JP6437420B2 - 高張力鋼のサブマージアーク溶接用焼成型フラックス - Google Patents

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Description

本発明は、石油、天然ガス等を輸送するパイプライン用の造管溶接に用いられるサブマ
ージアーク溶接用焼成型フラックスに関し、特に高張力鋼を高速度の溶接条件で溶接する場合においても、溶接作業性が良好で、溶接欠陥が無く健全で優れた機械的性能の溶接金属が得られる高張力鋼用のサブマージアーク溶接用焼成型フラックスに関するものである。
一般にサブマージアーク溶接は、高能率で安定した溶接作業性および優れた機械的性能
を有する溶接金属が得られることから、造船、造管、鉄骨、橋梁、車両などの幅広い分野で適用されている。また、近年、サブマージアーク溶接においては、溶接施工における生産性の向上や安全性、耐久性の確保のため、更なる品質向上が求められており、その中でも特に溶接の高能率化と溶接金属の高靱性化の要望が極めて大きい。
従来、サブマージアーク溶接には、溶融型のフラックスおよび焼成型のフラックスが用
いられ、フラックスの成分に合わせてソリッドワイヤが主に使用されている。溶融型フラックスは、各種鉱物原材料を1500℃以上の高温度で溶融し、冷却後粉末状に粉砕することにより製造され、吸湿が少なく、溶接金属の拡散性水素量を低くすることができ、取扱いや保管が容易という特徴がある。
一方、焼成型フラックスは、各種原材料に水ガラス等を添加して造粒した後、焼成する
ことにより製造される。また焼成温度によって分類され、400〜600℃で焼成したものを低温焼成型フラックス、600〜1200℃で焼成したものを高温焼成型フラックスという。低温焼成型フラックスは、溶接金属の化学成分を自由に調整できる優れた特徴があるが、吸湿しやすいという欠点がある。高温焼成型フラックスは、金属炭酸塩を用いずに溶接金属の低水素化が図れるため、高速溶接性に優れるという特徴がある。
これらの点を考慮して高速溶接における良好な溶接作業性および溶接金属性能が得られるサブマージアーク溶接用フラックスの開発については従来から種々の技術開発が行われてきた。例えば、特開平4−238694号公報(特許文献1)には、溶融型フラックスの成分、融点および粘度を限定し、高速サブマージアーク溶接における溶接作業性改善を図った技術が開示されている。フラックス塩基度、融点および粘度を指標化することで高速溶接における作業性改善を図っているが、高張力鋼へ適用した場合、溶接金属の良好な靭性を得ることはできない。
また、特開平7−256488号公報(特許文献2)には、スラグ巻込みを防止するた
めにSiO2量を少なくすることなく、かつ、酸素濃度を低く抑えるために塩基度を高めた溶融型フラックスが開示されている。しかし、特許文献2に記載のフラックスにはAl23が少量しか添加されておらず良好なスラグ剥離性およびビード外観が得られない。また、MgOも少量しか添加されておらず、良好な溶接金属の靭性を得ることはできない。
また、特開2007−90399号公報(特許文献3)には、高強度鋼板における溶接
金属の良好な低温靭性と良好なビード形状を得るためにフラックスの成分範囲および塩基度を規定した溶融型フラックスが開示されている。しかし、特許文献3に記載のフラックスはCaF2が多量に添加されているためアークが不安定となり良好なビード外観を得ることができない。
また、特開平2−92497号公報(特許文献4)には、ニッケルスラグと溶融型フラ
ックスを混合し、スパイラル鋼管の高速サブマージアーク溶接における溶接作業性改善を図った技術が開示されている。しかし、特許文献4に記載のニッケルスラグと溶融型フラックスを混合したフラックスでは、ニッケルスラグと溶融型フラックスの粒度構成、嵩比重が異なるため、均一に混合することはできず、また搬送中、使用中にニッケルスラグと溶融型フラックスが分離し、偏析を起こすため、安定した溶接作業性は得られない。
また、特開2003−10995号公報(特許文献5)には、溶融型フラックスの成分
、溶接により発生するスラグの粘度、溶融スラグの凝固温度を限定し、傾斜部の高速サブマージアーク溶接における溶接作業性改善を図った技術が開示されている。溶接作業性改善の重要な要素として、特にTiO2とAl23比を特定してビード形状を良好にしているが、傾斜部の高速サブマージアーク溶接においては、TiO2とAl23の比率をコントロールするだけでは安定した溶接作業性を得ることはできな。また、高張力鋼の溶接においては、良好な溶接金属の靭性は得られない。
さらに、特開2015−112633号公報(特許文献6)には、高温焼成型フラック
スの成分を特定し、さらにMgO含有量とAl23、FおよびTiO2の総含有量との比を特定の範囲にすることで溶接電源が交流および直流のいずれにあっても、溶接作業性改善を図った技術が開示されている。しかし、特許文献6に記載のフラックスはTiO2が少量しか添加されていないため高速溶接におけるアークは不安定となり、また、高張力鋼の溶接においては、良好な溶接金属の靭性は得られないという問題があった。
特開平4−238694号公報 特開平7−256488号公報 特開2007−90399号公報 特開平2−92497号公報 特開2003−10995号公報 特開2015−112633号公報
本発明は、石油、天然ガス等を輸送するパイプライン用の造管溶接に用いられるサブマ
ージアーク溶接用焼成型フラックスに関し、特に高張力鋼を高速度の溶接条件で溶接する場合においても、溶接作業性が良好で、溶接欠陥が無く健全で優れた機械的性能の溶接金属が得られる高張力鋼のサブマージアーク溶接用焼成型フラックスを提供することを目的とする。
本発明の要旨は、高張力鋼のサブマージアーク溶接用焼成型フラックスにおいて、フラ
ックスの全質量%に対する質量%で、SiのSiO2換算値およびSi酸化物のSiO2換算値の1種または2種以上の合計:10〜25%、MgO:20〜30%、Al23:14〜24%、CaF2:12〜19%、Ti酸化物のTiO2換算値:8〜12%、CaO:3.5〜7.5%、MnのMnO換算値およびMn酸化物のMnO換算値の1種または2種以上の合計:2.5〜5.5%、B23:0.3〜1%、Na2OおよびK2Oの1種または2種の合計:0.8〜4.5%を含有し、C:0.1%以下で残部は不可避不純物であることを特徴とする。
また、フラックスの粒度構成が、フラックスの全質量%に対する質量%で、粒径850μm超:15〜50%、粒径212μm超〜850μm以下:45〜80%、粒径212μm以下:15%以下であることも特徴とする高張力鋼のサブマージアーク溶接用焼成型フラックスにある。
本発明の高張力鋼のサブマージアーク溶接用焼成型フラックスによれば、高張力鋼を高
速度の溶接条件で溶接する場合においても、溶接作業性が良好で、溶接欠陥が無く健全で優れた機械的性能の溶接金属が得られる。したがって、本発明によれば、溶接能率の向上および溶接部の品質の向上を図ることが可能となる。
本発明の実施例に用いた溶接試験鋼板の開先形状を示す断面図である。
本発明者らは、上記の問題を解決するため、溶融型フラックス、低温焼成型フラックス
および高温焼成型フラックスについて、高速溶接における溶接作業性と、高張力鋼の溶接における溶接金属の機械的性能について比較検討した結果、高温焼成型フラックスが最も良好な結果が得られた。
そこで、高温焼成型フラックスの成分組成および粒径について検討を行った。その結果
、高速溶接における溶接作業性は、SiとSi酸化物、Al23、Ti酸化物、CaO、MnとMn酸化物を適量含有させることによって、高速溶接におけるビード外観、ビード形状およびスラグ剥離性を良好にし、Ti酸化物、Na2OおよびK2Oを適量含有することによってアークが安定することを見出した。
また、溶接金属の靭性は、MgOおよびCaF2を適量含有して酸素量を低くし、B2
3の含有によって溶接金属の組織を微細化することによって得られることが判明した。さらに、焼成型フラックスの粒度構成を限定することによって、溶接欠陥が生じることなくビード形状がさらに良好になることを見出した。
以下に本発明の高張力鋼用のサブマージアーク溶接用焼成型フラックスの成分組成の限
定理由について説明する。なお、各成分組成の含有量は、焼成型フラックス全質量に対する質量%で表すこととし、その質量%を表すときは単に%として表すこととする。
SiのSiO2換算値およびSi酸化物のSiO2換算値の1種または2種以上の合計:10〜25%
Siは、金属Si、Fe−Si、Fe−Mn−Si等から添加され、Si酸化物は、珪砂、珪灰石、タルク、珪酸カルシウム、カリ長石、水ガラス(珪酸ソーダ、珪酸カリウム)等から添加される。SiおよびSi酸化物は、溶融スラグの粘性を高くしてビード形状を良好にするが、過多になると溶接金属の靭性を低下する。SiのSiO2換算値およびSi酸化物のSiO2換算値の1種または2種の合計が10%未満であると、溶融スラグの粘性が不足してビード形状が不良となりビード蛇行やアンダーカットが発生する。一方、SiのSiO2換算値およびSi酸化物のSiO2換算値の1種または2種の合計が25%を超えると、溶接金属の酸素量が高くなり靭性が低下する。したがって、SiのSiO2換算値およびSi酸化物のSiO2換算値の1種または2種以上の合計は10〜25%とする。
MgO:20〜30%
MgOは、マグネシアクリンカー、タルク、珪酸カルシウム等から添加され、溶接金属の酸素量を低減するのに有効な成分である。MgOが20%未満であると、溶接金属の酸素量が高くなり靭性が低下する。一方、MgOが30%を超えると、フラックスの融点が高くなり高速度のサブマージアーク溶接においては十分なビード幅が得られず、また溶融スラグの粘性も高くなるのでビード止端部がオーバーラップとなる。したがって、MgOは20〜30%とする。
Al23:14〜24%
Al23は、アルミナから添加され溶融スラグの粘性を調整するのに有効な成分である。Al23が14%未満であると、スラグ剥離性およびビード外観が不良となる。一方、Al23が24%を超えると、溶融スラグの粘性が過剰となり高速度のサブマージアーク溶接においてはビードが凸形状となり、スラグ剥離性も不良となる。したがって、Al23は14〜24%とする。
CaF2:12〜19%
CaF2は、蛍石から添加され、溶接金属の酸素量を低くして靭性の向上に効果があるが、融点が低いため過多になるとビードの平滑性が損なわれる。CaF2が12%未満では、溶接金属の酸素量が増加して靭性が低下する。一方、CaF2が19%を超えると、アークが不安定となりビード外観が不良となる。したがって、CaF2は12〜19%とする。
Ti酸化物のTiO2換算値:8〜12%
Ti酸化物は、ルチール、酸化チタン、チタンスラグ等から添加され、アーク安定性およびビード表面の平滑性を得るために重要な成分である。また、靭性向上にも有効である。Ti酸化物のTiO2換算値が8%未満では、アークが不安定で、ビード形状も不良となり、靭性向上の効果がない。一方、Ti酸化物のTiO2換算値が12%を超えると、スラグ剥離性が劣化する。したがって、Ti酸化物のTiO2換算値は8〜12%とする。
CaO:3.5〜7.5%
CaOは、珪石灰、珪酸カルシウム等から添加され、溶融スラグの融点および流動性を調整するために重要な成分である。CaOが3.5%未満では、溶融スラグの融点が低く流動性が大きくなり高速度のサブマージアーク溶接においてはビード止端部のなじみが悪くアンダーカットが生じる。一方、CaOが7.5%を超えると、溶融スラグの融点が高く流動性が小さくなりビード高さが不均一でスラグ剥離性が劣化する。したがって、CaOは3.5〜7.5%とする。
MnのMnO換算値およびMn酸化物のMnO換算値の1種または2種以上の合計:2
.5〜5.5%]
Mnは、金属Mn、Fe−Mnを、Fe−Mn−Si等から添加され、Mn酸化物は、酸化マンガン、二酸化マンガン等から添加される。MnおよびMnO酸化物は、スラグの粘性、流動性および融点の調整をするのに有効な成分であり、特に高速度のサブマージアーク溶接において、極めて重要な成分である。MnのMnO換算値およびMn酸化物のMnO換算値の1種または2種以上の合計が2.5%未満では、ビード外観が不良でスラグ巻込みも生じる。一方、MnのMnO換算値およびMn酸化物のMnO換算値の1種または2種以上の合計が5.5%を超えると、溶接金属中の酸素量が増加して靱性が低下する。したがって、MnのMnO換算値およびMn酸化物のMnO換算値の1種または2種以上の合計は0.5〜5.5%とする。
23:0.3〜1%
23は、硼砂、酸化ボロン等から添加され、溶接金属の靱性向上に有効な成分である。B23が0.3%未満では、溶接金属の靭性が低下する。一方、B23が1%を超えると、溶接金属が硬化し靭性が低下する。したがって、B23は0.3〜1%とする。
Na2OおよびK2Oの1種または2種の合計:0.8〜4.5%
水ガラス(珪酸ソーダ、珪酸カリウム)を主原料とするNa2OおよびK2Oは、高速度の溶接においてアークを安定にする。Na2OおよびK2Oの1種または2種の合計が0.8%未満であると、アークが不安定になる。一方、Na2OおよびK2Oの1種または2種の合計が4.5%を超えると、ビードの光沢が失われてビード外観が劣化し、さらに溶接ヒュームの発生量が著しく増加する。したがって、Na2OおよびK2Oの1種または2種の合計は0.2〜4.5%とする。
C:0.1%以下
Cは、Fe−Si、Fe−Si−Mn、Fe−Mn等の合金粉に不純物として含まれ、不可避的に添加される。Cが0.1%を超えると、高速度のサブマージアーク溶接においては溶接中にCOおよびCO2ガス量が過剰となりポックマークが発生する。したがって、Cは0.1%以下とする。
その他は、SiおよびMn合金粉のFe分、酸化鉄(FeO等)、PおよびS等の不純物であり、PおよびSは共に低融点の化合物を生成して靭性を低下させるので、できるだけ低いことが好ましい。
次にフラックスの粒度構成について説明する。フラックスの粒径の含有量についても焼成型フラックスの全質量に対する質量%で表すこととし、その質量%を表すときは単に%として記載して表すこととする。
粒径850μm超:15〜50%
フラックスの粒度構成で粒径850μm超の粒子は、高速度のサブマージアーク溶接において極めて重要な粒子である。粒径850μm超が15%未満では、ガス抜けが悪くなりポックマーク、ピットおよびブローホールなどの溶接欠陥が発生する。一方、粒径850μm超が50%を超えると、シールドが不足して溶接金属のN量が多くなり溶接金属の靭性が低下する。したがって、粒径850μm超は15〜50%とする。
粒径212μm超〜850μm以下:45〜80%
フラックスの粒度構成で粒径212μm超〜850μm以下の粒子は安定したビード形状を形成するために重要な粒子である。粒径212μm超〜850μm以下が45%未満では、ビード形状が凸形状でガス抜けが悪くなりポックマーク、ピットおよびブローホールなどの溶接欠陥も発生する。一方、粒径212μm超〜850μm以下が80%を超えると、ビード表面にポックマークが生じやすくなる。また、ビード幅が広がりすぎて溶込みが浅くなり融合不良が発生しやすくなる。したがって、粒径212μm超〜850μm以下の粒子は45〜80%とする。
粒径212μm以下:15%以下
フラックスの粒度構成で粒径212μm以下の粒子は、ビード形状およびスラグ剥離性を不良にする粒子である。粒径212μm以下の粒子が15%を超えると、スラグが焼き付き易く剥離性が悪くなる。さらに、ガス抜け劣化となりポックマーク、ピットおよびブローホールなどの溶接欠陥も発生する。したがって、粒径212μm以下の粒子は15%以下とする。なお、本発明の高張力鋼のサブマージアーク溶接用焼成型フラックスは、800℃以上で焼成されたものであることが好ましい。
以下、実施例より本発明の効果を具体的に説明する。
表1および表2に示す各種成分の焼成型フラックスを試作し、表3に示す2電極のサブマージアーク溶接条件で表4に示す化学成分のソリッドワイヤを組み合わせ、表5示す化学組成の板厚19mm、長さ1000mmの鋼板を図1に示す断面形状のX開先に溝加工して溶接を行った。
なお、表1および表2に示す焼成型フラックスは水ガラスを固着剤として造粒した後、800〜950℃で2時間焼成し、各種粒度構成に整粒した。
溶接作業性の評価は、アーク安定性、スラグ剥離性、ビード形状・外観、アンダーカットの有無およびX線透過試験による溶接欠陥の有無を調査した。溶接金属の靭性および引張強度は、溶接金属の2mmVノッチシャルピー衝撃試験片(JIS Z2202 4号)および丸棒型引張試験片(JIS Z3111に準じたA2号)を試験板表面から7mm下の溶接金属を中心として採取して評価した。
衝撃試験は−30℃の試験温度で3回繰り返した衝撃試験の吸収エネルギーの平均値が100J以上を良好とした。また、引張試験は引張強さ530MPa以上を良好とした。それらの結果を表6にまとめて示す。
表1、表2および表6中のフラックス記号F1〜F12が本発明例、フラックス記号F13〜25は比較例である。
本発明例であるフラックス記号F1〜F12は、フラックスのSiO2換算値の合計、MgO、Al23、CaF2、TiO2換算値、CaO、MnO換算値の合計、B23、Na2OとK2Oの合計およびCが適正であるので、溶接作業性が良好で、溶接部に欠陥も無く、溶接金属の引張強さおよび吸収エネルギーも良好であり、極めて満足な結果であった。
なお、フラックス記号F1は、フラックスの粒径212μm以下が多いので、スラグ剥離性がやや不良であった。フラックス記号F7は、フラックスの粒径212μm超〜850μm以下が多いので、ポックマークが1個発生した。フラックス記号F9は、フラックス粒径850μm超が少ないので、ポックマークが1個発生した。フラックス記号F10は、フラックス粒径850μm超が多いので、溶接金属の吸収エネルギーがやや低値であった。フラックス記号F12は、フラックスの粒径212μm超〜850μm以下が少ないので、ビード形状がやや凸状となった。
比較例中フラックス記号F13は、SiO2換算値の合計が少ないのでビード形状が不良で、アンダーカットも生じた。また、B23が少ないので、溶接金属の吸収エネルギーが低値であった。フラックス記号F14は、SiO2換算値の合計が多いので、溶接金属の吸収エネルギーが低値であった。また、フラックス粒径850μm超が少ないので、ポックマークが発生し、ブローホールも生じた。
フラックス記号F15は、CaOが少ないので、ビード始端部のなじみが不良でアンダーカットも生じた。また、フラックスの粒径850μm超が多いので、溶接金属の吸収エネルギーが低値であった。フラックス記号F16は、CaOが多いので、ビード高さが不均一となりスラグ剥離性も不良であった。また、CaF2が少ないので、溶接金属の吸収エネルギーが低値であった。
フラックス記号F17は、MgOが少ないので、溶接金属の吸収エネルギーが低値であった。また、フラックスの粒径212μm超〜850μm以下少ないので、ビード形状が凸状でポックマークが生じ、ブローホールも発生した。フラックス記号F18は、MgOが多いので、ビードの幅が狭くオーバーラップが発生した。また、Na2OとK2Oの合計が少ないので、アークが不安定であった。
フラックス記号F19は、MnO換算値の合計が多いので、吸収エネルギーが低値であった。また、TiO2が少ないので、アークが不安定でビード形状も不良であった。さらに、溶接金属の吸収エネルギー向上の効果は得られなかった。フラックス記号F20は、TiO2換算値が多いので、スラグ剥離性が不良であった。また、Cが多いのでポックマークが生じた。
フラックス記号F21は、Al23が少ないので、スラグ剥離性およびビード外観が不良であった。また、B23が多いので、溶接金属の引張強さが高く吸収エネルギーが低値であった。フラックス記号F22は、Al23が多いので、ビード形状が凸状となりスラグ剥離性も不良であった。フラックス記号F23は、MnO換算値の合計が少ないので、ビード外観が不良でスラグ巻込みも生じた。
フラックス記号F24は、CaF2が多いので、アークが不安定でビード外観・形状が不良であった。また、フラックスの粒径212μm以下が多いので、スラグ剥離性が不良でポックマークが生じ、ブローホールも発生した。フラックス記号F25は、Na2OとK2Oの合計が多いので、ビード外観が不良であった。また、フラックスの粒径212μm〜850μmが多いので、ポックマークが生じ、開先底部に融合不良も生じた。


特許出願人 日鐵住金溶接工業株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊

Claims (2)

  1. 高張力鋼のサブマージアーク溶接用焼成型フラックスにおいて、フラックスの全質量%に対する質量%で、
    SiのSiO2換算値およびSi酸化物のSiO2換算値の1種または2種以上の合計:10〜25%、
    MgO:20〜30%、
    Al23:14〜24%、
    CaF2:12〜19%、
    Ti酸化物のTiO2換算値:8〜12%、
    CaO:3.5〜7.5%、
    MnのMnO換算値およびMn酸化物のMnO換算値の1種または2種以上の合計:2.5〜5.5%、
    23:0.3〜1%、
    Na2OおよびK2Oの1種または2種の合計:0.8〜4.5%を含有し、
    C:0.1%以下で、残部は不可避不純物であることを特徴とする高張力鋼のサブマージアーク溶接用焼成型フラックス。
  2. フラックスの粒度構成が、フラックスの全質量%に対する質量%で、
    粒径850μm超:15〜50%、
    粒径212μm超〜850μm以下:45〜80%、
    粒径212μm以下:15%以下であることを特徴とする請求項1に記載の高張力鋼のサブマージアーク溶接用焼成型フラックス。
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