JP4137547B2 - 電動ディスクブレーキ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載された制御回路から供給される電力により電動アクチュエータを作動させて、制動力を発生させる電動ディスクブレーキ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車等の車両の制動装置として、ブレーキ液を使用せず、電動モータ等の電動アクチュエータを作動させて制動力を発生させるようにしたいわゆる電動ブレーキ装置が知られている。
【0003】
電動ブレーキ装置としては、例えば、特開昭60−206766号公報に開示されているように、車両に搭載された制御回路から電力を供給されて力を発生する電動モータと、電動モータで発生する力を増力する増力機構と、該増力機構により増力した力で推進するピストンとをキャリパ本体内に設け、ピストンの推力によりブレーキパッドをディスクロータに押し付けて制動力を発生させるようにした電動ディスクブレーキ装置がある。
この種電動ディスクブレーキ装置では、運転者によって踏圧操作されるブレーキペダルの踏力またはその変位量をセンサによって検出し、その検出量に応じてコントローラからの指令信号に基づき電動モータの回転を制御し、これにより、所望の制動力を得るようになっている。
【0004】
また、上記のような電動ディスクブレーキ装置においては、各種センサを用いて、各車輪の回転速度、車両速度、車両加速度、操舵角、車両横加速度等の車両状態を検出し、これらの検出値に基づきコントローラによって電動モータの回転を制御することにより、倍力制御、アンチロック制御、トラクション制御および車両安定化制御等を比較的簡単に組み込むことができるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような電動ディスクブレーキ装置には、次の問題があった。キャリパ本体内では、例えば回転部材を支持する箇所や部材同士の摺動部分にグリスが使われているが、このグリスが低温時に粘性が高くなり、これに伴い機械的な力の伝達効率が低下して、必要なブレーキ力が得られにくくなったり、所望の応答性を確保するのが困難になるという問題があった。
【0006】
本発明者等は、電動モータに供給する電流の許容値、つまり最大供給電流値が電動モータが配置された周辺の温度により変化することに着目し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、例えキャリパ本体内の温度が低い場合でも、必要なブレーキ力が得られ、しかも良好な応答性も得られる電動ディスクブレーキ装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の請求項1記載の電動ディスクブレーキ装置は、車両に搭載された制御回路から電力を供給されて力を発生する電動アクチュエータと、該電動アクチュエータで発生する力を増力する増力機構と、該増力機構により増力した力で推進するピストンとをキャリパ本体内に設け、該ピストンの推力によりブレーキパッドをディスクロータに押し付けて制動力を発生する電動ディスクブレーキ装置において、
前記キャリパ本体内の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段により検出された温度が所定値よりも低いときに、前記電動アクチュエータへの最大供給電流値を大きくする電流供給制御手段とを有することを特徴としている。
【0008】
また、請求項2記載の電動ディスクブレーキ装置は、請求項1記載のものにおいて、前記電流供給制御手段が、所定時間内に前記温度検出手段で検出された最低温度が所定値よりも低いときに最大供給電流値を大きくすることを特徴としている。
【0009】
本発明によれば、キャリパ本体内の温度を温度検出手段により検出し、その温度が例えば所定値よりも低くなったとき、温度検出手段からの検出温度に基づき、電流供給制御手段を介して電動アクチュエータへ供給する電流の許容値、つまり最大供給電流値を増加する。
これにより、ピストンの推力が増大することとなり、低温になるに伴いグリスの粘性が高くなって機械的な力の伝達効率が低下する場合でも、その力の伝達効率の低下を補うこととなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態の電動ディスクブレーキ装置を図面を参照しつつ以下に説明する。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の電動ディスクブレーキ装置10は、図示せぬ車輪とともに回転するディスクロータ11の一側(通常は車体に対して内側)にキャリパ本体12が配置されており、このキャリパ本体12には、略C字形に形成されてディスクロータ11を跨いで反対側へ延びる爪部13が一体的に結合されている。ディスクロータ11の両側、すなわち、ディスクロータ11とキャリパ本体12との間および爪部13の先端部との間に、それぞれブレーキパッド14,15が設けられている。ブレーキパッド14,15は、車体側に固定されるキャリア16によってディスクロータ11の軸方向に沿って移動可能に支持されて、制動トルクをキャリア16で受けるようになっており、また、キャリパ本体12は、キャリア16に取付けられた図示せぬスライドピンによってディスクロータ11の軸方向に沿って摺動可能に案内されている。
【0012】
キャリパ本体12には、ボルト17によって略円筒伏のケース18が結合され、このケース18内には、電動モータ(電動アクチュエータ)19および回転検出器20が設けられている。一方、キャリパ本体12内には、ボールランプ機構21及び減速機構22が挿入されている。なお、減速機構22は、電動モータ19の回転速度を減少させる機能を果たすが、同時に、電動モータ19のトルクを増大させる機能も果たしている。つまり、減速機構22は、電動モータ19のトルクを増大させる増大機構も兼ねている。また、ケース18の後端部には、カバー23がボルト24によって取付けられている。
【0013】
電動モータ19は、ケース18の内周部に固定されたステータ25と、ステータ25に挿入されて軸受26,27によってケース18に回転可能に支持されたロータ28とを備えている。回転検出器20は、ケース18側に固定されたレゾルバステータ29及びロータ28に取付けられたレゾルバロータ30からなり、これらの相対回転に基づいてロータ28の回転位置を検出するものである。そして、電動モータ19及び回転検出器20には、コネクタ31を介してコントローラ71が接続され、このコントローラ71は、回転検出器20の検出結果すなわち電動モータ19の回転位置と、電動モータ19の電流値とに基づいて電動モータ19を制御することで、電動モータ19のロータ28の回転トルクを所望値に制御する。
【0014】
また、コントローラ71には、キャリパ本体12内の温度に応じて、前記電動モータ19への最大供給電流値を変化させる電流供給制御手段72が組み込まれている。電流供給制御手段72は、キャリパ本体12内の温度を検出する温度検出手段として、また、電動モータ19の温度上昇時のアラーム表示のための温度検出手段としてそれぞれ機能する、前記ステータ25に取り付けられた温度センサ73と電気的に接続されている。
【0015】
ボールランプ機構21は、環状の第1及び第2ディスク32,33と、これらの間に介装された複数のボール(鋼球)34とから構成されている。第1ディスク32は、軸受35によってキャリパ本体12に回転可能に支持され、ロータ28内に挿入される円筒部36が一体的に形成されている。第2ディスク33には、円筒部36よりも小径の円筒状のスリーブ37が一体的に形成され、このスリーブ37が円筒部36内に挿通されている。
【0016】
ボールランプ機構21の第1ディスク32及び第2ディスク33の対向面には、それぞれ円周方向に沿って延びる円弧状の例えば3つのボール溝38,39が形成されている。これらのボール溝38,39は、等しい中心角(例えば90゜)の範囲に延ばされて、同じ方向に傾斜されている。そして、第1及び第2ディスク32,33に形成されたボール溝38,39間にボール34が装入され、第1、第2ディスク32,33の相対回転によって、ボール溝38,39内をボール34が転動することにより、第1ディスク32と第2ディスク33とが軸方向に相対変位するようになっている。このとき、第1ディスク32が第2ディスク33に対して反時計回りに回転したとき、これらが離間する方向に変位する。
【0017】
第2ディスク33とブレーキパッド14との間には、ピストン40が設けられている。ピストン40には、外周にネジ部41を形成した円筒部42が設けられている。円筒部42は、第2ディスク33のスリーブ37内に挿入され、その内周に形成されたネジ部43に螺合されている。円筒部42内には、ケース18にブラケット44を介して取付けられた軸45の二面取部46が嵌合されて、ピストン40が回転しないように支持している。ネジ部41とネジ部43とで不可逆ねじを形成しており、ピストン40は、その軸方向に力が作用しても移動することはないが、第2ディスク33を反時計回りに回転させることにより、ディスクロータ11側へ移動するようになっている。
【0018】
軸45の外周部及び第2ディスク33のスリーブ37の内周部にそれぞれ形成されたバネ受47,48間に複数の皿バネ(圧縮ばね)49が介装され、そのばね力によって第2ディスク33がボール34を第1ディスク32との間で挟みつけるように付勢されている。軸45は、調整ネジ50およびロックナット51によってブラケット44に取付けられている。
【0019】
第2ディスク33には、最もディスクロータ11側の外径部にリング部材52が固定されている。一方、爪部13のキャリパ本体12側には、その内側に円筒部材53が位置固定で設けられており、この円筒部材53の内側には、第1ディスク32および第2ディスク33の相互対向側が配置されている。この円筒部材53の内側には、上記リング部材52と対向するようにリング部材54が固定されており、リング部材52とリング部材54との間には、これらの間に適度な抵抗力を付与するウエーブワッシャ55が介装されている。
【0020】
次に、減速機構22について説明する。電動モータ19の口ータ28の一端部に偏心軸57が形成され、偏心軸57の外周部には、軸受58を介して偏心板59が回転可能に取付けられている。キャリパ本体12には、偏心板59に対向させて固定板60が固定されている。偏心板59及び固定板60の対向面には、それぞれ周方向に沿って複数の穴(凹所)61,62が形成されており、これらの穴61,62間にボール(鋼球)63が介装してオルダム機構を構成して、公転運動する偏心板59を支持している。偏心板59の一端面は、第1ディスク32に対向されており、これらの対向面には、それぞれサイクロイド溝64,65が形成され、サイクロイド溝64,65間にボール(鋼球)66が挿入されている。
【0021】
第2ディスク33のスリーブ37の先端外周部には、円筒状のスプリングホルダ67がピン68によって回転しないように取付けられている。スプリングホルダ67の一端部が、第1ディスク32の円筒部36の先端部に係合して、これらの相対回転を一定範囲に制限している。スプリングホルダ67の周りには、コイルスプリング(ばね手段)69が巻装され、コイルスプリング69は、所定のセット荷重をもって捻られて、その一端部がスプリングホルダ67に結合され、他端部が第1ディスク32の円筒部36に結合されている。
【0022】
以上のように構成した本実施形態の電動ディスクブレーキ装置の基本作動について次に説明する。
【0023】
非制動状態では、ボールランプ機構21のボール34がボール溝38,39の最も深い端部にあり、第1ディスク32と第2ディスク33とが最も近い位置にある。コントローラ71は、制動力を発生させる際に、電動モータ19のロータ28を時計回りに回転させる。すると、偏心板59が公転し、サイクロイド溝64,65及びボール66の作用によって第1ディスク32がロータ28に対して、次式で示される一定の回転比Nで反時計回りに回転する。
N=(d−D)/D
ここで、
d:サイクロイド溝64の基準円直径
D:サイクロイド溝65の基準円直径
すなわち、第1ディスク32は、ロータ28に対して一定の減速比α(=1/N)で減速されて反時計回りに回転し、その分、トルクが増幅される。
【0024】
第1ディスク32の回転力は、コイルスプリング69を介して第2ディスク33に伝達される。ピストン40がブレーキパッド14,15を押圧する前は、ピストン40に軸方向の荷重が殆ど作用せず、ピストン40と第2ディスク33との間のネジ部41,43に生じる抵抗が小さいので、コイルスプリング69のセット荷重によって第2ディスク33が第1ディスク32と一体に回転し、第2ディスク33とピストン40との間に相対回転が生じて、ネジ部41,43の作用によってピストン40がディスクロータ11側ヘ前進する。なお、これにより、ネジ部41,43は電動モータ19の回転運動をピストン40の直線運動に変換する変換機構部を構成している。
【0025】
上記前進時において、第1ディスク32と一体に回転する第2ディスク33に固定されたリング部材52と、爪部13に円筒部材53を介して固定配置されたリング部材54とが相対回転することになり、これらの間に介装されたウエーブワッシャ55が第2ディスク33の回転に対して適度な抵抗力を付与する。
【0026】
そして、ピストン40が一方のブレーキパッド14に接触してこれをディスクロータ11ヘ押圧させ、その反力によってキャリパ本体12がキャリア16のスライドピンに沿って移動して、爪部13が他方のブレーキパッド15をディスクロータ11に押圧させる。
【0027】
両ブレーキパッド14,15がディスクロータ11に押圧された後は、その反力によってピストン40に軸方向の大きな荷重が作用するため、ネジ部41,43の抵抗が増大してコイルスプリング69のセット荷重を超えて、第2ディスク33が回転を停止させることになり、その結果、コイルスプリング69が撓んでボールランプ機構21の第1ディスク32および第2ディスク33間に相対回転が生じる。これにより、ボール34がボール溝38,39内を転動して第2ディスク33およびピストン40を一体に前進(すなわち直線運動)させ、ピストン40によってブレーキパッド14,15をディスクロータ11にさらに押付ける。なお、これにより、ボールランプ機構21も電動モータ19の回転運動をピストン40の直線運動に変換する変換機構部を構成している。
【0028】
そして、ピストン40がブレーキパッド14に接触した後において、コントローラ71は、回転検出器20の検出結果すなわち電動モータ19のロータ28の回転位置と、電動モータ19の電流値とを制御することで、電動モータ19のロータ28の回転トルク、すなわちピストン40の推力を所望値に制御する。
【0029】
ここで、コントローラ71は、図示せぬブレーキペダルからの入力である踏力やその変位量を検出するセンサから出力信号が送られ、この出力信号に基づきブレーキ動作指令信号を作り、該コントローラ71に内蔵してあるモータドライバ71aを介して電動モータ19を回転制御する。
なお、アンチロック制御、トラクション制御あるいは車両安定化制御等を行う際には、コントローラ71に、ブレーキペダルに関するセンサに代わって、他のセンサ、例えば各車輪の回転速度や車両速度等の車両状態を検出するセンサ等からの出力信号が送られ、これらの出力信号に基づき、電動モータ19を制御する動作指令信号を作成し、モータドライバ71aを介して電動モータ19を回転制御することになる。
【0030】
この実施形態の電動ディスクブレーキ装置10において、当該装置を構成する各構成部材が最大の応答性で動作するときは、電動モータ19にステップ状の駆動信号が入力されたときである。このときの電動ディスクブレーキ装置の電動モータ19による制動力の変化を図2に示す。この図に示すように、電動モータ19の回転状態は▲1▼の区間で加速、▲2▼の区間で一定速、▲3▼の区間で減速する。▲1▼の区間の加速度は電流供給制御手段72により定められる電流制限値、つまり最大供給電流値によって決定される。また、この電流制限値によって最大制動力も決定される。▲2▼の区間の電動モータの回転速度はモータドライバ内の回転数制限値によって決定される。
【0031】
電動モータ19に供給する電流値を制限することは、ブレーキパッド14,15への押圧力を制限することとなり、必要以上電動モータ19の回転量を進めないから、ブレーキ力解除時に必要以上に時間がかからないことと、キャリパ本体12の損傷を防止することにもつながる。
また、ブレーキ動作開始時は電動モータ19が停止しているため、電動モータ19の逆起電力の発生がないことから、高電圧を印可すると過大な電流が流れ、発熱による焼損や、磁石の減磁を引き起こす可能性があり、これを避ける意味でも電流値を制限することは必要不可欠である。
【0032】
また、この種電動ディスクブレーキ装置の場合、電動モータ19につながる動力伝達機構部においては、従来例でも説明したように、低温時にグリスの粘度の上昇等により各部材間の機械的な力の伝達効率が低下するため、応答性が低下したり必要なブレーキ力が得られなくなったりするおそれがあるが、このような不具合を回避すべく、この実施形態の電動ディスクブレーキ装置10では、低温時において、電動モータ19へ供給する電流制限値、つまり最大供給電流値を上げる制御を行っている。
【0033】
図3は、このときの電動モータ19へ供給する電流制限値を上げる際のコントローラ71内の具体的な動作を示している。電動モータ19のステータ25には温度センサ73が取り付けられているが、この温度センサ73によって刻々ステータ25の温度が測定され、コントローラ71に出力されている(ステップ1)。ステータ25は、ブレーキ動作時の通電により短時間で温度変化が起きるが、ステータ25に比べキャリパ本体12は熱容量が大きいため、ブレーキ動作によりステータ25とキャリパ本体12との間に温度差が生じる。ステータ25に通電すると、前記両者の温度差は大きくなるが、通電停止後温度は近づく。そこで、温度センサ73でステータ25の温度を計測すると、該計測値を図示せぬメモリに例えば過去5分時間の温度データとして保存し、そして、この保存した温度データのうち最低温度を、キャリパ本体12の温度と想定する(ステップ2)。
【0034】
次いで、このように想定したキャリパ本体12の温度が所定値(例えば0℃)より低いか否か判断し(ステップ3)、低い場合には電流供給制限手段72を介してモータドライバ71aの電流制限値を50Aに設定する(ステップ4)。他方、前記想定したキャリパ本体12の温度が所定値(例えば0℃)以上であれば電流供給制限手段72を介してモータドライバ71aの電流制御値を40Aに設定する(ステップ5)。このときのキャリパ本体12の想定温度と電流制限値の関係を図4に示す。上記したキャリパ本体12の温度変化に応じて電動モータ19へ供給する電流制限値つまり最大供給電流値を変える一連の動作は、車輌のメインキー(メインスイッチ)がオン状態のときに繰り返され、同メインキーがオフになったら終了する(ステップ6)。
【0035】
なお、図4に示す例では、キャリパ本体12の想定温度に応じ、実線のように電動モータ19へ供給する電流制限値を段階的に変えているが、電流制限値を変える態様は必ずしもこのような形である必要はなく、図中破線で示すように、キャリパ本体12の想定温度に応じて同温度が上がる場合それに対応して漸次電流制限値を連続的に下げるように変えてもよい。
【0036】
以上に述べた本実施形態の電動ディスクブレーキ装置10によれば、キャリパ本体12内の温度が所定温度(例えば0℃)よりも低下したとき、キャリパ本体12の温度を検出する温度センサ73からの検出温度に基づき、電流供給制御手段72を介して電動モータ19への電流制限値つまり最大供給電流値を40Aから50Aへ増加させる。この結果、図2で示す▲1▼の区間の加速度は、電流制限値が増加した分だけ増すこととなり、最大制動力も増すこととなる。
このため、キャリパ本体12の内の温度低下に伴うグリスの粘性が高くなって機械的な力の伝達効率が低下する場合でも、その力の伝達効率の低下を補うことができる。つまり、温度が低下する場合でも、必要なブレーキ力が得られるとともに、良好な応答性が確保される。
【0037】
なお、キャリパ本体12の温度が低いときには、ステータ25を構成するコイルの耐熱温度や磁石の減磁耐力が高いことから、例え電流制限値を上げたとしても安全性は確保できる。
【0038】
図5は、前述した実施形態の変形例を示すものである。ここでは、キャリパ本体12の温度がマイナス40℃〜+120℃の範囲において、前述した図4に示したものと同様に、キャリパ本体12の温度に応じて電動モータ19の電流制限値を、図中実線で示すように、40Aと50Aのいずれかに段階的に切り換えたり、あるいは図中破線で示すように連続的に変えたりしているが、キャリパ本体12の温度が、仕様の上限として定めた設定温度である例えば120℃を上まわる場合には、温度上昇に伴い電流制限値を連続的に小さくし、キャリパ本体12の温度が例えば電動モータ19の絶縁耐熱温度である155℃に達したときには、同電流制限値を0となるように制御することとしている。こうすることにより、電流の流し過ぎによる電動モータ19の焼損を未然に防ぐことができる。
【0039】
なお、このようにキャリパ本体12の温度が120℃を超える場合であって電流制限値を連続的に小さくなるよう制御するときには、温度センサ73から送られてくる信号を所定時間メモリに保存し、その保存したデータのうちの最低温度を用いるのではなく、温度センサ73によって検出されるステータ25の温度をそのまま用い、その検出信号に応じてリアルタイムで電流制限値を制御することになる。
【0040】
なお、前記実施の形態では、ピストン40を移動させる駆動源の電動アクチュエータとして電動モータ19を用いた例について説明したが、ピストン40を移動させるには電動モータ19に限られることなく、他の電動アクチュエータ例えばリニアモータ等を用いてもよい。
また、前記実施の形態では、キャリパ本体12内の温度を検出するものとして、ステータ25の温度を検出するアラーム用として兼用する温度センサ73を利用しているが、これに限られることなく、キャリパ本体12の温度を専用に検出する温度センサを設け、この検出信号に基づき電動アクチュエータへの最大供給電流値を変化させるようにしてもよい。
【0041】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の請求項1記載の電動ディスクブレーキ装置によれば、キャリパ本体内の温度を温度検出手段により検出し、その検出温度が例えば低下したとき、その検出温度に基づき、電流供給制御手段を介して電動アクチュエータへの最大電流値を増加させ、これにより、ピストンの推力増大することができる。これにより、温度低下に伴いキャリパ本体内のグリスの粘性が高くなって機械的な力の伝達効率が低下する場合でも、その力の伝達効率の低下を補うことができる。この結果、例え、温度が低下する場合でも、必要なブレーキ力を得られかつ良好な応答性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の電動ディスクブレーキ装置を示す断面図である。
【図2】 本発明の一実施形態の電動ディスクブレーキ装置の電動モータの供給電圧とそれに対応する制動力との関係を示す図である。
【図3】 本発明の一実施形態の電動ディスクブレーキ装置の電動モータへ供給する最大供給電流値を決定する処理を示すフローチャートである。
【図4】 本発明の一実施形態の電動ディスクブレーキ装置のキャリパ本体の温度と電動モータへ供給する最大供給電流値との関係を示す図である。
【図5】 本発明の電動ディスクブレーキ装置のキャリパ本体の温度と電動モータへ供給する最大供給電流値との関係の他の例を示す図である。
【符号の説明】
10 電動ディスクブレーキ装置
11 ディスクロータ
12 キャリパ本体
14,15 ブレーキパッド
19 電動モータ(電動アクチューエータ)
22 減速機構(増大機構)
25 ステータ
40 ピストン
71 コントローラ
72 電流供給制御手段
73 温度センサ(温度検出手段)

Claims (2)

  1. 車両に搭載された制御回路から電力を供給されて力を発生する電動アクチュエータと、該電動アクチュエータで発生する力を増力する増力機構と、該増力機構により増力した力で推進するピストンとをキャリパ本体内に設け、該ピストンの推力によりブレーキパッドをディスクロータに押し付けて制動力を発生する電動ディスクブレーキ装置において、
    前記キャリパ本体内の温度を検出する温度検出手段と、
    前記温度検出手段により検出された温度が所定値よりも低いときに、前記電動アクチュエータへの最大供給電流値を大きくする電流供給制御手段と
    を有することを特徴とする電動ディスクブレーキ装置。
  2. 前記電流供給制御手段は、所定時間内に前記温度検出手段で検出された最低温度が所定値よりも低いときに最大供給電流値を大きくすることを特徴とする請求項1記載の電動ディスクブレーキ装置。
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