JP6837420B2 - サブマージアーク溶接用フラックス - Google Patents
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Description
また、従来の技術については、ビード表面へのスラグ焼付き防止および耐吹上げ性の向上について改善の余地があった。
本実施形態に係るサブマージアーク溶接用フラックス(以下、単に「フラックス」という)は、フラックス全体として、Fe:1.0〜30.0質量%、TiO2:2.0〜23.0質量%、Al2O3:2.0〜25.0質量%、MgO:20.0〜35.0質量%含有している。
本実施形態においては、フラックス全体における粒子径が500μm以上の粒子の含有比率は、例えば、40質量%以上とするのが好ましく、45質量%以上とするのがさらに好ましく、特に好ましくは50質量%以上である。このようにすると、Fe、TiO2、Al2O3、MgOによる後述する効果を十分に得ることができるので、溶接した場合に鉄粒突起物の発生とスラグ焼付きとを抑制し、ビード外観が健全であり、耐吹上げ性を良好とすることができる。
Feは、フラックスの見掛密度を高くすることができる。また、Feは、溶接金属の合金コストを低下させることができる。Feが1.0質量%未満であると、フラックスの見掛密度が小さくなるため、耐吹上げ性が劣化する。他方、Feが30.0質量%を超えると、溶融・凝固中のフラックス内で鉄粉が凝集し易くなる。そのため、凝集した鉄粉の沈降する量が多くなり、ビード表面で鉄粒突起物が発生し易くなる。従って、Feは、1.0〜30.0質量%とする。耐吹上げ性を向上させる観点から、Feは、3.0質量%以上とするのが好ましく、5.0質量%以上とするのがより好ましく、10.0質量%以上とするのがさらに好ましい。ビード表面での鉄粒突起物の発生をより確実に防止する観点から、Feは、28.0質量%以下とするのが好ましく、25.0質量%以下とするのがより好ましく、22.0質量%以下とするのがさらに好ましい。
TiO2は、ビード表面へのスラグの焼付きを改善する効果がある。TiO2が2.0質量%未満であると、ビード表面へのスラグの焼付きを改善する効果が得られず、さらにはビード表面に鉄粒突起物が発生し易くなる。一方、TiO2が23.0質量%を超えると、ビードの波目が粗くなる。従って、TiO2は、2.0〜23.0質量%とする。ビード表面へのスラグの焼付きをより改善する観点から、TiO2は、4.0質量%以上とするのが好ましく、6.0質量%以上とするのがより好ましく、8.0質量%以上とするのがさらに好ましい。ビードの波目を細かくする観点から、TiO2は、20.0質量%以下とするのが好ましく、18.0質量%以下とするのがより好ましく、16.0質量%以下とするのがさらに好ましい。
Al2O3は、中性成分であり、スラグの粘性および凝固温度を調整する効果がある。Al2O3が2.0質量%未満であると、スラグの粘性および凝固温度が低下し、ビード幅が不揃いになる。一方、Al2O3が25.0質量%を超えると、スラグの凝固温度が高くなり過ぎてビード幅が広がり難くなり、ビード形状が凸形となる。従って、Al2O3は、2.0〜25.0質量%とする。ビード幅を揃える観点から、Al2O3は、4.0質量%以上とするのが好ましく、6.0質量%以上とするのがより好ましく、8.0質量%以上とするのがさらに好ましい。ビード形状をなだらかにする観点から、Al2O3は、22.0質量%以下とするのが好ましく、18.0質量%以下とするのがより好ましく、16.0質量%以下とするのがさらに好ましい。
MgOは、溶融スラグの粘度を低下させ、スラグの流動性を高めて、ビード幅を広げる効果がある。MgOが20.0質量%未満であると、溶融スラグの流動性を高める効果が得られず、ビード幅が不足し、アンダカットが発生し易くなる。一方、MgOが35.0質量%を超えると、高融点の酸化物であることから、フラックス全体の溶融性が損なわれる。そのため、特に、小入熱になる薄板の高速サブマージアーク溶接を行う場合に、安定したビードを確保できなくなる。従って、MgOは、20.0〜35.0質量%とする。アンダカットの発生を抑制する観点から、MgOは、22.0質量%以上とするのが好ましく、24.0質量%以上とするのがより好ましく、25.0質量%以上とするのがさらに好ましい。フラックス全体の溶融性を高くする観点から、MgOは、33.0質量%以下とするのが好ましく、31.0質量%以下とするのがより好ましく、29.0質量%以下とするのがさらに好ましい。
(粒子径が500μm以上の粒子に含有されるTiO2の比率)
(粒子径が500μm以上の粒子に含有されるAl2O3の比率)
(粒子径が500μm以上の粒子に含有されるMgOの比率)
本実施形態においては、前記したFeは、粒子径が500μm以上の粒子に、全Fe成分のうち40%以上が含有されている。
また、前記したTiO2は、粒子径が500μm以上の粒子に、全TiO2成分のうちの40%以上が含有されている。
前記したAl2O3は、粒子径が500μm以上の粒子に、全Al2O3成分のうちの40%以上が含有されている。
前記したMgOは、粒子径が500μm以上の粒子に、全MgO成分のうちの40%以上が含有されている。
このようにすると、鉄粉が溶け難くフラックス(スラグ)側にとどまり易くなるため、溶接金属中に沈降し難くなる。その結果、鉄粒突起物がビード表面に発生し難くなると考えられる。
一方、粒子径が500μm以上の粒子におけるFe、TiO2、Al2O3、MgOの各成分の比率がそれぞれ40%未満になると、鉄粉が沈降し易く、鉄粒突起物がビード表面に発生し易くなる。
同様の観点から、TiO2は、粒子径が500μm以上の粒子に、全TiO2成分のうちの50%以上が含有されているのが好ましい。この上限は特にないが、粒子径が500μm以上の粒子に、全TiO2成分のうちの80%以下が含有されているのが好ましく、70%以下含有されていることがさらに好ましい。
同様の観点から、Al2O3は、粒子径が500μm以上の粒子に、全Al2O3成分のうちの50%以上が含有されているのが好ましい。この上限は特にないが、粒子径が500μm以上の粒子に、全Al2O3成分のうちの80%以下が含有されているのが好ましく、70%以下含有されていることがさらに好ましい。
同様の観点から、MgOは、粒子径が500μm以上の粒子に、全MgO成分のうちの50%以上が含有されているのが好ましい。この上限は特にないが、粒子径が500μm以上の粒子に、全MgO成分のうちの80%以下が含有されているのが好ましく、70%以下含有されていることがさらに好ましい。
ここで、鉄粒突起物の発生メカニズムについて説明する。
図2は、片面サブマージアーク溶接過程における鉄粒発生挙動の概略説明図である。図2に示すように、片面サブマージアーク溶接において、従来の鉄粉5を含有するフラックス3を用いた場合、溶融・凝固中のフラックス3(スラグ4)中で鉄粉5が凝集し、凝集鉄粉6となる。この凝集鉄粉6がスラグ4中を沈降し、母材1の溶接部に形成された溶接金属2の表面(ビード表面2a)に付着して、鉄粒突起物7が発生すると考えられる。
そこで、本実施形態に係るフラックスでは、TiO2、Al2O3およびMgOの含有量を特定の範囲に特定している。これにより、溶接ビードが凝固する温度域において、スラグ中にMg・Al・Ti系酸化物を積極的に生成させている。スラグ中にMg・Al・Ti系酸化物が生成されると、スラグ中の鉄粒が、凝固したビード表面に沈降する前に前記酸化物と結合し、鉄粒が沈降しないように支えたり、引き止めたりすることができる。そのため、ビード表面に鉄粒突起物が生成するのを抑制できる。
また、本実施形態においては、TiO2、Al2O3、MgOについて、粒子径が500μm以上の粒子に含まれる比率を40%以上と高くしているので、スラグ中に生成するMg・Al・Ti系酸化物の外径が大きくなる。そのため、結合できる鉄粒量が増加し、ビード表面への鉄粒突起物の生成をさらに抑制している。
なお、TiO2、MgOは、スラグの焼付きを助長する成分でもある。特に、これらの細かい粒は他の粒より溶融し易いため、焼付きに対する影響も大きくなる。そこで、本実施形態では、TiO2、MgOについて、粒子径が500μm以上の粒子に含まれる比率を40%以上と高くすることで、ビード表面へのスラグ焼付きを抑制している。
Si、Si合金およびSi酸化物は、スラグの流動性を良くし、ビード形状を整える効果がある。Si、Si合金およびSi酸化物の総含有量が、SiO2換算で6.0〜15.0質量%であると、溶融スラグ全体の粘性があまり増加せず、スラグの流動性が良好になる。そのため、高速片面サブマージアーク溶接を行った場合などは、表ビード幅が適度に広がり、かつ安定になる。また、このようにすると、溶融スラグの凝固温度が高くなり過ぎることもない。そのため、ビード形状が良好になる。Si、Si合金およびSi酸化物の総含有量は、SiO2換算で7.5質量%以上とするのが好ましい。Si、Si合金およびSi酸化物の総含有量は、SiO2換算で13.1質量%以下とするのが好ましい。
CaF2は、フラックス全体の溶融性を良好にする成分である。そのため、CaF2は、片面サブマージアーク溶接のように、短時間にフラックスを溶かし、スラグを生成しなければならない溶接方法においては特に有効な成分である。特に、CaF2が5.0〜20.0質量%であると、アーク安定性が向上し、ビード形状が良好になる。CaF2は6.1質量%以上とするのが好ましい。CaF2は18.1質量%以下とするのが好ましい。
CO2は、溶接金属への窒素の侵入抑制と、拡散性水素量の低減に有効な成分であり、金属炭酸塩としてフラックス中に添加される。CO2が2.0〜9.0質量%であると、溶接金属中の拡散性水素量が低くなり、耐低温割れ性が向上する。また、ガス発生量が抑えられ、ビード形状が良好となる。さらに、このようにすると、スラグ焼付きを抑制できる。CO2は3.2質量%以上とするのが好ましい。CO2は8.7質量%以下とするのが好ましい。
Na2OおよびK2Oは、アーク安定性を向上させるのに有効な成分である。Na2OおよびK2Oの合計量が1.0〜6.0質量%であると、アークが安定するため、ビード形状が良好となり、溶込みも均一になる。また、このようにすると、耐吸湿性が向上し、耐低温割れ性が向上する。Na2OおよびK2Oの合計量は3.2質量%以上とするのが好ましい。Na2OおよびK2Oの合計量は4.7質量%以下とするのが好ましい。
B2O3は、溶接中に還元され、溶接金属中にBとして存在して、低温靭性の確保に有効に作用する。そこで、本実施形態に係るフラックスでは、必要に応じてB2O3を0.1〜1.0質量%の範囲で含有することができる。
Moは、焼入れ性向上に有効な成分であり、引張強さおよび低温靱性の向上に有効な成分である。そこで、本実施形態に係るフラックスでは、必要に応じてMoを0.1〜1.0質量%の範囲で含有することができる。Moは、Mo単体の他、Fe−Moなどの合金の形態でフラックスに添加できる。
Mnは、前述したMoと同様、焼入れ性を向上させる効果があり、引張強さおよび低温靱性の向上に有効な成分である。そこで、本実施形態に係るフラックスでは、必要に応じてMnを0.1〜0.9質量%の範囲で含有することができる。なお、Mnは、Mn単体の他、Fe−Mnなどの合金の形態でフラックスに添加できる。
Tiは、溶接金属中の酸素量低減に有効な成分であり、低温靱性の向上に有効な成分である。そこで、本実施形態に係るフラックスでは、必要に応じてTiを0.1〜1.0質量%の範囲で含有することができる。なお、Tiは、Ti単体の他、Fe−Tiなどの形態でフラックスに添加できる。
Alは、溶接金属の組織を微細にして、低温靱性の向上に有効な成分である。そこで、本実施形態に係るフラックスでは、必要に応じてAlを0.7〜3.0質量%の範囲で含有することができる。なお、Alは、Al単体の他、Fe−AlやAl−Mgなどの形態でフラックスに添加できる。
フラックスにおける前述の成分以外の残部は、炭酸塩由来の成分(CaO、BaOなど)や不可避不純物などである。残部は、例えば、15.0質量%以下であるのが実際的である。なお、本実施形態においては、残部として、前記以外の合金元素またはアーク安定剤等を添加してもよい。例えば、フラックス中に、Ca、Li等を脱酸等の微調整剤として、また、Cu、Co、Nを溶接金属のさらなる硬化剤として、少量含有させることもできる。また、NaおよびK以外のアルカリ金属化合物を微量に含有してもよい。
本実施形態に係るフラックスの製造方法について説明する。
本実施形態に係るフラックスは、例えば、下記の粒子径および分布を持つFe、TiO2、Al2O3、MgOなどを用いて、一般的な設備および条件で製造することにより、本実施形態に係るフラックスが得られる。
造粒法は特に限定しないが、転動式造粒機、押し出し式造粒機などを用いるのが好ましい。造粒した後、ダスト除去、粗大粒の解砕などの整粒処理を行って、粒子径を2.5mm以下の大きさの粒子にするのが好ましい。なお、なるべく粒子径が細かくなり過ぎないように解砕するのが好ましく、なるべく多くの粒子が、粒子径500μm以上となるように解砕するのが好ましい。
また、造粒後の焼成は、400〜650℃の温度で0.5〜3時間行うのが好ましい。焼成は、ロータリーキルン、定置式バッチ炉、ベルト式焼成炉などを用いて行うのが好ましい。
(1)最後の整粒の際に、細目のものをカットする。例えば、公称目開きW=200μm程度のふるい網でふるい分けをする。
(2)造粒時間を長くする。例えば、造粒時間を0.5時間とする。
(3)水ガラスの量を増やす。例えば、フラックス原料粉1kgに対して水ガラスの量を150mLとすることが挙げられる。
当該比率は、次のようにすると求めることができる。
例えば、図1に示すように、公称目開きWが500μmのふるい網を用いてフラックスのふるい分けを行う。次いで、粒子径が500μm以上の粒子と、粒子径が500μm未満の粒子とについて、それぞれ成分分析を行う。このようにすると、粒子径が500μm以上の粒子におけるFe、TiO2、Al2O3、MgOの含有量と、粒子径が500μm未満の粒子におけるFe、TiO2、Al2O3、MgOの含有量とをそれぞれ特定することができる。
そして、前述の成分ごとに、粒子径が500μm以上の粒子における含有量と、粒子径が500μm未満の粒子における含有量との合計量に対する、粒子径が500μm以上の粒子における含有量の割合を算出すると、粒子径が500μm以上の粒子に含有されている前記した各成分の含有比率を求めることができる。
なお、本明細書では、粒子径に関して、公称目開きAμmのふるい網を用いて粒子をふるい分けたとき、その微細粒子側を「Aμm未満の粒子径」や「粒子径がAμm未満」などといい、粗大粒側を「Aμm以上の粒子径」や「粒子径がAμm以上」などという。
表1に示す組成の鋼板(板厚20mm)および表2に示す組成のワイヤを使用した。また、表3に示す溶接条件および図3に示す鋼板(母材100)の開先形状により、片面サブマージアーク溶接を実施した。なお、図3は、溶接する鋼板の開先断面を示す概略説明図である。溶接の際には、表4に示すNo.1〜33に係るフラックスを用いた。なお、本実施例では、表4に示す組成となるように原料を配合し、結合剤(水ガラス)と共に混練した後に造粒し、さらにロータリーキルンを用いて400〜650℃で焼成し、整粒することにより、粒子径が2.5mm以下のフラックスを得た。
「B」は、フラックスに含有されている全TiO2成分のうち、粒子径が500μm以上の粒子に含有されるTiO2の含有量の割合を示している。
「C」は、フラックスに含有されている全Al2O3成分のうち、粒子径が500μm以上の粒子に含有されるAl2O3の含有量の割合を示している。
「D」は、フラックスに含有されている全MgO成分のうち、粒子径が500μm以上の粒子に含有されるMgOの含有量の割合を示している。
はじめに、JIS Z 8801−1:2006「試験用ふるい−第1部:金属製網ふるい」に準じて、公称目開きWが500μmのふるい網を用いてフラックスのふるい分けを行った。
次いで、粒子径が500μm以上の粒子と、粒子径が500μm未満の粒子とについて、それぞれ成分分析を行った。
このようにして、粒子径が500μm以上の粒子におけるFe、TiO2、Al2O3、MgOの含有量と、粒子径が500μm未満の粒子におけるFe、TiO2、Al2O3、MgOの含有量とをそれぞれ特定した。
次いで、前記成分ごとに、粒子径が500μm以上の粒子における含有量と、粒子径が500μm未満の粒子における含有量との合計量に対する、粒子径が500μm以上の粒子における含有量の割合を算出し、粒子径が500μm以上の粒子に含有されている前記した各成分の含有比率を求めた。
なお、前記ふるい網を用いてフラックスのふるい分けを行った際に、フラックス全体における粒子径が500μm以上の粒子の含有比率を求めた。
これらの結果を表4に示す。
鉄粒突起物の発生状況は目視で確認した。鉄粒突起物のビード表面での発生が認められない場合を◎とし、認められる場合を×とした。◎が合格であり、×が不合格である。
スラグ焼付きの発生状況は目視で確認した。溶接後、スラグを剥離し、焼付きが認められない場合を◎、焼付きの長さが溶接長に対して20%以下の場合を○とし、20%を超える場合を×とした。◎、○が合格であり、×が不合格である。
ビード形状を目視で確認した。ビード形状が、優れていると判断できるものを◎、良好であると判断できるものを○、可であると判断できるものを△、不良と判断できるものを×と評価した。◎、○、△が合格であり、×が不合格である。なお、△は合格であるものの、○より若干劣るものである。
ビード欠陥の評価は、ビード幅、ポックマーク、アンダカットについて行った。なお、各サンプルの溶接長は1.2mとし、1st側(表面側)および2nd側(裏面側)のどちらか一方でも下記(a)〜(c)の基準で“×”の評価がついたものをビード欠陥が不合格(×)とした。
(a) ビード幅については、開先幅より15mm以上広い場合を◎とし、5mm以上15mm未満の場合を○とし、5mm未満の場合を×とした。
(b) ポックマークについては、溶接長1mあたり1個よりも多い場合を×とした。
(c) また、アンダカットが1st側および2nd側のビード全長のうち、1箇所でも発生した場合は×とした。
そして、ビード欠陥が不合格(×)でないものの中で、ビード幅の評価が優れている(◎)ものをビード欠陥が優れている(◎)と評価し、ビード幅の評価が良好である(○)ものをビード欠陥が良好である(○)と評価した。
溶接金属の機械的性質は、JIS Z 3111:2005に規定される「溶着金属の引張及び衝撃試験方法」に準拠した引張試験および衝撃試験により評価した。
引張試験片は、溶接金属中央で板厚中央の位置から採取したA2号試験片を用いた。また、衝撃試験片は、溶接金属中央で板厚中央の位置から採取したVノッチ試験片を用いた。なお、いずれの試験片も熱処理を行わずに試験に供した。
低温靭性は、−20℃での吸収エネルギーの最小値が47J以上を合格として○、◎、◎+とした。なお、合格したものの中で相対的に強度が高いものを◎、相対的にさらに強度が高いものを◎+とした。
耐吹上げ性については、吹上げがほとんど確認されない場合を◎、時折吹上げる場合を○、溶接全長にわたって著しい吹上げが確認される場合を×とした。
前記各評価項目が全て「◎」、「◎+」であったものを総合評価「◎+」とし、前記各評価項目の中に「○」があったものを総合評価「○」とし、前記各評価項目の中に一つでも「×」があったものを総合評価「×」とした。
これらの評価結果を表5に示す。
具体的に、No.16に係るフラックスは、Feが少な過ぎたので、耐吹き上げ性が良好でなかった。
No.17に係るフラックスは、Feが多過ぎたので、鉄粒突起物のビード表面での発生が認められた。
No.18に係るフラックスは、全Fe成分のうち、粒子径が500μm以上の粒子に含有されるFeの比率が低過ぎたので、鉄粒突起物のビード表面での発生が認められた。
No.20に係るフラックスは、TiO2が多過ぎたので、ビードの波目が粗くなり、ビード形状が不良となった。
No.21に係るフラックスは、全TiO2成分のうち、粒子径が500μm以上の粒子に含有されるTiO2の比率が低過ぎたので、鉄粒突起物のビード表面での発生が認められた。
No.23に係るフラックスは、Al2O3が多過ぎたので、ビード形状が不良となった。
No.24に係るフラックスは、全Al2O3成分のうち、粒子径が500μm以上の粒子に含有されるAl2O3の比率が低過ぎたので、鉄粒突起物のビード表面での発生が認められた。
No.26に係るフラックスは、MgOが多過ぎたので、ビード形状が不良となった。
No.27に係るフラックスは、全MgO成分のうち、粒子径が500μm以上の粒子に含有されるMgOの比率が低過ぎたので、鉄粒突起物のビード表面での発生が認められた。
No.29に係るフラックスは、全Fe成分のうち、粒子径が500μm以上の粒子に含有されるFeの比率が低過ぎると共に、全TiO2成分のうち、粒子径が500μm以上の粒子に含有されるTiO2の比率が低過ぎたので、鉄粒突起物のビード表面での発生が認められた。
No.31に係るフラックスは、TiO2が多過ぎると共に、全TiO2成分のうち、粒子径が500μm以上の粒子に含有されるTiO2の比率が低過ぎ、また、MgOが少な過ぎると共に、全MgO成分のうち、粒子径が500μm以上の粒子に含有されるMgOの比率が低過ぎた。そのため、No.31に係るフラックスは、鉄粒突起物のビード表面での発生が認められ、また、ビードの波目が粗くなり、ビード形状が不良となると共に、ビード幅が狭くなってアンダカットが発生し、ビード欠陥が不良となった。
2 溶接金属
2a ビード表面
3 フラックス
4 スラグ
5 鉄粉
6 凝集鉄粉
7 鉄粒突起物
Claims (4)
- Fe:1.0〜30.0質量%、
TiO2:2.0〜23.0質量%、
Al2O3:2.0〜25.0質量%、
MgO:20.0〜35.0質量%含有し、
残部が炭酸塩由来の成分および不可避不純物からなり、かつ前記残部の含有量が15.0質量%以下であり、
前記Feは、粒子径が500μm以上のフラックスの粒子に、40%以上が含有され、
前記TiO2は、粒子径が500μm以上のフラックスの粒子に、40%以上が含有され、
前記Al2O3は、粒子径が500μm以上のフラックスの粒子に、40%以上が含有され、
前記MgOは、粒子径が500μm以上のフラックスの粒子に、40%以上が含有されている
ことを特徴とするサブマージアーク溶接用フラックス。 - さらに、
Si、Si合金およびSi酸化物の総含有量:SiO2換算で6.0〜15.0質量%、
CaF2:5.0〜20.0質量%、
CO2:2.0〜9.0質量%、
Na2OおよびK2Oの合計量:1.0〜6.0質量%のうちの少なくとも1種を含有する
ことを特徴とする請求項1に記載のサブマージアーク溶接用フラックス。 - さらに、
B2O3:0.1〜1.0質量%、Mo:0.1〜1.0質量%、Mn:0.1〜0.9質量%、Ti:0.1〜1.0質量%、およびAl:0.7〜3.0質量%のうちの少なくとも1種を含有する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサブマージアーク溶接用フラックス。 - フラックス全体における粒子径が500μm以上の粒子の含有比率が40質量%以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のサブマージアーク溶接用フラックス。
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