾性層21b、芯金層21cからなる。各層の位置関係は、発熱層21a、弾性層21b、芯金層21cの順になっている。
発熱層21aは、交番磁界により渦電流が発生しやすく電磁誘導加熱に適した良電導性、良伝熱性の金属部材で構成される。電磁誘導加熱に適した金属としては一般的には高抵抗のものが知られているが、低抵抗であっても良伝熱性の金属部材を薄層化することにより、発熱層の実質的な抵抗値を任意に設定することができ発熱量を調整することができる。
発熱層21aとしては、例えば、10μmの厚さの銅を50μmの厚さの非磁性ステンレス層にメッキ処理した構成を使用できる。発熱層21aは良電導性、良伝熱性であれば良いので、銀、アルミニウム、マグネシウム等、もしくは磁性体であるニッケルや磁性ステンレス等の他の金属層を用いても良い。
弾性層21bには、例えば、フッ素ゴム、シリコンゴム、フロロシリコンゴム等の弾性体を使用する。弾性層21bはスポンジゴムにすることで加熱ローラ内側への伝熱を抑止して発熱層21aの熱を断熱保持する。
芯金層21cは、加熱ローラ21全体の支持体であり、剛性を確保するため、鉄やアルミなどの金属を使用する。また、非磁性ステンレスやセラミック等の非磁性、又は絶縁性の材料で芯金層21cを構成し、誘導加熱に影響を与えない構成とすることも可能で好ましい。例えば、外径22mmで厚さ2.0mmの非磁性ステンレスであるSUS304を使用し、誘導加熱のエネルギーを損失無く発熱層に集中させられる。
定着ベルト24は、定着ローラ22と加熱ローラ21の周囲に掛けまわされ、加熱ローラ21および定着ローラ22に密着している。このように構成した定着ベルト24に、定着ローラ22に対応する箇所に加圧ローラ23を押し当てることで、定着ニップを構成する。
また、定着ベルト24は、例えば、厚さ90μmの耐熱樹脂の無端フィルムであるPIベルトで構成され、表層には、PFA(4フッ化エチレンバーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂)などのオフセット防止剤がコーティングされている。
定着ローラ22は、熱源を有しておらず、金属(鉄やアルミ)などの剛性の高い芯材(芯金22b)を、シリコンゴムなどの厚い弾性層22aで覆ったものである。
定着ローラ22と加圧ローラ23とは、対向して配置されるゴムローラであり、加圧ローラ23が定着ベルト24を介して定着ローラ22の中心方向に加圧されることにより、加圧ローラ23と定着ベルト24との間でニップ部が形成される。
また、駆動手段は、定着ローラ22を時計回り方向に回転駆動させる。定着ローラ22の回転により、定着ローラ22に圧接する加圧ローラ23および定着ベルト24が同速で連れ回り回転する。
誘導加熱手段30により加熱ローラ21が加熱され、加圧ローラ23と定着ベルト24の互いの逆回転により、記録媒体Pのトナー像をニップ部で加熱溶融させながら、搬送される。
また、図示しないサーミスタなどの温度検知手段からの温度信号に基づいて、定着ベルト24が定着を良好に行える定着可能温度を維持するように、誘導加熱手段30が制御される。
この構成の定着装置20によれば、トナー像を形成された記録媒体Pは、定着ベルト24の用紙搬送方向の上流側に配された図示しない定着前ガイドから、ニップ部に搬送され、記録媒体Pのトナー像がニップ部で加熱溶融されることによって、トナー像が定着される。その後、記録媒体Pは、分離板等により分離され、用紙搬送方向下流側の排紙部から排出される。
ここで、定着装置20は、A3サイズの記録媒体Pを通紙可能な通紙幅を有している。なお、A4サイズの記録媒体Pなど加熱ローラ21の軸方向幅より狭い幅の記録媒体Pを加熱定着するときは、加熱ローラ21の中央部を使用するようになっている。
定着装置20の誘導加熱手段30は、磁界発生手段としての2つの励磁/消磁コイル(第二のコイル)31a、励磁/消磁コイル(第一のコイル)31bと、励磁/消磁コイル31a,31bに交流電流を印加することにより発生した磁界を外部に漏らさないようにする磁性コア32(32a,32b,32c)と、磁性コア32に対し励磁/消磁コイル31a,31bを挟んで対向する位置に設けられるコイル抑え部材33と、励磁/消磁コイル31a,31bと共振回路35との接続状態の切り替えと、励磁/消磁コイル31a,31bを短絡させる切り替え回路34と、励磁/消磁コイル31a,31bに磁界発生のための交流電流を供給する共振回路35と、加熱ローラ21の軸方向における端部側の温度を検知する端部温度検知センサ(端部温度検知手段)36と、を備えている。
誘導加熱手段30は、励磁/消磁コイル31により発生した磁界が加熱ローラ21の表面層である発熱層21aを誘導加熱するものである。
励磁/消磁コイル31a,31bは、同心であって、かつ、加熱ローラ21の軸方向における長さが異なるように構成されている。励磁/消磁コイル31bは加熱ローラ21の軸方向における中央位置から所定範囲の長さを有し、励磁/消磁コイル31aは加熱ローラ21の軸方向における中央位置から励磁/消磁コイル31bよりも広範囲に亘る長さを有している。各励磁/消磁コイル31a,31bは、表面を絶縁した銅製の線材を束ねた線束からなっており、図3に示すように、加熱ローラ21の軸方向に延伸され、加熱ローラ21に沿うように周回している。また、各励磁/消磁コイル31a,31bは、切り替え回路34を介して、磁界発生のための交流電流を供給する共振回路35に接続されている。
本実施形態では、複数の励磁/消磁コイル31は同心円構成を有している。なお、本明細書にいう「同心」には略同心も含むものとする。また、本実施形態では、ニップ部の軸方向の中央部が、記録媒体Pのサイズに関わらず記録媒体Pの通紙幅の中央部と略一致する、いわゆる「中央通紙方式」の定着装置(画像形成装置)を例に説明しており、複数の励磁/消磁コイル31は同心円構成としている。しかしながら、ニップ部の軸方向の一方の端部側に記録媒体Pを寄せて通紙する、いわゆる「端部通紙方式」の定着装置(画像形成装置)の場合は、内周側の励磁/消磁コイル31bは、記録媒体Pが寄せられる方の端部側に寄せて配設されるものであれば良い。
また、励磁/消磁コイル31a,31bは、共振回路35への接続とショートを切り替えることにより、磁束を発生させる励磁コイル(励磁状態)と、磁束を打ち消す消磁コイル(消磁状態)との切り替えが可能となっている。
本実施形態では、励磁/消磁コイル31aは、例えば、加熱ローラ21の軸方向に長さ292mm、巻き数11巻きであり、励磁/消磁コイル31bは、例えば、加熱ローラ21の軸方向に長さ205mm、巻き数15巻きとしている。なお、本実施形態では、励磁/消磁コイル31が2つの例について説明するが、励磁/消磁コイル31の数を、軸方向における長さが最大となるコイルの内周に他のコイルは配設されるものであって、かつ、加熱ローラ21の軸方向における長さが異なる3以上の励磁/消磁コイル31から構成しても良い。
磁性コア32は、図2に示すように、加熱ローラ21のおよそ半周面に対向するように励磁/消磁コイル31の背後に配置される第一の磁性コア32aと、第一の磁性コア32aからコイル抑え部材33の中央部に伸びている第二の磁性コア32bと、コイル抑え部材33の端部に伸びて励磁/消磁コイル31を囲むように配置されている第三の磁性コア32cとからなっている。磁性コア32は、磁束を効率よく加熱ローラ21の発熱層21aに到達させるためのものであり、強磁性体で電気抵抗率の高い素材からなるものが望ましく、具体的な素材としてはフェライトやパーマロイ等が挙げられる。
コイル抑え部材33は、磁性コア32に対し励磁/消磁コイル31a,31bを挟んで対向する位置に設けられ、励磁/消磁コイル31a,31bを抑える役割を果たす。
切り替え回路34は、励磁/消磁コイル31a,31bと共振回路35との間に設けられるスイッチ回路である。本実施形態における切り替え回路34は、共振回路35と、複数の励磁/消磁コイル31a,31bとの接続状態(接続のオンオフ)を制御するスイッチ切り替え部(スイッチ切り替え回路)34aと、共振回路35と複数の励磁/消磁コイル31a,31bとの間を短絡させる短絡制御部(短絡回路)34bと、を備え、図示しない定着装置20の制御手段からの制御に基づいて、励磁/消磁コイル31a,31bと共振回路35との接続状態を切り替えるとともに、短絡させることができる。
切り替え回路34の短絡制御部34bは、は、いずれか一方の励磁/消磁コイル31(例えば、励磁/消磁コイル31a)と共振回路35の接続がされ、この励磁/消磁コイル31aが交番磁束を生成して加熱ローラ21を誘導加熱している状態(励磁状態)において、他方の励磁/消磁コイル31(励磁/消磁コイル31b)と共振回路35をショートさせることで、励磁/消磁コイル31bを励磁/消磁コイル31aにより生成した交番磁束の一部を周回し交番磁束を打ち消す方向に起電力を発生させて、励磁/消磁コイル31aにより生成した磁束をキャンセルさせる状態(消磁状態)とすることができる。なお、短絡制御部34bは、少なくとも、励磁/消磁コイル31bを短絡させることができるものであればよい。
共振回路35は、励磁/消磁コイル31a,31bに磁界発生のための交流電流を供給する電源回路であって、共振コンデンサー等により構成される。
端部温度検知センサ36は、図3に示すように、加熱ローラ21の軸方向両端における励磁/消磁コイル31bの外側であって励磁/消磁コイル31aの内側の2箇所に設けられ、当該位置での加熱ローラ21の温度を検知する。なお、端部温度検知センサ36を片端側のみに設けるようにしても良い。
[定着装置の制御]
以上のように構成された定着装置20は、共振回路35により供給される交流電流が励磁/消磁コイル31aまたは励磁/消磁コイル31bに流れることで加熱ローラ21を誘導加熱する。
ここで、長さの異なる複数の励磁/消磁コイル31a,31bは、その巻き数を変えることで、インダクタンス、電気抵抗を揃えることが好ましい。本実施形態では、励磁/消磁コイル31a,31bのインダクタンスをどちらも30kHz時に25μHとし、インダクタンスを揃えることにより、励磁/消磁コイル31a,31bを切り替える際に、共振回路35の回路定数を変化させないようにしている。これにより、2つの励磁/消磁コイル31a,31bの共振回路35(共振コンデンサー)の共通化を可能とすることができる。なお、異なる用紙サイズへの定着に際しては、各コイルのオンオフ時間を適宜制御することで、異なる所望の発熱量とすることができる。
このように長さの異なる複数の励磁/消磁コイル31の巻き数を変え、インダクタンス、電気抵抗を揃えることで複数個の励磁/消磁コイル31に対する共振回路(電源回路)35を共通化することができる。なお、励磁/消磁コイル31を3つ以上備える場合は、少なくとも2以上のコイルのインダクタンス、電気抵抗を揃えて共振回路35の共通化を図ることが好ましい。
図4は励磁/消磁コイル31の切り替え時の加熱ローラ21の軸方向位置と発熱量との関係を示す発熱分布図、図5は小サイズ用紙の通紙時における加熱ローラ21の軸方向位置と加熱ローラ温度との関係を示す温度分布図を示している。また、図6は、定着装置20の制御手段による切り替え回路34の切り替え制御のフローチャートである。
本実施形態では、小サイズ用紙(例えば、A4)の通紙時において、切り替え回路34のスイッチ制御部34aにより共振回路35は、励磁/消磁コイル31bに接続され、図4に示す発熱分布Aに示す発熱幅を有する。また、この時の加熱ローラ21の温度分布は図5の温度分布Aに示すように中央側の温度が上昇している。なお、この時、共振回路35と励磁/消磁コイル31bとの接続はスイッチ制御部34aによりオフになっている。
この状態から、これよりも大きいサイズの用紙(例えば、A3)を通紙すると、非通紙部分となる加熱ローラ端部側は加熱されていないため、コールドオフセットが発生してしまうおそれがある。これを回避するために、従来、所定時間空回しをする必要があった。
そこで、本実施形態では、図6に示すように、定着装置20の制御手段は、励磁/消磁コイル31bが共振回路35に接続された状態(S101)から、大きいサイズの用紙(例えば、A3)を通紙する際に、端部温度検知センサ36による温度検知を行って(S102)、端部温度検知センサ36の検知温度と、予め設定された設定温度の大小判定を行い(S103)、検知温度が設定温度より低い場合(S103:Yes)、切り替え回路34のスイッチ制御部34aは、共振回路35との接続を励磁/消磁コイル31bから31aへ変更する制御をするとともに、短絡制御部34bは、共振回路35と励磁/消磁コイル31bとをショートさせるものである(S104)。なお、検知温度が設定温度を超えている場合は(S103:No)、励磁/消磁コイル31bが共振回路35に接続された状態のままとするものである(S105)。
これにより、発熱幅は、図4に示す発熱分布Aから発熱分布Bに変化し、加熱ローラ21の端部の加熱がなされる。したがって、加熱ローラ21の温度分布は図5の温度分布Aから温度分布Bに変化し、幅方向の温度分布ムラが発生しない。よって、端部でのコールドオフセットの発生を回避することができる。
なお、切り替え回路34のスイッチ制御部34aが共振回路35との接続を励磁/消磁コイル31bから31aへ変更する制御をし、短絡制御部34bは、共振回路35と励磁/消磁コイル31bとをショートさせない場合は、図9に示す発熱分布Cのように軸方向の全域を加熱できるため(詳細は後述)、必要に応じて、発熱分布BとCとを適切に組み合わせて、所望の発熱量とすることが好ましい。よって、加熱ローラ21の温度分布を幅方向に略均一となるように制御することができる。
また、上記S103においては、加熱ローラ21の幅方向中央部に中央温度検知センサ(図示せず)を設け、中央温度検知センサと端部温度検知センサ36により検出された温度との差分値と予め設定された値との大小判定を行って、温度差が所定の温度差以上の場合に、S104の制御を行うようにしても良い。
また、用紙サイズ情報に基づいて、切り替え回路34を制御して、共振回路35と励磁/消磁コイル31a,31bとの接続状態と短絡状態を切り替えることも好ましい。この用紙サイズ情報は、給紙部7または記録媒体の搬送経路の途中に設けられた用紙センサによる検知結果や、予め設定される用紙サイズについての情報を定着装置20の制御手段が読み取るものであればよい。この構成の場合、端部温度検知センサ36を備えることは必須ではない。
以上説明した本実施形態に係る定着装置20では、幅方向に長いコイル31aが励磁コイルとして作用する際に、幅方向に短いコイル31bをキャンセルコイルとして作用させることで、幅方向の端部のみの加熱が可能となるものである。
また、軸方向における長さが最大となるコイルの内周に他のコイルが配設された複数のコイルの切り替えとすることで、最低限のコイル数で紙幅に対応し、励磁コイルとキャンセルコイルとを兼用させることで、加熱ローラ21の幅方向の端部のみの加熱を可能とすることができる。
また、端部に端部加熱用の小さいコイルを設けた場合、誘導加熱では、いわゆる端部ダレが大きいため、中央側の励磁コイルと端部側の励磁コイルの継ぎ目の温度が高くなったり低くなったりと制御が困難となってしまう。これに対し、本実施形態では、同心円構成とすることで、この継ぎ目に生じる問題を回避することができるため、簡易な制御で、中央側と端部側に分けたコイルよりも切れ目のないフラットな温度分布を実現することができる。
このように、複数のインバータ回路や消磁コイルなどの消磁部材等を別途用いることなく、簡易な構成により、定着部材の軸方向の加熱幅を調整して、通紙領域のみの加熱、非通紙領域のみの加熱、および全域の加熱をすることが可能となり、記録媒体の幅方向に適切な温度分布を実現することができる。
<第二の実施形態>
以下、本発明に係る定着装置のその他の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同様の点についての説明は省略する。
(定着装置)
[定着装置の構成]
次に、画像形成装置1が備える定着装置20の他の構成例について説明する。図7は、誘導加熱方式の定着装置20の一例を示し、定着ローラ22の軸方向での概略断面図である。また、図8は、定着装置20の加熱ローラ21に対する励磁コイル41a,41bの配置を説明するための図であり、図7の断面図における右斜め上部から励磁コイル41を見た図である。図8では、磁性コア等の部材は図示を省略している。
本実施形態に係る定着装置20は、図7および図8に示すように、誘導加熱手段40により加熱される加熱ローラ21と、定着ローラ22と、加熱ローラ21および定着ローラ22に張架される定着ベルト24と、定着ローラ22を押圧して定着ローラ22との間にニップ部を形成する加圧ローラ23と、を備えた定着装置20において、誘導加熱手段40は、加熱ローラ21の軸方向における長さが異なる複数の励磁コイル41a,41bであって、該複数のコイルのうち軸方向における長さが最大となるコイル41aの内周に他のコイル41bが配設される複数の励磁コイル41a,41bと、励磁コイル41a,41bに交流電流を供給する共振回路45と、共振回路45と、複数の励磁コイル41a,41bのうちのいずれか1つの励磁コイルとの接続状態を切り替える切り替え回路44と、を有するものである。
図7に示すように、誘導加熱方式の定着装置20は、金属芯金22aの外周に弾性層22bを有する定着ローラ22と、励磁コイル41a,41bにより加熱される加熱ローラ21と、加熱ローラ21と定着ローラ22との間に張架される無端状の定着ベルト24と、定着ベルト24の外周側に配設され、定着ローラ22との間でニップ領域を形成する加圧ローラ23と、加熱ローラ21を加熱する誘導加熱手段40と、を有している。
定着装置20は、定着ローラ22と加圧ローラ23との圧接によって形成される定着ベルト24と加圧ローラ23とのニップ部に未定着トナー像を担持した記録媒体P(用紙)を通紙して加熱定着を行うものである。なお、加熱ローラ21、定着ベルト24、加圧ローラ23の構成は、第一の実施形態と同様である。
定着装置20の誘導加熱手段40は、磁界発生手段としての2つの励磁コイル(第二のコイル)41a、励磁コイル(第一のコイル)41bと、励磁コイル41a,41bに交流電流を印加することにより発生した磁界を外部に漏らさないようにする磁性コア42(42a,42b,42c)と、磁性コア42に対し励磁コイル41a,41bを挟んで対向する位置に設けられるコイル抑え部材43と、励磁コイル41a,41bと共振回路45との接続状態を切り替える切り替え回路44と、励磁コイル41a,41bに磁界発生のための交流電流を供給する共振回路(電源回路)45と、を備えている。
誘導加熱手段40は、励磁コイル41により発生した磁界が加熱ローラ21の表面層である発熱層21aを誘導加熱するものである。励磁コイル41a,41bは、同心であって、かつ、加熱ローラ21の軸方向における長さが異なるように構成されている。各各励磁コイル41a,41bは、表面を絶縁した銅製の線材を束ねた線束からなっており、図8に示すように、加熱ローラ21の軸方向に延伸され、加熱ローラ21に沿うように周回している。また、各励磁コイル41a,41bは、切り替え回路44を介して、磁界発生のための交流電流を供給する共振回路45に接続されている。
本実施形態では、いわゆる「中央通紙方式」の定着装置を例に説明しており、複数の励磁コイル41は同心円構成を有している。しかしながら、上述のように、いわゆる「端部通紙方式」の定着装置の場合は、内周側の励磁コイル41bは、記録媒体Pが寄せられる方の端部側に寄せて配設されるものであれば良い。
本実施形態では、励磁コイル41aは、例えば、加熱ローラ21の軸方向に長さ292mm、巻き数11巻きであり、励磁コイル41bは、例えば、加熱ローラ5の軸方向に長さ205mm、巻き数15巻きとしている。なお、本実施形態では、励磁コイル41が2つの例について説明するが、励磁コイル41の数を、軸方向における長さが最大となるコイルの内周に他のコイルは配設されるものであって、かつ、加熱ローラ21の軸方向における長さが異なる3以上の励磁コイル41から構成しても良い。
磁性コア42は、図7に示すように、加熱ローラ21のおよそ半周面に対向するように励磁コイル41の背後に配置される第一の磁性コア42aと、第一の磁性コア42aからコイル抑え部材43の中央部に伸びている第二の磁性コア42bと、コイル抑え部材43の端部に伸びて励磁コイル41を囲むように配置されている第三の磁性コア42cとからなっている。磁性コア42およびコイル抑え部材43の構成は、第一の実施形態と同様である。
切り替え回路44は、励磁コイル41a,41bと共振回路45との間に設けられるスイッチ回路であって、図示しない定着装置20の制御手段からの制御に基づいて、励磁コイル41a,41bと共振回路45との接続状態を切り替える。
共振回路45は、励磁コイル41a,41bに磁界発生のための交流電流を供給する電源回路であって、共振コンデンサー等により構成される。
[定着装置の制御]
以上のように構成された定着装置20は、共振回路45により供給される交流電流が励磁コイル41aまたは励磁コイル41bに流れることで加熱ローラ21を誘導加熱する。
ここで、長さの異なる複数の励磁コイル41は、その巻き数を変えることで、インダクタンス、電気抵抗を揃えることが好ましい。本実施形態では、励磁コイル41a,41bのインダクタンスをどちらも30kHz時に25μHとし、インダクタンスを揃えることにより、励磁コイルを切り替える際に、共振回路45の回路定数を変化させないようにしている。これにより、2つの励磁コイル41a,41bの共振回路45(共振コンデンサー)の共通化を可能とすることができる。なお、異なる用紙サイズへの定着に際しては、各コイルのオンオフ時間を適宜制御することで、異なる所望の発熱量とすることができる。
図9は励磁コイル41の切り替え時の加熱ローラ21の軸方向位置と発熱量との関係を示す発熱分布図、図10は小サイズ用紙の通紙時における加熱ローラ21の軸方向位置と加熱ローラ温度との関係を示す温度分布図を示している。また、図11は、定着装置20の制御手段による切り替え回路の切り替え制御のフローチャートである。
本実施形態では、大サイズ用紙(A3)の通紙時において、切り替え回路44により共振回路45は励磁コイル41aに接続され、図9に示す発熱分布Cに示す発熱幅を有する。ここで、小サイズ用紙(A4)を通紙すると、非通紙部分となる加熱ローラ端部側は熱が奪われないため、加熱ローラ21の温度分布は図10の温度分布Cに示すように端部側の温度が上昇する。
ここで、図11に示すように、定着装置20の制御手段は、励磁コイル41aが共振回路45に接続された状態(S201)において、画像形成装置の給紙部(給紙トレイ)7、または、記録媒体の搬送経路に設けられた用紙センサ(用紙幅センサ)による用紙サイズ(用紙幅)の検知を行って(S202)、検知された用紙幅と、所定の用紙サイズ(例えば、紙幅210mm(A4タテ)以上かどうか)との大小判定を行い(S203)、検知された用紙幅が、所定の用紙サイズ以上の場合(S203:Yes)、切り替え回路44を切り替えて、共振回路45との接続を励磁コイル41aから41bへ変更する制御を行う(S204)。一方、検知された用紙幅が、所定の用紙サイズ未満の場合は(S203:No)、励磁コイル41aが共振回路45に接続された状態のままとするものである(S205)。
この切り替え制御により、加熱幅が図9に示す発熱分布Cから発熱分布Aのように変化する。すなわち、加熱ローラ21の端部側の加熱が停止され、温度分布が図10に示す温度分布Cから温度分布Bのように変化し、非通紙領域が通紙領域以上の高温になることを防止して、ホットオフセットの発生を防ぐことができる。
以上説明した本実施形態に係る定着装置では、給紙部から搬送されてくる用紙の紙幅に応じて、励磁コイル41a,41bを切り替えることによって加熱幅の調整を実現するフィードフォワード制御が可能となる。なお、用紙幅サイズは、予め設定される用紙サイズについての情報を定着装置20の制御手段が読み取るものであっても良い。
また、端部に端部加熱用の小さいコイルを設けた場合、誘導加熱では、いわゆる端部ダレが大きいため、中央側の励磁コイルと端部側の励磁コイルの継ぎ目の温度が高くなったり低くなったりと制御が困難となってしまう。これに対し、本実施形態では、同心円構成とすることで、この継ぎ目に生じる問題を回避することができるため、簡易な制御で、中央側と端部側に分けたコイルよりも切れ目のないフラットな温度分布を実現することができる。
したがって、複数のインバータ回路や消磁コイルなどの消磁部材等を別途用いることなく、簡易な構成により、定着部材の軸方向の加熱幅を調整して、通紙領域のみの加熱、全域の加熱を行うことができ、非通紙領域が通紙領域以上の高温になることを防止することができ、記録媒体の幅方向に適切な温度分布を実現することができる。
また、以上説明した構成による定着装置20を備えた画像形成装置(図1)とすることにより、記録媒体の幅方向に適切な温度分布を実現することができる定着装置を備えた画像形成装置を提供することができる。
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
例えば、上記実施形態では、ベルト定着方式の誘導加熱方式の定着装置を例に説明したが、誘導加熱手段を用いた他の方式、例えば、加圧ローラと加熱ローラ(定着ローラ)との圧接によってニップ部を形成するローラ定着方式や、ベルト部材である定着ベルトに替えて定着ローラと加熱ローラに張架されたフィルム部材を用いたフィルム定着方式の定着装置に適用したものであっても良いのは勿論である。
1 画像形成装置
2 書込み部
3 原稿搬送部
4 原稿読込部
5 コンタクトガラス
7 給紙部
8 給紙ローラ
9 レジストローラ
11Y,11M,11C,11BK 感光体ドラム
12 帯電部
13 現像部
14 転写バイアスローラ(1次転写バイアスローラ)
15 クリーニング部
16 中間転写ベルトクリーニング部
17 中間転写ベルト
18 2次転写バイアスローラ
20 定着装置
21 加熱ローラ
21a 発熱層
21b 弾性層
21c 芯金層
22 定着ローラ
22a 金属芯金
22b 弾性層
23 加圧ローラ
24 定着ベルト
30 誘導加熱手段
31a 励磁/消磁コイル(第二のコイル)
31b 励磁/消磁コイル(第一のコイル)
32,32a,32b,32c 磁性コア
33 コイル抑え部材
34 切り替え回路
34a スイッチ制御部
34b 短絡制御部
35 共振回路
36 端部温度検知センサ
40 誘導加熱手段
41a 励磁コイル(第二のコイル)
41b 励磁コイル(第一のコイル)
42,42a,42b,42c 磁性コア
43 コイル抑え部材
44 切り替え回路
45 共振回路
D 原稿
P 記録媒体
特開2001−135470号公報 特開2000− 30850号公報 特開2009−276421号公報 特開2008−185991号公報

Claims (10)

  1. 誘導加熱手段により加熱される定着部材と、
    該定着部材の少なくとも一部を押圧可能に配置され、前記定着部材との間にニップ部を形成する加圧部材と、を備えた定着装置において、
    前記誘導加熱手段は、
    前記定着部材の軸方向における長さが異なる複数のコイルであって、該複数のコイルのうち軸方向における長さが最大となるコイルの内周に他のコイルは配設されるとともに、各コイルは共振回路への接続状態と短絡状態を制御されることで、交番磁束を生成して前記定着部材を誘導加熱する励磁状態と、他のコイルにより生成した交番磁束を打ち消す消磁状態と、を切り替え可能な複数のコイルと、
    前記コイルに交流電流を供給する共振回路と、
    前記共振回路と、前記複数のコイルとの接続状態と短絡状態を切り替える切り替え回路と、
    を有することを特徴とする定着装置。
  2. 前記複数のコイルは、
    前記定着部材の軸方向における中央位置から所定範囲の長さを有する第一のコイルと、
    前記定着部材の軸方向における中央位置から前記所定範囲よりも広範囲に亘る長さを有する第二のコイルと、からなることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記定着部材の軸方向における前記第一のコイルの外側であって前記第二のコイルの内側の温度を検知する端部温度検知手段を、有し、
    該端部温度検知手段による検知温度が、所定の設定温度よりも低い場合は、前記切り替え回路を制御して、
    前記共振回路との接続を前記第一のコイルから前記第二のコイルに切り替えるとともに、前記共振回路と前記第一のコイルとの間を短絡させることを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
  4. 用紙サイズ情報に基づいて、前記切り替え回路を制御して、前記共振回路と前記コイルとの接続状態と短絡状態を切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
  5. 誘導加熱手段により加熱される定着部材と、
    該定着部材の少なくとも一部を押圧可能に配置され、前記定着部材との間にニップ部を形成する加圧部材と、を備えた定着装置において、
    前記誘導加熱手段は、
    前記定着部材の軸方向における長さが異なる複数のコイルであって、該複数のコイルのうち軸方向における長さが最大となるコイルの内周に他のコイルが配設される複数のコイルと、
    前記コイルに交流電流を供給する共振回路と、
    前記共振回路と、前記複数のコイルとの接続状態を切り替える切り替え回路と、を有し、
    用紙センサにより検知される用紙サイズ情報に基づいて、前記切り替え回路を制御して、前記共振回路と前記複数のコイルとの接続状態を切り替えることを特徴とする定着装置。
  6. 前記複数のコイルは、
    前記定着部材の軸方向における中央位置から所定範囲の長さを有する第一のコイルと、
    前記定着部材の軸方向における中央位置から前記所定範囲よりも広範囲に亘る長さを有する第二のコイルと、からなることを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
  7. 前記複数のコイルは、インダクタンスおよび抵抗値が共通であることを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記載の定着装置。
  8. 前記共振回路が有する共振コンデンサーは、
    前記複数のコイルの少なくとも2つに対して共通であることを特徴とする請求項1から7までのいずれかに記載の定着装置。
  9. 前記定着部材は、下記(1)から(3)のいずれかからなることを特徴とする請求項1から8までのいずれかに記載の定着装置。
    (1)前記加圧部材との間にニップ部を形成する前記誘導加熱手段により加熱される加熱ローラ
    (2)前記加圧部材との間にニップ部を形成する定着ローラと、前記誘導加熱手段により加熱される加熱ローラと、前記定着ローラおよび前記加熱ローラに張架されたベルト部材
    (3)前記加圧部材との間にニップ部を形成する定着ローラと、前記誘導加熱手段により加熱される加熱ローラと、前記定着ローラおよび前記加熱ローラに張架されたフィルム部材
  10. 請求項1から9までのいずれかに記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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