JP2005319427A - アルカリ水生成装置 - Google Patents

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Abstract


【課題】 pH促進剤などの添加物を用いないでpH12.8以上のアルカリ水を得る。【解決手段】 電解槽5の陰極5b側から排出されるアルカリ水を貯水する貯水タンク7、貯水タンク7から既に一旦生成されたアルカリ水を陰極5bに戻す循環管8及びポンプ8A、貯水タンク7からアルカリ水を戻すときに原水の供給を停止するための弁2B、弁2Bの開閉とポンプ8Aのオン・オフを制御する制御部10を備えた。
【効果】 pH促進剤を使用せずに確実かつ効率よくpHが12以上のアルカリ水を得ることができる。また、pH12.8以上のアルカリ水は、使用時や使用後に薬品や溶剤を混合しなくても優れた脱脂効果と共に防錆効果をも発揮する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、pH促進剤などの添加物を用いないでpHが12.8以上のアルカリ水を生成する装置に関するものである。
例えばpHが10〜pH12のアルカリ水を使用すれば、多量のマイナスイオンが汚れや物質の表面をプラスイオン化する分子間引力現象、微量の酵素による触媒作用により汚れの隙間や物質の表面まで水を行き渡らせる毛細管現象促進効果、マイナスイオン同士の反発作用により物質から汚れを引き離す剥離現象促進効果によって、油分の洗浄除去が行える。
しかし、pHが10〜12のアルカリ水は、下記特許文献1〜3のような例えば図4に示す構成のアルカリ水生成装置101により製造するしか方法がなかった。図4において102は、原水(純水)を後述する電解槽105へ供給する原水供給管で、電解槽105の陽極側と陰極側に分岐されている。
103は、例えば塩化ナトリウム(NaCl)などpH促進剤を貯蔵したpH促進剤貯蔵部で、このpH促進剤貯蔵部103から電解槽105の陽極側に分岐した原水供給管102にpH促進剤を供給するpH促進剤供給管104を接続している。このpH促進剤供給管104は、その途中箇所にポンプ104Aを接続している。
105は、陽極105a及び陰極105b並びに該陽極105aと該陰極105bとの間でイオン交換を行う隔膜105cを備えた電解槽で、この電解槽105で生成された酸性水、アルカリ水は、各々排出管106から排出される。排出管106は、酸性水排出管106aが電解槽105の陽極側出口に、アルカリ水排出管106bが電解槽105の陰極側出口に、各々接続されている。
107は電解槽105に直流電圧を供給する直流電源、108は直流電源107及びポンプ104Aを駆動制御するための制御部である。
上記構成のアルカリ水生成装置101によりpH10〜pH12のアルカリ水は次のように生成される。連続的に原水供給管102から電解槽105の陽極側と陰極側とに純水が供給される。
このとき、pH促進剤貯蔵部103のpH促進剤がポンプ104Aによって、電解槽105の陽極側に分岐した原水供給管102にpH促進剤供給管104を介して供給される。そして電解槽105で電気分解が行われ、陽極側より酸性水が酸性水排出管106aを介して排出され、陰極側よりpH10〜12のアルカリ水がアルカリ水排出管106bを介して排出される。
すなわち、従来、図4に示した下記特許文献1〜3のアルカリイオン水生成装置においては、塩素化合物などのpH促進剤を添加することなく、12.8以上のpHのアルカリ水を得る構成とはされていなかった。
特開2003−225667 特開2003−103261 特開2001−191079
従来の生成装置を用いて得られた、pH促進剤を添加することによって生成されたpH10〜12のアルカリ水を用いて金属部品や金属製品の脱脂・防錆を行うと、却って耐食性が悪くなり、水素よりイオン化傾向の高い鉄、亜鉛、アルミニウムなどの酸化を助長して錆を発生させることになる。
本発明が解決しようとする問題点は、pHが12.8以上のアルカリ水を得るためには塩素化合物を添加していたので、環境面、衛生面、安全面、管理面に問題があるという点である。
本発明のアルカリ水生成装置は、アルカリ水を電解槽の陰極側へ戻し、電解槽の陰極側への水道水の供給に代えて貯水タンクのアルカリ水を循環させる構成とした。
本発明に係るアルカリ水生成装置では、電解槽の陰極側から排出されるアルカリ水を繰り返し循環させることにより時間と共にpH値を上昇させるので、pH促進剤を使用しなくともpHが12.8以上のアルカリ水を得ることができる。
従って、本発明のアルカリ水生成装置によって得たpH12.8以上のアルカリ水は、薬品や溶剤等、何らの添加物をも混合していないので、優れた洗浄力や防錆効果等を安定して発揮しつつ、環境に優しく、高い安全性を得ることができる。
本発明に係るアルカリ水生成装置の形態の一例を図1〜図3を用いて説明する。図1はアルカリ水生成装置を、図2は生成手順を、図3は他の装置構成を、各々示す。
1は、本発明に係るアルカリ水生成装置(以下、生成装置と記す)であり、次の構成とされる。2は、通常の水道管に接続されて例えば途中から分岐された原水供給管である。
3は、原水供給管2の分岐箇所の上流に接続された軟水器で、この軟水器3は、水道水のCaをNaに変換する。この軟水器3を設けることにより、全体の配管や後述する電解槽5にCaスケールが付着することを防止することができる。
4は、分岐前の原水供給管2における軟水器3の例えば下流に設けたフィルターで、このフィルター4は、素材として例えば不織布を用いており、水道水中のごみや赤錆を除去する。
軟水器3とフィルター4とを設けてこれらを定期的に清掃、点検すれば、生成装置1全体の保守・点検の手間を大幅に削減でき、長期に亘ってアルカリ水と酸性水を安定して生成することができる。
原水供給管2は、本形態ではフィルター4の下流において2方向に分岐させている。分岐させた一方の原水供給管2aは後述する電解槽5の陽極5a側に、他方の原水供給管2bは陰極5b側に、各々接続される。そして、それぞれの電解槽5に至る途中箇所に、独立して開閉される弁2Aと弁2Bが設けられている。
5は、陽極5aと陰極5bとが対向配置され、これら陽極5aと陰極5bとの間にイオン透過性の隔膜5cが設けられた電解槽で、供給された水を電気分解するものである。
6は、電解槽5における原水供給管2aと原水供給管2bが接続された側と反対側、すなわち下流出口に接続された排出管である。排出管6において、陽極5a側には酸性水排出管6aが、陰極5b側にはアルカリ水排出管6bが、各々接続されている。
本例では、これら酸性水排出管6a、アルカリ水排出管6bの各々の途中箇所に、それぞれ流量可変弁6A,6Bを設けている。これら流量可変弁6A,6Bを設けた場合は、電解槽5内の原水やアルカリ水の滞留時間(電解時間)を調整することができるので、より効率のよい電気分解が行える。
ちなみに、流量可変弁6A,6Bによって、これらを設けないときより酸性水、アルカリ水の排出量が少なくなるように閉じ気味に設定しておけば、それぞれの排出量が少なくなる。このように設定することで、酸性水のpHは低く、アルカリ水のpHは高く、することができ、pH12.8以上のアルカリ水をより短時間で得ることができる。
7は、アルカリ水排出管6bの下流端が接続された貯水タンクで、ここに貯水されたアルカリ水を再度電解槽5の陰極5b側へ戻したり、生成済みのアルカリ水を貯水するためのものである。
貯水タンク7には、その下部に取出口7aが設けられている。生成装置1は、生成済みのアルカリ水がアルカリ水排出管6bからではなく、貯水タンク7の取出口7aから取り出される。
さらに、貯水タンク7内には、貯水量が所定量になるとその旨検知する貯水量検知器としてのフロートスイッチ7bが設けられている。また、貯水タンク7内の下部には、pH測定器7cが設けられている。
フロートスイッチ7bを設けることで後述する制御部10によって弁2Bの開閉や後述するポンプ8Aの作動オン・オフの制御を行うことができる。pH測定器7cを設けることで、pH12.8以上のアルカリ水を確実に得ることができ、また、後述する制御部10による全体の駆動を効率よく制御することができる。
8は、貯水タンク7に貯められたアルカリ水を再度電解槽5の陰極5b側に送るための循環管である。この循環管8は、原水供給管2bにおける弁2Bと電解槽5との間に接続される。さらに、循環管8の途中には、貯水タンク7からアルカリ水を汲み上げて電解槽5の陰極5b側に送るポンプ8Aが設けられている。
ポンプ8Aは、例えば図1及び図2に示す構成の場合、電解槽5の陽極5aに供給される原水の量と1:1となるように貯水タンク7のアルカリ水を供給できる能力のものを採用している。
なお、ポンプ8Aとして汲み上げ量(能力)を調整できるものを採用すれば、陽極5a側への供給量に応じた流量のアルカリ水を陰極5bに供給することができる。従って陽極5aへ供給される原水と陰極5bへ供給されるアルカリ水とのバランスを取ることができるから、効率よく電気分解を促進させることができる。
9は、電解槽5の陽極5aと陰極5bに直流電圧を出力するための直流電源であり、通常の交流電源に接続されている。この直流電源9には、マイナス極に電流検出器9aを接続している。電流検出器9は後述する制御部10に接続されている。
電流検出器9aを設けて検出値を制御部10に出力することで、原水となる水道水の水質や水温で変動する電解槽5における抵抗値に応じて直流電源9の出力を安定させることができる。すなわち、このようにすることで、水道水の水質に拘わらず、単位時間当たりのアルカリ水を一定量得ることが可能となる。
また、直流電源9の両極には、極性反転器9bが接続されている。この極性反転器9bは、後述する制御部10によって運転時の極性を反転させるものである。すなわち電解槽5は、運転時間に伴って陰極5bや該電解槽5内にCaやMgといったスケールが累積的に付着する。このスケールは、酸性水で溶解して除去することができる。
従って、運転していないときに、定期的に極性反転器9bによって電解槽5の極性を反転させることで、容易に電解槽5内を清掃することができ、常に安定してアルカリ水を得ることができるようになる。
10は、フロートスイッチ7b及びpH測定器7cに基づいて弁2A,2Bのそれぞれの開閉とポンプ8Aのオン・オフとを各々制御し、電流検出器9aに基づいて直流電源9の出力を制御する制御部である。なお、もちろん制御部10は、与えられた設定や入力条件に対して生成装置1全体を制御する。
制御部10によって生成装置1は、以下のように制御される。制御部10は、弁2A,2Bを開き、ポンプ8Aを停止し、電解槽5へ通電した状態で、原水供給管2より電解槽5へ原水を供給する。そして、本例の場合、流量可変弁6A,6Bを設けているので、電解槽5での電気分解の時間を想定した該流量可変弁6A,6Bの開閉量を予め設定しておく。
電解槽5にて原水が電気分解された後、電解槽5の陽極5a側から酸性水が酸性水排出管6aを介して排出され、陰極5b側からアルカリ水がアルカリ水排出管6bを介して貯水タンク7に排出される。
貯水タンク7の取出口7aは未だ閉じられていると共にポンプ8Aは未だ停止したままとなっている。つまり、既に一旦生成されたアルカリ水は貯水タンク7に所定量だけ貯水されるのである。
貯水タンク7に所定量のアルカリ水が貯水され、フロートスイッチ7bでその水位が所定高さとなったことを検知したとき、制御部10は、弁2Bを閉じ、ポンプ8Aを作動させる。ポンプ8Aは、上記したように原水が供給されていたときと同じ流量を供給するようにアルカリ水を汲み上げる。
このときに、陽極5a側への流量とに大きな差が生じて電解槽5の電解効率が悪いような場合は、汲み上げ能力が変更できるポンプ8Aを採用すればよい。
この制御により貯水タンク7内のアルカリ水の循環が開始され、pH測定器7cによる検出pH値が12.8以上となるまでアルカリ水の循環運転を続ける。フロートスイッチ7bでその水位が所定高さとなったことを検知して制御部10が弁2Bを閉じ、ポンプ8Aを作動させた場合も、電解槽5の陽極5a側には引き続き原水が供給され、陰極側5b側には貯水タンク7からアルカリ水が供給される。
そして、電解槽5を通過した酸性水は酸性水排出管6aから排出され続ける。一方、電解槽5を通過したアルカリ水はアルカリ水排出管6bを介して貯水タンク7に戻され、循環を続ける。
貯水タンク7内のアルカリ水の循環を繰り返し、pH測定器7cによって貯水タンク7内のアルカリ水がpH12.8以上を測定したとき、制御部10は弁2A,2Bを閉じ、ポンプ8Aを停止し、運転を停止する。その後、取出口7aよりpH12.8以上のアルカリ水を取り出す。
以上の1回の運転動作の後、あるいは所定時間の運転の後や所定回数の運転の後、制御部10において極性反転器9bを作動させて電解槽5の極性を反転させて、電解槽5の清掃を行う。この清掃時には、一旦、弁2A,2Bを開いて電解槽5へ水道水を供給し、極性を反転させた状態で電解槽5へ通電する。
このとき、陰極5b(いまこの説明に限り+極5bと記す)側に酸性水が生成される。この酸性水は貯水タンク7に貯水される。さらに、フロートスイッチ7bで所定量貯水されたときに酸性水が再度+極5bに戻され、清掃時には酸性水が循環する。
このように極性反転器9bを備えれば、運転時に+極5bや貯水タンク7に付着したスケールを除去するといった清掃を容易に行うことができ、清掃を行っておくことで、運転時には安定してpH12.8以上のアルカリ水を効率よく得ることができる。
なお、図1及び図2に示した電解槽5に代えて、例えば図3に示す電解槽50とその周辺の構成を採用してもよい。すなわち、図3に示す電解槽50は、図1及び図2に示した電解槽5より効率よくアルカリ水を生成するように構成している。
図3に示す電解槽50は、筐体50A,50Bの2槽構成とされる。以下、筐体50A側を代表して説明すると、筐体50A内には、陽極5aa,5ab及び陰極5ba,5bbが交互に配設される。陽極5aaと陰極5ba、陰極5baと陽極5ab、陽極5abと陰極5bb、のそれぞれの間には隔膜5cが各々配設される。
すなわち、電解槽50は、筐体50A,50Bにおける壁面の陽極5aa、陰極5bbの間に隔膜5cで区画された陽極5ab、陰極5bbが設けられていることになる。
そして、原水供給管2a,2bは、図1及び図2に示された弁2A,2Bの下流でさらにそれぞれ2方向に分岐されている。原水供給管2aは、筐体50A,50Bの各々において隔膜5cで区画された陽極5aa,5abに向かって分岐して接続されている。一方、原水供給管2bは、筐体50A,50Bの各々において隔膜5cで区画された陰極5ba,5bbに向かって分岐して接続されている。
図1及び図2に示される弁2A,2Bの下流で2方向に分岐した途中箇所には、流量可変弁2Aa,2Ab(陽極側)、流量可変弁2Ba,2Bb(陰極側)を設ける。流量可変弁2Ba,2Bb(陰極側)は、循環管8の接続箇所より下流に設けられる。そして、流量可変弁2Aa,2Ab、流量可変弁2Ba,2Bbは制御部10で各々が開閉調整される。
酸性水排出管6aは、筐体50A,50Bのそれぞれの陽極5aa,5ab側に接続され、電解槽50の下流側で集合され、本例では集合箇所の下流に流量可変弁6Aが接続されている。アルカリ水排出管6bは、筐体50A,5Bのそれぞれの陰極5ba,5bb側に接続され、電解槽50の下流側で集合され、本例では集合箇所の下流に流量可変弁6Bが接続されている。
流量可変弁2Aa,2Ab、流量可変弁2Ba,2Bbは制御部10で次のように制御される。原水供給量が一定で、かつポンプ8Aの汲み上げ能力が一定であるときは、運転時にアルカリ水が供給され始めるまでは、予め分かっている配管経路の流量のばらつきに基づいて流量可変弁2Aaに対して流量可変弁2Baを、流量可変弁2Abに対して2Bbを、それぞれ調整しておく。
その後、運転時にアルカリ水が供給され始めたときに(ポンプ8Aが作動したときに)、予め分かっているポンプ8Aの汲み上げ能力、陽極側への原水供給量、配管経路の流量のばらつきに基づいて、流量可変弁2Aaに対して流量可変弁2Baを、流量可変弁2Abに対して2Bbを、それぞれ調整する。
このように、電解槽を多槽化しその1槽内において電極を多層化することで、効率よく電気分解が行える。また、流量可変弁2Aa,2Ab,2Ba,2Bbを設けることで、配管経路の流量のばらつきを抑えて陽極側と陰極側への供給量のバランスを取ることができるからさらに効率よく電気分解が行える。
また、流量可変弁2Aa,2Ab,2Ba,2Bbを水量センサ付きの比例弁にすることで、流量を制御部10によりさらに精度よく制御することができる。なお、このように構成したときには、水量センサ付きの比例弁によって検知された水量が制御部10に入力され、検知に基づいて適量の流量となるように常に比例弁を該制御部10が開閉調整することができる。
以下、本発明に係るアルカリ水生成装置の実施例を説明する。
(第1実施例)
第1実施例は上記図1及び図2に示した構成の生成装置1において、フロートスイッチ7b、pH測定器7c、電流検出器9a、極性反転器9b、流量可変弁6A,6Bを省略した。第1実施例の場合、制御部10は、生成装置1全体を時間で制御する。
第1実施例の条件は、次の通りである。貯水量45リットルの貯水タンク7を用い、チタン合金に0.3mmの白金焼成メッキを施した陽極5a及び陰極5bを各々1枚有した、電解する能力が毎分3リットルの電解槽5を用いた。そして毎分3リットルの原水(初期pH7)を供給した。ポンプ8Aは、陽極側への原水供給量と1:1となる流量のアルカリ水を一定的に汲み上げるものを採用した。
制御部10による制御は次の通りである。上記の原水供給量と、電解槽5の電解能力と、貯水タンク7の貯水量と、に基づいて、原水供給開始から35分に弁2Bを閉じると共にポンプ8Aを作動させて原水供給開始から95分後に運転を停止する設定にした。
状況は次の通りであった。循環開始直後(原水供給開始から35分)における貯水タンク7内のアルカリ水のpHは11程度であった。循環開始から60分後(原水供給開始から95分)に貯水タンク7内のアルカリ水のpHは12.8以上となった。
そして、原水開始から95分後、つまり運転が停止されたときには貯水タンク7内のアルカリ水のpHは12.8以上となった。このように第1実施例では、時間のみによって、95分で約200リットルの原水(水道水)からpH12.8のアルカリ水を45リットル得た。
また、第1実施例において、軟水器3、フィルター4を設けることで、生成装置1の運転時においては水道水のCaがNaに変換され、かつ不純物が除去されたことにより容易にアルカリ水を得ることができた。また、運転後においては清掃が容易となり、運転に伴う電解能力の低下を防止することができた。
さらに、第1実施例時に省略した流量可変弁6A,6Bを設けて、これらを第1実施例のときよりも排出量が少なくなるように閉じ気味に調整しておいた場合、該第1実施例の結果と較べて、同時間で生成量は若干少ないが、pHの高いアルカリ水を得ることができた。なお、これら流量可変弁6A,6Bを設けたことによる効果は、以下の第2〜第4実施例においても同様であったため、以下第2〜第4実施例での記載は省略する。
また、汲み上げ能力が変更可能なポンプ8Aを採用した場合は、循環時に、電解槽5内の陽極5a側の原水、陰極5b側のアルカリ水の供給量のバランスがより確実になったので、上記の第1実施例の結果と較べて、全体時間のうちの早い時間においてpH12.8以上のアルカリ水を生成することができた。なお、汲み上げ能力が変更可能なポンプ8Aを採用した場合の効果は、以下の第2〜第4実施例においても同様であったため、以下第2〜第4実施例での記載は省略する。ちなみに第4実施例においては、汲み上げ能力が変更できなくても流量可変弁2Ba,2Bbによって調整すればよい。
(第2実施例)
第2実施例は上記第1実施例の生成装置1の構成において、フロートスイッチ7b及びpH測定器7cを加えた。第2実施例の場合、フロートスイッチ7b及びpH測定器7cによって弁2A,2B及びポンプ8Aなど生成装置1全体が制御される。
第2実施例の条件は、第1実施例と同じなので省略する。制御部10の制御は次の通りである。原水供給開始からフロートスイッチ7bが所定高さに上昇するまで弁2A,2Bを開き、ポンプ8Aをオフにしておく。フロートスイッチ7bが所定高さまで上昇し、かつpH測定器7cがpH12.8未満を測定しているならば、弁2Bを閉じ、ポンプ8Aをオンにする。
なお、上記でフロートスイッチ7bが所定高さまで上昇し、かつpH測定器7cがpH12.8以上を測定したならば、運転を停止する。一方、弁2Bを閉じ、ポンプ8Aをオンにした状態でアルカリ水の循環させ続け、pH測定器7cがpH12.8以上となったときに運転を停止する。
状況は次の通りである。原水供給開始からフロートスイッチ7bが所定高さに上昇したとき、pH測定器7cによる貯水タンク7内のアルカリ水のpHは11であった。よって弁2Bを閉じ、ポンプ8Aをオンにしてアルカリ水の循環が開始された。循環開始から50分後(原水供給開始から85分)でpH測定器7cによる貯水タンク7内のアルカリ水のpHは12.8以上となったので運転が停止された。
第2実施例の結果は、原水は85分で約200リットル要し、生成されたアルカリ水は45リットルであった。そして生成されたアルカリ水のpHは12.8以上であった。このように第2実施例は、フロートスイッチ7bとpH測定器7cとを併せて設けることで、原水供給量や電解槽5の電解能力から時間に基づいて制御する必要がなくなる。従って、必要な量の必要なpHのアルカリ水を、無駄な時間を要することなく効率よく得ることができる。
なお、第2実施例の構成において、フロートスイッチ7bとpH測定器7cのうちいずれか一方を設けた場合は、次のように制御される。例えばフロートスイッチ7bのみを設けた場合は、貯水タンク7が満水になったことを検知する点で時間の制御を要しないが、アルカリ水の循環の点については時間で制御される。一方、pH測定器7cのみ設けた場合は、アルカリ水の循環の点は時間の制御を要しないが、循環前に貯水タンク7が満水になったことを検知する点については時間で制御される。
もちろん、フロートスイッチ7bとpH測定器7cのうちいずれか一方を設けた場合であっても、どちらか一方の時間制御に依存しないから、全てを時間で制御していた第1実施例に較べれば効率化が図れらるのは言うまでもない。
(第3実施例)
第3実施例は上記第2実施例の生成装置1の構成において、さらに電流検出器9a及び極性反転器9bを加えた。第3実施例の場合、電流検出器9aの検知結果に基づいて直流電源9の出力を制御するようにした。
第3実施例の条件は、第1実施例と同じなので省略する。制御部10の制御は次の通りである。電流検出器9aの出力を受けて制御部10は運転中は常に電解槽5への電流が一定となるように直流電源9の出力を制御する。その他の制御は第2実施例と同じなので省略する。
状況は次の通りである。原水供給開始からフロートスイッチ7bが所定高さに上昇したとき、pH測定器7cによる貯水タンク7内のアルカリ水のpHは11であった。よって弁2Bを閉じ、ポンプ8Aをオンにしてアルカリ水の循環が開始された。循環開始から50分後(原水供給開始から85分)でpH測定器7cによる貯水タンク7内のアルカリ水のpHは12.8以上となったので運転が停止された。
第3実施例の結果は、原水は85分で約200リットル要し、生成されたアルカリ水は45リットルであった。そして生成されたアルカリ水のpHは12.8以上であった。このように第3実施例は、電流検出器9aを設けることで、電解槽5の電解能力が一定に保たれるから時間に伴う電解能力の低下を抑制できた。この結果、第2実施例よりも短時間でpH12.8以上のアルカリ水を得ることができた。
また、第3実施例は、電流検出器9aを設けていることで、原水(水道水)の水質や水温などに左右されることなく安定して、しかも短時間で効率良くpH12.8以上のアルカリ水を得ることができる。もちろん、電流検出器9aは第1実施例構成に設けてもよい。そのときには、設定時間後にはより高いpH値のアルカリ水を得ることができる。
さらに、第3実施例では、極性反転器9bを設けていることで、生成装置1による実験の終了毎に電解槽5の極性を反転して清掃を行うことができた。この清掃により、生成装置1を初期状態に戻して運転を繰り返すことができた。つまり、運転を繰り返すうちに次第に電解能力が低下することを回避できるから、運転後に清掃を行っておけば、常に効率よくpH12以上のアルカリ水を生成することができる。
(第4実施例)
第4実施例は上記第3実施例の生成装置1の構成において、電解槽5周辺の構成に代えて図3に示す電解槽50周辺の構成を採用した。第3実施例の場合、制御部10が、ポンプ8Aの作動開始前と開始後とにおいて、流量可変弁2Aa,2Ba、流量可変弁2Ab,2Bbを、原水供給量が陽極側と陰極側とで一定になるように制御する。
第4実施例の条件において、第1実施例と異なる点は、チタン合金に0.3mmの白金焼成メッキを施した陽極5aa,5ab及び陰極5ba,5bbを各々2枚有した筐体50A,50Bからなる電解槽50を用いることで、アルカリ水へ電解する能力が毎分10リットルとなっている点である。
制御部10の制御は次の通りである。アルカリ水の循環前(ポンプ8Aの作動前)は、流量可変弁2Aa,2Ba、流量可変弁2Ab,2Bbの開き具合はそれまでの原水供給時に予め設定された所定状態とされる。そして、アルカリ水の循環後(ポンプ8Aの作動後)は、さらにポンプ8Aの能力を考慮して予め設定された所定状態、すなわち流量可変弁2Aa,2Ab(陽極側)を若干閉じるか、あるいは流量可変弁2Ba,2Bb(陰極側)を開くかといったように開き具合を変更する。その他の制御は第3実施例と同じなので省略する。
状況は次の通りである。原水供給開始からフロートスイッチ7bが所定高さに上昇したとき、pH測定器7cによる貯水タンク7内のアルカリ水のpHは11であった。よって弁2Bを閉じ、ポンプ8Aをオンにしてアルカリ水の循環が開始された。循環開始から40分後(原水供給開始から75分)でpH測定器7cによる貯水タンク7内のアルカリ水のpHは12.8となったので運転が停止された。
第4実施例の結果は、原水は75分で約120リットル要し、生成されたアルカリ水は45リットルであった。そして生成されたアルカリ水のpHは12.8以上であった。このように第4実施例は、電解槽50を採用したので電解能力が向上し、また、流量可変弁2Aa,2Ab,2Ba,2Bbを設けたことで、陽極と陰極への流量が安定するので電解能力も安定させることができた。この結果、第3実施例よりも短時間でpH12.8以上のアルカリ水を得ることができた。
なお、第4実施例において、流量可変弁2Aa,2Ab,2Ba,2Bbを水量センサ付きの比例弁にすることで、流量を制御部10により常に制御することができるから、精度よく制御することができることは言うまでもない。
また、電解槽50、及び流量可変弁2Aa,2Ab,2Ba,2Bb、並びに流量可変弁2Aa,2Ab,2Ba,2Bbを水量センサ付きの比例弁にする構成を、第1実施例〜第3実施例のいずれかに採用すれば、各々の実施例よりさらによい作用効果を得られることは言うまでもない。
本発明に係るアルカリ水生成装置は、上記実施例では原水としては水道水を使用したが、硬水や、純水、等を用いてもよく、その場合、生成時間の長短の差があったとしてもpH促進剤を添加することなく確実にpH12.8以上のアルカリ水を生成することができる。
また、制御部10に、例えば入力と表示が行えるいわゆるタッチパネルを接続すれば、各種の設定入力が容易で、かつ状態が確実に把握することができる。なお、本発明に係るアルカリ水生成装置によって得られたアルカリ水は、脱脂や防錆のみならず消臭や除菌にしても好適で、何らの物質も添加していないから、人間への皮膚接触、吸引、飲食に際しても特段の問題とならない。
本発明に係るアルカリ水生成装置を概略構成を示すブロック図である。 本発明に係るアルカリ水生成装置によるアルカリ水生成の手順を示し、(a)は貯水タンクへアルカリ水を貯水する状態、(b)は貯水タンクからアルカリ水を循環させる状態、を各々示す図である。 本発明に係るアルカリ水生成装置の電解槽周辺の他の構成例を示す図である。 従来のアルカリ水生成装置の概略構成を示すブロック図である。
符号の説明
1 (アルカリ水)生成装置
2 原水供給管
2a 原水供給管(陽極側)
2b 原水供給管(陰極側)
2A 弁(陽極側)
2Aa 流量可変弁
2Ab 流量可変弁
2B 弁(陰極側)
2Ba 流量可変弁
2Bb 流量可変弁
5 電解槽
5a 陽極
5aa 陽極
5ab 陽極
5b 陰極
5ba 陰極
5bb 陰極
5c 隔膜
6a 酸性水排出管
6b アルカリ水排出管
6A 流量可変弁
6B 流量可変弁
7 貯水タンク
7a 取出口
7b フロートスイッチ
7c pH測定器
8 循環管
8A ポンプ
9 直流電源
9a 電流検出器
9b 極性反転器
10 制御部
50 電解槽

Claims (5)

  1. 陽極と陰極との間に隔膜が設けられた電解槽と、この電解槽の前記陽極側と陰極側に原水を供給する原水供給管及びその途中にそれぞれ設けられた弁と、電解槽の陽極側出口と陰極側出口に各々接続された酸性水排出管及びアルカリ水排出管と、このアルカリ水排出管に接続された貯水タンクと、この貯水タンクに貯められたアルカリ水を前記電解槽の陰極側に送る循環管及びこの循環管の途中に設けられたポンプと、前記電解槽の陽極及び陰極に直流電圧を供給する直流電源と、前記弁の開閉と前記ポンプのオン・オフを制御する制御部とを備えたことを特徴とするアルカリ水生成装置。
  2. 前記貯水タンクに、該貯水タンク内のアルカリ水の貯水量を検知する貯水量検知器、該貯水タンク内のアルカリ水のpHを測定するpH測定器、のいずれか一方又は両方を備えたことを特徴とする請求項1記載のアルカリ水生成装置。
  3. 前記直流電源に、電流検出器を接続したことを特徴とする請求項1又は2記載のアルカリ水生成装置。
  4. 原水供給管における循環管の接続箇所の下流位置で電解槽の上流位置に、流量を変更可能な弁を少なくとも陰極側に接続したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアルカリ水生成装置。
  5. 直流電源に、出力される電極の極性を反転させる極性反転器を接続したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアルカリ水生成装置。
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