JP2978350B2 - 多電極片面サブマージアーク溶接法 - Google Patents

多電極片面サブマージアーク溶接法

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JP2978350B2
JP2978350B2 JP5017314A JP1731493A JP2978350B2 JP 2978350 B2 JP2978350 B2 JP 2978350B2 JP 5017314 A JP5017314 A JP 5017314A JP 1731493 A JP1731493 A JP 1731493A JP 2978350 B2 JP2978350 B2 JP 2978350B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、4電極を用いて行う片
面サブマージアーク溶接法に係わり、更に詳しくは、各
板厚を従来の溶接速度のそれぞれ約2倍程度の高速で行
うことができる高能率な片面サブマージアーク溶接法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、厚板の高能率溶接法として片
面サブマージアーク溶接法が造船を中心にさかんに適用
されてきた。ところが、効率化追及のレベルは増々高く
なり、従来の溶接速度に比べ2〜3倍の高速性を加味し
た溶接法が切望されている。
【0003】しかしながら、従来の片面サブマージアー
ク溶接法は、特公昭48−22572号公報や特公昭4
9−38420号公報等に開示されているが如く、2ま
たは3電極の溶接法が実施工で用いられてきた。この従
来の片面サブマージアーク溶接法は、主として板厚14
〜15mmを境に、薄板側では2電極、厚板側では3電極
を用い、その溶接速度は2電極で板厚6〜8mm、3電極
で板厚15〜16mmの70cm/min 程度が最大であっ
た。
【0004】ところが、近年、環境保護の観点から米国
などではタンカーの二重底構造が義務付けられようとし
ており、造船の組立工数が大幅に増加している。これに
対して、造船溶接に於けるすみ肉溶接の自動化/効率化
はロボットやラインウエルダーの導入などで著しく進歩
したが、その前工程の片面サブマージアーク溶接による
大板継ぎの技術は約20年間全く進歩しておらず、全体
のボトルネックとなっている。これは通常の両面溶接と
異なり、裏ビードを形成しながら同時に表ビードを形成
する必要があるため、溶接条件の自由度が少なく技術的
に開発するのが非常に困難であったためである。
【0005】つまり、通常の両面溶接の場合は高速性を
追求して、かなり強引に電流を上げても、片面溶接特有
の裏波が過大となるといった問題がないため、高速化も
比較的容易に達成できる。しかし、片面サブマージアー
ク溶接においては、高速化を達成するために、いたずら
に電流を上げると、裏ビードが出すぎてビードが不均一
になり、極端な場合には横割れが発生する事になる。さ
らに、溶接速度が速いと表・裏ビード端部にアンダーカ
ットが発生し易くなる。加えて、裏当て銅板からの冷却
および高速性のために溶接金属の凝固が速く、図6
(a)に示すが如く、結晶の成長方向(デンドライト)
が突合せになり、非常に割れ易い組織となる。
【0006】従って、片面サブマージアーク溶接におい
ては、最大溶接速度は薄板の6〜8mmで70cm/min 程
度であり、厚板ではますます遅くなり、高速化に踏み込
んだ技術は達成されていないのが現状である。
【0007】なお、ここでいう片面サブマージアーク溶
接法とは、図5(a),(b)に示すように、突き合わ
された被溶接材1,1′の裏面から、銅当金2上に層状
に散布したバッキングフラックス4、または耐火性キャ
ンバス7内に収納されたバッキングフラックス4をエア
ーホース5等の押上機構により被溶接材1,1′の裏面
に押圧しておき表側よりワイヤ3,フラックス6を用い
てサブマージアーク溶接を行い、被溶接材の表側と裏側
に同時にビード形成する溶接方法である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、先に特
開平3−238174号公報において、高速化達成のた
めの基本的知見を得た。しかしながら、実際の施工にお
いては板厚が種々ありまた鋼板の成分もかなり異なるた
め、該発明においても未だ不十分であった。
【0009】本発明は、多電極片面サブマージアーク溶
接法において、溶接速度を従来の溶接法に比べて2〜3
倍と飛躍的に高めたにも関わらず、現場溶接において、
健全な欠陥のない溶接金属を得る溶接法を提供する事を
目的としたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記事情に
鑑み、種々検討した結果、以下の知見を得た。 (1)裏ビード形成には、先行電極(第1,第2電極)
によるキーホールの形成が不可欠であるが、従来の溶接
速度のようにキーホールの形成に溶接金属による二次溶
融の関与が、高速法の場合は得ることができない。従っ
て、アーク力だけでキーホールを形成できるような特定
の高電流が必要である。 (2)割れ等の溶接欠陥のない凝固を促し、同時に適度
な余盛の表ビードを形成するため後行電極の厳密な溶接
条件の制御が必要である。 (3)先行電極(第1,第2電極)はキーホール形成の
役割、後行電極(第3,第4電極)は溶接金属の凝固形
態と表面ビード形成の役割を分担するため、先行電極と
後行電極には特定の距離を保つ必要がある。 (4)良好な裏ビードを形成するには、板厚と溶接速度
の間に特定の関係がある。 (5)高速化によりビードが細くなるため、なるべく太
ソリッドワイヤを用いる必要がある。 (6)耐火性が良好な点から表フラックスとしては焼成
形フラックスを用いる必要がある。 (7)高速化により裏ビードは出にくくなるため、裏フ
ラックス溶融時にスラグ厚さは薄くなる必要があり、か
さ比重の小さい焼成形を用いる必要がある。
【0011】即ち、本発明の要旨とするところは、「多
電極片面サブマージアーク溶接法において、4電極のソ
リッドワイヤを用い、第1電極のワイヤ径4.8mmφ、
第2〜4電極のワイヤ径を6.4mmφとし、かつ、第1
電極の電流をI1 (A),第2電極の電流をI
2 (A),第3電極の電流をI3 (A),第4電極の電
流をI4 (A),溶接速度をS(cm/min ),被溶接鋼
板の板厚をt(mm)とした時、 60≦S≦200、 1000≦St≦4000、 1100≦I1 ≦2400,900≦I2 ≦2100、 1000≦I3 +I4 ≦4200、 第2、第3電極の極間距離125〜250mmで、 焼成型の表および裏フラックスを用いることを特徴とす
る多電極片面サブマージアーク溶接法。」である。
【0012】また、組み合わせる鋼板や溶接条件によ
り、「裏フラックスの成分がSiO2:20〜40重量
%,MgO:20〜40重量%,CaO:10〜20重
量%,Al2 3 :2〜10重量%を必須成分として含
有し、フラックス全重量に対し1〜5重量%の熱硬化性
樹脂を含有するものであったり」あるいは「表フラック
スの成分がSiO2 :10〜20重量%,MgO:10
〜30重量%,CaO:5〜15重量%,Al2 3
2〜15重量%,Fe:10〜40重量%を必須成分と
して含有するものであったり」また「ワイヤのC量が
0.04重量%以下であるものを第1〜第4電極の少な
くとも1つに用いること」も本発明の構成要件である。
【0013】
【作用】以下に、本発明について詳細に説明する。 [電極数の限定理由]まず、本発明においては4本の電
極を用いる事が必要である。これにより、先行電極(第
1,第2電極)で裏ビードを形成し、後行電極(第3、
4電極)で溶接金属の凝固形態と表面ビード形成の役割
分担ができ、必要な溶着量を確保する事が可能となる。
5本以上では溶着量の面から各電極の電流を低くする必
要が生じ、本発明のような太径ワイヤを用いる溶接では
アークが不安定となり、特に鋼板が薄くなると溶接が不
可能となる。図2に本発明の実施態様を示す。
【0014】[ワイヤ径の限定理由]まず、第1,第2
電極のワイヤ径について述べる。溶接速度が早くなると
溶着量を増やす必要がある。溶着量を増やすためには電
流密度を上げる事が効果があり、そのためワイヤ径を小
さくするか高電流の適用が考えられるが、細径の場合ア
ークが集中し、ビードが凸になり、アンダーカットが発
生し易い。従って、アークをソフトにし、ビード趾端部
のなじみが平滑になるように第1,第2電極のワイヤ径
を太くする必要がある。ただし、第1電極は開先ルート
部の溶融に寄与するため、ある程度のアークの集中性が
必要となる。そこで、市販のワイヤについて径が4.0
mm、4.8mm、6.4mm、8.0mmについて図3(a)
に示すような1電極片面溶接を行った結果、4.8mmで
は良好な開先ルート部の溶融が得られたものの、4.0
mmでは開先ルート部を完全に溶融したのみならず、電極
1本で凸なビードが生成した。このまま2電極溶接を行
うと裏ビードが過大となる。また、6.4,8.0mmで
は開先ルート部を全部溶融できなかった。従って、第1
電極のワイヤ径は4.8mmとした。
【0015】第2電極は、3図(b)に示すように第1
電極で生成された溶融金属を押し出し、最終的に裏ビー
ド形成を行う。このため、趾端部の立ち上がり角度が小
さい裏ビードを得るためには第1電極より太いワイヤが
必要となってくる。ただし、ワイヤ溶着量を確保する上
から、6.4mmを超えると不十分であった。従って、第
2電極のワイヤ径は6.4mmとした。
【0016】つぎに、第3,4電極は、割れ、融合不良
およびスラグ巻き込み等の内部欠陥の発生を防止し、必
要な溶着量を確保し、適度な余盛の表ビードを形成す
る。ゆえに、良好な表ビードを形成するためには幅の広
いビードを得る必要があり、両電極ともできるだけ太い
ワイヤを用いる必要がある。この場合、6.4mmを超え
ると電流密度の低下により、十分な溶着量を確保するこ
とは困難であった。従って、第3,4電極のワイヤ径は
6.4mmとした。なお、ここで言うワイヤ径は公称径を
示しており、±0.2mm程度の誤差は本発明の効果を損
なわないものである。
【0017】[溶接速度と板厚の関係]図1に各板厚に
ついて溶接速度を変化させて4電極溶接を行った結果を
示す。この場合、各板厚に必要な溶着量は4電極の電流
を適正に配分し確保した。開先形状は、板厚12.7mm
以下では角度60°,ルートフェース3mm、板厚12.
7mmを超えて20mm未満では角度50°,ルートフェー
ス3mm、板厚20mm以上では角度50°,ルートフェー
ス5mmとした。
【0018】この図で○は表・裏ビードとも良好であっ
たものを示し、×は表あるいは裏ビードのいずれかに不
具合が発生したものを示している。本発明は溶接速度6
0cm/min 以上について検討した。溶接速度が200cm
/min を超えると表・裏ビードともアンダーカットが発
生した。
【0019】また、f=Stとした時、f≧4000の
領域では裏ビードの余盛高さが少なく不安定であった。
また、f≦1000の領域では裏ビードが過大となっ
た。
【0020】即ち、この様な高電流・高速片面サブマー
ジアーク溶接においては溶接速度S(cm/min )と被溶
接鋼板の板厚t(mm)が特別な関係を満足した時のみ、
非常に良好なビードを形成できることが判明した。
【0021】その結果、本発明者らは、60≦S≦20
0、かつ、1000≦St≦4000であれば、アンダ
ーカットも割れもない健全なビードが得られることを新
規に知見した。
【0022】[第1,第2電極電流の限定理由]本発明
の裏ビード形成は、先行電極(第1,第2電極)による
キーホールの形成が不可欠であるが、キーホールの形成
に溶融金属による二次溶融の効果が、高速法のため期待
できない。従って、アーク力だけでキーホールを形成で
きるような特定の高電流が必要である。
【0023】第1電極は図3(a)に示すように開先ル
ート部の溶融に関与する。特に高速溶接の場合、第1電
極の溶融の程度は同図に示すように鋼板裏面と面一程度
になることが理想的である。そこで、角度50〜60
°,ルートフェース3〜5mmの範囲について各種開先形
状を検討した結果、第1電極の電流I1 (A)は110
0≦I1 ≦2400が適正であった。
【0024】つぎに、第2電極は図3(b)に示すよう
に第1電極で生成された溶融金属を押し出し、最終的に
裏ビード形成を行うものである。そこで、第1電極につ
いては1100≦I1 ≦2400を用い、これに第2電
極の電流を変化させて図3(b)の検討を同様の開先で
行った。裏ビードの余盛高さを測定した結果、第2電極
の電流I2 (A)は900≦I2 ≦2100で良好な裏
ビードを得ることができた。
【0025】[第3,第4電極電流の限定理由]次に、
表ビード形成を担う第3,第4電極について検討した。
第3,第4電極は、融合不良およびスラグ巻き込み等の
内部欠陥の発生を防止し、必要な溶着量を確保するため
に用いるのであるが、同時に第1,第2電極で形成され
た溶接金属を溶融し、6図(b)に示す如くデンドライ
トの方向を上むきに制御する役割もある。
【0026】また、溶着量を確保するため、(第3+第
4)電極の電流が高くなりすぎると溶け込みが深くな
り、第1,第2電極によって形成された裏ビードに悪影
響を及ぼす。この場合、(第3+第4)電極の電流が4
200(A)を超えると裏ビードが出すぎたり、割れが
発生する。従って、第3,第4電極の電流をそれぞれI
3 (A),I4 (A)とした時、I3 +I4 ≦4200
と限定した。
【0027】一方、第3,第4電極は適正な余盛を得る
ために薄板になると低電流を用いる必要がある。しか
し、本発明の太径ワイヤでは電流が余り低くなるとアー
クが発生しない。この場合、I3 +I4 ≧1000がア
ーク発生の限界であった。従って、1000≦I3 +I
4 ≦2400と限定した。
【0028】[第2,第3電極の極間距離の限定理由]
ところで、第3、4電極は、割れ等の溶接欠陥のない凝
固を促すため、第1、2電極で形成された溶接金属を溶
融し、図6(b)に示す如くデンドライトの方向を上む
きに制御する役割がある。しかし、第2電極と第3電極
の距離が短すぎると、いわゆるワンプールとなり第3、
4電極によるアークが裏ビード下端まで到達し、裏ビー
ドが出すぎたり、あるいは裏ビードを再溶融して逆に少
なくなったりして、不安定となる。従って、第3電極は
裏ビードを乱さないよう第2電極から特定の距離を保っ
て配置する必要がある。本発明者等は、第1,第2電極
で形成されるプールの長さを測定した結果、プールの長
さは溶接速度60cm/minで約110mm、80cm/min
で約140mmであった。溶接速度が早くなるとプールは
長くなる。従って、第2電極と第3電極の距離は最低1
25mm以上必要である。しかし、この長さが250mmを
超えると第1、2電極で生成した溶融スラグが完全に凝
固して、第3電極で安定したアークを発生する事が出来
ない。従って、第2電極と第3電極の距離は125〜2
50mmに限定した。なお、ここで言う第2、3電極の極
間距離とは図2のLを示す。
【0029】[焼成形の表および裏フラックスを用いる
理由]表フラックスであるが、本発明のような高電流溶
接では耐火性が良好な焼成形フラックスを用いることは
必須である。特に、溶接金属に必要な合金添加が容易に
行える利点がある。
【0030】一方、裏ビードは高速化により出にくくな
るため、かさ密度の大きい溶融形フラックスでは、裏フ
ラックス溶融時にスラグが厚くなり、裏ビードはほとん
ど出ない。これは、本発明の裏ビード形成は、従来の溶
接速度のようにキーホールの形成に溶融金属による二次
溶融の関与ができなく、ビードの広がりが少ないためで
ある。
【0031】従って、アーク力だけでキーホールを形成
するような溶接法においては、裏フラックス溶融時に体
積の縮小が大きく、スラグが薄くなる物性が要求され
る。この点から、裏フラックスとして、かさ比重の小さ
い焼成形を用いることが本発明においては必須である。
【0032】以上が本発明の必須構成要件であるが、溶
接材料として表側フラックス、バッキングフラックスお
よび電極ワイヤを目的に応じて、以下の成分のものを組
み合わせることも本発明の構成要件に含まれる。
【0033】[裏フラックスの成分]本発明の多電極片
面サブマージアーク溶接法は第1〜第4電極でトータル
3000〜8700Aもの高電流を用いるものであり、
板厚あるいは開先形状等により大入熱溶接となる。従っ
て、裏フラックスも溶接条件によっては、適正な成分の
ものを組み合わせる必要があり、以下の成分を必須とし
て調整すればよい。
【0034】SiO2 はスラグの融点を調整するために
20〜40重量%の範囲で添加する。20%未満では融
点が高くなめらかなビードが得られない。40%を超え
ると融点が低すぎ、ビードが不安定となる。
【0035】MgOはフラックスの耐火度を調整するた
めに20〜40重量%の範囲で添加する。20%未満で
は耐火度が低く裏ビード出すぎる。また、40%を超え
ると耐火度が高すぎ、反対に裏ビードが出にくくなる。
【0036】CaOはスラグの融点および流動性を調整
するために10〜20重量%の範囲で調整する。10%
以上添加することにより、ビード趾端部のなじみが良好
となる。しかし、20%を超えるとスラグ流動性が不良
になり、ビード高さが不均一になる。
【0037】Al2 3 はスラグの耐火度および流動性
を調整するため2〜10重量%の範囲で添加する。2%
以上の添加で耐火度の効果がある。しかし、10%を超
えると裏ビードが凸になる。
【0038】熱硬化性樹脂はアークが到達する前に、溶
接熱によって樹脂が溶融しフラックスを固形化するもの
で、本発明のような高電流で裏ビードを形成する場合は
1〜5重量%の範囲で裏フラックスの熱硬化を制御する
必要がある。
【0039】なお、上記必須成分以外にTiO2 ,Mn
O等の金属酸化物、CaF2 等の金属弗化物、CaCO
3 等の金属炭酸塩、Si,Mn等の脱酸剤、Ni,MO
等の合金剤あるいは鉄粉を適宜配合して、焼成形フラッ
クスを作成すればよい。
【0040】[表フラックスの成分]表フラックスも、
高電流を用いた場合の耐火性およびビード成形性が板厚
あるは開先形状等により異なってくる。従って、裏フラ
ックス同様、溶接条件によって、適正な成分のものを組
み合わせる必要があり、以下の成分を必須として調整す
ればよい。
【0041】SiO2 はスラグの融点および流動性を調
整するために10〜20重量%の範囲で添加する。10
%未満では平滑なビードが得られない。20%を超える
と融点が低すぎ、ビードの波形が粗くなる。
【0042】MgOはフラックスの耐火度を調整するた
めに10〜30重量%の範囲で添加する。10%未満で
は耐火度が低く、ビードが不安定となる。また、30%
を超えると耐火度が高すぎ、ビードに広がりがなく凸形
となる。
【0043】CaOは、スラグの融点および流動性を調
整するために5〜15重量%の範囲で調整する。5%以
上添加することにより、ビード趾端部のなじみが良好と
なる。しかし、20%を超えるとスラグ流動性が不良に
なり、ビードが不安定となる。
【0044】Al2 3 は、スラグの剥離性を調整する
ため2〜15重量%の範囲で添加する。2%以上の添加
で効果がある。しかし、15%を超えるとビードが凸に
なる。
【0045】Feは溶着量を確保する上で10〜40%
の範囲で添加する必要がある。10%未満では効果がな
く、また40%を超えるとビード表面に突起が発生す
る。
【0046】なお、表フラックスも裏フラックス同様上
記成分を必須として、その他の成分を組み合わせて焼成
形フラックスを作製すればよい。
【0047】[ワイヤの成分]ところで、片面溶接金属
は凝固組織として割れ易い上に、母材の希釈および裏フ
ラックスからの還元によりC量が高くなり、耐高温割れ
性が劣る。この場合、裏フラックスのC源としては成分
はもちろんであるが、裏フラックスに添加する熱硬化性
の樹脂があげられる。しかし、裏ビード成形のため熱硬
化性樹脂の添加は必須であり、除去は不可能である。ま
た、被溶接鋼板のC量も非常に高い場合もあり、溶接時
に何らかの対策が必要となってくる。その場合、できる
だけC量の少ないワイヤを用いる必要がある。ただし、
溶接金属の引張強度あるいは靭性のバランスが必要なた
め被溶接鋼板のC量に応じて選択する必要がある。従っ
て、第1〜第4電極の少なくとも1つに用いることとし
た。なお、C量は極力少ないことがベターであるが生産
性を考慮して0.04重量%以下とした。
【0048】その他の組成についてはフラックス組成と
の関連で選択されるものであるが、Mn:0.3〜3.
2%,Mo:0.15〜0.75%の一種または二種以
上を含有するワイヤが強度および靭性を確保する上で好
ましい。
【0049】
【実施例】以上本発明について詳述したが、本発明効果
をさらに明確にするため、以下実施例について述べる。
表1に示す鋼板に対し、表2のワイヤ、表3の表フラッ
クス、表4の裏フラックスを用いて、23種類の片面サ
ブマージアーク溶接を行った。
【0050】表3の表フラックスは、原料粉を水ガラス
を用いて造粒した後、400℃×120min の条件でロ
ータリーキルンで焼成した焼成形フラックスで仕上りフ
ラックスの粒度は表3に示すように整粒した。また、表
4の裏フラックスは、フェノール樹脂をアルコールを溶
媒として溶解し、粘液とした後、フラックス粒子に被覆
した。
【0051】本発明実施例における溶接結果を表5に示
す。本発明例であるNo.1〜13は本発明効果により
いずれも良好な溶接部を得ることが出来たが、一方、比
較例のNo.14〜23の場合、溶接結果の欄に記入し
てあるように、満足できるビード形成が出来なかった。
なお、表5において、開先形状は図4に示す形状を用い
た。tは試験板の板厚、dはルートフェース、θは開先
角度である。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】
【表7】
【0059】
【発明の効果】以上説明した本発明の方法により、4電
極片面サブマージアーク溶接法において、従来の片面サ
ブマージアーク溶接法の約2〜3倍の高速化を達成し、
なおかつ割れがなく形状も良好な表・裏ビードを形成で
き、その産業上の効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶接速度と板厚の関係を示す線図である。
【図2】本発明溶接法の実施態様を示す側面図である。
【図3】(a),(b)はそれぞれ、開先ルート部の溶
融状態を説明するための正面図である。
【図4】本発明実施例に用いた開先形状を示す正面図で
ある。
【図5】(a),(b)はそれぞれ、片面サブマージア
ーク溶接法を説明するための正面図である。
【図6】(a),(b)はそれぞれ、溶接金属のデンド
ライトの方向を説明するための正面図である。
【符号の説明】
1,1′ 被溶接材 2 銅当金 3 電極ワイヤ 4 バッキングフラックス 5 エアーホース 6 フラックス 7 耐火性キャンバス
フロントページの続き (72)発明者 品田 功一 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株 式会社 技術開発本部内 (72)発明者 堀井 行彦 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株 式会社 技術開発本部内 (72)発明者 元松 隆一 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株 式会社 技術開発本部内 (72)発明者 北村 征義 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株 式会社 技術開発本部内 (72)発明者 宮崎 建雄 大阪府大阪市此花区西九条5丁目3番28 号 日立造船株式会社内 (72)発明者 竹内 信 大阪府大阪市此花区西九条5丁目3番28 号 日立造船株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−84676(JP,A) 特開 平4−238694(JP,A) 特開 昭54−81137(JP,A) 特開 昭49−49847(JP,A) 特開 昭57−124577(JP,A) 特開 平4−9279(JP,A) 特開 昭62−40977(JP,A) 特開 昭61−189876(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 9/18 B23K 35/362

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多電極片面サブマージアーク溶接法にお
    いて、4電極のソリッドワイヤ(以下ワイヤとする)
    用い、第1電極のワイヤ径4.8mmφ、第2〜4電極の
    ワイヤ径を6.4mmφとし、かつ、第1電極の電流をI
    1 (A),第2電極の電流をI2 (A),第3電極の電
    流をI3 (A),第4電極の電流をI4 (A),溶接速
    度をS(cm/min ),被溶接鋼板の板厚をt(mm)とし
    た時、 60≦S≦200、 1000≦St≦4000、 1100≦I1 ≦2400,900≦I2 ≦2100、 1000≦I3 +I4 ≦4200、 第2、第3電極の極間距離125〜250mmで、焼成型
    の表および裏フラックスを用いることを特徴とする多電
    極片面サブマージアーク溶接法。
  2. 【請求項2】 裏フラックスの成分がSiO2 :20〜
    40重量%,MgO:20〜40重量%,CaO:10
    〜20重量%,Al2 3 :2〜10重量%を必須成分
    として含有し、フラックス全重量に対し1〜5重量%の
    熱硬化性樹脂を含有せしめることを特徴とする請求項1
    記載の多電極片面サブマージアーク溶接法。
  3. 【請求項3】 表フラックスの成分がSiO2 :10〜
    20重量%,MgO:10〜30重量%,CaO:5〜
    15重量%,Al2 3 :2〜15重量%,Fe:10
    〜40重量%を必須成分として含有せしめることを特徴
    とする請求項1記載の多電極片面サブマージアーク溶接
    法。
  4. 【請求項4】 裏フラックスの成分がSiO2 :20〜
    40重量%,MgO:20〜40重量%,CaO:10
    〜20重量%,Al2 3 :2〜10重量%を必須成分
    として含有し、フラックス全重量に対し1〜5重量%の
    熱硬化性樹脂を含有し、さらに表フラックスの成分がS
    iO2 :10〜20重量%,MgO:10〜30重量
    %,CaO:5〜15重量%,Al2 3 :2〜15重
    量%,Fe:10〜40重量%を必須成分として含有せ
    しめることを特徴とする請求項1記載の多電極片面サブ
    マージアーク溶接法。
  5. 【請求項5】 ワイヤのC量が0.04重量%以下であ
    るものを第1〜第4電極の少なくとも1つに用いること
    を特徴とする請求項1記載の多電極片面サブマージアー
    ク溶接法。
  6. 【請求項6】 裏フラックスの成分がSiO2 :20〜
    40重量%,MgO:20〜40重量%,CaO:10
    〜20重量%,Al2 3 :2〜10重量%を必須成分
    として含有し、フラックス全重量に対し1〜5重量%の
    熱硬化性樹脂を含有し、さらに表フラックスの成分がS
    iO2 :10〜20重量%,MgO:10〜30重量
    %,CaO:5〜15重量%,Al2 3 :2〜15重
    量%,Fe:10〜40重量%を必須成分として含有
    し、ワイヤのC量が0.04重量%以下であるものを第
    1〜第4電極の少なくとも1つに用いることを特徴とす
    る請求項1記載の多電極片面サブマージアーク溶接法。
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