JP2003112292A - サブマージアーク溶接用ボンドフラックス - Google Patents

サブマージアーク溶接用ボンドフラックス

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JP2003112292A JP2001306256A JP2001306256A JP2003112292A JP 2003112292 A JP2003112292 A JP 2003112292A JP 2001306256 A JP2001306256 A JP 2001306256A JP 2001306256 A JP2001306256 A JP 2001306256A JP 2003112292 A JP2003112292 A JP 2003112292A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大入熱溶接に適用可能で拡散性水素量が少な
く、大入熱溶接でも窒素の侵入を防ぐことができ、衝撃
性能が良好で、遅れ割れの発生が防止された溶接金属を
形成することができるサブマージアーク溶接用ボンドフ
ラックスを提供する。 【解決手段】 ボンドフラックス又は焼結フラックスの
スラグを10乃至70質量%含有し、残部がフラックス
原料からなるボンドフラックスである。フラックス中の
総Fe量が10乃至40質量%、総CO量が2乃至1
0質量%で、かつ示差熱分析で測定される質量変化開始
温度が550℃以上である。更に、総MgOを10乃至
30質量%、SiOを10乃至25質量%、CaF
を2乃至10質量%、TiOを3乃至15質量%、A
を5乃至20質量%含有することが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サブマージアーク
溶接用ボンドフラックスに関し、特に、鉄骨ボックスの
角継手溶接及び造船等の厚板の継手溶接に適し、優れた
作業性を有し、拡散性水素量が低く、しかも高能率施工
が可能な鉄粉系サブマージアーク溶接用ボンドフラック
スに関する。
【0002】
【従来の技術】鉄骨・橋梁及び造船の溶接では、溶融型
フラックス又はボンドフラックスを用いたサブマージア
ーク溶接が幅広く使用されている。サブマージアーク溶
接で生成されるスラグの利用方法は乏しく、これまでは
産業廃棄物として廃却されることが多かった。溶接施工
業者は工場で発生する溶接スラグを所定の容器又は場所
に一定期間保管したり、費用を支払って業者に廃却を依
頼する等、溶接スラグの処置に手間と費用をかけている
のが現状である。また、環境保全の点から廃却できる場
所及び方法が限定される等、処置自体も制約を受けてい
て、溶接スラグを活用できる技術の開発が望まれてい
た。
【0003】ボンドフラックスの溶接スラグは溶融過程
を経て生成されたもので、その均質性は高い。また、高
温下で溶融されたことから水分含有量は低く、化学組成
は特定の成分を除き、溶接前のフラックスに類似してい
る。このような特長を備えたスラグはフラックス原料の
一部として適用できる可能性があり、これまでにもいく
つかの溶接スラグの再生利用方法が提案されている。
【0004】例えば、特開昭57−181796号公報
には、溶接スラグと未使用のフラックスを混合して新た
なフラックスを作製する方法が開示されている。しか
し、この技術は混合比率又は粒度を規定した混合型フラ
ックスに関するものであり、ボンドフラックスに関する
ものではない。
【0005】また、特開昭63−188493号公報に
は、溶接スラグに対して予め成分調整した溶解原料を添
加し、新製品と同様の品質を有する溶融型フラックスを
提供する方法が開示されているが、この方法もボンドフ
ラックスのスラグを再利用してボンドフラックスを得よ
うとするものではない。
【0006】一方、特開昭51−21537号公報及び
特開平11−188496号公報には、ボンドフラック
スのスラグを原料の一部として活用し、新しいボンドフ
ラックスを得る方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
51−21537号公報には、スラグを利用して新しい
ボンドフラックスを製造する条件が具体的に記載されて
おらず、炭酸塩を含有する鉄粉系ボンドフラックスの製
造を可能にするものではない。
【0008】また、特開平11−188496号公報に
記載の発明は、原料中に10乃至90質量%のスラグを
含有し、比表面積を0.3m/cm以下に規定する
ことで、拡散性水素量及び溶接金属のポックマークの低
減を図ったフラックスに関するものである。しかし、こ
の公報には、「フラックス中の炭酸塩を増加させる方法
では、炭酸塩が分解して発生するCOガスにより溶接
ビードの表面が粗くなり、高速溶接を行った場合に作業
性が劣化する等の問題を残していた」と記載されている
ように、特開平11−188496号公報に記載の発明
は、炭酸塩の使用を回避するものであり、しかもこの発
明の実施例を見ると、乾燥温度を高くすることで拡散性
水素量の低減を図っていることがわかる。しかしなが
ら、この方法では以下に示すとおり、厚板溶接に適した
ボンドフラックスを得ることが極めて困難である。
【0009】即ち、鉄骨・橋梁・造船等で使用されてい
る厚板の溶接では、鉄粉を含有して溶着速度を高めたボ
ンドフラックスを大入熱で溶接する高能率施工法が幅広
く適用されている。この鉄粉系ボンドフラックスには、
良好な作業性に加えて、溶接金属中に拡散性水素に起因
する遅れ割れ発生の危険性を極力小さくすると共に、良
好な衝撃性能を有する溶接金属が得られることが求めら
れている。而して、大入熱溶接では、溶接金属の結晶粒
が大きくなるため、衝撃性能が劣化しやすい。結晶粒の
粗大化による衝撃性能の劣化を補うには、溶接金属の窒
素量をできるだけ低く抑制することが好ましい。しかし
ながら、大入熱溶接では溶融池が大きいため、空気の巻
き込みが起こりやすい。フラックス中に含有される炭酸
塩はアーク下で分解し、COガスを発生してアーク雰
囲気をシールドすることにより、空気を侵入しにくく
し、溶接金属の窒素量の増加を起こりにくくするが、前
述の特開平11−188496号に記載された発明で
は、炭酸塩の使用を回避しているので、このような効果
が得られない。
【0010】更に、前記公報に記載の実施例での乾燥温
度は550乃至850℃の場合でしかも鉄粉又は他の金
属原料は一切含有されていないことから、いわゆる非鉄
系ボンドフラックス又は非鉄粉系焼結フラックスを想定
したものであり、本発明の目的を達成できるものではな
いし、鉄粉を大量に含有するボンドフラックスの乾燥温
度を高くすると、鉄粉及び金属マンガン等の酸化が起こ
る可能性があり、溶接時にこれらの性能が発揮できな
い。
【0011】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、スラグを原料の一部に利用することによ
り、溶接スラグの再利用を可能とし、資源の有効利用を
図ることができるボンドフラックスであって、鉄粉を多
量に含有していて大入熱溶接に適用可能な拡散性水素量
が少なく、大入熱溶接でも窒素の侵入を防ぐことがで
き、これにより衝撃性能が良好で、しかも遅れ割れの発
生が防止された溶接金属を形成することができるサブマ
ージアーク溶接用ボンドフラックスを提供することを目
的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係るサブマージ
アーク溶接用ボンドフラックスは、ボンドフラックス又
は焼結フラックスのスラグ:10乃至70質量%と原料
からなるボンドフラックスであり、フラックス中の総F
e量が10乃至40質量%、総CO量が2乃至10質
量%で、かつ示差熱分析で測定される質量変化開始温度
が550℃以上であることを特徴とする。なお、本発明
では、乾燥温度が400乃至700℃の場合をボンドフ
ラックスとし、700℃を超え1000℃以下の場合を
焼結フラックスとして区別した。本発明で、原料とは、
鉄粉、合金粉、各種酸化物及びフッ化物等、ボンドフラ
ックスの製造に使用されるもの及び水ガラス等の固着剤
をいう。
【0013】このサブマージアーク溶接用ボンドフラッ
クスは、更に、総MgO量が10乃至30質量%、Si
量が10乃至25質量%、CaF量が2乃至10
質量%、TiO量が3乃至15質量%、更にAl
量が5乃至20質量%であることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明のボンドフラックスは、原料として、ボン
ドフラックスが一旦溶融して固化したスラグを10乃至
70質量%含有し、残部は予め成分調整した原料からな
るボンドフラックスを含有する。本発明のボンドフラッ
クスは、フラックス中に、総Fe量を10乃至40質量
%、総CO量を2乃至10質量%含有し、示差熱分析
で測定される質量変化の開始温度が550℃以上であ
る。好ましくは、更に、総MgOを10乃至30質量
%、SiOを10乃至25質量%、CaFを2乃至
10質量%、TiOを3乃至15質量%、Al
を5乃至20質量%含有する。
【0015】以下、本発明の各成分添加理由及び組成限
定理由について説明する。
【0016】ボンドフラックス又は焼結フラックスの
スラグを10乃至70質量%含有し、残部がフラックス
原料からなるボンドフラックスであること 溶接スラグは成分組成が元々のフラックス組成に類似し
ていると共に、しかも高温で一旦溶融しているため、水
分量が低く、耐吸湿性が優れている。このため、溶接ス
ラグは新たなフラックスの原料に適用しやすく、特に元
々のフラックスと類似した成分系の原料に最適である。
しかし、この原料としてのスラグが10質量%未満で
は、水分量が低いことによる効果が得られない。また、
スラグが70質量%を超えると、本発明の目的であるボ
ンドフラックスに必要な鉄粉及びその他の合金原料、更
にはフラックス全体の成分調整を行う余裕がなくなり、
フラックスの製造が困難になる。更に、ビード外観不良
及びビードの蛇行等の悪影響も生じる。
【0017】総Fe量:10乃至40質量% フラックス中にFeを一定量含有すると、このFeは溶
接過程で溶融池に移行し、溶着速度は増加する。このた
め、高能率施工が可能になると共に、鉄粉を含まない場
合に比べ、溶接入熱を下げることができる。総Fe量が
10質量%未満の場合はこのような効果が少なく、逆に
総Fe量が40質量%を超えるとビードの広がりが悪く
なったり、スラグ巻き込みが発生しやすくなる。なお、
本発明では総Fe量はフラックス中の鉄粉及び鉄合金中
のFeの合計量を表す。
【0018】総CO量:2乃至10質量% フラックス中のCOは炭酸ガス及び炭酸マグネシウム
等の炭酸塩として含有され、溶接中に分解されてCO
ガスとなって溶接雰囲気をシールドすることにより空気
の巻き込みを防止したり、水素分圧の低減による拡散性
水素の低減に効果を示す。このような効果は総CO
が2質量%未満では不十分であり、10質量%を超える
とポックマークが溶接金属表面に発生したり、溶接中に
吹き上げが激しくなる等の悪影響が生じる。なお、本発
明において、炭酸塩の種類は問わない。
【0019】示差熱分析における質量変化開始温度:550℃以上 フラックスの乾燥工程で炭酸塩の分解又は他の化学反応
が起こると、本発明の目的とするフラックスの品質が損
なわれる可能性が高い。この観点から、本発明者等はス
ラグ原料を用いたフラックスの安定性、特に炭酸塩の分
解について鋭意、実験研究を行った。
【0020】図1は横軸に温度をとり、縦軸にフラック
ス質量をとって、示差熱分析結果を示す模式図である。
図1に示すように、温度が上昇すると、水分の減少が生
じるが、一定の温度を超えると、炭酸塩の分解が開始さ
れ、更に温度が上昇すると、炭酸塩の急激な分解が開始
される。このため、温度が更に上昇すると、水分の減量
分(破線にて示す)に加えて、炭酸塩の分解によりフラ
ックス質量が大きく減量する。炭酸カルシウム及び炭酸
マグネシウム等の炭酸塩原料の質量が急激に変化する温
度を示差熱分析によって求めたところ、炭酸カルシウム
は755℃、炭酸マグネシウムは760℃、炭酸ナトリ
ウムは1081℃、炭酸リチウムは943℃といずれも
高温であった。
【0021】次に、下記表1に示すボンドフラックスの
スラグ原料A及びBを50質量%使用し、残りは成分調
整原料からなるフラックスA、Bを520℃と600℃
で乾燥してフラックスのCO量と拡散性水素量を調べ
た。また、予備乾燥後に採取したフラックスを示差熱分
析し、フラックス自体の質量変化が始まる温度も求め
た。
【0022】
【表1】
【0023】下記表2は乾燥前の全フラックス原料中に
占める炭酸塩とCOの量を示す。また、表2には、乾
燥温度が520℃の場合と、600℃の場合とで、乾燥
後のフラックス成分の組成も示す。更に、表2に、拡散
性水素量と示差熱分析結果を併せて示す。フラックスA
とフラックスBとの大きな差異は炭酸カルシウムと炭酸
マグネシウムの量であり、他の成分はほぼ同一である。
炭酸カルシウムの量が多いフラックスAでは乾燥温度に
よらず総CO量は乾燥前の量とほぼ同じであった。ま
た、拡散性水素量も低い値であった。一方、フラックス
Bの総CO量は乾燥温度が520℃では乾燥前と同じ
であったが、乾燥温度が600℃では3.0質量%と
0.9質量%低下していた。600℃で乾燥したフラッ
クスBを使用して測定した拡散性水素量は10.6ミリ
リットル/100gと極めて高く、実用性がないことが
確認された。
【0024】
【表2】
【0025】両フラックスの示差熱分析結果によれば、
フラックスAは643℃、フラックスBは570℃で急
激な質量変化が起こった。従って、図1に示すように、
フラックスBを600℃で乾燥した場合に、総CO
が約1%変化したのは炭酸塩が分解したためと考えられ
る。図1において、減量線を炭酸塩の分解開始点から延
長して引いた延長線(破線)が水分の減量分である。フ
ラックスAとフラックスBは炭酸塩の種類が異なってい
てフラックスBは炭酸マグネシウムが多い組成であるこ
とから、フラックスBを600℃で乾燥した場合は、炭
酸マグネシウムの一部が分解したために総CO量が低
下したと考えられる。また、フラックスBを450℃で
1時間再乾燥して拡散性水素量を測定したが、その値は
10.5ミリリットル/100gと殆ど変化がなかっ
た。このことから、フラックスBでは炭酸塩の分解だけ
でなく、水分源となる安定した化合物が同時に形成され
たものと考えられる。
【0026】以上のような検討を経て本発明者等は、フ
ラックスの急激な質量変化が始まる温度が一定温度以上
になるようにフラックス組成を制御することにより、乾
燥工程での炭酸塩の分解を防止し、更に品質劣化につな
がる化合物等の形成を防止することが必要であるという
結論に至った。一方、拡散性水素量を左右するフラック
ス中の水分を低減するには、一般に乾燥温度を高くする
ほうが好ましい。両特性を考慮すると、示差熱分析によ
って測定したフラックスの急激な質量変化の開始温度は
少なくとも550℃以上であることが必要である。質量
変化開始温度が550℃未満の場合でも、更に低い温度
で長時間の乾燥を行えば本発明と同様の効果を得ること
も可能ではあるが、このような低温での乾燥はフラック
ス水分を低減するために長時間が必要であり、製造コス
トの上昇をもたらす。このため、低温の乾燥は、工業的
な生産条件とは言い難く、実用性がない。なお、本発明
においては、株式会社マック・サイエンス社製TG−D
TA2010Sを使用し、Arガス流量が200ミリリ
ットル/分、フラックスの粒度が20×32メッシュ、
試料質量が20乃至30mg,昇温速度が20℃/分の
条件で、示差熱分析を実施した。
【0027】総MgO量:10乃至30質量% MgOはスラグの粘性を適切に保持する効果を有し、M
gOの適量の添加によってビードの蛇行及びアンダーカ
ットを防止できる。また、MgOは塩基性成分であるこ
とから、溶接金属の酸素量を低減して靭性の確保に有効
である。総MgO量が10質量%未満ではこのような効
果がなく、30質量%を超えるとスラグ焼付き及びポッ
クマークが発生しやすくなる。なお、総MgO量は炭酸
マグネシウム等のMgO化合物中のMgO量も加算した
ものである。
【0028】SiO量:10乃至25質量% SiOは酸性成分でスラグの粘性調整に有効である
が、SiO量が10質量%未満では粘性が不足し、ビ
ード形状が不安定になる。一方、SiO量が25質量
%を超えると、スラグの粘性が過剰になり、ビード形状
が凸になり、なじみが劣化すると共に、スラグ剥離性も
悪くなり、更に塩基度の低下による靭性劣化が起こりや
すくなる。
【0029】CaF量:2乃至10質量% CaFはスラグの流動性及び剥離性を調整し、更に塩
基性成分であることから、溶接金属の酸素量を低くする
効果がある。CaF量が2質量%未満ではその効果が
得られない。一方、CaF量が10質量%を超える
と、スラグの流動性が過大になり、ビードの蛇行又はア
ンダーカットが発生する。
【0030】TiO量:3乃至15質量% TiOはスラグの融点及び粘性調整に効果があると共
に、溶接中に還元反応によって溶接金属中にTiとして
侵入し、溶接金属の靭性を向上させる効果がある。Ti
が3質量%未満では、アンダーカットが発生しやす
くなる。一方、TiOが15質量%を超えると、スラ
グ剥離性が急激に劣化し、スラグ生成量も増大する。
【0031】Al量:5乃至20質量% Alはスラグの粘性及び凝固温度を調整すると共
に、中性成分であることから、添加しても靭性を損なう
ことがない。Al量が5質量%未満では、粘性及
び凝固温度が低くてスラグが流動しやすくなり、ビード
幅が不均一になると共に、部分的に凸形状になりやす
い。一方、Alが20質量%を超えると、スラグ
の凝固温度が高くなりすぎ、ビード幅が過剰に狭くな
り、蛇行しやすくなる。
【0032】
【実施例】以下、本発明の範囲に入る実施例のサブマー
ジアーク溶接用ボンドフラックスについて、その特性を
比較例と比較して具体的に説明する。
【0033】表1に示すスラグ原料Bを、下記表3乃至
表6に示す割合で使用して、表3乃至表6に示すフラッ
クスを作製した。各フラックスは540乃至545℃で
乾燥した。なお、フラックスの製造工程の予備乾燥後に
サンプルを採取し、示差熱分析に供した。また、下記表
7に示す条件で、図2(a)に示す開先形状の母材を溶
接して、溶接作業性を評価した。
【0034】拡散性水素量はJIS Z 3118−1
992に基づき測定した。下記表9は溶接作業性の評価
結果と拡散性水素量の測定結果を示す。溶接作業性は下
記表8に示す基準に従って評価し、拡散性水素量は7.
5ミリリットル/100g以下を合格とした。なお、下
記表3乃至表6に示す「−」はその成分を含有していな
いことを示す。また、表8に示すビード形状の凹凸及び
蛇行は、図3及び図4に示すようにしてビード形状を測
定したものである。即ち、図3はビードの縦断面図であ
り、ビードが上下方向に波打っている場合の高低差を凹
凸としている。図4はビードの平面形状をみた場合に、
ビードが水平方向に波打っているときの水平方向の曲が
り具合を蛇行としている。
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【表5】
【0038】
【表6】
【0039】
【表7】
【0040】
【表8】
【0041】
【表9】
【0042】表9に示すように、実施例No.1乃至17
は、スラグ剥離性、スラグ焼き付き、ビード外観、ビー
ド形状、アンダーカット等の溶接作業性がいずれも良好
であると共に、拡散性水素量が低かった。中でも実施例
No.2乃至8は、本発明の請求項2も満足するため、
上記各特性が極めて良好なものであった。
【0043】比較例No.18はスラグの割合が多すぎる
と共に、総Fe量が少ないため、ビード外観が不要で余
盛が不足し、アンダーカットが発生した。比較例No.1
9は総Fe量が過大なために、ビードの幅が不揃いで全
般に狭い形状となった。比較例No.20は総Fe量が
少ないために、余盛が不足気味であった。比較例No.2
1はスラグの割合が少ないと共に、CaFが多く、ま
た総CO量が多すぎるために、ビード表面にポックマ
ークが発生し、拡散性水素量も高かった。比較例No.2
2は総CO量が少なすぎるため、拡散性水素量が過大
であった。比較例No.23はスラグ量が過剰なため、ビ
ード外観が不良でビードが蛇行し、形状が不良であっ
た。比較例No.24はスラグ量が少なく、拡散性水素が
過大になった。比較例No.25は総CO量が多いた
め、ポックマークが発生し、ビード外観が不良であっ
た。比較例No.26は示差熱分析での温度が521℃と
低く、拡散性水素量が9.2ミリリットル/100gと
非常に高い値であった。比較例No.21と比較例No.26
の総CO量を測定したところ、比較例No.21は8.
7%、比較例No.26は5.9%と総CO量は低下し
ていた。
【0044】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係るサブマ
ージアーク溶接用ボンドフラックスによれば、鉄粉を多
量に含有していて厚板での突合せ溶接のような大入熱溶
接に適用することができ、拡散性水素量が少なく、窒素
の侵入を防止することができ、衝撃性能が優れていると
共に遅れ割れの発生が防止された溶接金属を形成するこ
とができる。本発明によれば、このような優れたボンド
フラックスを、ボンドフラックスのスラグを10乃至7
0%使用して得ることができるので、溶接スラグの再利
用が可能となり、資源の有効利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】横軸に温度をとり、縦軸にフラックス質量をと
って、示差熱分析結果を示す模式図である。
【図2】(a)は開先形状を示す模式図、(b)は電極
配置を示す模式図である。
【図3】ビード形状(凹凸の測定)を示す模式図であ
る。
【図4】ビード形状(蛇行の測定)を示す模式図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長谷 薫 神奈川県藤沢市宮前字裏河内100番1 株 式会社神戸製鋼所藤沢事業所内 Fターム(参考) 4E084 AA02 AA03 AA07 AA11 AA20 BA02 CA03 CA14 CA23 DA18 FA12

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボンドフラックス又は焼結フラックスの
    スラグ:10乃至70質量%と原料からなるボンドフラ
    ックスであり、フラックス中の総Fe量が10乃至40
    質量%、総CO量が2乃至10質量%で、かつ示差熱
    分析で測定される質量変化開始温度が550℃以上であ
    ることを特徴とするサブマージアーク溶接用ボンドフラ
    ックス。
  2. 【請求項2】 総MgO量が10乃至30質量%、Si
    量が10乃至25質量%、CaF量が2乃至10
    質量%、TiO量が3乃至15質量%、Al
    が5乃至20質量%であることを特徴する請求項1に記
    載のサブマージアーク溶接用ボンドフラックス。
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