JP2015155111A - 多電極片面サブマージアーク溶接用ボンドフラックス - Google Patents

多電極片面サブマージアーク溶接用ボンドフラックス Download PDF

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Abstract

【課題】表ビード表面に鉄粒突起が発生するのをより抑えることができ、溶接欠陥の無い健全な溶接金属を形成させ、安定したビード形状及びビード外観を得ることができ、さらに優れた機械性能の溶接金属が得られる多電極片面サブマージアーク溶接用ボンドフラックスを提供する。
【解決手段】質量%で、SiO2:5〜24%、MgO:12〜30%、CaO:3〜15%、Al23:5〜17%、CaF2:7〜19%、ZrO2:0.5〜5.0%、B23:0.1〜3.0%、CO2換算値の合計:2〜7%、Fe:10〜35%、Si:0.3〜4.0%、Mn:0.3〜1%、Mo:0.1〜3.0%、Ti:0.1〜3.0%を含有し、その他はアルカリ金属酸化物及び不可避不純物からなることを特徴とする多電極片面サブマージアーク溶接用ボンドフラックス。
【選択図】 なし

Description

本発明は、造船などの大板継ぎに用いる多電極片面サブマージアーク溶接用ボンドフラックスに関し、特に安定したビード形状を得るとともに優れた機械性能の溶接金属を形成させる上で好適な多電極片面サブマージアーク溶接用ボンドフラックスに関するものである。
サブマージアーク溶接は、予め粒状のフラックスを溶接線に沿って散布しておき、その中に電極ワイヤを連続的に供給し、この電極ワイヤの先端と母材との間でアークを発生させて溶接を連続的に行う方法である。このサブマージアーク溶接方法によれば、高能率で安定した溶接作業性及び溶接金属の機械性能が得られることから、造船、鉄骨、造管、橋梁、車両等の大型構造物を始めとした幅広い分野で適用されている。
近年、エネルギー産業の発展に伴い鋼材の高強度化及び高靭性化、また構造物の大型化に伴う板厚の極厚化などが検討され、高強度又は極厚の鋼材の適用比率が年々増加している。そこで、サブマージアーク溶接においては、溶接施工における生産性の向上や安全性、耐久性の確保のため、更なる品質向上が求められているが、その中でも特に溶接の高能率化と溶接金属の高靭性化の要望が極めて大きい。
特に造船業界においては大型のバルクキャリア、タンカー、コンテナ運搬船等の建造数が年々増加傾向にあり、これら建造における生産性の向上や安全性、耐久性の確保のため、更なる溶接の高能率化と溶接部の高靭性化の要望が極めて大きい。
この造船の建造工程の主軸である大板継は、図1に示すフラックス銅バッキング片面サブマージアーク溶接方法(以下、FCuB法という。)が多用されている。このFCuB法は、裏当銅板1に裏フラックス2を約4〜7mm程度散布し、エアーホース3に空気を注入して、これを被溶接鋼板4の裏側にあたる開先裏面4aに押し当てる。そして、2〜4本のワイヤ5を用いて表側より表フラックス6を散布して1層溶接し、表ビードと裏ビードを同時に形成するものである。この溶接方法は、開先裏面4aに裏フラックス2が密着するためバッキングの当りが良く、また裏フラックス2の下の裏当銅板1で裏ビードの余盛高さを抑制するので、大電流の溶接条件で施工しても美麗かつ溶接欠陥の無い健全な裏ビードが得られる。このため、FCuB法は薄板から厚板まで幅広く適用されている。
サブマージアーク溶接は、被覆アーク溶接やガスシールドアーク溶接に比べ、溶接入熱量が高く、母材希釈率が大きいため、溶接作業性や溶接金属の性能は、フラックスとワイヤの成分組成でほぼ決定される。サブマージアーク溶接の中でも特に上述した片面サブマージアーク溶接方法は、溶接入熱量が高く、母材希釈率が大きいことが特徴である。
この片面サブマージアーク溶接方法には、焼成型フラックスであるボンドフラックスが主に適用されている。ボンドフラックスは、各種原材料に水ガラス等を添加して造粒し、500℃程度で焼成したものであり、溶接金属の化学成分を自由に調整でき、また鉄粉を添加することができるため溶着効率を高められるという優れた特徴がある。
しかし、高速度の片面サブマージアーク溶接では、表ビード表面に鉄粒突起が発生し易く、またスラグがこびり付きやすい傾向がある。特にワイヤ電極数が3電極より4電極の方が顕著に発生する傾向があり、これは溶接速度に依存することが確認されている。即ち、ワイヤ電極数を増やすと溶接速度を上げることが可能となることから、4電極の方が速度は速くなるため、表ビード表面の鉄粒突起及びスラグこびり付きが発生し易くなる。
これらの点を考慮し、良好な溶接作業性及び溶接金属機械性能が得られるサブマージアーク溶接用フラックス及び片面溶接方法が従来から提案されている。
例えば特許文献1には、4電極による高速片面サブマージアーク溶接方法に関する基礎的な技術の開示がある。これは高速度の片面サブマージアーク溶接において健全な欠陥の無い溶接金属を得るためにワイヤ径、溶接電流、溶接速度、電極間の距離、フラックス及びワイヤ成分を限定し改善を図ったものである。しかし、この特許文献1記載の技術は、健全な欠陥の無い溶接金属を得ることは可能であるが、表ビード表面の鉄粒突起及びスラグこびり付きは改善できず、またフラックス中に脱酸剤、合金剤の添加が限定されていない。このため、厚板の大入熱溶接になると溶接金属の引張強度が低下し、さらに靭性が低下するため、安定した溶接作業性と良好な溶接金属機械性能は得られないという問題がある。
特許文献2には、3電極以上の電極を使用した高速片面サブマージアーク溶接用フラックス及び溶接方法に関する技術の開示がある。これはフラックスの成分を限定し、さらにフラックスの粒度構成及び嵩密度を限定して、健全な表ビード及び裏ビードの改善を図ったものである。しかし粒度構成において粒径840μmを超える粒子が20重量%未満であるため、フラックス全体の粒径が細かくなる。それにより溶接時のアーク状態が緻密に散布された細かいフラックスによってアークが広がり難くなりビード形状が凸になること、ガス抜けが悪くなりピット及びポックマークなどの溶接欠陥を発生するため、健全で安定した表ビード及び裏ビードを得ることはできないという問題がある。
また、特許文献3には、3電極以上の電極を使用し、ワイヤ径、溶接電流、電極間の距離、電極のトーチ角度を限定し、健全な裏ビードを得るための技術の開示がある。特許文献3記載の技術は、高速で片面サブマージアーク溶接しても健全な裏ビードを得ることは可能であるが、表ビード表面の鉄粒突起及びスラグこびり付きは改善できず、健全な表ビードを得ることはできない。
特許文献4には、単電極による片面サブマージアーク溶接方法に関する技術の開示がある。本方法によれば溶接速度や溶接入熱を最適化することで表ビード及び裏ビードともに健全で安定したビード形状及び外観を得ることができるが、単電極溶接であるため溶接速度が遅く、溶接効率が低下し、著しく生産効率が低下するという問題がある。
特許文献5には、多電極高速片面サブマージアーク溶接用ボンドフラックスに関する技術の開示がある。この開示技術では高速度の片面サブマージアーク溶接における表ビード表面の鉄粒突起及びアンダーカットの改善を図ったものである。特許文献5記載の技術によれば、フラックス組成の成分を限定し、特に鉄粒突起発生の原因として考えられる鉄粉(Fe)を5%以下とした結果、鉄粒突起の発生は減少させることができる。しかし、高速度の片面溶接においてフラックス中のFeは安定した裏ビード形状及び溶込みを得るための必須成分であり、また溶着効率の向上も期待できる成分である。このため、特許文献5記載の技術にように、添加量が5%以下では安定した裏ビード形状を得ることができず、また溶着効率も低下するため、著しく溶接作業性及び生産効率を劣化させるという問題がある。
特許文献6にも、多電極高速片面サブマージアーク溶接用ボンドフラックスに関する表ビード表面の鉄粒突起及び溶接欠陥の改善を図った技術の開示がある。特許文献6記載の技術では特許文献5記載の技術と類似してフラックス組成の成分を限定し、特に鉄粒突起発生の原因として考えられる鉄粉(Fe)を5%以下、さらに溶接対象としての継手板厚を16mm以下としている。しかし、この特許文献6に開示技術では、前述したように適用継手板厚が16mm以下でもフラックス中のFe添加量が5%以下では安定した裏ビード形状を得ることができず、また溶着効率も低下するため、著しく溶接作業性及び生産効率を劣化させるという問題がある。
また、本出願人は特許文献7において、表ビード表面の鉄粒突起及び溶接欠陥の改善と優れた機械性能の溶接金属が得られる多電極高速片面サブマージアーク溶接用ボンドフラックスに関する技術を提案した。特許文献7記載の技術は、フラックス組成の成分を限定し、さらにフラックスの粒度を調整したことで表ビード表面の鉄粒突起改善を図ったが、フラックス組成の成分限定とフラックス粒度の調整だけでは完全に鉄粒突起の発生を無くすことはできず、さらに厚鋼板の溶接の場合にはビード形状が凸状になるという問題もあった。
特開平5−337651号公報 特開平6−277878号公報 特開平8−99178号公報 特開2004−154841号公報 特開2006−272348号公報 特開2007−136516号公報 特開2012−218053号公報
そこで本発明は、上述の問題点に鑑みて案出されたものであり、特に厚鋼板の3電極以上の多電極高速片面サブマージアーク溶接においても表ビード表面に鉄粒突起が発生するのを抑えることができ、溶接欠陥の無い健全な溶接金属を形成させ、表ビード及び裏ビードともに安定したビード形状及びビード外観を得ることができ、さらに優れた機械性能の溶接金属が得られる多電極片面サブマージアーク溶接用ボンドフラックスを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために、ボンドフラックスの化学組成及びFe成分に使用する鉄粉原材料の粒度などについて検討を行った。その結果、ボンドフラックスの化学組成を限定し、さらにFe成分に使用する鉄粉原材料の粒度を限定することにより、厚鋼板の3電極以上の多電極高速片面サブマージアーク溶接においても表ビード表面に鉄粒突起が発生するのを抑えることができ、溶接欠陥の無い健全な溶接金属を形成させ、表ビード及び裏ビードともに安定したビード形状及びビード外観を得ることができ、さらに優れた機械性能の溶接金属が得られることを見出した。
すなわち、本願第1発明に係る多電極サブマージアーク溶接用ボンドフラックスは、質量%で、SiO2:5〜24%、MgO:12〜30%、CaO:3〜15%、Al23:5〜17%、CaF2:7〜19%、ZrO2:0.5〜5%、B23:0.1〜3%、CaCO3及びMgCO3の1種又は2種のCO2換算値の合計:2〜7%、Fe:10〜35%、Si:0.3〜4%、Mn:0.3〜1%、Mo:0.1〜3%、Ti:0.1〜3%を含有し、その他はアルカリ金属酸化物及び不可避不純物からなることを特徴とする。
また本願第2発明に係る多電極サブマージアーク溶接用ボンドフラックスは、本願第1発明において、更にAl:0.05〜0.5%を更に含有することを特徴とする。
また本願第3発明に係る多電極サブマージアーク溶接用ボンドフラックスは、本願第1又は本願第2発明において、TiO2:1.5%以下であることを特徴とする。
更に本願第4発明に係る多電極サブマージアーク溶接用ボンドフラックスは、本願第1〜本願第3発明において、Fe成分に使用する鉄粉原材料の平均粒子径が150μm以下であることも特徴とする。
本発明を適用した多電極片面サブマージアーク溶接用ボンドフラックスによれば、特に厚鋼板の3電極以上の多電極高速片面サブマージアーク溶接においても表ビード表面に鉄粒突起が発生するのをより抑えることができ、溶接欠陥の無い健全な溶接金属を形成させ、表ビード及び裏ビードともに安定したビード形状及びビード外観を得ることができ、さらに優れた機械性能の溶接金属を高能率に得ることができる。
本発明の実施例で用いたフラックス銅バッキング片面サブマージアーク溶接方法を示す断面図である。 本発明の実施例で用いた鋼板の開先形状を示す図である。
本発明者らは、厚さ8mm以上の厚鋼板の多電極片面サブマージアーク溶接において、良好な溶接金属の機械性能を維持し、表ビード表面に鉄粒突起が発生するのをより抑えることができ、溶接欠陥の無い優れた表ビード及び裏ビード形状を得るため、ボンドフラックスの化学組成及びFe成分に使用する鉄粉原材料の粒度などについて詳細に検討を行った。
造船建造の大板継に適用する多電極高速片面サブマージアーク溶接は、板厚が8mmから40mmまでと幅広く、鋼板の板厚が厚くなるほど大入熱の溶接となる。そのため、大入熱溶接においても優れた溶接金属の機械性能を得るために、ボンドフラックス中に脱酸剤、合金剤等を添加し、溶接金属の酸素量を低く抑え、焼入れ性を高める必要がある。しかし過剰に脱酸剤及び合金剤を添加すると、溶接金属の焼入れ性が過剰となり、強度が高くなって靭性が低下する。そこで、様々な板厚における溶接入熱量の変化に対応したボンドフラックスを開発するため、種々の脱酸剤及び合金剤を検討した結果、Si、Mn及びMoを適正量添加することによって、良好な溶接金属の引張強度及び靭性が得られることを見出した。
また、Alを適量添加することによって、鋼板の板厚が厚く大入熱の溶接の場合においても良好な溶接金属の靭性が得られることも知見した。
次に溶接作業性の改善では、現在、造船の大板継に適用する片面サブマージアーク溶接の最重要課題とされている表ビード表面の鉄粒突起改善である。表ビードに鉄粒突起が発生すると、造船の塗装工程において鉄粒突起部分に塗料が大量に付着することや、鉄粒突起の形状によっては剥がれ易いものもあるため、剥離した部分は塗装が無くなり、錆びが進行し易く耐食性を著しく低下させる。よって現在の造船所では表ビード表面の鉄粒突起をグラインダーやショットブラスト等で除去しているため、生産性の低下によるコストアップが問題とされている。
上記課題を改善するため、ボンドフラックスの化学組成について検討を行った。鉄粒突起が発生する原因は、ボンドフラックス中に添加する鉄粉(Fe)が原因であり、溶接時の溶接金属及びスラグ凝固過程においてボンドフラックス中に添加された鉄粉が半溶融状態の溶接金属表面に溶け落ちて、完全に溶け込まない状態の時に表面に残るものである。
そこで、まずボンドフラックス中の鉄粉を除去した結果、表ビード表面の鉄粒突起は無くなったが、裏ビード形状が不安定で溶込み不良、アンダーカット等の溶接欠陥が発生し、さらに鉄粉を除去したことにより溶着効率が低下するため、溶接速度低下に伴って、生産性が著しく低下した。以上のことから、高速度の片面溶接では安定した裏ビード形状、溶込みと高い溶着効率を得るためには、ボンドフラックス中の鉄粉は必須成分であり、除去できないことが判明した。
このため鉄粉添加型のボンドフラックスを前提としてボンドフラックス化学組成の検討を行った結果、TiO2、SiO2、MgO、CaO、Al23、CaF2等のスラグ組成を最適化することによって鉄粒突起を減少することに成功した。しかし、これらのスラグ組成を最適化するだけでは完全に鉄粒突起を無くすことができず、さらにスラグ組成の検討を行った。
その結果、TiO2がスラグ組成に含有されると、スラグがビード表面にこびり付き易くなり、鉄粒突起の発生が助長することが分かった。そこでTiO2を含有させないため、TiO2を含まない原材料を極力適用することで大幅に鉄粒突起を減少することに成功した。
しかし、TiO2はアーク安定性及びビード平滑性を維持するための成分として、溶接材料では必須の成分であり、TiO2を削除することで鉄粒突起は減少したが、アーク安定性が劣化し、ビード形状が乱れる傾向が認められた。また、TiO2は溶接金属組織形態においてTi酸化物等を生成して、強度および靭性の向上に有効な微細な結晶粒のアシキュラーフェライトを生成する重要な核生成サイトとなる。よって、TiO2の削除によりアシキュラーフェライトを生成するための核生成サイトが無くなり、溶接金属靭性が低下する傾向が認められた。
これらの問題を解決するため、さらにスラグ組成の検討を行ったのが、ZrO2と金属Tiの添加である。ZrO2はTiO2と同様、アーク安定性及びビード平滑性を向上させる効果が認められ、またスラグのこびり付きは全く認められず、さらにビード趾端部のなじみが良くなり、スラグ剥離性も良好となることが認められた。
アシキュラーフェライトを生成するための核生成は、金属Tiを少量添加することで可能となり、溶接金属靭性は改善されることが認められた。
以上のフラックス化学組成を最適化することで、表ビード表面の鉄粒突起が大幅に減少し、また、優れた溶接金属機械性能を得ることが可能となったが、高速度及び連続長時間の溶接では、表ビード表面の鉄粒突起を完全に無くすことはできなかった。
そこで、本発明者らは、この鉄粒突起の更なる改善としてボンドフラックスのFe成分に使用する鉄粉原材料の粒度に着目し、鉄粉原材料の粒度を調整することで、完全に鉄粒突起を無くすことに成功し、良好な表ビード形状及び外観が得られることを見出した。
さらに、鋼板の板厚が厚くなると表ビードの形状が凸状となることが判明し、更なる検討を行った。その結果、MgO、Al23及びSiO2の量を調整することによって、厚鋼板の溶接においても表ビード形状が良好になることを見出した。
すなわち、本発明を適用した多電極サブマージアーク溶接用ボンドフラックスは、質量%で、SiO2:5〜24%、MgO:12〜30%、CaO:3〜15%、Al23:5〜17%、CaF2:7〜19%、ZrO2:0.5〜5%、B23:0.1〜3%、CaCO3及びMgCO3の1種又は2種のCO2換算値の合計:2〜7%、Fe:10〜35%、Si:0.3〜4%、Mn:0.3〜1%、Mo:0.1〜3%、Ti:0.1〜3%を含有し、その他はアルカリ金属酸化物及び不可避不純物からなる。このとき、質量%で、Al:0.05〜0.5%を更に含有するものであってもよい。また質量%で、TiO2:1.5%以下とされていてもよいし、Fe成分に使用する鉄粉原材料の平均粒子径が150μm以下とされていてもよい。
以下に本発明を適用した多電極片面サブマージアーク溶接用ボンドフラックスのフラックス成分組成、Fe成分に使用する鉄粉原材料の粒度構成の限定理由について説明する。なお、各成分の含有量は、多電極片面サブマージアーク溶接用ボンドフラックス全質量に対する質量%で表わすこととし、その質量%を表わすときは単に%と記載して表すこととする。
(SiO2:5〜24%)
珪砂、ジルコンサンド、珪灰石、水ガラス(珪酸ソーダ、珪酸カリウム)などを原料とするSiO2は、良好な溶接ビードを形成するための重要な成分であるが、過多になると溶接金属中の酸素量が増加して靭性が劣化する。SiO2が5%未満では、ビード趾端部のなじみが悪くなり、スラグ剥離性が劣化し、また特に高速度の片面溶接においてはアンダーカットも生じる。一方、SiO2が24%を超えると、溶接金属の酸素量が増加して靭性が低下する。したがって、SiO2は5〜24%とする。
(MgO:12〜30%)
マグネシアクリンカー、炭酸マグネシウムなどを原料とするMgOは、スラグの耐火性及び塩基度を向上させて溶接金属の酸素量を低減する効果がある。MgOが12%未満では、フラックスの塩基度が低くなり、溶接金属中の酸素量が増加して靭性が低下する。一方、MgOが30%を超えると、フラックスの軟化溶融点が高くなり、ビード表面の波目が粗くなり、スラグ剥離性及びビード外観が不良となる。したがって、MgOは12〜30%とする。
(CaO:3〜15%)
珪灰石、炭酸カルシウムなどを原料とするCaOは、スラグの融点及び流動性を調整するために重要な成分である。CaOが3%未満では、ビード趾端部のなじみが悪くビード外観が不良となり、高速度の片面溶接ではアンダーカットも生じる。一方、CaOが15%を超えると、スラグ流動性が不良となり、ビード高さが不均一でスラグ剥離性も不良になる。したがって、CaOは3〜15%とする。
(Al23:5〜17%)
アルミナを主原料とするAl23は、高速度の片面溶接で良好なスラグ剥離性及びビード外観を得るためには極めて重要な成分である。また、アーク安定性を良好にする効果もある。Al23が5%未満ではその効果が得られない。一方、Al23が17%を超えると、凸ビードとなりスラグ剥離性も不良になる。したがって、Al23は5〜17%とする。
(CaF2:7〜19%)
蛍石を原料とするCaF2は、靭性改善に効果があるが、融点が低いため過多になるとビードの平滑性が損なわれる。CaF2が7%未満では、靭性改善の効果がなく、19%を超えるとビード外観が不良となる。したがって、CaF2は7〜19%とする。
(ZrO2:0.5〜5%)
ジルコンサンド、酸化ジルコンなどを原料とするZrO2は、高速度の片面溶接でアーク安定性及び良好なビード形状・外観、スラグ剥離性を得るためには極めて重要な成分である。ZrO2が0.5%未満では、その効果が得られない。一方、ZrO2が5%を超えると、溶接金属の酸素量が増加して靭性が劣化する。したがって、ZrO2は0.5〜5%とする。
(B23:0.1〜3%)
酸化硼素、硼砂などを原料とするB23は、靭性向上に効果がある。B23が0.1%未満では靭性向上の効果が得られず、3%を超えると溶接金属が硬化し、かえって靭性が低下する。したがって、B23は0.1〜3%とする。
(CaCO3及びMgCO3の1種又は2種のCO2換算値の合計:2〜7%)
CaCO3(炭酸カルシウム)やMgCO3(炭酸マグネシウム)からのCO2は、アークを安定にするとともに溶接金属の靭性向上に重要な元素であり、溶接中にCaCO3やMgCO3が分解してCO又はCO2ガスがアークを安定にするとともにアーク雰囲気中の窒素分圧を下げ、溶接金属の窒素量を低減する効果がある。CaCO3及びMgCO3の1種又は2種のCO2換算値の合計が2%未満では、アークが不安定で特に表ビードの形状及び外観が不良となり、また溶接金属の窒素が高くなり靭性が低下する。一方、CaCO3及びMgCO3の1種又は2種のCO2換算値の合計が7%を超えると、CO又はCO2ガスが過剰となってビード表面にポックマークが生じる。したがって、CaCO3及びMgCO3の1種又は2種のCO2換算値の合計は2〜7%とする。
(Fe:10〜35%)
鉄粉およびFe−Si、Fe−MnやFe−Moなどの鉄合金を原料とするFeは、溶着効率の向上及びアークの集中性に効果がある。Feが10%未満では、溶着効率が低下し、アークの集中性が劣るため裏ビードのビード形状が不安定になる。一方、Feが35%を超えると、ビード表面に鉄粒突起が発生してスラグがこびり付き、スラグ剥離性も不良になる。したがって、Feは10〜35%とする。
(Fe成分に使用する鉄粉原材料の平均粒子径:150μm以下)
Fe成分に使用する鉄粉原材料の粒度は、高速度及び連続長時間の溶接において、ビード表面の鉄粒突起を完全に無くすための重要な因子である。ビード表面に鉄粒突起を発生させないためには、溶接時の早い段階で鉄粉が溶融金属に溶け落ちるようにする必要があり、フラックス全体の粒度を最適な構成に限定することで、ある程度改善が図れるが、適用する鉄粉原材料の粒度がより細粒のものを適用することが好ましく、その平均粒子径が150μm以下であることが望ましい。但し、本発明では、鉄粉原材料の平均粒子径が150μm以下であることは必須とならず、これを超えるものであっても所期の効果を奏するものである。
(Si:0.3〜4%)
金属Si、Fe−Si、Fe−Si−Mnなどを原料とするSiは、脱酸元素であり、溶接金属の酸素量を低減する。Siが0.3%未満では、脱酸効果が得られず、靭性が低下する。一方、Siが4%を超えると、溶接金属に過剰に歩留って強度が高くなり靭性が低下する。したがって、Siは0.3〜4%とする。
(Mn:0.3〜1%)
金属Mn、Fe−Mn、Fe−Si−Mnなどを原料とするMnは、Siと同様に脱酸元素であり、溶接金属の酸素量を低減する。Mnが0.3%未満では、脱酸効果が得られず、靭性が低下する。一方、Mnが1%を超えると、溶接金属に過剰に歩留って強度が高くなり靭性が低下する。したがって、Mnは0.3〜1%とする。
(Mo:0.1〜3%)
金属Mo、Fe−Moを原料とするMoは、溶接金属の焼入れ性増大元素として重要な成分である。Moが0.1%未満では、溶接金属の強度が低くなり靭性向上にも効果がない。一方、Moが3%を超えると、溶接金属の焼入れ性が過大となり、強度が高くなり靭性が低下する。したがって、Moは0.1〜3%とする。
(Ti:0.1〜3%)
金属Ti、Fe−Tiなどを原料とするTiは、溶接金属の組織形態においてTi酸化物等を生成して、強度および靭性の向上に有効な微細な結晶粒のアシキュラーフェライトを生成する重要な核生成サイトとなる。Tiが0.1%未満では、靭性向上に有効なアシキュラーフェライトを生成することができず、靭性が低下する。一方、Tiが3%を超えると、溶接金属の強度が高くなり靭性が低下する。したがって、Tiは0.1〜3%とする。
(Al:0.05〜0.5%)
Alは、強脱酸剤であり溶接対象鋼板の板厚が厚く大入熱の溶接において、溶接金属の靭性を確保できる。Alが0.05%未満であると、大入熱の溶接時に靭性を確保する効果が得られない。一方、Alが0.5%を超えると、酸化物として過度に溶接金属に残留して溶接金属の靭性を低下する。したがって、Alは0.05〜0.5%とされることが望ましい。但し、本発明においては、Alの含有量が0.05〜0.5%とされていることは必須ではなく、これから逸脱するものであっても所期の効果を奏するものである。
(TiO2:1.5%以下)
TiO2は、アーク安定性及びビード平滑性を維持するための有効な成分であるが、スラグがビード表面にこびり付き易くなり、鉄粒突起の発生が助長される成分でもある。よって、各原料中の不純物としてのTiO2の含有量は極力低いことが好ましく、その含有量は1.5%以下であることが望ましい。但し、本発明では、このTiO2の含有量が1.5%以下であることは必須とならず、これを超えるものであっても所期の効果を奏するものである。
その他は、水ガラスからのK2O及びNa2Oなどのアルカリ金属酸化物:5%以下及びP、S等の不可避不純物であり、P及びSは共に低融点の化合物を生成して靭性を低下させるので、できるだけ低いことが好ましい。
なお、本発明の多電極片面サブマージアーク溶接用ボンドフラックスを用いた片面溶接は、安定したアーク、ワイヤ送給性、溶着効率向上を可能とした溶接をするために、組合せるワイヤ径は4.0〜6.4mmとし、3電極以上の多電極片面サブマージアーク溶接に適用する。
以下、実施例により本発明の効果をさらに詳細に説明する。
表1に示す各種フラックス成分及びFe成分に適用する鉄粉原材料の粒度を調整したボンドフラックスと表2に示す化学組成の裏フラックス、表3に示す化学組成のワイヤを用いて、表4に示す化学組成の板厚25mmの鋼板記号Aを図2に示すように開先角度50°、ルートフェイス5mmの開先形状に加工し、表5に示す条件No.1(3電極)又は条件No.2(4電極)による溶接条件にて、図1に示すFCuB片面サブマージアーク溶接試験を実施した。
このFCuB片面サブマージアーク溶接試験では、裏当銅板に表2に示す組成からなる裏フラックスを約4〜7mm程度散布し、エアーホース3に空気を吸入して、これを被溶接鋼板4の裏側にあたる開先裏面4aに押し当てる。そして、2〜4本のワイヤ5を用いて表側より表フラックス6を散布して1層溶接し、表ビードと裏ビードを同時に形成するものである。
なお、表1に示すボンドフラックスは水ガラスを固着剤として造粒した後、400〜550℃で2時間焼成し、1.4×0.15mmに整粒した。
また、表3に示すワイヤは原線を縮径、焼鈍、酸洗、銅めっきして素線とし、それらの素線を4.8mm及び6.4mm径まで伸線して用いた。
Figure 2015155111
Figure 2015155111
Figure 2015155111
Figure 2015155111
Figure 2015155111
各試作ボンドフラックスの評価は、条件No.1又は条件No.2による片面サブマージアーク溶接時のアーク安定性、溶接後のスラグ剥離性、アンダーカットの有無、表ビード表面の鉄粒突起及びスラグこびり付きの有無、ビード外観・形状を調査し、さらに溶接金属の引張強度、靭性及び溶接金属酸素量を調査した。
溶接金属の機械性能評価は、溶接試験体の鋼板板厚の中央を中心にシャルピー衝撃試験片(JIS Z2242 Vノッチ試験片)及び引張試験片(JIS Z 2241 10号)を採取して、機械試験を実施した。靭性の評価は、−20℃におけるシャルピー衝撃試験により行い、各々繰返し数3本の平均により評価した。なお、シャルピー衝撃試験の吸収エネルギーは80J以上を良好とした。引張強さの評価は490〜690MPaを良好とした。これらの調査結果を表6にまとめて示す。
Figure 2015155111
表1及び表6中のフラックス記号F1〜F10が本発明例、フラックス記号F11〜F24は比較例である。本発明例であるフラックス記号F1、F2、F4〜F6、F8及びF9は、フラックス成分及び鉄粉原材料の平均粒子径が適正であるので、3電極または4電極による片面サブマージアーク溶接ともにアーク安定性及びスラグ剥離性が良好で表ビード表面の鉄粒突起及びスラグこびり付きは無く表ビード及び裏ビード共にビード形状・外観が良好で、溶接金属の機械性能も優れており、極めて満足な結果であった。なお、フラックス記号F3及びF7は、鉄粉原材料の平均粒子径が大きいので鉄粉の突起が少し生じた。また、フラックス記号F10は、TiO2が多いので表ビード表面に鉄粒突起及びこびり付きが少し生じたが実用上は問題が無い範囲であった。
比較例中フラックス記号F11は、SiO2が少ないので、ビード止端部のなじみが悪くスラグ剥離性が不良でアンダーカットも発生した。また、Tiが多いので、溶接金属の引張強さが高くなり吸収エネルギーが低値であった。
フラックス記号F12は、SiO2が多いので、溶接金属の酸素量が多く吸収エネルギーが低値であった。また、TiO2が多いので、スラグがビード表面に少しこびり付き、鉄粒突起も少し発生した。
フラックス記号F13は、MgOが少ないので、溶接金属の酸素量が多く吸収エネルギーが低値であった。また、鉄粉原材料の平均粒子径が大きいので、表ビードに鉄粒突起が少し発生した。
フラックス記号F14は、MgOが多いので、ビード表面の波目が粗くなりスラグ剥離性及びビード外観が劣化した。また、Siが少ないので、溶接金属の酸素量が多く吸収エネルギーが低値であった。
フラックス記号F15は、CaOが少ないので、ビード止端部のなじみが悪くビード外観が不良でアンダーカットも生じた。また、Siが多いので、溶接金属の引張強さが高くなり吸収エネルギーが低値であった。 フラックス記号F16は、CaOが多いので、ビード外観及びスラグ剥離性が不良であった。また、Mnが少ないので、溶接金属の酸素量が多く吸収エネルギーが低値であった。
フラックス記号F17は、Al23が少ないので、アークが不安定となり、スラグ剥離性及びビード外観が不良であった。また、Mnが多いので、溶接金属の引張強さが高くなり吸収エネルギーが低値であった。
フラックス記号F18は、Al23が多いので、ビード形状及びスラグ剥離性が不良であった。また、Moが少ないので、溶接金属の引張強さ及び吸収エネルギーが低値であった。
フラックス記号F19は、CaF2が少ないので、溶接金属の吸収エネルギーが低値であった。また、Feが少ないので、溶着量が少なく表ビード形状が不良で、アークの集中性が劣るため裏ビードのビード形状も不安定であった。 フラックス記号F20は、CaF2が多いので、ビード形状が不良であった。また、Moが多いので、溶接金属の引張強さが高く吸収エネルギーが低値であった。
フラックス記号F21は、ZrO2が少ないので、アークが不安定でビード形状・外観及びスラグ剥離性が不良であった。また、Tiが少ないので、溶接金属の吸収エネルギーが低値であった。
フラックス記号F22は、ZrO2が多いので、溶接金属の酸素量が多く吸収エネルギーが低値であった。また、CaCO3及びMgCO3の1種又は2種のCO2換算値の合計が少ないので、アークが不安定でビード形状・外観が不良であった。
フラックス記号F23は、B23が少ないので、溶接金属の吸収エネルギーが低値であった。また、CaCO3及びMgCO3の1種又は2種のCO2換算値の合計が多いので、ビード表面にポックマークが生じ、表ビードの形状・外観が不良であった。
フラックス記号F24は、B23が多いので、溶接金属の引張強さが高く吸収エネルギーが低値であった。また、Feが多いので、ビード表面に鉄粒突起が発生し、スラグがこびり付き、スラグ剥離性も不良であった。
表7に示す各種フラックス成分及びFe成分に適用する鉄粉原材料の粒度を調整したボンドフラックスと表2に示す化学組成の裏フラックス、表3に示す化学組成のワイヤを用いて、表4に示す化学組成の板厚40mmの鋼板記号Bを図2に示すように開先角度50°、ルートフェイス5mmの開先形状に加工し、表5に示す条件No.3(4電極)による溶接条件にて、図1に示すFCuB片面サブマージアーク溶接試験を実施した。FCuB片面サブマージアーク溶接試験方法の詳細は実施例1と同様である。
Figure 2015155111
各試作ボンドフラックスの評価は、条件No.3による片面サブマージアーク溶接時のアーク安定性、溶接後のスラグ剥離性、アンダーカットの有無、表ビード表面の鉄粒突起及びスラグこびり付きの有無、ビード外観・形状を調査し、さらに溶接金属の引張強度、靭性及び溶接金属酸素量を調査した。
溶接金属の機械性能評価は、溶接試験体の鋼板板厚の中央を中心にシャルピー衝撃試験片(JIS Z2242 Vノッチ試験片)及び引張試験片(JIS Z 2241 10号)を採取して、機械試験を実施した。靭性の評価は、−20℃におけるシャルピー衝撃試験により行い、各々繰返し数3本の平均により評価した。なお、シャルピー衝撃試験の吸収エネルギーは80J以上を良好とした。引張強さの評価は490〜690MPaを良好とした。これらの調査結果を表8にまとめて示す。
Figure 2015155111
表7及び表8中のフラックス記号F25〜F28が本発明例、フラックス記号F29〜F32は比較例である。本発明例であるフラックス記号F25〜F28は、フラックス成分及び鉄粉原材料の平均粒径が適正であるので、大入熱の4電極による片面サブマージアーク溶接でアーク安定性及びスラグ剥離性が良好で表ビード表面の鉄粒突起及びスラグこびり付きは無く表ビード及び裏ビード共にビード形状・外観が良好で、溶接金属の機械性能も優れており、極めて満足な結果であった。
比較例中フラックス記号F29は、Alを含有していないので、溶接金属の吸収エネルギーが低値であった。
フラックス記号F30は、Alが多いので、溶接金属の吸収エネルギーが低値であった。
フラックス記号F31は、TiO2が多いので、スラグがビード表面に少しこびり付き、鉄粒突起も少し発生した。また、Alが少ないので、溶接金属の吸収エネルギーが低値であった。
フラックス記号F32は、鉄粉原材料の平均粒子径が大きいので、表ビードに鉄粒突起が少し発生した。また、Alが多いので、溶接金属の吸収エネルギーが低値であった。
1 裏当銅板
2 裏フラックス
3 エアーホース
4 被溶接鋼板
4a 開先裏面
5 ワイヤ
6 表フラックス

Claims (4)

  1. 質量%で、
    SiO2:5〜24%、
    MgO:12〜30%、
    CaO:3〜15%、
    Al23:5〜17%、
    CaF2:7〜19%、
    ZrO2:0.5〜5%、
    23:0.1〜3%、
    CaCO3及びMgCO3の1種又は2種のCO2換算値の合計:2〜7%、
    Fe:10〜35%、
    Si:0.3〜4%、
    Mn:0.3〜1%、
    Mo:0.1〜3%、
    Ti:0.1〜3%を含有し、その他はアルカリ金属酸化物及び不可避不純物からなることを特徴とする多電極片面サブマージアーク溶接用ボンドフラックス。
  2. 質量%で、
    Al:0.05〜0.5%を更に含有することを特徴とする請求項1記載の多電極片面サブマージアーク溶接用ボンドフラックス。
  3. 質量%で、
    TiO2:1.5%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の多電極片面サブマージアーク溶接用ボンドフラックス。
  4. Fe成分に使用する鉄粉原材料の平均粒子径が150μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のうち何れか1項記載の多電極片面サブマージアーク溶接用ボンドフラックス。
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