JP2003109512A - プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法 - Google Patents
プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法Info
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Abstract
スプレイパネルにおいて、画像表示品位を向上させ、そ
の画像表示品位を長期間安定して維持させることを目的
とする。 【解決手段】 主電極対を構成する第1および第2の電
極が放電ガスに対して絶縁層で被覆されたプラズマディ
スプレイパネルであって、前記誘電体ガラス層13のう
ちの少なくとも前記放電ガスと接する表層として保護膜
14を設け、その表層の少なくとも一部が、水酸化マグ
ネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、
硝酸化マグネシウム、硫酸化マグネシウム等の標準生成
エンタルピーよりも低い値を持つ物質で覆われる構成と
している。
Description
などに用いるプラズマディスプレイパネルおよびその製
造方法に関する。
図6に示すような構成のものが一般的である。
パネル100と背面パネル200とからなる。前面パネ
ル100は、前面ガラス基板101上に走査電極102
a、維持電極102bが交互にストライプ状に形成さ
れ、さらにそれが誘電体ガラス層103および酸化マグ
ネシウム(MgO)からなる保護膜104により覆われ
て形成されたものである。
1上に、ストライプ状にアドレス電極202が形成さ
れ、これを覆うように電極保護層203が形成され、更
にアドレス電極202を挟むように電極保護層203上
にストライプ状に隔壁204が形成され、更に隔壁20
4間に蛍光体層205が設けられて形成されたものであ
る。そして、このような前面パネル100と背面パネル
200とが貼り合わせられ、隔壁204で仕切られた空
間210に放電ガスを封入することで放電空間が形成さ
れる。前記蛍光体層はカラー表示のために通常、赤、
緑、青の3色の蛍光体層が順に配置されている。
オンおよびキセノンを混合してなる放電ガスが、通常
0.67×105Pa程度の圧力で封入されている。
駆動方式について説明する。
の駆動回路の構成を示したブロック図である。
0と、走査電極駆動部230と、維持電極駆動部240
とから構成されている。
極202にアドレス電極駆動部220が接続され、走査
電極102aに走査電極駆動部230が接続され、維持
電極102bに維持電極駆動部240が接続されてい
る。
ルでは1フレームの映像を複数のサブフィールド(S
F)に分割することによって階調表現をする方式が用い
られている。そして、この方式ではセル中の気体の放電
を制御するために1SFを更に4つの期間に分割する。
この4つの期間について図8を使用して説明する。図8
は、1SF中の駆動波形である。
0では放電を生じやすくするためにPDP内の全セルに
均一的に壁電荷を蓄積させる。アドレス期間260では
点灯させるセルの書き込み放電を行う。サステイン期間
270では前記アドレス期間260で書き込まれたセル
を点灯させその点灯を維持させる。イレース期間280
では壁電荷を消去させることによってセルの点灯を停止
させる。
02aにアドレス電極202および維持電極102bに
比べ高い電圧を印加しセル内の気体を放電させる。それ
によって発生した電荷はアドレス電極202、走査電極
102aおよび維持電極102b間の電位差を打ち消す
ようにセルの壁面に蓄積されるので、走査電極102a
付近の保護膜表面には負の電荷が壁電荷として蓄積さ
れ、またアドレス電極付近の蛍光体層表面および維持電
極付近の保護膜表面には正の電荷が壁電荷として蓄積さ
れる。この壁電荷により走査電極−アドレス電極間、走
査電極−維持電極間には所定の値の壁電位が生じる。
る場合には走査電極102aにアドレス電極202およ
び維持電極102bに比べ低い電圧を印加させることに
より、つまり走査電極−アドレス電極間には前記壁電位
と同方向に電圧を印加させるとともに、走査電極−維持
電極間に壁電位と同方向に電圧を印加させることにより
書き込み放電を生じさせる。これにより、蛍光体層表
面、保護膜表面には負の電荷が蓄積され、走査側電極付
近の保護膜表面には正の電荷が壁電荷として蓄積され
る。これにより、維持−走査電極間には所定の値の壁電
位が生じる。
2aに維持電極102bに比べ高い電圧を印加させるこ
とにより、つまり維持電極−走査電極間に前記壁電位と
同方向に電圧を印加させることにより維持放電を生じさ
せる。これによりセル点灯を開始させることができる。
そして、維持電極−走査電極交互に極性が入れ替わるよ
うにパルスを印加することにより断続的にパルス発光さ
せることができる。
ルスを維持電極102bに印加することによって不完全
な放電が発生し壁電荷が消滅するため消去が行われる。
ディスプレイパネルは壁電荷を形成し、それによって生
じた電位を利用して、放電に必要な電圧値を下げること
を可能とした駆動方法を用いている。ところが、放電空
間内に放電ガス以外の不純物ガスが存在した場合、ある
いは保護膜がそのガス等によって変質した場合、この壁
電荷を消去してしまう作用が生じてしまう。この作用に
より、通常の印加電圧ではアドレス放電の放電開始電圧
に達せず、点灯・非点灯の選択がされないセルが発生す
る。すなわち維持放電が起こらず点灯不良となり、画像
表示の際の不灯・ちらつきとなる。
度を増して進行するため、点灯しようとするセルを選択
する順が遅い箇所、すなわち走査が遅い箇所に顕著に現
れる。図8を用いて示すならば、セットアップ期間25
0での壁電荷を蓄積させてから、アドレス期間260で
のアドレス放電までの時間が長い箇所において、この現
象はより顕著に現れてくることになる。
フィールド=1/60[s]内で全てのシーケンスを終
了させる必要があり、将来的には、セル構造の高精細化
がすすむことに伴い、走査線数が増加することになる。
すなわちこの現象がより一層顕著になって現れてくるこ
とになる。
純物ガスの存在は、蛍光体の劣化、保護膜の放電による
耐摩耗性(スパッタ性)の低下を促進させることにもな
り、このことは画像表示品位の寿命劣化が促進すること
につながる。
放電空間への不純物ガスの取り込みを防止するのに効果
的な構造を備えたプラズマディスプレイパネルおよびそ
の製造方法を提供することを目的とする。
るために本発明は、保護膜の表層の少なくとも一部が、
保護膜の母材の水酸化物、炭酸化物、硝酸化物および硫
酸化物のうちのいずれかよりも標準生成エンタルピー値
が低い物質で覆われている構成としたものである。
純物ガスの取り込みは、下記の3点の状態が考えられ
る。
合 2.背面パネルの蛍光体に不純物ガスが吸着している場
合 3.前面パネル、背面パネル貼り合わせ後の排気工程が
不十分である場合 上記1、2の場合、例えばH2O、CO2といった大気中
に存在するガスが吸着する物質として考えられる。特に
1においての状況は深刻である。
ようなガスが吸着すると、吸着によってMg(O
H)2、MgCO3等に変質すると考えられる。これらの
物質は、MgOから解離するのに必要なエネルギーが非
常に高い。そのため、貼り合わせ工程以前にこのような
MgO膜の変質があった場合、その後の封着・排気等の
熱工程ではほとんど解離されなくなる。
O3等は放電によるイオン衝撃等のエネルギーによって
ようやく解離し、H2O、CO2といった形、あるいはそ
のイオンの形にて放出される。すなわち、パネル形成後
の画像表示時に、ようやくこれら変質層は不純物ガスと
なって放出されることになり、放電空間に残留すること
になる。
が画像表示品位の劣化、その寿命劣化となって現れてく
る。
のような膜厚方向に対して垂直に界面が存在するような
形態の場合、この柱状構造の界面にもMg(OH)2、
MgCO3は形成されると考えられる。この界面に形成
された変質層は、放電によって保護膜が摩耗される(イ
オン衝撃によってスパッタされる)と同時に、H2O、
CO2への解離が随時進行し、放電空間への不純物ガス
の供給が常時行われることになる。つまり、画像表示デ
バイスとして使用する時間とともに画像表示品位劣化が
促進されることになる。
ては、貼り合わせ工程以前に、このようなH2O、CO2
の保護膜のMgOへの吸着をさせなければ、上記のよう
な様々な画像表示品位の劣化を防止することができる。
MgCO3等よりも化学的に安定な物質で、これら変質
層が形成される前にMgOを覆うことが効果的であると
考えられる。
加えることなく変質層であるMg(OH)2、MgCO3
を生成させない保護膜材料を模索した結果、本発明に想
到した。
質層としてMg(OH)2、MgCO3のみについて記述
したが、これら以外にも、大気中のガスの吸着によっ
て、MgOはMg(NO3)2、MgSO4、Mg(HC
O3)2等への変質も考えられるが、本発明を実施するこ
とによってこれらの変質層の形成についても同様に防止
することができ、かつ同様の効果が得られる。
る第1および第2の電極が放電ガスに対して絶縁層で覆
われ、前記絶縁層が保護膜で覆われたプラズマディスプ
レイパネルであって、前記保護膜の表層の少なくとも一
部が、前記保護膜の母材の水酸化物、炭酸化物、硝酸化
物、硫酸化物のうちのいずれかよりも標準生成エンタル
ピー値が大きい物質で覆われていることを特徴とする。
ネシウム[MgO]であることを特徴とする。
ムの表層の少なくとも一部が、水酸化マグネシウム[M
g(OH)2]、炭酸マグネシウム[MgCO3]、炭酸
水素マグネシウム[Mg(HCO3)2]、硝酸化マグネ
シウム[Mg(NO3)2]および硫酸化マグネシウム
[MgSO4]のうちのいずれかよりも標準生成エンタ
ルピー値が低い物質で覆われていることを特徴とする。
の表層の少なくとも一部が、標準生成エンタルピー値が
−925kJ/molよりも低い物質、標準生成エンタ
ルピー値が−1096kJ/molよりも低い物質、標
準生成エンタルピー値が−791kJ/molよりも低
い物質または標準生成エンタルピー値が−1284kJ
/molよりも低い物質で覆われていることを特徴とす
る。
表層の少なくとも一部が、燐[P]または珪素[Si]
を含む物質で覆われていることを特徴とする。そして、
その燐を含む物質は、Mg3(PO4)2であり、前記珪
素を含む物質は、MgSiO3およびMg2SiO4の少
なくとも一方である。
1および第2の電極が放電ガスに対して絶縁層で覆わ
れ、前記絶縁層が酸化マグネシウムで覆われたプラズマ
ディスプレイパネルであって、前記酸化マグネシウムに
燐[P]を含んでいることを特徴とする。そして、その
酸化マグネシウムに含まれる燐の濃度が、100〜15
000ppmの範囲内であることを特徴とする。
の濃度は、前記酸化マグネシウムの膜の成長方向に対し
て分布差を有することを特徴とし、さらに前記酸化マグ
ネシウムに含まれる燐の濃度の分布差は、前記誘電体層
側と比較して前記放電ガスと接する側の濃度が密である
ことを特徴とする。
含む層と、燐を含まない層との多層構造であることを特
徴としている。
1および第2の電極が放電ガスに対して絶縁層で覆わ
れ、前記絶縁層が酸化マグネシウムで覆われたプラズマ
ディスプレイパネルであって、前記酸化マグネシウム
に、珪素[Si]を10000〜15000ppmの範
囲内の割合で含んでいることを特徴とする。
第1および第2の電極が放電ガスに対して絶縁層で覆わ
れ、前記絶縁層が酸化マグネシウムで覆われたプラズマ
ディスプレイパネルであって、前記酸化マグネシウム
に、珪素[Si]を500〜15000ppmの範囲内
の割合で含み、かつ前記酸化マグネシウムに含まれる珪
素の濃度が、前記酸化マグネシウムの成長方向に対して
分布差があることを特徴とする。そして、その酸化マグ
ネシウムに含まれる珪素の濃度の分布差が前記誘電体側
と比較して前記放電ガスと接する側の濃度が密であるこ
とを特徴とする。また、前記酸化マグネシウムの膜は、
珪素を含有する層と、珪素を含有しない層との多層構造
であることを特徴とする。
1および第2の電極が放電ガスに対して絶縁層で覆わ
れ、前記絶縁層が酸化マグネシウムで覆われたプラズマ
ディスプレイパネルであって、前記酸化マグネシウム
に、燐および珪素が含まれていることを特徴とする。そ
して、その酸化マグネシウムに含まれる燐および珪素の
濃度は、それぞれ、燐が100〜15000ppm、珪
素が500〜15000ppmの範囲内であることを特
徴とする。
燐および珪素の濃度は、それぞれ前記酸化マグネシウム
の膜の成長方向に対して分布差があることを特徴とし、
また、前記酸化マグネシウムに含まれる燐および珪素の
濃度の分布差は前記誘電体側と比較して前記放電ガスと
接する側の濃度が密であることを特徴としている。ま
た、前記酸化マグネシウムの膜は、燐および珪素を含む
層と、燐、珪素いずれかを含む層と、燐および珪素を含
まない層との多層構造であることを特徴とする。
した表面に配設されかつ主構成材料以外に少なくとも1
つの元素を含む保護膜であって、前記主構成材料以外の
元素が、放電のエネルギーにより解離し表面に再付着す
る際に、常に放電に面する表面側に移動するものである
ことを特徴とする。そして、その主構成材料が酸化マグ
ネシウムであり、主構成材料以外の元素が珪素または燐
であることを特徴とする。
プラズマディスプレイパネルの電極を覆う絶縁層を覆う
ことを特徴とする。
1および第2の電極が放電ガスに対して絶縁層で覆わ
れ、前記絶縁層が酸化マグネシウム膜で覆われたプラズ
マディスプレイパネルの製造方法であって、ペレット状
の酸化マグネシウムと、ペレット状またはパウダ状の燐
化合物、あるいはペレット状またはパウダ状の珪素化合
物とを混合して同時に加熱する蒸着方法によって酸化マ
グネシウム膜を形成することを特徴とする。
の酸化マグネシウムと、パウダ状の燐化合物、パウダ状
の珪素化合物とを混合した焼結体を加熱する蒸着方法に
よって前記酸化マグネシウム膜を形成することを特徴と
する。
酸化マグネシウムと、パウダ状の燐化合物、パウダ状の
珪素化合物とを混合した焼結体をターゲットとしてスパ
ッタリング方法によって前記酸化マグネシウム膜を形成
することを特徴とする。
変質層のMg(OH)2、MgCO3等を形成することな
く、かつ不純物ガスがパネル内に取り込まれることな
く、プラズマディスプレイパネルを作製することがで
き、画像表示品位を向上させ、またその高品位の状態を
長寿命的に保持できるようになる。また、上述のよう
に、MgOの成長方向に対してSiの濃度を変化させる
ことによって、MgOの放電ガスに接する側の表面層で
はSi、Mgの化合物が形成されるため、変質層のMg
(OH)2、MgCO3、Mg(NO3)2、MgSO4等
が形成されず、かつ表面層より内部側、すなわち保護膜
中では不純物が少ないMgOのままであるため、電子放
出能力が維持されることになり、より一層の画像表示品
位の向上が得られる。
マディスプレイパネルについて図面を参照しながら具体
的に説明する。
面放電型プラズマディスプレイパネル1(以下、単にP
DP1という)の部分斜視図である。
を印加することで放電を放電空間30内で生じさせ、放
電に伴って背面パネルPA2側で発生した各色の可視光
を前面パネルPA1の主表面から透過させる交流面放電
型のPDPである。
持電極12bとが放電ギャップ12Cを設けてストライ
プ状に複数対配設(図では便宜上1対を記載してある)
された前面ガラス基板11上に、表面11aを覆うよう
に絶縁層としての誘電体ガラス層13が形成されてお
り、さらに、この誘電体ガラス層13を覆うようにMg
Oからなる保護膜14が形成されたものである。
の低減および変質層の形成を防止するような作製方法に
よって成膜される。
前記走査電極12aと維持電極12bと直交するように
ストライプ状に配設された背面ガラス基板16上に、ア
ドレス電極を保護するとともに可視光を前面パネル側に
反射する作用を担う電極保護層18が当該アドレス電極
17を覆うように形成されており、この電極保護層18
上にアドレス電極17と同じ方向に向けて伸び、アドレ
ス電極17を挟むように隔壁19が立設され、さらに当
該隔壁19間に蛍光体層20が配設されたものである。
示す駆動回路を用いて、図8に示す駆動波形に基づいて
駆動される。なお、アドレス駆動部220には、アドレ
ス電極17が接続され、走査電極駆動部230には、走
査電極12aが、維持電極駆動部240には、維持電極
12bが接続される。
る。
切断した断面図である。従来の技術では誘電体上に保護
層として酸化マグネシウムの1層のみの膜が形成される
だけであるが、本発明ではこの保護膜としての酸化マグ
ネシウムの放電空間に面した側にさらに第2の保護層が
設けられた構成としている。すなわち、保護膜14が酸
化マグネシウムの第1保護層14aと第2保護層14b
により構成されている。
ルピー値がMg(OH)2、MgCO3等のその値よりも
低くなり、化学的により安定な物質であり、またこの第
2保護層14bは、マグネシウム、珪素の酸化物である
か、あるいはマグネシウム、燐の酸化物である。
シウムの膜構造が柱状構造であった場合について示して
いる。この場合も図2(a)と同様に、第1保護層14
aに相当する酸化マグネシウムの表面全体を覆うように
第2保護層14bが形成される。すなわちそれら個々の
柱状構造部の界面においても第2保護層14bが形成さ
れることになる。なお、図2では酸化マグネシウムの放
電空間に面した側の全体を覆うように第2保護層を図示
してあるが、本発明はこの形態だけに限らず第1保護層
の少なくとも一部を覆う場合でも同様の効果は得られ
る。
ウム)の放電空間に面した側に第2保護層を形成するこ
とによって、保護膜にMg(OH)2、MgCO3、Mg
(NO3)2、MgSO4、Mg(HCO3)2等の変質層
が形成されなくなる。
技術それぞれの保護膜の吸着量を示す。これは各ガラス
基板上にそれぞれの保護膜を形成し、その後ある一定時
間(製造時に要すると考えられる時間)放置し、それら
試料を昇温脱離による四重極質量分析装置にて各試料へ
の吸着量を測定したものである。これによると、従来の
MgOのみの保護膜と比較して、本発明のMgO+M
g、Siの酸化物、あるいはMgO+Mg、Pの酸化物
である保護膜の方の吸着量が少ないことがわかる。
作製したPDPでの寿命試験の結果を図4に示す。これ
は放電に必要な電圧が急激に上昇した時間を寿命限界と
したものである。これによると従来のMgOのみの保護
膜と比較して、本発明のMgO+Mg、Siの酸化物、
あるいはMgO+Mg、Pの酸化物である保護膜の方
が、寿命限界に達するまでの時間が長いことがわかる。
これら2種類の検討結果から、保護膜としてのMgOの
変質層形成を防止することが、表示高品位および長寿命
化につながると考えられる。
Oの表面(パネル形成後放電空間に面する側)が、Mg
(OH)2、MgCO3、Mg(NO3)2、MgSO4、
Mg(HCO3)2等に化学変化し、その変質層がパネル
化された後に放電空間にH2O、CO2等になって放出さ
れることが影響していると考えられる。これはこの放電
ガス以外の不純物ガスの存在によって、本来セットアッ
プ期間250で形成された壁電荷が消去されるためであ
る。
あるMgOの表面に第2保護層が形成されている。この
第2保護層は変質層と成りうるMg(OH)2、MgC
O3、Mg(NO3)2、MgSO4、Mg(HCO3)2等
よりも標準生成エンタルピー値が低く、化学的に安定な
ため、これらの変質層は形成されない。すなわち、従来
技術では生じていたような、パネル化後に放電空間に不
純物ガスが放出されることは起こらない。この結果、壁
電荷の消去という問題が起こらず、製品の長寿命化に繋
がる。
タルピー値を掲載しておく。なお、本発明では標準生成
エンタルピー値(kJ/mol)とは標準状態(1at
m、25℃)における化合物1molあたりの生成熱を
示すこととしている。すなわち、化合物がその成分元素
の単体から反応して生成する熱(反応熱)のことであ
り、この標準生成エンタルピーが低い値の物質の方が安
定であるといえる。また、ある化合物についての標準生
成エンタルピー値が必要な場合は、化学便覧等の文献
(表1では化学便覧改訂4版[日本化学会編]より抜粋
した)から調べることができる。
て変質層の形成を防止することが可能となるが、一方で
厚くなれば、MgOからの電子放出能力が阻害されるこ
とにもなる。このような観点から、第2保護層の膜厚が
重要になってくる。また、この第2保護層の膜厚はMg
Oに含まれるSiの濃度に大きく起因しており、Si濃
度が大きくなれば、膜厚も大きくなる。
iの濃度とPDPとしての画像表示品位のレベルを視認
評価した結果を示す。この視認レベルの数値は「ちらつ
き度合い」を示しており、低い値ほど良好な表示品位で
あるとした。視認レベル2を製品としての良品限界とし
たところ、Siの濃度で15000ppm以下であるこ
とが望ましいということがわかった。なお、上記の濃度
検討はSiについてのみ記述したが、Pについても同様
の検討をした結果、Pの場合、濃度で100〜1500
0ppmの範囲内が有効であった。また、この評価は
「壁電荷消去」の発生しない特異な条件において検討し
ている。
る。
明すると、前面ガラス基板11上に走査電極12a、維
持電極12bが交互に配列するように形成する。走査電
極12a、維持電極12bは、金属電極であって、白金
を電子ビーム蒸着法によって成膜した後、リフトオフ法
によってパターニングすることによって形成される。な
お、ITOなどの透明電極と金属電極の対により各走査
電極12aおよび維持電極12bとを形成してもよい。
12bを覆うように、誘電体ガラス層をスクリーン印刷
法などの公知の印刷法によって印刷後焼成することによ
って形成する。
の保護膜14を形成する。具体的には、誘電体ガラス層
13の表面にMgO薄膜を電子ビーム蒸着法によって析
出させることにより形成する。
明すると、背面パネルPA2は、背面ガラス基板16上
にアドレス電極17を形成し、その上を電極保護層18
で覆い、この電極保護層18の表面に隔壁19を形成
し、その後蛍光体層20を形成することによって作製す
る。アドレス電極17は、背面ガラス基板16上に前記
走査電極12a、維持電極12bと同様の方法にて作製
する。
にスクリーン印刷法などの印刷法を用いて印刷後、焼成
することによって形成されたもので、前記誘電体ガラス
層13と同じようなガラスの組成物に、酸化チタン(T
iO2)粒子を含有させた薄膜である。
フ法、あるいはサンドブラスト法等の方法で隔壁形成原
料を塗布した後、これを焼成し、その後隔壁頂部に加工
処理を施すことによって形成されたものである。
ル噴霧法などの方法によって形成されたものである。な
お、蛍光体には、赤色、緑色、青色の3色を用いる。そ
して、例えば、以下のものを用いることができる。
極12a、維持電極12bとアドレス電極17とが直交
する状態に位置合わせして両パネルを貼り合わせる。そ
の後、隔壁19に仕切られた放電空間30内に放電ガ
ス、例えば、He−Xe系、Ne−Xe系の不活性ガス
を所定の圧力で封入する。
説明する。
いて説明すると、MgO蒸着源にSiを含有した物質を
混合し、酸素雰囲気中において、ピアス式電子ビームガ
ンを加熱源として、同時に加熱し所望の膜を形成した。
このときSiが持つ特有の自己拡散能力により、酸素雰
囲気中であるため、膜成長中にSi元素は常に膜表面に
移動する。このため、成膜終了時には、MgOとMg、
Siの酸化物の2層に分離された保護膜が得られる。
己拡散能力を利用するためには、通常の成膜時よりも基
板にエネルギーを与えることが必要である。本実施の形
態では基板温度を通常値よりも高く設定し、さらに酸素
分圧を通常値よりも高く設定して行った。
に紫外線を照射する手法や、オゾン雰囲気にて成膜する
手法や、蒸着源−基板間の距離を短くする手法などがあ
り、基板に通常よりもエネルギーを与える手法ならば同
様の構造の保護膜が得られ、同様の効果が得られる。
先述したように良好な画像表示品位を得るためには50
0〜15000ppmであることが必要であった。この
濃度はパネル形成後の膜分析およびサファイア基板に同
時成膜した試料の発光分光分析結果から見積もった。
0ppmの範囲内では、MgO膜内に均一に存在してい
ても同様の効果は得られるが、Si濃度500〜100
00ppmの範囲内では、MgOの膜成長方向に対して
濃度分布が存在し、MgO膜の放電ガスに接する側に密
に存在することが望ましい。
ダ状のMgO材料とパウダ状のSi含有の材料を混合
し、焼結したペレットを用いてもかまわない。あるいは
それを用いたスパッタリング方法でも同様の効果は得ら
れる。また、装置内のMgO蒸着源の容器にSiを含有
させる手法でも、上記同様に保護膜内にSiを含有させ
ることは可能である。
て説明すると、この場合も上述のSiの場合と同様に蒸
着方法を使用した。MgO蒸着源にPを含有した物質を
混合し、酸素雰囲気中において、ピアス式電子ビームガ
ンを加熱源として、同時に加熱し所望の膜を形成した。
このときSi同様、Pが持つ特有の自己拡散能力によ
り、酸素雰囲気中であるため、膜成長中にP元素は常に
膜表面に移動する。このため、成膜終了時には、MgO
とMg、Pの酸化物の2層に分離された保護膜が得られ
る。
拡散能力を利用するためには、通常の成膜時よりも基板
にエネルギーを与えることが必要である。本実施の形態
では基板温度を通常値よりも高く設定し、さらに酸素分
圧を通常値よりも高く設定して行った。
に紫外線を照射する手法や、オゾン雰囲気にて成膜する
手法や、蒸着源−基板間の距離を短くする手法などがあ
り、基板に通常よりもエネルギーを与える手法ならば同
様の構造の保護膜が得られ、同様の効果が得られる。
良好な画像表示品位が得られるためには100〜150
00ppmであることが効果的であった。この濃度はS
iの場合と同様にパネル形成後の膜分析およびサファイ
ア基板に同時成膜した試料の発光分光分析結果から見積
もった。
己拡散能力を利用して作製されたものだが、第1保護層
としてMgO、第2保護層としてSi、あるいはPの化
合物として多層構造を形成する場合でも同様の効果が得
られる。これら第2保護層を別途形成する場合、作製方
法としては、従来技術通り、第1保護層となるMgOを
成膜した直後、その表面を大気に晒すことなく、それら
第2保護層の原材料となる材料の成膜を行うことが望ま
しい。
ネシウム、珪素の酸化物、マグネシウム、燐の酸化物の
作製方法についてのみ示したが、この場合に限らず、M
g(OH)2、MgCO3、Mg(HCO3)2、Mg(N
O3)2等の標準生成エンタルピーよりも低い値をもつ物
質を第2保護層として用いるならば本発明の効果は得ら
れる。
放電空間内部の放電に面している部位では、放電ガスの
スパッタ作用によって、摩耗してくる。当然、第2保護
層であるMg、Siの酸化物層、あるいはMg、Pの酸
化物層も同様にスパッタ作用によって摩耗してくる。
拡散能力を保持しているため、スパッタされた後、保護
膜に再付着する際にも、最表面に拡散してくる。すなわ
ち、第2保護層は寿命劣化進行中においても常に形成さ
れ続けることになる。この結果、プラズマディスプレイ
パネルおよびそのパネルを用いた画像表示装置を経時的
に使用している最中でも本発明の効果は維持されること
になる。
を構成する第1および第2の電極が放電ガスに対して絶
縁層で被覆されたプラズマディスプレイパネルであっ
て、前記絶縁層のうちの少なくとも前記放電ガスと接す
る表層として、酸化マグネシウム[MgO]膜が設けら
れ、MgO膜の表層の少なくとも一部が、水酸化マグネ
シウム[Mg(OH)2]、炭酸マグネシウム[MgC
O3]、炭酸水素マグネシウム[Mg(HCO3)2]、
硝酸化マグネシウム[Mg(NO3)2]、硫酸化マグネ
シウム[MgSO4]等の標準生成エンタルピーよりも
低い値を持つ物質で覆われることにより、MgO膜の変
質層が形成されなくなり、かつパネル貼り合わせ後の放
電空間への不純物ガスの取り込みを防止することが可能
となり、その結果壁電荷消去問題が解決され、画像表示
品位が向上し、かつその良好な品位が長寿命的に維持で
きるようになる。
レイパネルを示す斜視図
1のA−A´線で切断した断面図
膜へのH2O吸着量およびCO2吸着量の違いを示す特性
図
性図
の変化を示す特性図
図
して構成した画像表示装置を示すブロック図
タイムチャート
Claims (31)
- 【請求項1】 主電極対を構成する第1および第2の電
極が放電ガスに対して絶縁層で覆われ、前記絶縁層が保
護膜で覆われたプラズマディスプレイパネルであって、
前記保護膜の表層の少なくとも一部が、前記保護膜の母
材の水酸化物、炭酸化物、硝酸化物および硫酸化物のう
ちのいずれかよりも標準生成エンタルピー値が低い物質
で覆われていることを特徴とするプラズマディスプレイ
パネル。 - 【請求項2】 保護膜が酸化マグネシウムであることを
特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネ
ル。 - 【請求項3】 酸化マグネシウムの表層の少なくとも一
部が、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水
素マグネシウム、硝酸化マグネシウムおよび硫酸化マグ
ネシウムのうちのいずれかよりも標準生成エンタルピー
値が低い物質で覆われていることを特徴とする請求項2
記載のプラズマディスプレイパネル。 - 【請求項4】 酸化マグネシウムの表層の少なくとも一
部が、標準生成エンタルピー値が−925kJ/mol
よりも低い物質で覆われていることを特徴とする請求項
2記載のプラズマディスプレイパネル。 - 【請求項5】 酸化マグネシウムの表層の少なくとも一
部が、標準生成エンタルピー値が−1096kJ/mo
lよりも低い物質で覆われていることを特徴とする請求
項2記載のプラズマディスプレイパネル。 - 【請求項6】 酸化マグネシウムの表層の少なくとも一
部が、標準生成エンタルピー値が−791kJ/mol
よりも低い物質で覆われていることを特徴とする請求項
2記載のプラズマディスプレイパネル。 - 【請求項7】 酸化マグネシウムの表層の少なくとも一
部が、標準生成エンタルピー値が−1284kJ/mo
lよりも低い物質で覆われていることを特徴とする請求
項2記載のプラズマディスプレイパネル。 - 【請求項8】 酸化マグネシウムの表層の少なくとも一
部が、燐または珪素を含む物質で覆われていることを特
徴とする請求項2記載のプラズマディスプレイパネル。 - 【請求項9】 燐を含む物質が、Mg3(PO4)2であ
ることを特徴とする請求項8記載のプラズマディスプレ
イパネル。 - 【請求項10】 珪素を含む物質が、MgSiO3およ
びMg2SiO4のうちの少なくとも一方であることを特
徴とする請求項8記載のプラズマディスプレイパネル。 - 【請求項11】 主電極対を構成する第1および第2の
電極が放電ガスに対して絶縁層で覆われ、前記絶縁層が
酸化マグネシウムの膜で覆われたプラズマディスプレイ
パネルであって、前記酸化マグネシウムは燐を含んでい
ることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 【請求項12】 酸化マグネシウムに含まれる燐の濃度
が、100〜15000ppmの範囲内であることを特
徴とする請求項11記載のプラズマディスプレイパネ
ル。 - 【請求項13】 酸化マグネシウムに含まれる燐の濃度
は、前記酸化マグネシウムの膜の成長方向に対して分布
差を有することを特徴とする請求項11記載のプラズマ
ディスプレイパネル。 - 【請求項14】 酸化マグネシウムに含まれる燐の濃度
の分布差は、絶縁層側と比較して放電ガスと接する側の
濃度が密であることを特徴とする請求項13記載のプラ
ズマディスプレイパネル。 - 【請求項15】 酸化マグネシウムの膜は、燐を含む層
と、燐を含まない層との多層構造であることを特徴とす
る請求項11記載のプラズマディスプレイパネル。 - 【請求項16】 主電極対を構成する第1および第2の
電極が放電ガスに対して絶縁層で覆われ、前記絶縁層が
酸化マグネシウムの膜で覆われたプラズマディスプレイ
パネルであって、前記酸化マグネシウムは珪素を100
00〜15000ppmの範囲内の割合で含んでいるこ
とを特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 【請求項17】 主電極対を構成する第1および第2の
電極が放電ガスに対して絶縁層で覆われ、前記絶縁層が
酸化マグネシウムで覆われたプラズマディスプレイパネ
ルであって、前記酸化マグネシウムは珪素を500〜1
5000ppmの範囲内の割合で含み、かつ前記酸化マ
グネシウムに含まれる珪素の濃度が前記酸化マグネシウ
ムの膜の成長方向に対して分布差を有することを特徴と
するプラズマディスプレイパネル。 - 【請求項18】 酸化マグネシウムに含まれる珪素の濃
度の分布差が絶縁層側と比較して放電ガスと接する側の
濃度が密であることを特徴とする請求項17記載のプラ
ズマディスプレイパネル。 - 【請求項19】 酸化マグネシウムの膜は、珪素を含有
する層と、珪素を含有しない層との多層構造であること
を特徴とする請求項17記載のプラズマディスプレイパ
ネル。 - 【請求項20】 主電極対を構成する第1および第2の
電極が放電ガスに対して絶縁層で覆われ、前記絶縁層が
酸化マグネシウムの膜で覆われたプラズマディスプレイ
パネルであって、前記酸化マグネシウムに燐および珪素
が含まれていることを特徴とするプラズマディスプレイ
パネル。 - 【請求項21】 酸化マグネシウムに、100〜150
00ppmの燐および500〜15000ppmの珪素
が含まれていることを特徴とする請求項20記載のプラ
ズマディスプレイパネル。 - 【請求項22】 酸化マグネシウムに含まれる燐および
珪素の濃度は、それぞれ前記酸化マグネシウムの膜の成
長方向に対して分布差を有することを特徴とする請求項
20記載のプラズマディスプレイパネル。 - 【請求項23】 酸化マグネシウムに含まれる燐および
珪素の濃度の分布差が絶縁層側と比較して放電ガスと接
する側の濃度が密であることを特徴とする請求項20記
載のプラズマディスプレイパネル。 - 【請求項24】 酸化マグネシウムの膜は、燐および珪
素を含む層と、燐または珪素のいずれかを含む層と、燐
および珪素を含まない層との多層構造であることを特徴
とする請求項20記載のプラズマディスプレイパネル。 - 【請求項25】 放電に面した表面に配設されかつ主構
成材料以外に少なくとも1つの元素を含む保護膜であっ
て、放電のエネルギーにより解離し保護膜の表面に再付
着する際に、常に放電に面する表面側に移動するもので
あることを特徴とする保護膜。 - 【請求項26】 主構成材料が酸化マグネシウムである
ことを特徴とする請求項25記載の保護膜。 - 【請求項27】 主構成材料以外の元素が珪素または燐
であることを特徴とする請求項25記載の保護膜。 - 【請求項28】 電極を覆う絶縁層が請求項25記載の
保護膜で覆われていることを特徴とするプラズマディス
プレイパネル。 - 【請求項29】 主電極対を構成する第1および第2の
電極が放電ガスに対して絶縁層で覆われ、前記絶縁層が
酸化マグネシウム膜で覆われたプラズマディスプレイパ
ネルの製造方法であって、ペレット状の酸化マグネシウ
ムと、ペレット状またはパウダ状の燐化合物、あるいは
ペレット状またはパウダ状の珪素化合物とを混合して同
時に加熱する蒸着方法によって酸化マグネシウム膜を形
成することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの
製造方法。 - 【請求項30】 主電極対を構成する第1および第2の
電極が放電ガスに対して絶縁層で覆われ、前記絶縁層が
酸化マグネシウム膜で覆われたプラズマディスプレイパ
ネルの製造方法であって、パウダ状の酸化マグネシウム
と、パウダ状の燐化合物、パウダ状の珪素化合物とを混
合した焼結体を加熱する蒸着方法によって酸化マグネシ
ウム膜を形成することを特徴とするプラズマディスプレ
イパネルの製造方法。 - 【請求項31】 主電極対を構成する第1および第2の
電極が放電ガスに対して絶縁層で覆われ、前記絶縁層が
酸化マグネシウム膜で覆われたプラズマディスプレイパ
ネルの製造方法であって、パウダ状の酸化マグネシウム
と、パウダ状の燐化合物、パウダ状の珪素化合物とを混
合した焼結体をターゲットとしてスパッタリング方法に
よって酸化マグネシウム膜を形成することを特徴とする
プラズマディスプレイパネルの製造方法。
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