JP6000673B2 - オゾン水生成装置のリフレッシュ洗浄方法 - Google Patents

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本発明は、オゾン水生成装置のリフレッシュ洗浄方法に関する。
オゾン水は、その殺菌力や脱臭力、さらには細胞活性効果など様々な分野における寄与が認められている。その上、水に溶解させたオゾンは呼吸器系への影響がなく安全性にも優れていることから、オゾン水は、産業用をはじめ医療および介護の分野などでも広く利用されている。
オゾン水の生成方法には、オゾンガスを原料水に溶解させるオゾンガス溶解法と、原料水を直接電気分解してオゾン水を生成する直接電解法があるが、安全性、装置のコンパクトさ、および使い易さなどのメリットから、直接電解法が次第に普及してきている。直接電解法は、陽極電極と陰極電極との間に陽イオン交換膜が狭持されてなる触媒電極を備え、前記陽極電極に原料水を供給し、前記陰極電極に陰極水を供給すると共に、前記陽極電極と前記陰極電極との間に直流電力を印加、通電することによって、原料水を直接電気分解し、オゾン水を生成する方法である。しかし、原料水が水道水のように、例えばカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンなどの陽イオンを多く含む場合、カルシウムおよびマグネシウムなどが陰極電極上に析出し、また、陽イオン交換膜中に残留して装置の電気分解性能を次第に経時劣化させる。
このため、直接電解法では、予め軟水器を用いて原水中からカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンを除去する方法、酸性洗浄液を用いて電極および膜表面に析出するカルシウムおよびマグネシウムを溶出する方法、陰極水に塩化ナトリウム水溶液もしくは塩化カルシウム水溶液を用いる方法、またはクエン酸水溶液を通過させてカルシウムおよびマグネシウムの析出を防止する方法、陽極電極と陰極電極を可動電極構造にして常に電極と陽イオン交換膜との接触を新しくさせる装置などにより、オゾン水生成装置の性能の維持を図っている(例えば、特許文献1、2、3、4および5参照)。
特許第3269784号公報 特開平10-130876号公報 特開2002-69679号公報 特許第3363911号公報 特開2005-177671号公報
軟水器を用いる方法では、通水する原料水全量のカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンを除去するために、容量の極めて大きい軟水器を必要とする。そして、軟水器の機能が低下すると、軟水器を取り替えるか、または多量の塩化ナトリウム水溶液を用いて再生する必要があるので、この方法は煩雑である。また、この方法は、軟水器を交換または再生する間、オゾン水を生成できない。
酸性洗浄液を用いてカルシウムおよびマグネシウムを溶出する方法では、原料水とは別に、酸性洗浄液用の供給系統を追加しなければならない。また、装置を一旦停止して、系統を洗浄ラインに切り替えた後に洗浄すること、および酸性洗浄液の廃液処理も必要である。さらに、装置内に残存する洗浄液が含まれる恐れがあるので、洗浄直後に生成されたオゾン水を使用できない。なお、脱イオン水や蒸留水で電解洗浄する場合、電極間に高電位を印加する必要があり、電流密度をあげることができない。すなわち、洗浄に長い時間が必要となる。また、例えば、特開2005-177671号公報には、オゾン水を陽極側で生成しながら、陰極側にのみ酸性水を流し、陰極表面の析出物の洗浄を行う技術を開示する。しかし、オゾン水を生成する間に、陽イオン交換膜、特に膜内が洗浄されることは示唆もされていない。さらに、このような方法などは、膜中に残留したカルシウムなどの溶出を殆ど行なえない。
塩化ナトリウム水溶液もしくは塩化カルシウム水溶液を用いる場合、このような水溶液はカルシウムを殆ど溶解しないので、装置全体の洗浄には適さない。また、クエン酸水溶液は、カルシウムの析出防止に使用されるが、装置の洗浄には適さない。その上、クエン酸水溶液を用いる場合、細菌類の増殖が助長されてしまう恐れがあるので、クエン酸濃度を所定の範囲に保持する必要がある。このような水溶液を陰極電極側に供給する場合、その水溶液の調製のみならず、原料水とは別に、該水溶液を供給するための水溶液循環システム、すなわち、タンク、ポンプおよび配管などの設備が必要になる。その上、定期的にこれらの水溶液を交換し、該循環システムを洗浄する必要がある。
陽イオン交換膜の性能回復という観点においては、上述のように可動電極構造を用いて、陽イオン交換膜と電極とを非接触状態で保持し、陽イオン交換膜の性能回復を行うことが好ましい。ところが、このような装置は、電極の構造が非常に複雑になるだけでなく、電極を動かすための附属システムも必要となる。さらに、医療および介護分野などで用いられるオゾン水生成装置の多くは、陽イオン交換膜と、陽イオン交換膜の両面のうち一方の面に圧接された陽極電極と、他方の面に圧接された陰極電極とを備えており、それらは固定された状態である。したがって、陽イオン交換膜に電極が圧接された状態であっても、オゾン水生成装置のリフレッシュ洗浄を行うことができる方法が要求されている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、例えば軟水器のような大きな附属設備とそれに関する煩雑な系統、特殊な水溶液とその循環システム、および複雑な電極構造を必要とせず、さらに、装置を通常使用時と同じ条件で稼働させながら(すなわち、洗浄工程中においてもオゾン水が生成され、このオゾン水を使用できる)、陽イオン交換膜および陰極電極をリフレッシュ洗浄して該装置の性能を長く維持する、オゾン水生成装置のリフレッシュ洗浄方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、上記洗浄方法を用いる、オゾン水生成装置を提供することを目的とする。
本発明は、陽イオン交換膜と、陽イオン交換膜の両面のうち一方の面に圧接された陽極電極と、他方の面に圧接された陰極電極とを備え、
前記陽極電極側流入路に原料水を供給し、前記陰極電極側流入路に陰極水を供給すると共に前記陽極電極と前記陰極電極との間に直流電圧を印加することによってオゾン水を生成するオゾン水生成装置における、前記陽イオン交換膜と前記陰極電極とを洗浄するオゾン水生成装置の洗浄方法であって、前記方法は、以下の工程を含む:
(i)生成されたオゾン水濃度を検出する工程、
(ii)前記工程(i)で検出したオゾン水濃度が一定値以下の場合、前記陽極電極側流入路と前記陰極電極側流入路に、H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水を同時に連続的に導入し、前記陽極電極と前記陰極電極の間に直流電圧を印加する工程、および
(iii)前記陽極電極側でオゾン水を生成すると同時に、前記陽イオン交換膜の内部と、前記陽イオン交換膜の陰極側表面と、前記陰極電極とを洗浄する工程を含む、
オゾン水生成装置の洗浄方法を提供する。
本発明は、H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水が2〜5の範囲、好ましくは2〜4の範囲のpH値を有するオゾン水生成装置の洗浄方法を提供する。
本発明は、H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水が280〜500μS/cm、好ましくは300〜500μS/cmの範囲の電気伝導度を有するオゾン水生成装置の洗浄方法を提供する。
本発明は、原料水と陰極水が50〜300μS/cm、好ましくは70〜280μS/cmの範囲に電気伝導度を有する、オゾン水生成装置の洗浄方法を提供する。
本発明は、原料水および陰極水が40〜300mg/Lの硬度を有するオゾン水生成装置の洗浄方法を提供する。
本発明は、酸性軟水の水源が40〜300mg/Lの硬度を有するオゾン水生成装置の洗浄方法を提供する。
本発明は、原料水および陰極水に水道水を使用できるオゾン水生成装置の洗浄方法を提供する。更に、酸性軟水の水源に水道水を使用できるオゾン水生成装置の洗浄方法を提供する。
本発明は、印加される直流電圧が5〜30V、好ましくは6〜24Vであるオゾン水生成装置の洗浄方法を提供する。
本発明は、原料水と陰極水が、同一の流入路から供給され、工程(ii)における酸性軟水が前記流入路から供給される、オゾン水生成装置の洗浄方法を提供する。
本発明は、上記オゾン水生成装置の洗浄方法を用いるオゾン水生成装置を提供する。
本発明による方法は、陽イオン交換膜、および陰極電極を洗浄する間に、陽極電極側からオゾン水を生成できる。したがって、装置の洗浄中であっても、通常使用時と変わらない条件でオゾン水を生成できるので、極めて高効率であり、安定したオゾン水濃度を維持できる。
本発明による方法は、例えば40〜300mg/Lの硬度を有する水を、原料水および陰極水に使用でき、また、40〜300mg/Lの硬度を有する水を酸性軟水の水源に使用できる。1実施態様においては、水道水を原料水および陰極水に使用できる。また、水道水を酸性軟水の水源に使用してもよい。これにより、本発明は、複雑な供給系を必要とせず、および原料水と陰極水の補充を容易に行なえる。そして、水道水を用いてオゾン水を生成できるので、イオン交換樹脂の使用頻度を下げることができ、経済的である。
本発明による方法は、H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水を用いることにより、洗浄工程において塩酸などの化学薬品を必要としない。このため、洗浄により生じる排水の処理が不要である。また、洗浄に化学薬品を用いないので、洗浄直後に生成されるオゾン水だけでなく、洗浄中に生成されるオゾン水も使用できる。さらに、所定の直流電圧を印加することにより、オゾン水の生成と共に、陽イオン交換膜内部の洗浄をより効率的に行なえる。
本発明による方法は、H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水が、例えば、2〜5のpH値を有し、300〜500μS/cmの範囲の電気伝導度を有する。これにより、装置内に存在する炭酸カルシウムなどを容易に除去できる。さらには、洗浄に要する時間を短くできる。
本発明による方法は、原料水と陰極水を同一の流入路から供給することにより、オゾン水洗浄装置の小型化が可能である。さらに、洗浄の際に、同一の流入路から酸性軟水も供給できるので、極めて高効率である。また、同一の流入路から原料水および陰極水を導入することで、陽極側と陰極側の条件(例えば、水温、導入時のpH値など)を同程度に維持できるので、陽イオン交換膜に対する負荷を小さくできる。
図1は、直接電解オゾン水生成装置の概略構造を模式的に示した図である。 図2は、直接電解オゾン水生成装置の稼働に伴い、次第に性能劣化していく様子を示す模式図である。 図3は、稼働に伴う劣化を、カルシウムイオンとマグネシウムイオンの挙動を例にして示した模式図である。 図4は、性能劣化した装置を、H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水で洗浄した場合における、性能回復の様子を示す模式図である。 図5は、性能回復する様子を、カルシウムイオンとマグネシウムイオンの挙動を例にして示した模式図である。 図6は、H形イオン交換樹脂の分子構造の一例である。 図7は、Na形イオン交換樹脂の分子構造の一例である。 図8は、オゾン水濃度センサーを示す。 図9は、H形イオン交換樹脂を有する酸性軟水装置の概略図である。 図10は、参考例における、オゾン水濃度と通水時間の関係を示す。 図11は、本発明における洗浄方法を用いる場合の、オゾン水濃度と通水時間の関係を示す。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、直接電解オゾン水生成装置の概略構造を模式的に示した図である。オゾン生成の電気化学反応は次のように示され、酸素の生成とオゾンの生成が同時に起こる:
2HO→2H+O(酸素生成)
3HO→3H+O(オゾン生成)
この時、水素はH+となって、陽極電極側から陽イオン交換膜を通り陰極電極側に移動して、陰極電極表面で電子を受け水素ガスとなる。同時に、原料水中に含まれるCa2+、Mg2+、Na2+などの陽イオンも陽極側から陰極側へと移動する。
例えば、オゾン水生成装置100は、原料水及び陰極水が流入されるケーシング1内に触媒電極2を配置して構成されている。このオゾン生成装置100は、触媒電極2に直流電圧を印加することによって陽極電極22側にオゾン気泡を発生させ、そのオゾン気泡をそのまま原料水に溶解させることによりオゾン水を生成する装置である。
ケーシング1は、上下に長尺でその上下両端が閉塞された直方体状をなしている。ケーシング1の下面には、ケーシング1内に原料水、陰極水を流入するための流入路11a,11bが設けられ、ケーシング1の上面には、陽極電極22側で生成されたオゾン水ならびに陰極電極23側の陰極水を取り出すための流出路12a,12bが設けられている。
陽極電極22側の流入路11aは、例えば、原料水が貯留されたタンクに接続された小型ポンプおよび/または水道栓に接続されている。また、陽極電極22側の流出路12aには、後述のオゾン水センサー200が取り付けられている。
陽極電極22側の流出路12aは、吐水ラインに接続され、そのままオゾン水を吐水させるノズル(図示せず)に接続されてもよく、あるいは更にオゾン水を貯留するタンク(図示せず)および/またはオゾン水を噴出させるノズルなど(図示せず)に接続されてもよい。
陰極電極23側の流出路12bは、陰極電極23側で生成された陰極水をそのまま排出させ、または一旦排出させた後、再び流入路11bを介して陰極電極23側に流入させて循環させてもよい。また、二つの流入路11a,11bの間のケーシング1の内壁面には、後述する陽イオン交換膜21の一方の端部が挿入される挿入孔14が形成され、二つの流出路12a,12bの間のケーシング1の内壁面にも、陽イオン交換膜21の他端部が挿入される挿入孔13が形成されている。ケーシング1内には、流入路11a,11bから原料水、陰極水が流入し、流出路12a,12bへと水流が発生している。
触媒電極2は、ケーシング1内の略中央部に配置されて、陽イオン交換膜21と、陽イオン交換膜21の両面のうち一方の面に圧接された陽極電極22と、他方の面に圧接された陰極電極23とを備えている。陽イオン交換膜21は、一方の端部が挿入孔13に嵌め込まれ、他端部が挿入孔14に嵌め込まれて固定されている。さらに、ケーシング1の内壁面のうち陽極電極22側を向く面には凹部が形成され、この凹部内に陽極電極22を保持する保持板15が取り付けられて、陽極電極22が保持板15に保持されている。同様に、ケーシング1の内壁面のうち陰極電極23側を向く面にも凹部が形成され、この凹部内に陰極電極23を保持する保持板16が取り付けられ、陰極電極23が保持板16に保持されている。また、保持電極15および16は、各々原料水および陰極水の通路となると共に、スタティックミキサーの役目も兼ねており、陽極電極22および陰極電極23に直流電圧を供給する。
このように、ケーシング1内に陽イオン交換膜21と、陽極電極22および陰極電極23とを配置することにより、陽イオン交換膜21によって陽極電極22側と陰極電極23側が分離され、陽イオン交換膜21の外周をケーシング1に固定でき、原料水、オゾン水および陰極水などが外部に漏れないように密閉されている。また、保持板15、16によって陽極電極22および陰極電極23が陽イオン交換膜21側に適度に圧接されている。そして、流入路11a,11bから流入した原料水、陰極水がそれぞれ陽極電極22、陰極電極23に連続的に接触するようになっている。
好ましい実施態様において、原料水と陰極水は、同一の流入路(図示せず)から供給される。すなわち、原料水と陰極水の流入路11a,11bは、同一の流入路が途中で分岐して形成されてもよい。例えば、水道水を原料水と陰極水に使用する場合、水道水を貯留する1つのタンクに接続された1本の同一の流入路は、任意の位置で、陽極電極と陰極電極の流入路11a、11bにそれぞれ分岐する。水道水は、分岐した流入路11a、11bを経て、それぞれ、陽極電極側の水路と陰極電極側の水路に原料水または陰極水として導入される。また、同一の酸性軟水を陽極側と陰極側に導入して洗浄を行えるので、このことは、酸性軟水を使用する場合にも適用できる。したがって、本発明に係る方法は、極めて効率的であり、装置の小型化にも寄与できる。なお、同一の流入路が分岐する場所は、限定されないが、例えば、ケーシング1内で分岐できる。
陽極電極22と陰極電極23との間には、オゾン水生成装置用電源装置(図示しない)の出力端24が電気的に連結され、直流電圧が印加されるように構成されている。印加する直流電圧は、例えば、5〜30ボルト、好ましくは6〜24ボルトが好ましい。このような範囲の電圧を印加することにより、オゾン水の生成と、陽イオン交換膜の内部洗浄等を同時に行なえ、さらに、洗浄効率を上げることができる。
原料水は、特に限定されないが、40〜800mg/L、好ましくは40〜300mg/Lの硬度を有する。例えば、硬度が800mg/Lよりも高い場合、イオン交換膜への負担を減らすために、任意の方法で硬度を下げることが好ましい。さらに好ましくは、水道水が使用される。水道水を用いることで、軟水器とオゾン水生成装置100とを常時接続する必要がない。
また、原料水の温度は特に限定されないが、好ましくは、原料水の温度は室温である。原料水の電気伝導度は、例えば、水道水の場合、50〜300μS/cm、好ましくは70〜280μS/cmの範囲である。また、例えば、水道水のpHは特に限定されないが、通常、5.8〜8.6の範囲である。原料水の供給速度は、装置の大きさ等によって変化し、例えば、300mL/分〜10L/分である。
本発明に係る方法により、水道水を原料水として使用する場合であっても、陰極電極に付着するカルシウムやマグネシウム、陽イオン交換膜中に残留するカルシウムイオンやマグネシウムイオンを容易に除去できる。すなわち、本発明に係る方法を用いることで、原料水のカルシウムとマグネシウム濃度を予め調整する必要がない。このことにより、軟水器の使用頻度を下げられるので、本発明に係る方法は経済的である。さらに、オゾン水の生成に軟水器を常時用いる必要がないので、軟水器の再生、交換に伴う、オゾン水の生成停止が生じない。
陰極水としては、水道水、軟水、食塩水および塩化カリウム溶液などの水溶液を使用できる。好ましくは、原料水と同じ水が使用される。この場合、硬度などの条件も同一であることが好ましい。これにより、装置の小型化が可能である。
陽極電極22は、陽イオン交換膜21を全面的に覆い隠すように密着されるものではなく、多数の通孔を設けて、陽イオン交換膜21に接触部と非接触部とを有して重ねられているものが好ましい。すなわち、陽極電極22はグレーチング状又はパンチングメタル状とすることが好ましい。具体的に、グレーチング状とは線材が一体化した格子状で、パンチングメタル状とは金属板に多数の通孔を形成した多孔板状である。
陽極電極22としては、オゾン発生触媒機能を有する材料を使用する。具体的には、β−二酸化鉛、白金、白金族(パラジウム、ロジウム、ルテニウム)、金、カーボン(黒鉛)、ダイアモンド等が挙げられ、これらの貴金属の中でも、安定性が良い点で白金、金又はその被覆金属を使用することが好ましく、特にチタンに白金を被覆した金属を使用すると製品コストを安価に抑えることができる。被覆処理としては、例えばメッキや熱着等により行うことができる。
このようにグレーチング状の陽極電極22とすることによって、陽極電極22を構成する部材の交点部位が尖って外面に突出し、水流と接触して渦流を生じ、陽極電極22で発生したオゾンの微泡を巻き込んで溶解を早めることができる。
陰極電極23としては、白金、銀、チタンおよびステンレスなどを使用できるが、これらに限定されない。陰極電極23は、使用される陽極電極に応じて選択できる。例えば、電気伝導度の良好な材料からなる電極が好ましい。具体的には、上述した陽極電極22と同様の貴金属を使用することができ、安定性が良い点で白金、金、銀又はその被覆金属を使用することが好ましく、特にチタンに白金を被覆した金属を使用すると製品コストを安価に抑えることができる。また、陽極電極22と同じ材料を用いることにより、陽イオン交換膜の両側の接触電位差を極めて小さくできる。そして、陰極電極23は陽イオン交換膜21に接触するように配置されている。また、陰極電極23も陽極電極22と同様にグレーチング状とすることが好ましく、特に、陰極電極部23は陽極電極22よりも目の粗さが粗くなるように形成されていることが好ましい。1実施態様において、陽イオン交換膜21、陽極電極22及び陰極電極23は平板状に形成されて触媒電極2とされている。また、陽極電極22及び陰極電極23は円筒状に形成されて触媒電極2とされてもよい。触媒電極2はケーシング1内の保持板15,16で圧接保持されている。
陽イオン交換膜21としては、従来公知のものを使用することができ、発生するオゾンに耐久性の強いフッ素系陽イオン交換膜を使用することができる。例えば、Nafion(登録商標)を使用できる。厚さは、好ましくは100〜300μmである。
次に、本発明に係るオゾン水生成装置の洗浄方法について説明する。
上記記載のようなオゾン水生成装置に直流電圧を印加すると、H(水素イオン)をはじめ、原料水に含まれるNa、Ca2+、Mg2+などの陽イオンが、陽イオン交換膜を通って陽極電極側から陰極電極側へ移動する。このとき、Ca2+、Mg2+の一部は、陽イオン交換膜の陰極電極側表面、および陰極電極表面で酸化化合物となって析出、固化する。直流電圧を印加してオゾン水生成装置を長時間稼働させると、Ca、Mgの酸化化合物が、陽イオン交換膜の陰極電極側表面、および陰極電極表面に堆積して性能劣化を引き起す。これにより、陽極電極側で生成されるオゾン気体の量も次第に低下し、オゾン水生成装置の性能が経時間的に低下していく。さらに、カルシウムイオンなどが陽イオン交換膜内に留まり、オゾン水生成装置の性能が経時間的に低下していく。
この性能劣化を説明するものとして、図2および図3を示す。
図2は、直接電解オゾン水生成装置の稼働に伴い、該装置が次第に性能劣化していく様子を示す模式図である。(a)は、原料水として、カルシウムおよびマグネシウムをほとんど含有しない軟水を使用した場合、(b)は、カルシウム、マグネシウムを含む水道水を原料水として使用する場合を示す。休止期間があると、装置は電気的に平衡を取り戻し、性能が若干回復する。
図3は、稼働に伴う劣化を、カルシウムイオンとマグネシウムイオンの挙動を例にして示した模式図である。
本発明は、上述のような性能劣化から装置を回復するためのリフレッシュ洗浄方法に関する。
本発明に係る洗浄方法は、第1工程として、(i)生成されたオゾン水濃度を検出する工程を有する。この工程において、オゾン水のオゾン濃度を検出し、装置の洗浄を行う必要性を判定する。オゾン濃度の検出方法は、特に限定されないが、例えば、上述のオゾン水センサー200が使用される。
オゾン水センサー200の出力は、オゾン水濃度と1対1の相関関係を有しており、オゾン水のオゾン濃度が必要な濃度に達しているかどうか、あるいはオゾン水の濃度が必要な濃度を下回っているかどうかを判定することができる。
例えば、オゾン水センサー200は、図8に示すように、互いにイオン化傾向の異なる、陰極の検出電極201と陽極の比較電極202とを備えている。オゾン水濃度センサー200は、例えば、オゾン水生成装置100のケーシング1内に取り付けられ、検出電極201および比較電極202を、流動するオゾン水に接触させる(図1参照)。流動するオゾン水に接触することにより、検出電極201および比較電極201には起電力が発生し、オゾン水のオゾン濃度に対応した電気信号が得られて、オゾン水の濃度を計測するものである。
オゾン水生成装置で生成されるオゾン水は、オゾン水濃度センサーで常時または適宜監視され、オゾン濃度が一定値以上の場合は、例えば青色LEDで表示し、一定値以下の場合は、例えば白色LEDを表示するようになっている。
目的とするオゾン水濃度、すなわちオゾン水濃度の一定値は、使用目的に応じて設定できる。また、必要とされるオゾン水濃度を下回らない段階で装置を洗浄するように、目的とする濃度を設定してもよい。例えば、最低でも4ppmのオゾン水濃度が要求される場合、装置中のオゾン水濃度が5ppmを下回った時に、本発明に係る洗浄方法を開始してもよい。好ましくは2ppm〜10ppmにオゾン水濃度が到達したときに、洗浄を開始する。
次いで、本発明に係る洗浄方法は、工程(ii)として、工程(i)におけるオゾン水濃度が一定値以下の場合、陽極電極側流入路と陰極電極側流入路に、H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水を同時に連続的に導入し、陽極電極と前記陰極電極の間に直流電圧を印加する工程を有する。この工程により、装置のリフレッシュ洗浄が開始される。次いで、工程(iii)として、陽極電極側でオゾン水を生成すると同時に、前記陽イオン交換膜の内部と、前記陽イオン交換膜の陰極側表面と、前記陰極電極とを洗浄する工程が行われる。この工程において、少なくとも陰極電極と前記陽イオン交換膜とを洗浄する。さらに好ましくは、ケーシングおよびオゾン水濃度センサーなどを洗浄できる。
具体的には、まず、陽極電極と陰極電極の流入路11a、11bに、H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水を同時に連続的に供給する。供給する方法は、原料水と陰極水のラインを、酸性軟水ラインに切り替えるか、原料水がタンクに貯蔵されているような場合は、タンクにこの酸性軟水を注水する。好ましい実施態様において、陽極電極と陰極電極の流入路11a、11bは、タンクに接続された1つの流入路から分岐し、それぞれ、陽極電極側と陰極電極側に同一の酸性軟水を導入する。そして、通常使用時と同じように陽極電極および陰極電極間に直流電圧を印加して、オゾン水を生成すると同時に、前記陽イオン交換膜の内部と、前記陽イオン交換膜の陰極側表面と、前記陰極電極とを洗浄できる。印加する直流電圧は、例えば、5〜30ボルト、好ましくは6〜24ボルトが好ましい。
陽極電極および陰極電極に供給する酸性軟水は、同一のH形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水を単独で用いてもよく、目的に応じて、複数種の、H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水を混合して用いてもよい。例えば、酸性軟水の水源が複数である場合、それぞれH形イオン交換樹脂を通して酸性軟水を調製し、混合して使用してもよい。これにより、所望のpH等を有する酸性軟水を調製できる。好ましくは、原料水および陰極水と同一の水をH形イオン交換樹脂に通し、得られた酸性軟水をそのまま使用する。また、H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水の温度は、限定されないが、例えば室温で使用され、所望により50℃程度に加熱して使用されてもよい。
本発明に係る方法は、陽極電極側流入路と陰極電極側流入路に、酸性軟水を同時に連続的に導入する工程を含む。本明細書において「同時」とは、動作の開始時および終了時が一致している状態のみならず、動作の開始時および終了時が一致していなくても動作が並行して行われるときがある状態をいう。すなわち、本発明において、「酸性軟水を同時に導入する」ことは、陽極電極と陰極電極に酸性軟水が到達するまでに、多少の時間差が生じてもよいことを意味するが、例えば、陰極電極側にのみ酸性軟水が導入されて洗浄工程が終了することは含まれない。また、本明細書における「連続的」とは、装置の洗浄に必要な期間、酸性軟水が導入されることを意味する。この期間は、装置の性能劣化の程度、酸性軟水の導入速度、使用する装置の大きさなどに応じて適宜選択され、例えば、全ての工程は数秒〜約30分である。
陽極電極側流入路と陰極電極側流入路に導入される酸性軟水は、H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水、またはK形イオン交換樹脂もしくはNa形イオン交換樹脂を通した軟水を、H形イオン交換樹脂を通して酸性化処理した酸性軟水である。
酸性軟水の水源は、特に限定されないが、水道水、Na型イオン交換樹脂を通して得られる軟水、または市販の軟水、あるいはこれらの混合物が含まれる。好ましくは40〜300mg/Lの硬度を有する。水源が、このような範囲に硬度を有することにより、得られる酸性軟水が適度なpH値と電気伝導度を示す。好ましくは、原料水および陰極水と同様に水道水が使用される。水道水を酸性軟水の源水として使用する場合、水道水を直接H形イオン交換樹脂に通過させて使用できる。
例えば、Na型イオン交換樹脂を通して得られる軟水を、H形イオン交換樹脂を通過させる水源として使用できる。Na型イオン交換樹脂は、軟水を得るために通常最も多く使用されている。典型的な分子構造を図7に示す。このイオン交換樹脂は、原料水中のカルシウムイオン、マグネシウムイオンをナトリウムイオンに置換えるものである(下記式参照)。このイオン交換樹脂の特色は塩化ナトリウム水溶液でイオン交換樹脂の再生が可能なことである。ナトリウムイオンは海水中のみならず、飲料水である水道水中にも多く含まれている:Ca2+→2Na、Mg2+→2Na
Na型イオン交換樹脂を用いる場合、上述のように軟水中にはナトリウムイオン(Naイオン)が多く存在する。この軟水を陽極側に導入すると、Naイオンは、陽イオン交換膜を通過して陰極側に移動する。通常、得られる軟水は中性であるが、Naイオンが比較的過剰に存在する場合、該陰極側の水溶液中にはNaOHが生成し、陰極側のpH値が高くなる可能性もある。それにより、陰極側のカルシウム等を除去できなくなる恐れがある。また、NaOHが生成されると、廃水の処理も問題となる。このため、本発明に係る方法においては、Na型イオン交換樹脂を通して得られる軟水を、H形イオン交換樹脂を通して酸性化する。この工程により、Na型イオン交換樹脂を通して得られた軟水であっても、化学薬品を用いることなく酸性化でき、本発明に係る方法に適用できる。
好ましくは、H形イオン交換樹脂を通過させる水源は、水道水である。水道水を用いることにより、より容易に本発明による洗浄方法をおこなえる。水道水の電気伝導度は、50〜300μS/cm、好ましくは70〜280μS/cmの範囲である。また、水道水のpH値は特に限定されないが、通常、5.8〜8.6の範囲である。また、水道水中に、消毒副生成物としての塩素系化合物がごく僅かに含まれることは既知である。そして、塩素系化合物の他に、様々な無機物および化学物質などが水道水に含まれることも既知である。本発明に係る方法は、このような水道水を水源として使用しても、優れた洗浄能を示すことができる。このため、塩素系化合物などを除去することなく、水道水をそのままの状態で、酸性軟水の水源として使用できる。
H形イオン交換樹脂は、水源中のカルシウムイオン、マグネシウムイオンを水素イオンに置換える:Ca2+をトラップしてHを放出するH形イオン交換樹脂を通して得られる水素イオンは、陽イオン交換膜を劣化させないので好都合である。一例として、H形イオン交換樹脂を充填した酸性軟水装置の概略図を図9に示す。この軟水装置は、オゾン水生成装置のリフレッシュ洗浄時においてのみ使用するので、極小さいものでも十分である。
H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水は酸性で、しかもカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンを殆ど含まないので、この酸性軟水を陽極電極22の流入路11a、陰極電極23の流入路11bに供給して、オゾン水生成装置100を一定時間、通常通り稼働させると、主として水素イオンが、陽極電極22側から陰極電極23側に陽イオン交換膜21中を移動し、水道水を電気分解していた時に陽イオン交換膜21中を移動していたカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンが順次追い出され、水素イオンに置換されていく(例えば、図5参照)。このようにして、カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンを含んだ陽イオン交換膜は、膜中および膜の表面も、元の水素イオンのみの状態に戻される。一方、陽イオン交換膜21の陰極電極23側表面と、陰極電極23表面に析出したカルシウムおよびマグネシウムの酸化化合物は、酸性軟水によって溶解される。
より詳細に説明すると、電気分解によって、H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水中の水素イオンが陽極電極側から陰極電極側へ陽イオン交換膜を通り移動することにより、陽イオン交換膜中に残留しているカルシウムイオンやマグネシウムイオンが陰極側に追い出され、水素イオンに置換されていく。
(R'-SOCa+2H → 2R'-SOH+Ca2+
(R'-SOMg+2H → 2R'-SOH+Mg2+
(式中、R'-は陽イオン交換膜中のポリマー骨格を意味する)
陰極電極側の陽イオン交換膜表面や電極表面に析出しているカルシウム、マグネシウムも酸性軟水で溶解され、陽イオン交換膜中に水素イオンだけが残留する状態になる。
Ca(OH)+2H →Ca2++2H
Mg(OH)+2H →Mg2++2H
電極部に酸性溶液を通して洗浄する場合は、陽イオン交換膜の表面もしくは電極の表面に付着したカルシウム、マグネシウムを溶解するだけの効果しかなく、電気的に水素イオンが移動する本発明のように、陽イオン交換膜中に残留するカルシウムイオンやマグネシウムイオンを水素イオンに置換する効果は期待できない。更に、脱イオン水や蒸留水の電解洗浄では、電流密度を上げられず、短時間に大量の水素イオンの移動を伴う本発明の様に大きな効果は期待できない。
しかし、本発明に係る方法に従い、H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水でオゾン水を電解生成すると、水道水の電気分解中に陽イオン交換膜中に入り込んだカルシウムイオン、マグネシウムイオンが迅速に追い出されて水素イオンに置換されると共に、陰極側のpH値が中性から酸性に移行するので、水道水の電気分解中に析出していたカルシウムやマグネシウムを溶解できる。
このように、本発明に係る方法は、H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水により、陽イオン交換膜の陰極電極側表面や陰極電極表面に析出していたカルシウムおよびマグネシウム容易に溶解でき、更には、陽イオン交換膜の内部に留まるカルシウムイオンとマグネシウムイオンを除去できる。
一例として、H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水で洗浄した場合における、性能回復の様子を図4に示す。また、図5は、性能回復する様子を、カルシウムイオンとマグネシウムイオンの挙動を例にして示す。
使用されるH形イオン交換樹脂は、特に限定されない。例えば、図6に示される構造式を有するものが含まれる。
H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水は、2〜5のpH値、好ましくは、2〜4の範囲のpH値を有する。例えば、カルシウムイオン、マグネシウムイオンが水素イオンに置換された水は、水素イオン濃度が増加し、pH=3程度の強い酸性を示すようになる。なお、例えば、H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水の水源に水道水を使用する場合、使用する水道水のpH値により、H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水のpH値も変動し得るが、概ね2〜5のpH値を有する。このようなpH値を有することで、短時間でマグネシウムおよびカルシウムを溶出できる。
H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水の電気伝導度は、280〜500μS/cm、好ましくは300〜500μS/cmの範囲である。酸性軟水の電気伝導度は、原料水の電気伝導度よりも高いことが好ましい。好ましくは、酸性軟水の電気伝導度は、原料水の電気伝導度よりも50μS/cm以上高く、より好ましくは、100μS/cm以上高い。酸性軟水の電気伝導度が原料水の電気伝導度よりも高くなることにより、より効率的に洗浄を行なえる。
H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水は、装置を洗浄する直前に生成させてもよく、予め生成させたものであってもよい。また、本発明に係る方法において、原料水および陰極水、ならびに、H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水の水源は、すべて同一の水道水を用いることができる。
更に、本発明は、このような洗浄方法を用いるオゾン水生成装置を提供する。本発明に係る洗浄方法を用いることにより、該装置はより小型化できる。さらに、水道水を効率よく使用できるので、排水の処理が不要であり、経済的にも優れている。
以下に本発明に関する実施例を記載するが、これらは本発明を限定するものではない。
オゾン水生成装置
図1に示すような、陽極電極と陰極電極との間に陽イオン交換膜が狭持されてなる触媒電極を備え、前記陽極電極側流入路に原料水を供給し、前記陰極電極側流入路に陰極水を供給すると共に前記陽極電極と前記陰極電極との間に直流電圧を印加することによってオゾン水を生成するオゾン水生成装置を使用した。陽極電極として、触媒には白金のマイクログレイチング、電極にはチタングレイチングを使用し、陰極電極として、触媒にはチタンマイクログレイチングに白金メッキしたもの、電極にはチタングレイチングを使用した。また、オゾンの生成効率を増加させるために触媒と陰極電極の間に銀のマイクログレイチングを挿入した。なお、この装置は、原料水と陰極水を同一の流入路から供給できる。原料水および陰極水には、カルシウムおよびマグネシウムなどを含有する水道水を使用した。水温は10〜20℃であり、全硬度は50mg/L、電気伝導度は約200μS/cm、pHは約7であった。原料水の流量は、約500mL/分とした。
参考例
このような条件でオゾン水生成装置を稼働させた。その結果、図10に示されるように、オゾン水の濃度は低下していった。オゾン水の生成を休止することにより、電気的な平衡が取り戻され、オゾン水の生成能は若干回復する。しかし、装置の稼働と休止を繰り返すことにより、オゾン水濃度は減少し続ける。これは、陽極電極と陰極電極に析出したり、陽イオン交換膜に残留したりするカルシウムおよびマグネシウムが、水素イオンの移動を妨げ、オゾンの生成を阻害しているためと考えられる。
実施例1
上述の条件で稼働させたオゾン水生成装置、特に、該装置における陰極電極および陽イオン交換膜を洗浄するために、以下の方法を用いた。
生成されたオゾン水濃度が2.5ppmを下回ったとき、陽極電極側流入路と前記陰極電極側流入路に、H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水を同時に連続的に導入し、陽極電極と陰極電極の間に直流電圧12ボルトを印加した。そして、陽極電極側でオゾン水を生成すると同時に、陽イオン交換膜および陰極電極を洗浄した。なお、酸性軟水の水源には、原料水および陰極水と同様に、水道水を用いた(水温は10〜20℃であり、全硬度は50mg/L、電気伝導度は約200μS/cm、pHは約7であった)。H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水は、全硬度が測定限度以下、pHが約3、電気伝導度が約400μS/cm、温度が10〜20℃であった。また、酸性軟水の流量は、約500mL/分とした。オゾン水濃度が2.5ppmを下回ったときから、洗浄が終了するまでの時間は、約10分であった。
実施例1の洗浄方法による結果を、図11に示す。これによると、低下したオゾン水濃度は初期状態に近い濃度まで回復する。さらに、本発明による洗浄方法は、オゾン水の生成を休止することによる回復よりも、オゾン水濃度の生成濃度を高く維持できることが判る。そして、本発明による洗浄方法は、洗浄を繰り返しておこなっても、優れた洗浄能を示している。その上、本発明による洗浄方法は、装置の洗浄とオゾン水の生成を同時におこなえるので、電極などの洗浄を行いながらもオゾン水濃度を高く維持できる。さらに、水道水由来の酸性軟水を用いることができるので、極めて容易かつ高効率に装置を洗浄できる。
このように、本発明による洗浄方法を用いることで、陽イオン交換膜中に残留していたカルシウムイオンとマグネシウムイオンを追い出して水素イオンに置換すると同時に、陽イオン交換膜の陰極電極側表面ならびに陰極電極表面に付着したカルシウム、マグネシウムも溶解除去できる。
比較例1
H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水の代わりに、Na形イオン交換樹脂を通して得られる軟水を用いたこと以外は、実施例1と同様にして洗浄をおこなう。なお、Na形イオン交換樹脂を通して得られる軟水は、全硬度が測定限度以下、pHが約7.5、電気伝導度が約200μS/cm、温度が10〜20℃である。実施例1と同様に、オゾン水濃度が2.5ppmを下回ったときから、洗浄が終了するまでの時間を10分にする。この結果、本発明に係る方法を用いる場合と比べて洗浄は不十分であり、性能回復も不十分である。また、比較例1の方法で洗浄した装置は、実施例1の方法で洗浄した装置と比べて、より高い頻度で洗浄を行う必要がある。
1 ケーシング
2 触媒電極
11 流入路
12 流出路
15 保持板
16 保持板
21 陽イオン交換膜
22 陽極電極
23 陰極電
100 オゾン水生成装置
200 オゾン水センサー

Claims (6)

  1. 陽イオン交換膜と、陽イオン交換膜の両面のうち一方の面に圧接された陽極電極と、他方の面に圧接された陰極電極とを備え
    前記陽極電極側流入路に原料水を供給し、前記陰極電極側流入路に陰極水を供給すると共に前記陽極電極と前記陰極電極との間に直流電圧を印加することによってオゾン水を生成するオゾン水生成装置における、前記陽イオン交換膜と前記陰極電極とを洗浄するオゾン水生成装置の洗浄方法であって、前記方法は、以下の工程を含む:
    (i)生成されたオゾン水濃度を検出する工程、
    (ii)前記工程(i)で検出したオゾン水濃度が一定値以下の場合、前記陽極電極側流入路と前記陰極電極側流入路に、H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水を同時に連続的に導入し、前記陽極電極と前記陰極電極の間に直流電圧を印加する工程、および
    (iii)前記陽極電極側でオゾン水を生成すると同時に、前記陽イオン交換膜の内部と、前記陽イオン交換膜の陰極側表面と、前記陰極電極とを洗浄する工程。
  2. H形イオン交換樹脂を通して得られる酸性軟水が2〜5の範囲のpH値を有し、280〜500μS/cmの範囲の電気伝導度を有する、請求項1に記載のオゾン水生成装置の洗浄方法。
  3. 酸性軟水の水源が、40〜300mg/Lの硬度を有する、請求項1または2に記載のオゾン水生成装置の洗浄方法。
  4. 印加される直流電圧が5〜30Vである、請求項1から3のいずれかに記載のオゾン水生成装置の洗浄方法。
  5. 原料水と陰極水が同一の流入路から供給され、工程(ii)における酸性軟水が前記同一の流入路から供給される、請求項1から4のいずれかに記載のオゾン水生成装置の洗浄方法。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の方法を用いるオゾン水生成装置。
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