JP4125688B2 - 2電極大入熱サブマージアーク溶接方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高張力鋼板の大入熱サブマージアーク溶接方法に係り、特に、建築、造船、橋梁、海洋構造物などの各種溶接鋼構造物を建造する際に、溶接欠陥の無い健全な溶接金属を形成させ、さらに良好で安定した靭性を有する溶接金属を得ることができる大入熱サブマージアーク溶接方法に関するものである。
建築構造物は、地震時の構造物の脆性破壊を防止する観点から、特に溶接金属の高靭性化の社会的要請が極めて大きい。一方、建築構造物の大型化に伴い、板厚の厚いボックス柱が製造されているが、大入熱の1パス溶接による施工法が能率面から優位であり、大入熱1パス溶接における溶接金属の高靱性化が求められている。ボックス柱角継手の大入熱サブマージアーク溶接は、板厚50mmを超える1パス溶接の場合、溶接入熱が400kJ/cm以上と大きいため溶接金属の冷却速度が遅く、冷却過程でオーステナイト(γ)粒界から粗大な初析フェライト(α)が生成しやすく、十分な溶接金属の靭性が得られ難い。
ボックス柱角継手の大入熱サブマージアーク溶接の高靱性化については、溶接材料の成分組成を規定した技術として、例えば、特開平11−170085号公報(特許文献1)にあるが、溶接金属の組織粒径、粒内組織および粒界組織を積極的にコントロールするものではなく、十分な溶接金属の靭性を得るのは難しい。この他の方法として、溶接金属にTiを添加することによりTi酸化物を生成させ、これを核として微細なアシキュラーフェライトを生成させることで溶接金属を高靭化させる方法が知られている。しかしながら、大入熱サブマージアーク溶接では、一般のアーク溶接に比べて、溶融プールが長時間維持されるので、溶接金属中にTiを相当量添加しても、Ti酸化物はスラグ浴中に移行して溶融金属と分離してしまう部分が多く、アシキュラーフェライトの有効な核生成サイトとして十分に機能せず、この方法のみでは溶接金属の充分な靭性を確保することが困難である。
特開2002−283095号公報(特許文献2)には、溶接金属の靭性を向上させるために、サブマージアーク溶接用ワイヤに多量の合金元素を添加している。これではワイヤの引張強度および硬さが過剰に高くなり、溶接時にワイヤ送給性が劣化し、健全な溶込み形状および良好なビード外観が得られない。また、板厚が厚くなると溶接入熱が高くなるため、母材の希釈率が増える。また、サブマージアーク溶接の場合、母材の開先断面積はルート部から表面に向かって大きくなるため、溶材消費量がルート部と表面部で異なる。従って、母材の希釈率や溶接金属のルート部と表面部の焼入れ性バランスを考慮する必要があり、ワイヤに多量の合金元素を添加しただけでは、安定した靭性は得られない。
特開2000−84672号公報(特許文献3)には、板厚60mm程度の鋼板を1パスでサブマージアーク溶接を行う際に、鋼板の開先底部の間隔を広げ、開先内に鉄または鉄合金の粉末を散布して溶接する技術の開示がある。しかし、本技術では鋼板の組立において開先精度が重要となるため、施工に時間がかかり、また、開先精度が劣っている場合や開先内に散布する鉄または鉄合金の散布量が均一でなければ、安定した溶込み形状が得られず、健全な溶接金属は得られない。
また、特許第2947731号公報(特許文献4)には、板厚50mm以上の鋼板を大入熱サブマージアーク溶接する際に、健全な溶込み形状を得るために先行極(1電極目)のワイヤ径を調整し、改善を図る技術の開示がある。しかし、この溶接方法によれば溶込み形状については改善が図られているが、一般的な成分を有するサブマージアーク溶接用フラックスおよび溶接ワイヤを用いているため、板厚50mmを超える鋼板では、1パス大入熱サブマージアーク溶接においては溶接入熱が400kJ/cm以上と大きくなるため、溶接金属の焼入れ性が足りなくなり、粗大な初析フェライトが生成し、溶接金属靭性を著しく劣化させるという問題がある。
特開平11−170085号公報 特開2002−283095号公報 特開2000−84672号公報 特許第2947731号公報
本発明は、上記の問題点に鑑みて、490〜570MPa級の高張力鋼を、溶接入熱500kJ/cm以上の大入熱サブマージアーク溶接した場合においても良好で安定した溶接金属靭性が得られ、溶接欠陥の無い健全な溶込み形状とビード外観が得られる2電極大入熱サブマージアーク溶接方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するものであり、その発明の要旨とするところは質量%で、1電極目にC:0.02〜0.18%、Si:0.02〜0.5%、Mn:1.35〜2.2%、Mo:0.1〜0.9%、Ni:0.1〜1.5%、Ti:0.005〜0.05%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるワイヤと、2電極目にC:0.01〜0.12%、Si:0.02〜0.4%、Mn:1.2〜2.2%、Mo:0.1〜0.8%、Ni:0.05%以下、Ti:0.005〜0.025%、1電極目および/または2電極目のワイヤに、Cr:0.5%以下、Nb:0.1%以下およびV:0.5%以下の1種または2種以上をCr+5Nb+Vで0.12〜1%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるワイヤを組合せ、SiO2 :13〜24%、MgO:8〜20%、CaO:5〜13%、CaF2 :1〜6%、Al2 3 :9〜23%、TiO2 :3〜11%、Fe:11〜23%、B2 3 :0.1〜0.6%、Mo:1〜4.2%、Ni:1〜4.5%からなるフラックスを用いて溶接することを特徴とする2電極大入熱サブマージアーク溶接方法にある。
本発明の2電極大入熱サブマージアーク溶接方法によれば、溶接入熱500kJ/cm以上の大入熱サブマージアーク溶接においても、溶接金属機械性能が優れるとともに、良好な溶接作業性が得られ、建築構造物の安全性を著しく高めることができると同時に溶接効率を著しく高めることができる。
まず、本発明の技術思想について、溶接金属組織の点から説明する。
図1に従来技術における溶接金属組織(a)、(b)と本発明における溶接金属組織(c)、(d)を模式的に示す。一般に溶接金属の組織は、溶接(溶融)、凝固後の冷却過程でδフェライト相からオーステナイト相へ変態し、その後、αフェライト相へ変態して最終組織が形成される。従来、400kJ/cm以上の大入熱サブマージアーク溶接においては、凝固後の高い温度域でδフェライト相からオーステナイト相へ変態するため、図1の(a)、(b)に示すようにオーステナイト粒界2の成長によりその粒径が粗大化していた。さらに、オーステナイト相からαフェライト相への変態過程で、オーステナイト粒界2の周囲に靱性に有害な粗大な初析(粒界)フェライト1の生成や、オーステナイト粒内に有害な粗大で硬くて脆い粗粒なセメンタイト6が生成し、これらにより溶接金属の靭性低下が顕著であった。
そこで、本発明者らは、上記の問題を改善するための溶接金属成分組成について溶接実験等により鋭意検討を行った。その結果、溶接(溶融)、凝固後のδフェライト相を低温領域まで熱力学的に安定させる元素としてSi、Mo、Cr、NbおよびVが有効であり、これらの元素を溶接金属に含有させると同時にオーステナイトを安定化させる元素(C、Mn、Ni)を低減させることにより、溶接金属凝固後、比較的低温の領域までδフェライト相を維持し、オーステナイト相への変態を低温領域で行わせることにより、大入熱のサブマージアーク溶接における溶接金属中のオーステナイト粒の粗大化を抑制でき、溶接金属組織を微細化できることを見出した。
また、オーステナイト相からαフェライト相への変態過程で、図1の(c)、(d)に示すようにオーステナイト粒内に細粒なベイナイト8またはアシキュラーフェライト5を生成させ、それらの組織で覆い尽くせば、脆性亀裂の発生起点となるセメンタイトを粒内に細粒なセメンタイト10として微細分散され、上記の結晶粒の微細化による脆性亀裂進展時における破面単位の細分化の効果と併せて、溶接金属の靭性を大幅に向上できることを知見した。このようにオーステナイト粒内に細粒なベイナイト8またはアシキュラーフェライト5を生成させるためには、Si、Mo、Cr、NbおよびVの適正量の添加による焼入性向上が有効であることを見出した。
また、上記の結晶粒の微細化および粒内組織の細粒なベイナイト8またはアシキュラーフェライト5組織の生成を利用した細粒なセメンタイト10の微細分散化がもたらす靱性向上効果をより顕著にするために、Bのオーステナイト粒界2への偏析作用を利用し、オーステナイト粒の微細化に伴ってオーステナイト粒界2での粗大な初析(粒界)フェライト1の生成を抑制する方法が有効であることが判った。
さらに、上記の手段に加えて、溶接金属に添加するCを抑制したり、粗粒なセメンタイト6の生成を抑制する作用を有するSiを適量添加することによりオーステナイト相から各種フェライト相への変態過程あるいは変態終了後に、粒内に生成する靱性に有害な粗大で硬くて脆い粗粒なセメンタイト6の生成を低減し、溶接金属の靱性をより向上させることができることを明らかにした。なお、本発明によれば、図1の(c)、(d)に示すように溶接金属組織の結晶粒が微細であり、粒内組織が細粒なベイナイト8またはアシキュラーフェライト5主体組織で細粒なセメンタイト10が微細分散されているとともに、初析(粒界)フェライト1が少なく靱性に優れた組織が得られる。
本発明は、以上の知見からなさせたものであり、大入熱サブマージアーク溶接によって得られた溶接金属のδフェライト相を安定させるとともに焼入性を向上させる元素であるSi、Mo、さらにCr、NbおよびVを所定量含有し、かつオーステナイト粒界2での粗大な初析(粒界)フェライト1の生成を抑制する効果のあるBを所定量含有して溶接金属の靱性を向上することができる。さらに、結晶粒内の靱性を害する粗粒なセメンタイト6の生成を抑制するために、溶接ワイヤ中のCの含有量を抑制し、Siを増加させることにより、溶接金属の靱性を向上できるものである。
しかし、上記溶接金属組織形態にすれば、靭性が向上することは確認できたが、板厚が厚くなるに従い、溶接金属表面部とルート部で靭性値が異なる傾向が認められた。これは、板厚が厚くなると溶接入熱が高くなるため、母材の希釈率が増えることや、サブマージアーク溶接の場合、母材の開先断面積はルート部から表面に向かって大きくなるため、溶材消費量がルート部に比べ表面部の方が多くなり、焼入れ性効果が異なることが原因であると確認された。
そこで、溶接金属の表面部とルート部の靱性および溶接作業性の改善内容について説明する。
溶接金属の表面部とルート部で靭性値が異なるのは、溶材消費量が異なるからであり、表面部とルート部が均一に安定した溶接金属靭性を得るためには、サブマージアーク溶接用フラックスとワイヤの組合せにおけるバランスが重要であると考えた。
通常、板厚が厚いボックス柱の溶接には、2電極サブマージアーク溶接が多用される。そこで、溶接金属の表面部とルート部の靭性が均一で良好な値を得るためには、溶接金属の表面部とルート部の焼入れ性効果を同等にする必要があると考えた。
まず、フラックス組成を変えて試みたが、やはり表面部とルート部ではフラックス消費量が異なるため、焼入れ性効果が異なり、靭性値にばらつきが生じた。次に1電極目と2電極目の成分の異なるワイヤの組合せを検討した結果、溶接金属の表面部とルート部の靭性を均一で良好にすることを可能とした。すなわち、2電極サブマージアーク溶接において、1電極目のワイヤにルート部の焼入れ性を高めるのに必要な合金元素を添加し、2電極目のワイヤには表面部の焼入れ性を高めるのに必要な合金元素を添加することによって、溶接金属の表面部とルート部の焼入れ性効果を同等にできることを見出した。
溶接金属の化学成分設計において、安定した合金元素の歩留を考慮すると、ワイヤに合金元素を添加することが多い。しかし、合金元素を過剰添加するとワイヤの引張強度、硬さが過剰に高くなり、溶接時にワイヤの屈曲性が劣って、ワイヤ送給性を劣化させ、アークが不安定になり、ビード外観および溶け込み不足など、溶接金属形状が悪くなる。よって、1電極目および2電極目のワイヤには、溶接作業性に支障を来さない量の合金元素を添加し、溶接金属の靭性向上に不足な合金元素についてはフラックス中に添加することによって補い、溶接作業性と溶接金属靭性向上の両立を可能とした。
以下に本発明におけるフラックスおよび溶接ワイヤの限定理由について説明する。なお、以下の%は、質量%を示す。
フラックスのSiO2 は、大入熱サブマージアーク溶接において、良好な溶接ビードを形成するために最も重要な成分であるが、過多になると溶接金属中の酸素量やSiが増加し、靭性が劣化する。すなわち、13%未満ではビード趾端部のなじみが悪く、24%を超えると溶接金属の酸素量が増加して靭性が劣化するため、その含有量を13〜24%とする。
フラックスのMgOは、スラグの耐火性を向上させる。大入熱サブマージアーク溶接ではスラグの耐火性を高くする必要があり、8%未満ではビードが不良となる。一方、20%を超えるとビード表面に突起物が発生する。従って、MgOの含有量を8〜20%とする。
フラックスのCaOは、スラグの融点および流動性を調整するために重要な成分である。5%未満ではビード趾端部のなじみが悪く、13%を超えるとスラグ流動性が不良となり、ビード高さが不均一になるため、その含有量を5〜13%とする。
フラックスのCaF2 は、靭性改善に効果があるが、融点が低いため過多になるとビードの平滑性が損なわれる。1%未満では靭性改善の効果がなく、6%を超えるとビードが不良となるため、その含有量を1〜6%とする。
フラックスのAl2 3 は、スラグ剥離性を良好にする効果がある。その含有量が9%未満ではスラグ剥離性が劣化し、23%を超えると凸ビードになるため、その含有量を9〜23%とする。
フラックスのTiO2 は、ビード表面の平滑性を得るのに効果があり、かつ、靭性向上にも有効である。その含有量が3%未満ではビード表面の平滑性および靭性の向上の効果がなく、11%を超えるとビード趾端部の立ち上がり角度が大きくなるため、その含有量を3〜11%とする。
フラックスのFeは、溶着効率の向上および溶接入熱量の低減に効果がある。その含有量が11%未満では溶着効率の向上および溶接入熱量の低減に効果が得られず、23%を超えるとビード表面に突起物が発生するため、その含有量を11〜23%とする。
フラックスのB2 3 、は靭性向上に効果がある。その含有量が0.1%未満では靭性向上の効果が得られず、0.6%を超えると溶接金属が硬化し、かえって靭性が劣化するため、その含有量を0.1〜0.6%とする。
フラックスのMoは、溶接金属の焼入れ性増大元素として重要な成分である。その含有量が1%未満では溶接金属の靭性向上に効果がなく、4.2%を超えると溶接金属の焼入れ性が過大となり、硬さが過剰となって靭性が劣化するため、その含有量を1〜4.2%とする。
フラックスのNiは、溶接金属中のフェライトマトリックスの靭性を向上させるために必要な元素である。その含有量が1%未満では溶接金属の靭性向上に効果がなく、4.5%を超えるとオーステナイト安定化元素でもあるため、オーステナイト粒径を粗大化させ靭性が劣化する。よって、オーステナイト粒径の微細化のためにNiの含有量を1〜4.5%とする。
1電極目に使用するワイヤのCは、良好な靭性を得るための重要な成分であり、溶接金属ルート部で良好な靭性を得るためにはその含有量を0.02%〜0.18%にする必要がある。その含有量が0.02%未満であると脱酸不足となり、靭性が劣化する。0.18%を超えると溶接金属ルート部の硬さが過剰となって靭性が劣化する。また、溶接金属ルート部にCを過剰に含有するとオーステナイト粒内に靭性に有害な粗大セメンタイト(Fe3 C)が多く生成するため、Cの含有量の上限を0.15%とすることが、より溶接金属ルート部の靭性を向上させるために好ましい。
1電極目に使用するワイヤのSiは、脱酸元素であり、溶接金属ルート部の酸素量を低減する。その含有量が0.02%未満では脱酸効果が得られず、靭性が劣化する。0.5%を超えると溶接金属ルート部の硬さが過剰となって靭性が劣化する。また、Siは、δフェライトの安定化元素としてオーステナイトの粗大化を抑制し、オーステナイト粒径を微細化するために有効な元素としてワイヤ中に含有させているが、このオーステナイト粒径を微細化する効果に加えて、オーステナイト粒内に生成する靭性に有害な粗大セメンタイト(Fe3 C)の生成を抑制する効果があり、その効果を得るためには、Siの含有量の下限を0.05%にすることが好ましい。
1電極目に使用するワイヤのMnは、溶接金属ルート部の強度の向上および脱酸効果元素として重要な成分である。その含有量が1.35%未満では溶接金属ルート部の十分な強度が得られず、また、溶接金属ルート部の酸素量が高くなり靭性が劣化する。2.2%を超えると溶接金属ルート部の硬さが過剰となって靭性が劣化するため、その含有量を1.35〜2.2%とする。
1電極目に使用するワイヤのMoは、溶接金属ルート部の焼入れ性増大元素として重要な成分である。その含有量が0.1%未満では溶接金属ルート部の靭性向上に効果がなく、0.9%を超えるとワイヤの引張強度、硬さが過剰に高くなり、溶接時のワイヤ送給性が劣化して溶接作業性が悪くなる。また、溶接金属ルート部の焼入れ性が過大となり、硬さが過剰となって靭性が劣化する。
1電極目に使用するワイヤのNiは、溶接金属ルート部のフェライトマトリックスの靭性を向上させる重要な元素である。溶接金属ルート部は、溶接金属表面部に比べて、溶材消費量が少ないため、合金元素の添加量が少なくなり、焼入れ性が劣り、靭性が低下する傾向がある。また、板厚が厚くなると溶接入熱が高くなるため、母材希釈率が大きくなり、母材の合金元素が少ないと、溶接金属ルート部の合金成分が薄まり靭性が低下する。よって、その含有量が0.1%未満では溶接金属ルート部の靭性向上に効果がなく、1.5%を超えるとワイヤの引張強度、硬さを著しく向上させるため、溶接時のワイヤ送給性が劣化して溶接作業性が悪くなる。また、オーステナイトの安定化元素でもあり、過剰に含有されるとオーステナイト粒径を粗大化させるため、靭性が劣化する。よって、オーステナイト粒径の微細化および溶接作業性向上のためにNiの含有量を0.1〜1.5%とする。
1電極目に使用するワイヤのTiは、溶接金属ルート部で微量でもTi酸化物等を生成して、強度および靭性の向上に有効な微細な結晶粒のアシキュラーフェライトを生成するための核生成サイトとなり、その十分な効果を得るためにワイヤ中の含有量の下限を0.005%とした。しかしながら、0.05%を超えてワイヤ中に含有されると、酸化物あるいは窒化物として固定されなかったTiがフェライトマトリックス中に固溶し、靭性を劣化させるので、その含有量の上限を0.05%とした。
2電極目に使用するワイヤのCは、良好な靭性を得るための重要な成分であり、溶接金属表面部で良好な靭性を得るためにはその含有量を0.01〜0.12%にする必要がある。その含有量が0.01%未満であると脱酸不足となり、靭性が劣化する。0.12%を超えると溶接金属表面部の硬さが過剰となって靭性が劣化する。また、溶接金属表面部にCを過剰に含有するとオーステナイト粒内に靭性に有害な粗大セメンタイト(Fe3 C)が多く生成するため、Cの含有量の上限を0.09%とすることが、より溶接金属表面部の靭性を向上させるために好ましい。
2電極目に使用するワイヤのSiは、脱酸元素であり、溶接金属表面部の酸素量を低減する。その含有量が0.02%未満では脱酸効果が得られず、靭性が劣化する。0.4%を超えると溶接金属表面部の硬さが過剰となって靭性が劣化する。また、Siは、δフェライトの安定化元素としてオーステナイトの粗大化を抑制し、オーステナイト粒径を微細化するために有効な元素としてワイヤ中に含有させているが、このオーステナイト粒径を微細化する効果に加えて、オーステナイト粒内に生成する靭性に有害な粗大セメンタイト(Fe3 C)の生成を抑制する効果があり、その効果を得るためには、Siの含有量の下限を0.05%にすることが好ましい。
2電極目に使用するワイヤのMnは、溶接金属表面部の強度の向上および脱酸効果元素として重要な成分である。その含有量が1.2%未満では溶接金属表面部の十分な強度が得られず、また、溶接金属表面部の酸素量が高くなり靭性が劣化する。2.2%を超えると溶接金属表面部の硬さが過剰となって靭性が劣化するため、その含有量を1.2〜2.2%とする。
2電極目に使用するワイヤのMoは、溶接金属表面部の焼入れ性増大元素として重要な成分である。その含有量が0.1%未満では溶接金属表面部の靭性向上に効果がなく、0.8%を超えるとワイヤの引張強度、硬さが過剰に高くなり、溶接時のワイヤ送給性が劣化して溶接作業性が悪くなる。また、溶接金属表面部の焼入れ性が過大となり、硬さが過剰となって靭性が劣化する。
2電極目に使用するワイヤのNiは、溶接金属表面部のフェライトマトリックスの靭性を向上させる元素であるが、オーステナイトの安定化元素でもあり、過剰に含有されるとオーステナイト粒径を粗大化させるため、靭性が劣化する。また、溶接金属表面部は、溶接金属ルート部に比べて、溶材消費量が多いため、合金元素の添加量が増加し、焼入れ性が過剰となるため、靭性が低下する傾向がある。よって、オーステナイト粒径の微細化および過剰な焼入れ性を抑制するためにNiの含有量の上限を0.05%とした。Niの下限は特に限定するものではないが、特に靭性の向上のためには0.005%以上とすることが好ましい。
2電極目に使用するワイヤのTiは、溶接金属表面部で微量でもTi酸化物等を生成して、強度および靭性の向上に有効な微細な結晶粒のアシキュラーフェライトを生成するための核生成サイトとなり、その十分な効果を得るためにワイヤ中の含有量の下限を0.005%とした。しかしながら、0.025%を超えてワイヤ中に含有されると、酸化物あるいは窒化物として固定されなかったTiがフェライトマトリックス中に固溶し、靭性を劣化させるので、その含有量の上限を0.025%とした。
本発明に用いる1電極目および/または2電極目のワイヤの成分として、さらに、Crを0.5%以下、Nbを0.1%以下およびVを0.5%以下の1種または2種以上をCr+5Nb+Vで0.12〜1%含むことにより、溶接金属の焼入れ性を増大して靱性を向上させることができる。Cr+5Nb+Vが0.12%未満であると、溶接金属の靭性向上に効果がない。また、Cr+5Nb+Vが1%超、Crが0.5%超、Nbが0.1%超およびVが0.5%を超えると溶接金属の焼入れ性が過大となり、硬さが過剰となって靭性が劣化し、また、ワイヤの引張強度、硬さが過剰に高くなり、溶接時のワイヤ送給性が劣化して溶接作業性が悪くなる。
以下、実施例により本発明の効果を詳細に説明する。
表1に示す化学組成の板厚60mmの鋼板を用い、図2に示す角継手開先とし、表2に示す成分の1電極目使用ワイヤ、表3に示す成分の2電極目使用ワイヤ、表4に示す成分組成の焼成型フラックス(粒度12×100メッシュ)を各種組み合わせて、表5に示す溶接条件で2電極サブマージアーク溶接による1パス盛りの角継手溶接を行った。
Figure 0004125688
Figure 0004125688
Figure 0004125688
Figure 0004125688
Figure 0004125688
図3に示す溶接金属部から鋼板表面下7mm(以下、表層部という。)、鋼板中央部30mm(以下、中央部という。)、鋼板下面部上7mm(以下、ルート部という。)を中心としてシャルピー衝撃試験片(JIS Z2242 4号)および鋼板表面下10mmを中心として引張試験片(JIS Z2201 A1号)を採取して、それぞれ機械試験を実施した。靭性の評価は0℃におけるシャルピー衝撃試験により行い、各々繰返し数3本の平均により評価した。なお、引張強度は490MPa以上、シャルピー吸収エネルギーは、表層部、中央部、ルート部すべての場所において100J以上であれば良好とした。溶接作業性の評価は、アーク安定性、スラグ剥離性、ビード外観、溶接欠陥の有無、溶込み形状を調査した。
アーク安定性については、電流および電圧の変動がなく、安定したワイヤ送給であれば良好とし○、不安定であれば×とした。スラグ剥離性については、ハンマーまたはタガネを用いてスラグを軽打して簡単にスラグが剥離すれば良好とし○、軽打でスラグが剥離しなければ劣るとし×とした。ビード外観については、ビード表面の波目が細かく、均一で美しいビード形状であれば良好とし○、1つでも劣るものについては×とした。溶接欠陥評価については、アンダカットやブローホールなどの溶接欠陥が全くなければ良好とし○、1つでも欠陥がある場合は劣るとし×とした。溶込み形状評価については、開先内部に溶込み不足、融合不良がなく、健全な溶込み形状であれば良好とし○、溶込み不足または融合不良がある場合は劣るとし×とした。表6にこれらの試験結果をまとめて示す。
Figure 0004125688
表6から明らかなように、本発明例である試験記号W1〜W10は、組み合わせたフラックスF1、F2、F3,F4および1電極目使用ワイヤa1、b1、c1、s1、2電極目使用ワイヤa2、b2、c2、r2が本発明の構成要件を満足するので溶接金属の引張強さ、および表層部、中央部、ルート部すべての場所においてシャルピー吸収エネルギーは良好な値が得られた。また、アーク安定性およびスラグ剥離性が優れ、アンダカットなどの溶接欠陥のない美しいビード外観と健全な溶込み形状を得ることができ、極めて満足な結果であった。なお、試験記号W9は、1電極目使用ワイヤs1のCr+5Nb+Vがやや低いので、ルート部のシャルピー吸収エネルギーは100Jと目標値ぎりぎりであった。また、試験記号W10は、2電極目使用ワイヤr2のCr+5Nb+Vがやや低いので、表層部のシャルピー吸収エネルギーは100Jと目標値ぎりぎりであった。
これに対し、比較例である試験記号W11は、1電極目使用ワイヤd1のCが低いため、脱酸不足となり、ルート部の酸素量が増加してシャルピー吸収エネルギーが低くなった。また、2電極目使用ワイヤe2のCが高いため、表層部の硬さが過剰となってシャルピー吸収エネルギーが低くなった。試験記号W12は、1電極目使用ワイヤe1のCが高いため、ルート部の硬さが過剰となってシャルピー吸収エネルギーが低くなった。また、2電極目使用ワイヤd2のCが低いため、脱酸不足となり、表層部の酸素量が増加してシャルピー吸収エネルギーが低くなった。さらに、組み合わせたフラックスF7のMgOが低いため、ビード形状が不均一になった。
試験記号W13は、1電極目使用ワイヤf1のSiが低いため、脱酸不足となり、ルート部の酸素量が増加してシャルピー吸収エネルギーが低くなった。また、2電極目使用ワイヤg2のSiが高いため、表層部の硬さが過剰となってシャルピー吸収エネルギーが低くなった。さらに、組み合わせたフラックスF8のMgOが高いため、ビード表面に突起物が発生し、スラグ剥離性およびビード外観が劣化した。
試験記号W14は、1電極目使用ワイヤg1のSiが高いため、ルート部の硬さが過剰となってシャルピー吸収エネルギーが低くなった。また、2電極目使用ワイヤf2のSiが低いため、脱酸不足となり、表層部の酸素量が増加してシャルピー吸収エネルギーが低くなった。さらに、組み合わせたフラックスF9のCaOが低いため、ビード趾端部のなじみが悪くなり、ビード外観が劣化し、アンダカットも発生した。
試験記号W15は、1電極目使用ワイヤh1のMnが低いため、脱酸不足となり、ルート部の酸素量が増加してシャルピー吸収エネルギーが低くなった。また、2電極目使用ワイヤi2のMnが高いため、表層部の硬さが過剰となってシャルピー吸収エネルギーが低くなった。さらに、組み合わせたフラックスF10のCaOが高いため、スラグ流動性が不良となり、ビード高さが不均一となり、ビード外観およびスラグ剥離性が劣化した。
試験記号W16は、1電極目使用ワイヤi1のMnが高いため、ルート部の硬さが過剰となってシャルピー吸収エネルギーが低くなった。また、2電極目使用ワイヤh2のMnが低いため、脱酸不足となり、表層部の酸素量が増加してシャルピー吸収エネルギーが低くなった。さらに、組み合わせたフラックスF14のAl2 3 が高いため、凸ビードとなってスラグ剥離性も劣化した。
試験記号W17は、1電極目使用ワイヤj1のMoが低いため、ルート部の焼入れ性が劣り、シャルピー吸収エネルギーが低くなった。また、2電極目使用ワイヤk2のMoが高いため、ワイヤの引張強度、硬さが過剰に高くなり、溶接時のワイヤ送給性が劣化してアークが不安定になり、ビード外観および溶け込み形状も不良となった。また、表層部の焼入れ性が過大となり、硬さが過剰となって靭性が劣化した。
試験記号W18は、1電極目使用ワイヤk1のMoが高いため、ワイヤの引張強度、硬さが過剰に高くなり、溶接時のワイヤ送給性が劣化してアークが不安定になり、ビード外観および溶け込み形状も不良となった。同時に、ルート部の焼入れ性が過大となり、硬さが過剰となって靭性が劣化した。また、2電極目使用ワイヤj2のMoが低いため、表層部の焼入れ性が劣り、シャルピー吸収エネルギーが低くなった。
試験記号W19は、1電極目使用ワイヤl1のNiが低いため、ルート部の焼入れ性が劣り、シャルピー吸収エネルギーが低くなった。また、2電極目使用ワイヤm2のTiが低いため、表層部の靭性向上に有効な微細なアシキュラーフェライトを生成するための核生成サイトを形成できず、シャルピー吸収エネルギーが低くなった。
試験記号W20は、1電極目使用ワイヤm1のNiが高いため、ワイヤの引張強度、硬さが過剰に高くなり、溶接時のワイヤ送給性が劣化してアークが不安定になり、ビード外観および溶け込み形状も不良となった。同時に、オーステナイト粒径の粗大化によってルート部の靭性が劣化した。また、2電極目使用ワイヤl2のNiが低いため、表層部の焼入れ性が劣り、シャルピー吸収エネルギーが低くなった。さらに、組み合わせたフラックスF15のTiO2 が低いため、ビード表面の平滑性が劣化した。
試験記号W21は、1電極目使用ワイヤn1のTiが低いため、ルート部の靭性向上に有効な微細なアシキュラーフェライトを生成するための核生成サイトを形成できず、シャルピー吸収エネルギーが低くなった。また、2電極目使用ワイヤn2のTiが高いため、表層部の酸化物あるいは窒化物として固定されなかったTiがフェライトマトリックス中に固溶し、シャルピー吸収エネルギーが低くなった。さらに、組み合わせたフラックスF17のFeが低いため、溶着量が不足した。
試験記号W22は、1電極目使用ワイヤo1のTiが高いため、ルート部の酸化物あるいは窒化物として固定されなかったTiがフェライトマトリックス中に固溶し、シャルピー吸収エネルギーが低くなった。また、2電極目使用ワイヤo2のCrが高いため、表層部の焼入れ性が過大となり、硬さが過剰となってシャルピー吸収エネルギーが低くなった。また、ワイヤの引張強度、硬さが過剰に高いため、溶接時のワイヤ送給性が劣化してアークが不安定になり、ビード外観および溶け込み形状が不良となった。さらに、組み合わせたフラックスF18のFeが高いため、ビード表面に突起物が発生してスラグ剥離性も劣化した。
試験記号W23は、1電極目使用ワイヤp1のCrが高いため、ルート部の焼入れ性が過大となり、硬さが過剰となってシャルピー吸収エネルギーが低くなった。また、ワイヤの引張強度、硬さが過剰に高いため、溶接時のワイヤ送給性が劣化してアークが不安定になり、ビード外観および溶け込み形状が不良となった。さらに、組み合わせたフラックスF6のSiO2 が高いため、表層部およびルート部の酸素量が多くなってシャルピー吸収エネルギーが低くなった。
試験記号W24は、1電極目使用ワイヤq1のNbが高いため、ルート部の焼入れ性が過大となり、硬さが過剰となってシャルピー吸収エネルギーが低くなった。また、ワイヤの引張強度、硬さが過剰に高いため、溶接時のワイヤ送給性が劣化してアークが不安定になり、ビード外観および溶け込み形状が不良となった。また、2電極目使用ワイヤp2のNbが高いため、表層部の焼入れ性が過大となり、硬さが過剰となってシャルピー吸収エネルギーが低くなった。また、1電極目使用ワイヤと同様、ワイヤの引張強度、硬さが過剰に高いため、溶接時のワイヤ送給性が劣化した。さらに、組み合わせたフラックスF5のSiO2 が低いため、ビード趾端部のなじみが悪くなり、スラグ剥離性が劣化し、またアンダカットが発生した。
試験記号W25は、1電極目使用ワイヤr1のVが高いため、ルート部の焼入れ性が過大となり、硬さが過剰となってシャルピー吸収エネルギーが低くなった。また、ワイヤの引張強度、硬さが過剰に高いため、溶接時のワイヤ送給性が劣化してアークが不安定になり、ビード外観および溶け込み形状が不良となった。さらに、組み合わせたフラックスF11のCaF2 が添加されていないため、靭性改善に効果が得られなかった。
試験記号W26は、2電極目使用ワイヤq2のVが高いため、表層部の焼入れ性が過大となり、硬さが過剰となってシャルピー吸収エネルギーが低くなった。また、ワイヤの引張強度、硬さが過剰に高いため、溶接時のワイヤ送給性が劣化してアークが不安定になり、ビード外観および溶け込み形状が不良となった。さらに、組み合わせたフラックスF16のTiO2 が高いため、ビード趾端部の立ち上がり角度が大きくなり、スラグ剥離性も劣化した。
試験記号W27は、組み合わせたフラックスF19がB2 3 を含有していないため、表層部、中央部およびルート部ともにシャルピー吸収エネルギーが低くなった。
試験記号W28は、組み合わせたフラックスF20のB2 3 が高いため、硬さが過剰となって表層部、中央部およびルート部ともにシャルピー吸収エネルギーが低くなった。
試験記号W29は、1電極目使用ワイヤt1のCr+5Nb+Vが高いため、ルート部の焼入れ性が過大となり、硬さが過剰となってシャルピー吸収エネルギーが低くなった。また、ワイヤの引張強度、硬さが過剰に高いため、溶接時のワイヤ送給性が劣化してアークが不安定になり、ビード外観および溶け込み形状も不良となった。さらに、組み合わせたフラックスF12のCaF2 が高いため、ビードの平滑性が損なわれてビード外観が劣化した。
試験記号W30は、2電極目使用ワイヤs2のCr+5Nb+Vが高いため、表層部の焼入れ性が過大となり、硬さが過剰となってシャルピー吸収エネルギーが低くなった。また、ワイヤの引張強度、硬さが過剰に高いため、溶接時のワイヤ送給性が劣化してアークが不安定になり、ビード外観および溶け込み形状も不良となった。さらに、組み合わせたフラックスF13のAl2 3 が低いため、スラグ剥離性が劣化し、また、アンダカットが発生した。
試験記号W31は、組み合わせたフラックスF21のMoが低いため、表層部、中央部およびルート部ともにシャルピー吸収エネルギーが低くなった。
試験記号W32は、組み合わせたフラックスF22のMoが高いため、表層部、中央部およびルート部の焼入れ性が過大となり、硬さが過剰となってシャルピー吸収エネルギーが低くなった。
試験記号W33は、組み合わせたフラックスF23のNiが低いため、表層部、中央部およびルート部ともにシャルピー吸収エネルギーが低くなった。
試験記号W34は、組み合わせたフラックスF24のNiが高いため、表層部、中央部およびルート部の焼入れ性が過大となり、硬さが過剰となってシャルピー吸収エネルギーが低くなった。
溶接金属組織の概念図である。 本発明の実施例に用いた溶接開先形状を示す図である。 本発明の実施例に用いた溶接金属機械性能試験片採取位置を示す図である。
符号の説明
1 初析(粒界)フェライト
2 オーステナイト粒界
3 粗大なベイナイト或いはアシキュラーフェライト
4 粗粒なベイナイト
5 アシキュラーフェライト
6 粗粒なセメンタイト
7 細粒なベイナイト或いはアシキュラーフェライト
8 細粒なベイナイト
9 酸化物
10 細粒なセメンタイト
11 フランジ板
12 ウェブ板
13 裏板
14 溶接金属
15 シャルピー衝撃試験片
16 引張試験片


特許出願人 日鐵住金溶接工業株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊 他1


Claims (1)

  1. 質量%で、1電極目にC:0.02〜0.18%、Si:0.02〜0.5%、Mn:1.35〜2.2%、Mo:0.1〜0.9%、Ni:0.1〜1.5%、Ti:0.005〜0.05%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるワイヤと、2電極目にC:0.01〜0.12%、Si:0.02〜0.4%、Mn:1.2〜2.2%、Mo:0.1〜0.8%、Ni:0.05%以下、Ti:0.005〜0.025%、1電極目および/または2電極目のワイヤに、Cr:0.5%以下、Nb:0.1%以下およびV:0.5%以下の1種または2種以上をCr+5Nb+Vで0.12〜1%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるワイヤを組合せ、SiO2 :13〜24%、MgO:8〜20%、CaO:5〜13%、CaF2 :1〜6%、Al2 3 :9〜23%、TiO2 :3〜11%、Fe:11〜23%、B2 3 :0.1〜0.6%、Mo:1〜4.2%、Ni:1〜4.5%からなるフラックスを用いて溶接することを特徴とする2電極大入熱サブマージアーク溶接方法。
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