JPH11347788A - サブマージアーク溶接用ボンドフラックス - Google Patents

サブマージアーク溶接用ボンドフラックス

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JPH11347788A
JPH11347788A JP10163971A JP16397198A JPH11347788A JP H11347788 A JPH11347788 A JP H11347788A JP 10163971 A JP10163971 A JP 10163971A JP 16397198 A JP16397198 A JP 16397198A JP H11347788 A JPH11347788 A JP H11347788A
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和雄 田中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄板の溶接、厚板の多層溶接及び突合せ継手
の両面溶接等の種々の溶接に適用することができ、いず
れの溶接方法を使用した場合であっても、優れた溶接作
業性及び継手性能を得ることができるサブマージアーク
溶接用ボンドフラックスを提供する。 【解決手段】 サブマージアーク溶接用ボンドフラック
スは、フラックス全重量あたりの重量%で、SiO2
20乃至27%、Al23:18乃至25%、MgO:
13乃至22%、CaO:4乃至11%、TiO2:5
乃至14%及びCaF2:3乃至10%を含有すると共
に、粒径が500乃至840μmである粒子を30乃至
50%、粒径が297μm以上500μm未満である粒
子を30乃至50%含有し、粒径が840μmを超える
粒子を25%未満、粒径が297μm未満である粒子を
20%未満に規制し、見掛密度が0.80乃至1.20
g/ミリリットルである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に鉄骨及び橋梁
等に多く使用されるビルトエッチ材(3枚の鋼板を断面
形状がH形となるように組み合わせてすみ肉溶接により
接合した骨材)からなる柱、梁及び桁のすみ肉溶接並び
にI形材又は溝形材のウェブ同士及びフランジ同士が突
合された突合せ継手の両面溶接等の広範囲の溶接に適用
させることができるサブマージアーク溶接用ボンドフラ
ックスに関する。
【0002】
【従来の技術】すみ肉溶接により形成されるすみ肉溶接
継手は、溶込み深さ及び必要脚長の確保、並びにビード
形状の平滑性及び溶接金属の母材とのなじみ性が良好で
あることが要求されている。特に、溶接ビードの品質に
ついては、突き合わせ溶接継手と比較して、すみ肉溶接
特有の特性が要求される。そこで、従来においては、こ
れらの要求特性を満足させるために、すみ肉溶接専用の
フラックスが使用されることが多い。
【0003】また、ビルトエッチ材は、近時、柱、梁及
び桁等の材料として使用されており、ビルトエッチ材の
用途が多様化し、板厚範囲が拡大していると共に鋼種が
増加している。特に、ビルトエッチ材を柱として使用す
る場合に、その継手性能として、部位によっては、強度
の他に高靱性が要求されることがある。そこで、ビルト
エッチ材をすみ肉溶接する場合においても、その用途及
び要求性能に応じてフラックスを選択している。
【0004】更に、I形材又は溝形材等の突き合わせ溶
接する際には、突合せ溶接用フラックスを使用して、ウ
ェブ同士及びフランジ同士を溶接している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来にお
いては、母材の板厚、鋼種及びその溶接方法、並びに溶
接により得られる継手の用途及び要求性能に応じて、使
用するフラックスの種類を使い分けている。従って、例
えば1つの溶接構造物を溶接により組み立てる場合に、
複数種のフラックスを準備して、溶接部位毎に使用する
フラックスを選択する必要がある。その結果、溶接構造
物の組立時においては、溶接作業が煩雑になると共に、
工程数が増加するという問題点がある。
【0006】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、ビルトエッチ材等のような薄板の溶接、厚
板の多層溶接及び突合せ継手の両面溶接等の種々の溶接
に適用することができ、いずれの溶接方法を使用した場
合であっても、優れた溶接作業性及び継手性能を得るこ
とができるサブマージアーク溶接用ボンドフラックスを
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係るサブマージ
アーク溶接用ボンドフラックスは、フラックス全重量あ
たり、SiO2:20乃至27重量%、Al23:18
乃至25重量%、MgO:13乃至22重量%、Ca
O:4乃至11重量%、TiO2:5乃至14重量%及
びCaF2:3乃至10重量%を含有すると共に、粒径
が500乃至840μmである粒子を30乃至50重量
%、粒径が297μm以上500μm未満である粒子を
30乃至50重量%含有し、粒径が840μmを超える
粒子を25重量%未満、粒径が297μm未満である粒
子を20重量%未満に規制し、見掛密度が0.80乃至
1.20g/ミリリットルであることを特徴とする。
【0008】また、本発明に係るサブマージアーク溶接
用ボンドフラックスは、フラックス全重量あたり、T
i:0.5乃至3.0重量%及びB:0.05乃至0.
3重量%を含有することが好ましく、CO2を3乃至1
0重量%含有すると、より一層望ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】本願発明者は、従来の種々のフラ
ックスを使用して、すみ肉単層溶接及び多層溶接並びに
突き合わせ溶接を実施して、得られる溶接ビードの品質
及び継手性能について検討したが、いずれのフラックス
を使用しても、優れた溶接ビード品質及び継手性能を得
ることはできなかった。これは、例えば、両面単層溶接
では、溶融池及び溶融スラグが鋼板の表面で自由に流動
して凝固するが、すみ肉溶接は基本的には開先内溶接で
あり、開先の壁によって溶融池及び溶融スラグの流動が
強制されるからである。従って、同一のフラックス及び
溶接条件を使用した場合であっても、開先形状によって
溶融池の形(幅)及びスラグの厚さ等が異なるので、溶
接結果が異なったものとなる。
【0010】そこで、本願発明者等は、種々の組成及び
粒度を有するフラックスを使用して溶接試験を実施した
結果、フラックスの組成、粒度及び見掛密度を厳密に規
定することにより、開先形状及び溶接方法等に拘わら
ず、優れた品質及び性能を有する溶接ビード及び継手を
得ることができることを見い出した。
【0011】以下、本発明に係るサブマージアーク溶接
用ボンドフラックスの組成限定理由について説明する。
【0012】SiO2 :20乃至27重量% SiO2はガラス化成分である。フラックス中のSiO2
がフラックス全重量あたり27重量%を超えると、溶融
スラグ全体の粘性が高くなって、すみ肉溶接に適用した
場合には平滑なビードを得ることができるが、両面単層
溶接に適用した場合にはビード幅が不安定になる。ま
た、溶接部の靱性を十分に確保することができない。一
方、フラックス中のSiO2が20重量%未満である
と、両面単層溶接に適用した場合には、良好なビードを
得ることができるが、すみ肉溶接に適用した場合に、ビ
ート形状が凸型になりやすくなる。従って、フラックス
中のSiO2はフラックス全重量あたり20乃至27重
量%とする。なお、SiO2は珪砂、珪石及び珪珪石等
の酸化物並びに複合酸化物等によりフラックス中に添加
することができ、本発明においては、これらをSiO2
換算値として規定する。
【0013】Al2 3 :18乃至25重量% Al23は、特に、開先内におけるスラグ剥離性に大き
く影響を与える成分である。フラックス中のAl23
フラックス全重量あたり25重量%を超えると、すみ肉
溶接及び突き合わせ溶接のいずれの溶接に適用した場合
においても、溶け込み深さが浅くなる傾向がある。一
方、フラックス中のAl23が18重量%未満である
と、特にすみ肉溶接に適用した場合にスラグの剥離性が
低下する。従って、フラックス中のAl23はフラック
ス全重量あたり18乃至25重量%とする。なお、Al
23は主として、アルミナ等によりフラックス中に添加
することができ、本発明においては、これをAl23
算値として規定する。
【0014】MgO:13乃至22重量% MgO及びCaO等は、いずれも溶融スラグの粘性を低
下させる成分であり、スラグの流動性を高めて両面単層
溶接に適用した場合には、ビード幅を広くする効果を得
ることができる。しかし、MgOは高融点成分であるの
で、フラックス中のMgOがフラックス全重量あたり2
2重量%を超えると、特に、すみ肉溶接に適用して小入
熱溶接条件により溶接した場合に、フラックスの溶融性
が低下して安定したビードを得ることができなくなる。
一方、フラックス中のMgOが13重量%未満である
と、溶融スラグの流動性を高める効果を得ることができ
なくなり、特に、両面単層溶接に適用した場合に、安定
したビード幅を確保することができなくなる。また、M
gOは塩基性成分であるので、フラックス中のMgOが
13重量%未満であると、溶接金属の靱性を確保するこ
とができない。従って、フラックス中のMgOはフラッ
クス全重量あたり13乃至22重量%とする。なお、M
gOは、マグネシヤクリンカ、マグネサイト及び炭酸マ
グネシウム等によりフラックス中に添加することがで
き、本発明においては、これらをMgO換算値として規
定する。
【0015】CaO:4乃至11重量% フラックス中のCaOがフラックス全重量あたり11重
量%を超えると、溶融スラグの凝固温度が高くなり、こ
れにより、特にすみ肉溶接に適用した場合に、アンダカ
ットが発生しやすくなり、スラグ剥離性が低下する。一
方、フラックス中のCaOが4重量%未満であると、溶
融スラグの流動性を確保することができなくなり、ビー
ド形状が凸型になりやすくなる。また、フラックス中の
CaOはMgOと同様に塩基性成分であるので、フラッ
クス中のCaOが4重量%未満であると、溶接金属の靱
性を確保することができない。従って、フラックス中の
CaOはフラックス全重量あたり4乃至11重量%とす
る。なお、CaOは、炭酸石灰及び珪珪石等によりフラ
ックス中に添加することができ、本発明においては、こ
れらをCaO換算値として規定する。
【0016】TiO2 :5乃至14重量% TiO2はスラグ剥離性を向上させる効果を有する成分
である。フラックス中のTiO2がフラックス全重量あ
たり14重量%を超えると、すみ肉溶接及び両面溶接の
いずれの溶接に適用した場合においても、ビード波が粗
くなる傾向がある。一方、フラックス中のTiO2が5
重量%未満であると、スラグ剥離性を向上させる効果を
十分に得ることができない。従って、フラックス中のT
iO2はフラックス全重量あたり5乃至14重量%とす
る。なお、TiO2はルチール等によりフラックス中に
添加することができ、本発明においては、これをTiO
2換算値として規定する。
【0017】CaF2 :3乃至10重量% CaF2は低融点成分であり、フラックス全体の溶融性
を高める効果を有する。フラックス中のCaF2がフラ
ックス全重量あたり10重量%を超えると、スラグ生成
量が過剰となって、特にすみ肉溶接に適用した場合にス
ラグ剥離性を著しく劣化させる。一方、フラックス中の
CaF2が3重量%未満であると、特に小入熱のすみ肉
溶接に適用した場合に、フラックスの溶融性が損なわれ
ることに起因して、ビード形状が不良となりやすくな
る。従って、フラックス中のCaF 2はフラックス全重
量あたり3乃至10重量%とする。なお、CaF2は蛍
石等によりフラックス中に添加することができ、本発明
においては、これをCaF2換算値として規定する。
【0018】Ti:0.5乃至3.0重量%,B:0.
05乃至0.3重量% Ti及びBは溶接金属の組織を微細化する成分であり、
特に、大入熱溶接に適用した場合に、溶接金属の靱性を
高める効果を有する。フラックス中のTiがフラックス
全重量あたり0.5重量%未満であると、溶接金属の組
織を微細化する効果を十分に得ることができない。一
方、フラックス中のTiが3.0重量%を超えると、ビ
ードの表面にスラグが焼き付いて、スラグ剥離性が低下
することがある。また、フラックス中のBがフラックス
全重量あたり0.05重量%未満であると、溶接金属の
組織を微細化する効果を十分に得ることができない。一
方、フラックス中のBが0.3重量%を超えると、溶接
金属の硬さが必要以上に高くなって、溶接金属の耐割れ
性が低下することがある。但し、Ti及びBは、単独で
は溶接金属の靱性を高める効果を十分に得ることができ
ないので、Ti及びBの両方がフラックス中に含有され
ていることが好ましい。従って、フラックス中にTi及
びBを含有させる場合は、フラックス全重量あたり、T
iを0.5乃至3.0重量%、Bを0.05乃至0.3
重量%とすることが好ましい。なお、Tiは金属Ti及
びFe−Ti等の合金によりフラックス中に添加するこ
とができ、BはFe−B及び硼砂等の酸化物並びにそれ
らの化合物により添加することができ、本発明において
は、これらを夫々、Ti換算値及びB換算値として規定
する。
【0019】CO2 :3乃至10重量% CO2は溶融スラグの性質に影響を与える成分ではない
が、溶接中にCO2ガスを発生させて、溶融池上の水素
分圧を低下させるので、溶接金属の水素量を低減する効
果を有する。フラックス中のCO2がフラックス全重量
あたり3重量%未満であると、溶接金属の水素量を低減
する効果を十分に得ることができない。一方、フラック
ス中のCO2が10重量%を超えると、ガス量が過剰に
なって、溶接中に吹上が発生したり、この吹上に伴って
溶融スラグが吐出することがあり、これにより、溶融池
が乱されてビード形状が不安定になることがある。従っ
て、フラックス中にCO2を含有させる場合は、フラッ
クス全重量あたり3乃至10重量%とすることが好まし
い。なお、CO2は炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム
及び炭酸バリウム等によりフラックス中に添加すること
ができ、本発明においては、これらをCO2換算値とし
て規定する。
【0020】次に、本発明に係るサブマージアーク溶接
用ボンドフラックスにおける粒度範囲及び見掛密度範囲
について説明する。
【0021】粒径が297μm未満である粒子:20重
量%未満,粒径が297μm以上500μm未満である
粒子:30乃至50重量%,粒径が500乃至840μ
mである粒子:30乃至50重量%,粒径が840μm
を超える粒子:25重量%未満 フラックスの粒度分布を規定することにより、溶接ビー
ドの形状を向上させることができると共に、アンダカッ
トの発生を防止することができる。また、フラックスの
粒度分布を規定することにより、溶接中に発生するガス
を外部に逃がす効果と、大気中の成分が溶融金属に侵入
することを防止する効果とを得ることができる。フラッ
クス全重量あたり、粒径が840μmを超えるフラック
ス粒子が25重量%以上であると、特に、両面一層溶接
に適用して大入熱条件で厚板を溶接した場合に、溶融ス
ラグの吐出が増加してビード形状が乱れたり、フラック
ス粒子間の空隙が大きくなって大気が侵入しやすくな
り、溶接金属の機械的性能が低下することがある。
【0022】また、フラックス全重量あたり、粒径が5
00乃至840μmであるフラックス粒子が30重量%
未満であると、特に、すみ肉溶接に適用して低入熱条件
で溶接した場合に、ビードの広がりが悪くなると共に、
アンダカットが発生しやすくなる。一方、粒径が500
乃至840μmであるフラックス粒子が50重量%を超
えると、両面一層溶接に適用して大入熱条件で溶接した
場合に、ビード形状が凸状になりやすいと共に、ビード
波が粗くなる。
【0023】更に、フラックス全重量あたり、粒径が2
97μm以上500μm未満であるフラックス粒子が3
0重量%未満であると、両面一層溶接に適用して大入熱
条件で溶接した場合に、ビード形状が凸状になりやすい
と共に、ビード波が粗くなる。一方、粒径が297μm
以上500μm未満であるフラックス粒子が50重量%
を超えると、すみ肉溶接に適用して低入熱条件で溶接し
た場合に、ビードの広がりが悪くなると共に、アンダカ
ットが発生しやすくなる。
【0024】更にまた、フラックス全重量あたり、粒径
が297μm未満であるフラックス粒子が20重量%以
上であると、溶接中に発生するガス抜けが悪くなって、
フラックス及び溶融スラグの吐出が増加するので、溶接
作業性が低下する。
【0025】見掛密度:0.80乃至1.20g/ミリリッ
トル フラックスの見掛密度は、ビードの広がり及び形状、並
びに溶け込み深さに影響を与えるので、サブマージアー
ク溶接においては、用途に応じて適切な見掛密度を選択
することができる。フラックスの見掛密度が0.80g
/ミリリットル未満であると、すみ肉溶接又は両面一層溶接に
適用して大入熱条件で厚板を溶接した場合に、溶接スラ
グの吐出が増加してビード形状が乱れたり、十分な溶け
込み深さを確保することができなくなる。一方、フラッ
クスの見掛密度が1.20g/ミリリットルを超えると、小入
熱条件で薄板を溶接した場合に、ビード幅が広がらず、
ビード形状が凸状になる。従って、フラックスの見掛密
度は0.80乃至1.20g/ミリリットルとする。
【0026】なお、本発明においては、上記成分の他
に、Si、Mn、Na2O及びK2O等をフラックス中に
含有させることができる。
【0027】
【実施例】以下、本発明に係るサブマージアーク溶接用
ボンドフラックスの実施例についてその比較例と比較し
て具体的に説明する。先ず、下記表1に示す種々の組成
を有する鋼板及び下記表2に示す2種の溶接ワイヤを準
備すると共に、下記表3及び4に示す種々の組成、粒度
分布及び見掛密度を有するボンドフラックスを調製し
た。そして、準備した鋼板を組み合わせて、溶接母材を
組み立てた。なお、下記表3に示すボンドフラックス組
成において、その他の成分としては、Si、Mn、Na
2O及びK2O等がある。
【0028】図1は下向きすみ肉溶接用に組み立てた母
材の開先形状を示す断面図であり、図2は突合せ両面一
層溶接用に組み立てた母材の開先形状を示す断面図であ
る。また、図3は多層溶接用に組み立てた母材の開先形
状を示す断面図である。図1に示すように、水平面1に
対して55゜傾斜させて、板厚が32mmである鋼板S
2を配置し、この鋼板S2の表面に対して垂直となるよ
うに板厚が16mmである鋼板S1の端面を当接させる
ことにより、下向きすみ肉溶接用の母材を組み立てた。
また、板厚が40mmである2枚の鋼板S3の第1面2
側から端面に至る領域に切欠きを設けると共に、第2面
3側から端面に至る領域に切欠きを設けて、これらの端
面同士を当接させることにより、突合せ両面一層溶接用
の母材を組み立てた。なお、この第1面2側の開先角度
は60゜、開先深さは16mmとし、第2面3側の開先
角度は80゜、開先深さは15mmとした。更に、板厚
が50mmである2枚の鋼板S4の表面から端面に至る
領域に切欠きを設けて、これらの端面同士を当接させる
ことにより、多層溶接用の母材を組み立てた。
【0029】次に、得られた開先に対して、全てのボン
ドフラックスを使用して2種のワイヤにより、下記表5
乃至7に示す溶接条件で下向きすみ肉溶接、突合せ両面
一層溶接及び多層溶接を実施し、各溶接方法について、
フラックスの吹上、スラグ剥離性、ビード外観、ビード
形状、ビード幅揃い、ビード波形、アンダカット、溶け
込み深さ及び溶接金属の靱性を評価した。また、多層溶
接したものについては、溶接金属の低温割れ性も評価し
た。これらの評価結果を下記表8乃至10に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
【表6】
【0036】
【表7】
【0037】
【表8】
【0038】
【表9】
【0039】
【表10】
【0040】上記表3、4及び8乃至10に示すよう
に、フラックス記号F1乃至F6を使用して溶接した実
施例No.1乃至6、21乃至26及び41乃至46
は、フラックスの組成、粒度分布及び見掛密度が適切に
規制されているので、いずれの溶接方法により溶接した
場合においても、良好な溶接作業性及び継手性能を得る
ことができた。特に、実施例No.3乃至6、23乃至
26及び43乃至46は、使用したフラックス中に好ま
しい範囲内でTi及びBが含有されているので、優れた
靱性の溶接金属を得ることができた。また、実施例N
o.45及び46は、使用したフラックス中に好ましい
範囲内でCO2が含有されているので、多層溶接により
優れた低温割れ性を有する溶接金属を得ることができ
た。
【0041】一方、比較例No.7、27及び47は、
使用したフラックス中のSiO2含有量が本発明範囲の
上限を超えているので、両面一層溶接及び多層溶接にお
いて、ビード幅が不安定になると共に、いずれの溶接方
法により得られた溶接金属についても、その靱性が若干
低下した。また、Al23含有量が本発明範囲の下限未
満であるので、すみ肉溶接時のスラグ剥離性が低下し
た。比較例No.8、28及び48は、使用したフラッ
クス中のSiO2含有量が本発明範囲の下限未満である
と共に、MgO含有量が本発明範囲の上限を超えている
ので、すみ肉溶接時のビードの外観が不良となり、ビー
ド形状及びビード幅が不安定となった。
【0042】比較例No.9、29及び49は、使用し
たフラックス中のAl23含有量が本発明範囲の上限を
超えているので、いずれの溶接方法を使用しても、溶込
み深さが浅くなった。比較例No.10、30及び50
は、使用したフラックス中のCaO含有量が本発明範囲
の下限未満であると共に、TiO2含有量が本発明範囲
の上限を超えているので、いずれの溶接方法を使用して
も、良好なビードを得ることができず、また、溶接金属
の靱性も若干低下した。
【0043】比較例No.11、31及び51は、使用
したフラックスのCaF2含有量が本発明範囲の上限を
超えているので、特に、すみ肉溶接時のスラグ剥離性が
低下した。比較例No.12、32及び52は、使用し
たフラックスのCaO含有量及びCaF2含有量が本発
明範囲の下限未満であるので、良好なビードを得ること
ができなかった。また、フラックス中にCO2が本発明
の好ましい範囲を超えて含有されているので、吹上が発
生した。比較例No.13、33及び53は、使用した
フラックス中のSiO2含有量が本発明範囲の下限未満
であるので、特にすみ肉溶接において良好なビードを得
ることができなかった。また、CaO含有量が本発明範
囲の上限を超えているので、すみ肉溶接においてアンダ
カットが発生し、更に、TiO2含有量が本発明範囲の
下限未満であるので、いずれの溶接方法によってもスラ
グの剥離性が低下した。
【0044】比較例No.14、34及び54は、粒径
が840μmを超える粒子が本発明範囲の上限を超えて
おり、粒径が297μm以上500μm未満である粒子
が本発明範囲の下限未満であると共に、見掛密度が本発
明範囲の上限を超えているので、両面一層溶接及び多層
溶接において、吹上が発生し良好なビードを得ることが
できなかった。比較例No.15、35及び55は、粒
度分布が本発明範囲から外れていると共に、見掛密度が
本発明範囲の下限未満であるので、吹上が発生して、ビ
ード形状が劣化した。比較例No.16、36及び56
は、粒径が500乃至840μmの粒子が本発明範囲の
上限を超えていると共に、粒径が297μm以上500
μm未満の粒子が本発明範囲の下限未満であるので、両
面一層溶接及び多層溶接においてビード形状が劣化し、
ビード波形も粗くなった。
【0045】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
フラックス組成が適切に規制されていると共に、フラッ
クスの粒度分布及び見掛密度が適切に規制されているの
で、薄板の溶接、厚板の多層溶接及び突合せ継手の両面
溶接等のいずれの溶接方法に適用した場合においても、
優れた溶接作業性及び継手性能を得ることができる。ま
た、フラックス中に適切な量のTi及びBを含有させる
と、得られる溶接金属の靱性を向上させることができ、
フラックス中に適切な量のCO2を含有させると、超高
張力鋼の厚板層の溶接に適用することができ、耐遅れ割
れ性が良好な溶接金属を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】下向きすみ肉溶接用に組み立てた母材の開先形
状を示す断面図である。
【図2】突合せ両面一層溶接用に組み立てた母材の開先
形状を示す断面図である。
【図3】多層溶接用に組み立てた母材の開先形状を示す
断面図である。
【符号の説明】
1;水平面 2;第1面 3;第2面 S1,S2,S3,S4;鋼板

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フラックス全重量あたり、SiO2:2
    0乃至27重量%、Al23:18乃至25重量%、M
    gO:13乃至22重量%、CaO:4乃至11重量
    %、TiO2:5乃至14重量%及びCaF2:3乃至1
    0重量%を含有すると共に、粒径が500乃至840μ
    mである粒子を30乃至50重量%、粒径が297μm
    以上500μm未満である粒子を30乃至50重量%含
    有し、粒径が840μmを超える粒子を25重量%未
    満、粒径が297μm未満である粒子を20重量%未満
    に規制し、見掛密度が0.80乃至1.20g/ミリリットル
    であることを特徴とするサブマージアーク溶接用ボンド
    フラックス。
  2. 【請求項2】 フラックス全重量あたり、Ti:0.5
    乃至3.0重量%及びB:0.05乃至0.3重量%を
    含有することを特徴とする請求項1に記載のサブマージ
    アーク溶接用ボンドフラックス。
  3. 【請求項3】 フラックス全重量あたり、CO2を3乃
    至10重量%含有することを特徴とする請求項1又は2
    に記載のサブマージアーク溶接用ボンドフラックス。
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