JP2003107610A - ハロゲン化銀写真乳剤 - Google Patents

ハロゲン化銀写真乳剤

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JP2003107610A
JP2003107610A JP2001296908A JP2001296908A JP2003107610A JP 2003107610 A JP2003107610 A JP 2003107610A JP 2001296908 A JP2001296908 A JP 2001296908A JP 2001296908 A JP2001296908 A JP 2001296908A JP 2003107610 A JP2003107610 A JP 2003107610A
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Masafumi Shirata
雅史 白田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高効率な青色吸収を示し、感度、かぶりが良
好なハロゲン化銀乳剤を提供する。 【解決手段】 全ハロゲン化銀粒子投影面積の50%以
上が、主表面が平滑な{111}面であるハロゲン化銀
平板状粒子と分散媒とを含有し、該平板状粒子の主表面
上に97モル%以上のヨウ化銀を含むハロゲン化銀から
なるエピタキシャル相が接合しており、且つ該平板状粒
子の側面における{100}面の面積比率が50%以上
であるハロゲン化銀写真乳剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感光性ハロゲン化
銀乳剤、特に写真用ハロゲン化銀平板粒子乳剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に平板状ハロゲン化銀粒子(以下
「平板粒子」という)は、特にその厚さが薄いハロゲン
化銀乳剤では、その写真特性として 1)体積に対する表面積の比率(以下「比表面積」とい
う)が大きく、多量の増感色素を表面に吸着することが
できるため、固有感度に対して、色増感感度が高い。 2)平板粒子を含む乳剤を塗布し、乾燥した場合、その
粒子が支持体表面に平行に配列するため塗布層の厚さを
薄くでき、その写真感光材料のシャープネスが良い。 3)光散乱が少なく、解像力の高い画像が得られる。 4)ブルー光に対する感度が低いため、緑感層または、
赤感層に用いた場合に乳剤層中からイエローフィルター
が除去できる。等の利点を有するため、従来から高感度
の市販感光材料に用いられてきている。特公平6−44
132号、特公平5−16015号には、アスペクト比
8以上の平板粒子乳剤が開示されている。ここでいうア
スペクト比とは、平板粒子の厚さに対する直径の比率で
示される。さらに粒子の直径とは、乳剤粒子を顕微鏡ま
たは電子顕微鏡で観察した時、粒子の投影面積と等しい
面積を有する面の直径を指すものとする。また、厚みは
平板ハロゲン化銀をを構成する二つの平行な面の距離で
示される。
【0003】また、特公平4−36374号には、緑感
乳剤層、赤感乳剤層の少なくとも一層に、厚さ0.3μ
m未満、直径0.6μm以上である平板粒子を用いるこ
とにより、鮮鋭度と感度及び粒状性を向上させたカラー
写真感光材料が記載されている。しかるに近年、ハロゲ
ン化銀感光材料の高感度化及び小フォーマット化が進
み、より高感度で画質の改良されたカラー感光材料が強
く望まれている。そのため、より高感度で、より粒状性
の優れたハロゲン化銀粒子乳剤が要求されているが、従
来の平板ハロゲン化銀乳剤ではこれらの要求に応えるに
は、不十分であり、より一層の性能向上が望まれてい
た。また、アスペクト比の大きい平板粒子ほど比表面積
が大きくなるので上記の平板粒子の利点を大きく活用す
ることができる。しかしながら、平板粒子はより多くの
増感色素を吸着可能にすることと同時に、その欠点とし
ては入射光をより多く反射させることとなり、期待通り
の光吸収の増加を得ることが困難になる。
【0004】一方、ヨウ化銀は、非常に高い圧力レベル
(大気圧の3,000〜4,000倍)でのみ面心立方
結晶格子構造を示す。この形のヨウ化銀は、σ相ヨウ化
銀と呼ばれ、ハロゲン化銀写真には関連していない。通
常最も安定であるヨウ化銀結晶構造は、一般的にβ相ヨ
ウ化銀と呼ばれる六方晶ウルツ鉱型である。また写真的
に有用である十分に安定な第二のヨウ化銀結晶格子構造
は、一般的にγ相ヨウ化銀と呼ばれる面心立方閃亜鉛鉱
(zinc−blende)型結晶構造のヨウ化銀であ
る。β相結晶構造及びγ相結晶構造のそれぞれ並びにこ
れらの相の混合物を含有するヨウ化銀乳剤が製造されて
きている。ヨウ化銀の四番目の結晶学的形態はα相、即
ち体心立方結晶構造であり、これは上記引用したJam
es 著、「写真処理の理論(The Theory
of PhotographicProcess)」第
1頁に、その生成のためには146℃の温度を必要とす
ると記載されているが、Daubendiekの米国特
許第4,672,026号に報告されている「明黄色」
(bright yellow)ヨウ化銀は、実際に、
α相ヨウ化銀であると信じられる(James の第1
〜5頁は、これ及びこの検討の後の部分に関連してい
る)。
【0005】高ヨウ化物ハロゲン化銀粒子は、これがス
ペクトルの短い(400〜450nmの)青色領域に於
いて、より高い固有吸収を示す点で、面心立方結晶格子
構造ハロゲン化銀粒子よりも顕著な利点を有している。
特に、高ヨウ化物ハロゲン化銀は、塩化銀や臭化銀には
ない425nmでの吸収ピークを示し、ヨウ化銀結晶格
子構造は一般に、全銀基準で97モル%より多いヨウ化
物(以下高ヨウ化物という)を含む、すなわち少量のみ
の臭化物及び/又は塩化物を含有するものとして同定さ
れる。Maternaghanの米国特許第4,18
4,878号は、高ヨウ化物ハロゲン化銀乳剤の実例で
ある。しかしながら、高ヨウ化物ハロゲン化銀粒子は、
増感することが困難であること、市販の現像液で現像す
ることが困難であること等から、潜像形成性ハロゲン化
銀粒子としてのその使用を著しく抑制する。そこで、上
記の平板粒子の持つ利点とヨウ化銀の持つ高い光吸収率
の両者を同時に実現し、また両者の欠点を補うことを目
指して、面心六方結晶格子構造を有するハロゲン化銀平
板粒子表面で、高ヨウ化物相とを接合させることが折に
ふれて提案されてきた。
【0006】米国特許第4,471,050号は、追加
の部位指向体に頼らずに非同形銀塩類をハロゲン化銀ホ
スト粒子のエッジ上に選択的に付着できることを開示す
る。この非同形銀塩には、チオシアン酸銀、β相ヨウ化
銀(六方晶系ウルツタイプ結晶構造を示す)、γ相ヨウ
化銀(亜鉛配合タイプ結晶構造を示す)、燐酸銀(メタ
−及びピロ−燐酸塩を含む)、及び炭酸銀が含まれる。
これらの非同形銀塩のいずれも写真用ハロゲン化銀に見
られるタイプ(即ち、岩塩タイプの同形面心立方結晶構
造)の面心立方結晶構造を示さない。実際には、非同形
銀塩エピタキシーにより生じる感度向上は、比較の同形
銀塩エピタキシャル増感で得られる増大分よりも小さか
った。特開2000−2959号は、厚さ0.1μm以
下の{111}平板の主表面上に、10モル%以下のヨ
ウドを含む投影面積径で0.15μm以下の微小突起物
からなるラッフル面を有する平板ハロゲン化銀粒子が開
示されている。該発明においては、平板粒子の厚さを薄
くせずに比表面積を増加させるため、色素吸着量の増加
及び光反射の少ない平板ハロゲン化銀粒子を提供するこ
とができる。しかしながら、該突起物にヨウ化銀を含有
せしめたことは、光吸収向上を目的としておらず、該突
起物の形態安定性を維持するためであり、ヨウ化銀の持
つ高効率な光吸収といった写真的に有用な性質が充分に
発揮されているとは言い難い。
【0007】米国特許5,604,086号は、岩塩型
面心立方格子構造の平板粒子の主表面上に、高ヨウ化物
エピタキシャル相を成長させたハロゲン化銀粒子を有す
る乳剤の実例である。{111}平板粒子の主表面上に
高ヨウド含有率のエピタキシャル相を有するコンポジッ
ト粒子で、該粒子中の高ヨウ化物エピタキシャル相が三
角または六角の面形状を形成し、その高ヨウ化物相が青
色の光吸収率を格段にアップさせることが開示されてい
る。しかし、エピタキシャル相が平板粒子の主表面の
{111}面だけでなく側面の{111}面にも沈積し
てしまうため、化学増感を困難にする等といった問題点
があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】即ち、高ヨウ化物相の
短波の高い青吸収を利用した高感度化を実現し且つ、高
ヨウ化物による化学増感阻害を受けないハロゲン化銀乳
剤を提供することが本発明の目的である。 {111}平板粒子(ホスト平板粒子)の側面における
{100}面の面積比率が高いことで、理想的には高ヨ
ウ化物エピタキシーが側面には配置せず、主表面のみに
配置されないことによって、感度/かぶり比の高いハロ
ゲン化銀乳剤が提供される。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は下記の事
項によって達成された。 (1) 分散媒と全投影面積の50%以上が主表面が平
滑な{111}面であるハロゲン化銀平板状粒子(以
下、ホスト平板粒子と略記する場合あり)とを含有する
ハロゲン化銀乳剤において、該平板状粒子の主表面上に
97モル%以上のヨウ化銀を含むハロゲン化銀からなる
エピタキシャル相(高ヨウ化物エピタキシャル相)が接
合しており、且つ該平板状粒子の側面における{10
0}面の面積比率が50%以上であることを特徴とする
ハロゲン化銀乳剤。 (2) 該ハロゲン化銀平板状粒子の側面における{1
00}面の面積比率が67%以上であることを特徴とす
る(1)に記載のハロゲン化銀乳剤。 (3) 該ハロゲン化銀平板状粒子の全投影面積の50
%以上が、頂点部及び/または側面部及び/または主表
面部に、実質的にヨウド含量が10モル%以下のハロゲ
ン化銀のエピタキシャル(低ヨウ化物エピタキシャル
相)を1粒子当り少なくとも1個含有することを特徴と
する(1)〜(2)いずれかに記載のハロゲン化銀乳
剤。 (4) 該ハロゲン化銀平板状粒子の主表面の中心から
80%以上の外周部位に転位が存在し、且つ該平板状粒
子が粒子全体の90%以上を占めることを特徴とする
(1)〜(3)いずれかに記載のハロゲン化銀乳剤。 (5) 該ハロゲン化銀平板状粒子の全投影面積の50
%以上がアスペクト比が8以上であることを特徴とする
(1)〜(4)いずれかに記載のハロゲン化銀乳剤。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳細
に説明する。本発明の写真乳剤において、平板状粒子
(以下、ホスト平板粒子と記す)は、その主表面が{1
11}面である。{111}面を主表面とする平板粒子
は、1枚の双晶面か2枚以上の平行な双晶面を有するハ
ロゲン化銀粒子の総称である。双晶面とは{111}面
の両側ですべての格子点のイオンが鏡像関係にある場合
にこの{111}面の事をいう。この平板粒子は上から
見た時に三角形状、六角形状もしくはこれらが丸みを帯
びた形状をしており、三角形状のものは三角形の、六角
形状のものは六角形の、丸みをおびた平板粒子はそれぞ
れの角が丸くなった形の互いに平行な外表面を有してい
る。本発明におけるエピタキシャル相は、ホスト平板粒
子の主表面上に存在し、且つ、97モル%以上の高ヨウ
化物を含有している(高ヨウ化物エピタキシャル相と略
記する場合あり)。ヨウ化銀は溶解度が低いために形態
安定性が高く、また青色吸収を稼ぐことができる。ヨウ
化物以外のハロゲン化物が多量に含まれる場合、光吸収
率が低くなる。前記高ヨウ化物に他のハロゲン化物(塩
化物や臭化物)が混入するのはホスト平板粒子乳剤と平
衡状態にある臭化物イオン及び/または塩化物イオンの
存在下でそのホスト平板粒子乳剤に銀イオンおよびヨウ
化物イオンを導入することによって高ヨウ化物エピタキ
シャル相の析出を行った結果である。高ヨウ化物エピタ
キシャル相へのヨウ化物以外のハロゲン化物の混入をな
るべく防ぐことが、高効率な光吸収を稼ぐには有効であ
る。この目的で形成されるエピタキシャル相の60%以
上が97モル%のヨウ化銀であることが本発明には好ま
しい。
【0011】本発明乳剤を400〜450nmの短波の
光で露光した場合、通常、光子は平板粒子だけではなく
主表面上に在する高ヨウ化物エピタキシャル部位で吸収
される。該エピタキシャル相は、平板粒子の上側と下側
に存在するため、短波の青色光を上下の高ヨウ化物エピ
タキシャル部位で全光子の60〜70%を吸収すること
ができる。高ヨウ化物エピタキシャル部位が平板粒子の
フリンジ部や頂点部に存在している場合、吸収できる光
子は非常に少なくなってしまうことから、理想的には主
表面の外側に高ヨウ化物エピタキシャル相が形成される
ことは望ましくない。さらに、化学増感、現像進行性に
対しても、主表面の外側に高ヨウ化物エピタキシャル相
が形成されることは望ましくない。
【0012】本発明におけるハロゲン化銀平板粒子乳剤
は全粒子の平均投影面積径及び平均厚みから求まる側面
の平均面積にたいする{100}面の面積が側面の全面
積に対して50%以上であり、好ましくは67%以上で
ある。側面とは2枚の平行な主表面との間にはさまれた
部分のことを指し、当業界において一般的なレプリカ法
による透過電子顕微鏡写真撮影により全粒子の平均投影
面積径及び平均厚みを測定して求めることができる。平
板状ハロゲン化銀粒子の側面の結晶面の測定方法につい
ては、Jouornal of Imaging Sc
ience,Vol. 29, No5, Sept.
1985, SPRINGFIELD US P.
165−171において、谷らによって報告されている
方法を用いることができる。具体的にはこの方法で{1
00}面と{111}面の比が求められ、この比から
{100}面の面積比率を求めることができる。{10
0}面比率を増加させるためには、種々の公知の方法を
組み合わせて用いることができる。例えば、特開平10
−293372号の記載を参考にすることができる。該
公報では、平板粒子の側面の{111}面の面積比率を
下げ、{100}面の面積比率を増加させることによ
り、 AgBrまたはAgBrI平板粒子の投影面積径
の分布を狭くする方法が開示されている。具体的には、
AgBrまたはAgBrI核形成時に塩化銀を10mo
l%以上含有させることで、側面{100}面比率の増
加させ、平板粒子の投影面積径の単分散化を達成してい
る。また、特開平5−204069号において、AgB
r核形成時に分散媒溶液中に過剰の塩化物を含有させる
ことで、形成された平板粒子の{100}面比率が増加
することが記載されている。さらに特開平2‐2989
35号等の記載も参考にすることができる。より具体的
にはハロゲン化銀粒子の成長pAg、ハロゲン化銀溶剤
の濃度、ハロゲン化銀粒子の成長pHのコントロールが
好ましく用いられる。また、結晶面選択吸着型化合物の
存在化でホスト平板粒子を形成することもできる。該化
合物としては写真用増感色素または含窒素複素環化合物
が有用である。
【0013】本発明を実施する上で判明したことである
が、高ヨウ化物エピタキシャル相は、主表面/側面に関
わらず、外表面が{111}面である部分に沈積し、一
方で側面の{100}面には沈積しない。そのため側面
の{100}面比率を高めることにより、結果的に側面
への高ヨウ化物エピタキシャル相の沈積を抑えることが
できる。逆に言えば、ホスト平板の側面に高ヨウ化物エ
ピタキシャル相が接合していない部分は{100}面で
あり、接合している部分は{111}面であると言え
る。
【0014】本発明の高ヨウ化物エピタキシャル相をホ
スト平板粒子の主表面上にできるだけ多く形成させるに
は、+30mV(参照電極は飽和カロメル電極)以上、
+160mV以下、好ましくは+60mV以上、+15
0mV以下の銀電位で形成することが望ましい。また形
成温度は高い方がよく50℃以上80℃以下、好ましく
は55℃以上65℃以下である。具体的な製造法は実施
例に示されるが、電位を制御したダブルジェット法が好
ましい。また、高ヨウ化物エピタキシャル相形成の際の
添加速度はAgNO3 で0.1g/min以上0.7g
/min、さらには0.2g/min以上0.6g/m
in以下が好ましい。特にホスト平板粒子の縁部及び側
面ではなく、主表面の中央部に沈積させるためには、高
電位で形成することが望ましい。しかしこの場合隣接す
るエピタキシャル相との境界線を失い主表面全体に連続
的な高ヨウ化銀層を形成し、さらに驚くべきことにホス
ト平板粒子の周縁部に転位線を発生させる。本技術と前
記ホスト平板粒子側面の{100}面比率の増加による
側面への高ヨウ化物エピタキシャル相の沈着抑制と併せ
て、化学増感及び現像進行性に対する問題点を解決し
た。
【0015】本発明で必要とされる主表面の中心から8
0%以上の外周部位に存在する転位は、前述の高ヨウ化
物エピタキシャル相形成中に発生した転位線だけではな
く、ホスト平板粒子の成長中に予め発生させた転位線で
もよい。ホスト平板粒子の成長中に転位をコントロール
して導入する技術に関しては、特開昭63−22023
8号に記載がある。この公報によれば、平均粒子径/粒
子厚み比が2以上の平板ハロゲン化銀粒子内部に特定の
高ヨウド相を設け、その外側を該高ヨウド相よりもヨウ
ド含率が低い相で覆うことによって転位を導入すること
ができる。この転位の導入により、感度の上昇、保存性
の改善、潜像安定性の向上、圧力カブリの減少等の効果
が得られる。この公報記載の発明によれば、転位は主に
平板粒子のエッジ部分に導入される。また、中心部に転
位が導入された平板粒子については米国特許5,23
8,796号明細書に記載がある。同公報には正常晶粒
子に塩化銀または塩臭化銀のエピタキシーを生成し、そ
のエピタキシーを物理熟成及び/またはハロゲンによる
コンバージョンによって転位を導入できることが開示さ
れている。このような転位の導入によって、感度の上昇
および圧力カブリの減少という効果が得られた。ハロゲ
ン化銀粒子中の転位線は、例えば、J. F.Hami
lton, Photo. Sci.Eng., 1
1, 57(1967)や、T. Shiozawa,
J. Soc. Photo Sci. JAPA
N, 35, 213(1972)によって記載の低温
での透過電子顕微鏡を用いた直接法により観察すること
ができる。すなわち、乳剤から転位が発生するほどの圧
力をかけないように注意して取り出したハロゲン化銀粒
子を電子顕微鏡観察用にのメッシュにのせ、電子線によ
る損傷(プリントアウト)を防ぐように試料を冷却した
状態で透過法による観察を行う。この時、粒子の厚みが
厚いほど電子線が透過しにくくなるので、高圧型(0.
25μmの厚さに対し200keV以上)の電子顕微鏡
を用いた方がよりより鮮明に観察することができる。こ
のような方法により得られた粒子の写真により、主表面
に対し垂直な面から観た場合の各粒子についての転位線
の位置および数を求めることがきる。
【0016】本発明におけるホスト平板粒子は、粒子の
中央部から銀量にして80%以内の内側の立体的領域内
において、当該領域内の銀量に対するヨウ化銀の含有率
は5モル%以上が好ましく、7モル%以上がさらに好ま
しい。また該領域より外側において、その銀量に対する
ヨウ化銀の含有率は5モル%以下、2モル%以下がさら
に好ましい。また両者でのヨウ化銀含有量の差は0〜1
0モル%が好ましい。ここで粒子の中心とは粒子におけ
る重心の位置を意味する。これにより、高ヨウ化物エピ
タキシャル相だけでなく、ホスト平板粒子自身による青
色吸収も稼ぐことができ、結果的に高い光吸収を得るこ
とができる。
【0017】また本発明では、高ヨウ化銀含有率表面層
とその縁部に形成された低ヨウ化銀含有率表面層とから
構成されたホスト平板粒子を使うことが望ましい。該ホ
スト平板粒子の高ヨウ化銀含有率表面層のヨウ化銀含有
率は5モル%以上好ましくは10モル%以上、低ヨウ化
銀含有率表面層のヨウ化銀含有率が3モル%以下好まし
くは1モル%以下であることが望ましい。また両表面層
の主表面に露出している面積比は2以上9以下(高ヨウ
化銀含有率表面層が主表面に露出している面積/低ヨウ
化銀含有率表面層が主表面に露出している面積)である
ことが望ましい。高ヨウ化物エピタキシャル相は高ヨウ
化銀含有率表面層に優先的に沈着するため、結果的に縁
部及び側面のヨウド含量を5モル%以下にせしめること
が可能である。さらに、該ホスト粒子に高ヨウ化物エピ
タキシャル相を沈積した後に、ホスト平板粒子側面に低
ヨウ化銀含有率のハロゲン化銀相を設置することによ
り、より一層現像速度を早めることができる。
【0018】本発明において、側面のヨウ化銀含量は以
下の方法で測定する。ハロゲン化銀写真乳剤中の平板ハ
ロゲン化銀粒子を、蛋白質分解酵素によりゼラチン分解
して取り出した後、メタクリル樹脂で包埋し、ダイヤモ
ンドカッターで厚さ約500Åの切片を切りだし、これ
らの切片のうち平板ハロゲン化銀粒子の2枚の平行な主
表面に垂直な断層面が現れているものについて、前記平
板ハロゲン化銀粒子の側面の表面から100Åまでのハ
ロゲン化銀層について、当業界で周知であるEPMA法
を用いてスポット径を50Å以下、好ましくは20Åに
絞った点分析によって、エピタキシャル相の組成などを
測定できる。本発明のホスト平板粒子の直径(円相当)
は1.0μm以上10.0μm以下が好ましく、3.0
μm以上8.0μm以下がさらに好ましい。投影面積径
が2.0μm以上のハロゲン化銀粒子は、全投影面積の
50%以上を占めていることが望ましい。球相当径では
0.8μm以上5.0μm以下が好ましく、1.2μm
以上3μm以下がさらに好ましい。球相当径とは個々の
粒子の体積と等しい体積を有する球の直径である。ま
た、アスペクト比は8以上50以下が好ましく、10以
上40以下がさらに好ましい。アスペクト比とは粒子の
投影面積径をその粒子の厚みで割った値である。
【0019】本発明のホスト平板粒子には、円相当直径
が単分散な平板粒子を用いる事が好ましい。これに関し
ては、特開昭63−11928号、特公平5−6120
5号に単分散六角形平板粒子が、特開平1−13154
1号には、円形単分散平板粒子が開示されている。また
特開平2−838号には全投影面積の95%以上が主表
面に平行な2枚の双晶面を持つ平板粒子で占められてお
り、かつ該平板粒子のサイズ分布が単分散である乳剤が
開示されている。欧州特許第514,742A号には、
ポリアルキレンオキサイドブロックコポリマーを用いて
調製された粒子サイズの変動係数が10%以下の平板粒
子乳剤が開示されている。本発明に用いられるホスト平
板粒子である、{111}主表面型平板粒子の製法とし
ては、米国特許第4,434,226号、同4,43
9,520号、同4,414,310号、同4,43
3,048号、同4,414,306号、同4,45
9,353号、特願平9−15853、11−2686
62等にその製法及び使用技術が開示されている。また
特開平6−214331号に開示されているように、一
旦核形成をして種晶乳剤を得た後、それを成長に都合の
良い様に、pH、pAg等の条件を設定して、銀及びハ
ロゲン溶液を添加して成長せしめ、平板粒子を形成する
事もできる。
【0020】青感色素(400〜500nmの波長に感
ずる色素)を通常の平板粒子に適用した場合、400〜
500nmの範囲で極大吸収波長を有し、その半値幅が
100nm程度である色素が理想である。実際に、10
0nmの半値幅を示す色素はほとんどなく、青色のスペ
クトル波長と同一な広がりの半値幅を持つものはない。
通常の青感色素の場合の半値幅は50nm以下である。
長波領域で極大吸収を持つ色素を一つもしくはそれ以上
と本発明の乳剤とを組み合わせると、高ヨウ化物エピタ
キシャル相の吸収ピークは427nmなので、スペクト
ルの青色部分全体を超えた、より高い効率での青色吸収
が得られる。
【0021】感光色素がない場合、短波の青色の光子は
高ヨウ化物エピタキシャル部位で吸収され、光正孔と光
電子の対が形成される。光電子はホスト平板と高ヨウ化
物エピタキシャル相の接合面を通り、自由にホスト平板
粒子に移動するが、一方で光正孔は高ヨウ化物エピタキ
シャル部位内にトラップされる。それゆえ、光電子と光
正孔の分離が起こることによりその再結合が抑制され
る。このように、高ヨウ化物エピタキシャル相は潜像形
成のための多くの光電子に貢献し、結果的に乳剤粒子全
体の感度を高める働きがある。短波の青色光吸収効率の
向上は、高ヨウ化物エピタキシャル相の厚さを増加させ
ること及び占有面積を増大させることによって達成され
る。更なる光吸収効率向上をはかるためには、ホスト平
板粒子の主表面上に存在する割合を増加させることが望
ましく、主表面の面積の少なくても25%以上、好まし
くは50%以上、理想的には60%以上を占有している
ことが好ましい。また高ヨウ化物エピタキシャル相が全
銀量の10モル%以上、好ましく15モル%以上が望ま
しい。
【0022】また、ある1粒子における高ヨウ化物エピ
タキシャル相の占有面積が、全粒子間での平均占有面積
の±10%の範囲内にあること、さらに好ましくは±8
%以内であることが望ましい。これによりさらに画像鮮
鋭性を高めることができる。本発明では、エピタキシャ
ル相は高い割合でヨウドを含有しているため、その溶解
度が低下して形体が安定に保持され、かつエピタキシー
の表面にヨウドイオンが存在する事により増感色素の吸
着が強化される。
【0023】本発明のようにホスト平板粒子の主表面上
に多数の高ヨウ化物タキシャル相が形成される主な理由
はホスト粒子成分と高ヨウ化物エピタキシャル相成分の
格子定数の違いから起こるものと考えられる。ハロゲン
化銀組成の格子定数は、例えばT.H.James ”
The Theory of the Photogr
aphic Process”4th. ed. p.
3 〜4(1977年MaCmillan社 N.
Y.)に示されている。ホスト平板粒子の格子定数と高
ヨウ化物エピタキシャル相の格子定数が大きく異なる
と、ホスト平板の面方向の成長に対して効し構造の歪み
を緩和できなくなるまで成長が進み、その後或いは同時
に面方向以外に成長する為ホスト平板粒子の主表面上に
多数の高ヨウ化物エピタキシャル相が形成されるものと
考えられる。また、高ヨウ化物エピタキシャル相は、ホ
スト平板粒子の主表面との格子定数の差が小さいすなわ
ちホスト平板粒子の主表面のヨウ化銀含有率が高いほど
形成しやすく、それは格子定数の差による構造の歪みを
低減できるためである。またヨウ化銀含有率の高いホス
ト部に形成された高ヨウ化物エピタキシャル相は、隣接
するエピタキシャル相との境界線を失い、主表面全体に
連続的な高ヨウ化銀層を形成する。
【0024】本発明のハロゲン化銀粒子はゼラチンを保
護コロイドとして調製される。ゼラチンはアルカリ処理
が通常良く用いられる。特に不純物イオンや不純物を除
去した脱イオン処理や限外濾過処理を施したアルカリ処
理ゼラチンを用いる事ができる。アルカリ処理ゼラチン
の他、酸処理ゼラチン、低分子量ゼラチン(分子量10
00〜8万で具体例として、酵素で分解したゼラチン、
酸及び/またはアルカリで加水分解したゼラチン、熱で
分解したゼラチンを挙げる事ができる)、高分子量ゼラ
チン(分子量11万〜30万)メチオニン含量が50μ
モル/g以下のゼラチン、チロシン含量が20μモル/
g以下のゼラチン、メチオニン基を減少させた酸化処理
ゼラチン、メチオニンがアルキル化によって不活性化し
たゼラチン及び下記の各種修飾ゼラチンを用いる事がで
きる。高分子量ゼラチンに関しては、特開平11−23
7704号、特願2000−48166号、特願200
0−95146号に開示されている。アミノ基を修飾し
たフタル化ゼラチン、琥珀化ゼラチン、トリメリットゼ
ラチン、ピロメリットゼラチン、カルボキシル基を修飾
したメチルエステル化ゼラチンに代表されるエステル化
ゼラチン、及びアミド化ゼラチン、エトキシホルミル化
ゼラチンの様なイミダゾール基を修飾したゼラチン。上
に述べたゼラチンは単独で用いても良いし、二種類以上
の混合物をもちいる事もできる。本発明において粒子形
成工程で用いられるゼラチンの量は、1〜60g/銀モ
ル、好ましくは3〜40g/銀モルである。本発明の化
学増感工程におけるゼラチンの濃度は1〜100g/銀
モルが好ましく、1〜70g/銀モルがより好ましい。
【0025】本発明のホスト平板粒子は、少なくとも該
平板粒子の銀量の10%以上の粒子成長が、予め調製し
たヨウ臭化銀微粒子を成長が行われている容器に添加し
てもよいが、容器外で連続的に調整しながらヨウ臭化銀
微粒子を添加することにより行われることがさらに望ま
しい。添加するヨウ臭化銀微粒子サイズは0.005μ
m以上0.05μm以下、好ましくは0.01μm以上
0.03μ以下である。成長時の温度は60℃以上90
℃以下、好ましくは70℃以上85℃以下である。本発
明に記載されている利点と適合する写真性能の向上は、
ホスト平板粒子に化学増感を施すことによって実現でき
る。化学増感剤は、ホスト平板粒子の厚さの増加を完全
に回避しながら、ホスト平板粒子に高ヨウ化物エピタキ
シャル相とともに導入できることも判明した。
【0026】さらなる化学増感による写真性能向上を達
成するには、ホスト平板粒子の全投影面積の50%以上
が、頂点部及び/または側面部及び/または主表面部
に、ハロゲン化銀のエピタキシャル(低ヨウ化物エピタ
キシャル相)を1粒子当り少なくとも1個含有すること
が有効であることがわかった。低ヨウ化物エピタキシャ
ル相形成に関しては、米国特許第4435501号に記
載されているように、ホスト平板粒子表面に吸着したヨ
ウ化物イオン、アミノアザインデン、もしくは分光増感
色素等のサイトダイレクターによって銀塩エピタキシャ
ルが選択された部位、例えば基盤粒子の頂点部、もしく
は側面部に形成できることが示されている。また、特開
平8−69069号には極薄平板粒子基盤の選択された
部位に銀塩エピタキシャルを形成させ、このエピタキシ
ャル相を最適な化学増感することで高感化を達成してい
る。本発明においても、これらの方法を用いて本発明の
基盤粒子を高感化することは非常に好ましい。サイトダ
イレクターは、アミノアザインデン、もしくは分光増感
色素を用いても良いし、ヨウ化物イオン、もしくはチオ
シアン酸イオンを用いることができ、目的に応じて使い
分けることも出来るし、組み合わせても良い。
【0027】増感色素量、ヨウ化物イオン、およびチオ
シアン酸イオンの添加量を変化させることで、低ヨウ化
物エピタキシャル相の形成部位を、基盤粒子の主平面
部、側面部、もしくは頂点部にのみ限定することも出来
るし、それらの組み合わせも可能である。サイトダイレ
クターに用いるアミノアザインデン、沃化物イオン、チ
オシアン酸イオン、分光増感色素の添加量は、用いるハ
ロゲン化銀基盤粒子の銀量、表面積、および低ヨウ化物
エピタキシャル相の限定部位に応じて適宜選択すること
が好ましい。銀塩エピタキシャルを形成する温度は、4
0〜70℃が好ましく、45〜60℃が更に好ましい。
また、この際のpAgは9.0以下が好ましく、8.0
以下が更に好ましい。このようにサイトダイレクターの
種類、添加量、エピタキシャル沈積条件(温度、pAg
など)を適宜選択することで、基盤粒子の主平面部、側
面部、もしくは頂点部に低ヨウ化物エピタキシャル相を
選択的に形成することができる。こうして得た乳剤を、
特開平8−69069号のようにエピタキシャル相に選
択的に化学増感を施して高感化させても良いが、低ヨウ
化物エピタキシャル相形成に引き続き、銀塩溶液とハロ
ゲン塩溶液を同時添加して更に成長させても良い。この
際添加するハロゲン塩水溶液は、臭化物塩溶液、もしく
は、臭化物塩溶液とヨウ化物塩溶液との混合液が好まし
い。またこの際の温度は、40〜80℃が好ましく、4
5〜70℃が更に好ましい。また、この際のpAgは
5.5以上9.5以下が好ましく、6.0以上9.0以
下が好ましい。さらに、エピタキシャル組成とは異なる
ハロゲン溶液を添加して、低ヨウ化物エピタキシャル相
のハロゲン変換しても良い。低ヨウ化物エピタキシャル
形成およびその後の成長、またはハロゲン変換は、ホス
ト平板粒子形成後引き続いて行っても良いが、ホスト平
板粒子形成後、さらに高ヨウ化物エピタキシャル相形成
後に行うことが望ましい。さらに基盤粒子形成後一旦水
洗/再分散した後でも良いし、化学増感前でも良い。エ
ピタキシャル形成とその後の成長またはハロゲン変換を
水洗/再分散前後に分けても良い。
【0028】低ヨウ化物エピタキシャル相は、ホスト平
板粒子の外部に突出して形成されていることを特徴とす
る。エピタキシャルの組成は、AgBr、AgCl、A
gBrCl、AgBrClI、AgBrI、AgSCN
等が好ましいが、ただし、実質的にヨウド含量が10モ
ル%以下であることが必要とされる。。低ヨウ化物エピ
タキシャル相の位置は、ホスト平板粒子の頂点部、側面
部、主表面部の少なくとも一部分でも良く、複数の個所
にまたがっても良い。頂点部とは、六角状平板粒子の6
点の頂点のことを言い、6点のうち少なくとも1つに低
ヨウ化物エピタキシャル相が存在することが好ましい。
側面部とは、六角平板粒子の6辺の辺上、および2つの
主平面部をつなぐ面、すなわち側面部のことを言い、低
ヨウ化物エピタキシャル相は6辺の辺上および側面部の
どの部分に存在しても良く、少なくとも1個以上存在す
れば良い。主表面部とは平板粒子で言う2枚の主平面の
ことを言い、低ヨウ化物エピタキシャル相は主表面のど
の位置に存在しても良く、少なくとも1個以上存在すれ
ば良い。低ヨウ化物エピタキシャル相の形状は、{10
0}面、{111}面、{110}面が単独で出現して
いても良く、複数出現していても良い。また、高次の面
が出現した不定形をしていても良い。
【0029】低ヨウ化物エピタキシャル相には転位線が
存在しなくても良いが、転位線が存在することはさらに
好ましい。転位線はホスト平板粒子と低ヨウ化物エピタ
キシャル相との接合部、もしくはエピタキシャル内部に
存在することが好ましい。接合部、もしくは内部に存在
する転位線は1粒子当り平均10本以上が好ましい。よ
り好ましくは1粒子当り平均20本以上である。転位線
が密集して存在する場合、または転位線が互いに交わっ
て観察される場合には、1粒子当りの転位線の数は明確
には数えることができない場合がある。しかしながら、
これらの場合においても、おおよそ10本、20本、3
0本という程度には数えることが可能であり、明らかに
数本しか存在しない場合とは区別できる。転位線の数の
1粒子当りの平均数については100粒子以上について
転位線の数を数えて、数平均として求める。
【0030】本発明では、ホスト平板粒子又はコーナー
部に限定された第二のエピタキシャル相のどちらかの結
晶格子構造に一種又は二種以上のドーパントを内蔵させ
ることが具体的に企図される。二種以上のドーパントを
内蔵させる場合には、一のドーパントをホスト平板粒子
中に配置し、他をコーナー部限定の第二エピタキシャル
相に配置することで、同じ粒子領域に非類似のドーパン
トが存在する場合に起こりうる拮抗効果を回避すること
が具体的に企図される。FCCRS結晶格子において有
用であることが知られている慣用のいずれのドーパント
でも内蔵させることができる。元素周期律表の広範囲に
わたる周期及び族から選ばれた写真的に有用なドーパン
トが報告されている。慣用のドーパントとして、元素周
期律表の第3〜7周期(最も普通には第4〜6周期)の
イオン、例えばFe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、
Re、Os、Ir、Pt、Mg、Al、Ca、Sc、T
i、V,Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Ge、As、
Se、Sr、Y、Mo、Zr、Nb、Cd、In、S
n、Sb、Ba、La、W、Au、Hg、Tl、Pb、
Bi、Ce及びUが挙げられる。ドーパントを使用する
ことで、(a)感度を増加し、(b)高照度又は低照度
相反則不軌を縮小し、(c)コントラストの変動を増
加、減少又は縮小し、(d)感圧性を低下し、(e)色
素減感性を減少し、(f)安定性を増加し(熱不安定性
の減少を含む)、(g)最低濃度を低下し、及び/又は
(h)最高濃度を増加することができる。用途によって
は、多価金属イオンが有効である。これらの金属はアン
モニウム塩、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、水酸塩
あるいは6配位錯塩、4配位錯塩など粒子形成時に溶解
させることができる塩の形であれば添加できる。例え
ば、CdBr2 、CdCl2 、Cd(NO3 2 、Pb
(NO3 2 、Pb(CH3 COO)2 、K3 [Fe
(CN)6 ]、(NH4 4 [Fe(CN)6 ]、K3
IrCl6 、(NH4 3RhCl6 、K4 [Ru(C
N)6 ]が挙げられる。配位化合物のリガンドとしてハ
ロ、アコ、シアノ、シアネート、チオシアネート、ニト
ロシル、チオニトロシル、オキソ、カルボニルの中から
選ぶことができる。これらは、金属化合物を1種類のみ
用いてもよいが、2種あるいは3種以上を組み合わせて
もよい。
【0031】金属化合物は水またはメタノール、アセト
ンのような適当な有機溶媒に溶かして添加することが望
ましい。溶液を安定化するためにハロゲン化水素水溶液
(例えばHCl、HBr)あるいはハロゲン化アルカリ
(例えば、KCl、NaCl、KBr、NaBr)を添
加する方法を用いることができる。また、必要に応じて
酸、アルカリなどを加えてもよい。金属化合物は粒子形
成前の反応容器に添加しても粒子形成のと中で加えるこ
ともできる。また水溶性銀塩(例えば、AgNO3)あ
るいはハロゲン化アルカリ水溶液(例えば、NaCl、
KBr、KI)に添加しハロゲン化銀粒子形成中連続し
て添加することもできる。さらに水溶性銀塩、ハロゲン
化アルカリとは独立の溶液を用意し粒子形成中の適切な
時期に連続して添加してもよい。さらに種々の添加方法
を組み合わせるのも好ましい。本発明における化学増感
としては、硫黄増感、セレン増感、テルル増感、といっ
たカルコゲン増感と、貴金属増感(特に金増感)及び還
元増感をそれぞれ単独あるいは組み合わせて用いる事が
できる。特に還元増感は、本発明乳剤には有効である。
【0032】硫黄増感においては、不安定硫黄化合物を
用い、P.Grafkides 著、Chimie e
tPhysique Photographique
(Paul Momtel社刊、1987年、第5
版)、Research Disclosure 誌
307巻307105号などに記載されている不安定硫
黄化合物を用いることができる。具体的には、チオ硫酸
塩(例えば、ハイポ)、チオ尿素類(例えば、ジフェニ
ルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、N−エチル−N’−
(4−メチル−2−チアゾリル)チオ尿素、ジカルボキ
シメチル−ジメチルチオ尿素、カルボキシメチルトリメ
チルチオ尿素)、チオアミド類(例えば、チオアセトア
ミド)、ローダニン類(例えば、ジエチルローダニン、
5−ベンジリデン−N−エチル−ローダニン)、フォス
フィンスルフィド類(例えば、トリメチルフォスフィン
スルフィド)、チオヒダントイン類、4−オキソ−オキ
サゾリジン−2−チオン類、ジポリスルフィド類(例え
ば、ジモルフォリンジスルフィド、シスチン、ヘキサチ
オカン−チオン)、メルカプト化合物(例えば、システ
ィン)、ポリチオン酸塩、元素状硫黄などの公知の硫黄
化合物および活性ゼラチンなども用いることができる。
特にチオ硫酸塩、チオ尿素類、フォスフィンスルフィド
類とローダニン類が好ましい。
【0033】セレン増感においては、不安定セレン化合
物を用い、特公昭43−13489号、同44−157
48号、特開平4−25832号、同4−109240
号、特願平3−53693号、同3−82929号各公
報などに記載されている不安定セレン化合物を用いるこ
とができる。具体的には、コロイド状金属セレン、セレ
ノ尿素類(例えば、N,N−ジメチルセレノ尿素、トリ
フルオロメチルカルボニル−トリメチルセレノ尿素、ア
セチル−トリメチルセレノ尿素)、セレノアミド類(例
えば、セレノアセトアミド、N,N−ジエチルフェニル
セレノアミド)、フォスフィンセレニド類(例えば、ト
リフェニルフォスフィンセレニド、ペンタフルオロフェ
ニル−トリフェニルフォスフィンセレニド)、セレノフ
ォスフェート類(例えば、トリ−p−トリルセレノフォ
スフェート、トリ−n−ブチルセレノフォスフェー
ト)、セレノケトン類(例えば、セレノベンゾフェノ
ン)、イソセレノシアネート類、セレノカルボン酸類、
セレノエステル類、ジアシルセレニド類などを用いれば
よい。また更に、特公昭46−4553号、同52−3
4492号各公報などに記載の非不安定セレン化合物、
例えば亜セレン酸、セレノシアン化カリウム、セレナゾ
ール類、セレニド類なども用いることができる。
【0034】テルル増感においては、不安定テルル化合
物を用い、カナダ特許800,958号、英国特許第
1,295,462号、同1,396,696号各明細
書、特願平2−333819号、同3−53693号、
同3−131598号、同4−129787号各公報な
どに記載されている不安定テルル化合物を用いることで
きる。具体的には、テルロ尿素類(例えば、テトラメチ
ルテルロ尿素、N,N’−ジメチルエチレンテルロ尿
素、N,N’−ジフェニルエチレンテルロ尿素)、フォ
スフィンテルリド類(例えば、ブチル−ジイソプロピル
フォスフィンテルリド、トリブチルフォスフィンテルリ
ド、トリブトキシフォスフィンテルリド、エトキシ−ジ
フェニルフォスフィンテルリド)、ジアシル(ジ)テル
リド類(例えば、ビス(ジフェニルカルバモイル)ジテ
ルリド、ビス(N−フェニル−N−メチルカルバモイ
ル)ジテルリド、ビス(N−フェニル−N−メチルカル
バモイル)テルリド、ビス(エトキシカルボニル)テル
リド)、イソテルロシアナート類、テルロアミド類、テ
ルロヒドラジド類、テルロエステル類(例えば、ブチル
ヘキシルテルロエステル)、テルロケトン類(例えば、
テルロアセトフェノン)、コロイド状テルル、(ジ)テ
ルリド類、その他のテルル化合物(ポタシウムテルリ
ド、テルロペンタチオネートナトリウム塩)などを用い
ればよい。特にジアシル(ジ)テルリド類とフォスフィ
ンテルリド類が好ましい。
【0035】金増感においては、P.Grafkide
s著、Chimie et Physique Pho
tographique(Paul Momtel社
刊、1987年、第5版)、Research Dis
closure誌307巻307105号などに記載さ
れている金塩を用いる事が出来る。
【0036】具体的には、塩化金酸、カリウムクロロオ
ーレート、カリウムオーリチオシアネートにくわえて、
米国特許第2642361号(硫化金やセレン化金な
ど)、同3503749号(水溶性基を持つチオレート
金など)、同5049484号(ビス(メチルヒダント
イナート)金錯体など)、同5049485号(メソイ
オニックチオレート金錯体、例えば1,4,5−トリメ
チル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオレート金
錯体など)、同5252455号や同5391727号
の大環状ヘテロ環金錯体、同5620841号、同57
00631号、同5759760号、同5759761
号、同5912111号、同5912112号、同59
39245号、特開平1−147537号、8−690
74号、同8−69075号、同9−269554号、
特公昭45−29274号、ドイツ特許DD−2645
24A、同264525A、同265474A、同29
8321A、特願平11−207959号、同11−2
09825号、同11−257428号、同11−30
2918号、特願2000−94527号などに記載の
金化合物も用いることが出来る。
【0037】本発明のハロゲン化銀乳剤を粒子形成中、
粒子形成後でかつ化学増感前あるいは化学増感中、ある
いは化学増感後に還元増感することは好ましい。ここ
で、還元増感とは、ハロゲン化銀乳剤に還元増感剤を添
加する方法、銀熟成と呼ばれるpAg 1〜7の低pA
gの雰囲気で成長あるいは熟成させる方法、高pH熟成
と呼ばれるpH8〜11の高pHの雰囲気で成長あるい
は熟成させる方法のいずれを選ぶこともできる。また2
つ以上の方法を併用することもできる。還元増感剤を添
加する方法は還元増感のレベルを微妙に調節できる点で
好ましい方法である。
【0038】還元増感剤としては、例えば、第一錫塩、
アスコルビン酸およびその誘導体、アミンおよびポリア
ミン類、ヒドラジン誘導体、ホルムアミジンスルフィン
酸、シラン化合物、ボラン化合物が公知である。本発明
の還元増感にはこれら公知の還元増感剤を選んで用いる
ことができ、また2種以上の化合物を併用することもで
きる。還元増感剤としては塩化第一錫、二酸化チオ尿
素、ジメチルアミンボラン、アスコルビン酸およびその
誘導体が好ましい化合物である。還元増感剤の添加量は
乳剤製造条件に依存するので添加量を選ぶ必要がある
が、ハロゲン化銀1モル当り10-7〜10-3モルの範囲
が適当である。還元増感剤は、例えば、水あるいはアル
コール類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミ
ド類のような有機溶媒に溶かし粒子成長中に添加され
る。あらかじめ反応容器に添加するのもよいが、粒子成
長の適当な時期に添加する方法が好ましい。また水溶性
銀塩あるいは水溶性アルカリハライドの水溶性にあらか
じめ還元増感剤を添加しておき、これらの水溶液を用い
てハロゲン化銀粒子を沈澱せしめてもよい。また粒子成
長に伴って還元増感剤の溶液を何回かに分けて添加して
も連続して長時間添加するのも好ましい方法である。
【0039】本発明の乳剤の製造工程中に銀に対する酸
化剤を用いることが好ましい。銀に対する酸化剤とは、
金属銀に作用して銀イオンに変換せしめる作用を有する
化合物をいう。特にハロゲン化銀粒子の形成過程および
化学増感過程において副生するきわめて微小な銀粒子
を、銀イオンに変換せしめる化合物が有効である。ここ
で生成する銀イオンは、例えば、ハロゲン化銀、硫化
銀、セレン化銀のような水に難溶の銀塩を形成してもよ
く、又、硝酸銀のような水に易溶の銀塩を形成してもよ
い。銀に対する酸化剤は、無機物であっても、有機物で
あってもよい。無機の酸化剤としては、例えば、オゾ
ン、過酸化水素およびその付加物(例えば、NaBO2
・H22 ・3H2O、2NaCO3 ・3H22 、Na
4 2 7 ・2H22 、2Na2 SO4 ・H22 ・2
2O)、ペルオキシ酸塩(例えば、K2 2 8 、K2
2 6 、K2 2 8 )、ペルオキシ錯体化合物(例
えば、K2 [Ti(O2 )C2 4 ]・3H2O、4K
2 SO4 ・Ti(O2 )OH・SO4 ・2H2O、Na
3 [VO(O2 )(C24 2 ]・6H2O)、過マン
ガン酸塩(例えば、KMnO4 )、クロム酸塩(例え
ば、K2 Cr2 7)のような酸素酸塩、沃素や臭素の
ようなハロゲン元素、過ハロゲン酸塩(例えば、過沃素
酸カリウム)、高原子価の金属の塩(例えば、ヘキサシ
アノ第二鉄酸カリウム)およびチオスルフォン酸塩があ
る。
【0040】また、有機の酸化剤としては、p−キノン
のようなキノン類、過酢酸や過安息香酸のような有機過
酸化物、活性ハロゲンを放出する化合物(例えば、N−
ブロムサクシンイミド、クロラミンT、クロラミンB)
が例として挙げられる。本発明の好ましい酸化剤は、オ
ゾン、過酸化水素およびその付加物、ハロゲン元素、チ
オスルフォン酸塩の無機酸化剤及びキノン類の有機酸化
剤である。前述の還元増感と銀に対する酸化剤を併用す
るのは好ましい態様である。酸化剤を用いたのち還元増
感を施こす方法、その逆方法あるいは両者を同時に共存
させる方法のなかから選んで用いることができる。これ
らの方法は粒子形成工程でも化学増感工程でも選んで用
いることができる。
【0041】ハロゲン化銀乳剤は、感光材料の製造工程
保存中あるいは写真処理中のカブリを防止し、あるいは
写真性能を安定化させる目的で、種々の化合物を含有さ
せることが好ましい。この様な化合物の例には、アゾー
ル類(例、ベンゾチアゾリウム塩、ニトロインダゾール
類、トリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、ベンゾイ
ミダゾール類(特にニトローまたはハロゲン置換
体))、ヘテロ環メルカプト化合物類[例、メルカプト
チアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカ
プトベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール
類、メルカプトテトラゾール類(特に、1−フェニル−
5−メルカプトテトラゾール)、メルカプトピリミジン
類]、カルボキシ基やスルホン基などの水溶性基を有す
る上記のヘテロ環メルカプト化合物類、チオケト化合物
(例、オキサトジンチオン)、アザインデン類(例、テ
トラザインデン類、(特に4−ヒドロキシ置換(1,
3,3a,7)テトラザインデン類))、ベンゼンチオ
スルホン酸類及びベンゼンスルフィン酸が含まれる。一
般にこれらの化合物は、カブリ防止剤または安定剤とし
て知られている。
【0042】カブリ防止剤または安定剤の添加時期は、
通常、化学増感を施した後に行われる。しかし化学増感
の途中または化学増感の開始以前の時期の中から選ぶこ
ともできる。すなわち、ハロゲン化銀乳剤粒子形成過程
において、銀塩溶液の添加中でも、添加後から化学増感
開始までの間でも、化学増感の途中(化学増感時間中、
好ましくは開始から50%までの時間内に、より好まし
くは20%までの時間以内)でもよい。本発明に用いら
れる写真乳剤は、メチン色素類その他によって分光増感
されることが本発明の効果を発揮するのに好ましい。用
いられる色素には、シアニン色素、メロシアニン色素、
複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラ
ーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素およ
びヘミオキソノール色素が包含される。特に有用な色素
は、シアニン色素、メロシアニン色素、および複合メロ
シアニン色素に属する色素である。これらの色素類に
は、塩基性複素環核としてシアニン色素類に通常利用さ
れる核のいずれをも適用できる。すなわち、例えば、ピ
ロリン核、オキサゾリン核、チオゾリン核、ピロール
核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核、
イミダゾール核、テトラゾール核、ピリジン核;これら
の核に脂環式炭化水素環が融合した核;及びこれらの核
に芳香族炭化水素環が融合した核、即ち、例えば、イン
ドレニン核、ベンゾインドレニン核、インドール核、ベ
ンゾオキサドール核、ナフトオキサゾール核、ベンゾチ
アゾール核、ナフトチアゾール核、ベンゾセレナゾール
核、ベンゾイミダゾール核、キノリン核が適用できる。
これらの核は炭素原子上に置換基を有していてもよい。
【0043】メロシアニン色素または複合メロシアニン
色素にはケトメチレン構造を有する核として、例えば、
ピラゾリン−5−オン核、チオヒダントイン核、2−チ
オオキサゾリジン−2,4−ジオン核、チアゾリジン−
2,4−ジオン核、ローダニン核、チオバルビツール酸
核の5〜6員複素環核を適用することができる。これら
の増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを
用いてもよく、増感色素の組合せは特に、強色増感の目
的でしばしば用いられる。その代表例は米国特許第2,
688,545号、同第2,977,229号、同第
3,397,060号、同第3,522,052号、同
第3,527,641号、同第3,617,293号、
同第3,628,964号、同第3,666,480
号、同第3,672,898号、同第3,679,42
8号、同第3,703,377号、同第3,769,3
01号、同第3,814,609号、同第3,837,
862号、同第4,026,707号、英国特許第1,
344,281号、同第1,507,803号、特公昭
43−4936号、同53−12375号、特開昭52
−110618号、同52−109925号に記載され
ている。
【0044】増感色素とともに、それ自身分光増感作用
をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物
質であって、強色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよ
い。増感色素を乳剤中に添加する時期は、これまで有用
であると知られている乳剤調製の如何なる段階であって
もよい。もっとも普通には化学増感の完了後塗布前まで
の時期に行なわれるが、米国特許第3,628,969
号、および同第4,225,666号に記載されている
ように化学増感剤と同時期に添加し分光増感を化学増感
と同時に行なうことも、特開昭58−113928号に
記載されているように化学増感に先立って行なうことも
出来、またハロゲン化銀粒子沈澱生成の完了前に添加し
分光増感を開始することも出来る。更にまた米国特許第
4,225,666号に教示されているようにこれらの
前記化合物を分けて添加すること、即ちこれらの化合物
の一部を化学増感に先立って添加し、残部を化学増感の
後で添加することも可能であり、米国特許第4,18
3,756号に開示されている方法を始めとしてハロゲ
ン化銀粒子形成中のどの時期であってもよい。添加量
は、ハロゲン化銀1モル当り、4×10-6〜8×10-3
モルで用いることができる。
【0045】フラグメント化可能な電子供与性増感剤を
用いることも良い。電子供与性増感剤は、米国特許第5
747235号、同5747236号、同605426
0号、5994051号、欧州特許第786692A
1、同893732A1、特開平2000−18100
1号、同2000−180999号、同2000−18
1002号、同2000−181000号、同2000
−221626号、同2000―221628号に記載
されている。フラグメント化可能な電子供与性増感剤は
感光材料製造工程中のいかなる場合にも使用して良い。
例えば粒子形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前など
である。またこれらの工程中の複数回に分けて添加する
ことも出来る。本発明の化合物は、水、メタノール、エ
タノールなどの水可溶性溶媒またはこれらの混合溶媒に
溶解して添加することが好ましい。水に溶解する場合、
pHを高くまたは低くした方が溶解度が上がる化合物に
ついては、pHを高くまたは低くして溶解し、これを添
加しても良い。フラグメント化可能な電子供与性増感剤
は、乳剤層中に使用するのが好ましいが、乳剤層と共に
保護層や中間層に添加しておき、塗布時に拡散させても
よい。本発明の化合物の添加時期は増感色素の前後を問
わず、それぞれ好ましくはハロゲン化銀1モル当り、1
×10-9〜5×10-2モル、更に好ましくは1×10-8
〜2×10-3モルの割合でハロゲン化銀乳剤層に含有す
る。
【0046】フラグメント化可能な電子供与性増感剤を
用いる時は、保存性改良剤を用いることが好ましい。保
存性改良剤は、特開平11−119364号、特開20
01−42466号に記載されている化合物を用いるこ
とが好ましい。本発明の乳剤は、あらゆる感光材料に用
いることができるが、多層カラー写真感光材料に用いる
ことが好ましい。多層カラー写真感光材料の青感層に用
いることがさらに好ましく、多層カラー写真感光材料の
最高感青感光層に用いることが最も好ましい。この場
合、高い沃化銀含有率に基づく青色光の吸収量の増加、
および平板形状に起因する増感色素吸着量の増加に基づ
く青色光の吸収量の増加による高い感度/粒状比が得ら
れる。加えて、粒子の投影面積径の単分散性の向上、お
よび粒子間の沃化銀含有率分布の低下により、高い感度
/粒状比、圧力特性の改良、保存経時特性の改良および
処理依存性の改良が達成できる。さらに、平板形状によ
り光の散乱が低下し、下層のシャープネスが良化する。
【0047】ハロゲン化銀写真材料の層構成について特
に制限はない。ただし、カラー写真材料の場合は、青
色、緑色及び赤色光を別々に記録するために多層構造を
有する。各ハロゲン化銀乳剤層は高感ド層と低感度層に
ニ層からなっていても良い。実用的な層構成の例を下記
(1)〜(6)に挙げる。 (1)BH/BL/GH/GL/RH/RL/S (2)BH/BM/BL/GH/GM/GL/RH/R
M/RL/S (3)BH/BL/GH/RH/GL/RL/S (4)BH/GH/RH/BL/GL/RL/S (5)BH/BL/CL/GH/GL/RH/RL/S (6)BH/BL/GH/GL/CL/RH/RL/S
【0048】Bは青色感性層、Gは緑色感性層、Rは赤
色感性層、Hは最高感度層、Mは中間感度層、Lは低感
度層、Sは支持体、そしてCLは重層効果付与層であ
る。保護層、フィルター層、中間層、ハレーション防止
層のような比感光性層は省略してある。同一感色性の高
感度層と低感度層を逆転して配置しても良い。(3)に
ついては、米国特許4,184,876号明細書に記載
がある。(4)についてはReserch Discl
osure 誌 225巻22534号、特開昭59−
177551号及び同59−177552号各公報に記
載がある。また、(5)と(6)については、特開昭6
1−34541号公報に記載がある。好ましい層構成は
(1)、(2)及び(4)である。本発明のハロゲン化
銀写真感光材料は、カラー写真材料以外にも、X線感光
材料、黒白撮影感光材料、製版用感光材料や印画紙にも
同用に適用することができる。
【0049】ゼラチン硬化剤としては、例えば、活性ハ
ロゲン化合物(2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−
1,3,5−トリアジンおよびそのナトリウム塩など)
および活性ビニル化合物(1,3−ビスビニルスルホニ
ル−2−プロパノール、1,2−ビス(ビニルスルホニ
ルアセトアミド)エタンあるいはビニルフルホニル基を
鎖を有するビニル系ポリマーなど)は、ゼラチンなど親
水性コロイドを早く硬化させ安定な写真特性を与えるの
で好ましい。N−カルバモイルピリジニウム塩類((1
−モルホリノカルボニル−3−ピリジニオ)マタンスル
ホナートなど)やハロアミジニウネ塩類(1−(1−ク
ロロ−1−ピリジノメチレン)ピロリジニウム2−ナル
タレンスルフォナートなど)も硬化速度が早く好ましく
用いることができる。
【0050】ハロゲン化銀乳剤の種々の添加剤(バイン
ダー、化学増感剤、分光増感剤、安定剤、ゼラチン、硬
化剤、界面活性剤、帯電防止剤、ポリマーラテックス、
マット剤、カラーカプラー、紫外線吸収剤、退色防止
剤、染料)、写真材料の支持体および写真材料の処理方
法(例、塗布方法、露光方法、現像処理方法)について
は、 Reserch Disclosure 誌 1
76巻17643号(RD−17643)、同187巻
18716号(RD−18716)、同225巻225
34号(RD−22543)の記載を参考にすることが
できる。これらのReserch Disclosur
e 誌 に記載の以下の一覧表に示す。
【0051】 添加剤種類 RD−17643 RD−18716 RD−22534 1 化学増感剤 23頁 648頁右欄 24頁 2 感度上昇剤 同上 同上 同上 3 分光増感剤 23〜24頁 648頁右欄 24〜28頁 強色増感剤 〜649頁右欄 4 増白剤 24頁 5 被り防止剤 23〜25頁 649頁右欄 24頁、31頁 安定化剤 6 光吸収剤 25〜26頁 649頁右欄 フィルター染料 〜650頁左欄 紫外線吸収剤 7 ステイン防止剤 25頁右欄 650頁左欄〜右欄 8 色素画像安定剤 25頁 32頁 9 硬膜剤 26頁 651頁左欄 32頁 10 バインダー 26頁 同上 28頁 11 可塑剤、潤滑剤 27頁 650頁右欄 12 塗布助剤、 26〜27頁 同上 表面活性剤 13 スタチック防止剤 27頁 同上 14 カラーカプラー 25頁 649頁 31頁
【0052】カラー写真材料はResearch Di
sclosure 誌 176巻17643号、同 1
87巻18716号、に記載された通常の方法によって
現像することができる。カラー写真感光材料は、現像、
漂白定着もしくは定着処理の後に通常、水洗処理または
安定剤処理を施す。水洗工程はニ槽以上の槽を向流水洗
にし、節水するのが一般的である。安定化処理としては
水洗工程のかわりに特開昭57−8543号公報記載の
ような多段交流安定化処理が代表例として挙げられる。
【0053】
【実施例】以下に実施例をもって本発明を具体的に説明
する。ただし、本発明の範囲はこれらの実施例に限定さ
れるものではない。 実施例1 (種乳剤1)特開平10−293372号の実施例2に
記載されたハロゲン化銀平板粒子の調製方法を参考にし
た。KBr 0.38g、および低分子量ゼラチン(分
子量15,000)0.5gを含有する分散媒溶液1リ
ットルを反応容器に40℃に保ち、それを撹拌しながら
0.29mol/リットルの硝酸銀水溶液と0.29m
ol/リットルのKBr水溶液を各々20mlずつ、同
時に40秒間かけて添加した。添加後10%KBr溶液
22mlを添加した後、75℃に昇温した。昇温後トリ
メリット化ゼラチン35gと水250mlからなるゼラ
チン水溶液(60℃)を分散媒溶液に添加した。この
際、pHは6.0に調整した。この後、1.2mol/
リットルの硝酸銀水溶液と1.2mol/リットルのK
Br水溶液が同時に添加した。この時、添加される硝酸
銀に対してヨウ化銀が10mol%になる量のヨウ化銀
微粒子を同時に添加した。この際、分散媒のpBrは
2.64に保った。水洗した後、ゼラチンを加えpH
5.7、pAg8.8、乳剤1kg当たりの銀換算の質
量131.8g、ゼラチン質量64.1gに調整し,種
乳剤1とした。得られた乳剤中には、沃化銀含有量10
モル%、球相当径0.7μm、アスペクト比28の粒子
が全投影面積の97%を占めていた。
【0054】(種乳剤2)特開平10−293372号
の実施例2に記載されたハロゲン化銀平板粒子の調製方
法を参考にした。NaCl 0.54g、および低分子
量ゼラチン(分子量15000) 0.5gを含有する
分散媒溶液1リットルを反応容器に40℃に保ち、それ
を撹拌しながら0.29mol/リットルの硝酸銀水溶
液とモル比でKBr/NaClが80/20となるよう
に調整した0.29mol/リットルのハロゲン塩(K
Br、NaCl)水溶液を各々20mlずつ、同時に4
0秒間かけて添加した。添加後10%KBr溶液25.
8mlを添加した後、75℃に昇温した。昇温後トリメ
リット化ゼラチン35gと水250mlからなるゼラチ
ン水溶液(60℃)を分散媒溶液に添加した。この際、
pHは6.0に調整した。この後、1.2mol/リッ
トルの硝酸銀水溶液と1.2mol/リットルのKBr
水溶液が同時に添加した。この時、添加される硝酸銀に
対してヨウ化銀が10mol%になる量のヨウ化銀微粒
子を同時に添加した。この際、分散媒のpBrは2.6
4に保った。水洗した後、ゼラチンを加えpH5.7、
pAg8.8、乳剤1kg当たりの銀換算の質量13
1.8g、ゼラチン質量64.1gに調整し、種乳剤2
とした。得られた乳剤中には、沃化銀含有量10モル
%、球相当径0.7μm、アスペクト比28の粒子が全
投影面積の97%を占めていた。
【0055】(Em−A1)トリメリット化率97%の
トリメリット化ゼラチン46g、KBr1.7gを含む
水溶液1211mlを75℃に保ち激しく攪拌した。前
述した種乳剤1を48g加えた後,変成シリコンオイル
(日本ユニカ−株式会社製品、L7602)を0.3g
添加した。H2SO4を添加してpHを5.5に調整した
後、AgNO 3 7.0gを含む水溶液67.6mlとK
Iを10モル%含むKBrとKIの混合水溶液をダブル
ジェット法で最終流量が初期流量の5.1倍になるよう
に流量加速して6分間に渡り添加した。この時、銀電位
を飽和カロメル電極に対して+0mVに保った。ベンゼ
ンチオスルホン酸ナトリウム2mgと二酸化チオ尿素2
mgを添加した後、反応容器外に設置した攪拌装置にA
gNO3 170gを含む水溶液762mlとKBr10
7.1gとKI16.6gおよび分子量20,000の
ゼラチンを76.2g含んだ水溶液762mlを同時に
添加してヨウ化銀含量10モル%のAgBrI微粒子乳
剤(平均サイズ:0.015μm)を調製しながら反応
容器内にこのAgBrI乳剤を120分間に渡り添加し
た。この時,銀電位を飽和カロメル電極に対して−30
mVに保った。AgNO3 58.5gを含む水溶液13
1mlとKIを10モル%含むKBrとKIの混合水溶
液をダブルジェット法で30分間に渡り添加した。この
時,銀電位を飽和カロメル電極に対して最初の20分間
は+20mVに、残りの10分間は+45mVに保ち、
ホスト平板粒子を調製した。得られた平板粒子は球相当
径が1.7μm、平均厚さが0.12μmであった。そ
の後続けて、温度を60℃で、+73mVに保ち、銀量
が全銀量の15モル%となるように、同濃度の硝酸銀水
溶液とヨウ化カリウム水溶液を、10.5ml/min
で30分間、ダブルジェット法によって添加して、平板
粒子上に高ヨウ化物エピタキシャル相を形成させた。水
洗し、ゼラチンを添加し、40℃でpH5.8、pAg
8.7に調整し、保存した。その後、化合物1および2
を添加した後、60℃に昇温し、チオシアン酸カリウ
ム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウム、N,N−ジメチル
セレノウレアを添加し最適に化学増感した。化学増感終
了時に化合物3および化合物4を添加した。ここで、最
適に化学増感するとは、増感色素ならびに各化合物をハ
ロゲン化銀1モルあたり10-1から10-8モルの添加量
範囲から選択したことを意味する。
【0056】
【化1】
【0057】
【化2】
【0058】
【化3】
【0059】
【化4】
【0060】
【化5】
【0061】
【化6】
【0062】(Em−A2)種乳剤2を使用する以外
は、Em−A1と同様に行った。 (Em−A3)高ヨウ化物エピタキシャル相を形成する
電位を+150mVにする以外はEm−A1と同様に行
った。 (Em−A4)種乳剤2を使用する以外は、Em−A3
と同様に行った。 (Em−A5)ホスト平板粒子形成の最後の電位を+1
20mVにする以外は、Em−4と同様に行った。 (Em−A6)水洗する前に、50℃に保ち,0.3%
KI水溶液55mlを10分かけて添加し、増感色素1
および2を添加し、その後、AgNO3 8.4gを含む
水溶液18.8mlとNaCl1.44g、KBr2.
35gを含む水溶液20mlとAgI微粒子0.005
molを含む溶液を同時に添加し低ヨウ化物エピタキシ
ャル相(コーナーエピタキシャル相)を形成させた以外
は、Em−A5と同様に行った。この際、添加されるA
gNO3 1molに対して8.0×10-4molのK4
[RuCN6 ]を存在させた。その後、増感色素を添加
した(エピタキシャルの安定化のために)。このように
して得られたハロゲン化銀乳剤Em−A1〜6の粒子特
性を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】なお、EPMAより、Em−A6の低ヨウ
化物エピタキシャル相のヨウド含量を測定した結果、該
エピタキシャル銀量に対して5モル%であったことか
ら、Em−A6は本発明の範囲内である。また、高ヨウ
化物エピタキシャル相の形成電位を150mVとしたE
m−A3〜6について、得られた粒子を液体窒素で冷却
しながら透過電子顕微鏡で観察した結果、驚くべきこと
に粒子中心部から投影面積で90%以上の外周部に転位
線が存在していることがわかった。さらにに外周部に転
位が存在する粒子が全数の97.8%存在した。得られ
たEm−A1〜6をそれぞれ、下塗り層をもうけてある
三酢酸セルロースフィルム支持体上に下記の条件で乳剤
および保護層を塗布し、塗布試料を作成した。塗布性を
よくするために下記の界面活性剤を適宜添加した。
【0065】
【化7】
【0066】 乳剤塗布条件 (1)乳剤層 ・乳剤……各種の乳剤 (銀3.6×10-2モル/m2 ) ・下記に示すカプラー1 (1.5×10-3モル/m2
【0067】
【化8】
【0068】 ・トリクレジルフォスフェート (1.10g/m2 ) ・ゼラチン (2.30g/m2 ) (2)保護層 ・2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩 (0.08g/m2 ) ・ゼラチン (1.80g/m2 ) これらの試料を40℃、相対湿度70%の条件下に14
時間放置した後、イエローフィルターと連続ウェッジを
通して1/100秒間露光し、下記のカラー現像を行っ
た。
【0069】 カラー現像 工程 処理時間 処理温度 発色現像 2分 00秒 40℃ 漂白定着 3分 00秒 40℃ 水洗(2) 20秒 35℃ 水洗(1) 20秒 35℃ 安定 20秒 35℃ 乾燥 50秒 65℃ 次に、処理液の組成を示す。 発色現像 (単位g) ジエチレントリアミン五酢酸 1.0 1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジスルホン 3.0 2.0 硫酸ナトリウム 4.0 炭酸カリウム 30.0 臭化カリウム 1.4 ヨウ化カリウム 1.5mg ヒドロキシアミン硫酸 2.4 4−〔N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアミノ〕−2−メチルアニリン 硫酸塩 4.5 水を加えて 1.0リットル pH 10.05
【0070】 漂白定着液 (単位g) エチレンジアミン四酢酸第二鉄アンモニウム二水塩 90.0 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 5.0 亜硫酸ナトリウム 12.0 チオ硫酸アンモニウム水溶液(70%) 260.0ml 酢酸(98%) 5.0ml 下記に示す漂白促進剤1 0.01モル
【0071】
【化9】
【0072】 水を加えて 1.0リットル pH 6.0 (水洗液)水道水をH型カチオン交換樹脂(ロームアン
ドハース社製アンバーライトIR−120B)と、OH
型アニオン交換樹脂(同アンバーライトIR−400)
を充填した混床式カラムに通水してカルシウム及びマ
グネシウムイオン濃度を3mg/リットル以下に処理
し、続いて二塩化イソシアヌール酸ナトリウム20mg
/リットルと硫酸ナトリウム1.5g/リットルを添加
した。この液のpHは6.5〜7.5の範囲にある。
【0073】 安定液 (単位mg) ホルマリン(37%) 2.0ml ポリオキシエチレン−p−モノノニルフェニルエーテル (平均重合度10) 0.3 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.05 水を加えて 1.0リットル pH 5.0〜8.0 感度は、Em−A1を100として、カブリ上0.1の
濃度を与えるルックス・秒で表示する露光量の逆数の対
数の相対値で表示した。そのとき、乳剤1−Aの感度を
100とした。表2にまとめる。
【0074】
【表2】
【0075】実施例2 (Em−B1)トリメリット化率97%のトリメリット
化ゼラチン46g、KBr1.7gを含む水溶液121
1mlを75℃に保ち激しく攪拌した。前述した種乳剤
1を48g加えた後、変成シリコンオイル(日本ユニカ
−株式会社製品、L7602)を0.3g添加した。H
2SO4 を添加してpHを5.5に調整した後、AgN
3 7.0gを含む水溶液67.6mlとKIを10モ
ル%含むKBrとKIの混合水溶液をダブルジェット法
で最終流量が初期流量の5.1倍になるように流量加速
して6分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロ
メル電極に対して+0mVに保った。ベンゼンチオスル
ホン酸ナトリウム2mgと二酸化チオ尿素2mgを添加
した後、反応容器外に設置した攪拌装置にAgNO3
70gを含む水溶液762mlとKBr107.1gと
KI16.6gおよび分子量20,000のゼラチンを
76.2g含んだ水溶液762mlを同時に添加してヨ
ウ化銀含量10モル%のAgBrI微粒子乳剤(平均サ
イズ:0.015μm)を調製しながら反応容器内にこ
のAgBrI乳剤を120分間に渡り添加した。この
時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−30mVに保
った。AgNO3 23.4gを含む水溶液75mlとK
Br水溶液をダブルジェット法で11分間に渡り添加し
た。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して+10
mVに保った。82℃に昇温し、KBrを添加して銀電
位を−80mVに調整した後、0.037μmの粒子サ
イズのAgI微粒子乳剤をKI質量換算で2.28g添
加した。添加終了後直ちに、AgNO3 23.4gを含
む水溶液100.2mlを10分間に渡り添加した。添
加初期の5分間はKBr水溶液で銀電位を−80mVに
保ち、ホスト平板粒子を調製した。得られた平板粒子は
球相当径が1.7μm、平均厚さが0.15μmであっ
た。その後続けて、温度を60℃で、+145mVに保
ち、銀量が全銀量の12モル%となるように、同濃度の
硝酸銀水溶液とヨウ化カリウム水溶液を、13.2ml
/minで30分間、ダブルジェット法によって添加し
て、平板粒子上に高ヨウ化物エピタキシャル相を形成さ
せた。水洗した後,ゼラチンを添加し40℃でpH5.
8、pAg8.7に調整した。その後、Em−A1と同
様に化学増感した。
【0076】(Em−B2)反応容器外に設置した攪拌
装置に流入させるハロゲンをKBr119gに変更する
以外は、Em−B1と同様行った。 (Em−B3)種乳剤2を使用した以外は、Em−B1
と同様に行った。 (Em−B4)高ヨウ化物エピタキシャル相の形成電位
を+65mVとした以外は、Em−B3と同様に行っ
た。 (Em−B5)種乳剤2を使用した以外は、Em−B2
と同様に行った。 (Em−B6)水洗する前に、50℃に保ち,0.3%
KI水溶液55mlを10分かけて添加し、増感色素1
および2を添加し、その後、AgNO3 8.4gを含む
水溶液18.8mlとNaCl1.44g、KBr2.
35gを含む水溶液20mlとAgI微粒子0.005
molを含む溶液を同時に添加し低ヨウ化物エピタキシ
ャル相(コーナーエピタキシャル相)を形成させた以外
は、Em−B3と同様に行った。この際、添加されるA
gNO3 1molに対して8.0×10-4molのK3
[IrCl6 ]を存在させた。その後、増感色素を添加
した(エピタキシャルの安定化のために)。得られた粒
子の特性を表3に示す。
【0077】
【表3】
【0078】得られた乳剤を液体窒素で冷却しながら透
過電子顕微鏡で観察した結果、B1〜B6いずれにも外
周部に転位線が観察されたが、中でもEm−B1、3、
及び6の粒子が転位線の本数は比較的多く、一粒子当た
り平均21本の転位線が観察された。実施例1と同様
に、塗布、露光、現像を行った結果を表4に示す。感度
は、Em−B1を100とした相対値で示した。Em−
B3は平板粒子側面の{100}面比率が高く、且つ、
転位線の本数が多いため、感度、かぶりとも良好な結果
が得られた。Em−B3にコーナーエピタキシャル相を
接合させたEm−B6は、さらなる高感度化を達成でき
た。
【0079】
【表4】
【0080】実施例3 (Em−C1)高ヨウ化物エピタキシャル相形成のため
のAgNO3 水溶液及びKI水溶液を添加する30分前
に、二酸化チオ尿素0.05%を添加し、AgNO3
溶液の添加が30%終了した時点で化合物5の0.1%
溶液を適宜添加し、最適に還元増感した以外は実施例1
で得られたEm−A3と同様に調製した。 (化合物5) C25SO2SNa (Em−C2)Em−A4を使った以外はEm−C1と
同様に行った。実施例1と同様に塗布、露光、現像を行
った結果、Em−C2は、 Em−C1と比較して、感
度、かぶりとも良好な結果が得られた。
【0081】実施例4 実施例2で得られたEm−B4を、60℃に昇温した。
増感色素1及び2を添加した後に、チオシアン酸カリウ
ム、ビス(1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリ
アゾリウム−3−チオレート金)(1)テトラフルオロ
ボレイト、カルボキシメチルトリメチルチオ尿素、N,
N−ジメチルセレノウレアを添加し最適に化学増感し
た。化学増感終了時に化合物3及び化合物4を添加し
た。その結果、感度、かぶりとも良好な結果が得られ
た。
【0082】実施例5 実施例1で得られたEm−A6を、特開平9−1462
37号の実施例2の試料201の感材の第3層の乳剤と
して使用し、同特開平の実施例と同じ処理をして良好な
結果が得られた。
【0083】実施例6 実施例1で得られたEm−A6を、特開平10−204
62号の実施例1の試料110の感材の第3層の乳剤と
して使用し、同特開平の実施例と同じ処理をして良好な
結果が得られた。
【0084】
【発明の効果】高ヨウ化物相の短波の高い青吸収を利用
した高感度化を実現し且つ、高ヨウ化物による化学増感
阻害を受けないハロゲン化銀乳剤の提供を可能にした。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全ハロゲン化銀粒子投影面積の50%以
    上が、主表面が平滑な{111}面であるハロゲン化銀
    平板状粒子と分散媒とを含有し、該平板状粒子の主表面
    上に97モル%以上のヨウ化銀を含むハロゲン化銀から
    なるエピタキシャル相が接合しており、且つ該平板状粒
    子の側面における{100}面の面積比率が50%以上
    であることを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
  2. 【請求項2】 該ハロゲン化銀平板状粒子の側面におけ
    る{100}面の面積比率が67%以上であることを特
    徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  3. 【請求項3】 該ハロゲン化銀平板状粒子の全投影面積
    の50%以上の粒子が、頂点部、側面部および主表面部
    の少なくともいずれかの部分に、実質的にヨウド含量が
    10モル%以下のハロゲン化銀のエピタキシャルを1粒
    子当り少なくとも1個含有することを特徴とする請求項
    1または請求項2に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  4. 【請求項4】 該ハロゲン化銀平板状粒子の全投影面積
    の90%以上を占める平板状粒子が、その主表面の中心
    から80%以上の外周部位に転位を有することを特徴と
    する請求項1〜請求項3のいずれかに記載のハロゲン化
    銀写真乳剤。
  5. 【請求項5】 該ハロゲン化銀平板状粒子の全投影面積
    の50%以上がアスペクト比が8以上であることを特徴
    とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のハロゲン
    化銀写真乳剤。
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