JP3433681B2 - サブマージアーク溶接用焼成型フラックスおよびその製造方法 - Google Patents

サブマージアーク溶接用焼成型フラックスおよびその製造方法

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JP3433681B2
JP3433681B2 JP27213198A JP27213198A JP3433681B2 JP 3433681 B2 JP3433681 B2 JP 3433681B2 JP 27213198 A JP27213198 A JP 27213198A JP 27213198 A JP27213198 A JP 27213198A JP 3433681 B2 JP3433681 B2 JP 3433681B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、船舶、海洋構造
物、貯槽、鉄骨、橋梁等の鋼構造物溶接に用いられるサ
ブマージアーク溶接用焼成型フラックスに関し、とくに
耐吸湿性、耐ポックマーク性を向上させた焼成型フラッ
クスに関する。
【0002】
【従来の技術】サブマージアーク溶接用フラックスは、
酸化ケイ素(SiO2)を主体とし、それに酸化マンガン
(MnO 、Mn3O4 )、酸化カルシウム(CaO )、アルミナ
(Al2O3)およびその他の酸化物、フッ化物等を原料と
し、製造されている。サブマージアーク溶接用フラック
スはその製造方法により、溶融型フラックス、混合型フ
ラックス、焼成型フラックスに分類されている。
【0003】溶融型フラックスは原料を電気炉等の溶解
炉で溶解し、冷却後適正粒度に粉砕し、フラックスとし
たものである。このため大型の設備を必要とし、しかも
製造ロットが大きくなり製造コストがかさむという不利
があった。混合型フラックスは、粒子形状や成分の異な
る原料をそのまま機械混合して製造される。この混合型
フラックスは、原料の粒度、嵩密度の調整を必要とし、
この調整を行わないと溶接箇所にフラックスを散布する
際に、フラックス原料の偏析が起こり、溶接時に生成す
るスラグが不均一となり、安定した溶接が行えなくなる
という問題がある。
【0004】一方、焼成型フラックスは一般に、酸化物
やフッ化物等のフラックス原料粉に結合剤(バインダ)
として珪酸ソーダなどを添加し、混練、造粒、乾燥、焼
成という工程により製造される。まれに、結合剤が省略
される場合もある。この焼成型フラックスは比較的簡単
な設備で製造可能なため安価であるうえに脱酸剤や合金
元素の添加が可能で、溶接金属成分を調整できる利点が
ある。しかしながら、混合型フラックスと同様、原料に
よって焼成型フラックスの品質が、ひいては溶接金属の
特性が大きく変化する。例えば、原料の結晶水等の水分
の含有あるいは吸湿性が溶接金属中の水素(拡散性水
素)量に大きく影響する。これら溶接金属中の拡散性水
素量は、水素割れの原因となる。
【0005】このため、焼成型フラックスを用いて溶接
した溶接金属中の拡散性水素量を減少させるために、従
来から種々の方法が考えられている。たとえば、特公昭
51−16172 号公報、特公昭52−25819 号公報、特公昭56
−8717号公報、特公昭56−53476 号公報および特公昭58
−49356 号公報には、フラックス中への炭酸塩の割合を
増加し、溶接時に発生するCO2 ガスによってH2 分圧を
低めることにより、溶接金属への水素の拡散を防ぐ方法
が開示されている。
【0006】しかしながら、フラックス中の炭酸塩を増
加させる方法では、炭酸塩が分解して発生するCO2 ガス
により溶接ビードの表面が粗くなり、また高速溶接を行
った場合に作業性が劣化するなどの問題を残していた。
また、例えば、特公昭51−25809 号公報には、結合剤と
して、低吸湿性のケイ酸リチウム水溶液を使用するか、
あるいはケイ酸リチウムを添加した水ガラスを使用する
ことにより、結合剤を低吸湿化する方法が提案されてい
る。しかし、ケイ酸リチウムが高価でありフラックスの
コスト増を招くため、通常のフラックスには適用されて
いないのが現状である。
【0007】サブマージアーク溶接は、溶接部の表面に
予めフラックスを散布しておき、その中に裸のワイヤを
送給して行う溶接法で、その特色上、多量のフラックス
を必要とする。フラックスの一部はそのままの状態で回
収され再利用に供されるが、他の一部は燃えて消失し、
また一部は溶融金属との化学反応作用に利用されスラグ
として生成される。
【0008】従来、サブマージアーク溶接後に発生した
溶接スラグ(以下、サブマージアーク溶接スラグ、ある
いは単に溶接スラグという)は、産業廃棄物として廃棄
されてきたが、その溶接スラグ中にもかなりの量のフラ
ックス成分が残存しており、最近、資源の有効活用の観
点から、溶接スラグの再利用が検討されてきた。例え
ば、特開昭57−181796号公報、特開平7−227694公報に
は、溶接スラグに未使用のフラックス等を混合して再利
用する方法が提案されている。しかしこれらの方法は、
混合型フラックスについての混合比率、粒度について規
定したものであり、焼成型フラックスについての検討は
なされていない。
【0009】焼成型フラックスの原料に溶接スラグを利
用する技術として、特開昭51−21537 号公報には、溶接
時の発生ガスであるCOガスの発生量を少なくするため
に、溶接スラグを回収し、脱鉄粉砕、粒度調節、成分調
整をなし、サブマージアーク溶接用焼成型フラックスと
することが記載されている。しかしながら、上記した公
報に記載された技術では、溶接時の発生ガスであるCO
ガスの発生量が少なくなるが、サブマージアーク溶接ス
ラグから焼成型フラックスを製造するために必要な具体
的な諸条件が記載されておらず、必ずしも溶接金属中の
拡散性水素量を低減できない。
【0010】また、本発明者らは、サブマージアーク溶
接スラグを利用したフラックスでは、溶接スタート部、
仮付溶接部など溶接アークが不安定となる箇所で、溶接
金属中の窒素含有量が高くなり溶接金属にピットが発生
しやすくなることを知見した。さらに、本発明者らは、
サブマージアーク溶接スラグの再利用を繰り返すとポッ
クマークと呼ばれるビード外観の欠陥が生じやすくな
り、サブマージアーク溶接スラグを利用したフラックス
では耐ポックマーク性に優れたフラックスとするのが好
ましいことを知見した。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従
来技術の問題を有利に解決し、溶接金属中の水素の拡散
を低減できる、耐吸湿性に優れ、かつ耐ピット性にも優
また、耐ポックマーク性にも優れたサブマージアー
ク溶接用焼成型フラックスおよびその製造方法を提案す
ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、溶接金属
中の拡散性水素量の低減を目的として、フラックス原料
粉の水分含有あるいは吸湿性について鋭意検討した結
果、フラックス原料粉に溶接スラグを添加することに思
い至った。溶接スラグは、ガラス質で均一な組成で、し
かもフラックスとして利用できる成分を含んでおり、結
晶水の含有量が少ないという利点がある。さらに本発明
者らは、溶接スラグをフラックス原料粉に添加するため
種々検討した結果、特定の粒度と比表面積を有する溶接
スラグ粉を適正量添加すれば、耐吸湿性にすぐれた焼成
型フラックスとなり、拡散性水素量の少ない溶接金属を
得ることが可能であるとの知見を得た。
【0013】また、本発明者らは、溶接スタート部、仮
付溶接部など溶接アークが不安定となる箇所で発生する
ピットを抑制するには、フラックス原料の一部として、
鉄分を5〜10wt%含有する鉄含有フラックス原料粉を使
用することが有効であるとの知見を得た。ここで、鉄分
とは、いわゆる原料に含まれるTotal Fe(T.Fe)のことで
あり、JIS M 8212に準拠した方法により測定した全鉄含
有率を意味する。さらに、本発明者らは、サブマージア
ーク溶接スラグの再利用を繰り返すと、Li2O、Na2Oおよ
びK2O が残留しやすいため、これらが次第に蓄積され、
ポックマークが生じやすくなることを見出し、これらの
蓄積を規制することが好ましいことに思い至った。
【0014】本発明は、このような知見をもとに構成さ
れたものである。すなわち、本発明は、フラックス原料
粉と結合剤とを混合して造粒・焼成したサブマージアー
ク溶接用焼成型フラックスであって、前記フラックス原
料粉の一部として、サブマージアーク溶接スラグをフラ
ックス合計量に対して10〜90wt%、フラックス原料
をフラックス合計量に対し10wt%以上30wt%未満含有
し、比表面積が0.3m2/cm3 以下であLiO 2 、Na 2 Oおよ
びK 2 O の含有量が合計で3wt%以下であるサブマージア
ーク溶接用焼成型フラックスである
【0015】また、本発明のサブマージアーク溶接用焼
成型フラックスの組成は、重量%で、全SiO2:30〜70
%、マンガン酸化物: MnO換算で5〜30%、MgO :3〜
30%、Al2O3 :2〜20%、CaO :10%以下、CaF2:15%
以下の少なくとも1種以上をスラグ生成剤として含有
し、あるいはさらに脱酸剤:10%以下を含有するのが好
ましい。
【0016】また、本発明は、フラックス原料粉と結合
剤とを混合した後造粒し焼成するサブマージアーク溶接
用焼成型フラックスの製造方法において、前記フラック
ス原料粉の一部として、サブマージアーク溶接スラグを
粉砕、好ましくは機械粉砕して、粒子径:300 μm 以
下、比表面積:0.1 〜0.5m2/g の溶接スラグ粉とし、該
溶接スラグ粉をフラックス原料粉と結合剤の合計量に対
し10〜90wt%添加するとともに、前記フラックス原料粉
の一部として、鉄分を5〜10wt%含有する鉄含有フラッ
クス原料を粉砕、好ましくは機械粉砕して、粒子径:30
0 μm 以下の鉄含有フラックス原料粉とし、フラックス
原料粉と結合剤の合計量に対し10wt%以上30wt%未満含
有することを特徴とするサブマージアーク溶接用焼成型
フラックスの製造方法であり、また、本発明では、前記
焼成を650 ℃以上の温度で行うのが好ましい。また、本
発明では、前記サブマージアーク溶接スラグは、Li 2 O
Na2OおよびK2O の含有量が合計で5wt%以下であるサブ
マージアーク溶接スラグとするのが好ましい。
【0017】また、本発明では、前記溶接スラグ粉の組
成に応じ、フラックス組成が重量%で、全SiO2:30〜70
%、マンガン酸化物: MnO換算で5〜30%、MgO :3〜
30%、Al2O3 :2〜20%、CaO :10%以下、CaF2:15%
以下の少なくとも1種以上をスラグ生成剤として、ある
いはさらに脱酸剤:10%以下と、好ましくはLi2O、Na 2O
およびK2O の含有量が合計で3wt%以下と、なるように
フラックス原料粉を配合するのが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明では、フラックス原料粉の
一部として溶接スラグ粉を添加する。添加する溶接スラ
グ粉量は、フラックス原料粉と結合剤の合計量に対し10
〜90wt%とするのが好ましい。添加する溶接スラグ粉量
を10wt%以上とすることにより、溶接金属中の拡散性水
素量低減の効果が著しく、極めて良好な耐水素割れ性を
得ることができる。一方、ビード外観を良くするための
脱酸剤あるいは造粒時結合剤を十分に添加するために
は、溶接スラグ粉の添加量は90wt%以下とするのが好ま
しい。なお、フラックスの成分調整の観点からは、溶接
スラグ粉の添加量は、50wt%以下とするのが好ましい。
【0019】添加する溶接スラグは、溶接スラグ中のLi
2O、Na2OおよびK2O の合計含有量が5wt%以下の溶接ス
ラグとするのが好ましい。Li2O、Na2OおよびK2O の合計
含有量が5wt%を超えると、製品フラックスにおけるLi
2O、Na2OおよびK2O の含有量が多くなり、溶接時に発生
するガスのスラグ内からのガス脱けが非常に悪くなり、
ポックマークが発生しやすくなる。
【0020】本発明のフラックスに添加する溶接スラグ
は、サブマージアーク溶接後に発生した溶接スラグを機
械粉砕し、粒子径 300μm 以下、言い換えれば 300μm
以下の粒子がほぼ100 %を占める比表面積 0.1〜0.5m2/
g の溶接スラグ粉とするのが好ましい。溶接スラグ粉の
粒子径が 300μm を超えると造粒性が劣化する。このた
め、溶接スラグ粉の粒子径は300 μm 以下とするのが好
ましい。
【0021】また、添加する溶接スラグ粉の比表面積が
0.1m2/g未満では、造粒性が劣化し造粒時の結合剤の添
加量が増加する。結合剤量が増加すると、焼成時にフラ
ックス中の水分を除去することが困難となり、溶接金属
中の拡散性水素量が高くなる。一方、溶接スラグ粉の比
表面積が 0.5m2/gを超えると、溶接スラグ粉中に含まれ
る未溶融状態の物質が吸湿する水分量が増加し、溶接金
属中の拡散性水素量が増加する。このため、溶接スラグ
粉の比表面積は 0.1〜0.5m2/g の範囲とするのが好まし
い。なお、粒子の比表面積は、窒素吸着によるBET法
により測定した値を用いる。
【0022】なお、未調整の溶接スラグ粉は、比表面積
が0.1m2/g 未満であり、粒子径が300 μm を超える粒子
が相当量存在する。溶接スラグ粉は、目的とするフラッ
クス組成と同一もしくはそれに近い組成のフラックスか
ら生成されたものが好ましい。しかし、異なる組成のフ
ラックスから生成した溶接スラグの場合でも、酸化物や
フッ化物等を添加しフラックス組成を調整できるため、
特に問題とならない。
【0023】また、本発明では、フラックス原料粉の一
部として、鉄分を5〜10wt%含有する鉄含有フラックス
原料粉を添加する。鉄含有フラックス原料粉は、フラッ
クス原料粉と結合剤の合計量に対し10wt%以上30wt%未
満とするのが好ましい。フラックス原料粉として、鉄含
有フラックス原料粉を添加したフラックスを使用して溶
接すると、ピットの発生が抑制される。
【0024】鉄含有フラックス原料粉中に含有される鉄
分は、焼成時に酸化し、鉄酸化物となり、製品としての
フラックス中に含有される。このフラックス中の鉄酸化
物は、溶接時に溶接ワイヤや鋼板中の炭素と反応して、
CO、CO2 ガスを発生する。このCO、CO2 ガスの発生量が
増加すると、アーク空洞中の窒素分圧が低下し、その結
果、溶接金属中の窒素量が少なくなる。このような溶接
金属中の窒素量の低減が、ピットの発生を抑制するもの
と考えられる。なお、鉄粉等を直接添加した場合には、
溶接中のCO等のガス発生が不十分である。
【0025】本発明に好適な鉄含有フラックス原料とし
ては、スラグ類として、ニッケルスラグ、マンガンスラ
グ、チタンスラグが、鉱石類として、オリビンサンド
(蛇紋岩を含む)や一部のMn酸化物鉱石が例示される。
また、他のマンガンスラグ、高炉スラグなどのスラグ類
あるいはジルコンサンド、珪砂、マグネシアクリンカー
などの鉱石類であっても、生成される工程や産地等の影
響により適正量(5〜10wt%)の鉄分を含有するもので
あれば、鉄含有フラックス原料としての使用に支障はな
い。さらに広く言えば、鉄含有フラックス原料は、スラ
グ生成剤でかつ所定量の鉄分を含有していれば、上記し
たものに限定されるものではない。これら鉄含有フラッ
クス原料を粉砕、好ましくは機械粉砕して粒子径:300
μm 以下の鉄含有フラックス原料粉とする。なお、必要
に応じ、焼成して水分を除去する等の前処理を施しても
よい。
【0026】鉄含有フラックス原料に含まれる鉄分が5
wt%未満では、溶接時に発生するCO、CO2 ガス量が少な
く、溶接金属中の窒素量の低減効果が期待できない。一
方、鉄含有フラックス原料に含まれる鉄分が10wt%を超
えると、溶接金属中の窒素量は低減されるが、溶接スラ
グの剥離性が劣化し、剥離不良が発生する。このため、
鉄含有フラックス原料中の鉄分は、5〜10wt%の範囲と
る。
【0027】なお、鉄含有フラックス原料粉を、フラッ
クス原料粉と結合剤の合計量に対し、10wt%以上添加す
ると溶接金属中の窒素量の低減効果が極めて良好とな
る。一方、30wt%以上添加すると、溶接時に発生するC
O、CO2 ガスの発生量が増加しポックマークが発生しや
すくなるため、極めて優れた耐ポックマーク性を必要と
する場合には、30wt%未満とするのが好ましい。このよ
うなことから、鉄分を5〜10wt%含有する鉄含有フラッ
クス原料粉の添加量は、フラックス原料粉と結合剤の合
計量に対し10wt%以上30wt%未満の範囲とする。
【0028】鉄含有フラックス原料は、通常、水砕、機
械粉砕されて塊状あるいは粉体状を呈しているが、本発
明では塊状あるいは粉体状の鉄含有フラックス原料をさ
らに機械粉砕し、粒径 300μm 以下、言い換えれば 300
μm 以下の粒子がほぼ 100%を占める鉄含有フラックス
原料粉とするのが好ましい。鉄含有フラックス原料粉の
粒子径が 300μm を超えると、造粒性が劣化する。この
ため、鉄含有フラックス原料粉の粒子径は 300μm 以下
とするのが望ましい。
【0029】本発明では、フラックス原料粉の一部とし
て添加する溶接スラグ粉、および鉄含有フラックス原料
粉の組成に応じ、フラックス原料粉には、フラックスが
下記スラグ生成剤の少なくとも1種以上を含有するよう
に添加するのが望ましい。添加量は、フラックス原料粉
と結合剤との合計量に対する重量%(wt%)で表す。 SiO2:30〜70% SiO2は、造滓剤としてビード外観を良好に保つために添
加する。30%未満ではその効果が少ない。とくに高速す
み肉溶接のようにビード端部でのなじみが重要な場合に
は30%未満では良好なビードが保持できない。一方、70
%を超えて多量に含まれると粘性が高くなりすぎてかえ
ってビード外観が乱れやすく、またスラグの剥離性が劣
化するなどの問題が生じる。このため、SiO2の添加量は
30〜70%の範囲とするのが好ましい。
【0030】 マンガン酸化物( MnO量換算で):5〜30% マンガン酸化物は、溶接速度が高くなってもビード端部
のなじみを良好とするために添加する。特にすみ肉溶接
用フラックスに用いる場合に重要となる。MnO換算で5
%未満ではその効果が認められず、30%を超えると溶接
スラグが脆くなりスラグの剥離性が劣化するなどの問題
が生じる。このため、マンガン酸化物の添加量は MnO量
換算で5〜30%の範囲とするのが望ましい。
【0031】 MgO :3〜30% MgO はスラグの融点および粘性を調節し、すぐれたスラ
グ剥離性を確保するのに有用な成分である。3%未満で
は十分な効果が得られず、一方、30%を超えると粘性が
低下しすぎたり、融点が上昇しすぎてビード外観が劣化
する傾向を示す。このため、MgO は3〜30%の範囲とす
るのが望ましい。
【0032】 Al2O3 :2〜20% Al2O3 は、スラグの粘性および融点を調整する上で重要
な成分であるが、2%未満ではこれらの効果に乏しく、
一方、20%を超えると融点が上昇しすぎてビード形状の
劣化を招くので、2〜20%の範囲とするのが望ましい。 CaO :10%以下 CaO はスラグの流動性に影響を及ぼす成分であり、10%
を超えると流動性が阻害されビード形状の劣化を招くた
め、CaO は10%以下とするのが望ましい。なお、好まし
くは0.1 〜5%である。
【0033】 CaF2:15%以下 CaF2はスラグの流動性を向上させる成分であり、15%を
超えるとスラグが流動しやすくなる。このためCaF2は15
%以下とするのが望ましい。なお、好ましくは0.5 %以
上である。その他、スラグ生成剤として、必要に応じTi
O2:10%以下、BaO :5%以下、ZrO :5%以下、B
2O3:4%以下、CaCO3 :5%以下の1種以上を添加し
てもよい。
【0034】TiO2は溶接中に還元され、溶接金属中へTi
が移行し溶接金属の靱性を向上させる。しかし、10%を
超えるとかえって靱性が劣化する。BaO 、ZrO は、スラ
グの塩基度や融点を調整するために添加する。しかし5
%を超える添加は、いずれもビード外観やスラグ剥離性
を劣化させる。B2O3は、溶接中に還元反応により溶接金
属中に移行して溶接金属の靱性改善に寄与する。しかし
4%を超えると溶接金属の凝固割れを助長する。
【0035】CaCO3 は溶接中に分解してCO2 を発生し、
水素分圧を下げるため溶接金属中の水素量の低減に有効
である。しかし5%を超えるとビード外観を劣化させ
る。さらに、上記した以外に、脱酸剤を添加するのが好
ましい。 脱酸剤:10%以下 脱酸剤はビードの表面光沢を向上させ、あるいは溶接金
属の靱性を向上させるために配合するのが好ましい。脱
酸剤としては、Ti、Al、Si、Mn等あるいはそれら元素と
鉄(Fe)との合金が考えられるが、中でもSi、Mnあるい
はフェロシリコン、フェロマンガンが好適である。脱酸
剤は、1種のみで添加してもよく、また、複合して添加
してもよい。しかし、10%を超えて添加しても効果が飽
和するため、脱酸剤の添加は10%以下とするのが望まし
い。なお好ましくは1%以上である。
【0036】所定量配合されたこれらフラックス原料粉
は、結合剤とともに混練され、造粒されたのち焼成され
る。造粒法はとくに限定しないが、転動式造粒機、押し
出し式造粒機を用いるのが好ましい。造粒されたのち、
ダスト除去、粗大粒の解砕など整粒処理を行って、粒子
径が0.075 〜1.4mm の範囲となる大きさの粒子とするの
が好ましい。
【0037】なお、結合剤(バインダ)としては、ポリ
ビニルアルコールなどの水溶液、水ガラスが好適であ
る。なかでも、従来から用いられているSiO2とNa2Oのモ
ル比:1〜5の珪酸ソーダ(水ガラス)で十分である。
また、使用量はフラックス原料粉1kgあたり80〜150cc
程度でよい。また、焼成温度は650 ℃以上とするのが好
ましい。焼成温度が 650℃を下回ると、結合剤(バイン
ダ)より持ち込まれた水分の乾燥が不十分となり、溶接
金属中拡散性水素の増加を招く。また、焼成温度を高く
することにより焼成後のフラックスの比表面積を小さく
できる。フラックスの比表面積を0.3m2/cm3 以下とする
ために焼成温度は 650℃以上とするのが好ましい。
【0038】本発明のフラックスは、好ましくは、上記
した工程により製造された、フラックス原料粉と結合剤
とを混合し焼成した焼成型フラックスであり、フラック
ス原料粉の一部として、サブマージアーク溶接後に発生
する溶接スラグ粉と鉄分を5〜10wt%含有する鉄含有フ
ラックス原料粉を含有し、比表面積が 0.3m2/cm3以下で
あるフラックスである。
【0039】上記した工程により、フラックスの比表面
積は0.3m2/cm3 以下となるが、フラックスの比表面積が
0.3m2/cm3 を超えると溶接金属中の拡散性水素量が増大
する。このため、本発明の焼成型フラックスの比表面積
の上限を0.3m2/cm3 とした。なお、比表面積は溶接スラ
グ粉と同様にBET法により測定した値を使用する。溶
接スラグは、フラックス合計量に対し10〜90wt%含有さ
れるのが好ましい。溶接スラグ量が10wt%未満でも、溶
接金属中の拡散性水素量低減の効果が期待できるが、10
wt%以上とすることで良好な耐水素割れ性を得ることが
できる。一方、ビード外観を良くするための脱酸剤や造
粒時結合剤を十分添加するためには、溶接スラグの含有
量は90wt%以下とするのが好ましい。なお、好ましくは
50wt%以下である。
【0040】また、上記した溶接スラグに加えてさら
に、フラックス原料の一部として鉄分を5〜10wt%含有
する鉄含有フラックス原料粉を含有する。鉄含有フラッ
クス原料に含まれる鉄分が5wt%未満では、溶接時に発
生するCO、CO2 ガス量が少なく、溶接金属中の窒素量の
低減効果が期待できない。一方、鉄含有フラックス原料
に含まれる鉄分が10wt%を超えると、溶接金属中の窒素
量は低減されるが、溶接スラグの剥離性が劣化し、剥離
不良が発生する。このため、鉄含有フラックス原料中の
鉄分は、5〜10wt%の範囲とする。
【0041】なお、鉄含有フラックス原料粉の添加量
が、フラックス合計量に対し、10wt%以上添加すると溶
接金属中の窒素量の低減効果が極めて良好となる。一
方、30wt%以上添加すると、溶接時に発生するCO、CO2
ガスの発生量が増加しポックマークが発生しやすくなる
ため、極めて優れた耐ポックマーク性を必要とする場合
には30wt%未満とするのが好ましい。このため、鉄分を
5〜10wt%含有する鉄含有フラックス原料粉の含有量
は、フラックス合計量に対し10wt%以上30wt%未満の範
囲とする。
【0042】また、本発明のフラックスでは、フラック
ス成分のうち、Li2O、Na2OおよびK2O の各含有量の合計
を3wt%以下に限定する。Li2O、Na2OおよびK2O の合計
量が3wt%を超えると、溶接時に発生するガスのスラグ
内からのガス抜けが非常に悪くなり、ポックマークが発
生し易くなる。Li2O、Na2OおよびK2O の合計量を3wt%
以下とするには、溶接スラグの添加量を50wt%以下に制
限するのが好ましい。
【0043】本発明のフラックスは、溶接スラグ粉と、
鉄含有フラックス原料粉と、溶接スラグ粉および鉄含有
フラックス原料粉の組成に応じ添加したフラックス原料
粉と結合剤とを混合、焼成して得られる組成である。フ
ラックス原料粉として、下記スラグ生成剤の少なくとも
1種以上、あるいはさらに脱酸剤の少なくとも1種以上
を含有するのが好ましい。スラグ生成剤としては、フラ
ックス合計量に対する重量%(wt%)で、SiO2:30〜70
%、マンガン酸化物( MnO量換算で):5〜30%、MgO
:3〜30%、Al2O3 :2〜20%、CaO :10%以下、CaF
2:15%以下、必要に応じTiO2:10%以下、BaO :5%
以下、ZrO :5%以下、B2O3:4%以下、CaCO3 :5%
以下が、脱酸剤としては、Ti、Al、Si、Mn等あるいはそ
れら元素と鉄(Fe)との合金があげられ、含有量は10%
以下とするのが好ましい。これらフラックス原料粉の含
有量の限定理由は、フラックス原料粉の項で述べた理由
と同様である。
【0044】
【実施例】(実施例1)表1に示す組成のサブマージア
ーク溶接により発生した溶接スラグを機械粉砕して、粒
子径 300μm 以下、比表面積0.21m2/gの溶接スラグ粉と
した。鉄を9%含有する蛇紋岩を、機械粉砕により粒径
300μm 以下とし1000℃で焼成し鉄含有フラックス原料
粉とした。ついで表2に示す割合で溶接スラグ粉、鉄含
有フラックス原料粉、他のフラックス原料粉および結合
剤を配合し、12〜100 メッシュの粒に造粒した。つい
で、 650℃×1hで焼成した。なお、結合剤としては水
ガラスを用いた。なお、表2中、蛇紋岩以外のフラック
ス原料粉の鉄分は5%未満であった。
【0045】これら焼成型フラックスについて、30℃、
相対湿度80%の雰囲気中で24h吸湿させたフラックスを
用いて、それぞれJIS Z 3118に準拠して溶接金属中の拡
散性水素量を測定した。なお、拡散性水素量は繰り返し
3回試験を行い、その平均値を用いた。また、これらの
フラックスと2%Mn系ワイヤ( 4.8mmφ)を用いて、溶
接電流 700A、溶接電圧30V、溶接速度40cm/minの溶接
条件で SM490相当の鋼板に対して下向き隅肉溶接を行
い、ビード外観について調査した。それらの結果を表3
に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】表3より、溶接スラグ粉の配合量が10wt%
以上となる本発明例(フラックスNo.2〜No.7)では、溶
着金属中拡散性水素量が低減する。一方、溶接スラグ粉
の配合量が本発明の範囲を外れる比較例(フラックスN
o.1)では、拡散性水素量は高い値を示している。な
お、使用した溶接スラグ中のLi2O、Na2OおよびK2O の合
計含有量は、5%以下であり、得られたフラックス中の
Li2O、Na2OおよびK2O の合計含有量は、フラックスNo.1
〜No.3、No.7が3%以下で、ポックマークおよびピット
は発生せずビード外観は良好であった。一方、フラック
スNo.4、 No.5 、 No.6 のフラックス中のLi2O、Na2Oお
よびK2O の合計含有量は、それぞれ、3.7 %、3.3 %、
3.7 %であり、これらフラックスを用いた溶接ビード
は、ピットは発生しなかったが、ポックマークが発生し
た。なお、フラックスNo.6を用いた溶接ビードではポッ
クマークが多発した。 (実施例2)機械粉砕により粒子径を300 μm 以下、比
表面積を0.13m2/gに調整したのち、磁選した表4に示す
組成の溶接スラグ粉と、機械粉砕で粒径: 300μm 以下
とした表5に示す組成のニッケルスラグを鉄含有フラッ
クス原料粉として、表6に示す割合で配合し、他のフラ
ックス原料粉、結合剤とともに混練し、12〜100 メッシ
ュの粒子に造粒したのち、900 ℃×1hrで焼成して、焼
成型フラックスを得た。なお、ニッケルスラグ以外のフ
ラックス原料粉の鉄分は5wt%未満であった。また、原
料としての溶接スラグおよび得られたフラックス中のLi
O2、Na2O、K2Oの含有量はいずれも3wt%以下であっ
た。これらフラックスと、表7に示す溶接ワイヤとを用
いて、溶接電流 700A、溶接電圧30V、溶接速度40cm/m
inの溶接条件でSM 490相当の鋼板に対し下向き隅肉溶接
を行った。その際の溶接作業性と、溶接金属の窒素量を
調査した。さらに、実施例1と同様に拡散性水素量も測
定した。これらの結果を表8に示す。
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
【0053】
【表7】
【0054】
【表8】
【0055】溶接スラグと、鉄含有フラックス原料粉と
して好ましい範囲の含有量のニッケルスラグとを添加し
たフラックスでは、拡散性水素量が低く、溶接金属中窒
素量が低く、ピットの発生もなく溶接ビード外観が良好
である。しかし、ニッケルスラグを含有しない比較例
(フラックスNo.8)の場合には、溶接アークが安定しな
い溶接スタート部でピットが発生した。また、ニッケル
スラグの含有量が好ましい範囲より高い(フラックスN
o.11 )場合には、ピットは発生しないが溶接ビード表
面にポックマークが発生し溶接ビード外観がやや低下し
ている。 (実施例3)フラックス原料粉の一部として、表9に示
す組成のサブマージアーク溶接により発生した溶接スラ
グおよび鉄含有フラックス原料粉であるオリビンサンド
を添加した。溶接スラグは、機械粉砕により表10に示す
粒子径、比表面積の溶接スラグ粉とした。オリビンサン
ドは機械粉砕により粒径 300μm 以下とし、1000℃で焼
成したものを使用した。溶接スラグ粉およびオリビンサ
ンド粉の添加量は、フラックス原料粉および結合剤の合
計量に対しそれぞれ30wt%および25wt%とした。溶接ス
ラグ粉およびオリビンサンド粉を含むフラックス原料粉
とさらに結合剤(水ガラス)を混練し、8〜200 メッシ
ュの粒子に造粒した。ついで、 850℃×15min で焼成し
て、表10に示す組成および比表面積の焼成型フラックス
とした。なお、表10中のオリビンサンド以外のフラック
ス原料粉の鉄分は5wt%未満であった。
【0056】これらフラックスを、30℃、相対湿度80
%の雰囲気中で吸湿、吸湿なし、の2条件で処理し、
それらフラックスを用いてJIS Z 3118に準拠して溶接金
属中の拡散性水素量を測定した。なお、試験は3回繰り
返し、拡散性水素量はそれらの平均値で表示した。ま
た、これらのフラックスと2%Mn系ワイヤ( 4.8mmφ)
を用いて、溶接電流 700A、溶接電圧30V、溶接速度40
mm/minの溶接条件でSM490 相当の鋼板に対して下向き隅
肉溶接を行いビード外観について調査した。それらの結
果を表10に示す。
【0057】
【表9】
【0058】
【表10】
【0059】表10から、本発明例(フラックスNo.12 〜
No.14 )は拡散性水素量が低く、ビード外観も良好であ
る。しかし、溶接スラグ粉の比表面積が大きい本発明例
(フラックスNo.15 )では、ビード外観は良好である
が、発生する拡散性水素量が多くなり、耐吸湿性がわず
かに劣化する。溶接スラグ粉の粒子形状が大きく、フラ
ックス比表面積が本発明の範囲を外れる比較例(フラッ
クスNo.16 )では、造粒性が悪く、粉化してビード外観
が不良となり、拡散性水素量の測定に供することができ
なかった。
【0060】なお、使用した溶接スラグ中のLi2O、Na2O
およびK2O の合計含有量は、5%以下であり、得られた
フラックス中のLi2O、Na2OおよびK2O の合計含有量は、
フラックスNo.12 〜No.15 が3%以下で、耐ポックマー
ク性は良好であった。 (実施例4)機械粉砕により表11に示す粒子形状に調整
した溶接スラグ粉および鉄分を5wt%含有した鉄含有フ
ラックス原料粉であるチタンスラグをフラックス原料粉
の一部として添加し、他のフラックス原料粉、結合剤と
ともに混練・造粒したのち 550〜850 ℃の温度で焼成し
た。なお、溶接スラグ粉およびチタンスラグの添加量は
フラックス原料粉と結合剤との合計量に対しそれぞれ30
wt%および10wt%とした。焼成時間は5min と一定とし
た。
【0061】焼成後のフラックス組成およびフラックス
の比表面積を表11に示す。これらのフラックスについ
て、実施例1、実施例2と同様に溶接金属中の拡散性水
素を測定した。また、これらのフラックスと2%Mn系ワ
イヤ(4.8mm φ)を用いて、溶接電流 700A、溶接電圧
30V、溶接速度40cm/minの溶接条件でSM490 相当の鋼板
に対して下向き隅肉溶接を行いビード外観について調査
した。それらの結果を表11に示す。
【0062】
【表11】
【0063】表11から、フラックス比表面積が 0.3m2/c
m3以下の本発明例(フラックスNo.18 〜No.20 )ではい
ずれも拡散性水素量は低いレベルに抑制されている。焼
成温度の上昇にともない焼成型フラックスの比表面積が
小さくなり、拡散性水素量が減少している。フラックス
の比表面積の低下により、水分の吸収が少なくなったた
めと考えられる。また、本発明例(フラックスNo.18 〜
No.20 )ではいずれもビード外観も良好である。
【0064】なお、焼成温度の上昇による焼成型フラッ
クスの比表面積の低下は、結合剤(バインダ)の溶融量
の増加、あるいは粘性の低下によりフラックス粒子表面
に均一膜が形成されやすくなったためと考えられる。な
お、使用した溶接スラグ中のLi2O、Na2OおよびK2O の合
計含有量は、5%以下であり、得られたフラックス中の
Li2O、Na2OおよびK2O の合計含有量は、いずれも3%以
下で、耐ポックマーク性は良好であった。 (実施例5)機械粉砕により粒子径を300 μm 以下、比
表面積を0.13m2/gに調整したのち、磁選した表12に示す
組成の溶接スラグ粉と、粒子径 300μm 以上の表12に示
す4酸化3マンガン粉を、フラックス原料粉の一部とし
てフラックス原料粉および結合剤の合計量に対しそれぞ
れ20wt%、25wt%となるように配合し、他のフラックス
原料粉、結合剤とともに混練し、12〜60メッシュの粒子
に造粒したのち、750℃×30min で焼成し、表13に示す
組成および比表面積の焼成型フラックスとした。表13
中、4酸化3マンガン以外の原料中の鉄粉は5wt%未満
であった。なお、結合剤は、Na2OおよびK2O 含有量の異
なる水ガラスを用いた。
【0065】これらフラックスについて、実施例1、2
と同様に溶接着金属中の拡散性水素を測定した。また、
これらのフラックスと2%Mn系ワイヤ(4.8mm φ)を用
いて、溶接電流 700A、溶接電圧30V、溶接速度40cm/m
inの溶接条件でSM490 相当の鋼板に対して下向き隅肉溶
接を行いビード外観について調査した。それらの結果を
表13に示す。
【0066】
【表12】
【0067】
【表13】
【0068】表13からフラックス中のNa2OとK2O の合計
含有量が3wt%以下の本発明例(フラックスNo.21 )は
拡散性水素量が低く、かつ良好なビード外観が得られる
ことがわかる。一方、Na2OとK2O の含有量を意図的に増
加した結合剤を用い、Na2OとK2O 合計含有量が3wt%を
超えた比較例(フラックスNo.22 )では、拡散性水素量
は低いが、溶接ビード表面にポックマークが発生し、ビ
ード外観不良となっている。また、原料中の鉄含有量が
10wt%を超えるフラックス原料粉を使用した比較例(フ
ラックスNo.23 、No.24 )では拡散性水素量は低いが、
溶接ビード表面にポックマークが発生しスラグの剥離不
良が生じた。
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、耐吸湿性に優れた焼成
型フラックスが得られ、本発明の焼成型フラックスを用
いて溶接することにより、拡散性水素の少ない溶接金属
を得ることができ、溶接部の水素割れの危険性が著しく
低減するという顕著な効果を奏する。
【0070】また、本発明によれば、溶接スラグを繰り
返し再利用しても、ポックマークの発生を防止すること
ができるという効果もある。また、本発明によれば、溶
接時にCO、CO2 ガスの発生量を適量として、溶接金属中
の窒素量を低減し、ピットの発生を防止できるという効
果もある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 手塚 伸夫 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 千葉製鉄所内 (72)発明者 西尾 要 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 千葉製鉄所内 (56)参考文献 特開 平9−99392(JP,A) 特開 平4−313490(JP,A) 特開 平11−188496(JP,A) 特開 昭63−203296(JP,A) 特開 昭53−108839(JP,A) 特開 昭53−118243(JP,A) 特開 昭51−21537(JP,A) 特公 昭52−40892(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 35/362,35/40

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フラックス原料粉と結合剤とを混合して
    造粒・焼成したサブマージアーク溶接用焼成型フラック
    スであって、前記フラックス原料粉の一部として、サブ
    マージアーク溶接スラグをフラックス合計量に対して10
    〜90wt%と、鉄分を5〜10wt%含有する鉄含有フラック
    ス原料粉をフラックス合計量に対して10wt%以上30wt%
    未満含有し、比表面積が0.3m2/cm3 以下であり、Li 2 O、
    Na 2 OおよびK 2 O の含有量が合計で3wt%以下であること
    を特徴とする耐ポックマーク性に優れたサブマージアー
    ク溶接用焼成型フラックス。
  2. 【請求項2】 フラックス原料粉と結合剤とを混合した
    後造粒し焼成するサブマージアーク溶接用焼成型フラッ
    クスの製造方法において、前記フラックス原料粉の一部
    として、サブマージアーク溶接スラグを粉砕して粒子
    径:300 μm 以下、比表面積:0.1 〜0.5m2/g の溶接ス
    ラグ粉とし、該溶接スラグ粉をフラックス原料粉と結合
    剤の合計量に対し10〜90wt%添加するとともに、前記フ
    ラックス原料粉の一部として、さらに、粒子径:300 μ
    m 以下で鉄分を5〜10wt%含有する鉄含有フラックス原
    料粉を、フラックス原料粉と結合剤の合計量に対し10wt
    %以上30wt%未満含有することを特徴とするサブマージ
    アーク溶接用焼成型フラックスの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記サブマージアーク溶接スラグが、Li
    2 O、Na 2 OおよびK 2 Oの含有量が合計で5wt%以下である
    サブマージアーク溶接スラグであることを特徴とする
    項2に記載のサブマージアーク溶接用焼成型フラック
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記焼成を650 ℃以上の温度で行うこと
    を特徴とする請求項2または3に記載のサブマージアー
    ク溶接用焼成型フラックスの製造方法。
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