JPH11267882A - サブマージアーク溶接用ボンドフラックス - Google Patents

サブマージアーク溶接用ボンドフラックス

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JPH11267882A
JPH11267882A JP6975998A JP6975998A JPH11267882A JP H11267882 A JPH11267882 A JP H11267882A JP 6975998 A JP6975998 A JP 6975998A JP 6975998 A JP6975998 A JP 6975998A JP H11267882 A JPH11267882 A JP H11267882A
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JP
Japan
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welding
flux
slag
bead
nickel slag
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JP6975998A
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English (en)
Inventor
Naoaki Matsutani
直明 松谷
Nobuaki Tobishima
伸昭 飛嶋
Ryuichi Motomatsu
隆一 元松
Nobuyuki Ohama
展之 大濱
Masami Yamaguchi
将美 山口
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Nippon Steel Welding and Engineering Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Welding and Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 厚板の溶接において、溶け込みが深く、大入
熱溶接での溶接作業性に優れ、溶接欠陥のない健全な溶
接部を得ることができる高能率なサブマージアーク溶接
用ボンドフラツクスを提供する。 【解決手段】 全フラックスにニッケルスラグ:5.5
〜30重量%を含有し、また、このニッケルスラグを含
有する全フラックスの各成分がSiO2 :9〜33%、
MgO:5〜19%、Al2 3 :11〜28%、Ti
2 :5.5〜17%、Fe:5〜30%を含むことを
特徴とするサブマージアーク溶接用ボンドフラックス。 【効果】 厚板のサブマージアーク溶接において、溶け
込みが深く、大入熱溶接での溶接作業性に優れ、溶接欠
陥のない健全な溶接部を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軟鋼または高張力
鋼のボックス柱における角継手溶接に用いるサブマージ
アーク溶接用ボンドフラックスに関し、さらに詳しくは
狭い開先においても溶込みが大きく、大入熱溶接での溶
接作業性に優れ、溶接欠陥のない健全な溶接部を得るこ
とができる高能率なサブマージアーク溶接用ボンドフラ
ックスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、鋼構造物の大型化あるいは建築構
造物の高層化により、これらに適用される鋼材は益々板
厚が大きくなる傾向が大きい。例えば、建築分野で高層
ビルの柱部材であるボックス柱では、使用される鋼材の
板厚が最大100mmに及ぶこともあり、このような厚板
の溶接では高能率な溶接施工法が望まれている。
【0003】このようなボックス柱角継手の高能率な溶
接方法として、2電極で板厚60mm程度、3電極で板厚
80mm程度まで、サブマージアーク溶接により1パスで
仕上げる方法が採用されている。この溶接方法として例
えば、特開平1−241380号公報に、開先形状、溶
接条件、フラックス組成等を限定し、板厚が40mm以上
の溶接を可能とした角継手部のサブマージアーク溶接方
法が開示されている。また、特開平2ー258191号
公報には、主にフラックスの組成および粒度分布を限定
し、さらに、溶接電流や開先形状についても限定するこ
とで、良好な溶接作業性を得るとともに溶接欠陥を防止
する技術が開示されている。しかしながら、上記従来技
術によるボックス柱角継手の溶接においても、溶接欠陥
が皆無ではなく、溶接部の補修を行っているのが実状で
ある。
【0004】サブマージアーク溶接によるボックス柱の
角継手溶接における欠陥の一つは、スキンプレートの板
厚より深く溶接金属を達成させる完全溶け込み部におい
て、十分な溶け込みを得ることができない溶け込み不良
である。溶け込み深さの検査は超音波探傷により調べら
れるが、検査精度を考慮して3mm程度以下の溶け込みは
欠陥として判定し、補修の対象とする場合もある。さら
に、溶接欠陥として溶接ビード断面中央部に発生する高
温割れがある。高温割れは、溶け込みが過大となった場
合、溶接金属の凝固方向がビード中央に向かって水平に
近くなり、最終凝固部に発生する。
【0005】これら溶接欠陥が発生した場合の手直し溶
接の方法は、溶け込み不足箇所のスキンプレート板厚の
最深部まで、例えばアークエアーガウジングにより溶接
金属を除去した後、例えばCO2 ガスシールドア−ク溶
接で多層盛り溶接を行っている。このような補修作業
は、板厚が大きいため多大な工数増加となり、作業能率
の大幅な低下をきたしている。
【0006】このため、ボックス柱角継手溶接での溶け
込み深さを適正に安定化させることは極めて重要な課題
となっている。また、溶け込み深さを得るためには、一
般的には電流を上げることが有効である。しかしなが
ら、溶接施工の現場では溶接電源の容量の問題もあり、
電流を上げないで溶け込み深さを確保することが要求さ
れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような従来技術の
実状に鑑みて本発明は、60mm以上の厚板の溶接におい
て、溶接電流が2000A程度でも溶け込みが深く、か
つ安定し溶接作業性に優れ、溶接欠陥のない健全な溶接
部を得ることができる高能率なサブマージアーク溶接が
可能であるボンドフラックスを提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は以下の構成を要旨とする。すなわち本発明
は、全フラックス中にニッケルスラグ:5.5〜30重
量%を含有するサブマ−ジア−ク溶接用ボンドフラック
スであり、また、このニッケルスラグを含有するボンド
フラックスにおける全フラックスの各成分が重量%で、
SiO2 :9〜33%、MgO:5〜19%、Al2
3 :11〜28%、TiO2 :5.5〜17%、Fe:
5〜30%を含むボンドフラックスであり、さらに、か
さ比重が1.15〜1.40であることを特徴とするサ
ブマ−ジア−ク溶接用ボンドフラックスにある。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、ボックス柱角継手のサ
ブマ−ジア−ク溶接で比較的低電流でも安定した深い溶
け込みを得る溶接用ボンドフラックスであり、種々検討
した結果、板厚60mm以上の溶接において、溶け込み深
さの確保とその安定にはフラックス中のMgO源の制御
とかさ比重が大きく影響する。そこで本発明者らは、通
常フラツクスに使用する成分の内特にMgOを含む材料
で、かつかさ比重を大きくする材料としてニッケルスラ
グに着目し、検討を行った。
【0010】本発明に用いるニッケルスラグとは、Ni
精錬工程において排出されるスラグである。即ち、ニッ
ケル地金の生産は、ニッケル鉱石を電気炉等で溶解還元
し、Niを回収することにより行われ、ニッケルスラグ
はこのニッケルの精錬工程においてニッケル鉱石よりN
iを採取した後のスラグである。
【0011】ニッケルスラグの組成は表2に一例を示す
ように、SiO2 :50〜60%、MgO:30〜40
%を主成分とし、他にAl2 3 :5%以下、CaO:
5%以下、T.Fe:10%以下を含むものである。大
入熱サブマ−ジア−ク溶接用フラックスが主成分とす
る、SiO2 、MgO、Al2 3 、Feを含有してい
ることから、組成的に好ましく最適である。
【0012】このニッケルフラックスをボンドフラック
スの原料として検討した。その結果を図1に示す。図1
はニツケルスラグ添加量に対して溶け込み深さPを測定
した結果であり、ニッケルスラグ添加量が増加するほど
溶け込みが深くなることが判明した。しかし、ニッケル
スラグ添加量が5.5%以下では溶け込み深さが4mm未
満であった。一方、30%を超えるとビ−ド波形が悪く
なることが判った。
【0013】このニッケルスラグを、通常大入熱溶接に
用いるJIS Z3352のFS−BT1に適合する市
販の鉄粉含有ボンドフラツクスに、表2に示すニッケル
スラグを混合して溶接した。この場合、ニッケルスラグ
の粒子径は1.4〜0.10mmに整粒したものを使用
し、かさ比重は1.43であり、市販の鉄粉含有ボンド
フラツクスの1.09に比べて0.35かさ比重が大き
いものであった。
【0014】このフラックスを用い、図4に示すボック
ス柱角継手Y開先で、スキンプレ−ト1,2の板厚60
mm、開先角度θが30°、ル−ト面Rが2mmで、長さ1
500mmの形状を有する角継手試験体を作成し、溶接し
た。表4に示したワイヤを使用し、前記試験体をワイヤ
径6.4mm、溶接条件は先行極2100A、電圧39
V、後行極の電流1750A、電圧50V、速度20cm
/min 、極間90mmの2電極サブマ−ジア−ク溶接で1
パス溶接を行い、溶接開始側と終了側の各300mmを除
いた範囲で、中央部とその前後300mmの点での断面マ
クロ試験片3個を採取し、溶け込み深さPを測定した。
その結果を図2に示す。表2に示すニッケルスラグを市
販のボンドフラックスに混合すると、図2示す如く、ニ
ッケルスラグの混合割合に比例してかさ比重が大きくな
り、それに従って溶け込み深さが大きくなっていること
がわかる。
【0015】図3は、フラツクスのかさ比重による溶け
込みを測定した結果である。フラツクスのかさ比重が大
きくなるほど溶け込みが深くなる傾向にある。しかし、
フラツクスのかさ比重が1.15以下では溶け込み深さ
が4mm未満であった。一方、かさ比重が1.40超では
溶接作業性が劣化した。
【0016】本発明は、以上の知見に基づいてなされた
ものである。即ち、本発明は全フラックス中にニッケル
スラグを5.5〜30重量%を含有し、他は通常のフラ
ックス原料を配合すること、更に、全フラックスの化学
性成分が重量%で、SiO2 :9〜33%、MgO:5
〜19%、Al2 3 :11〜28%、TiO2 :5.
5〜17%、Fe:5〜30%を含むことを特徴とする
サブマ−ジア−ク溶接用ボンドフラツクスである。
【0017】以下、本発明のニッケルスラグおよび各成
分の限定理由について詳細に説明する。まず、本発明フ
ラックスにおけるニッケルスラグ:5.5%〜30%の
添加限定理由を説明する。ニッケルスラグは、本発明の
特定成分として限定したSiO2 およびMgOを含有す
るフォルステライト(2MgO・SiO2 )であり、ニ
ッケルスラグを添加することによって、SiO2 および
MgOの特性が発揮される。ニッケルスラグ中のSiO
2 約55%、MgO約35%は、ニッケルスラグ添加量
に応じてフラックス中のSiO2 とMgO含有量に換算
される。
【0018】ニッケルスラグ中のSiO2 はスラグ粘性
を増加させ、大入熱溶接において平滑なビ−ドを形成す
る効果があり、MgOはスラグの耐火性を増加させ、大
入熱溶接においてビ−ド形状を安定化する効果がある。
更に、ニッケルスラグ添加による固有の効果は、溶け込
み深さを安定化させ、且つ深い溶け込みが得られること
である。
【0019】サブマ−ジア−ク溶接においてはワイヤと
母材間にア−クが発生し、ワイヤ、母材およびフラック
スを溶融するが、その溶融部にはア−ク空洞が生成して
安定した溶接を行えるものである。そのア−ク空洞上に
あるフラックスのかさ比重が大きくなると、ア−クが絞
れて溶融するワイヤの先端がより下方に移行し、溶け込
みが深くなると推測される。
【0020】従って、ニッケルスラグのこれら効果が明
瞭となる添加量として5.5%以上必要である。しか
し、ニッケルスラグの添加が30%超になると、ビード
の溶け込み先端の形状が細くなり、溶け込みが大きくな
ることと重なって、溶接ビード断面中央部に高温割れが
発生しやすくなる。よってニッケルスラグの添加量は
5.5〜30%程度含有するものであるが、これは第1
にはSiO2 とMgOがサブマ−ジア−ク溶接法フラツ
クスとして極めて有用な成分であることによる。
【0021】MgOは溶融点が高く、サブマージアーク
溶接のように比較的高電流を用いる溶接においては、ス
ラグの耐火性を上げビード形状に均一性を附与するのに
効果を有する。この場合、MgOをマグネシアクリンカ
ーあるいは電融マグネシアの単一酸化物で添加すると、
その融点が2830℃と極めて高くスム一ズに溶け難い
ため、スラグの流動性が阻害され、馬の背状のビード形
状、跡端部のなじみ不良等の欠陥が生ずる。
【0022】ところが、本発明においてはMgO源とし
てニッケルスラグを添加するため、SiO2 との共晶組
成の生成により本来のMgOの溶融温度2830℃より
大幅に融点が低下し、1600℃でスムーズに溶けて上
記のような欠陥発生を防止することができる。
【0023】本発明におけるニッケルスラグにおいて
は、その組成により1600℃迄溶融点が低下し、又軟
化点は1100℃まで低下する。更に、ニッケルスラグ
の長所はそれが精選された鉱石を溶融して得られたスラ
グであり、有害な不純物の含有量が極めて少なく、か
つ、結晶水のような水分も含有しない点にある。従っ
て、通常の構造用鋼はもとより、高張力鋼、耐熱鋼ある
いは低温用鋼を目的としたフラックスにも適用すること
ができる。
【0024】SiO2 は溶融スラグ中において、スラグ
の粘性を上げ平滑でなじみのよいビ−ド形状を生成する
のに極めて有用な成分であり、特にサブマ−ジア−ク溶
接では溶け込み増加に有効である。この場合、SiO2
を珪砂、珪灰石など単体で添加すると、珪砂の場合は多
量に添加すると、ビ−ド形状が粗くなるという問題があ
る。また、珪灰石を多量に添加した場合はCaOが過多
となって、ビ−ド形状が悪くなり、スラグ剥離性が劣化
するという問題がある。一方、ニッケルスラグで添加し
た場合は、上記の欠点をなくす利点がある。
【0025】次に、フラックス組成成分の限定理由を示
す。以下は、ニッケルスラグ値からの成分と他の各々の
成分との全量が溶接中に溶けてスラグとしての作用効果
を説明する。
【0026】まず、SiO2 はスラグの粘性を増加さ
せ、平滑なビード形成に対して極めて有効な成分として
添加する。また、溶接金属の溶け込み増加に効果があ
る。このようなSiO2 の効果は、フラックス全質量に
対して9%以上の含有が必要である。一方、SiO2
33%を超えて含有すると、スラグの粘性が著しく高く
なるため、ビード表面の波目が粗くなり、ビード外観が
劣化する。
【0027】SiO2 源として添加する原料は、先ずニ
ッケルスラグ中のSiO2 を求め、残りのSiO2 源を
珪砂、珪灰石等のSiO2 を含有する鉱石や酸化物を用
いる。また、本発明はボンドフラックスであり、原料を
造粒する際に用いる水ガラスのSiO2 成分も含まれ
る。
【0028】次に、MgOは、フラックス全質量に対し
て5〜19%の含有が必要である。MgOは高融点(2
830℃)の成分であり、大入熱溶接においてビード形
状を安定化するスラグの耐火性を増す効果がある。その
効果を奏するためには5%以上含有することが必要であ
る。一方、MgOを多量に含有するとフラックスの消費
量が増化し、溶接金属の溶け込みは減少する傾向がある
ため、溶け込み不良が生じやすい。これら問題が発生し
ないよう、MgOの含有は19%以下とする必要があ
る。MgO源の添加する原料としては、ニッケルスラグ
中のMgOを基本とし、その他にマグネシアクリンカ
ー、オリビンサンド、マグネサイド、ドロマイドなどを
用いる。
【0029】次に、Al2 3 はフラックス全質量に対
して11〜28%の含有が必要である。Al2 3 の融
点は2050℃と高く、極めて高い耐火性を有する成分
で、大入熱溶接における良好なビード形成に有効であ
り、またフラックスの消費量が低減し、溶接金属の溶け
込みは増大し好ましい傾向にある。この効果を得るため
には11%以上含有することが必要である。一方、Al
2 3 を28%超含有した場合にはビード幅が小さくな
る傾向があるため、鋼板表面の開先融合不良が発生しや
すく、溶接ビード断面中央に高温割れも発生しやすくな
る。Al2 3 はアルミナ、シャモットなどの酸化物を
原料として用いる。
【0030】次に、TiO2 はスラグの流動性を良好に
し、ビード外観やビード形状が良好となり、特にビード
表面が平滑となる。この様なTiO2 の効果は、フラッ
クス全質量に対し5.5%以上の含有で得られる。一
方、17%を超えて含有すると、スラグの流動性が過剰
となってビード波形が粗くなるため、TiO2 含有量の
上限は17%とする。TiO2 はルチールまたはチタン
スラグなどの酸化物により添加する。
【0031】次に、Feは5〜30%含有することが必
要である。フラックス中に含有されたFeは、溶接金属
を成す一部として溶着量を増すこととなり、溶接能率が
向上する。また、Feの含有によってフラックスのかさ
比重が大きくなることにより、溶接金属の溶け込みを増
大させる効果があるため、より狭い開先においても必要
とする十分な溶け込みを得ることが可能となる。このよ
うなFeの効果を得るためには、フラックス全質量に対
し5%以上の含有が必要である。しかし、Feが30%
を超えると、スラグ生成剤の量が不足するため、ビード
形成能が劣化してビード表面の波形が粗くなり、ビード
表面の特に端部側に突起物が発生しやすくなって、外観
上好ましくない。従って、Feの適正な含有量は5〜3
0%と定めた。Feを添加する原料は鉄粉、鉄合金を用
いる。
【0032】以上、本発明フラックスにおける特定成分
について説明したが、本発明フラックスは以上の成分の
ほかに、通常フラックス成分も適宣添加できる。まず、
弗化物はアークの安定化、スラグ粘性の調整、溶接金属
の靭性向上に有効であり、好ましい含有量は7%以下で
ある。しかし、フラックス全質量中に7%を超えて含有
すると、スラグ粘性が著しく低下するため、ビード表面
が粗くなり、また、ビード中央が凹になることがある。
弗化物は蛍石、弗化アルミ、弗化マグネシュウム、弗化
ナトリウム、弗化バリウム、氷晶石等を原料として用い
る。
【0033】次に、CaOは溶接金属の靭性向上に有効
な塩基性成分として有効であるが、ビード表面にスラグ
が付着しやすくなることから10%未満とすることが好
ましい。CaOの原料は、炭酸石灰、珪灰石等を用い
る。その他にMnO、B2 3 、ZrO2 、Li2 O等
の酸化物は、スラグの流動性を良好にし、ビ−ドのなじ
み、ビ−ド表面を良好にする効果があり、2.5%以下
が好ましい。
【0034】Si、Mn、Al、Ti、Mg等の脱酸剤
は、ビ−ドの表面光沢の向上に有効に寄与する。更に、
Mo、Ni、Cr等の合金剤は溶接金属の衝撃値の向上
等を目的として添加するが、脱酸剤および合金剤の合計
が7%以下が好ましい。また、配合原料を造粒する際に
用いる水ガラスやアルミナゾル等の固着剤の成分を含有
する。固着剤から添加される成分が本発明フラックスの
限定成分に該当する場合、その量も本発明が限定する添
加量として考慮する。
【0035】
【実施例】以下、実施例により本発明の効果をさらに具
体的に説明する。表1に示す記号F1〜F12の12種
類の表2に示すニツケルスラグを添加した、ボンドフラ
ックスを作製した。各例のフラックス源はニッケルスラ
グの他は各成分の限定理由および原料の説明で開示した
原料を、各原料成分品位に基づいて実施例の成分に併せ
て配合し、原料粉を水ガラス(珪酸ソーダ)を固着剤と
して造粒した後、400℃で2時間焼成し、8×100
メッシュの粒度に整粒した。
【0036】このようにして製造したフラックスのうち
F1〜F7は本発明例であり、F8〜F12は比較例で
ある。これらフラックスの評価を、大入熱条件のサブマ
ージアーク溶接により、厚板の角継手溶接を行った。こ
の場合の供試鋼板を表3に、供試ワイヤを表4に示し、
さらに図4に示すY型開先を用い、表5に示す溶接条件
にて溶接した。
【0037】サブマージアーク溶接を終了後、溶接作業
性ではビード形状、ビード外観、スラグ剥離性を観察し
た後、超音波探傷検査を行いスラグ巻込み、溶け込み不
良およびビード断面中央部の高温割れを調べた。更に、
溶接開始側の溶接条件不安定部300mmとクレータ部の
残る溶接終了側の400mmを除いた長さ1300mmの溶
接ビードの中で、100mm毎に断面マクロ試験片3個採
取し、溶け込み深さPを測定し3個の平均値を得た。
【0038】その調査結果を表6に示す。その結果、本
発明の要件を満たすフラックスF1〜F7は溶接作業
性、超音波探傷検査、溶け込み深さが十分満足する結果
を得ることができた。これに対して、フラックスF8は
Al2 3 が過剰の為、開先融合不良が発生した。更
に、TiO2 が不足の為、ビード外観が劣った。
【0039】フラックスF9はSiO2 およびTiO2
が過剰の為、ビード波形が粗く、SiO2 が過剰の為、
スラグ巻込みが発生した。また、MgOが不足の為、ビ
ード形状が不安定となった。フラツクスF10はFeが
過剰の為、突起物生成し、また、MgOが過剰で、更
に、SiO2 、ニッケルスラグが不足の為、溶け込みが
不足した。フラックスF11はニッケルスラグが過剰の
為、超音波探傷検査でビード断面中央に高温割れが発生
した。また、FeおよびAl2 3 が不足の為、ビード
外観が劣化した。フラツクスF12はニッケルスラグが
不足の為、溶け込み不良となった。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明フラックス
によれば、厚板のサブマージアーク溶接において、溶け
込みが深くて均一であり、大入熱溶接での溶接作業に優
れ、溶接欠陥のない健全な溶接部を得ることができ、高
能率な溶接が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ニッケルスラグ添加量に対する溶け込み深さの
影響を示す図。
【図2】ニッケルスラグ添加量に対する溶け込み深さお
よびかさ比重を示す図。
【図3】フラックスのかさ比重に対する溶け込み深さの
影響を示す図。
【図4】開先形状を示す説明図。
【符号の説明】
1、2:スキンプレート 3 :裏当金 4 :溶接金属 d :開先深さ R :ルートフェイス高さ p :溶け込み深さ θ :開先角度 t :板厚
フロントページの続き (72)発明者 大濱 展之 東京都中央区築地三丁目5番4号 日鐵溶 接工業株式会社研究所内 (72)発明者 山口 将美 千葉県習志野市東習志野7丁目6番1号 日鐵溶接工業株式会社習志野工場内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全フラックス中にニッケルスラグ:5.
    5〜30重量%を含有することを特徴とするサブマージ
    アーク溶接用ボンドフラックス。
  2. 【請求項2】 全フラックス中にニッケルスラグ:5.
    5〜30重量%を含有し、かつ、全フラックスの各成分
    が重量%で、 SiO2 :9〜33%、 MgO :5〜19%、 Al2 3 :11〜28%、 TiO2 :5.5〜17%、 Fe:5〜30%を含むことを特徴とするサブマージア
    ーク溶接用ボンドフラックス。
  3. 【請求項3】 かさ比重が1.15〜1.40であるこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載のサブマ−ジア−
    ク溶接用ボンドフラックス。
JP6975998A 1998-03-19 1998-03-19 サブマージアーク溶接用ボンドフラックス Pending JPH11267882A (ja)

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