JP2000264183A - 電動式ブレーキ装置 - Google Patents

電動式ブレーキ装置

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JP2000264183A JP11068236A JP6823699A JP2000264183A JP 2000264183 A JP2000264183 A JP 2000264183A JP 11068236 A JP11068236 A JP 11068236A JP 6823699 A JP6823699 A JP 6823699A JP 2000264183 A JP2000264183 A JP 2000264183A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】モータを駆動源とするブレーキを備えた車両用
の電動式ブレーキ装置において、モータの駆動力をブレ
ーキ操作部材の操作値との関係において適正化する。 【解決手段】ブレーキ操作値Aの時間的変化に起因しな
い時間的変化が制動トルクT,車体減速度Gおよび車速
Vに生じないように、ブレーキ操作値Aとモータ駆動力
Dとの関係を規定する制御ゲインkを、一連のブレーキ
操作中における車速Vの低下と、一連のブレーキ操作中
におけるブレーキの作動の連続時間tBの経過とに関連
して減少させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モータを駆動源と
するブレーキを備えた車両用の電動式ブレーキ装置に関
するものであり、特に、そのモータの駆動力を制御する
技術の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両用のブレーキ装置の分野において
は、モータを用いてブレーキを電気的に作動させる電動
式ブレーキ装置が既に知られている。そして、特開平1
0−331876号公報には、次のような電動式ブレー
キ装置が開示されている。それは、(a) ブレーキペダル
等、運転者により操作されるブレーキ操作部材と、(b)
ブレーキ操作部材の操作力,操作ストローク等、操作値
を検出するブレーキ操作値センサと、(c) ブレーキと、
(d) コントローラとを含むように構成されている。
【0003】ブレーキは、電源から供給される電力によ
り駆動されるモータの駆動力(駆動トルクを含む概念)
により摩擦材を、車輪と共に回転する回転体に押し付
け、それにより、その回転体に制動トルクを発生させ、
その発生させられた制動トルクにより車輪を制動するよ
うに構成される。ブレーキには、ブレーキパッドを摩擦
材、ディスクを回転体としてそれぞれ備えたディスク式
と、ブレーキライニングを摩擦材、ドラムを回転体とし
てそれぞれ備えたドラム式とがある。
【0004】コントローラは、ブレーキ操作部材の操作
値とモータの駆動力との間に予め定められた関係に従
い、かつ、ブレーキ操作値センサにより検出されたブレ
ーキ操作値に基づき、モータの駆動力を制御するように
構成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および発
明の効果】この種の電動式ブレーキ装置においては、モ
ータ駆動力と制動トルクとの関係が常に一定であるとは
限らず、時間的に変化する場合がある。以下、具体的に
説明する。
【0006】例えば、ブレーキが通常のドラム式である
場合等、ブレーキがセルフサーボ効果を発生可能な形式
である場合には、モータ駆動力が制動トルクに変換され
る比率であるブレーキ効力係数BEFが常に一定である
わけではなく、ブレーキ操作値が一定であっても時間と
共に増加する。そのため、ブレーキがセルフサーボ効果
を発生可能な形式である場合には、ブレーキ操作値の時
間的変化に起因しない時間的変化が制動トルクに発生す
る。よって、特に、ブレーキ操作に伴って車速が低下す
るにつれて、運転者は車体減速度の変化に違和感を感じ
る。
【0007】ブレーキ効力係数BEFは摩擦材の摩擦係
数μに依存する。具体的には、ブレーキ効力係数BEF
は、それが大きい領域において小さい領域におけるより
敏感に摩擦材の摩擦係数μの変化に対して変化させられ
る。このことは図7にグラフで示されている。その結
果、制動トルクも、ブレーキ効力係数BEFが大きい領
域において小さい領域におけるより敏感に摩擦材の摩擦
係数μの変化に対して変化させられる。一方、摩擦材の
摩擦係数μは、その摩擦材の温度に依存し、摩擦材の温
度は、ブレーキが連続して作動させられる時間の増加に
つれて上昇する。そのため、ブレーキがセルフサーボ効
果を発生可能な形式である場合には、摩擦材の温度変化
に起因した摩擦材の摩擦係数μの時間的変化によって
も、ブレーキ操作値の時間的変化に起因しない時間的変
化が制動トルクに発生する。
【0008】ブレーキが通常のディスク式である場合
等、ブレーキがセルフサーボ効果を発生させない形式で
ある場合にも、ブレーキ効力係数BEFが、ブレーキ操
作値が一定であっても時間と共に増加することがある。
例えば、車両の走行速度が約30km/h以下である状
態等、車両が低速走行させられている状態では、ブレー
キ操作値を一定にしても、ブレーキ効力係数BEFが時
間と共に増加することがあるのである。これは、摩擦材
が回転体に食いつくことが原因であると予想される。そ
のため、ブレーキがセルフサーボ効果を発生させない形
式である場合にも、ブレーキ操作値の時間的変化に起因
しない時間的変化が制動トルクに発生することがある。
【0009】ブレーキ操作値の時間的変化に起因しない
時間的変化が制動トルクに発生することは、その原因の
種類の如何を問わず、運転者のブレーキ操作フィーリン
グを悪化させる要因となる。そのため、上記電動式ブレ
ーキ装置においては、このような制動トルクの時間的変
化を考慮しないでモータ駆動力が制御されると、ブレー
キ操作フィーリングが悪化するおそれがある。
【0010】このような事情を背景として、本発明は、
モータ駆動力をブレーキ操作値との関係において適正化
することを課題としてなされたものであり、本発明によ
って下記各態様が得られる。各態様は、請求項と同様
に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の
項の番号を引用する形式で記載する。これは、本明細書
に記載の技術的特徴およびそれらの組合せのいくつかの
理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的
特徴やそれらの組合せが以下の態様に限定されると解釈
されるべきではない。
【0011】(1) 運転者により操作されるブレーキ操作
部材と、そのブレーキ操作部材の操作値を検出するブレ
ーキ操作値センサと、電力により駆動されるモータの駆
動力により摩擦材を、車輪と共に回転する回転体に押し
付け、それにより、その回転体に制動トルクを発生さ
せ、その発生させられた制動トルクにより車輪を制動す
るブレーキと、前記ブレーキ操作部材の操作値と前記モ
ータの駆動力との間に予め定められた関係に従い、か
つ、前記ブレーキ操作値センサにより検出されたブレー
キ操作値に基づき、モータの駆動力を制御するコントロ
ーラとを含む電動式ブレーキ装置において、一連のブレ
ーキ操作中に、前記ブレーキの作動状態に関する情報を
逐次取得するとともに、その取得した情報の変化に基づ
いて前記関係を変化させる関係変化装置を設けたことを
特徴とする電動式ブレーキ装置〔請求項1〕。この電動
式ブレーキ装置によれば、前記関係が、一連のブレーキ
操作中一定とされるのではなく、一連のブレーキ操作中
に変化させられる。そして、この電動式ブレーキ装置に
よれば、一連のブレーキ操作中に、ブレーキ操作値の時
間的変化に起因しない時間的変化が制動トルクに実質的
に生じないように前記関係を変化させることが可能であ
る。したがって、この電動式ブレーキ装置によれば、モ
ータ駆動力をブレーキ操作値との関係において適正化し
得、その結果、良好なブレーキ操作フィーリングを得る
ことが可能となる。さらに、この電動式ブレーキ装置に
よれば、前記情報の逐次的な取得と前記関係の変化とが
同じ回の一連のブレーキ操作中に行われる。よって、ブ
レーキの作動状態の実際の変化に精度よく追従するよう
に前記関係をリアルタイムで変化させることが容易とな
り、その結果、モータ駆動力の制御精度を容易に向上さ
せ得る。この電動式ブレーキ装置において「一連のブレ
ーキ操作中に前記関係を変化させる」形式には、一連の
ブレーキ操作の途中で1回、前記関係を変化させる形式
を選んだり、複数回変化させる形式を選ぶことができ
る。1回変化させる形式は、一連のブレーキ操作中に前
記関係を2段階に変化させる形式であるということがで
き、また、複数回変化させる形式は、一連のブレーキ操
作中に前記関係を3段階以上に変化させる形式であると
いうことができる。また、この電動式ブレーキ装置にお
いて「一連のブレーキ操作」は、ブレーキ操作部材の操
作を開始してから、その開始時から最初にその操作を終
了するまでの、運転者の動作をいう。また、この電動式
ブレーキ装置において「前記関係を変化させる」技術
は、モータに供給される電力値(以下、「モータ電力
値」という)とモータ駆動力とが1対1に対応する場合
には、ブレーキ操作値に応じてモータ電力値を決定する
過程においては、それらブレーキ操作値とモータ電力値
との関係を変化させる技術として実現でき、また、ブレ
ーキ操作値に応じて車体減速度の目標値を決定してその
目標減速度に応じてモータ電力値を決定する過程におい
ては、ブレーキ操作値と目標減速度との関係を変化させ
る技術として実現できる。また、モータ電力値とモータ
駆動力との関係を電気的にまたは機械的に変化させ得る
場合には、その関係を変化させる技術として実現でき
る。また、この電動式ブレーキ装置においては、ブレー
キをドラム式としたり、ディスク式とすることができ
る。また、ディスク式のブレーキは、セルフサーボ効果
を発生可能な形式としたり、発生させない形式とするこ
とができる。また、この電動式ブレーキ装置において
「前記関係」は、ブレーキ操作値の増加につれてモータ
駆動力が増加することを表す連続的な関係(例えばパタ
ーン)としたり、ある瞬間におけるブレーキ操作値とモ
ータ駆動力との関係とすることができる。また、この電
動式ブレーキ装置において「前記情報」は、車体減速度
を表す情報を含まないものとすることができる。車体減
速度は、ブレーキにとっての外乱として、車輪のタイヤ
の摩擦係数の変動,路面の摩擦係数の変動,路面の傾斜
の影響を受けるからである。なお、本項に記載の上記説
明は、以下の項においても適用され得る。 (2) 前記関係が、前記ブレーキ操作値から前記モータの
駆動力の目標値を求めるためにブレーキ操作値に掛け算
される制御ゲインである(1) 項に記載の電動式ブレーキ
装置。ここに「制御ゲイン」は、ブレーキ操作値の変化
可能領域の全体について共通のものとしたり、ブレーキ
操作値に応じて変化するものとすることができる。 (3) 前記関係変化装置が、前記ブレーキ操作値の時間的
変化に起因しない時間的変化が前記制動トルクに実質的
に生じないように、一連のブレーキ操作中に前記関係を
変化させるものである(1) または(2) 項に記載の電動式
ブレーキ装置。この電動式ブレーキ装置によれば、一連
のブレーキ操作中に、ブレーキ操作値の時間的変化に起
因しない時間的変化が制動トルクに実質的に生じないよ
うに前記関係が変化させられる。したがって、この電動
式ブレーキ装置によれば、良好なブレーキ操作フィーリ
ングが得られる。 (4) 前記関係変化装置が、一連のブレーキ操作中におけ
る車両の走行速度または車輪の回転速度の変化と、一連
のブレーキ操作中に前記ブレーキの作動が連続するブレ
ーキ作動連続時間の経過と、一連のブレーキ操作中にお
ける前記摩擦材またはそれの周辺の温度の変化と、一連
のブレーキ操作中に前記ブレーキ操作値に時間的変化が
実質的に生じない定常状態にあるか否かを表す情報の変
化との少なくとも一つに関連して前記関係を変化させる
ものである(1) ないし(3) 項のいずれかに記載の電動式
ブレーキ装置。この電動式ブレーキ装置によれば、後述
の(5) ないし(14)項に記載の説明から明らかなように、
車両の走行速度または車輪の回転速度の変化と、ブレー
キ作動連続時間と、摩擦材またはそれの周辺の温度の変
化と、ブレーキ操作値が定常状態にあるか否かを表す情
報との少なくとも一つを考慮することにより、モータ駆
動力をブレーキ操作値との関係において適正化し得る。 (5) 前記関係変化装置が、一連のブレーキ操作中におけ
る車両の走行速度または車輪の回転速度である速度の変
化に関連して前記関係を変化させる第1変化手段を含む
(1) 項に記載の電動式ブレーキ装置〔請求項2〕。前述
のように、車両の走行速度または車輪の回転速度が小さ
い場合において大きい場合におけるより、摩擦材の回転
体への食いつきが生じ易く、よって、ブレーキ操作値の
時間的増加に起因しない制動トルクの時間的増加が発生
する可能性が高い。また、車両の走行速度が小さい場合
において大きい場合におけるより、運転者は、ブレーキ
操作値の時間的変化に起因しない制動トルクの時間的変
化をブレーキ操作フィーリングの時間的変化として感じ
易く、よって、ブレーキ操作値の時間的変化に起因しな
い制動トルクの時間的変化を抑制する必要性が高い。ま
た、ブレーキ操作フィーリングの悪化防止は、車両の走
行速度が小さい場合において大きい場合におけるより強
く要望される事項であるのに対して、ブレーキの効き増
加は、車両の走行速度が大きい場合において小さい場合
におけるより強く要望される事項であると考えられる。
一方、ブレーキ操作値の時間的増加に起因しない制動ト
ルクの時間的増加は、ブレーキの効きが増すことを意味
する。したがって、車両の走行速度が大きい場合にはブ
レーキの効き増加を優先させる一方、車両の走行速度が
小さい場合にはブレーキ操作フィーリングの悪化防止を
優先させることが考えられ、その考えに従えば、車両の
走行速度が小さい場合において大きい場合におけるよ
り、ブレーキ操作値の時間的増加に起因しない制動トル
クの時間的増加を抑制する必要性が高い。このように、
車両の走行速度または車輪の回転速度と、ブレーキ操作
値の時間的変化に起因しない制動トルクの時間的変化の
発生可能性および抑制必要性との間には一定の関係が成
立する。このような知見に基づき、本項に記載の電動式
ブレーキ装置においては、一連のブレーキ操作中におけ
る車両の走行速度または車輪の回転速度の変化を考慮し
て前記関係が変化させられる。したがって、この電動式
ブレーキ装置によれば、モータ駆動力をブレーキ操作値
との関係において適正化し得る。 (6) 前記第1変化手段が、同じブレーキ操作値に対応す
るモータ駆動力が、前記速度が小さい場合において大き
い場合におけるより小さくなるように前記関係を変化さ
せる手段を含む(5) 項に記載の電動式ブレーキ装置。こ
の電動式ブレーキ装置によれば、前記(5) 項に記載の説
明から明らかなように、車両の走行速度または車輪の回
転速度が小さいためにモータ駆動力を小さくすることが
望ましい場合にモータ駆動力が小さくされ、それによ
り、制動トルクの変化が抑制されるため、ブレーキ操作
フィーリングが向上する。 (7) 前記第1変化手段が、同じブレーキ操作値に対応す
るモータ駆動力が、一連のブレーキ操作の開始時におけ
る前記速度であるブレーキ操作開始時速度が第1基準値
より小さい場合において大きい場合におけるより小さく
なるように前記関係を設定する手段を含む(5) または
(6) 項に記載の電動式ブレーキ装置。この電動式ブレー
キ装置によれば、ブレーキ操作開始時速度が小さい場合
と大きい場合とで前記関係が互いに異なるように設定さ
れ、その結果、モータ駆動力がブレーキ操作開始時速度
との関係において適正化される。 (8) 前記第1変化手段が、前記ブレーキ操作開始時速度
が前記第1基準値より大きい場合には、同じブレーキ操
作値に対応するモータ駆動力が、前記一連のブレーキ操
作の開始後における前記速度であるブレーキ操作開始後
速度が第2基準値に低下した後の期間において低下する
前の期間におけるより小さくなるように前記関係を変化
させる手段を含む(7) 項に記載の電動式ブレーキ装置。
この電動式ブレーキ装置によれば、ブレーキ操作開始後
速度が変化するにつれて前記関係が変化させられ、その
結果、ブレーキ操作開始後速度を考慮することにより、
モータ駆動力をブレーキ操作値との関係において適正化
し得る。この電動式ブレーキ装置において「第2基準
値」は、第1基準値と等しい値としたり、異なる値とす
ることができる。 (9) 前記関係変化装置が、一連のブレーキ操作中に前記
ブレーキの作動が連続するブレーキ作動連続時間の経過
に関連して前記関係を変化させる第2変化手段を含む
(1) ないし(8) 項のいずれかに記載の電動式ブレーキ装
置〔請求項3〕。ブレーキ操作値の時間的変化に起因し
ない制動トルクの時間的変化を抑制するためには、前記
関係を時間に依存しつつ変化させることが望ましい。こ
のような知見に基づき、本項に記載の電動式ブレーキ装
置においては、ブレーキ作動連続時間の経過を考慮して
前記関係が変化させられる。したがって、この電動式ブ
レーキ装置によれば、モータ駆動力をブレーキ操作値と
の関係において適正化し得る。 (10)前記第2変化手段が、同じブレーキ操作値に対応す
るモータ駆動力が、前記ブレーキ作動連続時間が長い場
合において短い場合におけるより小さくなるように前記
関係を変化させる手段を含む(9) 項に記載の電動式ブレ
ーキ装置。この電動式ブレーキ装置によれば、前記(5)
項に記載の説明から明らかなように、ブレーキ作動連続
時間が長いためモータ駆動力を小さくすることが望まし
い場合にモータ駆動力が小さくされ、それにより、制動
トルクの変化が抑制されるため、ブレーキ操作フィーリ
ングが向上する。 (11)前記関係変化装置が、一連のブレーキ操作中におけ
る前記摩擦材またはそれの近傍の温度の変化に関連して
前記関係を変化させる第3変化手段を含む(1)ないし(1
0)項のいずれかに記載の電動式ブレーキ装置〔請求項
4〕。ブレーキ作動連続時間が経過するにつれて、摩擦
材またはそれの近傍の温度が上昇する。このように、ブ
レーキ作動連続時間と摩擦材等の温度との間には一定の
関係が成立する。このような知見に基づき、本項に記載
の電動式ブレーキ装置においては、一連のブレーキ操作
中における摩擦材またはそれの近傍の温度の変化を考慮
して前記関係が変化させられる。 (12)前記第3変化手段が、同じブレーキ操作値に対応す
るモータ駆動力が、前記温度が高い場合において低い場
合におけるより小さくなるように前記関係を変化させる
手段を含む(11)項に記載の電動式ブレーキ装置。この電
動式ブレーキ装置によれば、前記(5) 項に記載の説明か
ら明らかなように、摩擦材等の温度が高いためにモータ
駆動力を小さくすることが望ましい場合にモータ駆動力
が小さくされ、それにより、制動トルクの変化が抑制さ
れるため、ブレーキ操作フィーリングが向上する。 (13)前記関係変化装置が、前記ブレーキ操作値に時間的
変化が実質的に生じていない定常状態にあるか否かに基
づいて前記関係を変化させる第4変化手段を含む(1) な
いし(12)項のいずれかに記載の電動式ブレーキ装置。ブ
レーキ操作値に時間的変化が実質的に生じていない定常
状態においてそうでない非定常状態におけるより、運転
者は、ブレーキ操作値の時間的変化に起因しない制動ト
ルクの時間的変化をブレーキ操作フィーリングの時間的
変化として感じ易い。このような知見に基づき、本項に
記載の電動式ブレーキ装置においては、ブレーキ操作値
が定常状態にあるか否かに基づいて前記関係が変化させ
られる。 (14)前記第4変化手段が、同じブレーキ操作値に対応す
るモータ駆動力が、前記定常状態において非定常状態に
おけるより小さくなるように前記関係を変化させる手段
を含む(13)項に記載の電動式ブレーキ装置。この電動式
ブレーキ装置によれば、運転者が制動トルクの時間的変
化を感じ易い、ブレーキ操作値の定常状態において、モ
ータ駆動力が小さくされるため、制動トルクの変化量が
低減され、その結果、ブレーキ操作フィーリングの悪化
が抑制される。 (15)前記関係変化装置が、前記関係を段階的に変化させ
るものである(1) ないし(14)項のいずれかに記載の電動
式ブレーキ装置〔請求項5〕。前記(1) ないし(14)項の
いずれかに記載の電動式ブレーキ装置は、前記関係変化
装置が、前記関係を実質的に連続的に変化させる態様で
実施することが可能であるが、本項に記載の電動式ブレ
ーキ装置におけるように、段階的に変化させる態様で実
施すれば、実質的に連続的に変化させる態様で実施する
場合に比較して、前記関係を変化させるための構成、例
えば、コンピュータのプログラム,メモリ等の負荷が軽
減される。 (16)前記関係変化装置が、前記ブレーキ操作値の時間的
変化に起因しない時間的変化が前記制動トルクに生じる
可能性の有無を判定する可能性判定手段を含み、その可
能性判定手段によりその可能性があると判定された場合
に前記関係を変化させるものである(1) ないし(15)項の
いずれかに記載の電動式ブレーキ装置。ここに「可能性
判定手段」は例えば、ブレーキ操作値の時間的変化に起
因しない時間的変化が制動トルクに生じる可能性が、ブ
レーキの作動が連続する時間が長い場合において短い場
合におけるより高いという事実に着目することにより、
その可能性を有無を判定する形式としたり、ブレーキ操
作値の時間的変化に起因しない時間的変化が制動トルク
に生じる可能性が、摩擦材またはそれの近傍の温度が高
い場合において低い場合におけるより高いという事実に
着目することにより、その可能性を有無を判定する形式
とすることができる。 (17)前記関係変化装置が、さらに、前記ブレーキ操作値
の時間的変化に起因しない時間的変化が前記制動トルク
に実質的に生じないように前記関係を変化させることが
必要であるか否かを判定する必要性判定手段を含み、前
記可能性判定手段により、前記ブレーキ操作値の時間的
変化に起因しない時間的変化が前記制動トルクに生じる
可能性があると判定され、かつ、前記必要性判定手段に
より、前記ブレーキ操作値の時間的変化に起因しない時
間的変化が前記制動トルクに実質的に生じないように前
記関係を変化させることが必要であると判定された場合
に前記関係を変化させるものである(16)項に記載の電動
式ブレーキ装置。ここに「必要性判定手段」は例えば、
ブレーキ操作値の時間的変化に起因しない時間的変化が
制動トルクに生じると、運転者はその制動トルクの時間
的変化を、車両の走行速度が低い場合において高い場合
におけるより感じ易いという事実に着目することによ
り、ブレーキ操作値の時間的変化に起因しない時間的変
化が制動トルクに実質的に生じないように関係を変化さ
せることが必要であるか否かを判定する形式とすること
ができる。また、ブレーキ操作値の時間的変化に起因し
ない時間的変化が制動トルクに生じると、運転者はその
制動トルクの時間的変化を、ブレーキ操作値の時間的変
化がない場合においてある場合におけるより感じ易いと
いう事実に着目することにより、ブレーキ操作値の時間
的変化に起因しない時間的変化が制動トルクに実質的に
生じないように関係を変化させることが必要であるか否
かを判定する形式とすることもできる。 (18)運転者により操作されるブレーキ操作部材と、その
ブレーキ操作部材の操作値を検出するブレーキ操作値セ
ンサと、電力により駆動されるモータの駆動力により摩
擦材を、車輪と共に回転する回転体に押し付け、それに
より、その回転体に制動トルクを発生させ、その発生さ
せられた制動トルクにより車輪を制動するブレーキと、
前記ブレーキ操作部材の操作値と前記モータの駆動力と
の間に予め定められた関係に従い、かつ、前記ブレーキ
操作値センサにより検出されたブレーキ操作値に基づ
き、モータの駆動力を制御するコントローラとを含む電
動式ブレーキ装置において、車両の走行速度または車輪
の回転速度である速度と、前記ブレーキの作動が連続す
る時間と、前記摩擦材またはそれの周辺の温度と、前記
ブレーキ操作値に時間的変化が実質的に生じない定常状
態にあるか否かを表す情報との少なくとも一つに基づい
て前記関係を決定する関係決定装置を設けたことを特徴
とする電動式ブレーキ装置。この電動式ブレーキ装置に
よれば、前記(5) ないし(14)項に記載の説明から明らか
なように、良好なブレーキ操作フィーリングが得られ
る。この電動式ブレーキ装置において「前記関係を決定
する」という用語は、各回の一連のブレーキ操作ごとに
前記関係の初期値を設定することと、各回の一連のブレ
ーキ操作中に前記関係を変化させることとの少なくとも
一方を含むように解釈される。 (19)運転者により操作されるブレーキ操作部材と、その
ブレーキ操作部材の操作値を検出するブレーキ操作値セ
ンサと、電力により駆動されるモータの駆動力により摩
擦材を、車輪と共に回転する回転体に押し付け、それに
より、その回転体に制動トルクを発生させ、その発生さ
せられた制動トルクにより車輪を制動するブレーキと、
前記ブレーキ操作部材の操作値と前記モータの駆動力と
の間に予め定められた関係に従い、かつ、前記ブレーキ
操作値センサにより検出されたブレーキ操作値に基づ
き、モータの駆動力を制御するコントローラとを含む電
動式ブレーキ装置において、各回の一連のブレーキ操作
ごとに、各回の一連のブレーキ操作の開始時における車
両の走行速度または車輪の回転速度であるブレーキ操作
開始時速度に基づいて前記関係を設定する関係設定装置
を設けたことを特徴とする電動式ブレーキ装置〔請求項
6〕。本発明者らは、ブレーキ操作開始時速度が、ある
回の一連のブレーキ操作が、運転者が制動トルクの変化
を感じ易い種類のものであるか難い種類のものであるか
を判別する際に考慮することが有効なパラメータである
ことに気がついた。このような知見に基づき、本項に記
載の電動式ブレーキ装置においては、ブレーキ操作開始
時速度に基づいて前記関係が設定される。したがって、
この電動式ブレーキ装置によれば、一連のブレーキ操作
の種類の如何を問わず、モータ駆動力がブレーキ操作値
との関係において適正化され、その結果、良好なブレー
キ操作フィーリングが得られる。 (20)前記関係が、前記ブレーキ操作値から前記モータの
駆動力の目標値を求めるためにブレーキ操作値に掛け算
される制御ゲインである(19)項に記載の電動式ブレーキ
装置。 (21)前記関係設定装置が、同じブレーキ操作値に対応す
るモータ駆動力が、前記ブレーキ操作開始時速度が小さ
い場合において大きい場合におけるより小さくなるよう
に前記関係を設定する手段を含む(19)または(20)項に記
載の電動式ブレーキ装置。この電動式ブレーキ装置によ
れば、運転者が制動トルクの変化を感じ易い低速走行時
にブレーキ操作フィーリングが悪化することが抑制され
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明のさらに具体的な実
施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】図1には、本発明の第1実施形態である電
動式ブレーキ装置の全体構成が示されている。この電動
式ブレーキ装置は、左右前輪FL,FRと左右後輪R
L,RRとを備えた4輪車両に設けられている。左右前
輪FL,FRには超音波モータを駆動源とするとともに
流体圧を使用しない電動式ディスクブレーキが設けられ
ている。一方、左右後輪RL,RRには、DCモータを
駆動源とするとともに流体圧を使用しない電動式ドラム
ブレーキが設けられている。ただし、本実施形態を通し
て本発明を理解するために説明することが特に必要であ
るのは電動式ドラムブレーキであるため、同図には、左
右後輪の一方に設けられた電動式ドラムブレーキ(以
下、単に「ブレーキ」という)10のみが代表的に示さ
れている。
【0014】電動式ブレーキ装置は、ブレーキ10に加
えて、ブレーキペダル12をブレーキ操作部材として備
えるとともに、図示しない反力付与機構を備えている。
ブレーキペダル12は、車両左右方向に延びる一軸線ま
わりに回動可能に車体に取り付けられている。反力付与
機構は、ブレーキペダル12の操作ストロークに応じた
反力をブレーキペダル12に発生させる。電動式ブレー
キ装置はさらに、ブレーキ操作値センサ14を備えてい
る。ブレーキ操作値センサ14は、ブレーキペダル12
の操作力または操作ストロークをブレーキ操作値として
検出する。ブレーキ操作値センサ14は、ブレーキペダ
ル12の操作力を歪みゲージ等により検出する形式とし
たり、ブレーキペダル12の回動角をロータリポテンシ
ョメータにより検出する形式とすることができる。
【0015】電動式ブレーキ装置はさらに、車速センサ
16を備えている。車速センサ16は、車両の走行速度
である車速Vを検出する。電動式ブレーキ装置はさら
に、モータ駆動力センサ18を備えている。モータ駆動
力センサ18については後に詳述する。
【0016】電動式ブレーキ装置はさらに、電子制御ユ
ニット(以下、「ECU」と略称する)20と、電源と
してのバッテリ22とを備えている。ECU20は、C
PU,ROMおよびRAMを含むコンピュータを主体と
して構成されている。ROMには、図4および図5にそ
れぞれにフローチャートで表されているブレーキ制御ル
ーチンおよび制御ゲイン決定ルーチンを始めとして各種
ルーチンが記憶されており、それらルーチンがCPUに
よりRAMを使用つつ実行されることにより、ブレーキ
10が制御される。バッテリ22は、車両のエンジンの
回転により充電させられる。
【0017】図2には、ブレーキ10が拡大されて示さ
れている。
【0018】ブレーキ10は、図示しない車体に取り付
けられた非回転部材としての、ほぼ円板状を成すバッキ
ングプレート200と、内周面に摩擦面202を備えて
車輪と共に回転するドラム204とを備えている。同図
には、車両前進時に車輪が回転するのに伴ってドラム2
04が回転するドラム回転方向が矢印で示されている。
【0019】バッキングプレート200の一直径方向に
隔たった2箇所には、それぞれアンカ部材としてのアン
カピン206と中継リンクとしてのアジャスタ208と
が設けられている。アンカピン206はバッキングプレ
ート200に位置固定に取り付けられている。一方、ア
ジャスタ208はフローティング式とされている。それ
らアンカピン206とアジャスタ208との間には、各
々円弧状を成す一対のブレーキシュー210a,210
bがドラム204の内周面に対面するように取り付けら
れている。一対のブレーキシュー210a,210b
は、シューホールドダウン装置212a,212bによ
ってバッキングプレート200にそれの面に沿って移動
可能に取り付けられている。なお、バッキングプレート
200の中央に設けられた貫通穴には、図示しないアク
スルシャフトが回転可能に突出して設けられるようにな
っている。
【0020】一対のブレーキシュー210a,210b
は、一端部同士がアジャスタ208により相互に接近は
不能、隔離は可能に連結される一方、各他端部がアンカ
ピン206と当接させられており、それにより、各端部
の回りに回動可能に支持されている。一対のブレーキシ
ュー210a,210bの一端部同士は、アジャスタス
プリング214によりアジャスタ208を介して互いに
接近する向きに付勢されている。一方、一対のブレーキ
シュー210a,210bの各他端部は各シューリター
ンスプリング215a,215bによりアンカピン20
6に向かって付勢されている。各ブレーキシュー210
a,210bの外周面にブレーキライニング216a,
216bが保持され、それら一対のブレーキライニング
216a,216bがドラム204の内周面に接触させ
られることにより、それらブレーキライニング216
a,216bとドラム204との間に摩擦力が発生す
る。アジャスタ208は、一対のブレーキライニング2
16a,216bとドラム204との隙間を一対のブレ
ーキシュー210a,210bの摩耗に応じて自動的に
調整する。
【0021】各ブレーキシュー210a,210bはリ
ム220とウェブ222とから構成されており、一対の
ブレーキシュー210a,210bの一方のウェブ22
2には、レバー230がドラム204の回転軸線と交差
する方向に回動可能に取り付けられている。ウェブ22
2にレバー支持部材としてのピン232が位置固定に取
り付けられ、そのピン232にレバー230の一端部が
回動可能に連結されているのである。このレバー230
と他方のブレーキシュー210bとの互いに対向する部
分の切欠きには、力伝達部材としてのストラット236
の両端が係合させられている。このストラット236は
その長さをねじ機構により調節するアジャスト機能を備
えている。
【0022】以上の説明から明らかなように、ブレーキ
10は、車体の前進時にも後退時にも、いずれのブレー
キシュー210a,210bにもセルフサーボ効果が発
生するデュオサーボ型なのである。
【0023】レバー230の他端部(自由端部)にはケ
ーブル240の一端部が連結されている。このケーブル
240は、複数本のワイヤをより合わせて構成されてお
り、フレキシブルである。このケーブル240は、バッ
キングプレート200に取り付けられたシュー拡張アク
チュエータ250により駆動される。シュー拡張アクチ
ュエータ250は、図3に拡大して示すように、DCモ
ータ(以下、単に「モータ」という)251の回転軸に
減速機252の入力軸が連結され、その減速機252の
出力軸に運動変換機構としてのボールねじ機構254の
入力部材が連結されて構成されており、そのボールねじ
機構254の出力部材にケーブル240の他端部が連結
されている。ボールねじ機構254は、モータ251の
回転運動を直線運動に変換する機構である。図において
符号256および258は共にブラケットを示し、ま
た、符号260および262は共に、各ブラケット25
6,258をバッキングプレート200へ取り付けるた
めの取付けボルトを示している。
【0024】ボールねじ機構254は、入力部材として
のおねじ264に出力部材としてのナット266が図示
しない複数個のボールを介して螺合されて構成されてい
る。ナット266は固定部材としてのハウジング267
に回転不能かつ軸方向移動可能に嵌合されている。それ
により、おねじ264の回転運動がナット266の直線
運動に変換される。ナット266の両端部のうちおねじ
264の側とは反対側の端部に出力シャフト268が同
軸に取り付けられている。それらおねじ264,ナット
266および出力シャフト268の相互の摺動部へのダ
ストの侵入が、ハウジング267および伸縮可能なダス
トブーツ270により阻止されている。
【0025】出力シャフト268とケーブル240の他
端部との結合は次のような構成により行われる。すなわ
ち、出力シャフト268の両端部のうちボールねじ機構
254の側とは反対側の端部にケーブル取付け用おねじ
272が形成される一方、ケーブル240の他端部にケ
ーブル取付け用ナット274が結合されている。そのケ
ーブル取付け用ナット274がケーブル取付け用おねじ
272に螺合され、そのケーブル取付け用おねじ272
に回り止め用ナット276が螺合されるとともに、その
回り止め用ナット276がケーブル取付け用ナット27
4に押し付けられることにより、ケーブル取付け用ナッ
ト274の緩みが防止されている。
【0026】以上のように構成されたシュー拡張アクチ
ュエータ250は、ブレーキペダル12の操作時にケー
ブル240に引張力を付与し、それにより、レバー23
0がそれの他端部がブレーキシュー210bから離隔さ
れる向きに回動させられ、その結果、ストラット236
により一対のブレーキシュー210a,210bが拡張
される。
【0027】ブレーキ10は、一対のブレーキシュー2
10a,210bをそれに発生するセルフサーボ効果に
打ち勝って収縮させるのに効果的なシュー収縮機構を備
えている。シュー収縮機構は、本実施形態においては、
図2に示すように、レバー230とバッキングプレート
200との間に張り渡されたリターンスプリング280
とされている。このリターンスプリング280は、ケー
ブル240と同軸に張り渡されるとともに、一端部がレ
バー230の他端部に、他端部がシュー拡張アクチュエ
ータ250のうちの固定部分(例えば、ハウジング,ブ
ラケット等)にそれぞれ係合させられている。したがっ
て、ブレーキペダル12の操作の解除時に、シュー拡張
アクチュエータ250が初期位置に向かって戻されれ
ば、レバー230はリターンスプリング280の圧縮力
によって初期位置に向かって回動させられる。
【0028】前記モータ駆動力センサ18は、レバー2
30に装着されている。モータ駆動力センサ18は、歪
みゲージ方式であり、レバー230に生じた歪みを検出
するとともに、その検出した歪みに基づいてそのレバー
230にモータ251が加えたモータ駆動力Dを検出す
る。
【0029】なお、モータ駆動力センサ18は、他の方
式でモータ駆動力Dを検出するものとすることが可能で
ある。例えば、モータ251に供給された電流を検出す
るモータ電流センサをそのモータ251に設け、かつ、
モータ251に供給された電流と、そのモータ251が
レバー230に加えたモータ駆動力Dとの間に成立する
一定の関係を利用することにより、モータ電流センサに
より検出された電流からモータ駆動力Dを検出すること
が可能なのである。
【0030】以上説明したブレーキ10のモータ251
はECU20のコンピュータにより制御される。以下、
この制御を説明するが、まず、概略的に説明し、次に、
図4および図5のフローチャートを参照しつつ具体的に
説明する。
【0031】ECU20は、ブレーキ操作値Aに基づ
き、ブレーキ10により発生させる車体減速度の目標値
である目標減速度G* を決定する。
【0032】ECU20はさらに、決定された目標減速
度G* に制御ゲインk(係数)を掛け算することによ
り、モータ駆動力の目標値である目標駆動力D* を決定
する。すなわち、目標駆動力D* は、 D* =k×G* なる式を用いて決定されるのである。
【0033】なお、目標減速度G* は、ブレーキ操作値
Aに対応する値であることから、モータ251にとって
入力を意味し、一方、目標駆動力D* は、モータ251
にとって出力を意味する。そして、それら入力と出力と
の比率を表すのが制御ゲインkである。すなわち、本実
施形態においては、制御ゲインkが「関係」を構成して
いるのである。
【0034】ECU20は、制御ゲインkの決定を行
う。制御ゲインkを決定する技術には、各回の一連のブ
レーキ操作ごとに制御ゲインkの初期値を設定する技術
と、各回の一連のブレーキ操作中に制御ゲインkを初期
値から変化させる技術とが含まれている。
【0035】制御ゲインkの初期値を設定する技術につ
いては、ECU20は、各回の一連のブレーキ操作ごと
に、各回の一連のブレーキ操作の開始時における車速V
に基づき、制御ゲインkの初期値を設定する。ブレーキ
操作値Aの時間的変化に起因しないブレーキ10の制動
トルクTの時間的変化を抑制するためである。制動トル
クTは、モータ駆動力Dとブレーキライニング216
a,216bの摩擦係数μとに依存するパラメータであ
る。具体的には、ECU20は、同じブレーキ操作値A
に対応する目標駆動力D* が、ブレーキ操作開始時の車
速Vが基準値V0より小さい場合において大きい場合に
おけるより小さくなるように制御ゲインkを設定する。
すなわち、ブレーキ操作開始時の車速Vが基準値V0
り小さい場合において大きい場合におけるより小さくな
るように制御ゲインkを設定するのである。
【0036】制御ゲインkを変化させる技術について
は、ECU20は、ブレーキ操作開始時の速度Vが基準
値V0 より大きい場合にのみ、かつ、ブレーキ10の作
動が連続するブレーキ作動連続時間tB が基準値tB0
上であるとともに、ブレーキ操作値Aに時間的変化が実
質的に生じていない定常状態にあることを条件に、一連
のブレーキ操作の開始後における車速Vの変化に関連し
て制御ゲインkを変化させる。ブレーキ操作値Aの時間
的変化に起因しないブレーキ10の制動トルクTの時間
的変化を抑制するためである。具体的には、ECU20
は、同じブレーキ操作値Aに対応する目標駆動力D
* が、ブレーキ操作開始後の車速Vが基準値V 0 に低下
した後の期間において低下する前の期間におけるより小
さくなるように制御ゲインkを変化させる。すなわち、
ブレーキ操作開始後の車速Vが基準値V 0 に低下した後
の期間において低下する前の期間におけるより小さくな
るように制御ゲインkを変化させるのである。
【0037】制御ゲインkを変化させる技術につき、E
CU20は、制御ゲインkを実質的に連続的に変化させ
るのではなく、設定複数個の候補値の一例である3個の
候補値a,b,cのいずれかを選択することによって段
階的に変化させる。それら3個の候補値a,b,c間の
大小関係は、 a>b>c なる式で表される。
【0038】次に、このブレーキ制御を図4および図5
のフローチャートを参照しつつ具体的に説明する。
【0039】図4のブレーキ制御ルーチンは、車両の走
行開始指令スイッチとしてのイグニションスイッチの信
号がOFFからONに操作された後、繰返し実行され
る。各回の実行時には、まず、ステップS1(以下、単
に「S1」で表す。他のステップについても同じ)にお
いて、ブレーキ操作値センサ12からブレーキ操作値A
が入力される。次に、S2において、その入力されたブ
レーキ操作値Aに基づいて目標減速度G* が決定され
る。ECU20のコンピュータのROMには、ブレーキ
操作値Aが変化するにつれて目標減速度G* が変化する
関係がテーブル,マップ等の形態で記憶されており、そ
の関係に従い、今回のブレーキ操作値Aに対応する今回
の目標減速度G* が決定される。その関係は例えば、ブ
レーキ操作値Aが増加するにつれてリニアに目標減速度
* が増加するように設定される。
【0040】その後、S3において、RAMに記憶され
ている制御ゲインkが読み込まれる。制御ゲインkは、
後述の制御ゲイン決定ルーチンにより決定されて記憶さ
れる。
【0041】続いて、S4において、目標駆動力D
* が、その読み込まれた制御ゲインkと、前記決定され
た目標減速度G* との積として決定される。その後、S
5において、その決定された目標駆動力D* を実現する
のに適当なモータ電流値が決定され、その決定された電
流値でバッテリ22からモータ251に電流が供給さ
れ、それにより、モータ251が駆動される。モータ電
流値の決定は、モータ駆動力センサ18により検出され
たモータ駆動力Dがフィードバックされることにより行
われる。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0042】図5の制御ゲイン決定ルーチンは、ブレー
キペダル12の一連の踏込み操作(一連のブレーキ操
作)が開始されることに応じて一回の実行が開始され
る。一回の実行が開始されると、まず、S101におい
て、車速センサ16から車速Vが入力される。この入力
された車速Vは、一連のブレーキ操作の開始時における
車速Vを表している。続いて、S102において、その
入力された車速Vが基準値V0 より大きいか否かが判定
される。基準値V0 は例えば、ブレーキ操作値Aの時間
的変化に起因しない時間的変化がブレーキ10の制動ト
ルクTに生じると、運転者がその制動トルクTの時間的
変化をブレーキ操作フィーリングの時間的変化として感
じ易い車速Vの領域から感じ難い車速Vの領域への移行
点を考慮して設定され、例えば、30km/hに設定され
る。今回は、ブレーキ操作開始時の車速Vが基準値V0
より大きくはないと仮定すれば、判定がNOとなり、S
111において、制御ゲインkが、3個の候補値のうち
最小の候補値cに決定されるとともに、その制御ゲイン
kの決定値がRAMに記憶される。今回は、低速走行中
であるため、制御ゲインkをその候補値cより大きい値
に決定したのでは、ブレーキ10のセルフサーボ効果に
よってブレーキ操作フィーリングが悪化するおそれがあ
るからである。以上で本ルーチンの一回の実行が終了す
る。
【0043】以上、ブレーキ操作開始時の車速Vが基準
値V0 より大きくはない場合を説明したが、大きい場合
には、S102の判定がYESとなり、S103におい
て、ブレーキ作動連続時間tB が測定される。ブレーキ
作動連続時間tB は例えば、ブレーキペダル12が非操
作位置にあればOFF、操作位置にあればONに信号が
変化するストップランプスイッチ(図示しない)と、コ
ンピュータのタイマ機能とを用い、ストップランプスイ
ッチの信号がOFFからONに変化したときからの経過
時間として取得することができる。
【0044】なお、ブレーキ作動連続時間tB は、一連
のブレーキ操作中にブレーキライニング216a,21
6bがドラム204に接触し続ける時間として測定する
のが理想的であるが、上記のように、ストップランプス
イッチを利用してブレーキ操作の連続時間として測定し
た場合であっても十分な測定精度が確保でき、また、こ
の場合には安価に測定できるという利点がある。
【0045】その後、S104において、その測定され
たブレーキ作動連続時間tB が基準値tB0より長いか否
かが判定される。基準値tB0の大きさは、ブレーキ10
のセルフサーボ効果により、ブレーキ操作値Aの時間的
変化に起因しない時間的変化が制動トルクTに現れ始め
る時期を考慮して設定される。今回は、ブレーキ作動連
続時間tB が基準値tB0より長くはないと仮定すれば、
判定がNOとなり、S110において、制御ゲインk
が、3個の候補値のうち最大である候補値aに決定され
るとともに、その制御ゲインkの決定値がRAMに記憶
される。現時点では、ブレーキ10にセルフサーボ効果
が発生していないと推定されるからである。その後、S
103に戻る。
【0046】その後、S103,S104およびS11
0の実行が繰り返された結果、ブレーキ作動連続時間t
B が基準値tB0より長くなったと仮定すれば、S104
の判定がYESとなり、S105に移行する。このS1
05においては、ブレーキ操作値Aの今回値A(i) から
前回値A(i-1) を引き算したブレーキ操作値変化量ΔA
の絶対値が基準値ΔA0 より小さい状態の連続時間tS
が基準値tS0以上であるか否かが判定される。ブレーキ
操作値Aが実質的に定常状態にあるか否かが判定される
のである。今回は、連続時間tS が基準値tS0以上では
ないと仮定すれば、判定がNOとなり、前記の場合と同
様に、S110に移行するが、基準値t S0以上であると
仮定すれば、判定がYESとなり、S106に移行す
る。
【0047】このS106においては、改めて車速セン
サ16から車速Vが入力される。ブレーキ操作開始後の
車速Vが入力されるのである。その後、S107におい
て、そのブレーキ操作開始後の車速Vが前記基準値V0
以下であるか否かが判定される。今回の一連のブレーキ
操作中に、車速Vが基準値V0 より大きい値から基準値
0 と等しい値に低下したか否かが判定されるのであ
る。今回は、ブレーキ操作開始後の車速Vが基準値V0
以下ではないと仮定すれば、判定がNOとなり、S10
9において、S110におけると同様に、制御ゲインk
が最大の候補値aに決定されるとともに、その制御ゲイ
ンkの決定値がRAMに記憶される。その後、S105
に戻る。その後、S105ないしS107およびS10
9の実行が何回か繰り返されるうちに、ブレーキ操作開
始後の車速Vが基準値V0 以下となったと仮定すれば、
S107の判定がYESとなり、S108において、制
御ゲインkが、3個の候補値の中間である候補値bに決
定されるとともに、その制御ゲインkの決定値がRAM
に記憶される。現時点では、ブレーキ10にセルフサー
ボ効果が発生している可能性が高く、かつ、車両が高速
走行状態から低速走行状態に移行したため、制御ゲイン
kを候補値bより大きい値とすると、ブレーキ10のセ
ルフサーボ効果によってブレーキ操作フィーリングが悪
化するおそれがあるからである。以上で本ルーチンの一
回の実行が終了する。
【0048】図6には、一連のブレーキ操作中に制御ゲ
インkを変化させない場合にブレーキ操作フィーリング
が悪化することを説明するための5つのグラフが示され
ている。それらグラフは、車速Vが基準値V0 より大き
い状態で一連のブレーキ操作が開始され、かつ、その一
連のブレーキ操作中、ブレーキ操作値Aが一定とされた
場合に、モータ駆動力D,制動トルクT,車体減速度G
および車速Vが時間tと共に変化する様子を示してい
る。それらグラフから明らかなように、一連のブレーキ
操作中に制御ゲインkを変化させない場合には、一連の
ブレーキ操作の末期において制動トルクTが増加し、そ
れにより、車体減速度Gが増加し、その結果、車速Vの
減少勾配が増加している。このように、運転者がブレー
キペダル12を一定のブレーキ操作値Aで操作し続ける
にもかかわらず、車速Vの減少勾配が時間の経過につれ
て増加してしまう。
【0049】一連のブレーキ操作の末期において車体減
速度Gが増加した原因としては、ブレーキ10にセルフ
サーボ効果を発生したことが考えられる。一方、図7に
は、ブレーキ10に関し、ブレーキ効力係数BEFとブ
レーキライニング216a,216bの摩擦係数μとの
関係がグラフで表されている。
【0050】ここで、ブレーキ効力係数BEFについて
説明すると、ブレーキ効力係数BEFは、モータ駆動力
Dおよび制動トルクTとの間において、 T=BEF×D なる式で表される関係を有する。一方、モータ駆動力D
は、前述のように、目標減速度G* および制御ゲインk
との間において、 D=k×G* なる式で表される関係を有する。したがって、ブレーキ
効力係数BEFは、制動トルクTと制御ゲインkと目標
減速度G* すなわちブレーキ操作値Aとの間において、 T=BEF×k×G* なる式で表される関係を有する。
【0051】そして、同図のグラフから明らかなよう
に、ブレーキ10においては、摩擦係数μの増加に対す
るブレーキ効力係数BEFの増加率すなわちグラフの勾
配が、摩擦係数μが増加するにつれて増加している。こ
のことは、ブレーキ10の作動力すなわち制動トルクT
が摩擦係数μの変化に敏感であることを表している。一
方、ブレーキライニング216a,216bの摩擦係数
μは、ブレーキライニング216a,216bの温度に
よって変化する。よって、ブレーキ効力係数BEFは、
温度変化に起因した摩擦係数μの変動に対して敏感に変
動する。
【0052】そのため、ブレーキ10においては、一連
のブレーキ操作中に制御ゲインkを変化させずに一定に
保った場合には、セルフサーボ効果が発生してブレーキ
効力係数BEFが比較的大きい値に増加した後に、温度
上昇に起因した摩擦係数μの変動によって制動トルクT
が敏感に変動することになる。
【0053】これに対して、図8には、一連のブレーキ
操作中に制御ゲインkを適正に変化させる本実施形態に
おいて、車速Vが基準値V0 より大きい状態で一連のブ
レーキ操作が開始され、かつ、その一連のブレーキ操作
中、ブレーキ操作値Aが一定とされた場合に、モータ駆
動力D,制動トルクT,車体減速度Gおよび車速Vが時
間tと共に変化する様子が示されている。同図の(b) の
グラフから明らかなように、ブレーキ操作開始後の車速
Vが基準値V0 に低下する前の期間においては、制御ゲ
インkが最大の候補値aに決定され、これに対して、基
準値V0 に低下した後の期間においては、制御ゲインk
が中間の候補値bに決定される。その結果、一連のブレ
ーキ操作中に制御ゲインkが車速Vの低下につれて減少
させられる。制御ゲインkが減少させられることは、上
述のいくつかの式から明らかなように、ブレーキ効力係
数BEFの変動分ΔBEFに起因した制動トルクTの変
動分ΔTが減少することを意味する。その結果、同図の
(c) および(d) のグラフに示すように、一連のブレーキ
操作の全体において制動トルクTも車体減速度Gもほと
んど変化しない。それにより、同図の(e) のグラフに示
すように、車速Vがほぼ一定の勾配で減少させられるこ
ととなり、良好なブレーキ操作フィーリングが実現され
る。
【0054】なお、本実施形態においては、一連のブレ
ーキ操作中に制御ゲインkが2段階に変化させられるよ
うになっているが、3段階以上に変化させることが可能
であり、このようにすれば、制御ゲインkの変化が滑ら
かとなり、さらに良好なブレーキ操作フィーリングが実
現される。
【0055】図9には、本実施形態において、車速Vが
基準値V0 以下である状態で一連のブレーキ操作が開始
され、かつ、その一連のブレーキ操作中、ブレーキ操作
値Aが一定とされた場合に、モータ駆動力D,制動トル
クT,車体減速度Gおよび車速Vが時間tと共に変化す
る様子が示されている。この場合には、同図の(b) のグ
ラフに示すように、一連のブレーキ操作の全体を通し
て、制御ゲインkが最小の候補値cに決定され、これに
より、同図の(c) および(d) のグラフに示すように、制
動トルクTおよび車体減速度Gがブレーキ10のセルフ
サーボ効果によって増加することが抑制される。その結
果、同図の(e) のグラフに示すように、車速Vがほぼ一
定の勾配で減少させられることとなり、良好なブレーキ
操作フィーリングが実現される。
【0056】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、ECU20のうち図4のブレーキ制御ル
ーチンを実行する部分が、ブレーキ操作値センサ12と
共同して「コントローラ」を構成し、ECU20のうち
図5の制御ゲイン決定ルーチンを実行する部分が、ブレ
ーキ操作値センサ12および車速センサ16と共同して
「関係変化装置」を構成しているのである。また、EC
U20のうち図5のS107ないしS109を実行する
部分が「第1変化手段」を構成し、同図のS103,S
104およびS110を実行する部分が「第2変化手
段」を構成しているのである。また、ECU20のうち
図5のS101,S102およびS111を実行する部
分が、車速センサ18と共同して「関係設定装置」を構
成しているのである。
【0057】次に、本発明の第2実施形態を説明する。
ただし、本実施形態は、第1実施形態と、制御ゲイン決
定ルーチンのみが異なり、他の要素については共通であ
るため、共通する要素については同一の符号を使用する
ことによって詳細な説明を省略し、異なる要素について
のみ詳細に説明する。
【0058】第1実施形態においては、制御ゲインkが
ブレーキ作動連続時間tB の経過につれて減少させられ
るが、本実施形態においては、ブレーキ作動連続時間t
B が長いほどブレーキライニング216a,216bの
温度が上昇するという事実に着目することにより、その
温度の上昇につれて制御ゲインkが減少させられる。
【0059】図10には、本実施形態である電動式ブレ
ーキ装置の全体構成が示されている。この電動式ブレー
キ装置は、ECU20に相当するECU300を備える
とともに、ブレーキライニング216a,216bの一
方またはそれの近傍の温度θを検出する温度センサ30
2を備えている。温度センサ302は、ブレーキライニ
ング216a,216b,ブレーキシュー210a,2
10b,レバー230およびバッキングプレート200
の少なくとも一つに装着されている。温度センサ302
は例えば、サーミスタを主体として構成することができ
る。
【0060】図11には、ECU300のコンピュータ
により実行される制御ゲイン決定ルーチンがフローチャ
ートで表されている。このルーチンは、図5の制御ゲイ
ン決定ルーチンとS103およびS104においてのみ
相違し、他のステップにおいては共通する。S103が
置換されたS103aにおいては、温度センサ302か
ら温度θが入力される。S104が置換されたS104
aにおいては、入力された温度θが基準値θ0 より高い
か否かが判定される。
【0061】その温度θが基準値θ0 より高くはない場
合には、S104aの判定がNOとなり、S110にお
いて、制御ゲインkが最大の候補値aに決定される。現
時点では、ブレーキ10にセルフサーボ効果が発生して
いないと推定されるからである。その後、S103aに
戻る。
【0062】その後、S103a,S104aおよびS
110の実行が繰り返された結果、温度θが基準値θ0
より高くなったと仮定すれば、S104aの判定がYE
Sとなり、S105に移行する。以後の実行内容は、第
1実施形態におけると同様であるため、説明を省略す
る。
【0063】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、ECU300のうち図4のブレーキ制御
ルーチンと同じものを実行する部分が、ブレーキ操作値
センサ12と共同して「コントローラ」を構成し、EC
U300のうち図11の制御ゲイン決定ルーチンを実行
する部分が、ブレーキ操作値センサ12,車速センサ1
6および温度センサ302と共同して「関係変化装置」
を構成しているのである。また、ECU300のうち図
11のS101,S102およびS107ないしS10
9を実行する部分が「第1変化手段」を構成し、同図の
S103a,S104aおよびS110を実行する部分
が「第3変化手段」を構成しているのである。また、E
CU300のうち図11のS101,S102およびS
111を実行する部分が、車速センサ18と共同して
「関係設定装置」を構成しているのである。
【0064】次に、本発明の第3実施形態を説明する。
ただし、本実施形態は、第1実施形態と制御ゲインkの
変化態様のみが異なり、他の要素については共通である
ため、その制御ゲインkの変化態様のみを詳細に説明
し、他の要素については説明を省略する。
【0065】第1実施形態においては、車速Vが基準値
0 より大きい状態で一連のブレーキ操作が開始された
場合に、時間tの経過につれて制御ゲインkが大値aか
ら小値bに段階的に減少させられるようになっている。
これに対して、本実施形態においては、図12にグラフ
で示すように、制御ゲインkが連続的に変化させられ
る。具体的には、一連のブレーキ操作の末期において制
御ゲインkが時間tの増加に対してリニアに減少するよ
うに変化させられる。したがって、本実施形態によれ
ば、更に良好なブレーキ操作フィーリングが実現され
る。
【0066】以上、本発明のいくつかの実施形態を図面
に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、本
発明は、前記〔発明が解決しようとする課題,課題解決
手段および発明の効果〕の項に記載された態様を始めと
して、当業者の知識に基づいて種々の変形,改良を加え
た形態で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である電動式ブレーキ装
置の全体構成を示す系統図である。
【図2】図1における電動式ドラムブレーキを示す正面
図である。
【図3】図2におけるシュー拡張アクチュエータを拡大
して示す正面図である。
【図4】図1のECUのコンピュータにより実行される
ブレーキ制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】上記コンピュータにより実行される制御ゲイン
決定ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】ブレーキ操作中に制御ゲインを変化させない場
合にブレーキ操作フィーリングが悪化する様子の一例を
示すグラフである。
【図7】図2の電動式ドラムブレーキにおけるライニン
グ摩擦係数μとブレーキ効力係数BEFとの関係を示す
グラフである。
【図8】上記第1実施形態の作動を説明するためのグラ
フである。
【図9】上記第1実施形態の作動を説明するための別の
グラフである。
【図10】本発明の第2実施形態である電動式ブレーキ
装置を示す系統図である。
【図11】図10のECUのコンピュータにより実行さ
れる制御ゲイン決定ルーチンを示すフローチャートであ
る。
【図12】本発明の第3実施形態である電動式ブレーキ
装置において制御ゲインkが時間tの経過につれて連続
的に変化させられる様子を示すグラフである。
【符号の説明】
10 電動式ドラムブレーキ 12 ブレーキペダル 14 ブレーキ操作値センサ 20,300 電子制御ユニットECU 22 バッテリ 251 DCモータ 302 温度センサ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】運転者により操作されるブレーキ操作部材
    と、 そのブレーキ操作部材の操作値を検出するブレーキ操作
    値センサと、 電力により駆動されるモータの駆動力により摩擦材を、
    車輪と共に回転する回転体に押し付け、それにより、そ
    の回転体に制動トルクを発生させ、その発生させられた
    制動トルクにより車輪を制動するブレーキと、 前記ブレーキ操作部材の操作値と前記モータの駆動力と
    の間に予め定められた関係に従い、かつ、前記ブレーキ
    操作値センサにより検出されたブレーキ操作値に基づ
    き、モータの駆動力を制御するコントローラとを含む電
    動式ブレーキ装置において、 一連のブレーキ操作中に、前記ブレーキの作動状態に関
    する情報を逐次取得するとともに、その取得した情報の
    変化に基づいて前記関係を変化させる関係変化装置を設
    けたことを特徴とする電動式ブレーキ装置。
  2. 【請求項2】前記関係変化装置が、一連のブレーキ操作
    中における車両の走行速度または車輪の回転速度である
    速度の変化に関連して前記関係を変化させる第1変化手
    段を含む請求項1に記載の電動式ブレーキ装置。
  3. 【請求項3】前記関係変化装置が、一連のブレーキ操作
    中に前記ブレーキの作動が連続するブレーキ作動連続時
    間の経過に関連して前記関係を変化させる第2変化手段
    を含む請求項1または2に記載の電動式ブレーキ装置。
  4. 【請求項4】前記関係変化装置が、一連のブレーキ操作
    における前記摩擦材またはそれの近傍の温度の変化に関
    連して前記関係を変化させる第3変化手段を含む請求項
    1ないし3のいずれかに記載の電動式ブレーキ装置。
  5. 【請求項5】前記関係変化装置が、前記関係を段階的に
    変化させるものである請求項1ないし4のいずれかに記
    載の電動式ブレーキ装置。
  6. 【請求項6】運転者により操作されるブレーキ操作部材
    と、 そのブレーキ操作部材の操作値を検出するブレーキ操作
    値センサと、 電力により駆動されるモータの駆動力により摩擦材を、
    車輪と共に回転する回転体に押し付け、それにより、そ
    の回転体に制動トルクを発生させ、その発生させられた
    制動トルクにより車輪を制動するブレーキと、 前記ブレーキ操作部材の操作値と前記モータの駆動力と
    の間に予め定められた関係に従い、かつ、前記ブレーキ
    操作値センサにより検出されたブレーキ操作値に基づ
    き、モータの駆動力を制御するコントローラとを含む電
    動式ブレーキ装置において、 各回の一連のブレーキ操作ごとに、各回の一連のブレー
    キ操作の開始時における車両の走行速度または車輪の回
    転速度であるブレーキ操作開始時速度に基づいて前記関
    係を設定する関係設定装置を設けたことを特徴とする電
    動式ブレーキ装置。
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