JP2003103262A - バッチ式電解水生成装置 - Google Patents

バッチ式電解水生成装置

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JP2003103262A JP2002206807A JP2002206807A JP2003103262A JP 2003103262 A JP2003103262 A JP 2003103262A JP 2002206807 A JP2002206807 A JP 2002206807A JP 2002206807 A JP2002206807 A JP 2002206807A JP 2003103262 A JP2003103262 A JP 2003103262A
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岳見 桶田
Koji Oka
浩二 岡
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一繁 中村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 バッチ式電解水生成装置において、所望のp
H値の電解生成水を精度良く得ること。 【解決手段】 隔膜12を介して陽極室13と陰極室1
4を形成した電解槽11と、電解質タンク23と、電解
槽11内の水を給液手段27によって電解質タンク23
に導入する導入路28と、電解質タンク23の希釈電解
質溶液を電解質供給口30から陽極室13に供給する給
液路29とを備え、電解槽11の電解質供給口30を電
解質タンク23の液面よりも上方に配設している。これ
によって、所望のpH値の電解生成水を精度良く得るこ
とができるようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被電解水を電気分
解して電解水を生成するバッチ式電解水生成装置に関
し、特にpH値の高いアルカリ水を容易に生成できる電
解水生成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電解水生成装置には、水道等の給水設備
に接続され、流水状態で電解を行い、酸性水やアルカリ
水を生成する流水式と、給水設備に接続しない簡易、低
コスト構造で水を滞留状態で電解するバッチ方式があ
る。流水方式では即座に電解水が取水できるメリットが
あるが、酸化力の強い酸性水や還元力の強いアルカリ水
を得ようとした場合、電極の大型化が必要となり大電力
が必要となるとともに複雑な構成が必要となり、装置全
体のコストアップとなる。一方、バッチ方式では滞留状
態で電解するため長時間にわたる電解が可能であり、簡
易な構成で上記酸性水やアルカリ水が得られやすい。
【0003】従来のバッチ方式の電解装置としては、特
開平8−299958号公報に記載されているようなも
のがあった。この電解装置は図4に示すように、隔膜1
によって陽極室2と陰極室3を形成するとともに陽極室
2には陽極4を、また陰極室3には陰極5が隔膜1を介
して対向配置されている。6は開閉自在な蓋であり、電
解時の生成ガスを外部に排出する穴7が設けられてい
る。8は制御回路であり、陽極4と陰極5に通電され
る。生成された電解水はそれぞれ酸性水出口9およびア
ルカリ水出口10より取水される構成となっている。
【0004】この構成において、電解に際しては蓋6を
開放して電解質としての手作業によって所定濃度に調整
した食塩水を電解槽に充填し、制御回路8によって陽極
4と陰極5間に電圧が印可され、電気量(電流と時間の
積)に応じて所望のpHとなるように水が電気分解され
て陽極室2には酸性水が、陰極室3にはアルカリ水が生
成され、それぞれ酸性水出口9およびアルカリ水出口1
0より取水される。なお陽極側に生成される塩素ガスお
よび酸素ガス、陰極側に生成される水素ガスは穴7から
電解槽外に排出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
のバッチ式電解装置では、以下に述べるような課題があ
った。
【0006】(1)電解前に手作業によって所定濃度の
食塩水を作成するため、別途撹拌容器や食塩の計量手段
が必要であり、面倒であるとともに食塩濃度が変動し、
所望のpH値の電解生成水が得られない。
【0007】(2)電解後直ぐに取水せずに放置すると
隔膜を介して酸性水およびアルカリ水が浸透混入し、p
H値が劣化する。
【0008】(3)水道水などの原水には各種イオンが
含まれており、特に多く含まれるカルシウムやマグネシ
ウムイオンなどの陽イオンは陰極側の水酸基と反応して
水酸化カルシウムや水酸化マグネシウムとなり、溶解限
界を越えると陰極、隔膜の表面に析出し、電解電流の妨
害因子となり、長期間使用すると所望のpH値が得られ
なくなる。
【0009】(4)バッチ方式のため水道に直結せず、
食塩水生成時点で異物が混入する可能性があり、電解す
ることでその異物が隔膜に付着して隔膜を劣化させる。
【0010】(5)水道水の硬度(導電率)には大きな
ばらつきがあり、前記水酸化カルシウムなどのスケール
の析出にばらつきが発生するとともに、所定時間電解し
た場合、硬度によってpH値にばらつきが生じる。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、給水口と、隔膜を介して陽極室と陰極室を
形成し、陽極水出口と陰極水出口を有する電解槽と、電
解質タンクと、前記給水口から供給される水を前記電解
質タンクに導入する導入路と、前記電解質タンクの電解
質溶液を前記陽極室に供給するための給液路とを備え、
前記電解槽の電解質供給口を前記電解質タンクの液面よ
りも上方に配設したものである。
【0012】上記発明によれば、給水口から供給される
水を給水することにより電解質タンクの電解質溶液が陽
極室に導入されるので、電解槽に水道水などの原水を入
れるのみで電解可能となる。
【0013】また、手作業によって食塩水などを作製す
る必要がなく、電解質濃度も安定するので所望のpH値
の電解生成水が精度良く得られる。
【0014】また、陽極室のみに電解質溶液が供給され
るので短時間にpH値の高いアルカリ水が得られる。す
なわち、陽/陰極間に電圧が印可されると被電解水に含
まれるイオンは電気吸引力により電極と逆極性のイオン
が隔膜を通過して移動することとなる。したがって陽極
室に導入された電解質イオンは隔膜を経て陰極室へと即
座に移動する。この電気吸引力以外にも例えば拡散理論
にしたがえば、電解質イオンが拡散によってイオン濃度
を均一にするように作用する。この結果、陽/陰極間に
流れる電流が増加し、短時間にpH値の高いアルカリ水
が得られる。このpH値の高いアルカリ水は油脂の鹸化
や乳化作用および蛋白質に対する加水分解作用を有し、
家具や住宅建材表面などの洗浄水として利用できる。な
お、陰極室は原水なので陽極室へのイオンの移動量は極
めて少ない。
【0015】また、電解質供給口が電解質タンクの液面
よりも上方に設けられているので水頭差により電解質溶
液が不要時に電解槽内に流出することがない。つまり電
解質供給口が電解質タンク液面よりも下方に設けられた
場合、水頭差によって電解質溶液が常時電解槽内に流出
することとなり、電解時の電解質濃度を所定値に維持で
きず、所望のpH値が得られなくなるとともに電解質の
不要な消費につながるという不具合が生じるが、上記構
成によりそれらの不具合を防止できる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に係るバッチ式
電解水生成装置は、給水口と、隔膜を介して陽極室と陰
極室を形成し、各々陽極と陰極を配設するとともに陽極
水出口と陰極水出口を有する電解槽と、電解質タンク
と、前記給水口から供給される水を前記電解質タンクに
導入する導入路と、前記電解質タンクの電解質溶液を前
記陽極室に供給するための給液路とを備え、前記電解槽
の電解質供給口を前記電解質タンクの液面よりも上方に
配設したものである。
【0017】そして、給水口から供給される水を給水す
ることにより電解質タンクの電解質が陽極室のみに導入
されるので、手作業によって食塩水などを作製する必要
がなく、電解質濃度も安定するので所望のpH値の電解
生成水が精度良く得られる。
【0018】また、陽極室のみに電解質溶液が供給され
るので短時間にpH値の高いアルカリ水が得られる。す
なわち、陽/陰極間に電圧が印可されると被電解水に含
まれるイオンは電気吸引力により電極と逆極性のイオン
が隔膜を通過して移動することとなる。したがって陽極
室に導入された電解質イオンは隔膜を経て陰極室へと即
座に移動する。この電気吸引力以外にも例えば拡散理論
にしたがえば、電解質イオンが拡散によってイオン濃度
を均一にするように作用する。この結果、陽/陰極間に
流れる電流が増加し、短時間にpH値の高いアルカリ水
が得られる。このpH値の高いアルカリ水は油脂の鹸化
や乳化作用および蛋白質に対する加水分解作用を有し、
家具や住宅建材表面などの洗浄水として利用できる。な
お、陰極室は原水なので陽極室へのイオンの移動量は極
めて少ない。
【0019】また、電解質供給口が電解質タンクの液面
よりも上方に設けられているので水頭差により電解質溶
液が不要時に電解槽内に流出することがない。つまり電
解質供給口が電解質タンク液面よりも下方に設けられた
場合、水頭差によって電解質溶液が常時電解槽内に流出
することとなり、電解時の電解質濃度を所定値に維持で
きず、所望のpH値が得られなくなるとともに電解質の
不要な消費につながるという不具合が生じるが、上記構
成によりそれらの不具合を防止できる。
【0020】また請求項2に係るバッチ式電解水生成装
置は、給液路に電解槽の水の侵入を阻止する方向に逆止
弁を設けたものである。
【0021】そして、逆止弁を設けることで電解槽への
給水時に電解質タンク側への原水の逆流が防止され、電
解質溶液の原水逆流による希釈が防止される。この結
果、常に所望の濃度の電解質溶液が精度良く電解質供給
口から電解槽へ供給されることとなり、安定したpH値
が得られる。
【0022】また請求項3に係るバッチ式電解水生成装
置は、陽極室側の水を電解質タンクに供給する構成とし
たものである。
【0023】そして、陽極室側の水を電解質タンクに供
給することで電極や電解槽内に生成されるスケール片に
よる給液手段の目詰まりを防止できる。すなわち電解を
行うことで原水に含まれるカルシウムやマグネシウムイ
オンが水酸基と反応して水酸化カルシウムや水酸化マグ
ネシウムなどのスケールとなって陰極や陰極室壁面に付
着し、電解槽に原水を入れる際の剥離作用によって微少
なスケール片となって原水に混入される場合がある。し
たがって陰極室側の水を電解質タンクに供給する構成と
した場合、微少流量を制御する給液手段に堆積して目詰
まりが発生し、電解質溶液が供給されなくなる場合があ
る。陽極室側の水を電解質タンクに供給することで上記
不具合が防止され、長寿命化が図れる。
【0024】また請求項4に係るバッチ式電解水生成装
置は、陰極水出口からの生成水を吐出制御する吐出手段
と、電解水の吐出口に対向する位置に電解水容器を設
け、所定時間電解終了後に吐出手段を駆動して陰極水を
電解水容器に貯水する構成としたものである。
【0025】そして、電解後アルカリ水を取水すること
により隔膜を介しての酸性水およびアルカリ水の浸透混
入が防止される。この結果pH値の劣化が防止されるこ
ととなる。
【0026】また請求項5に係るバッチ式電解水生成装
置は、電解水容器の存在を検知する容器検知手段を設
け、前記検知手段が容器の存在を検知した時のみ電解動
作を行うようにしたものである。
【0027】そして、容器検知手段によって電解水容器
が存在するときのみ電解動作に移行するので電解終了後
自動的に電解水容器にアルカリ水を吐出することができ
る。これにより、電解隔膜を介しての酸性水とアルカリ
水の浸透混入が防止でき、pH値の劣化が防止できると
ともに、容器が存在しない場合での誤吐出を防止でき
る。
【0028】また請求項6に係るバッチ式電解水生成装
置は、電解動作開始後に所定時間逆極性通電し、その後
通常極性で所定時間電解する構成としたものである。
【0029】そして、電解の都度、電解動作開始後に逆
極性通電することで原水に含まれるカルシウムやマグネ
シウムイオンが水酸基と反応して水酸化カルシウムや水
酸化マグネシウムなどの陰極に析出するスケール被膜が
酸化還元されて洗浄される。特に1回電解当たりに生成
されるスケールは微量であり、電解毎に逆電洗浄するこ
とで大幅な電極の長寿命化が実現できる。
【0030】また請求項7に係るバッチ式電解水生成装
置は、給液手段をパルスポンプから構成するとともに前
記パルスポンプのパルス駆動回数をカウントするパルス
カウンタを設け、このパルスカウンタが所定回数に達し
た時点で電解質補給要求信号を報知する構成としたもの
である。
【0031】そして、給液手段の駆動パルスをカウント
することで電解質の消費量が擬似的に検出されるので、
電解質の補給を報知することが可能となるとともに電解
質レス電解を防止できる。また電気信号を検出するパル
スカウンタは安価に構成できるので電解質消費量検出を
低コストで実現できる。
【0032】また請求項8に係るバッチ式電解水生成装
置は、給水口にフィルタ部材を設けたものである。
【0033】そして、給水口にフィルタ部材を設けるこ
とにより原水に含まれる異物が濾過されて電解槽に入る
こととなる。バッチ方式では水道に直結せず、食塩水生
成時点で異物が混入する可能性があり、電解によってそ
の異物が隔膜に付着して隔膜を劣化させる場合がある
が、フィルタ部材で濾過することにより異物混入が防止
されて隔膜の長寿命化が図れる。
【0034】また請求項9にかかるバッチ式電解水生成
装置は、フィルタ部材をイオン交換樹脂から構成したも
のである。
【0035】そして、水道水の硬度(導電率)には大き
なばらつきがあり、例えば硬水では水酸化カルシウムな
どのスケール成分を多く含み、陰極へのスケール析出に
ばらつきが発生するとともに、所定時間電解した場合、
硬度によってpH値にばらつきが生じるが、給水時にイ
オン交換樹脂を通過することで、例えば軟水化が図ら
れ、硬度差によるpH値のばらつきが解消されるととも
に、陰極へのスケール析出を低減できる。
【0036】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を用いて
説明する。
【0037】(実施例1)図1は本発明の実施例1にお
ける水浄化装置の構成図を示す。同図において、11は
電解槽であり、隔膜12によって陽極室13と陰極室1
4が形成されており、各々陽極15および陰極16が隔
膜12を介して対向配置されている。電解槽11の下方
には陽極水出口17と陰極水出口18が設けられてお
り、上方には給水口19を有する着脱自在の蓋20が設
けられている。蓋20には原水に含まれる異物を濾過す
るフィルタ部材21が設けられており、ここでは原水の
スケール成分となる陽イオンを除去して軟水化するイオ
ン交換樹脂が設けられている。また電解時に陽極室13
から生成される塩素ガスや酸素ガス、陰極室から生成さ
れる水素ガスを外部に排気する通孔22が設けられてい
る。
【0038】23は着脱自在のキャップ24および電解
質床25を有する電解質タンクであり、ここでは電解質
として食塩が充填されている。なお電解質としては、食
塩のほかに珪酸塩、炭酸塩、重炭酸塩などの水溶性電解
質を用いることができる。電解質タンク23には陽極室
13の上部に設けられた給水口26からパルスポンプで
構成される給液手段27によって電解槽11に入れられ
た原水が導入路28を経て電解質タンク23の上方に送
られる。導入された水は食塩と混合して飽和食塩水とな
り、電解質床25および給液路29を通じて電解質供給
口30から電解質溶液が陽極室13に供給される構成と
なっている。
【0039】ここで、給液路29の電解質供給口30近
傍には陽極室13の原水の侵入を阻止する方向に逆止弁
31が設けられており、また電解質供給口30は電解質
タンク23の液面よりもhだけ上方位置に設けられてい
る。
【0040】陰極水出口18の下流にはギヤードポンプ
などの比較的大流量を制御する吐出手段32が設けられ
ており、駆動されることで吐出路33を通じて陰極水が
吐出口34から電解水容器35に取水される。また陽極
水出口17の下流には排水路36を通じて陽極水を排出
する排水弁37が設けられている。
【0041】38は後述する操作パネル39と制御回路
40から成る制御手段であり、電解水容器35の存在を
検知する容器検知手段41の信号が制御回路40に入力
され、容器検知手段41によって容器が吐出口34の対
向位置に存在する時のみ電解動作を行うように構成され
ている。また42はパルスポンプからなる給液手段27
の駆動パルスをカウントするパルスカウンタであり、累
積パルス数をカウントすることで食塩の消費量が擬似的
に検出され、所定パルス数に達した時点で食塩補給の報
知を行うように構成されている。
【0042】操作パネル39は図2に示すように電源ス
イッチ43と電解スイッチ44を有するとともに容器検
知手段41によって電解水容器35が存在することを報
知する容器セット報知手段45とパルスカウンタ42の
累積パルスが所定値に達した時点で食塩補給を報知する
食塩補給報知手段46を有しており、電解スイッチ44
を投入することで制御回路40が動作して給液手段2
7、陽/陰極15、16および吐出手段32が駆動され
るように構成されている。
【0043】上記構成において次に動作、作用について
説明する。
【0044】電解前に給水口19から電解槽11の所定
水位まで原水を入れる。この際、原水は陽イオン交換樹
脂からなるフィルタ部材21を通過することとなり、原
水に含まれる比較的大きな異物が濾過されるとともに、
カルシウム、マグネシウムイオンなどの陽イオンが除去
されて軟水化される。バッチ方式では水道に直結せず、
食塩水生成時点で異物が混入する可能性があり、電解に
よってその異物が隔膜に付着して隔膜を劣化させる場合
があるが、フィルタ部材21で濾過することにより異物
混入が防止されて隔膜の長寿命化が図れる。
【0045】また、水道水の硬度(導電率)には大きな
ばらつきがあり、例えば硬水では水酸化カルシウムなど
のスケール成分を多く含み、陰極へのスケール析出にば
らつきが発生するとともに、所定時間電解した場合、硬
度によってpH値にばらつきが生じるが、給水時に陽イ
オン交換樹脂を通過することで、軟水化されるので硬度
差によるpH値のばらつきが解消されるとともに、陰極
16へのスケール析出を低減できる。
【0046】次に、図2に示した操作パネル39の電源
スイッチ43を投入し、電解スイッチ44を投入するこ
とで電解動作が開始される。なお、この時電解水容器3
5が所定位置にセットされていれば操作パネル39の容
器セット報知手段45が点灯し、電解動作が開始され
る。電解水容器35が吐出口34に対向する位置に載置
されていない場合は容器検知手段41によって検出さ
れ、電解動作に移行しない。これにより誤って容器外に
電解水を吐出することがなくなる。
【0047】電解動作について図3に示したタイムチャ
ートに基づいて説明する。電解スイッチ44が投入され
ると、まず給塩手段27が所定時間tpだけ駆動され、
陽極室13の原水が導入路28を経て電解質タンク23
に送られる。電解質タンク23は水密状態に構成されて
おり、原水が導入されることにより飽和状態の食塩水が
電解質床25、給液路29、逆止弁31を経て電解質供
給口30から陽極室13内に所定量供給され、所定濃度
の食塩希釈水となる。次いで制御回路40が動作して陽
極15と陰極16間に逆極性、つまり陽極15側をー
極、陰極16側を+極として電流が所定時間tr印可さ
れる。これにより前回の電解によって陰極16の表面に
析出したスケール成分が酸化還元されて洗浄される。す
なわち、原水には各種のイオンが含まれており、特にカ
ルシウムイオンやマグネシウムイオンなどの陽イオンは
陰極室14側の水酸基と反応して水酸化カルシウムや水
酸化マグネシウムとなり、溶解限界を越えると陰極16
や隔膜12の表面に析出し、電解電流の妨害因子となる
が、電解前に逆電洗浄を所定時間tr行うことで良好に
洗浄されてスケール成分が分解され、電極の長寿命化が
実現できる。
【0048】その後通常極性ので所定時間teだけ電気
分解される。電解時の陽極室13では化学式1に示した
反応が生じて酸性水が生成される。
【0049】(化式1) 2Cl-→Cl2↑+2e- Cl2+H2O→HCl+HClO 2H2O→O2↑+4H++4e- 一方、陰極室14では化式2に示した反応が生じて水酸
基OH-を中和するためNa+が隔膜12を通過して移動
し、アルカリ水が生成される。
【0050】(化式2) 2H2O+2e-→H2↑+2OH- Na++e-→Na 2Na+2H2O→2NaOH+H2↑ ここで、陽極室13のみに食塩溶液が供給されるので短
時間に還元力の強いアルカリ水が得られる。すなわち、
陽極15と陰極16間に電圧が印可されると被電解水に
含まれるイオンは電気吸引力により陽/陰極15、16
と逆極性のイオンが隔膜12を通過して移動することと
なる。したがって陽極室13に導入された食塩に含まれ
るNaイオンは隔膜12を経て陰極室14へと即座に移
動する。この電気吸引力以外にも例えば拡散理論にした
がえば、Naイオンが拡散によってイオン濃度を均一に
するように作用する。この結果、陽/陰極15、16間
に流れる電流が増加し、短時間に還元力の強いアルカリ
水が得られる。実験によれば500CCの水を1Aで5
分間電解することでpH12.1のアルカリ水が得られ
た。この還元力の強いアルカリ水は油脂の鹸化や乳化作
用および蛋白質に対する加水分解作用を有し、家具や住
宅建材、電気製品などの表面の洗浄水として利用でき
る。
【0051】また陽極室13のみに食塩溶液が供給され
ることで陰極室14には塩素イオンCl-濃度の低いア
ルカリ水が生成される。Cl-は洗浄力を阻害する因子
となるため、陽極室13のみに食塩溶液が供給すること
で洗浄力の高いアルカリ水を生成できる。
【0052】陽極室13に生成される塩素ガスCl
2↑、酸素ガスO2↑および陰極室14に生成される水素
ガスH2↑は通孔22、フィルタ部材21を通過して外
部に排出される。
【0053】陰極室14に生成されたアルカリ水は、所
定時間te電解された後、直ちに吐水手段32が駆動さ
れて吐出路33を通じて吐出口34から電解水容器35
に注入される。これにより電解隔膜を介しての酸性水と
アルカリ水の浸透混入が防止でき、pH値の劣化が防止
できるとともに、容器が存在しない場合での誤吐出を防
止できる。なお、電解水容器35には噴霧機構(図示せ
ず)を設けて被洗浄面に直接スプレー噴霧して使用する
こともできる。
【0054】陽極室13に生成された酸性水は排水弁3
7を開成することで排水路36を通過して排出される。
なお同時生成される酸性水は殺菌作用を有しており、殺
菌水として利用することができる。また所定の比率でア
ルカリ水と混合して中性もしくは弱酸性殺菌水として利
用することもできる。
【0055】また、パルスカウンタ42はパルスポンプ
から構成される給液手段27の駆動信号であるパルス数
をカウントする。このパルス数によって食塩の消費量が
決まり、所定パルス数すなわち電解質タンク23内の食
塩残量が少なくなった時点で操作パネル39の食塩補給
報知手段46が点灯もしくは点滅し、食塩の補給が使用
者に報知される。
【0056】また、本実施例では電解質供給口30が電
解質タンク23の液面よりも上方に設けられているので
不要時における水頭差による電解質溶液の陽極室13内
への流出が防止できる。つまり電解質供給口30が電解
質タンク23の液面よりも下方に設けられた場合、水頭
差によって電解質溶液が常時陽極室13内に流出するこ
ととなり、電解時の電解質濃度を所定値に維持できず、
所望のpH値が得られなくなるとともに電解質の不要な
消費につながるという不具合が生じるが、上記構成によ
りそれらの不具合を防止できる。
【0057】また給液路29に逆止弁31を設けたので
陽極室13への給水時に電解質タンク23側への原水の
逆流が防止され、電解質溶液の原水逆流による希釈が防
止される。この結果、常に所望の濃度の電解質溶液が精
度良く電解質供給口30から電解槽へ供給されることと
なり、安定したpH値が得られる。
【0058】また陽極室13側の水を電解質タンク23
に供給する構成としので、陰極16や陰極室14内に生
成されるスケール片による給液手段27の目詰まりを防
止できる。すなわち電解を行うことで原水に含まれるカ
ルシウムやマグネシウムイオンが水酸基と反応して水酸
化カルシウムや水酸化マグネシウムなどのスケールとな
って陰極16や陰極室14壁面に付着し、電解槽11に
原水を入れる際の剥離作用によって微少なスケール片と
なって原水に混入される場合がある。したがって陰極室
14側の水を電解質タンク23に供給する構成とした場
合、微少流量を制御する給液手段27にスケール片が堆
積して目詰まりが発生し、電解質溶液が供給されなくな
る場合があるが、陽極室13側の水を電解質タンク23
に供給することで上記不具合が防止され、給液手段27
の長寿命化が図れる。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように請求項1〜9に記載
の発明によれば、電解槽から給水することにより電解質
タンクの希釈電解質が自動的に陽極室に導入されるの
で、手作業によって食塩水などを作製する必要がなく、
電解質濃度も安定するので所望のpH値の電解生成水が
精度良く得られる。
【0060】また、陽極室のみに電解質溶液が供給され
るので、陽/陰極間に流れる電流が増加し、短時間にp
H値の高いアルカリ水が得られる。このpH値の高いア
ルカリ水は油脂の鹸化や乳化作用および蛋白質に対する
加水分解作用を有し、家具や住宅建材表面などの洗浄水
として利用できるとともに塩素イオンの含有量の少なカ
リ水が生成できるので洗浄力が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1におけるバッチ式電解水生成
装置の構成図
【図2】同装置の操作パネルの構成図
【図3】同装置の給液手段、電解電流及び吐出手段の動
作を示すタイムチャート
【図4】従来のバッチ式電解水生成装置の構成図
【符号の説明】
11 電解槽 12 隔膜 13 陽極室 14 陰極室 15 陽極 16 陰極 17 陽極水出口 18 陰極水出口 19 給水口 21 フィルタ部材(イオン交換樹脂) 23 電解質タンク 27 給液手段 28 導入路 29 給液路 30 電解質供給口 31 逆止弁 32 吐出手段 34 吐出口 35 電解水容器 38 制御手段 41 容器検出手段 42 パルスカウンタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桶田 岳見 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 岡 浩二 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 中村 一繁 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4D019 AA03 BA13 BB12 BC04 CA10 CB04 4D061 DA03 DB08 DB14 EA02 EB02 EB05 EB12 EB17 EB19 EB37 EB38 EB39 ED12 ED13 GA30 GB07 GC16

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 給水口と、隔膜を介して陽極室と陰極室
    を形成し、各々陽極と陰極を配設するとともに陽極水出
    口と陰極水出口を有する電解槽と、電解質タンクと、前
    記給水口から供給される水を前記電解質タンクに導入す
    る導入路と、前記電解質タンクの電解質溶液を前記陽極
    室に供給するための給液路とを備え、前記電解槽の電解
    質供給口を前記電解質タンクの液面よりも上方に配設し
    たバッチ式電解水生成装置。
  2. 【請求項2】 給液路に、電解槽の水の侵入を阻止する
    方向に逆止弁を設けた請求項1記載のバッチ式電解水生
    成装置。
  3. 【請求項3】 陽極室側の水を電解質タンクに供給する
    請求項1または2に記載のバッチ式電解水生成装置。
  4. 【請求項4】 陰極水出口からの生成水を吐出制御する
    吐出手段と、電解水の吐出口に対向する位置に電解水容
    器を設け、所定時間電解終了後に吐出手段を駆動して陰
    極水を電解水容器に貯水する請求項1〜3のいずれか1
    項に記載のバッチ式電解水生成装置。
  5. 【請求項5】 電解水容器の存在を検知する容器検知手
    段を設け、前記容器検知手段が容器の存在を検知した時
    のみ電解動作を行う請求項4記載のバッチ式電解水生成
    装置。
  6. 【請求項6】 電解動作開始後に所定時間逆極性通電
    し、その後通常極性で所定時間電解する請求項1〜5の
    いずれか1項に記載のバッチ式電解水生成装置。
  7. 【請求項7】 給液手段をパルスポンプから構成すると
    ともに前記パルスポンプのパルス駆動回数をカウントす
    るパルスカウンタを設け、このパルスカウンタが所定回
    数に達した時点で電解質補給要求信号を報知する請求項
    1〜6のいずれか1項に記載のバッチ式電解水生成装
    置。
  8. 【請求項8】 給水口にフィルタ部材を設けた請求項1
    〜7のいずれか1項に記載のバッチ式電解水生成装置。
  9. 【請求項9】 フィルタ部材をイオン交換樹脂から構成
    した請求項8記載のバッチ式電解水生成装置。
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