JP4952790B2 - プラズマディスプレイ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、表示デバイス等に用いられるプラズマディスプレイパネルに関し、特に、放電開始時間の遅れを抑制したプラズマディスプレイパネルに関する。
プラズマディスプレイパネル(Plasma
Display Panel; 以下、PDPと略す)では、放電によって紫外線が生成され、蛍光体層に照射される。紫外線の照射された蛍光体層は可視光を放射し、その可視光によって画素が光り、画像が表示される。
このように、PDPにとって、放電は必要不可欠なものである。しかし、PDPの内部、特に放電電極(維持電極及び走査電極)を覆う被覆層は、放電中の陽イオンによってスパッタされ、徐々に劣化していく。また、スパッタされた分子は、放電電極に対向する蛍光体層に付着し、蛍光体層の発生する光量やその色特性(スペクトル)を劣化させる(特許文献1)。
このような放電電極被覆層の劣化や蛍光体層の色特性の劣化を防ぐため、PDP内部で放電に晒される部分すなわち前面基板に設けられた誘電体層は、酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層によって覆われている。
MgOは、耐スパッタ性に優れ、更に、二次電子放出係数が大きいという利点を有している。誘電体層は、このMgO保護層によって放電による劣化を免れている。更に、放電に晒されたMgOは、大量の二次電子を放出して、PDPにおける放電の発生及び維持を促進している。このようにMgO保護層は、PDPを構成する上で重要な部材である。
特開2002−352732号公報 特開2006−139999号公報
上述したように、MgOは、耐スパッタ性と高い二次電子放出係数を備えた、PDPの保護膜としては最適の材料である。しかし、MgOには、大気中に存在する水分(HO)等を吸着し易いという難点がある。従って、水等の除去(脱ガス処理)は、PDPの製造において、欠くことのできない重要な工程の一つである。例えば、PDPに放電ガスを封入する前にPDP全体が加熱され、MgOに吸着した水等が除去されている。
このような脱ガス処理を行っても、MgOに吸着した水等は完全には除去されない。その結果、PDP内に残留した水等によって、一部の画素が発光しなくなる表示抜けという現象が起こる。以下、この問題について説明する。
図1は、MgOからなる保護層を具備したAC(Alternating
Current)型PDPの分解斜視図である。
PDP1は、前面基板2と背面基板4とによって構成されている。そして、前面基板2と背面基板4は、背面基板4の外周部に設けられた封着材5によって貼り合わされ且つ密封されている。
前面基板2は、透明な第1の基板6と、第1の基板上に平行に配置された複数の第1の電極8(例えば、維持電極及び走査電極)からなる第1の電極群10と、第1の電極群10の上に形成された透明な第1の誘電体層12を備えている。
更に、前面基板2は、透明な第1の誘電体層12の上に形成され、隣接した第1の電極の間に繰り返し印加される電圧(以下、維持パルスと呼ぶ)で維持される放電(以下、維持放電と呼ぶ)に晒される保護膜14によって構成されている。
背面基板4は、第2の基板16と、第1の電極8に直交するように第2の基板16の上に配置された、複数の第2の電極18(アドレス電極)からなる第2の電極群20を備えている。
更に、背面基板4は、第2の電極群20の上に形成された第2の誘電体層22と、第2の誘電体層22の上に配置された複数の隔壁24と、隔壁24の側面と第2の誘電体層22の表面を覆う蛍光体層26を備えている。
そして、PDP1は、前記電圧(維持パルス)が繰り返し印加される一対の第1の電極8と第2の電極18に挟まれた空間(放電セル)で放電を発生させて紫外線を生成し、紫外線が照射された蛍光体層26が発生した光を放射する。
背面基板4には、カラー表示のため、赤(R)、緑(G)、青(B)の可視光を発生する蛍光体18が、順に繰り返し設けられている。すなわち、RGB夫々に対する放電セルが集まって一画素を構成し、このような画素が集合して画像を構成する。尚、前面基板2と背面基板4の間には、Ne−Xe等の放電ガスが封入されている。
ところで、維持パルスの印加方式には、2つの方式がある。第1の方式は、隣接した第1の電極8の間に、繰り返し維持パルスを印加する方式である。この場合、一方の電極が維持電極と呼ばれ、他方の電極が走査電極と呼ばれる。
第2の方式では、先ず、ある第1の電極(電極Aとする)と、その右隣の第1の電極8の間に維持パルスが印加される。次に、最初に述べた第1の電極(電極A)と、その左隣の第1の電極18の間に維持パルスが印加される。第2の方式は、このようなサイクルが繰り返される方式(Alternate Lighting of Surfaces Method;ALIS)である。
PDP1では、以下にようにして、放電が励起される。図2に、走査電極8、維持電極8、及びアドレス電極18に印加される駆動電圧の波形の一例を示す。(a)〜(c)は、それぞれリセット期間から表示期間(サステイン期間)にX電極(維持電極)、Y電極(走査電極)、アドレス電極に印加される駆動波形を示している。
まず、(a)(b)に示すように、X,Y電極に全セルに壁電荷を形成するY書き込み鈍波151とX書き込み電圧141が印加される。続いてセル内に形成された壁電荷を必要量残して消去するY補償鈍波152と142が印加される。
次のアドレス期間において印加される電圧波形は、各行の表示するセルを決める放電を行なう走査パルス153と、本放電により壁電荷を形成するためのX走査電圧143である。この走査パルス153は、行毎にタイミングをずらして印加される。その後の表示期間(サステイン期間)には、サステインパルス145、146、147、148、156、157、158、159が印加される。
(c)に示すように、アドレス期間においてアドレス電極18に印加される電圧波形は、列方向の表示するセルを決める放電を行なうアドレスパルス180である。尚、アドレスパルスは行毎に印加される走査パルスに合わせ、Y電極8とアドレス電極18の交点に位置する表示させたいセルにアドレス放電を起こすタイミングで印加される。
以上の駆動波形に加え、表示期間の最後に壁電荷消去のための電圧波形を加えることもある。このように、アドレス放電は、画素の発光を開始させるスタータとして機能する。
ところで、MgOには、大気中の水等を吸着し易いという性質がある。このため前面基板2に形成されたMgO保護層14は、成膜後、大気中の水等を大量に吸着してしまう。
そこで、前面基板2と背面基板4の貼り合わせ後に行われる放電ガスの封入に先立ち、貼り合わされたパネルを約300℃に加熱しながら、MgOを離脱した水等を排気する。この加熱処理によって、MgO保護層等に吸着した水等は除去される(脱ガス処置)。
しかし、このような脱ガス処理を行っても、MgO膜に吸着した水等を完全に除去することはできない。このため、完成したPDPの内部には、大気中の水等が残留してしまう。原因は明らかでないが、PDP中に水等が残留していると、書込みパルスが印加されてからアドレス放電が開始するまでに要する時間(アドレス放電遅れ)が、PDPを使用している間に漸次増加ししまう。
図3は、アドレス放電遅れの一例を示したものである。横軸は、維持放電を継続した時間である。縦軸は、アドレス放電遅れ(任意目盛り)である。図3に示すように、アドレス放電遅れは、PDPの使用開始後数十時間で4割程度増加し、その後も除々に増加して行く。
アドレス放電遅れの平均値は数μs程度である。しかし、PDPを構成する多くの放電セルの中には、アドレス放電遅れがこれより長いもの発生する。このような放電セルでは、アドレス放電が始まる前に、アドレスパルス180が終了してしまう。
その結果、このような放電セルでは、その放電セルに対応する画素が点灯しないか、又はRGBの一部が欠けてしまう。この現象は、表示抜けと呼ばれている。
そこで、本発明の目的は、PDP内部に残留する水等を少なくして、表示抜けを起こさないPDPを提供することである。
(第1の側面)
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面は、第1の基板上に配置された複数の電極と、該電極を覆う誘電体層と、該誘電体層の上に形成された第1の保護層32と、前記第1の保護層の上に形成された第2の保護層34と、前記第1の基板との間にガスが封入されて、放電空間を形成するように、前記第1の基板に対向して配置される第2の基板と、前記第2の基板上に形成された隔壁および蛍光体層とを備え、前記第1の保護層は放電空間に露出した前記第2の保護層よりも2次電子放出係数が高いことを特徴とする。
(第2の側面)
本発明の第2の側面は、第1の基板上に配置された複数の電極と、該電極を覆う誘電体層と、該誘電体層の上に形成された第1の保護層32と、前記第1の保護層の上に形成された第2の保護層34と、前記第1の基板との間にガスが封入されて、放電空間を形成するように、前記第1の基板に対向して配置される第2の基板と、前記第2の基板上に形成された隔壁および蛍光体層とを備え、放電空間に露出した前記第2の保護層は前記第1の保護層よりも硬度が大きいことを特徴とする。
(第3の側面)
本発明の第3の側面は、第1又は2の側面において、前記第1の保護層32が、酸化マグネシウム、アルカリ土類金属の酸化物、及びマグネシウム又はアルカリ土類金属元素を含む複合材料の何れかからなり、前記第2の保護層34は、BN、Al、ZrO、ダイヤモンドライクカーボン、CN、SiO、Si、SiNO、AlN、及びHfOからなる群から選択された材料又は前記群から選択された材料の複合材料からなることを特徴とする。
(第4の側面)
本発明の第3の側面は、第1又は2の側面において、
前記第2の保護層34は前記第1の保護層32より厚さが薄く、かつ、10nm以上70nm以下であることを特徴とする。
(第5の側面)
本発明の第5の側面は、プラズマディスプレイ装置において、透明な第1の基板と、前記第1の基板上に平行に配置された複数の第1の電極からなる第1の電極群と、前記第1の電極群の上に形成された透明な第1の誘電体層と、前記透明な第1の誘電体層の上に形成され、隣接した第1の電極の間に繰り返し印加される電圧で維持される放電によって二次電子を放出する二次電子放出層と、前記二次電子放出層の上に形成され、大気に晒された場合に吸着する水の量が、前記二次電子放出層が前記大気に晒された場合に吸着する水の量より少ない表面保護層を備えた前面基板と、第2の基板と、前記第1の電極に直交するように前記第2の基板の上に配置された複数の第2の電極からなる第2の電極群と、前記第2の電極群の上に形成された第2の誘電体層と、前記第2の誘電体層の上に、前記第2の電極を挟むように平行に配置された複数の隔壁と、前記隔壁の側面と前記第2の誘電体層の表面を覆う蛍光体層を備えた背面基板とを具備し、前記電圧が繰り返し印加される前記第1の電極と前記第2の電極に挟まれた空間で前記放電を発生させて紫外線を生成し、前記紫外線が照射された前記蛍光体層が発生した可視光を放射することを特徴とする。
第5の側面によれば、水を吸着し易い二次電子放出層を、水を吸着し難い表面保護層で覆うので、PDP内部に残留する水が少なくなる。その結果、アドレス放電遅れが短くなり、PDPの表示抜けが無くなる。
(第6の側面)
本発明の第6の側面は、第5の側面において、前記表面保護層が、大気に晒された場合に吸着する炭素化合物の量が、前記二次電子放出層が前記大気に晒された場合に吸着する炭素化合物の量より少ないことを特徴とする。
第6の側面によれば、炭素化合物を吸着し易い二次電子放出層を、炭素化合物を吸着し難い表面保護層で覆うので、PDP内部に残留する炭素化合物が少なくなる。その結果、アドレス放電遅れが短くなり、PDPの表示抜けが無くなる。
(第7の側面)
本発明の第7の側面は、第5の側面において、前記表面保護層の硬度が、MgOより高いことを特徴とする。
第7の側面によれば、MgOよりスパッタ耐性の高い表面保護層によって、二次電子放出層を覆うので、従来のMgO保護層より効果的に、前面基板を放電から保護することができる。
(第8の側面)
本発明の第8の側面は、第5の側面において、前記表面保護層が、前記放電に晒されても可視光を放射しない材料であることを特徴とする。
第8の側面によれば、表面保護層が発光することがないので、PDPの色特性が劣化しない。
(第9の側面)
本発明の第9の側面は、第1の側面において、前記表面保護層が、ランタノイドを構成元素とする化合物以外の材料からなることを特徴とする。
第9の側面によれば、表面保護層が発光することがないので、PDPの色特性が劣化しない。
(第10の側面)
本発明の第10の側面は、第5の側面において、前記表面保護層が、BN、Al、ZrO、ダイヤモンドライクカーボン、CN、SiO、Si、SiNO、AlN、及びHfOからなる群から選択された材料又は前記群から選択された材料の複合材料からなることを特徴とする。
第10の側面によれば、水を吸着し易い二次電子放出層を、水を吸着し難いBN等からなる表面保護層で覆うので、PDP内部に残留する水が少なくなり。その結果、アドレス放電遅れが短くなり、PDPの表示抜けが無くなる。
(第11の側面)
本発明の第11の側面は、第5の側面において、前記二次電子放出層が、酸化マグネシウム又はアルカリ土類金属の酸化物からなる材料或いは前記材料からなる複合材料からなることを特徴とする。
第11の側面によれば、酸化マグネシウム又はアルカリ土類金属の酸化物からなる材料或いは前記材料からなる複合材料で二次電子放出層を構成するので、放電に大量の二次電子を供給することができる。
(第12の側面)
本発明の第12の側面は、第5の側面において、前記二次電子放出層が、酸化マグネシウム又は酸化ストロンチウムからなることを特徴とする。
第12の側面によれば、MgO又はSrOによって二次電子放出層を構成するので、放電に大量の二次電子を供給することができる。
(第13の側面)
本発明の第13の側面は、プラズマディスプレイ装置において、透明な第1の基板と前記第1の基板上に、平行且つ交互に配置された複数の維持電極と複数の走査電極と、前記維持電極及び前記走査電極の上に形成された透明な第1の誘電体層と、前記透明な第1の誘電体層の上に形成されたMgOからなる、前記放電によって二次電子を放出する二次電子放出層と、前記二次電子放出層の上に形成されたBNからなる表面保護層を備えた前面基板と、第2の基板と、前記走査電極及び前記維持電極に直交するように、前記第2の基板の上に配置された複数のアドレス電極と、前記アドレス電極の上に形成された第2の誘電体層と、前記第2の誘電体層上に、前記アドレス電極を挟むように平行に配置された複数の隔壁と、前記隔壁の側面と前記誘電体層の表面を覆う蛍光体層を備えた背面基板を具備し、前記維持電極、前記走査電極、及びアドレス電極に挟まれた空間で前記放電を発生させて紫外線を生成し、前記紫外線が照射された前記蛍光体層が発生した可視光を放射することを特徴とする。
第13の側面によれば、水を吸着し易いMgOからなる二次電子放出層を、水を吸着し難いBNからなる表面保護層で覆うので、PDP内部に残留する水が少なくなり。その結果、アドレス放電遅れが短くなり、PDPの表示抜けが無くなる。
(第14の側面)
本発明の第14の側面は、透明な第1の基板と、前記第1の基板の上に平行に配置された複数の第1の電極からなる第1の電極群と、前記第1の電極群の上に形成された透明な第1の誘電体層と、 前記透明な第1の誘電体層の上に形成され、隣接した第1の電極の間に繰り返し印加される電圧で維持される放電によって二次電子を放出する二次電子放出層と、前記二次電子放出層の上に形成され、大気に晒された場合に吸着する水の量が、前記二次電子放出層が前記大気に晒された場合に吸着する水の量より少ない表面保護層を備えた前面基板と、第2の基板と、前記第1の電極に直交するように前記第2の基板の上に配置された複数の第2の電極からなる第2の電極群と、前記第2の電極群の上に形成された第2の誘電体層と、前記第2の誘電体層の上に、前記第2の電極を挟むように平行に配置された複数の隔壁と、前記隔壁の側面と前記第2の誘電体層の表面を覆う蛍光体層を備えた背面基板とを具備し、前記電圧が繰り返し印加される前記第1の電極と前記第2の電極に挟まれた空間で前記放電を発生させて紫外線を生成し、前記紫外線が照射された前記蛍光体層が発生した可視光を放射するプラズマディスプレイ装置の製造方法であって、前記第1の基板の上に、前記第1の電極群と、前記第1の誘電体層を形成する第1の工程と、前記な第1の誘電体層の上に、前記二次電子放出層を形成する第2の工程と、真空中で、前記二次電子放出層から水を離脱させる第3の工程と、前記真空中から前記第1の基板を大気中に取り出す前に、前記二次電子放出層の上に、前記表面保護層を形成する第4の工程と、前記第2の基板の上に、前記第2の電極群と、前記第2の誘電体層と、前記隔壁と、前記蛍光体層を形成する第5の工程を具備することを特徴とする。
第14の側面によれば、水を吸着し易い二次電子放出層を、水を吸着し難い表面保護層で覆うので、PDP内部に残留する水を少なくすることができる。その結果、アドレス放電遅れが短くなり、PDPの表示抜けが無くなる。
(第15の側面)
本発明の第15の側面は、第14の側面において、前記第3の工程が、前記真空中で、前記二次電子放出層の表面をイオンスパッタする工程であることを特徴とする。
第15の側面によれば、二次電子放出層に吸着した水等をより効果的に除去することができる。
本発明では、二次電子放出係数は大きいが水等を吸着し易いMgO等からなる二次電子放出層を、水等を吸着し難い表面保護層(例えばBN等)で覆う。従って、本発明によれば、PDP内部に残留する水等が少なくなり、その結果アドレス放電遅れが短くなるので、PDPの表示抜けが無くなる。
MgOからなる保護層を具備したAC(AlternatingCurrent)型PDPの分解斜視図である。 走査電極、維持電極、及びアドレス電極に印加される駆動電圧の波形を説明する図である。 放電時間とアドレス放電遅れの関係を示す図である。 実施の形態に係るプラズマディスプレイパネルの拡大断面図である。 実施例1におけるPDPの分解斜視図である。 表面保護層(BN、Al、及びZrO)と、二次電子放出層(MgO、CaO、及びSrO)の水の吸着性を定性的に表した図のである。 表面保護層(BN、Al、及びZrO2)と従来のMgOの硬度比(ビッカスー硬度の比)を示した図である。 BNからなる表面保護層のバルクに対する密度比を示す図である。 実施例1のPDPにおける放電時間とアドレス放電遅れの関係を示す図である。 実施例2におけるPDPの前面基板の製造工程図である。
符号の説明
1 PDP
2 前面基板
4 背面基板
5 封着材
6 第1の基板
8 第1の電極8(維持電極、走査電極)
10 第1の電極群
12 第1の誘電体層
14 保護層
16 第2の基板
18 第2の電極(アドレス電極)
20 第2の電極群
22 第2の誘電体層
24 隔壁
26 蛍光体層
30 実施例1のPDP
32 二次電子放出層(第1の保護層)
34 表面保護層(第2の保護層)
36 透明電極
38 バス電極
以下、図面にしたがって本発明の実施の形態について説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。なお、図面が異なっても対応する部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
(1)表面保護層(水の吸着)
本実施例は、PDP内部に残留する水等を少なくして、表示抜けを無くしたPDP(プラズマディスプレイ装置)に係るものである。
図4は、本実施の形態に係るPDPの拡大断面図である。
本実施の形態に係るPDPは、前面基板2内側の表面構造に特徴がある。前面基板2の表面近傍には、透明な第1の誘電体層12の上に形成され、隣接した第1の電極8(例えば、維持電極及び走査電極)の間に繰り返し印加される電圧で維持される放電(維持放電)によって二次電子を放出する、二次電子放出係数の大きい二次電子放出層32(例えばMgO)と、この二次電子放出層32の上に形成され、大気に晒された場合に吸着する水の量が、二次電子放出層32が大気に晒された場合に吸着する水の量より少ない表面保護層34(例えば、BN)が配置されている。すなわち、本実施の形態では、従来のMgO保護層に代わって、二次電子放出層32と二次電子放出係数の小さい表面保護層34が、PDP1の内面を覆っている。
MgO保護層は、大気に晒されると水(HO)を吸着する。一方、本実施の形態では、二次電子放出層32(例えば、MgO)は、表面保護層34(例えば、BN)で覆われ大気には晒されないので、水を吸着しない。更に、表面保護層34は、水の吸着量が二次電子放出層32より少ない材料によって構成される。すなわち、本実施の形態では、前面基板2の内面が、MgOより水の吸着量が少ない被膜によって覆われる。従って、本実施の形態によれば、PDP中に残留する水の量を少なくすることができる。その結果、PDPの表示抜けが無くなる。
従来のPDPでも、MgOに吸着した水等を除去するため、脱ガス処理が行われている。
脱ガス処理は、水等の再吸着を防ぐため、前面基板2と背面基板4の貼り合せ後、放電ガスの封入直前に行われる。しかし、前面基板2と背面基板4を貼り合わせる封着材5の融点が低いため、300℃より高い温度で脱ガス処理を行うことは困難である。このような加熱処理では、MgO保護層に吸着した水等を完全に離脱させることは困難である。
PDP1は、周囲が封着層(図示せず)によって密封されている。一方、背面基板4には、細い排気管が装着される。加熱処理によってMgO保護層から離脱した水等は、この排気管を通して排気される。しかし、細い排気管を通して、MgO保護層から離脱した水等の全部を排気することは困難である。このため、加熱処理によってMgOから離脱した水等の一部は、排気されずにPDP1の内部に残留してしまう。
すなわち、MgO保護層を用いたPDPでは、加熱温度を十分に高くすることができないので、MgO保護層から水等を十分に離脱させることができない。しかも離脱した水等も、その一部は排気されずにPDP内に残留してしまう。従って、MgO保護層を用いたPDPの内部には、完成後も一定量の水等が残留している。
一方、本実施の形態におけるPDPでは、MgO等の二次電子放出層32から、水等を十分に離脱させることが可能である。
例えば、前面基板2と背面基板4を貼り合わせ前に、前面基板2をスパッタ装置に装着し、前面基板に負のバイアスを印加して、例えばMgOからなる二次電子放出層32の表面を真空中でイオンスパッタする。MgOに吸着した水等は、このスパッタによって殆ど除去されてしまう。すなわち、真空中で、二次電子放出層から水等を離脱させる。
次に、真空から前面基板2(すなわち、第1の基板6)を大気中に取り出す前に、同一装置内で、二次電子放出層32の上に、表面保護層34(例えば、BN膜)をスパッタ法によって形成する。
このようにすれば、前面基板2を大気に晒しても、表面保護層(例えば、BN膜)34に覆われた二次電子放出層32に水等が吸着することはない。
一方、表面保護層34は、水の吸着量が二次電子放出層より少ない材料(例えば、BN)で構成されている。従って、放電ガス封入前の脱ガス処理を行う以前に、すでにPDPの水の吸着量が少なくなっている。故に、脱ガス処理によって、表面保護層34や蛍光体層24に僅かに吸着した水等を除去することによって、PDP内に残留する水を殆ど無くすことができる。
尚、表面保護層34は、真空装置内で二次電子放出層32を300℃以上の高温で加熱して水等を離脱させた後、同一真空装置で二次電子放出層32の上に形成してもよい。或いは、前面基板2に二次電子放出層32を真空蒸着により形成した後、直ちに、同一真空装置中で表面保護層34を形成してもよい。
ところで、「大気に晒された場合に吸着する水の量が、二次電子放出層が大気に晒された場合に吸着する水の量より少ない表面保護層」とは、二次電子放出層32と表面保護層34を夫々成膜後同一条件で大気に晒した場合(例えば、同一面積の二次電子放出層32と表面保護層34を、成膜後工場内の大気に同時に1時間晒す)に、二次電子放出層に吸着した水の量より少ない量の水が吸着した表面保護層を意味する。水の吸着量は、昇温脱離法 TPD(Temperature Programmed Desorption)によって測定可能である。
表面保護層の水の吸着量(大気に晒された場合に吸着する水の量)は、少ないほど好ましい。すなわち、表面保護層の水の吸着量は、二次電子放出層の水の吸着量より少ないことが好ましい。また、表面保護層の水の吸着量が、二次電子放出層の水の吸着量の1/3より少ないことが更に好ましい。また、表面保護層の水の吸着量が、二次電子放出層の水の吸着量の1/10より少ないことが最も好ましい。例えば、表面保護層の水の吸着量は零であってもよい。
ところで、MgO保護層は直接維持放電に晒され、その衝撃によって二次電子が放出される。一方、本実施の形態では、二次電子放出層32は、表面保護層34で覆われていて維持放電には直接晒されない。しかし、放電中のイオン又は電子は、表面保護層34を貫通し二次電子放出層32に衝撃を与える。その結果、大量の二次電子が発生するので、アドレス放電及び維持放電の発生及び成長が、表面保護層34によって妨げられることはない。
(2)表面保護層(炭素化合物の吸着)
二次電子放出層32に適した材料としては、Mgと同じ第2族元素に属するアルカリ土類金属(Ca,Sr,Ba,Ra)の酸化物がある。MgOを含めこれらの酸化物には、水(HO)だけでなく大気中の炭素化合物(例えば、CO)も吸着し易い。このような炭素化合物も、放電遅れを生じる原因となる。従って、二次電子放出層32の表面保護層34としては、大気に晒された場合に吸着する炭素化合物の量が、二次電子放出層が大気に晒された場合に吸着する炭素化合物の量より少ないものほどことが好ましい。
すなわち、二次電子放出層32の表面保護層34としては、大気に晒された場合に吸着する炭素化合物の量が、二次電子放出層が大気に晒された場合に吸着する炭素化合物の量より少ないことが好ましい。また、表面保護層の炭素化合物の吸着量が、二次電子放出層の炭素化合物の吸着量の1/3より少ないことが更に好ましい。また、表面保護層の炭素化合物の吸着量が、二次電子放出層の炭素化合物の吸着量の1/10より少ないことが最も好ましい。例えば、表面保護層の炭素化合物の吸着量は、零であってもよい。
(3)耐スパッタ性
また、表面保護層34としては、二次電子放出層32を、放電によるスパッタから保護するものであることが好ましい。従って、隣接した第1の電極8の間に繰り返し印加される電圧で維持される放電(維持放電)によってスパッタされる表面保護層34膜の厚さは、表面保護層34が形成されない場合に、維持放電によってスパッタされる二次電子放出層32の厚さより薄いことが望ましい。
ここで、「放電によってスパッタされる表面保護層の厚さ」及び「表面保護層が形成されない場合に、放電によってスパッタされる二次電子放出層の厚さ」とは、二次電子放出層の上に形成された表面保護層と表面保護層で覆われていない二次電子放出層を、夫々が組み込まれたPDPによって、同一の駆動条件(放電電圧、放電周期等)の下で生成される維持放電に同じ時間晒した場合にスパッタされる夫々の厚さをいう。
従って、「放電によってスパッタされる表面保護層の厚さ」は、薄いほど好ましい。すなわち、「放電によってスパッタされる表面保護層の厚さ」は、「表面保護層が形成されない場合に、放電によってスパッタされる二次電子放出層の厚さ」より薄いことが好ましい。または、「放電によってスパッタされる表面保護層の厚さ」は、「表面保護層が形成されない場合に、放電によってスパッタされる二次電子放出層の厚さ」の1/3より薄いことが更に好ましい。または、「放電によってスパッタされる表面保護層の厚さ」は、「表面保護層が形成されない場合に、放電によってスパッタされる二次電子放出層の厚さ」の1/10より薄いことが最も好ましい。例えば、「放電によってスパッタされる表面保護層の厚さ」は、零であってもよい。
(4)非発光性
また表面保護層34が、維持放電に晒されても可視光を放射しないことが望ましい。二次電子放出層の上に、耐スパッタ性に優れた保護膜を設けることは既に提案されている(特許文献2)。この提案で用いられている保護膜は、La等のランタノイド酸化物又はYである。ランタノイドの酸化物は、放電に晒されると可視光を放射する。この可視光によって、PDPに表示される画像は劣化する。従って、表面保護層32が、ランタノイドを構成元素とする化合物以外の材料からなることが好ましい。すなわち、表面保護層は、維持放電に晒されても可視光を放射しない材料で構成されることが好ましい。従って、表面保護層は、ランタノイドを構成元素とする化合物以外の材料からなることが好ましい。
一方、Yが、放電に晒せれると可視光を放射するとの報告はない。ただし、Yは水の吸着量が多く表面保護層には適さない。
(5)表面保護層の材料
以上のような点を総合すると、表面保護層34は、BN、Al、ZrO、ダイヤモンドライクカーボン、CN、SiO、Si、SiNO、AlN、及びHfOからなる群から選択された材料からなることが好ましい。または、BN、Al、ZrO、ダイヤモンドライクカーボン、CN、SiO、Si、SiNO、AlN、及びHfOからなる群から選択された材料からなる複合材料(混合物)であることが好ましい。
図6は、表面保護層34の材料として好ましいBN、Al、及びZrOと、二次電子放出層32の材料として好ましいMgO、CaO、及びSrOの水の吸着性(大気に晒された場合に吸着する水の量)を定性的に表したものである。
横軸は材料であり、縦軸は水の吸着性である。図6に示すように、二次電子放出層に適した酸化マグネシウム(MgO)及びアルカリ土類金属の酸化物(CaO、SrO)は、水の吸着性が大きい。特に、アルカリ土類金属酸化物(CaO、SrO)の水の吸着性は大きく、現在保護層として使用されているMgOの更に3倍以上である。
一方、BN、Al、及びZrOには、殆ど水は吸着しない。これらの材料は化学的に安定であり、水を構成する水酸基(OH)とは殆ど反応しない。このため、これらの材料は大気中の水を殆ど吸着しない。
図7は、表面保護層34の材料として好ましいBN、Al、及びZrOと、従来のPDPで保護膜として利用されているMgOの硬度比(ビッカスー硬度の比)を示したものである。横軸は材料であり、縦軸は硬度比である。
放電に対する耐性と硬度は相関関係があり、硬度が大きいほど放電に対する耐性も強くなる。図7に示したように、BN、Al、及びZrOは、MgOより硬度が高く、スパッタ耐性がMgOより優れている。
すなわち、表面保護層の硬度は、MgOより大きいことが好ましい。特に、BNは、MgOより6倍以上硬度が大きい。従って、BNが放電によってスパッタされる厚さは、MgOより相当程度薄い。
このように、BNは、非吸水性及びスパッタ耐性何れをとっても、表面保護層の材料として優れている。
(6)二次電子放出層の材料
第2族元素の酸化物、特に、酸化マグネシウム及びアルカリ土類金属の酸化物(MgO,CaO,SrO,BaO,RaO)は、二次電子放出係数が大きい(特許文献1)。従って、二次電子放出層32は、酸化マグネシウム(MgO)又はアルカリ土類金属の酸化物(CaO,SrO,BaO,RaO)からなる材料或いはこれら材料からなる複合材料(混合物)であることが好ましい。特に、二次電子放出層は、酸化マグネシウム又は酸化ストロンチウムであることが好ましい。
本実施例は、PDP内部に残留する水等を少なくして、表示抜けが起こさないようにしたPDP(プラズマディスプレイ装置)の構造に係るものである。
図5は、本実施例におけるPDP30の分解斜視図である。
本実施例に係るプラズマディスプレイパネル30は、前面基板2と背面基板4とによって構成されている。そして、前面基板2と背面基板4は、背面基板4の外周部に設けられた封着材(図示せず)によって貼り合わされ且つ密封されている。
前面基板2は、透明な第1の基板6(ガラス基板)と、第1の基板上に平行に配置された複数の第1の電極8(維持電極及び走査電極)からなる第1の電極群10と、前記第1の電極群10の上に形成された透明な第1の誘電体層12を備えている。ここで、第1の電極8は、ITO(Indium Tin Oxide)からなる透明電極と、この透明電極の上に形成されたCr/Cu/Crからなるバス(BUS)電極によって構成されている。
更に、前面基板2は、透明な第1の誘電体層12の上に形成され、隣接した第1の電極8(維持電極及び走査電極)の間に繰り返し印加される電圧で維持される放電(維持放電)によって二次電子を放出する、厚さ700nmのMgOからなる二次電子放出層32と、この二次電子放出層32の上に形成され、大気に晒された場合に吸着する水の量が、二次電子放出層32が大気に晒された場合に吸着する水の量より少ない、厚さ50nmのBNからなる表面保護層34を備えている。ここで二次電子放出層32は、表面保護層34を貫通した放電によって二次電子を放出する。
一方、背面基板4は、第2の基板16(ガラス基板)と、第1の電極8に直交するように第2の基板16の上に配置された複数の第2の電極18(アドレス電極)からなる第2の電極群20と、第2の電極群20の上に形成された第2の誘電体層22と、第2の誘電体層22の上に、前記第2の電極を挟むように平行に配置された複数の隔壁24と、隔壁24の側面と第2の誘電体層22の表面を覆う蛍光体層26を備えている。
そして、PDP30は、電圧が繰り返し印加される前記第1の電極8と第2の電極18に挟まれた空間(放電セル)で放電(維持放電)を発生させて紫外線を生成し、紫外線が照射された前記蛍光体層が発生した可視光を放射する。このようにして発光した放電セルによって画素が構成される。そして、多数の画素が集まって画像が表示される。
BNからなる表面保護層32の厚さは、10nm以上70nm以下が好ましい。表面保護層34が厚すぎると、放電に晒されても二次電子放出層32から二次電子が放出されなくなる。また、作業効率を考えると、表面保護層32の厚さは、二次電子放出層の1割以下が好ましい。従って、表面保護層32の厚さは、70nm以下が好ましい。
BN膜は、下記実施例2で述べるようにスパッタによって成膜する。このようにして成膜したBNは、図8に示すように、膜厚が10nm以下では密度が安定していない。このためる10nm以下のBN膜は表面保護層32として使用するには、不適当である。尚、図8の縦軸は、バルクBNに対するBN膜の密度比(薄膜密度/バルク密度)である。横軸は、成膜したBN膜の膜厚である。
図9は、以上のように構成したPDPのアドレス放電遅れと放電時間の関係を示した図である。横軸は、維持放電の継続時間である。縦軸は、アドレス放電遅れ(任意目盛り)である。図9に、「■」で示した点が、本実施例におけるPDPのアドレス放電遅れである。図9には、表面保護層34を設けなかった場合のアドレス放電遅れも、「○」で示してある。維持放電パルスの振幅は180Vであり、その周波数は45kHzである。アドレス放電遅れの計測は、最初のアドレス放電後横軸に示した時間維持放電を継続した後、放電を10ms休止し、再度アドレス放電を行ってその放電遅れを測定した。
図9に示すように、表面保護層34を設けなかった場合(○)、アドレス放電遅れは、PDPの使用開始後数十時間で4割程度増加し、その後も除々に増加して行く。一方、表面保護層34を設けた場合(■)、アドレス放電遅れは、使用時間が増すにつれて減少する。このため、本実施例におけるPDPでは、表示抜けは殆ど起こさない。
なお、本実施例におけるPDPでは、維持電極と走査電極が対をなし、両者の間に繰り返し維持パルスが印加される。しかし、本実施例のPDPに対する維持パルスの印加方法は、このような方法に限られない。例えば、維持パルスの印加される電極対が交互に変化するALISのような方式であってもよい。
本実施例は、PDP内部に残留する水等を少なくして、表示抜けを起こさないようにしたPDP(プラズマディスプレイ装置)の製造方法に係るものである。本実施例で製造されるPDPの構造は、実施例1で説明したPDPと同じである。PDPの製造は、以下の手順で製造される。
まず、前面基板2を製造する。
図10は、前面基板の製造工程を示した図である。まず、第1の基板6の上に、第1の電極群10と第1の誘電体層12を形成する。これらの製造工程は、例えば特許文献1に記載された従来のAC型PDPと同じである。
即ち、第1の基板の上にITOかなる透明電極36を形成する(ステップ1)。次に、透明電極の上に、Cr/Cu/Crからなるバス(BUS)電極38を形成する(ステップ2)。以上の工程により、第1の電極群10が完成する。次に、第1の誘電体層12を、第1の電極群10の上に形成する(ステップ3)。
次に、透明な第1の誘電体層12の上に、二次電子放出層32となるMgO膜を700nm真空蒸着装置内で蒸着する(ステップ4)。
次に、MgO膜の蒸着された第1の基板6を真空蒸着装置から取り出し、BN膜形成のためのスパッタ装置に装着する。次に、MgO膜に負の電圧を印加して、MgO膜の表面をスパッタする。このスパッタにより、MgO膜に吸着した水等が除去される。すなわち、真空中で、二次電子放出層32から水等を離脱させる(ステップ5)。
次に、同一装置内で、BN焼結体をターゲットとして、MgO膜上に、BN膜からなる表面保護層34を50nmスパッタで堆積する。すなわち、水等を離脱させた真空から第1の基板6を大気中に取り出す前に、二次電子放出層32の上に、表面保護層34を形成する(ステップ6)。
なお、二次電子放出層32は、液体状の有機金属塩を用いるスプレー法やMgO微粉末からなるペーストを塗布する微粉末塗布法を用いて形成してもよい。また、表面保護層は、CVD法(Chemical Vapor Deposition Method)や蒸着法等の気相成長法で形成してもよい。
次に、背面基板4を製造する。背面基板の製造方法は、例えば特許文献1に記載された従来のAC型PDPの背面基板4の製造方法と同じである。
最後に、前面基板2と背面基板4を、第1の電極10(維持電極及び走査電極)と第2の電極20(アドレス電極)が直交するように位置合わせをして、背面基板4の外縁に設けた封着材によって両者を貼り合せる。
その後、貼り合された前面基板2と背面基板4を熱処理し、表面保護層34等に僅かに吸着した水等を、背面基板4に設けられた排気管を通して排気する。その後、この排気管を通して、Ne−Xeからなる放電ガスを、PDP内に充填する。最後に、この排気管を塞いでPDPを完成する。
本発明は、電子機器の製造業、特にPDPの製造業で利用可能である。

Claims (1)

  1. 透明な第1の基板と、
    前記第1の基板上に、平行且つ交互に配置された複数の維持電極と複数の走査電極と、
    前記維持電極及び前記走査電極の上に形成された透明な第1の誘電体層と、
    前記透明な第1の誘電体層の上に形成されたMgOからなる、前記放電によって二次電子を放出する二次電子放出層と、
    前記二次電子放出層の上に形成されたBNからなる表面保護層を備えた前面基板と、
    第2の基板と、
    前記走査電極及び前記維持電極に直交するように、前記第2の基板の上に配置された複数のアドレス電極と、
    前記アドレス電極の上に形成された第2の誘電体層と、
    前記第2の誘電体層上に、前記アドレス電極を挟むように平行に配置された複数の隔壁と、
    前記隔壁の側面と前記誘電体層の表面を覆う蛍光体層を備えた背面基板を具備し、
    前記維持電極、前記走査電極、及びアドレス電極に挟まれた空間で前記放電を発生させて紫外線を生成し、前記紫外線が照射された前記蛍光体層が発生した可視光を放射するプラズマディスプレイ装置。
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