JPH0673757B2 - 厚鋼板の大入熱潜弧溶接方法 - Google Patents

厚鋼板の大入熱潜弧溶接方法

Info

Publication number
JPH0673757B2
JPH0673757B2 JP1335023A JP33502389A JPH0673757B2 JP H0673757 B2 JPH0673757 B2 JP H0673757B2 JP 1335023 A JP1335023 A JP 1335023A JP 33502389 A JP33502389 A JP 33502389A JP H0673757 B2 JPH0673757 B2 JP H0673757B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
welding
less
heat input
groove
mesh
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP1335023A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02258191A (ja
Inventor
修一 阪口
忠政 山口
至 山下
要 西尾
Original Assignee
川崎製鉄株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 川崎製鉄株式会社 filed Critical 川崎製鉄株式会社
Priority to JP1335023A priority Critical patent/JPH0673757B2/ja
Publication of JPH02258191A publication Critical patent/JPH02258191A/ja
Publication of JPH0673757B2 publication Critical patent/JPH0673757B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K35/00Rods, electrodes, materials, or media, for use in soldering, welding, or cutting
    • B23K35/22Rods, electrodes, materials, or media, for use in soldering, welding, or cutting characterised by the composition or nature of the material
    • B23K35/36Selection of non-metallic compositions, e.g. coatings, fluxes; Selection of soldering or welding materials, conjoint with selection of non-metallic compositions, both selections being of interest
    • B23K35/3601Selection of non-metallic compositions, e.g. coatings, fluxes; Selection of soldering or welding materials, conjoint with selection of non-metallic compositions, both selections being of interest with inorganic compounds as principal constituents
    • B23K35/3602Carbonates, basic oxides or hydroxides

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Arc Welding In General (AREA)
  • Nonmetallic Welding Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、板厚が45mm以上の厚鋼板の大入熱潜弧溶接
方法に関し、とくに良好な溶接作業性の下で欠陥のない
溶接継手を高能率下に得ようとするものである。
(従来の技術) 近年、高層ビルに代表される構造物の大型化に伴い、板
厚が30〜40mmを超える極厚鋼板を用いた部材の需要が増
加しているが、かような極厚鋼板の使用に際し、溶接施
工の高能率化が問題となっている。
従来、30〜40mmを超える厚鋼板の片面施工法としては、
作業性、ビード外観、内部欠陥などの面から片面1パス
潜弧溶接が適用できないことから、例えば「溶接技術'8
6.No.5」に紹介されているように、CO2溶接による下盛
り溶接を行った後、潜弧溶接を施して仕上げるのが一般
的である。しかしこの方法では、下盛りのCO2溶接に多
くの工数を必要とするため、能率が著しく低く、多数の
厚物部材を加工する場合の対応が難しい。
そこで例えば特開昭53-108839号公報では、鉄粉を添加
したフラックスを用いて溶着量を増し、多電極大入熱溶
接を行うことにより、35mm以上の極厚鋼板を1層1パス
溶接することも検討されている。しかしながらこの方法
でも、板厚が40mmを超えるような厚板への適用は溶接作
業性やビード外観に問題が残るため、1パスで溶接可能
な板厚にはおのずから限界があり、加えて溶接入熱が増
大して継手熱影響部の特性を十分に確保することができ
なくなるという問題がある。
また、1パス施工の適用が困難な板厚に対しては多層盛
溶接を行う必要があるが、大入熱潜弧溶接の多層盛で
は、入熱の増大とともにスラグの厚みが増してスラグの
はく離性が悪化するという問題がある。この点に関して
は、例えば特開昭63−192593号公報にて、鉄粉の添加と
スラグ組成の調整によってスラグはく離性を改善したフ
ラックスが提案されている。
しかしながら一般に、入熱の増加に従ってスラグの厚み
が増すのは避けられず、また開先の幅によって適正な入
熱範囲が決まってくるため、鉄粉添加による入熱量の抑
制やスラグ組成の改良だけでは極厚鋼板の多層盛溶接を
効率よく行うことは極めて難しい。
(発明が解決しようとする課題) 高能率の溶接施工法を考えた場合、まずできるだけ大き
い板厚まで1パス溶接を実施できることが要求されるわ
けであるが、開先角度が一定の場合には板厚の増加に伴
い開先断面積も著しく増加し、入熱量が大きくなって溶
接熱影響部の強度、靭性が劣化してしまう。とはいえ開
先角度を狭くすると、開先断面積は小さくなるけれど
も、溶込深さ(溶接金属の高さ)に対して幅が狭くなる
ため凝固割れが発生し易くなる。従ってこれらの欠陥の
発生しにくい開先角度を用い、溶着量の増加はフラック
スへの鉄粉添加で補うことになる。
しかしながら鉄粉添加によって溶着量の増加を図ったフ
ラックスでは、ビード外観が悪く、溶接後のグラインダ
仕上などの手直しが必要な場合が多く、また板厚:30mm
程度以下の継手に適用した場合にはビード幅の不足や溶
込み不良が発生し易いという問題があった。
従って上記の方法による1パス溶接施工は、せいぜい30
〜40mm程度の板厚までしか適用できなかった。
また大入熱多層盛り溶接の適用については、スラグのは
く離を容易にするためには開先角度を40゜以上とする必
要があるが、片面溶接施工の場合には板厚の増加に伴っ
て開先断面積が著しく大きくなる不利がある。しかも大
入熱多層溶接の初層では、溶込み深さ(溶接金属の高
さ)に比べて幅が狭くなるため凝固割れを発生し易く、
その結果スラグはく離性と耐凝固割れ性の良好な溶接条
件の範囲が極端に狭くなってしまう。それ故、従来の大
入熱溶接による多層盛施工は、開先角度を大きくしてス
ラグはく離性や内部欠陥の発生を防ぎ、能率は犠牲にせ
ざるを得なかった。
この発明は、上記の現状に鑑みて開発されたもので、厚
鋼板の片面潜弧溶接において、1パス溶接施工の板厚限
界を効果的に上昇させることができ、しかも大入熱多層
盛の際に問題となるスラグはく離性や耐凝固割れ性も併
せて改善した高能率の溶接施工法を提案することを目的
とする。
(課題を解決するための手段) すなわち、この発明は、板厚:45mm以上の厚鋼板を大入
熱潜弧溶接方法により1パス片面溶接にて仕上げる場合
に、SiO2:18〜28wt%、MgO:15〜35wt%、CaO:5〜15wt
%、CaF2:2〜10wt%、Al2O3:5〜15wt%、TiO2:2〜10wt
%を主成分として、Fe:30wt%以下とSiおよびMnのうち
から選んだ1種または2種:10wt%以下とを含有する組
成になり、粒径で36メッシュより細いものが20wt%以下
でかつ14メッシュ以下で36メッシュより粗いものが60wt
%以上の粒度分布からなるフラックスを用い、少なくと
も1極の溶接電流2000A以上の条件の下に用いる溶接方
法である。
すなわち従来の開先を用いても、この発明になるフラッ
クス組成範囲のうち、特にSiO2の含有量が18%以上のも
のを用いれば、板厚50mm程度までの1パス片面溶接にお
いて、美麗で手直しの不要なビード外観を有する溶接を
実施することが可能である。
そしてさらに1パス片面溶接が不可能な厚さの厚鋼板
や、あるいは開先角度が一定の場合には板厚の増加に伴
い開先断面積も著しく増加し、入熱量が大きくなって溶
接熱影響部の強度、靭性が劣化するおそれがある場合に
は、少なくとも初層を1パス溶接とする多層盛りにて、
完全溶込み片面潜弧溶接を行うものとし、この場合に、
開先形状を、開先角度が少なくとも2段階で拡がる複数
段開先にすると共に、 SiO2:5〜28wt%(以下単に%で示す)、 MgO:15〜35%、 CaO:5〜15%、 CaF2:2〜20%、 Al2O3:5〜15%および TiO2:2〜10% を主成分とし、 Fe:30%以下および SiおよびMnのうちから選んだ1種または2種:10%以下 を含有する組成になり、しかも粒径で36メッシュより細
いものが20%以下でかつ14メッシュ以下で36メッシュよ
り粗いものが60%以上の粒度分布になるフラックスを用
い、 さらに初層1パス溶接に際しては、少なくとも1電極の
溶接電流が2000A以上の条件下に溶接することからなる
厚鋼板の大入熱潜弧溶接方法である。
以下この発明を具体的に説明する。
まず開先角度についてであるが、厚鋼板の片面1パス溶
接では通常40゜程度の角度を用いることが多いので、板
厚が増すと開先断面積および幅が増大し実質的に溶接が
困難となる。すなわち溶接入熱が著しく大きくなり、溶
接機の容量や耐久性の点で問題が生じるだけでなく、溶
接継手熱影響部の特性が劣化する。
そこで開先の角度を小さくすることが考えられるけれど
も、狭い開先を用いた場合には溶接ビード幅が溶込み深
さに対して狭くなる結果、凝固割れが生じ易くなるとい
う問題を生じる。
かような凝固割れを防止するためには、溶接ビード幅を
広くして溶接金属の形状を整えることが効果的である。
ここに溶接条件の調整によりビード幅を拡げることもあ
る程度は可能ではあるが、この場合には溶接電圧を増加
させることが必要となるため、溶融スラグの吹上げが著
しくなって溶接作業を連続して行うことが困難となる。
従って従来は、1パス片面溶接は板厚30〜40mm程度まで
しか適用できなかったが、この発明になるフラックス組
成範囲の中でも特にSiO2を18%以上含むフラックスを用
いる場合には、溶接作業性やビード外観をそこなうこと
なく板厚50mm程度まで1パス片面溶接を実施することが
可能である。すなわち、開先の角度を比較的狭く設定す
ると共に、従来用いられてきた溶接電流よりも高い電流
(2000A以上)を用いて溶込みを確保し、かつ上記した
この発明に従うフラックスを用いることにより、ビード
外観および溶接作業性を良好に保ち得るのである。
そしてさらに溶接能率の向上の下、より厚い熱厚鋼板に
対する、開先角度が少なくとも2段階で拡がる複数段開
先の使用は、厚板の片面潜弧溶接において、開先断面積
の減少による溶接入熱量上昇の抑制、および溶接ビード
幅の適正化すなわち溶接金属の形状の調整による耐凝固
割れ性の改善の2点で顕著な効果を持つ。
すなわち第1図に示すように、通常の開先に対して同等
の開先幅をもち、底部で狭く、上部で広い開先角度をな
す2段階以上の角度をもつ開先とすることにより、開先
断面積を減少させかつ溶接金属の形状を耐凝固割れ性に
とって良好な形状に保つことができるのである。
このように複数段開先とすることによって、片面1パス
潜弧溶接の板厚限界を向上させることが可能となるが、
板厚の増加に伴う入熱増大は避けられないため、板厚や
必要な継手部特性によっては多層盛りによる施工が必要
となる場合もある。
かような大入熱多層盛潜弧溶接の最も大きな障害は、ス
ラブのはく離性と凝固割れの2つである。このように多
層盛溶接では、スラブのはく離が容易に行えることが必
須の条件であるので、狭開先溶接のように溶接入熱を制
限して開先角度を小さくし開先断面積を減少させる方法
も考えられるけれども、溶接入熱を小さくすることは能
率の低下を招く。したがって大入熱溶接を行なう場合に
は、スラブはく離性を良好に保つことがとくに重要な問
題となる。ここで単一角度の開先を用いた場合には、フ
ラックスの組成にかかわらず開先内にアンダーカットを
生じ易く、スラグがくい込んではく離しなくなる危険性
が高い。とはいえこのような開先内のアンダーカットが
生じなよいうに、ビード幅を狭くするとビード幅が溶込
深さに対して少さくなり凝固割れの発生を助長する結果
となる。かかる問題に対しては開先角度を大きくするこ
とが効果的であるが、開先角度の拡大は開先断面積の増
加を招くため、溶接能率を低下させ、大入熱溶接によっ
て多層盛を行う利点がなくなってしまう。
このような大入熱多層盛潜弧溶接の問題点に対しても、
2段以上の角度をなす開先の適用は、開先断面積の増大
を著しく減少しかつ開先角度を大きくする上で極めて有
効である。
すなわち第2図に示すように、底部側を狭い角度とする
ことにより開先断面積の低減および入熱の低減をはか
り、1層1パスによる初層ビード表面が第1段目の開先
より上方に達するようにすることで溶接金属の形状を整
えて凝固割れを発生しにくくすると同時に、開先内部の
幅を大きくすることにより開先内のアンダーカットを抑
制してスラグはく離性を確保するのである。
ここにかような多層盛の際には、1層1パス溶接を複数
回繰り返すことが能率の向上および溶接欠陥の発生防止
の上で有利である。すなわち、この発明における多段開
先の使用は、1層1パスによる多層盛溶接との組合せに
おいて、最も効果を発揮する。
なお初層1パス溶接ビードの後続に1層多パスビードを
開先内に施工する場合には、スラグが片側の開先と溶接
金属の間にかみ込み易く、これを防止するためには入熱
を抑える必要がある。このような施工は、最終層の化粧
盛りや大入熱でもビードの拡がりに対して十分広い開先
幅となった場合に採用すべきであり、少なくとも2層は
1層1パス溶接を繰り返すことが所期した効果を得る上
では好ましい。
なおこの発明に従う複数段階先は、前掲第1図に示した
ようなV型開先のみに適用されるものではなく、第3図
a,bに示すように、レ型開先やI型開先に対しても有利
に適合するものである。
次に、この発明法の実施に用いて好適なフラックスにつ
いて述べる。
一般の溶接用フラックスにおいても、具備すべき条件と
して、ビード外観に優れること、溶接欠陥を生じにくい
こと、作業性が良好なことなどが要求されるが、この発
明で用いるフラックスとしては、特に厚鋼板の片面1パ
ス溶接のような大入熱溶接における溶接作業性およびビ
ード外観に優れることが重要である。
このような条件を満足するフラックスとしては、以下に
述べる成分組成のものが好適である。
まずSiO2は、造滓剤として重要な成分であり、5%未満
では生成スラグの融点が上昇しすぎるだけでなく、スラ
グの粘性が低くなって良好なビード外観を保つことがで
きなくなる。特にビード幅の確保とビード表面の乱れが
問題となる1パス片面溶接においては、18%に満たない
と十分なスラグの粘性を確保できず、良好なビード外観
が得られない。しかしながら何れの場合も、28%を超え
て含まれると融点が低くなってビード外観が乱れ易くな
ると共に、溶接合金中の酸素量が増加して靭性が劣化す
るなどの不都合がある。
MgOは、融点の調整に有効なだけでなく、塩基度を上げ
て溶接金属中の酸素量を低減し靭性を確保する上で有用
な成分であるが、15%未満では十分な効果が期待でき
ず、一方35%を超えて含有されると、融点が上昇しすぎ
てビード外観が劣化するきらいがある。
CaOも融点を上昇させ、溶融金属の靭性を向上させる効
果をもつが、5%未満では十分な効果が期待できず、一
方15%を超えるとスラグのはく離性を害する。
CaF2は、融点を上昇させずに塩基度を上げ得るので、溶
接金属の酸素量の調整に有効に寄与するが、2%未満で
はその添加効果に乏しく、一方20%を超えて多量に含有
されると粘性が低下しすぎてビード外観が悪化する。特
に従来の開先を用いた1パス片面溶接においては10%以
下にする必要がある。
Al2O3は、粘性を低下させずに融点を上昇させ得るの
で、融点の調整に有効に寄与するが、5%未満では粘性
の調整効果に乏しく、一方15%を超えるとスラグの融点
が高くなりすぎてビード外観の劣化を招く。
TiO2は、スラグの融点を変えることなしに粘性を効果的
に調整できるだけでなく、スラグのはく離性の改善にと
っても有用な元素である。しかながら2%未満ではその
添加効果に乏しく、一方10%を超えて添加してもこのよ
うな効果は増進せず、かえってビード外観を害する。
Feは、溶接入熱量当りの溶着量を増加させて溶接能率を
向上させるために添加するが、30%を超えて添加すると
かえってビード外観が損われる。
SiおよびMnは、溶接金属の酸素量を低減して溶接金属の
靭性を確保するために必要な成分であるが、単独添加お
よび複合添加いずれにおいても10%を超えて大量に添加
すると酸素量が低くなりすぎてかえって靭性を劣化させ
るため、塩基度に応じ10%以下の範囲で添加することが
必要である。
以上フラックスの特定成分に関して述べたが、これら以
外であっても通常フラックスに用いられるものは、添加
してもさしつかえない。
かような成分としてはBaO,MnO,B2O3,アルカリ金属酸化
物(K2O,Na2Oなど)があり、BaOは5%以下の範囲で、
またMnOは10%以下、B2O3は0.5%以下の範囲で、さらに
アルカリ金属酸化物は合計5%以下の範囲でそれぞれ含
有させることができる。
ところでこの発明では、使用フラックスにつき、単に上
記した成分組成範囲を満足させるだけでは不充分で、粒
度分布を36メッシュより細いものが20%以下でかつ14メ
ッシュ以下で36メッシュより粗いものを60%以上とする
ことが肝要である。
というのは粒度分布は、大入熱溶接の際のガス抜けを良
好に保つために重要な要素であり、特に大入熱多層盛溶
接の初層の如くガスの流出方向が開先によって狭くなる
場合、粒径の揃った粒子が主体を占める構成とすること
が肝要である。
すなわち14メッシュ以下で36メッシュより粗い粒子が60
%に満たない場合、ガス抜けが不十分で吹き上げが著し
くなって溶接施工を続けて行えなくなったり、ビード表
面の波目が荒くなって外観を損ねたり、スラグはく離性
を害したりする。また36メッシュ以下のものが20%を超
えるとガス抜けが悪くなりスラグの焼付きを生じ易くな
る。
ここに示したフラックスは、大入熱溶接時の作業性にと
くに優れたものであるが、通常の開先に対して用いても
満足できるビード外観、作業性をもつことはいうまでも
ない。
特に、SiO2を18〜28%、CaF2を2〜10%含む組成のフラ
ックスは、1パス片面溶接時のビード外観の美麗さなら
びに溶接作業性に優れ、かかるフラックスの使用により
板厚50mm程度までの1パス片面溶接の実施が、従来開先
を用いても可能となるのである。さらに1パス溶接施工
に際しては、2000A以上の溶接電流を少なくとも1極に
用いるべきである。というのは板厚:45mm以上の1パス
溶接においては、板厚の増大にともない開先断面積が大
きくなるために溶接速度が遅くなりがちであるが、20cm
/mm程度以下になると溶融メタルの先行が生じやすくな
って溶込不良が発生し易くなるからである。
このため、大電流の適用によりアーク力を強化すると共
に、溶着速度を増加させ溶接速度を確保して溶込不良を
防止し能率を向上させるのである。
(実施例) 実施例1 供試材として表1に示す組成の鋼板、表2に示す組成お
よび粒度分布になるフラックスならびに2%Mn系ワイヤ
を用いて、第4図に示す断面形状の試験体を、表3に示
す溶接条件の下に、片面1パス溶接および多層盛溶接し
た。
溶接結果を表4に示す。
実施No.1,2はこの発明に従う適合例であり、良好な形状
の溶接ビードを欠陥なく得ることができた。
これに対し実施No.3,4はフラックスの組成が適正範囲を
外れているために溶接作業性が悪く、また実施No.5は溶
接条件が適正範囲を外れているために、ビード外観は良
好であったが、溶込み不良が発生した。
実施例2 供試材として表5に示す組成の鋼板、表6に示す組成及
び粒度分布になるフラックス、ならびに2%Mn系ワイヤ
を用いて、第5図(a),(b)に示す断面形状の試験
体を、表7に示す溶接条件の下に、片面1パス溶接を行
った。
溶接結果を表8に示す。
実施No.6はこの発明にしたがう適合例であり良好な形状
ビードを欠陥なく得ることができた。また実施No.8は従
来の開先形状を用いた適合例であり、ガス吹きの点でや
や溶接作業性に劣るものの良好な溶接ビードが得られ
た。
これに対し実施No.7はフラックスの組成が適正範囲を外
れているために溶接作業性あるいはビード外観が不良で
あった。
実施例3 供試材として表9に示す組成になる鋼板、表10に示す組
成および粒度分布になるフラックスならびに2%Mn系ワ
イヤを用い、表11に示す溶接条件下に多層盛溶接を行っ
た。なお開先形状は第6図a,bに示したとおりである。
このときの溶接結果を表12に示す。
実施No.9,10,13は、この発明に従う適合例であり、いず
れも2パスで溶接を完了しており、作業性も良好であっ
た。実施No.11は通常の開先を用いて大入熱多層盛を適
用したものであるが、スラグはく離性に劣り欠陥が発生
した。実施No.12,14はフラックス組成が適正範囲からは
ずれているため、作業性が不良であった。実施No.15
は、フラックスの粒度分布が適正範囲をはずれているた
め初層のビード形成が不整でスラグはく離性が悪く、欠
陥が発生した。実施No.16は通常の開先を用いて作業性
の劣化しない溶接条件を適用した従来例であるが能率面
で著しく劣った。
(発明の効果) 以上述べたように、この発明の溶接法によれば、1パス
溶接の適用範囲が広がり、多層溶接のパス数の削減が可
能となって、厚鋼板の片面溶接、特にボックス柱の角継
手溶接のような溶接線の長い部材の潜弧溶接を飛躍的に
高能率化することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明に従う複数段階先を示す模式図、 第2図は、2段階先を使用した2パス溶接における積層
状態を示した図、 第3図a,bは、この発明に従う他の複数段開先を示した
模式図、 第4図は、実施例1におけるこの発明の従来開先および
複数段開先の形状寸法を示した図、 第5図a,bは、実施例2におけるこの発明の複数段開先
および従来開先の形状寸法を示した図、 第6図a,bは、実施例3におけるこの発明の複数段開先
および従来開先の形状寸法を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西尾 要 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社千葉製鉄所内 (56)参考文献 特開 平1−157797(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】板厚:45mm以上の厚鋼板に、大入熱の下に
    1パス片面潜弧溶接を施すに当たり、 溶接用フラックスとして、 SiO2:18〜28wt%、 MgO:15〜35wt%、 CaO:5〜15wt%、 CaF2:2〜10wt%、 Al2O3:5〜15wt%および TiO2:2〜10wt% を主成分とし、 Fe:30wt%以下および SiおよびMnのうちから選んだ1種または2種:10wt%以
    下 を含有する組成になり、しかも粒径で36メッシュより細
    いものが20wt%以下でかつ、14メッシュ以下で36メッシ
    ュより粗いものが60wt%以上の粒度分布になるフラック
    スを用い、 かつ少なくとも1電極の溶接電流が2000A以上の条件下
    に溶接することからなる厚鋼板の大入熱潜弧溶接方法。
  2. 【請求項2】板厚:45mm以上の厚鋼板に、大入熱の下に
    少なくとも初層を1パス溶接とする多層盛りにて完全溶
    込み片面潜弧溶接を施すに当たり、 開先形状を、開先角度が少なくとも2段階で拡がる複数
    段開先とし、 かつ溶接用フラックスとして、 SiO2:5〜28wt%、 MgO:15〜35wt%、 CaO:5〜15wt%、 CaF2:2〜20wt%、 Al2O3:5〜15wt%および TiO2:2〜10wt% を主成分とし、 Fe:30wt%以下および SiおよびMnのうちから選んだ1種または2種:10wt%以
    下 を含有する組成になり、しかも粒径で36メッシュより細
    いものが20wt%以下でかつ、14メッシュ以下で36メッシ
    ュより粗いものが60wt%以上の粒度分布になるフラック
    スを用い、 さらに初層1パス溶接に際しては、少なくとも1電極の
    溶接電流が2000A以上の条件下に溶接することからなる
    厚鋼板の大入熱潜弧溶接方法。
JP1335023A 1988-12-28 1989-12-26 厚鋼板の大入熱潜弧溶接方法 Expired - Fee Related JPH0673757B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1335023A JPH0673757B2 (ja) 1988-12-28 1989-12-26 厚鋼板の大入熱潜弧溶接方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63-329458 1988-12-28
JP32945888 1988-12-28
JP1335023A JPH0673757B2 (ja) 1988-12-28 1989-12-26 厚鋼板の大入熱潜弧溶接方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02258191A JPH02258191A (ja) 1990-10-18
JPH0673757B2 true JPH0673757B2 (ja) 1994-09-21

Family

ID=26573215

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1335023A Expired - Fee Related JPH0673757B2 (ja) 1988-12-28 1989-12-26 厚鋼板の大入熱潜弧溶接方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0673757B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013073565A1 (ja) * 2011-11-15 2013-05-23 新日鐵住金株式会社 厚鋼板の高能率溶接方法

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3458452B2 (ja) * 1994-06-06 2003-10-20 Jfeスチール株式会社 溶接金属のじん性に優れる厚鋼板の大入熱潜弧溶接方法
JP3503191B2 (ja) * 1994-06-14 2004-03-02 Jfeスチール株式会社 厚鋼板の大入熱多層サブマージアーク溶接方法
JP3617597B2 (ja) * 1998-06-11 2005-02-09 株式会社神戸製鋼所 サブマージアーク溶接用ボンドフラックス
JP3824143B2 (ja) * 2001-04-11 2006-09-20 株式会社神戸製鋼所 サブマージアーク溶接用フラックスおよびサブマージアーク溶接継手の製造方法。
JP2008023565A (ja) * 2006-07-21 2008-02-07 Sumitomo Metal Ind Ltd 構造用鋼材の接合構造
KR20140094579A (ko) * 2011-11-29 2014-07-30 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 강판의 서브머지 아크 용접 방법
EP2787167B1 (en) * 2013-04-04 2018-12-26 Ansaldo Energia IP UK Limited Method for welding rotors for power generation
CN108145343B (zh) * 2016-12-05 2020-08-25 株式会社神户制钢所 埋弧焊用焊剂

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01157797A (ja) * 1987-12-16 1989-06-21 Kawasaki Steel Corp 潜弧溶接用焼成型フラックス

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013073565A1 (ja) * 2011-11-15 2013-05-23 新日鐵住金株式会社 厚鋼板の高能率溶接方法
JP5403186B2 (ja) * 2011-11-15 2014-01-29 新日鐵住金株式会社 厚鋼板の高能率溶接方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH02258191A (ja) 1990-10-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR920007690B1 (ko) 두꺼운 강판을 대입열(大入熱)로 서브머지드 아크 용접하는 방법
WO2014126246A1 (ja) ガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤ、ガスシールドアーク溶接金属、溶接継手、溶接部材、溶接方法、および溶接継手の製造方法
WO2020196869A1 (ja) 自動車用足回り部品
KR102367510B1 (ko) 강판의 가스 실드 아크 용접 방법
JPH0673757B2 (ja) 厚鋼板の大入熱潜弧溶接方法
JP2004001085A (ja) アルミニウム合金溶接用溶加材及びそれを使用したアルミニウム合金材の溶接方法
JP2000263284A (ja) 低温用鋼の片面溶接方法
JP4125688B2 (ja) 2電極大入熱サブマージアーク溶接方法
JP3801186B2 (ja) 多層サブマージアーク溶接による極厚溶接部材
JP2669283B2 (ja) 厚肉大径溶接鋼管の製管溶接方法
JPH0729206B2 (ja) 多電極使用の高速サブマージアーク溶接方法
JP3114958B2 (ja) 厚鋼板の高能率すみ肉溶接方法
JP3765761B2 (ja) サブマージアーク溶接用ボンドフラックス
JPH10216934A (ja) 鋼管周継手のガスシールドアーク溶接方法及びガスシールドアーク溶接用ワイヤ
JPH0557448A (ja) 厚鋼板の高能率すみ肉溶接方法
JPH09206945A (ja) 多電極ガスシールド片面溶接方法
JP2650601B2 (ja) 厚肉大径鋼管の溶接による製造方法
JP3624727B2 (ja) 極厚鋼板の多層サブマージアーク溶接方法
JP3713016B2 (ja) 大入熱サブマージアーク溶接方法
KR102051960B1 (ko) 탄뎀 가스 실드 아크 용접 와이어
JPH11267883A (ja) 大入熱用570MPa耐候性鋼の片面サブマージアーク溶接用ボンドフラックスおよび片面サブマージアーク溶接方法
JP2978350B2 (ja) 多電極片面サブマージアーク溶接法
JPH11138267A (ja) 2電極下向すみ肉サブマージアーク溶接方法
JP3180257B2 (ja) クラッド鋼管の内面シーム溶接方法
CN108145343B (zh) 埋弧焊用焊剂

Legal Events

Date Code Title Description
S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070921

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080921

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080921

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090921

Year of fee payment: 15

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees