JP2003062568A - 電解水および電解水生成装置 - Google Patents

電解水および電解水生成装置

Info

Publication number
JP2003062568A
JP2003062568A JP2001255682A JP2001255682A JP2003062568A JP 2003062568 A JP2003062568 A JP 2003062568A JP 2001255682 A JP2001255682 A JP 2001255682A JP 2001255682 A JP2001255682 A JP 2001255682A JP 2003062568 A JP2003062568 A JP 2003062568A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
electrolyte
electrolyzed water
electrolyzed
electrolysis
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001255682A
Other languages
English (en)
Inventor
Keijiro Kunimoto
啓次郎 國本
Shigeru Shirai
白井  滋
Takemi Oketa
岳見 桶田
Koji Oka
浩二 岡
Kazushige Nakamura
一繁 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2001255682A priority Critical patent/JP2003062568A/ja
Publication of JP2003062568A publication Critical patent/JP2003062568A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Water Treatment By Electricity Or Magnetism (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 家庭やオフィスなどに簡単に設置して使用で
き、洗浄力の優れた安全な電解水、およびその電解水生
成装置を提供する。 【解決手段】 陽極56と陰極57との間にイオン透過
性の隔膜53が配置され、陽極室54と陰極室55とが
形成された電解槽50と、少なくとも陽極室22に電解
質69溶液を入れて被電解水を電解したとき、陰極室2
3にpH11.5〜12.5でかつナトリウムイオン濃度
が150〜700ppmのアルカリ水である電解水を生成
する。そして、家庭やオフィスなどに簡単に設置して使
用でき、洗浄力の優れた安全な電解水、およびその電解
水生成装置を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被電解水を電気分
解して生成する高アルカリの電解水、およびその電解
水生成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電解水生成装置には、水道等の給水設備
に接続され、流水状態で電解を行い、酸性水やアルカリ
水を生成する流水式と、給水設備に接続しない簡易、低
コスト構造で水を滞留状態で電解するバッチ方式があ
る。流水方式では即座に電解水が取水できるメリットが
あるが、酸化力の強い酸性水や還元力の強いアルカリ水
を得ようとした場合、電極の大型化が必要となり大電力
が必要となるとともに複雑な構成が必要となり、装置全
体のコストアップとなる。一方、バッチ方式では滞留状
態で電解するため長時間にわたる電解が必要であるが反
面簡易な構成で上記酸性水やアルカリ水が得られやすい
特徴がある。
【0003】従来この電位分解によって生成するpH値の
高いアルカリ水は洗浄力に優れるといわれており、特開
2000−282094号公報に記載されているような
洗浄水があった。この洗浄水は、アルカリ性の電解水か
ら調整された脱脂洗浄水であって、洗浄水中のナトリウ
ムイオン濃度+カリウムイオン濃度が0.2ミリモル/
リットル以上5ミリモル/リットル以下、塩素イオン濃
度が1ミリモル/リットル以下、pHを9以上12以下と
して、特に鉄、鋼、銅、真鍮などの金属やプラスチッ
ク、セラミックなどの洗浄に用いると、表面に付着した
油分を剥離し、金属などの腐食や表面劣化がなく、有機
溶剤のような人体への悪影響も見られないとしている。
【0004】しかし、これを一般の汚れ、例えば台所の
壁面に付着した油汚れや、ガラスや家具に付着するタバ
コのヤニなどを洗浄しようとすると、上記従来例に示さ
れる条件ではナトリウムイオンやカリウムイオンが不足
し、かつpH値も全体として低いため充分な洗浄力がある
とはいえない条件となっている。本発明者の実施したタ
イルに付着した油汚れの洗浄性能実験によるとpH11.
5以下では充分な洗浄力があるといえない結果であっ
た。また、ナトリウムイオン濃度が150ppm(6.5
ミリモル/リットル)を切るとpHが11.5以上であっ
ても同様に充分な洗浄効果が得られない結果となった。
さらに、従来例のような塩素イオン濃度を1ミリモル/
リットル(35ppm)以下の低い電解水を生成するに
は、使用する被電解水にイオン交換水を用いたり、添加
する食塩の濃度を必要以上に下げたり、また流水による
電解を行わなければならなかった。このような食塩濃度
を下げた流水電解ではpH8からpH10程度の電解水は容
易に生成できるが、洗浄性能の高いpH11からpH13の
アルカリ水を生成しようとすると電極に高電圧をかけて
大電流を流す必要がでてくる。そうすると装置が大掛か
りになったり、消費電力が大きくなったりするなどの問
題もある。
【0005】このような電解水生成装置としては、流水
式においても効率良く電解水を生成できる例として特開
平11−123381号公報に記載されているようなも
のがあった。この電解水生成装置は図9に示すように、
電解槽1に、カソード室2と中間室3とアノード室4の
3つの室を設け、そのカソード室2と中間室3およびア
ノード室4と中間室3は隔膜7、隔膜8によって隔てら
れ、カソード室2にはカソード電極5、アノード室4に
はアノード電極6が設置され、各電極5、6は直流電源
装置に接続してある。なお、12はカソード室2で生成
した電解イオン水の貯槽で、循環ポンプ13により電解
槽1のカソード室2へ循環供給する構成となっている。
そして貯槽12内の電解イオン水が目的のpHと酸化還元
電位に達したら、バルブ14を開いて電解イオン水を採
水するものである。
【0006】しかしながら前記特開平11−12338
1号公報に記載された従来の構成では、アノード室4お
よび中間室3に電解質を含む水溶液を連続的に供給し続
けなければならず、実際に実用化しようとすると図10
に示した特開平11−179359号公報に記載されて
いるように、装置全体としては大型で複雑な構成とな
り、家庭やオフィスなどに設置して、手軽に使用するイ
メージとはほど遠いものであった。
【0007】また流水式においても簡単な構成の例とし
て特開平10−472号公報に記載されているようなも
のがあった。この電解水生成装置は図11に示すよう
に、水道水や井戸水等の原水を通水する電解槽21の内
部に対向して電極板22、23設け、この電解槽21の
内部に塩水24をポンプ25によって添加する構成とな
っている。
【0008】なお、26は隔膜、27は原水給水路、2
8は第1排水管、29は第2排水管、30は正逆電圧切
替器、31は直流電源である。
【0009】この構成において、原水給水路27から原
水を電解槽21内に流しながら、電解質である塩水(N
aCl)を陽極22近傍に添加することで、原水の電気
抵抗を低くして電気分解時の電圧を低下させて電気分解
を効率よく安定化させる作用と、電気分解の陽極22反
応により塩水の塩素イオンから塩素ガスが生成され、こ
の塩素ガスが原水に溶解することによって除菌力を有す
る次亜塩素酸(HClO)を効率よく生成するよう作用
をする。
【0010】しかし特開平10−472号公報は、原水
の流量に比例して食塩の添加量を調整しなければ、原水
の塩分濃度が変化し安定した電解水生成ができない。そ
のために原水の流量調整や食塩の添加量制御など高度の
制御が必要となってしまう。
【0011】また、隔膜近傍は主に原水が流れるため塩
水の濃度は高くならず、塩水のナトリウムイオンが陰極
23側へ移動しにくい構成となっている。これは陰極水
のpHを上げたり、ナトリウムイオン濃度を高めるように
は作用しにくい。したがって、この陰極水を洗浄水とし
て利用するには適さない構成となっていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
課題を解決するもので、洗浄力に優れた安全な電解水
と、この電解水を生成し、家庭やオフィスなどに簡単に
設置して使用可能な電解水生成装置を提供することを目
的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、本発明の電解水生成装置は、陽極と陰極と
の間にイオン透過性の隔膜が配置され、この隔膜によっ
て陽極室と陰極室とが形成された電解槽と、少なくとも
前記陽極室に電解質を供給する電解質供給手段と、前記
陽極と陰極に電圧を印加して被電解水を電解する制御手
段とを備え、電気分解したとき、前記陰極室に生成され
る電解水がpH11.5〜12.5でかつ塩素イオン濃度
が50〜2000ppmのアルカリ水を生成するよう構成
としたものである。
【0014】上記発明によれば、被電解水を電解したと
き、陽極室の電解質が電解により、イオン透過性の隔膜
を介してナトリウムイオンやカリウムイオンなどの陽イ
オンが主に陰極室に移行し、塩素イオンなどの陰イオン
は陽極室に移行する。そして、前記陰極室にpH11.5
〜12.5でかつ塩素イオン濃度が50〜2000ppm
ののアルカリ性の電解水が生成される。このようにして
生成された電解水は、油脂の鹸化や乳化作用および蛋白
質に対する加水分解作用を有し、家具や住宅建材表面な
どの洗浄水として利用できる洗浄力に優れ安全な電解水
である。
【0015】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の発明は、電気分
解により生成される電解水がpH11.5〜12.5でか
つ塩素イオン濃度が50〜2000ppmのアルカリ水で
ある。これは、アルカリ水のpHが11.5以上になると
油脂の鹸化や乳化作用および蛋白質に対する加水分解作
用が顕著になるとともにOH−イオンによる汚れへの浸
透作用や剥離作用が強まり洗浄力に優れた水となる。ま
た、pH12.5以下のレベルであれば皮膚や粘膜に刺激
を与えることがないので安全である。さらに、前記の剥
離作用を阻害すると考えられる塩素イオンを実使用レベ
ルで低く抑えることで安定した洗浄力が容易に得られ
る。
【0016】請求項2に記載の発明は、電気分解により
生成される電解水がpH11.5〜12.5でかつナトリ
ウムイオン濃度が150〜700ppmのアルカリ水であ
ることにより、前記の油脂の鹸化や乳化作用および蛋白
質に対する加水分解作用が強いといわれるナトリウムイ
オンを適度に加えることで洗浄力がさらに向上する。
【0017】請求項3に記載の発明は、電気分解により
生成される電解水がpH11.5〜12.5でかつナトリ
ウムイオンまたはカリウムイオン濃度と塩素イオン濃度
との比率が0.5以上のアルカリ水であることにより、
洗浄力向上要因であるナトリウムイオンまたはカリウム
イオンと洗浄力阻害要因である塩素イオンの構成比には
0.5を超えるところから洗浄力が充分に発揮される。
【0018】請求項4に記載の発明は、請求項3記載の
電解水の塩素イオン濃度が2000ppm以下とすること
により、前記の剥離作用を阻害すると考えられ流られる
塩素イオンを低く抑え、洗浄力向上要因であるナトリウ
ムイオンまたはカリウムイオンの構成比を0.5より多
くすることでより安定で高い洗浄力が得られる。
【0019】請求項5に記載の発明は、請求項3記載の
電解水のナトリウムイオンまたはカリウムイオン濃度が
150〜700ppmすることにより、油脂の鹸化や乳化
作用および蛋白質に対する加水分解作用が強いと考えら
れるナトリウムイオンやカリウムイオンを適度に設定
し、塩素イオンの構成比を低く抑えることでより安定で
高い洗浄力が得られる。
【0020】請求項6に記載の発明の電解水生成装置
は、陽極と陰極との間にイオン透過性の隔膜が配置さ
れ、この隔膜によって陽極室と陰極室とが形成された電
解槽と、少なくとも前記陽極室に電解質を供給する電解
質供給手段と、前記陽極と陰極に電圧を印加して被電解
水を電解する制御手段とを備え、請求項1〜5のいずれ
か1項に記載の電解水を生成するものである。
【0021】上記請求項6の発明によれば、陽極室内に
供給される被電解水に電解質が供給されるので、陽/陰
極間に電圧が印可されると電解質に含まれるイオンは電
気吸引力により電極と逆極性のイオンが隔膜を通過して
移動することとなる。したがって陽極室に導入された例
えばナトリウムイオンやカリウムイオンなどの陽イオン
は隔膜を経て陰極室へと即座に移動する。また塩素イオ
ンなどの陰イオンは陽極に吸引されるため陰極室への移
動は最小限にとどまる。そして請求項1から5で説明し
たように、このような電解水は洗浄力の優れたものであ
る。
【0022】また、電解質を陽極室の被電解水内に供給
して電気分解する構成としたので、陽極と隔膜の間に流
れる電解質濃度は電解開始直後が最も濃く、被電解水と
電解質の混合が進む電解の終盤は均一化され薄くなる。
この電解質の電解作用は、例えば電解質に食塩などの塩
素化合物を用いた場合は、塩素イオンの陽極反応により
塩素ガスが発生し、食塩の濃度が高いほど多くの塩素ガ
スが発生する。そして塩素ガスは、電解水のpHが高いと
電解水に溶け込んで次亜塩素酸の状態で維持され外気に
塩素ガスを放散しにくいが、pHが下がってくると塩素ガ
スとしてそのまま外気に放散し始める。本発明によれば
陽極室内の電解水はpHが徐々に低下するが、pHの高い状
態の電解初期段階の電解質は高濃度で電解し、pHが下が
るにしたがって電解質濃度は混合されて低下するため、
電解中の塩素ガス等の有害ガスの発生が抑制できる。
【0023】請求項7に記載の発明の電解水生成装置
は、請求項6に記載の電解質供給手段が、陽極室で電解
するのに適した濃度より高い濃度の電解質を収納する電
解質タンクと、前記高濃度の電解質を陽極室に供給する
供給手段より構成している。
【0024】そして、供給手段によって電解質タンクの
電解質が、少なくとも陽極室の被電解水に供給されるの
で、手作業によって食塩水などを作製する必要がなく、
電解質濃度も安定するので所望のpH値やイオン濃度の電
解生成水が精度良く得られる。
【0025】請求項8に記載の発明の電解水生成装置
は、請求項6または7に記載の電解質が、ナトリウムま
たはカリウムを含有する電解質としている。
【0026】そして、ナトリウムイオンまたはカリウム
イオンの拡散によってイオン濃度を均一にするように作
用し、陽極、陰極間に電流が流れやすくなり、短時間に
効率的にpH値の高いアルカリ水が得られる。実験によれ
ば陽極室に電解質(NaCl)を添加し500CCの水
を1.5Aで10分間電解することで陰極室にpH12で
ナトリウムイオン濃度500ppmのアルカリ水が得られ
た。このpH値の高いアルカリ水は油脂の鹸化や乳化作用
および蛋白質に対する加水分解作用を有し、家具や住宅
建材、電気製品などの表面の汚れを落とす洗浄力が高
く、手など皮膚についても安全な洗浄水として利用でき
る。
【0027】請求項9に記載の発明の電解水生成装置
は、請求項6〜8のいずれか1項に記載の隔膜を、陽イ
オン交換膜としている。
【0028】そして、隔膜を陽イオン交換膜とすること
で、ナトリウムイオンやカリウムイオンなどの陽イオン
を陽極室から陰極室へ移動させ、塩素イオンなどの陰イ
オンが陰極室に移動することを防ぐことができるためよ
り効率的に請求項1〜5に記載の電解水を得ることがで
きる。
【0029】請求項10に記載の発明の電解水生成装置
は、請求項6〜9のいずれか1項に記載の構成に電解槽
内の電解質濃度を検出する電解質検知手段を設け、前記
電解質検知手段の検出値に応じて電解条件を制御するも
のである。そして、電解質濃度が検出できるので、電解
質供給手段の故障や電解質の供給不足が検知できる。ま
た電解槽内の被電解水が不足している場合にも同電解質
検知手段が被電解水との接触状態の変化という形で捉え
られる。そこで異常を検知した場合は電解を中止させた
り、電解質濃度の大小によって電解時間や電解電流を調
整することで安定した電解水を生成することができる。
【0030】請求項11に記載の発明の電解水生成装置
は、請求項10に記載の電解質検知手段の検出値が所定
値に達するまで電解質を供給するようにするもので、電
解質供給手段の供給量のバラツキを防止でき、毎回一定
の電解水を生成することができる。
【0031】請求項12に記載の発明の電解水生成装置
は、請求項10または11に記載の電解質検知手段の検
出値が所定範囲内の場合に電解可能とするもので、この
検出値が所定範囲から外れた場合は何か異常があると判
断して電解を中止し、所定範囲内であれば電解を行うよ
うにできる。したがって生成する電解水は所定範囲内の
安定したものとなる。
【0032】請求項13に記載の発明の電解水生成装置
は、請求項10〜12のいずれか1項に記載の電解質検
知が、陽極と陰極間の電位または電流によりを検出する
ものである。この電極間の電位または電流は被電解水の
導電率と相関があり、電解質濃度と導電率にも相関があ
る。したがって電極間の電位または電流から電解質濃度
を容易に検出することができるので、電極と電解質検知
手段が兼ねられ構成が簡単になる。
【0033】
【実施例】以下本発明の実施例について、図面を参照し
ながら説明する。
【0034】(実施例1)図1は本発明の実施例1にお
ける電解水生成装置の構成図を示す。図2は本発明の第
1の実施例における制御手段の操作パネルを示す。図3
は本発明の第1の実施例における制御動作のタイムチャ
ートを示す。図4は本発明の第1の実施例における電解
水生成装置の外観図を示す。
【0035】この実施例は電解水としてアルカリ水を採
取し、洗浄水として用いた場合を示す。最初に図1を中
心に説明する。同図において、50は上端の給水口51
を電解槽蓋52により閉じると密閉状態となる電解槽で
あり、イオン透過性の隔膜53によって陽極室54と陰
極室55が形成されており、各々陽極56および陰極5
7が隔膜53を介して対向は位置されている。電解槽5
0の下方には陽極水出口58と陰極水出口59が設けら
れ、陰極室55の中水位部60には電解した陰極水を取
り出す取出口61が設けられている。
【0036】電解槽50の上方の給水口51部には陽極
室54から発生する有害ガスである塩素ガスを溶解処理
する液体保持手段62が備えられており、この液体保持
手段62は微細空隙を有するよう構成され、内部の空隙
に液体を浸透させて保持させている。ここでの液体と
は、電解槽50に供給する被電解水は水道水や地下水で
あり以降、原水と記す。
【0037】電解槽50から発生するガスは液体保持手
段62を通過して排気口63から排気する。
【0038】この間に酸素や水素ガスなど原水に溶解し
にくいガスは排気口63から排出され、塩素ガスは液体
保持手段62に含まれる原水に接触し溶解する。液体保
持手段62の上面に原水を溜める凹状の溜まり部64
と、底部には液体保持手段62の底が原水に浸ることが
できる液溜まり部65を設けている。
【0039】液体保持手段62は、耐塩素ガス素材であ
るポリエチレンを連続発泡の多孔体に成型したスポンジ
で構成している。
【0040】電解槽50への給水は使用者が電解槽蓋5
2を上方へ開き原水を注ぐ、このとき原水はいったん液
体保持手段62の上面に広がった後、陽極室54側に入
る。そして、陽極室54が満水になり溢れ出した原水が
陰極室55に注がれる構成となっている。
【0041】なお、電解槽50は装置本体の外側から内
部を目視確認できるように少なくとも一部が透明または
半透明の容器としている。ここでは電解槽50を透明の
アクリルで成型し、電解槽50の側壁を外側に臨ませる
構成としている。これにより、電解槽50へ原水を給水
する際に水位が側面より確認できるため、使い勝手がよ
い。また、電解を長期間繰り返すと原水に含まれるスケ
ール成分が電極や隔膜さらに電解槽50の内壁面に析出
してくるため、これを定期的に洗浄する必要があるが、
そのためのスケール付着状況や洗浄状態が目視確認でき
るので、メンテナンスが容易になる。
【0042】66は着脱自在のキャップ67および電解
質床68を有する電解質タンクであり、ここでは電解質
として食塩69が充填されている。電解質タンク66に
は陽極室54に設けられた給水口70からパルスポンプ
にてなる供給手段71によって電解槽50に入れられた
原水が導入路72を経て電解質タンク66の上方に送ら
れる。導入された原水は食塩69を溶解して飽和食塩水
となり、電解質床68および給液路73を通じて電解質
供給口74から電解質溶液が陽極室54供給される構成
となっている。
【0043】陽極室54に供給される飽和食塩水は、原
水に対して比重が大きいため陽極室54の底部に沈んで
溜まる。この底に溜まった状態の高濃度の食塩水は電解
を開始すると、陽極56表面に発生する酸素や塩素ガス
が上昇する際の対流により陽極56と隔膜53の間に原
水と混合しながら誘引され、最終的には全てが混合され
た状態となる。
【0044】ここで、給液路73の電解質供給口74近
傍には陽極室54の原水の逆流を阻止する方向に逆止弁
75Aが設けられ、導入路72の電解質タンク66と供
給手段71の間に、電解質タンク66の食塩水が供給手
段71に逆流するのを防止する逆止弁75Bが設けられ
ている。また電解質供給口74は電解質タンク66の液
面76よりも上方位置に設けることにより、電解質タン
ク66内の飽和食塩水が落差により電解槽50に流出す
るのを防いでいる。さらに電解質供給口74と給水口7
0の配置高さは略同一にすることで、電解槽50の原水
がない場合でも電解質タンク66の出入口の落差をなく
し、電解質タンク66内の水の流出を防止している。ま
た、給水口70は陽極室54底部に溜まる高濃度の食塩
水の滞留部より充分に上方とすることで、給水手段71
に供給した食塩水が再び吸引されることがなので、食塩
による給水手段71の腐食や固着が防止できる。
【0045】なお、電解質タンク66は装置本体の外側
から内部を目視確認できるように少なくとも一部が透明
または半透明の容器としている。ここでは電解質タンク
66を透明のアクリルで成型し、電解質タンク66の側
壁を外側に臨ませる構成としている。これにより、電解
質タンク66内の食塩69の量が外部から確認できるた
め、食塩補給など使い勝手がよくなる。
【0046】陰極水取出口61の下流には吐出手段77
が設けられており、これを駆動することで吐出路78を
通じて陰極水が吐出口79から電解水容器80に取水さ
れる。
【0047】また陰極水出口59と陽極水出口58の下
流には、陰極水と陽極水を混合する混合手段81が設け
られている。この混合手段81は、排水路82を通じて
陽極水と陰極水の混合しながら排出する開閉弁83と、
この開閉弁83の排水を貯める混合槽84より成り、最
終的にこの混合槽84により陰極水と陽極水は完全に混
合される。
【0048】85は操作パネル86と制御回路87と逆
電手段88と直流電源89から成る制御手段である。
【0049】制御手段85は、電解水容器80の存在を
検知する容器検知手段90の信号が制御回路87に入力
され、容器検知手段90によって容器が吐出口79の対
向位置に存在する時のみ電解動作を行うように構成され
ている。
【0050】さらに、制御手段85は、電解槽50に所
定量の原水(被電解水)を入れ、所定電解質濃度になる
ようにパルスポンプ71で飽和食塩水を陽極室54に供
給した後、所定電流を陽極56と陰極57との間に流す
ように所定時間通電することによって、陰極室55で生
成される電解水をpH11.5〜12.5のアルカリ水に
すべく、前記所定時間通電後に自動的にその通電を停止
する構成である。
【0051】また、制御手段85は、陽極56と陰極6
7への通電を停止した後、自動的に吐出手段77である
ポンプを運転し、pH11.5〜12.5のアルカリ水を
陰極室55から電解水容器80に自動搬送して停止し、
表示ランプ100(図2)やチャイム、ブザーなどの生
成報知手段で報知する構成である。
【0052】さらに制御手段85は、直流電源89の電
圧を検知する電圧検知回路(図示せず)を有し、陽極室
54に添加された食塩の量をこの電圧値から求める電解
質検知手段87Aを有している。陽極室54に食塩が添
加されると陽極56と陰極57の間の導電率が添加量に
比例して上昇する。したがって、電極間に定電流を流す
と電位差として導電率が求まり、食塩の添加量を推定す
ることができる。
【0053】49は上記各構成要素を一体に収めて構成
する電解水生成装置本体で、図4に示すように電解水容
器80を本体49から取り外して、これに噴霧手段12
0を装着して、使用できるようにしている。なお、この
噴霧手段120は電解水容器80と一体に構成してもよ
い。このように一体に構成しているので、家庭やオフィ
スのどこにでも置けて、手軽に使用することができる。
【0054】上記構成において次に動作、作用について
説明する。
【0055】電解前に電解槽50の電解槽蓋52を開
け、所定水位まで原水を入れる。この時、液体保持手段
62に原水を注ぐことにり、液体保持手段62に原水が
浸透しながら電解槽50内に流れ込む。そして、所定水
位に達し原水の供給を止めても、液体保持手段62は上
面の溜り部64に溜まった原水が徐々に液体保持手段6
2の内部に浸透してゆく。また、液体保持手段62から
染み出してくる原水は、液溜り部65に溜り、液体保持
手段62を原水に浸す状態になるため、液体保持手段6
2は常に原水を保持できる。
【0056】次に電解動作について図3に基づいて説明
する。電源スイッチ102が投入されると、まずパルス
ポンプ71が所定時間tpだけ駆動され、陽極室54の
原水が導入路72、逆止弁75Bを経て電解質タンク6
6に送られる。電解質タンク66は水密状態に構成され
ており、原水が導入されることにより飽和状態の食塩水
が電解質床68、給液路73、逆止弁75Aを経て電解
質供給口74から陽極室54内に所定量供給される。飽
和食塩水は陽極室54内の原水より比重が大きいため陽
極室54底部に溜まり、底部に電解質滞留部を形成す
る。
【0057】次いで制御回路87が動作して陽極56と
陰極57間に電圧が印加されて電気分解が始まる。この
時直流電源89は定電流を供給し一定の電解水を生成で
きるようにしている。また逆電手段88は通常の極性で
電解運転されるように陽極56にはプラス極、陰極57
にはマイナス極になるよう設定されている。
【0058】ここで電気分解の開始直後の電極間の電圧
により電解質検知手段87Aが食塩の供給量を検知し
て、所定量より少ないと判定された場合は、パルスポン
プ71を再度所定時間駆動し、電解質検知手段87Aが
食塩の供給量が所定値に達するまでこれを繰り返す。し
かし、複数回(例えば5回)繰り返しても所定値に達し
なければ、食塩補給ランプ112を点灯させて電解を中
断する。これは電解質タンク66の食塩69が空になっ
ていたり、パルスポンプ71の故障が想定される場合に
発生する。
【0059】そして正常に電気分解が開始された場合
は、この極性ので所定時間teだけ電気分解される。電
解時の陽極室54では化式1に示した反応が生じて酸性
水が生成される。
【0060】このとき陽極56と陰極57の対向面では
通電にともなって、電解ガスが発生する。陽極56表面
では酸素と塩素ガスは発生し、このガスの上昇による対
流作用により陽極56と隔膜53の間に循環流が形成さ
れる。そして、この循環流の誘引作用により、陽極室5
4底部の電解質滞留部の高濃度食塩水が原水と混合しな
がら陽極56と隔膜53の間に流れ込む。したがって、
電解開始からしばらくの間に陽極室54全体の食塩濃度
より濃い食塩水が陽極56と隔膜53の間に流れ、電解
の効率を高めるように作用する。
【0061】(化式1) 2Cl-→Cl2↑+2e- Cl2+H2O→HCl+HClO 2H2O→O2↑+4H++4e- 一方、陰極室55では化式2に示した反応が生じて水酸
基OH−を中和するためNa+が隔膜21を通過して移
動し、アルカリ水が生成される。
【0062】(化式2) 2H2O+2e-→H2↑+2OH- Na++e-→Na 2Na+2H2O→2NaOH+H2↑ ここで、陽極室54の陽極56と隔膜53の間に高濃度
の食塩溶液が供給されるので短時間にpH11.5〜1
2.5の還元力の強いアルカリ水が得られる。すなわ
ち、陽極56と陰極57間に電圧が印可されると被電解
水に含まれるイオンは電気吸引力により陽/陰極56、
57と逆極性のイオンが隔膜53を通過して移動するこ
ととなる。したがって陽極室54に導入された食塩に含
まれるNaイオンは隔膜53を経て陰極室55へと即座
に移動する。この結果、短時間にpH値の高いアルカリ水
が得られる。実験によれば約500CCの水を1.5ア
ンペアで10分間電解することでpH12でナトリウムイ
オン濃度500ppmのアルカリ水が得られた。このナト
リウムイオン濃度の高いアルカリ水は油脂の鹸化や乳化
作用および蛋白質に対する加水分解作用を有し、家具や
住宅建材、電気製品などの表面の洗浄水として利用でき
る。
【0063】また陽極室54のみに食塩溶液が供給され
ることで陰極室55には塩素イオン濃度の低いアルカリ
水が生成される。塩素イオンは洗浄力を阻害する因子と
なるため、陽極室55のみに食塩溶液が供給することで
洗浄力の高いアルカリ水を生成できる。
【0064】陰極室55に生成されたアルカリ水は、所
定時間te電解された後、直ちに吐出手段77が予め設
定された時間to駆動されて、陰極水取出口61を経て
吐出路78を通じて吐出口79から電解水容器80に注
入される。そして中水位部60から上部のアルカリ水が
取り出される。これにより隔膜53を介しての酸性水と
アルカリ水の浸透混入が防止でき、pH値の劣化が防止で
きる。なお、電解水容器80には図4に示すように噴霧
手段120を装着して被洗浄面に直接スプレー噴霧して
使用することができる。
【0065】次いで制御回路87が逆電手段88を動作
させて陽極56と陰極57間に逆極性、つまり陽極56
側をマイナス極、陰極57側をプラス極とする逆電位を
印加して電解する。この逆電位で所定時間tr印加され
る。
【0066】この時陰極室55の中水位部60までの残
水と陽極室54の陽極水とで逆極性の電気分解が行わ
れ、陽極水のpHが上がり、陰極水のpHが下がる。すなわ
ち両者ともに中性に近づくことになる。
【0067】さらにこの逆電位の印加は、前回の電解に
よって陰極57の表面に析出したスケール成分が酸化さ
れて洗浄される。すなわち、原水には各種のイオンが含
まれており、特にカルシウムイオンやマグネシウムイオ
ンなどの陽イオンは陰極室55の水酸基と反応して水酸
化カルシウムや水酸化マグネシウムとなり、溶解限界を
越えると陰極57や隔膜53の表面に析出し、電解電流
の妨害因子となるが、この逆電運転を所定時間行うこと
で良好に洗浄されてスケール成分が分解され、電極の長
寿命化が実現できる。
【0068】そして逆電位での印加が終わった段階で、
開閉弁83を所定時間td開き、陽極水と陰極水を混合
槽84に排水させ混合する。この混合槽84に貯まった
混合水は使用者が混合槽84を本体49から取り出して
捨て、空の混合槽84を本体49に戻して一連の運転は
終了する。
【0069】上記のように本実施例の電解水生成装置
は、陽極56と陰極57との間にイオン透過性の隔膜5
3が配置され、この隔膜53によって陽極室54と陰極
室55とが形成された電解槽50と、陽極室54及び陰
極室55に被電解水を入れるとともに少なくとも陽極室
54に同陽極室54で電解するのに適した濃度より高い
濃度の電解質69を供給して、陽極室54内に供給した
高濃度の電解質69を同陽極室54の底部に溜めた状態
で、その一部を陽極室54内で循環させつつ被電解水と
混合させて電解したとき、陰極室54に生成される電解
水がpH11.5〜12.5のアルカリ水になった状態で
陽極56と陰極557との間への通電を停止する制御手
段85を備えた構成なので、被電解水を電解したとき、
陽極室54の底部に溜められ状態の電解質が電解に伴な
う陽極室54内の循環流により陽極56と隔膜53間に
誘引され、イオン透過性の隔膜53を介してナトリウム
イオンが主に陰極室に移行する。そして、前記陰極室5
5にナトリウムイオン濃度の高いpH11.5〜12.5
のアルカリ性の電解水が生成される。このようにして生
成されたpH11.5〜12.5の電解水は、油脂の鹸化
や乳化作用および蛋白質に対する加水分解作用を有し、
家具や住宅建材表面などの洗浄水として利用できる洗浄
力に優れ安全な電解水である。
【0070】なお図5に、本実施例の電解水生成装置で
生成した電解水の洗浄力評価試験を行った結果を示す。
なおこの試験における電解水は食塩供給量、電解時間、
電解電流を変更してpHを変化させた。この洗浄力評価試
験によると電解水のpHが11.5以上の場合において洗
浄力ありと実感できる結果で、pH11.2では不満足な
結果となった。ちなみにこの洗浄力評価試験方法は、市
販のタイルに油分を含む標準汚れを付着したテストピー
スに、電解水を所定量噴霧し、所定時間後にふき取り紙
の上に所定荷重を載せてスライドさせてふき取った後、
新品のタイルとふき取り後のタイルとの差を色差計で所
定ポイント測定して、定量評価する方法で洗浄率として
定量化するようにしたものである。洗浄率は100%で
新品のタイルの状態まで洗浄できたことを示し、0%で
はまったく汚れが落ちなかったことを示す。この一連の
試験は常温(15℃〜25℃)の条件で行った。
【0071】また(表1)に、本実施例の電解水生成装
置で生成した電解水の各安全性項目の確認試験を公的試
験機関にて行った結果を示す。
【0072】
【表1】
【0073】この安全性評価試験は、ウサギ・マウスを
使った試験で、○印は変化が認められなかったことを示
し、△印は軽微な刺激が認められたことを示す。なお、
−印の欄は試験を実施していない。この安全性評価試験
結果によると、pH12.5の電解水は試験による変化が
認められなかった。眼粘膜刺激性試験に関しては、pH1
2.8の電解水をウサギの眼に点眼し、角膜・虹彩およ
び結膜の変化を確認するという試験方法で軽微な変化あ
りという判定結果の報告を受けた。
【0074】上記の洗浄力評価試験および安全性評価試
験の結果から、pH11.5〜12.5のアルカリ性の電
解水については、洗浄力が優れ安全であるという結果を
確認できたが、pH11.5未満の電解水は洗浄力に優れ
ているとは言い難く、pH12.5を越えるの電解水は安
全であるとは言い難い。
【0075】次に上記と同様に食塩供給量と電解時間を
変更して生成した電解水のナトリウムイオン濃度の違い
による陰極水の洗浄性能を求めた。本実施例では陽極室
54に電解質69を入れて電解するので、陰極室55の
ナトリウムイオン濃度は食塩供給量、電解時間、電解電
流に比例して増加する。このナトリウムイオン濃度と洗
浄率の関係は図6に示すように、ナトリウムイオン濃度
が300ppm近傍にピークがあり、ナトリウムイオン濃
度が150ppm以下または700ppm以上では洗浄率が低
下して洗浄力に優れているとは言い難くなる。ナトリウ
ムイオンは油脂成分を加水分解してグリセリンや脂肪酸
など水に溶解しやすい成分に変えたり、脂肪酸と反応し
て脂肪酸石けんを生成するなど洗浄力を高める反応をす
る。したがってナトリウムイオンが低下すると洗浄力が
低下していまう。この洗浄率にピークができるのは電気
分解により陽極室54から陰極室55にナトリウムイオ
ンが移動する際に水も一緒に移動し洗浄阻害要因の塩素
イオンも一部移動するためと考えられる。このことから
ナトリウムイオン濃度が150ppmから700ppmの電解
水は洗浄力に優れていることが確認できた。また、ナト
リウムイオン濃度が高すぎると家具や床などの素材を傷
める可能性がある点からも好ましくない。なお、ここで
は陰極水のpH値は11.5から12.5に調整してお
り、ナトリウムイオン濃度が150ppmから700ppmの
範囲内でもpH値が11.5を切る電解水では洗浄力が低
いことを実験的に確認している。
【0076】なお、本実施例では電解質として食塩を用
いたが、これを塩化カリウムに代えても同様の効果が得
られる。すなわちナトリウムイオンの代わりにカリウム
イオンが同様の洗浄作用をする。
【0077】次に、食塩供給量と電解時間を変更して生
成した電解水の塩素イオン濃度との違いによる陰極水の
洗浄性能について説明する。電気分解によって陽極室5
4から陰極室55へ塩素イオンも移動することは記した
が、陰極室55にも食塩を供給する場合も含めて塩素イ
オン濃度と洗浄率の関係の実験結果を図7に示す。ここ
での陰極水のpH値は12.0から12.2である。図の
ように陰極水の塩素イオン濃度が2000ppmを超える
と洗浄率が低下して洗浄力に優れているとは言い難くな
る。ただし、水道水などの一般に使用される原水には数
ppmの塩素イオンが最初から含まれている。また陽極室
だけに食塩を添加してpH11.5以上の陰極水を得よう
としても多少の塩素イオン陰極水に混入するため、50
ppmレベルの塩素イオンは避けられない。しかも塩素イ
オン濃度をあえて50ppm以下にしようとすると、原水
の導電率が低下し消費電力うが上がったり、原水にイオ
ン交換水を使用したり、また電解水を脱塩素処理をする
など不具合が発生する。そして当発明者の実験でもpH値
が11.5以上であれば塩素イオンを50ppm以下にし
ても洗浄力に優位差がないことが分かった。したがって
pH値が11.5から12.5でかつ塩素イオン濃度が5
0ppmから2000ppmの電解水は洗浄力に優れているこ
とが確認できた。この塩素イオンの洗浄への阻害メカニ
ズムは解明していないが、ナトリウムイオンの加水分解
作用や鹸化作用を阻害するのではないかと考えられる。
したがって電解質である食塩は陽極室54にだけ添加
し、陰極室55への添加量は極力少ない方がよいことが
分かった。
【0078】なお、本実施例の陽極室54だけに食塩を
添加して電解した場合の、陰極水の塩素イオン濃度は5
00ppm以下となっており、より高い洗浄性能が得られ
た。
【0079】次に、陽極室54への食塩供給量と陰極室
55への食塩供給量と電解時間を変更して生成した電解
水の、ナトリウムイオン濃度に対する塩素イオン濃度の
比率の違いによる陰極水の洗浄力について説明する。ナ
トリウムイオン濃度に対する塩素イオン濃度の比率(以
後イオン比と呼ぶ)」と洗浄率の関係を図8に示す。こ
こでの陰極水のpH値は12.0から12.2である。図
のようにイオン比が0.5以下では急激に洗浄率が低下
して洗浄力に優れているとは言い難くなる。このことか
らpH値は11.5から12.5でかつイオン比0.5以
上の電解水は洗浄力に優れていることが確認できた。な
お、このイオン比は洗浄力が更に高くなる1.0以上が
望ましい。
【0080】上記結果からpH11.5〜12.5でかつ
塩素イオン濃度が2000ppm以下で、イオン比が0.
5以上の陰極水は、各要因が複合的に作用してより洗浄
力が優れているといえる。また、pH11.5〜12.5
でかつナトリウムイオン濃度が150〜700ppmで、
イオン比が0.5以上の陰極水の洗浄力も同様に優れて
いるといえる。
【0081】また、イオン透過性の隔膜53は陽極室5
4から陰極室55にナトリウムイオンやカリウムイオン
などの陽イオンを透過し、塩素イオンなどの陰イオンの
透過を抑制する陽イオン交換膜が洗浄力に優れた電解水
を生成するのに優れている。
【0082】また電解質69を、ナトリウムまたはカリ
ウムを含有する電解質とすることより、ナトリウムイオ
ンまたはカリウムイオンの移動によって陽極56と陰極
57の間のイオン濃度を高くするように作用し、陽極5
6、陰極57間に電流が流れやすくなり、短時間に効率
的にpH値の高いアルカリ水が得られる。このpH値の高い
アルカリ水は洗浄力が高く、手など皮膚についても安全
な洗浄水として利用できる。特に電解質69を食塩とす
ることにより、一般の人が入手しやすく家庭でもオフィ
スでも使用しやすくできる。
【0083】
【発明の効果】以上のように、請求項1〜5の電解水お
よび6〜13の電解水生成装置によれば、簡単で小型な
構成で家庭やオフィスなどに簡単に設置して使用でき、
洗浄力の優れた安全な電解水、およびその電解水生成装
置を提供するできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における電解水生成装置の構
成図
【図2】同実施例1における操作パネルの構成図
【図3】同実施例1における制御動作のタイムチャート
【図4】同実施例1における電解水生成装置の外観図
【図5】同実施例1における電解水のpHと洗浄力の関係
【図6】同実施例1における電解水のナトリウムイオン
濃度と洗浄力の関係図
【図7】同実施例1における電解水の塩素イオン濃度と
洗浄力の関係図
【図8】同実施例1における電解水の塩素イオン濃度に
対するナトリウムイオン濃度の比率と洗浄力の関係図
【図9】従来の電解水生成装置の構成図
【図10】従来の電解水生成装置の概観図
【図11】他の従来の電解水生成装置の構成図
【符号の説明】
50 電解槽 53 隔膜 54 陽極室 55 陰極室 56 陽極 57 陰極 66 電解質タンク 69 電解質(食塩) 71 供給手段(パルスポンプ) 85 制御手段 87A 電解質検出手段
フロントページの続き (72)発明者 桶田 岳見 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 岡 浩二 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 中村 一繁 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4D061 DA03 DB07 DB08 EA02 EB02 EB05 EB13 EB19 EB37 EB38 EB39 ED13 GA06 GA21 GA30 GB07 GB18 GC06 GC15 GC18

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気分解により生成される電解水がpH1
    1.5〜12.5で、かつ塩素イオン濃度が50〜20
    00ppmのアルカリ水である電解水。
  2. 【請求項2】 電気分解により生成される電解水がpH1
    1.5〜12.5で、かつナトリウムイオン濃度が15
    0〜700ppmのアルカリ水である電解水。
  3. 【請求項3】 電気分解により生成される電解水がpH1
    1.5〜12.5で、かつナトリウムイオンまたはカリ
    ウムイオン濃度と塩素イオン濃度との比率が0.5以上
    のアルカリ水である電解水。
  4. 【請求項4】 塩素イオン濃度が2000ppm以下のア
    ルカリ水である請求項3記載の電解水。
  5. 【請求項5】 ナトリウムイオンまたはカリウムイオン
    濃度が150〜700ppmのアルカリ水である請求項3
    記載の電解水。
  6. 【請求項6】 陽極と陰極との間にイオン透過性の隔膜
    が配置され、この隔膜によって陽極室と陰極室とが形成
    された電解槽と、少なくとも前記陽極室に電解質を供給
    する電解質供給手段と、前記陽極と陰極に電圧を印加し
    て被電解水を電解する制御手段とを備え、請求項1〜5
    のいずれか1項に記載の電解水を生成する電解水生成装
    置。
  7. 【請求項7】 電解質供給手段は、陽極室で電解するの
    に適した濃度より高い濃度の電解質を収納する電解質タ
    ンクと、前記高濃度の電解質を陽極室に供給する供給手
    段より成る請求項6項に記載の電解水生成装置。
  8. 【請求項8】 電解質は、ナトリウムまたはカリウムを
    含有する電解質とした請求項6または7項に記載の電解
    水生成装置。
  9. 【請求項9】 隔膜は、陽イオン交換膜とした請求項6
    〜8のいずれか1項に記載の電解水生成装置。
  10. 【請求項10】 電解槽内の電解質濃度を検出する電解
    質検知手段を有し、前記電解質検知手段の検出値に応じ
    て電解条件を制御する請求項6〜9のいずれか1項に記
    載の電解水生成装置。
  11. 【請求項11】 電解質検知手段の検出値が所定値に達
    するまで電解質を供給する請求項10に記載の電解水生
    成装置。
  12. 【請求項12】 電解質検知手段の検出値が所定範囲内
    の場合に電解可能とする請求項10または11に記載の
    電解水生成装置。
  13. 【請求項13】 電解質検知手段は、陽極と陰極間の電
    位または電流によりを検出する請求項10〜12のいず
    れか1項に記載の電解水生成装置。
JP2001255682A 2001-08-27 2001-08-27 電解水および電解水生成装置 Pending JP2003062568A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001255682A JP2003062568A (ja) 2001-08-27 2001-08-27 電解水および電解水生成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001255682A JP2003062568A (ja) 2001-08-27 2001-08-27 電解水および電解水生成装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003062568A true JP2003062568A (ja) 2003-03-04

Family

ID=19083611

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001255682A Pending JP2003062568A (ja) 2001-08-27 2001-08-27 電解水および電解水生成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003062568A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009072659A (ja) * 2007-09-19 2009-04-09 Honda Motor Co Ltd 電解水生成方法及び装置
JP2017058035A (ja) * 2015-09-14 2017-03-23 株式会社東芝 熱交換器散水システム、熱交換器散水方法
CN108344772A (zh) * 2017-12-29 2018-07-31 宁波欧琳厨具有限公司 一种净化水槽电解片检测的方法及系统
CN113802146A (zh) * 2021-10-14 2021-12-17 中国华能集团清洁能源技术研究院有限公司 一种电解槽隔膜完整性在线测试系统及使用方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009072659A (ja) * 2007-09-19 2009-04-09 Honda Motor Co Ltd 電解水生成方法及び装置
JP4696276B2 (ja) * 2007-09-19 2011-06-08 本田技研工業株式会社 電解水生成方法及び装置
US8419926B2 (en) * 2007-09-19 2013-04-16 Honda Motor Co., Ltd. Electrolyzed water producing method and apparatus
JP2017058035A (ja) * 2015-09-14 2017-03-23 株式会社東芝 熱交換器散水システム、熱交換器散水方法
CN108344772A (zh) * 2017-12-29 2018-07-31 宁波欧琳厨具有限公司 一种净化水槽电解片检测的方法及系统
CN108344772B (zh) * 2017-12-29 2023-07-11 宁波欧琳科技股份有限公司 一种净化水槽电解片检测的方法及系统
CN113802146A (zh) * 2021-10-14 2021-12-17 中国华能集团清洁能源技术研究院有限公司 一种电解槽隔膜完整性在线测试系统及使用方法
CN113802146B (zh) * 2021-10-14 2024-03-26 中国华能集团清洁能源技术研究院有限公司 一种电解槽隔膜完整性在线测试系统及使用方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100433856B1 (ko) 전해수(電解水) 및 전해수 생성장치
KR20080101623A (ko) 전기분해조의 자동 세척장치
JP2003062569A (ja) 電解水生成装置
JP2004223310A (ja) 電解水生成装置
JP2003062568A (ja) 電解水および電解水生成装置
JP3356169B2 (ja) 電解水生成装置
JP4543515B2 (ja) バッチ式電解水生成装置
JP4543516B2 (ja) バッチ式電解水生成装置
JP2003038409A (ja) 電解水生成装置を備えた食器洗浄機
JP2004223309A (ja) 電解水生成装置
JP4085724B2 (ja) バッチ式電解水生成装置
JP2004223306A (ja) 電解水生成装置
JP3804519B2 (ja) 電解水生成装置
JP2003265400A (ja) 食器洗浄装置
JP2002316160A (ja) 電解水生成装置
JP2005319427A (ja) アルカリ水生成装置
JP2002320969A (ja) 電解水生成装置
JP3804521B2 (ja) 電解水生成装置
JP2002316157A (ja) 電解水生成装置
JP2002192153A (ja) 電解水生成装置
JP2002219459A (ja) 電解水生成装置
JP2002192156A (ja) 電解水生成装置
JP2002018438A (ja) 電解水生成装置
JP2003062570A (ja) 電解水生成装置
JP2003236547A (ja) 電解水生成装置