JP2003095780A - 粒状苦土肥料とその製造方法 - Google Patents
粒状苦土肥料とその製造方法Info
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Abstract
多く、かつ高硬度であって粉化し難い一方、土壌中や水
中での崩壊性に優れる粒状苦土肥料を提供する。 【解決手段】 水酸化マグネシウムと軽焼マグネシアの
混合物に硫酸を加え、軽焼マグネシアと硫酸の反応によ
って生じた硫酸マグネシウムをバインダーとして造粒す
ることにより、ク溶性苦土成分55wt%以上、および水
溶性苦土成分3wt%以上を含む粒状苦土肥料を得る。
Description
水溶性苦土成分の含有量が多く、かつ高硬度であって粉
化し難く、しかも土壌に施肥した際には崩壊性の良い粒
状苦土肥料とその製造方法に関する。
容易であるため広く利用されており、機械的強度が大き
くて粉化し難く、しかも土壌中や水中では容易に崩壊し
て肥効を高める粒状肥料が求められている。苦土肥料に
ついても同様であり、軽焼マグネシアに水を加えて造粒
する際に塩化ナトリウム等の金属塩を添加して造粒体の
硬度を高めた粒状苦土肥料(特開平9−188587号
公報)や、水酸化マグネシウムにバインダーとして硫酸
マグネシウム溶液を予め添加し、さらに水を加えて造粒
した粒状水酸化苦土肥料(特開平11−343187号
公報)などが従来知られている。
アを水で造粒したものは、軽焼マグネシアが水と極めて
反応し易く水酸化物を生じて凝結固化するため、塩化ナ
トリウム等を添加しても十分に反応を調整するのは難し
く、水中等での崩壊性が著しく低下した造粒体になる。
一方、水酸化マグネシウムに硫酸マグネシウム溶液を予
め添加し、これに水を加えて造粒しても硫酸マグネシウ
ム水和物は必ずしも1〜6水塩にならないのでバインダ
ーの効果は向上しない。従って、造粒体の硬度は殆ど改
善されず、しかも水中崩壊性はむしろ低下する等の問題
がある。さらに、この方法では水溶性苦土成分を3wt%
以上含有する苦土肥料は得られない。
を解決したものであり、ク溶性苦土成分と水溶性苦土成
分の含有量が多く、かつ高硬度であって粉化し難く、し
かも土壌中や水中では崩壊性の良い粒状苦土肥料とその
製造方法を提供するものである。
(1)水酸化マグネシウムと軽焼マグネシアの混合物に
硫酸を加え、軽焼マグネシアと硫酸の反応によって生じ
た硫酸マグネシウムをバインダーとして造粒し、ク溶性
苦土成分55wt%以上、および水溶性苦土成分3wt%以
上を含むことを特徴とする粒状苦土肥料に関する。
ネシアと硫酸の反応によって生成した硫酸マグネシウム
および生成した水酸化マグネシウムをバインダーとして
造粒する粒状苦土肥料、(3)水酸化マグネシウム69
〜80wt%、軽焼マグネシア0〜10wt%、硫酸マグネ
シウム9.5〜20wt%を含む粒状苦土肥料、(4)硫
酸マグネシウムが1〜6水塩である粒状苦土肥料、
(5)全水酸化マグネシウム100重量部に対して硫酸
マグネシウムが11重量部以上である粒状苦土肥料、
(6)造粒体の硬度が3〜9kgであり、水中での崩壊率
が60〜100%である粒状苦土肥料を含む。
に軽焼マグネシアを混合し、この混合物に硫酸を加えて
軽焼マグネシアと反応させ、硫酸マグネシウムを生成さ
せ、あるいは硫酸マグネシウムと水酸化マグネシウムを
生成させて造粒することにより、ク溶性苦土成分55wt
%以上、および水溶性苦土成分3wt%以上を含む粒状苦
土肥料を製造することを特徴とする方法に関する。本製
造方法は、(8)水酸化マグネシウム100重量部に軽
焼マグネシア20〜30重量部を加え、この混合物を造
粒機に供給し、これに35〜50%濃度の硫酸22.6
〜42.4重量部を加えて反応させながら造粒する製造
方法を含む。
酸化マグネシウムに硫酸マグネシウム溶液を添加するの
ではなく、造粒時に水酸化マグネシウムと軽焼マグネシ
ア(MgO)の混合物に硫酸を加え、軽焼マグネシアと硫酸
の反応によって硫酸マグネシウムを生成させ、あるいは
硫酸マグネシウムと水酸化マグネシウムを生成させ、こ
の生成した硫酸マグネシウム等を利用して造粒したもの
であり、硫酸マグネシウム溶液を予め添加した従来のも
のよりも見掛比重が大きく高硬度である。しかも土壌中
や水中での崩壊性が良く、かつク溶性苦土成分および水
溶性苦土成分の含有量が高い粒状苦土肥料である。
て具体的に説明する。本発明の粒状苦土肥料は、水酸化
マグネシウムと軽焼マグネシアの混合物に硫酸を加え、
軽焼マグネシアと硫酸の反応によって生じた硫酸マグネ
シウム、あるいは硫酸マグネシウムと共に新たに生成し
た水酸化マグネシウムをバインダーとして造粒した粒状
苦土肥料であり、具体的には、水酸化マグネシウムに軽
焼マグネシアを混合し、造粒時に、この混合物に硫酸を
加えて軽焼マグネシアと反応させ、硫酸マグネシウムを
生成させて、あるいは硫酸マグネシウムと水酸化マグネ
シウムを生成させて造粒したものであり、ク溶性苦土成
分55wt%以上、および水溶性苦土成分3wt%以上を含
むものである。
合物に硫酸を加えると、軽焼マグネシア(MgO)と硫酸の
反応によって主に硫酸マグネシウム(MgSO4・nH2O、n=1
〜6)が生成し、硫酸の濃度に応じて新たに水酸化マグネ
シウムが生成する。本発明の粒状苦土肥料は水酸化マグ
ネシウムと軽焼マグネシアの混合物に造粒時に硫酸を加
え、生成した硫酸マグネシウムを主なバインダーとして
造粒を行う。また、新たに生じた水酸化マグネシウムを
利用して造粒体の硬度を高める。なお、最初の原料とし
て用いる水酸化マグネシウムは水分を加えても反応せ
ず、バインダー作用および硬化作用は示さないが、軽焼
マグネシウムと自由水との反応によって生じた水酸化マ
グネシウムは生成時に硬化作用を示すので、本発明はこ
れを造粒体の硬度向上に利用する。
6水塩が好ましく、2〜6水塩がより好ましい。7水塩
の硫酸マグネシウムにはバインダー作用が無く、良好な
造粒体を得ることができない。1〜6水塩の硫酸マグネ
シウムを生成させるには、造粒時の反応温度を50℃〜
75℃に制御するのが好ましい。反応温度が50℃より
低いと生成する硫酸マグネシウムが7水塩になる傾向が
強く、造粒体の硬度が発現しない。一方、反応温度が7
5℃より高いと、1水塩の硫酸マグネシウムが主に生成
し、砂状化しやすくなり、粒状製品の収率が低下するの
で75℃を超えないほうが好ましい。
硫酸マグネシウムと水酸化マグネシウムの量比が造粒体
の硬度および崩壊性に大きな影響を及ぼす。すなわち、
水酸化マグネシウムの生成量が多いと造粒体が凝結固化
し易くなり、良好な崩壊性を得るのが難しくなる。硫酸
の添加によって生成する硫酸マグネシウムと生成する水
酸化マグネシウムの量比〔Mg(OH)2/MgSO4〕は
1.45以下が好ましく、1.05以下がより好ましい。
なお、出発原料として最初から含まれる水酸化マグネシ
ウム量を勘案すると、全水酸化マグネシウム100重量
部に対して硫酸マグネシウムは11重量部以上、好まし
くは11.9重量部以上が適当であり、12.6重量部以
上がより好ましい。
シウムの生成を抑制するには、軽焼マグネシアと反応す
る過剰な水の存在を抑制すればよく、このためには35
%〜50%濃度の硫酸を用いるのが好ましい。硫酸濃度
が35%より低いと、過剰な水が多くなり、この水が軽
焼マグネシアと反応して多量の水酸化マグネシウムを生
じ、造粒体の凝結固化が著しくなり、水中での崩壊性が
大幅に低下する。硫酸マグネシウムの生成反応におい
て、硫酸の濃度が35%以上であれば自由水が少なく、
新たな水酸化マグネシウムの生成を抑えることができ
る。なお、硫酸濃度が50%より高いと、造粒体の硬度
や崩壊性には問題ないが、造粒体が小粒化し、製品の収
率が低下するので、35%〜50%濃度の硫酸が好まし
い。
には、出発原料(水酸化マグネシウムと軽焼マグネシア
の混合物)に含まれる軽焼マグネシア量に対して高濃度
の硫酸、好ましくは35〜50%濃度、より好ましくは
40〜50%濃度の硫酸を用い、水酸化マグネシウムの
新たな生成を抑制すると良い。
は、例えば、水酸化マグネシウム100重量部に軽焼マ
グネシア20〜30重量部を加えた混合物を粉砕機に入
れ、平均粒径10μm前後に粉砕した後に、造粒機に供
給し、これに35〜50%濃度の硫酸22.6〜42.4
重量部を加えて反応させながら造粒する。
硫酸マグネシウム溶液を予め添加するものとは異なり、
水酸化マグネシウムと軽焼マグネシアの混合物を出発原
料として用い、造粒時に硫酸を加え、水酸化マグネシウ
ムの生成を抑制しながら硫酸マグネシウム1〜6水塩を
生成させ、これをバインダーとして造粒するので、生成
した硫酸マグネシウムによって造粒体の粒子全体が均一
に結合され、高硬度でありながら、水中での崩壊性の良
い造粒体が得られる。因みに、本発明の造粒体は、硬度
が概ね3〜9kg、好ましくは5〜8kgであり、見掛比重
1.0〜1.1程度、水中での崩壊率は60〜100%、
好ましくは85〜100%である。
あらかじめ硫酸マグネシウムを配合するものではなく、
出発原料として軽焼マグネシアを混合して用いるので、
マグネシウム含有比の高い苦土肥料を得ることができ
る。具体的には、例えば、ク溶性苦土成分(主に水酸化
マグネシウムおよび軽焼マグネシア)55wt%以上であ
って水溶性苦土成分(主に硫酸マグネシウム)3wt%以
上、好ましくは、ク溶性苦土成分55.2〜58.5wt%
であって水溶性苦土成分3.2〜4.2wt%の苦土肥料を
得ることができる。
す。各試料(No.1〜No.6)について、表1に示す配合比
に従い、水酸化マグネシウムに軽焼マグネシアを加えて
粉砕した混合物を造粒機に供給し、これに硫酸を加えて
反応させながら造粒した。造粒効果を表1に示した。得
られた造粒体のク溶性および水溶性マグネシウムの含有
量等、硬度、水中崩壊率、見掛け比重を表2に示した。
また、その成分比等を表3に示した。なお、水中崩壊性
の試験は肥料品質保全協議会が定めた方法に従った。
度が30%と低いために、軽焼マグネシアと硫酸との反
応によって生じる硫酸マグネシウムが1〜6水塩となる
量よりも過剰な自由水が存在し、この過剰な水が軽焼マ
グネシアと反応して多量の水酸化マグネシウムを生成す
る。さらに過剰な水の存在によって粒径が必要以上に大
きくなり、このため造粒体の見掛け比重1.21、硬度
10kg以上になり、水中での崩壊性が極端に低下する。
1より高い濃度(35〜50%)の硫酸を用いた例であ
り、生成した硫酸マグネシウムは何れも6水塩である。
これらの試料No.2〜No.6は何れも造粒体の硬度は高い
が、水中での崩壊率は60〜100%であり、水中崩壊
性が良い。このうち試料No.3,4,5は生成した硫酸マ
グネシウムに対する水酸化マグネシウムの生成比〔生成
Mg(OH)2/生成MgSO4〕が0〜1.05と低く、造粒体の凝
結固化が抑制されているので、造粒体の水中での崩壊率
が85〜100%と高い。なお、試料No.5は硫酸によ
る自由水の持ち込みが殆どないので造粒時に水酸化マグ
ネシウムが生成しないが、造粒体の粒径は小粒化の傾向
を示している。試料No.6は他の試料よりも水酸化マグ
ネシウムに対する軽焼マグネシアの量比を多くした例
(軽焼マグネシアと硫酸の量比は他と同様)であり、硫
酸マグネシウムの生成量が多く、造粒体の硬度は適度で
あって水中崩壊率は100%である。また、これら試料
No.1〜6において、造粒体のク溶性苦土成分(表2中:
C-MgO)は何れも55wt%以上であり、水溶性苦土成分
(表2中:W-MgO)は何れも3wt%以上である。
ク溶性苦土成分と水溶性苦土成分の含有量が多く、かつ
高硬度であって粉化し難く、しかも土壌中や水中での崩
壊性に優れる。
Claims (8)
- 【請求項1】 水酸化マグネシウムと軽焼マグネシアの
混合物に硫酸を加え、軽焼マグネシアと硫酸の反応によ
って生じた硫酸マグネシウムをバインダーとして造粒
し、ク溶性苦土成分55wt%以上、および水溶性苦土成
分3wt%以上を含むことを特徴とする粒状苦土肥料。 - 【請求項2】 軽焼マグネシアと硫酸の反応によって生
成した硫酸マグネシウムおよび生成した水酸化マグネシ
ウムをバインダーとして造粒する請求項1の粒状苦土肥
料。 - 【請求項3】 水酸化マグネシウム69〜80wt%、軽
焼マグネシア0〜10wt%、硫酸マグネシウム9.5〜
20wt%を含む請求項1または2の粒状苦土肥料。 - 【請求項4】 硫酸マグネシウムが1〜6水塩である請
求項1、2または3の粒状苦土肥料。 - 【請求項5】 全水酸化マグネシウム100重量部に対
して硫酸マグネシウムが11重量部以上である請求項1
〜4のいずれかの粒状苦土肥料。 - 【請求項6】 造粒体の硬度が3〜9kgであり、水中で
の崩壊率が60〜100%である請求項1〜5の何れか
に記載する粒状苦土肥料。 - 【請求項7】 水酸化マグネシウムに軽焼マグネシアを
混合し、この混合物に硫酸を加えて軽焼マグネシアと反
応させ、硫酸マグネシウムを生成させ、あるいは硫酸マ
グネシウムと水酸化マグネシウムを生成させて造粒する
ことにより、ク溶性苦土成分55wt%以上、および水溶
性苦土成分3wt%以上を含む粒状苦土肥料を製造するこ
とを特徴とする方法。 - 【請求項8】 水酸化マグネシウム100重量部に軽焼
マグネシア20〜30重量部を加え、この混合物を造粒
機に供給し、これに35〜50%濃度の硫酸22.6〜
42.4重量部を加えて反応させながら造粒する請求項
7の製造方法。
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