JP2003106355A - 電動ブレーキ装置 - Google Patents
電動ブレーキ装置Info
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Abstract
ストン推力を得る制御方式を維持しつつその補正量の決
定に温度による変動要因を加え、もって環境温度によら
ずに所望の制動力を安定して得る。 【解決手段】 モータ12の回転を差動減速機構14に
て減速した後、ボールランプ機構12にて直線運動に変
換してピストン11に伝達し、ピストン11の推進によ
り制動力を発生する電動ブレーキ装置において、モータ
12の周りまたは差動減速機構14の周りに温度センサ
60を設け、この温度センサ60により検出した温度に
基いて、グリスを封入した差動減速機構14を含む機構
部の回転抵抗による無効電流値を求め、この無効電流値
をモータ12に供給する電流値の補正に用いて、温度に
よるピストン推力の変動を抑える。
Description
よって制動力を発生させる電動ブレーキ装置に関する。
転を運動変換機構を介して直線運動に変換してピストン
に伝達し、該ピストンを推進して、その推力でブレーキ
パッドをディスクロータに押圧して制動力を発生するも
のがある。そして、このような電動ブレーキ装置におい
ては、前記モータに供給する電流値を制御して必要なピ
ストン推力を得る制御方式が多く採用されている。より
詳しくは、ブレーキパッドとディスクロータとが接触し
たときの電流値を基準値として、必要ピストン推力に対
して予め設定された基準値からの増加量分の電流をモー
タに供給する制御方式を多く採用している。ただし、こ
の場合は、機構部の回転抵抗や機械損失が無効トルク
(無効電流)となるため、これらの無効電流を予め把握
し、この無効電流分だけ前記増加量分の電流値(有効電
流値)を補正する必要がある。
たようにモータに供給する電流値を制御して必要なピス
トン推力を得る制御方式を採用している従来の電動ブレ
ーキ装置によれば、環境温度によって得られるピストン
推力(制動力)にかなりのバラツキがあることが分かっ
てきており、特に、モータの小型化を図る目的で、モー
タと運動変換機構との間に減速機構を配置した最近の電
動ブレーキ装置において、前記したバラツキが顕著に現
われることが、確認されている。なお、制動力の制御方
式としては、ピストンに加わる反力からピストン推力を
直接的に検出して目標推力(押圧力)が得られるように
モータの回転を制御するものもあり(例えば、特開20
00−213575号公報)、このような方式では、上
記した環境温度による影響は現われない。しかし、この
ような制御方式によれば、ピストンに加わる反力を検出
するための特別の検出手段、例えば、ロードセル、圧電
センサ、半導体荷重センサ、磁わい式力センサ等をピス
トンに組込まなければならず、構造の複雑大型化が避け
られないようになる。本発明は、上記した従来の問題点
に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、モ
ータに供給する電流値に基いて必要なピストン推力を得
る制御方式を維持しつつその補正量の決定に温度による
変動要因を加え、もって環境温度によらずに所望の制動
力を安定して得ることができる電動ブレーキ装置を提供
することにある。
め、本発明は、ピストンと、モータと、該モータの回転
を減速する減速機構と、該減速機構の回転を直線運動に
変換して前記ピストンに伝達する運動変換機構とを配設
してなるキャリパを備え、前記モータの回転に応じて前
記ピストンを推進し、その推力でブレーキパッドをディ
スクロータに押圧して制動力を発生する電動ブレーキ装
置であって、前記モータに供給する電流値に基いて必要
なピストン推力を得るための制御を行う電動ブレーキ装
置において、前記キャリパに、該キャリパ内の温度を検
出する温度センサを設け、該温度センサにより検出した
温度に基いて求めた、機構部の回転抵抗による無効電流
値を前記モータに供給する電流値の補正に用いることを
特徴とする。上記減速機構にはグリスが封入されてお
り、この場合は、グリスの粘度が環境の温度により変化
するため、機構部の回転抵抗による無効電流も温度によ
り変化することになる。しかし、本発明においては、上
記したようにキャリパ内の温度を温度センサにより検出
して、この検出した温度に基いて求めた、機構部の回転
抵抗による無効電流値を補正に用いるので、必要なピス
トン推力を得るための目標電流値を環境温度に応じて補
正して、所望の制動力を得ることができる。一方、ピス
トン推力が発生している状態の機械効率も、環境温度に
よって変化する場合があるので、この場合は、上記温度
センサにより検出した温度に基いて、モータ推力発生に
伴う機械損失による無効電流値を推定し、該無効電流値
を前記モータに供給する電流値の補正に用いるようにす
るのが望ましい。本発明において、上記温度センサは、
特にその種類を問うものではないが、モータ温度測定セ
ンサとすることができ、この場合は、既存のモータ温度
測定センサを共用することで、電流値補正用のセンサを
特別に追加する必要はなくなる。
に基づいて詳細に説明する。
しての電動ブレーキ装置を示したものである。これらの
図において、1は、ディスクロータDより車両内側に位
置する車両の非回転部(ナックル等)に固定されたキャ
リア、2は、キャリア1にディスクロータDの軸方向へ
浮動可能に支持されたキャリパ、3,4は、ディスクロ
ータDの両側に配置された一対のブレーキパッドであ
り、ブレーキパッド3,4はディスクロータDの軸方向
に移動可能にキャリア1に支持されている。キャリパ2
は、先端側に爪部5aを有する爪部材5と、この爪部材
5の基端側にボルト(図示略)により結合された環状の
基体6と、この基体6にボルト7により共に結合された
リング状支持板8およびモータケース9とからなる組立
型のキャリパ本体10を備えており、前記爪部材5の爪
部5aが車両外側のブレーキパッド4の背面に近接して
配置されている。
ッド3の背面に当接可能なピストン11と、モータ12
と、このモータ12の回転を直線運動に変換して前記ピ
ストン11に伝えるボールランプ機構(運動変換機構)
13と、モータ12の回転を減速して前記ボールランプ
機構13に伝える差動減速機構14と、ブレーキパッド
3,4の摩耗に応じてピストン11の位置を変更してパ
ッド摩耗を補償しかつ制動中にモータ12が故障した
際、ボールランプ機構13を初期位置に自動的に戻して
ブレーキを解除する安全機構15とを備えている。
小径の軸部17とを連設してなっており、その本体部1
6が車両内側のブレーキパッド3に近接して配置されて
いる。ピストン11の軸部17には非円形断面(例え
ば、六角断面)の軸穴17aが設けられており、ピスト
ン11は、その軸穴17aに前記モータケース9の端板
18から延ばした支持ロッド19の先端部を挿入させる
ことにより、該支持ロッド19に摺動可能にかつ回転不
能に支持されている。なお、ピストン11の本体部16
とキャリパ本体10の爪部材5との間には、キャリパ本
体10内を外部から閉塞するゴム製のカバー20が張設
されている。
固定されたステータ21と、ステータ21内に配置され
た中空ロータ22とを備え、ロータ22は、モータケー
ス9および前記支持板8に軸受23,24によって回動
可能に支持されている。モータ12は、制御手段(図示
せず)からの指令でロータ22を回転させるように作動
し、一方、そのロータ22の回転角は、ロータ22に固
定したレゾルバロータ25とモータケース9の端板18
に固定したレゾルバステータ26とからなる回転検出器
27によって検出されるようになっている。また、モー
タケース9には、モータ12のステータ21および回転
検出器27と前記制御手段とを接続する信号線を取り回
すためのコネクタ28が取付けられている。
構13は、キャリパ本体10の環状基体6の内周部にク
ロスローラ軸受29を介して回動可能に支持されたリン
グ状第1ディスク(回動部材)31とピストン11の軸
部17にねじ部30を介して結合されたリング状第2デ
ィスク(直動部材)32と、両ディスク31と32との
間に介装されたボール33とを備えている。本実施の形
態において、前記第2ディスク32は、これとキャリパ
本体10との間に介装したウェーブワッシャ34の摩擦
力により回転が規制されている。
び第2ディスク32の対向面に、それぞれ円周方向に沿
って円弧状に形成された3つのボール溝35と36との
間に装入されている。ボール溝35,36は、それぞれ
同方向に傾斜して、等しい中心角(例えば90°)の範囲
で等間隔に配置されており、いま、第1ディスク31
が、図1、2の矢印A方向から見て反時計回りに回転す
る(以下、反時計回りおよび時計回りの表現は矢印A方
向から見たものとする)とき、第2ディスク32が同図
の左方向へ前進(直線移動)する。この時、第2ディス
ク32の回転がウェーブワッシャ33により規制されて
いるので、第2ディスク32は回転しないで前進し、こ
れに応じてピストン11が前進(推進)して、車両内側
のブレーキパッド3をディスクロータDに対して押付
け、これにより制動力が発生する。
の軸部17に螺合された部分(ねじ部30)にはモータ
ケース9の端板18側へ大きく延長する延長筒部37が
連設されており、この延長筒部37内には、前記支持ロ
ッド19に一端が係止され、該延長筒部37を介して常
時は第2ディスク32を第1ディスク31側へ付勢する
皿ばね38が配設されている。これにより、ボールラン
プ機構13のボール33は2つのディスク31と32と
の間に強圧され、第1ディスク31が時計回りに回転す
るとき、第2ディスク32が同図の右方向へ後退し、ピ
ストン11がブレーキパッド3から離間し、これにより
制動が解除される。
ータ22の、ディスクロータD側への延長端部に形成さ
れた偏心軸40、この偏心軸40に軸受41を介して回
動可能に嵌装された偏心板42、この偏心板42と前記
キャリパ本体10の支持板8との間に介装されたオルダ
ム機構43および偏心板42と前記ボールランプ機構1
3の第1ディスク31との間に介装されたサイクロイド
ボール減速機構44からなっている。偏心板42は、前
記オルダム機構43の作動により偏心軸40の回転に応
じて自転せずに公転運動をし、一方、この偏心板42の
公転運動に応じてサイクロイドボール減速機構44が作
動して、ボールランプ機構13の第1ディスク31がロ
ータ22と一定の回転比で該ロータ22と逆方向に回転
するようになる。なお、図1中、O1 はロータ22の回
転中心を、O2 は偏心軸40の回転中心を、Uは両者の
偏心量をそれぞれ表している。このような差動減速機構
14においては、いま、上記サイクロイドボール減速機
構44の、偏心板42側のサイクロイド溝の基準円の直
径をd、第1ディスク31側のサイクロイド溝の基準円
の直径をDとすると、前記ロータ22に対する第1ディ
スク31の回転比Nは、N=(D−d)/Dとなる。こ
の場合、第1ディスク31が一回転するときのロータ2
2の回転数が減速比α(=1/N)となる。そして、ロー
タ22が、ある角度θだけ回転すると、第1ディスク2
1の回転角θA はθ/αとなり、ボールランプ機構13
のボール溝35、36の傾斜(リード)をLとすると、
第2ディスク32はS=(L/360)×(θ/α)だけ前進す
ることになる。
構13の第2ディスク32の延長筒部37に回動可能に
嵌合されかつ第1ディスク31に作動連結されたリミッ
タ50と、前記第2ディスク32の延長筒部37に嵌合
され、ピン51により第2ディスク32に対して位置固
定されたスプリングホルダ52と、このスプリングホル
ダ52の周りに配置され、一端が前記リミッタ50に、
他端が前記スプリングホルダ52のフランジ部52aに
それぞれ連結されたコイルスプリング53とから概略構
成されている。
ように、その一端部に円周方向へ延びる溝54を円周方
向に等配して複数(ここでは、180°間隔で2つ)備え
ており、各溝54は、前記第1ディスク31の後端に突
設した弧状の係合突起55に噛合わされている。リミッ
タ50の溝54は、第1ディスク31の係合突起55の
幅よりも十分大きい周方向長さを有しており、したがっ
て、リミッタ50と第1ディスク31とは、溝54内で
係合突起55が移動できる範囲内で相対回転できるよう
になっている。また、リミッタ50とスプリングホルダ
52とは、回転方向の一箇所で相互に爪部56(図2)
同士を係合させることにより一方向への相対回転が規制
されている。上記コイルスプリング53は、前記爪部5
6同士を所定の予荷重で係合させるように所定のオフセ
ットを持ってリミッタ50とスプリングホルダ52との
間に介装されている。なお、この予荷重は前記ウェーブ
ワッシャ34の摩擦力よりも大きく設定されている。
ルランプ機構13が制動方向へ作動すると、最初、リミ
ッタ50がコイルスプリング53のオフセットにより初
期位置を維持するため、ブレーキパッド3がディスクロ
ータDに接するまで、すなわちパッドクリアランスが解
消されるまでは、第1ディスク31の係合突起55がリ
ミッタ50の溝54内で移動するだけとなる。その後、
さらにロータ22が回転し、ブレーキパッド3がディス
クロータDに押付けられて制動力が発生する段階、すな
わちピストン11に推力が発生する段階になると、第1
ディスク31の係合突起55がリミッタ50の溝端を押
してリミッタ50を回転させる。この時、前記ピストン
推力の発生によりピストン11とボールランプ機構13
の第2ディスク32とのねじ部30に大きな摩擦抵抗が
発生しているので、第2ディスク32は回転することな
く前進し、この間、リミッタ50とスプリングホルダ5
2との回転ずれはコイルスプリング53のねじり変形に
より吸収される。一方、この状態からボールランプ機構
13が制動解除方向へ作動すると、リミッタ50は、最
初、コイルスプリング53のねじり力(付勢力)により
第1ディスク31の回転に追従して初期位置に戻り、そ
の後、第1ディスク31がさらに回転して初期位置に戻
り、これによりブレーキパッド3とピストン11との間
に所定のパッドクリアランスが確保される。
る場合は、ブレーキパッド3とピストン11との間に所
定のパッドクリアランスに加えて、パッド摩耗分の隙間
が存在するため、最初、第1ディスク31の回転に応じ
てその係合突起55がリミッタ50の溝54内をその片
側の溝端から他側の溝端に当接するまで移動しても、す
なわちパッドクリアランス分だけ移動しても、ブレーキ
パッド3とピストン11との間には依然として前記パッ
ド摩耗分の隙間が残ることになる。その後、さらに第1
ディスク31が回転すると、その係合突起55がリミッ
タ50の溝端を押してリミッタ50を回転させ、この
時、コイルスプリング53の予荷重がウェーブワッシャ
34の摩擦力よりも大きいため、リミッタ50の回転が
コイルプリング53、スプリングホルダ52、ピン51
を介してボールランプ機構13の第2ディスク32に伝
達され、支持ピン19により回り止めされているピスト
ン11が、該支持ピン19に沿ってブレーキパッド3を
ディスクロータDに押付けるまで前進し、この結果、前
記パッド摩耗分の隙間が解消される。また、制動中に、
例えばモータコイル断線等によりモータ故障が発生する
と、リミッタ50とスプリングホルダ52との回転ずれ
を吸収していたコイルスプリング53の付勢力によりリ
ミッタ50が時計回りに回転し、これに応じてボールラ
ンプ機構13の第1ディスク31も強制的に時計回りに
回転させられる。すると、皿ばね38の付勢力により第
2ディスク32とピストン11とが一体的に後退し、こ
れによりブレーキパッド3をディスクロータDに押付け
る力が解放され、自動的に制動が解除される。
2のステータ21の周りの温度を検出する温度センサ6
0が設けられている。温度センサ60は、ここではサー
ミスタからなっており、前記コネクタ28を介して図示
を略す制御手段と信号線で接続されている。前記制御手
段は、前記回転検出器27の検出結果に基いてモータ1
2のロータ22の回転位置(回転角)を制御する機能
と、必要ピストン推力(制動力)が得られるようにモー
タ12に供給する電流を制御する機能とを有している
が、ここでは、後に詳述するように前記温度センサ60
で検出した温度に基いて前記モータに供給する電流を補
正する機能をも有している。
装置の作用について説明する。ペダル操作等で制動を必
要とする時には、図示しない制御手段からの指令でモー
タ12のロータ22が時計回り(図1、2に見て)に回
転する。すると、ロータ22と一体の偏心軸40に軸受
41を介して取付けられている偏心板42が、オルダム
機構43により自転せずに公転運動をし、この偏心板4
2の公転運動により、サイクロイドボール減速機構44
が作動し、ボールランプ機構13の第1ディスク31が
ロータ22と前記した一定の回転比Nをもってこれと逆
方向(反時計方向)へ回転する。この時、第2ディスク
32は、ウェーブワッシャ34の抵抗力により回転が規
制されているので、前記第1ディスク31の回転に応じ
てディスクロータD側へ前進し、これと一体にピストン
11が推進して、車両内側のブレーキパッド3をディス
クロータDに対して押付ける。すると、その押付け反力
によりキャリパ2がキャリア1に対して移動し、その爪
部材5の爪部5aが車両外側のブレーキパッド4をディ
スクロータDの外側面に押付け、これによりピストン1
1に推力が発生し、所定の制動力が発生する。この時、
ブレーキパッド3、4に摩耗があると、安全機構14が
作動してピストン11が余分に推進し、パッド摩耗が解
消されることは前記したとおりである。一方、この制動
状態からモータ12のロータ22が反時計回りに回転す
ると、皿ばね38の付勢力により第2ディスク32とピ
ストン11とが一体的に後退し、ディスクロータDへの
押付け力が解放され、制動が解除される。なお、上記制
動中にモータ故障が発生してロック状態となった場合
は、前記したように安全機構15の作動により第2ディ
スク32とピストン11とが一体的に後退し、制動が強
制的に解除される。
連の作動は、図示を略す制御手段により制御されるよう
になっている。すなわち、制御手段は、回転検出器27
の信号に基いて、ブレーキパッド3,4がディスクロー
タDに接触した時のモータ12のロータ22の回転位置
(回転角)すなわちピストン11の位置を正確に把握す
ると共に、所定のピストンクリアランスが確保されるよ
うにロータ22の回転角を制御する。制御手段はまた、
ブレーキパッド3,4とディスクロータDとが接触した
ときの電流値を基準値として、必要ピストン推力に対し
て予め設定された基準値からの増加量分の電流をモータ
に供給し、制動力を制御する。
効電流値)との間には、例えば図4に示すように一次的
な比例関係があり、したがって、前記したようにブレー
キパッド3,4とディスクロータDとが接触した時の電
流値を基準値として、モータ12に供給する電流値(有
効電流値)を設定すれば、必要ピストン推力が得られる
ことになる。しかし、実際には、ピストン推力発生前に
おける差動減速機構14を含む機構部の回転抵抗、ピス
トン推力発生による機械損失、イナーシャによる加速度
成分等が無効トルク(無効電流)として作用するため、
必要ピストン推力を得るには、これらの無効電流を予め
推定して、この無効電流分だけ前記有効電流値に加える
必要がある。すなわち、必要ピストン推力を得るための
有効電流をTuse、機構部の回転抵抗による無効電流を
Tυ、ピストン推力発生後の機械損失による無効電流を
Tloss、イナーシャによる加速度成分による無効電流を
θω'とそれぞれすると、モータ12に供給する目標電
流値(モニタ電流値)Tmは下記(1)式のようにな
る。 Tm =Tuse +Tloss+θω'+Tυ (1)
モータ12と運動変換機構としてのボールランプ機構1
3との間に差動減速機構(減速機構)14を介装してお
り、この差動減速機構14には、通常グリスが封入され
る。この場合、前記グリスの粘度が温度により変化する
ため、上記機構部の回転抵抗による無効電流Tυは温度
によって変化することになる。図5は、本電動ブレーキ
装置におけるモータ回転数と前記無効電流Tυとの相関
に及ぼす温度の影響を見たもので、温度が低くなるほ
ど、モータ回転数に対して無効電流Tυが増大する様子
が明らかである。一方、ピストン推力発生による機械損
失は、通常温度によって変化せず、また上記したイナー
シャによる加速度成分は温度によって変化しない。そこ
で、本実施の形態では、前記温度センサ60により検出
したモータ12付近の温度に基いて減速機構14付近の
温度を予測し、前記図5に示した相関から、機構部の回
転抵抗による無効電流Tυを求め、この値を上記(1)
に算入することによりモニタ電流値Tmを制御し、必要
ピストン推力すなわち必要制動力を正確に得るようにし
ている。
示したもので、ステップS1で、温度センサ60により
検出したモータ12付近の温度(モータ温度)を、減速
機構14付近の温度Teとして、積算時間をクリアする。
次に、ステップS2で、ペダル操作を確認し、ペダル操
作がなされていなければ、ステップS3において経過時
間を積算し、ステップS4で積算時間が規定時間以上で
あるか否かを確認する。そして、積算時間が規定時間以
上であれば、処理をステップS5に移し、温度センサ6
0で検出した現在のモータ温度を減速機構14付近の温
度Teとする。一方、ステップS2で、ブレーキ操作がな
されていると判断したら、処理をステップS6へ移して
経過時間をクリアし、さらにステップS7にてステップ
S5で最後に更新した減速機構14付近の温度Teとして
使用し、モータ12に供給する電流を制御する。
態の機械効率は、環境温度によって変化する場合がある
ので、この場合は、図7に示すようにピストン推力とモ
ータ電流値(有効電流値)との相関に及ぼす温度の影響
を予め把握し、この相関に基いてモータ推力発生に伴う
機械損失の温度変化による無効電流値を推定して、該無
効電流値を前記有効電流の補正に用いるようにする。
ケース9内の、モータ12のステータ21の周りに温度
センサ60を設けたが、この温度センサ60は、図1に
仮想線で示すように、差動減速機構14を囲むキャリパ
本体10の基体6の内周に設けてもよく、この場合は、
差動減速機構14付近の温度をより正確に把握すること
ができ、制御精度はより一層向上する。
動ブレーキ装置によれば、モータに供給する電流値を制
御して必要なピストン推力を得る制御方式を維持しつ
つ、キャリパ内の温度に基いて機構部の回転抵抗による
無効電流を求め、また必要により該キャリパ内の温度に
基いて機械損失による無効電流を求めるようにしたの
で、環境温度によらずに所望の制動力を安定して得るこ
とができ、信頼性の向上に大きく寄与するものとなる。
キ装置の全体構造を示す断面図である。
ある。
示す断面図である。
すグラフである。
転数との相関に及ぼす温度の影響を示すグラフである。
フローチャートである。
温度の影響を示すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 ピストンと、モータと、該モータの回転
を減速する減速機構と、該減速機構の回転を直線運動に
変換して前記ピストンに伝達する運動変換機構とを配設
してなるキャリパを備え、前記モータの回転に応じて前
記ピストンを推進し、その推力でブレーキパッドをディ
スクロータに押圧して制動力を発生する電動ブレーキ装
置であって、前記モータに供給する電流値に基いて必要
なピストン推力を得るための制御を行う電動ブレーキ装
置において、前記キャリパに、該キャリパ内の温度を検
出する温度センサを設け、該温度センサにより検出した
温度に基いて求めた、機構部の回転抵抗による無効電流
値を前記モータに供給する電流値の補正に用いることを
特徴とする電動ブレーキ装置。 - 【請求項2】 温度センサにより検出した温度に基い
て、モータ推力発生に伴う機械損失による無効電流値を
推定し、該無効電流値を前記モータに供給する電流値の
補正に用いることを特徴とする請求項1に記載の電動ブ
レーキ装置。 - 【請求項3】 前記温度センサは、モータ温度測定セン
サであること特徴とする請求項1または2に記載の電動
ブレーキ装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
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