JPH11267883A - 大入熱用570MPa耐候性鋼の片面サブマージアーク溶接用ボンドフラックスおよび片面サブマージアーク溶接方法 - Google Patents

大入熱用570MPa耐候性鋼の片面サブマージアーク溶接用ボンドフラックスおよび片面サブマージアーク溶接方法

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JPH11267883A
JPH11267883A JP10093898A JP9389898A JPH11267883A JP H11267883 A JPH11267883 A JP H11267883A JP 10093898 A JP10093898 A JP 10093898A JP 9389898 A JP9389898 A JP 9389898A JP H11267883 A JPH11267883 A JP H11267883A
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arc welding
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Ryuichi Motomatsu
隆一 元松
Naoaki Matsutani
直明 松谷
Nobuaki Tobishima
伸昭 飛嶋
Nobuyuki Ohama
展之 大濱
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大入熱用570MPa耐候性鋼の片面サブマ
ージアーク溶接用ボンドフラックスおよび片面サブマー
ジアーク溶接方法において、溶接作業性、耐割れ性が良
好で、かつじん性が良好な溶接部を得る。 【解決手段】 重量%(以下同じ)でCu:0.30〜
0.60%、Cr:0.45〜0.75%、Ni:0.
05〜0.70%を含有した570MPa耐候性鋼を1
層または2層溶接する片面サブマージアーク溶接用ボン
ドフラックスであって、鋼板、ワイヤ、開先充填用合金
との組み合わせで、下記式(1)、(2)および(3)
を満足し、かつLi:0.05〜1.0%、Cu:0.
6%以下、Cr:1.0%以下、Ni:1.0%以下
で、Cu、Cr、Niの合計量が1.5%以下であり、
さらに5〜20%含有する鉄粉の粒子径が0.50mm
以下でかつ0.10〜0.50mmの粒子の構成割合が
80%以上であることを特徴とする大入熱用570MP
a耐候性鋼の片面サブマージアーク溶接用ボンドフラッ
クスである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は建築や橋梁用の継手
部のサブマージアーク溶接用フラックスおよび溶接方法
に係わり、詳しくは橋桁に用いる高入熱耐候性鋼を溶接
入熱7〜20kJ/mmで1層または2層溶接した場
合、良好な強度および良好なじん性でかつJIS Z
3183に規定される耐候性鋼のW仕様の成分を満足す
る溶接金属を得る片面サブマージアーク溶接用ボンドフ
ラックスおよび溶接法に関するものである。
【0002】ここでいう高入熱570MPa耐候性鋼と
は建築や橋梁用に用いられるSMA570WQ鋼等と同
等の強度を持ち、溶接入熱が7〜20kJ/mm程度で
適用できる鋼材であり、通常SMA570WQ−MOD
IFIED鋼と表記される高張力鋼を総称したものであ
る。
【0003】
【従来の技術】建築や橋梁用に用いる耐候性鋼は、JI
S Z 3114に規定されたSMA400、SMA4
90BW鋼が一般的に用いられている。また、やや大型
のビルディングの場合は鋼材の重量低減のため高強度鋼
材としてSMA570QW鋼、SMA570QP鋼が一
部用いられてきた。このSMA570QW鋼、SMA5
70QP鋼の溶接においては鋼材のHAZ部のじん性低
下防止のため溶接入熱は5kJ/mm以下程度でかつ、
遅れ割れ防止等の観点から、溶融型フラックスが用いら
れており、厚板の場合著しく溶接能率が劣化していた。
【0004】しかしながら、TMCP技術等の発達に伴
い比較的低い炭素当量(以下Ceqという)でHAZ部
の性能が確保できる大入熱570MPa鋼が開発され、
それに対応する溶接材料および施工法の開発が急務とな
った。従来、570MPa耐候性鋼の溶接にはJIS
Z 3352に規定される溶融型フラックスとJIS
Z 3351にYS−Cu1またはYS−Cu2に規定
されるサブマージアーク溶接用鋼ワイヤを組合わせ、鋼
材のHAZ部のじん性低下防止のため溶接入熱は5kJ
/mm以下程度で実施するのが通常であった。
【0005】高能率溶接のためには片面溶接が有効であ
り、強度の低いSMA−400鋼やSMA−490BW
鋼では、例えば板厚25mmでは2mm程度のルートギ
ャップを設けた開先の裏面に主にガラステープと固形フ
ラックスからなる裏当て材を当て開先内にCu−Cr−
Ni系の開先充填用鉄合金を散布し、さらに溶融型フラ
ックスを散布しサブマージアーク溶接用ワイヤを用い表
側より1層溶接する片面溶接方法(以下、FABWと略
す)が既に用いられている。
【0006】また、本発明者らは特開平9−27708
3号で大入熱用耐候性鋼サブマージアーク溶接方法とし
てCu−Cr−Ni系ワイヤとCu、Cr、Niを含有
した鉄粉系ボンドフラックスとそれらを用い溶接入熱1
0〜50kJ/mmで一層または多層溶接するサブマー
ジアーク溶接方法を提案した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来用
いられているFABWは400MPa鋼、490MPa
鋼用であり、しかも溶融型フラックスを使用しているた
め7kJ/mmを超える溶接入熱では溶接ビード外観が
劣る。
【0008】一方、本発明者らが特開平9−27708
3号で提案した大入熱用耐候性鋼サブマージアーク溶接
方法はCu、Cr、Niを含有した鉄粉系ボンドフラッ
クスを用い大入熱での溶接作業性に十分考慮し板厚50
mm程度のボックス柱の溶接では優れた性能が得られる
ところである。しかしながら、これらは裏当金付き片側
溶接もしくは両面溶接用に開発した溶接材料および溶接
方法であり、FABWのごとくの開先充填用鉄合金を使
用した場合の溶接金属成分の設計については全然考慮さ
れていない。
【0009】さらに570MPa耐候性鋼の溶接におい
ては溶接金属中の拡散性水素に起因する低温割れに留意
することが必要であり、ボンドフラックスを適用する本
発明はこの点からもさらに検討したものである。即ち、
本発明は、570MPa耐候性鋼のFABWにおいて、
溶接作業性が良好で高じん性が得られ、耐低温割れ性が
優れた、570MPa耐候性鋼用サブマージアーク溶接
用フラックス、開先充填用鉄合金およびそれらを用いた
溶接方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため、種々検討し粒子径の大きい鉄粉を適用
し焼成温度を通常より高くして拡散性水素量を低減させ
ることにより低温割れ性に優れ、かつ良好な溶接作業性
とじん性が得られるサブマージアーク溶接用フラックス
を見出し、さらにそのフラックスと特定組成の開先充填
用鉄合金を用いた溶接方法を見いだしたのである。
【0011】即ち、本発明は、重量%(以下同じ)でC
u:0.30〜0.60%、Cr:0.45〜0.75
%、Ni:0.05〜0.70%を含有した570MP
a耐候性鋼を1層または2層溶接する片面サブマージア
ーク溶接用ボンドフラックスであって、鋼板、ワイヤ、
開先充填用合金との組み合わせで、Cu、Cr、Ni含
有量がそれぞれ下記式(1)、(2)および(3)を満
足し、かつLi:0.05〜1.0%、Cu:0.6%
以下、Cr:1.0%以下、Ni:1.0%以下で、C
u、Cr、Niの合計量が1.5%以下であり、さらに
5〜20%含有する鉄粉の粒子径が0.50mm以下で
かつ0.10〜0.50mmの粒子の構成割合が80%
以上であることを特徴とする大入熱用570MPa耐候
性鋼の片面サブマージアーク溶接用ボンドフラックスお
よび、Cu:0.30〜0.60%、Cr:0.45〜
0.75%、Ni:0.05〜0.70%を含有した5
70MPa耐候性鋼を1層または2層溶接する片面サブ
マージアーク溶接用方法であって、鋼板、ワイヤ、開先
充填用合金及びフラックス中のCu、Cr、Ni含有量
がそれぞれ下記式(1)、(2)および(3)を満足
し、かつ全ワイヤ重量に対して、Cu:0.25〜0.
60%、Cr:0.30〜0.75%、Ni:0.70
%以下を含有する溶接用鋼ワイヤと、鉄合金全重量に対
してCu:0.60%以下、Cr:0.75%以下、N
i:0.70%以下を含有し、粒子サイズが2.0mm
以下である開先充填用鉄合金と、第1項記載のフラック
スを組み合わせ、溶接入熱7〜20kJ/mmで1層ま
たは2層溶接することを特徴とする大入熱用570MP
a耐候性鋼の片面サブマージアーク溶接方法にある。
【0012】 0.30≦0.34×[Cu]B +0.34×[Cu]W +0.17×[Cu]A +0.26×(Cu)F ≦0.60 (1) 0.45≦0.38×[Cr]B +0.38×[Cr]W +0.19×[Cr]A +0.29×(Cr)F ≦0.75 (2) 0.05≦0.34×[Ni]B +0.34×[Ni]W +0.17×[Ni]A +0.26×(Ni)F ≦0.70 (3)
【0013】ただし、[Cu]B 、[Cr]B 、[N
i]B はそれぞれ鋼板中のCu、Cr、Ni含有量、
[Cu]W 、[Cr]W 、[Ni]W はそれぞれワイヤ
中のCu、Cr、Ni含有量、[Cu]A 、[Cr]
A 、[Ni]A はそれぞれ開先充填用鉄合金中のCu、
Cr、Ni含有量、(Cu)F 、(Cr)F 、(Ni)
F はそれぞれフラックス中のCu、Cr、Ni含有量。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明を作用とともに詳細
に説明する。本発明者らは、まず大入熱用570MPa
耐候性鋼の片面サブマージアーク溶接の溶接金属に耐候
性の特性を付与するために必要なCu、Cr、NiをJ
ISZ 3183の耐候性の溶接金属においてWタイプ
とPタイプを同時に満足する量、すなわちCu:0.3
0〜0.60%、Cr:0.45〜0.75%、Ni:
0.05〜0.70%を添加することにした。このC
u、Cr、Niは母材、ワイヤ、開先充填用鉄合金およ
びフラックスから溶接金属中に移行する。その比は、例
えば板厚25mmで開先角度50゜、ギャップ=2mm
で開先内全容積に開先充填用鉄合金を散布し鉄粉を5〜
20%含有したフラックスを用いて溶接する標準的な溶
接では母材=0.4、ワイヤ=0.4、開先充填用鉄合
金=0.2およびフラックス=0.3程度である。これ
に本溶接法が主に使用される板厚範囲の12mm〜30
mmでの差異、開先変動、条件変動、開先充填用鉄合金
量の変動、フラックス中の鉄粉量などによって変化し、
さらにそれぞれの元素の溶接による歩留りの差異によっ
て変化する。これらを考慮してCuにおいては母材、ワ
イヤ、開先充填用鉄合金およびフラックス中の量からの
寄与率はそれぞれ0.34、0.34、0.17および
0.26を採用した。したがって(1)式で表される。
同じくCrの寄与率はそれぞれ0.38、0.38、
0.19および0.29であり(2)式で表される。さ
らに、Niは同様に寄与率はそれぞれ0.34、0.3
4、0.17および0.26であり、(3)式で表され
る。
【0015】従って、本発明ではワイヤのみならずフラ
ックスおよび開先充填用鉄合金にも(1)式、(2)式
および(3)式を満足するようにCu、Cr、Niを添
加する。フラックスには耐候性および強度を調整するた
めにCu:0.60%以下、Cr:1.0%以下、N
i:1.0%以下で適量添加する。しかし多量に添加す
るとフラックスの強度が劣化し偏析が生じる原因とな
る。従ってCu、Cr、Niの合計量は1.5%以下に
限定する。
【0016】また、本発明はフラックスにLiを0.0
5〜1.0%添加する。Liを添加するとフラックスの
吸湿量が減少し拡散性水素量が減少する。このような効
果はLi炭酸塩またはLi弗化物をLiに換算して0.
05%以上の添加で得ることができるが、1.0%を越
えて添加するとフラックスの粒子強度が小さくなりフラ
ックスが溶接中に粉化しポックマークが発生する。
【0017】また、本発明はフラックスに粒子径が0.
50mm以下でかつ0.10〜0.50mmの粒子の構
成割合が80%以上である鉄粉を5〜20%添加するこ
とが必要である。まず、鉄粉は溶接中に溶融池に移行
し、溶着量を増加させて溶着速度の向上に寄与する。鉄
粉が5%未満ではこの効果が少なく、一方20%を越え
て添加するとビード止端部に細粒の付着物が生じる。さ
らに、高強度鋼の溶接では低温割れ防止の観点からフラ
ックスの拡散性水素量を極力低く抑えることが必要であ
る。通常の鉄粉含有のボンドフラックスでは高温焼成を
するとフラックス中の鉄粉が焼成により酸化し、溶接時
に溶接ビードが乱れる。このため鉄粉が酸化しない範囲
の焼成温度として300〜400℃を用いている。一方
フラックスの拡散性水素量は焼成温度の上昇に従って低
下するため、高強度鋼の溶接用フラックスは出来るだけ
高温焼成が必要である。本発明フラックスはかかる理由
から500〜550℃で焼成を行うが、鉄粉の粒子径
0.10〜0.50mmの粒子の構成割合が80%未満
で、かつ0.10mm未満の粒子径が多い細粒の鉄粉で
は、このような高温の焼成では鉄粉が酸化し、健全なビ
ードを得ることができない。
【0018】即ち、粒子径が0.10〜0.50mmの
粒子の構成割合が80%以上の鉄粉では、溶接金属の性
能劣化や作業性の劣化も起こらない。しかし一方、粒子
径が0.10〜0.50mmの粒子の構成割合が80%
以上であっても0.50mmを越える粒子径の鉄粉があ
ればアークが不安定となるために溶接作業性の劣化が生
じる。
【0019】以上のほかに、本発明フラックス組成は通
常の鉄粉含有ボンドフラックスであれば適用できるが、
SiO2 :15〜25%、Al23 :20〜30%、
CaO:9〜18%、MgO:8〜18%、TiO2
5〜13%、ZrO2 :1〜7%、B23 :1%以
下、CO2 :10%以下が望ましく、またSi:3%以
下、Al:1%以下、Mn:5%以下、Ti:1%以
下、Mnは5%以下で適宜添加できる。
【0020】この他に、フラックス中の不可避成分とし
ては水ガラスなどから含有されるNa2 O、K2 Oや原
料の不純物として含有されるMnO、FeO等があるが
フラックス全重量に対しNa2 O、K2 Oはそれぞれ3
%以下、MnO、FeO等はそれぞれ1%以下が望まし
い。
【0021】次に、重量%でCu:0.30〜0.60
%、Cr:0.45〜0.75%、Ni:0.05〜
0.70%を含有した570MPa耐候性鋼を1層また
は2層溶接する片面サブマージアーク溶接法において、
フラックスと同様に、Cu:0.60%以下、Cr:
0.75%以下、Ni:0.70%以下を含有し、かつ
(1)式、(2)式および(3)式を満足する開先充填
用鉄合金を用いる。開先充填用鉄合金添加の目的は良好
な裏ビードと同時に高溶着性を得るためである。すなわ
ち、開先充填用鉄合金を開先内に散布し溶接した場合、
開先充填用鉄合金の散布厚さをほぼ同じにしておけばア
ーク長の変動が少なく均一な裏ビードが得られる。
【0022】さらに、実際の現場溶接では開先のギャッ
プの大きさ、角度の大きさなどのばらつきのためや板厚
の違いにより、開先充填用鉄合金の散布量が変動するた
め溶接中に開先充填用鉄合金から溶接金属中に移行する
Cu、Cr、Ni量が変動する。この影響を排除するた
めにCu、Cr、Ni量はJIS Z 3183の耐候
性鋼の溶接金属成分と同範囲であることが必要である。
【0023】また、開先充填用鉄合金の粒子サイズは
2.0mm以下であることが必要である。粒子サイズが
2.0mmを越えると溶接時に十分に溶融できずに粒子
が半溶融状態で溶接金属中に残留し不都合が生じる。な
お、粒子サイズ2.0mm以下とは目開き2mmのふる
い網を通過する粒子であり、形状はワイヤを切断したい
わゆるカットワイヤ、アトマイズ粉のごとき球粒状や角
張った不定形の粒子などを総称する。
【0024】またさらに、本発明の溶接法には、全ワイ
ヤ重量に対して、Cu:0.25〜0.60%、Cr:
0.30〜0.75%、Ni:0.70%以下を含有す
る溶接用鋼ワイヤで、かつ(1)式、(2)式および
(3)式を満足するように添加する。即ち、鋼ワイヤの
成分は、まずJIS Z 3351にYS−Cu1また
はYS−Cu2に規定されるサブマージアーク溶接用鋼
ワイヤの組成を満足することを前提とした。さらに、開
先充填用鉄合金の場合と同様に実際の現場溶接では開先
のギャップの大きさ、角度の大きさなどのばらつきのた
めや板厚の違いにより、鋼ワイヤの溶接金属に及ぼす希
釈率が変動するので、この影響を排除するためにCu、
Cr、Ni量を上記(1)式、(2)式および(3)式
を満足する様に規定する。
【0025】すなわち本発明は以上に説明したサブマー
ジアーク溶接用ボンドフラックス、開先充填用鉄合金お
よびソリッドワイヤを用いて570MPa耐候性鋼を溶
接入熱7〜20kJ/mmで1層あるいは2層の片面溶
接を行う溶接方法である。ここで溶接入熱を7〜20k
J/mmを限定した理由は、本片面溶接では裏当てには
酸化物の固形裏当て材を使用するため、通常の両面溶接
あるいは裏金付き溶接より冷却速度が遅くなる。このた
め、使用入熱最大50kJ/mmとして開発された鋼板
においてもHAZ部のじん性劣化防止から、規格を満足
する上限入熱は20kJ/mmとした。
【0026】
【実施例】以下実施例により、本発明の効果をさらに具
体的に示す。表4に示すF1〜F13の13種類の組成
のフラックスを作製した。このうちF1〜F3は本発明
例のフラックス、F4〜F13は本発明の効果を明確に
するための比較例のフラックスである。
【0027】フラックスに用いる鉄粉は表3に示すT1
〜T4の4種類を用いた。このうちT1、T2は本発明
例の鉄粉、T3、T4は本発明の効果を明確にするため
の比較例の鉄粉である。まずフラックス原料を配合、混
合した後、水ガラスを固着剤として造粒した後、550
℃で2時間の条件で焼成し、12〜100メッシュに整
粒して作製したボンドフラックスである。
【0028】これらのフラックスを表1に示す鋼ワイヤ
W1〜W3、表2に示す鋼板P1、P2を用い、さらに
表5に示す開先充填用鉄合金A1〜A7を使用した。鋼
ワイヤW1〜W3はいずれもJIS Z 3351のY
S−CuC2に該当し、鋼板P1、P2はSMA570
WQ−MOD鋼である。また、開先充填用鉄合金A1〜
A6は本発明例の開先充填用鉄合金、A7は本発明例の
効果を明確にするための比較例の開先充填用鉄合金であ
る。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】
【0034】また、開先形状は図1に示すギャップ2m
m、開先角度50°の開先である。開先裏面にガラステ
ープ併用の固形裏当て材を当接させ開先表面面一まで開
先充填用鉄合金を散布した。この開先にL極は1100
A、35V、T極は900A、40V、溶接速度150
mm/minで予熱を行わずに一層溶接した。
【0035】溶接終了から48時間以上経過した後、超
音波探傷試験により溶接部の割れの有無について調査し
た。さらに、欠陥のない試料については、板表面7mm
下の溶接部よりJIS A1号引張試験片およびJIS
4号Vノッチシャルピー試験片をそれぞれ採取して供試
した。その結果を表6および表7に示す。
【0036】
【表6】
【0037】
【表7】
【0038】表6および表7の中で記号B1〜B8は本
発明の実施例、記号B9〜B21は本発明の効果を明確
にするための比較例である。これらの結果、本発明の実
施例B1〜B8は溶接作業性も良好であり、かつ割れの
発生もなく、引張強度、−5℃のシャルピー吸収エネル
ギー値とも良好な値を示した。
【0039】比較例のうちB9は(1)式のCuが過少
で成分範囲を外れ、かつ強度が不足した。比較例のうち
B10は(2)式のCrが過少で成分範囲を外れ、かつ
強度が不足した。比較例のうちB11は(1)式のCu
が過多で成分範囲を外れるので後の試験は中止した。比
較例のうちB12は(2)式のCrが過多で成分範囲を
外れるので後の試験は中止した。
【0040】比較例のうちB13は(3)式のNiが過
多で成分範囲を外れるので後の試験は中止した。比較例
のうちB14はフラックス中のCu+Cr+Ni量が過
多で割れが発生したので後の試験は中止した。比較例の
うちB15はフラックス中のLi量が過少で割れが発生
したので後の試験は中止した。
【0041】比較例のうちB16はフラックス中のLi
量が過多でビード表面にポックマークが発生したので後
の試験は中止した。比較例のうちB17はフラックス中
の鉄粉が細粒のためビード外観が不良となり後の試験は
中止した。比較例のうちB18はフラックス中の鉄粉が
粗粒のためビード表面に突起が発生したので後の試験は
中止した。
【0042】比較例のうちB19はフラックス中の鉄粉
が過少でビード外観が不良となったので後の試験は中止
した。比較例のうちB20はフラックス中の鉄粉が過多
でビード外観が不良となったので後の試験は中止した。
比較例のうちB21は充填用鉄合金が粗粒でビード外観
が不良となったので後の試験は中止した。
【0043】
【発明の効果】以上説明したごとく本発明を用いれば、
実施例にも示した通り大入熱570Mpa耐候性鋼の片
面サブマージアーク溶接方法において溶接作業性が良好
で溶接割れもなくじん性も良好な溶接部が得られ、大型
構造物の溶接に貢献するところが大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で用いた溶接試験板の開先形状
を示す断面図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大濱 展之 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%(以下同じ)でCu:0.30〜
    0.60%、Cr:0.45〜0.75%、Ni:0.
    05〜0.70%を含有した570MPa耐候性鋼を1
    層または2層溶接する片面サブマージアーク溶接用ボン
    ドフラックスであって、鋼板、ワイヤ、開先充填用合金
    との組み合わせで、Cu、Cr、Ni含有量がそれぞれ
    下記式(1)、(2)および(3)を満足し、かつL
    i:0.05〜1.0%、Cu:0.60%以下、C
    r:1.0%以下、Ni:1.0%以下で、Cu、C
    r、Niの合計量が1.5%以下であり、さらに5〜2
    0%含有する鉄粉の粒子径が0.50mm以下でかつ
    0.10〜0.50mmの粒子の構成割合が80%以上
    であることを特徴とする大入熱用570MPa耐候性鋼
    の片面サブマージアーク溶接用ボンドフラックス。 0.30≦0.34×[Cu]B +0.34×[Cu]W +0.17×[Cu]A +0.26×(Cu)F ≦0.60 (1) 0.45≦0.38×[Cr]B +0.38×[Cr]W +0.19×[Cr]A +0.29×(Cr)F ≦0.75 (2) 0.05≦0.34×[Ni]B +0.34×[Ni]W +0.17×[Ni]A +0.26×(Ni)F ≦0.70 (3) ただし、[Cu]B 、[Cr]B 、[Ni]B はそれぞ
    れ鋼板中のCu、Cr、Ni含有量、[Cu]W 、[C
    r]W 、[Ni]W はそれぞれワイヤ中のCu、Cr、
    Ni含有量、[Cu]A 、[Cr]A 、[Ni]A はそ
    れぞれ開先充填用鉄合金中のCu、Cr、Ni含有量、
    (Cu)F 、(Cr)F 、(Ni)F はそれぞれフラッ
    クス中のCu、Cr、Ni含有量。
  2. 【請求項2】 重量%(以下同じ)でCu:0.30〜
    0.60%、Cr:0.45〜0.75%、Ni:0.
    05〜0.70%を含有した570MPa耐候性鋼を1
    層または2層溶接する片面サブマージアーク溶接用方法
    であって、鋼板、ワイヤ、開先充填用合金及びフラック
    ス中のCu、Cr、Ni含有量がそれぞれ下記式
    (1)、(2)および(3)を満足し、かつ全ワイヤ重
    量に対して、Cu:0.25〜0.60%、Cr:0.
    30〜0.75%、Ni:0.70%以下を含有する溶
    接用鋼ワイヤと、鉄合金全重量に対してCu:0.60
    %以下、Cr:0.75%以下、Ni:0.70%以下
    を含有し、粒子サイズが2.0mm以下である開先充填
    用鉄合金と、第1項記載のフラックスを組み合わせ、溶
    接入熱7〜20kJ/mmで1層または2層溶接するこ
    とを特徴とする大入熱用570MPa耐候性鋼の片面サ
    ブマージアーク溶接方法。 0.30≦0.34×[Cu]B +0.34×[Cu]W +0.17×[Cu]A +0.26×(Cu)F ≦0.60 (1) 0.45≦0.38×[Cr]B +0.38×[Cr]W +0.19×[Cr]A +0.29×(Cr)F ≦0.75 (2) 0.05≦0.34×[Ni]B +0.34×[Ni]W +0.17×[Ni]A +0.26×(Ni)F ≦0.70 (3) ただし、[Cu]B 、[Cr]B 、[Ni]B はそれぞ
    れ鋼板中のCu、Cr、Ni含有量、[Cu]W 、[C
    r]W 、[Ni]W はそれぞれワイヤ中のCu、Cr、
    Ni含有量、[Cu]A 、[Cr]A 、[Ni]A はそ
    れぞれ開先充填用鉄合金中のCu、Cr、Ni含有量、
    (Cu)F 、(Cr)F 、(Ni)F はそれぞれフラッ
    クス中のCu、Cr、Ni含有量。
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