JP2003081908A - アルカリ土類金属のβ−ジケトネート金属錯体の製造方法 - Google Patents

アルカリ土類金属のβ−ジケトネート金属錯体の製造方法

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Kazumitsu Abe
一允 安倍
Katsuji Miyata
勝治 宮田
Hitomi Nakano
ひとみ 中野
Hideto Okai
秀人 岡井
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】有機金属化学蒸着(MOCVD)法によってア
ルカリ土類金属を含む酸化物の薄層を形成する際の原料
として有用な、水和物の生成が抑制された高純度なアル
カリ土類金属β−ジケトネート錯体の製造方法に関す
る。 【解決手段】酸化ストロンチウムをアルコールと反応さ
せ、ストロンチウムアルコキシドを得る。得られたスト
ロンチウムアルコキシドとジピバロイルメタンを有機溶
媒中で反応させる。熱重量測定/示差熱分析(TG/D
TA)より、低温側(200℃以下)でのTG減量(不
純物蒸発量)が全くなく、ビス(ジピバロイルメタナ
ト)ストロンチウムのTG減量(キレート蒸発量)が1
00%を示す、水和物の生成が抑制された高純度のアル
カリ土類金属のβ−ジケトネート金属錯体を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機金属化学蒸着
(MOCVD)法によってアルカリ土類金属を含む酸化
物の薄層を形成する際の原料として有用なアルカリ土類
金属β−ジケトネート錯体の新規な製法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般式:MTiO3(MはBaおよび/ま
たはSr)で示されるぺロブスカイト型結晶構造を持つ
誘電体薄膜は、例えば、DRAMのキャパシタ膜などと
して使用されることが多くなっている。このような誘電
体薄膜はスパッタリング法、ゾル−ゲル法などの多様な
薄膜形成方法によって形成することができ、中でもMO
CVD法は、組成制御が容易であるので組成ずれが少な
く、しかもステップ・カバレッジ性(基体に段差がある
場合の被覆性)に優れているという特長があり、高性能
の誘電体薄膜の作製方法として有利である。
【0003】MOCVD法により一般式:MTiO
(MはBaおよび/またはSr)の誘電体薄膜を形成す
る場合、使用する蒸着原料のうち、Ti供給源として
は、テトライソプロポキシチタン等のチタンアルコキシ
ドを使用することができる。一方、M金属の供給源とし
てはBaおよびSrのアルコキシドは揮発性が低いた
め、ジピバロイルメタン[(CH)CCO−CH
−COC(CH)](以下ではdpmHと略記す
る)、ヘキサフルオロアセチルアセトン[CFCO−
CH −COCF]などのβ−ジケトンと金属Mとを
反応させたβ−ジケトネート金属錯体が使用されること
が多い。
【0004】アルカリ土類金属のβ−ジケトネート金属
錯体の製法として、従来いくつかの方法が知られてい
る。例えば、代表的な方法としては、塩化物などのアル
カリ土類金属ハロゲン化物、または、アルカリ土類金属
水酸化物とβ−ジケトンをアルコール−水混合溶液中で
反応させ、アンモニアや水酸化ナトリウム等の反応性塩
基性試薬を滴下して錯体を析出させる方法がある(Eu
gen W.Bergand Nicolas M.H
errera;Analytica Chimica
Acta,60(1972)117−125,Riki
ya Sato,Koji Takahashi,Ma
sao Yoshino,Hiroshi Kato
and Shigetoshi Ohshima; J
pn.J.Appl. Phys.,32(1993)
1590−1594)。このような製造方法によって得
られるβ−ジケトネート金属錯体は水和物の形で得られ
るものが多く、上記で得られた金属錯体は再結晶法、昇
華法、または蒸留法により、くり返し精製して、金属錯
体の純度の向上を図る必要がある。
【0005】加えて、上記方法によるβ−ジケトネート
金属錯体では、一般に空気中の水分や炭酸ガスの影響を
受けて分解しやすい。そのため、工程中での脱水が極め
て困難であり、水分の影響で純度の高い錯体ができない
という欠点があった。
【0006】それらの欠点を解決するために、例えば、
特開平5−9608には、金属単体とβ−ジケトンとを
直接もしくは、非水溶媒中で反応させることにより、β
−ジケトネート金属錯体水和物の形成を抑制する方法が
記述されている。しかしながら、この方法で用いる金属
BaまたはSrは、水分や二酸化炭素等と容易に反応
し、水酸化物や炭酸塩となるため、それらを遮断して貯
蔵ないし取り扱わなければならないという問題を有して
いる。また、金属BaまたはSrを出発物質とする場
合、それを得るための工程が多段階を経るため製造方法
も難しく、従って高価である。例えば、金属Baは、そ
の酸化物(BaO)をアルミニウム等によって加熱下に
還元することで製造され、この酸化物はBaの硝酸塩、
炭酸塩、酢酸塩等の化合物を熱分解することにより製造
されており、多段階の複雑な製造方法をとることにな
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、不純物たる
水和物の生成を抑制し、簡便で効率のよいアルカリ土類
金属のβ−ジケトネート金属錯体の製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、アルカリ
土類金属酸化物とアルコールとを反応させて得たアルカ
リ土類金属アルコキシドとβ−ジケトンとを反応させる
ことにより、不純物たる水和物の生成を抑制できる簡便
で効率のよい製造方法を見い出し、本発明を達成するこ
とができた。
【0009】本発明の実施の方法を以下に詳細に説明す
る。本発明は、まず、アルカリ土類金属酸化物とアルコ
ールからアルカリ土類金属アルコキシドを作り、次いで
β−ジケトンと反応させることによってアルカリ土類金
属のβ−ジケトネート金属錯体を製造する。
【0010】アルカリ土類金属アルコキシドの製造は、
アルカリ土類金属酸化物とアルコールを反応させて、ア
ルカリ土類金属アルコキシド溶液を得る反応工程と、必
要により、未反応のアルカリ土類金属酸化物、生成した
アルカリ土類金属水酸化物等を除去するろ過工程、該ろ
過工程より得られるろ液より、有機溶媒を除去すること
でアルカリ土類金属のアルコキシドを得る濃縮乾燥工程
よりなる。
【0011】本発明方法において、アルカリ土類金属ア
ルコキシド反応工程で原料として用いられるアルカリ土
類金属酸化物は、例えば、酸化バリウム、酸化ストロン
チウムが使用される。なお、必要に応じて、本発明方法
の目的及び効果を損なわない範囲で、アルカリ土類金属
酸化物のほかにアルカリ土類金属、アルカリ土類金属水
酸化物、アルカリ土類金属の塩酸塩、炭酸塩、酢酸塩な
どの塩類、及び、それらの混合物が存在しても良い。ア
ルコールとしては、炭素数が1〜4のアルコール、例え
ば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、また
はイソブタノールなどがあげられる。
【0012】アルカリ土類金属アルコキシド反応工程で
は、必要に応じて、一般的な有機溶媒が使用できる。好
ましくは、ベンゼン環を有する炭素数が6〜9の芳香族
炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエンまたはキシレン
などが使用できる。また、原料として用いるアルコール
を過剰に仕込み、溶媒として使用してもよい。
【0013】アルカリ土類金属アルコキシド反応工程
は、上述原料を加熱下に混合することで、実施される。
例えば、原料を仕込んだ後、20〜170℃で加熱撹拌
し、10〜120時間かけて、アルカリ土類金属酸化物
をアルコールと反応させる。
【0014】アルカリ土類金属アルコキシド反応工程に
おいて生成する水は、通常の脱水手段を用いて脱水除去
することができる。例えば、モレキュラーシーブのよう
な脱水剤を通して脱水するか、または、アルコール−芳
香族炭化水素−水の三成分共沸作用により脱水すること
ができる。しかしながら、本発明方法ではそれらの特別
な手段を講じなくても、アルコール1モルに対し、アル
カリ土類金属酸化物を1モル以上使用することで、アル
カリ土類金属酸化物と生成水を反応させることにより、
脱水することができる。その結果、生成したアルカリ土
類金属水酸化物等の不溶物はろ過等の操作で除去され
る。
【0015】次に、アルカリ土類金属のβ−ジケトネー
ト金属錯体の製造は、アルカリ土類金属アルコキシドと
β−ジケトンとを反応させてβ−ジケトネート金属錯体
溶液を得る反応工程と、該反応液より、有機溶媒を除去
することでアルカリ土類金属のβ−ジケトネート金属錯
体の結晶を得る濃縮乾燥工程とからなる。必要に応じ
て、該結晶を有機溶媒中で再結晶精製させるなどの精製
を行ない、さらに高純度なアルカリ土類金属のβ−ジケ
トネート金属錯体を製造してもよい。
【0016】β−ジケトネート金属錯体溶液を得る反応
に用いられるβ−ジケトンとしては、一般式(1)
【化1】 (式中、R、Rは同一又は異なる炭素数1から8ま
でのアルキル基もしくは、水素がフッ素に置換されたア
ルキル基を示す。)で表され、例えば、dpmH、ヘキ
サフルオロアセチルアセトンなどのβ−ジケトンを用い
る。
【0017】β−ジケトネート金属錯体溶液を得る反応
工程では、溶媒を使用しなくとも反応は進行するが、大
過剰のβ−ジケトンを必要とし、経済的でないため、有
機溶媒中で反応させることが好ましい。一般的な有機溶
媒が使用できるが、好ましくは、炭素数が5〜8の脂肪
族炭化水素、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n
−ヘプタンまたはオクタンなどか、あるいはベンゼン環
を有する炭素数が6〜9の芳香族炭化水素、例えば、ベ
ンゼン、トルエンまたはキシレンなどを用いる。これら
の有機溶媒は、脱水処理したものを用いることが好まし
い。
【0018】β−ジケトネート金属錯体溶液は、有機溶
媒中でアルカリ土類金属アルコキシドとβ−ジケトンと
を反応させて得ることができる。反応は通常20〜17
0℃に加温し、1〜50時間かけて行う。次いで、通
常、該反応液中の不溶不純物をろ過により除去後、該ろ
液より、有機溶媒を除去するか、あるいは、該ろ液を冷
却し、析出してきた結晶をろ取することでアルカリ土類
金属のβ−ジケトネート金属錯体の結晶を得る。
【0019】必要に応じて再結晶等の操作により、さら
に高純度化を図ることもできる。再結晶精製用有機溶媒
としては、一般的な有機溶媒が使用できるが、好ましく
は、炭素数が5〜8の脂肪族炭化水素、例えば、n−ペ
ンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンまたはオクタンな
どか、あるいはベンゼン環を有する炭素数が6〜9の芳
香族炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエンまたはキシ
レンなどを用いる。
【0020】アルカリ土類金属アルコキシド溶液を得る
反応工程、該反応工程で得られた反応溶液中に残存した
未反応のアルカリ土類金属酸化物もしくはアルカリ土類
金属水酸化物等の不純物を除去するろ過工程、アルカリ
土類金属のβ−ジケトネート金属錯体の溶液を得る反応
工程、該結晶の再結晶精製工程等では、例えば、窒素、
アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気下で行うこと
が好ましい。
【0021】本発明は、アルカリ土類金属酸化物より、
アルカリ土類金属アルコキシドを合成し、このアルカリ
土類金属アルコキシドとβ−ジケトンとを反応させて、
アルカリ土類金属のβ−ジケトネート金属錯体を合成さ
せることに特徴がある。つまり、アルカリ土類金属酸化
物を出発物質にすることにより不純物たる水和物の生成
が抑制されて有機金属錯体の高純度化が達成される。た
だし、必要に応じてアルカリ土類金属以外の金属成分等
が含まれてもよいことは言うまでもない。本発明方法
は、高価なアルカリ土類金属単体を原料として用いる方
法等に比べて、経済的である。本発明方法のようなアル
カリ土類金属酸化物を用いたアルカリ土類金属のβ−ジ
ケトネート金属錯体の製造方法は、知られていない。
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。しかし、本発明の範囲は、以下の実施例により
制限されるものではない。
【0023】
【実施例1】酸化ストロンチウム34gとエタノール1
0g、キシレン300mLとを反応器に投入して70〜
80℃で10時間、次いで、120〜140℃で40時
間攪拌して、反応させた。この反応液をろ別し、ろ液か
ら、キシレンとエタノールを減圧留去して、ストロンチ
ウムジエトキシドを得た。得られたストロンチウムジエ
トキシドをトルエン100ml中に懸濁させ、懸濁液中
にジピバロイルメタン39.9gを30〜35℃で滴下
した。室温で1時間撹拌した後、100〜120℃で1
時間加熱撹拌をおこなった。反応液を吸引ろ過後、ろ液
からトルエン及び未反応のジピバロイルメタンの減圧留
去をおこなった。減圧留去後に得られた結晶をn−ヘプ
タンで再結晶精製することで、水和物の生成が抑制され
た高純度であるビス(ジピバロイルメタナト)ストロン
チウム13.8gを得た。尚、すべての反応、ろ過、再
結晶精製工程は、アルゴンガス雰囲気下で行った。
【0024】このようにして得られたビス(ジピバロイ
ルメタナト)ストロンチウムについて、熱重量測定 (T
G)を行い、その結果を図1に示した。なお、測定は、
連続的に650℃まで昇温し、その過程において熱重量
測定を不活性ガス雰囲気下、常圧で行った。
【0025】本発明の実施例1によって作製されたビス
(ジピバロイルメタナト)ストロンチウムについてのT
Gの結果を見ると、図1からも分かるように、低温側
(200℃以下)でのTG減量(不純物蒸発量)は、全
くない。また、ビス(ジピバロイルメタナト)ストロン
チウムのTG減量(キレート蒸発量)は、100%と大
きい値を示した。
【0026】本発明の実施例1によって作製されたビス
(ジピバロイルメタナト)ストロンチウムの不純物金属
含有量を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【実施例2】酸化バリウム15.3gとエタノール16
0gとを反応器に投入して、75〜85℃で24時間撹
拌、生成する水をモレキュラーシーブで脱水しながら反
応させた。この反応液をろ別し、ろ液から、エタノール
を減圧留去して、バリウムジエトキシドを得た。得られ
たバリウムジエトキシドをキシレン100ml中に懸濁
させ、懸濁液中にジピバロイルメタン33.7gを10
〜30℃で滴下した。室温で1時間撹拌した後、108
〜110℃で1時間加熱撹拌を行なった。反応液をろ別
後、ろ液からキシレン及び未反応のジピバロイルメタン
の減圧留去をおこなった。減圧留去後に得られた結晶を
n−ヘキサンで再結晶精製することで、水和物の生成が
抑制された高純度であるビス(ジピバロイルメタナト)
バリウム25.6gを得た。尚、すべての反応、ろ過、
再結晶精製工程は、アルゴンガス雰囲気下で行った。
【0029】このようにして得られたビス(ジピバロイ
ルメタナト)バリウムについて、熱重量測定(TG)を
行い、その結果を図2に示した。なお、測定は、連続的
に650℃まで昇温し、その過程において熱重量測定を
不活性ガス雰囲気下、常圧で行った。
【0030】本発明の実施例2によって作製されたビス
(ジピバロイルメタナト)バリウムについてのTGの結
果を見ると、図2からも分かるように、低温側(200
℃以下)でのTG減量(不純物蒸発量)は、全くない。
また、ビスジピバロイルメタナトバリウムのTG減量
(キレート蒸発量)は、99%以上と大きい値を示し
た。
【0031】本発明の実施例2によって作製されたビス
(ジピバロイルメタナト)バリウムの不純物金属含有量
を表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
【実施例3】酸化バリウム11.8gと酸化ストロンチ
ウム8gとイソプロピルアルコール160gとを反応器
に投入して、80〜85℃で24時間撹拌、生成する水
をモレキュラーシーブで脱水しながら反応させた。この
反応液をろ別し、ろ液から、イソプロピルアルコールを
減圧留去することにより、バリウムストロンチウムイソ
プロポキシドを得た。得られたバリウムストロンチウム
イソプロポキシドをキシレン100ml中に懸濁させ、
懸濁液中にジピバロイルメタン52.4gを10〜30
℃で滴下した。室温で1時間撹拌した後、115〜12
0℃で1時間加熱撹拌を行なった。反応液をろ別後、ろ
液からキシレン及び未反応のジピバロイルメタンの減圧
留去をおこなった。減圧留去後に得られた結晶をn−ヘ
キサンで再結晶精製することで、水和物の生成が抑制さ
れた高純度である(ジピバロイルメタナト)バリウムス
トロンチウム31.8gを得た。尚、すべての反応、ろ
過、再結晶精製工程は、アルゴンガス雰囲気下で行っ
た。
【0034】このようにして得られた(ジピバロイルメ
タナト)バリウムストロンチウムについて、熱重量測定
(TG)を行い、その結果を図3に示した。なお、測定
は、連続的に650℃まで昇温し、その過程において熱
重量測定を不活性ガス雰囲気下、常圧で行った。
【0035】本発明の実施例3によって作製された(ジ
ピバロイルメタナト)バリウムストロンチウムについて
のTGの結果を見ると、図3からも分かるように、低温
側(200℃以下)でのTG減量(不純物蒸発量)は全
くない。また、(ジピバロイルメタナト)バリウムスト
ロンチウムのTG減量(キレート蒸発量)は、99%以
上と大きい値を示した。
【0036】本発明の実施例3によって作製された(ジ
ピバロイルメタナト)バリウムストロンチウムの不純物
金属含有量を表3に示す。
【0037】
【表3】
【0038】
【比較例1】水酸化バリウム八水和物30gとエタノー
ル400gと水500gとを反応器に投入して、60〜
70℃で撹拌しながら、ジピバロイルメタン34gを2
0分かけて、滴下した。次に、30%アンモニア水80
gを投入し、一晩室温で撹拌した。析出してきた固体を
ろ取し、乾燥することで粗製品を得た。得られた粗製品
をn−ヘキサンで再結晶し、11.5gのビス(ジピバ
ロイルメタナト)バリウムを得た。尚、すべての反応、
ろ過、再結晶精製工程は、アルゴンガス雰囲気下で行っ
た。
【0039】このようにして得られたビス(ジピバロイ
ルメタナト)バリウムについて、熱重量測定 (TG)を
行い、その結果を図4に示した。なお、測定は、連続的
に650℃まで昇温し、その過程において熱重量測定を
不活性ガス雰囲気下、常圧で行った。
【0040】比較例1によって作製されたビス(ジピバ
ロイルメタナト)バリウムについてのTGの結果を見る
と、図4からも分かるように、低温側(200℃以下)
でのTG減量(不純物蒸発量)がまず、約2%ほどあ
り、高温側(200℃以上)で2段階の減量がみられ
た。また、不揮発性不純物の量は、27.5%と非常に
大きな値を示した。
【0041】
【発明の効果】本発明の開発により、高価なアルカリ土
類金属単体を使用することなく、水和物の生成が抑制さ
れた高純度のアルカリ土類金属のβ−ジケトネート金属
錯体を製造できるようになった。
【0042】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明法の実施例1によって作製されたビス
(ジピバロイルメタナト)ストロンチウムについてのT
Gの結果を示したグラフである。
【図2】本発明法の実施例2によって作製されたビス
(ジピバロイルメタナト)バリウムについてのTGの結
果を示したグラフである。
【図3】本発明法の実施例3によって作製された(ジピ
バロイルメタナト)バリウムストロンチウムについての
TGの結果を示したグラフである。
【図4】比較例1によって作製されたビス(ジピバロイ
ルメタナト)バリウムについてのTG結果を示したグラ
フである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡井 秀人 大阪府堺市戎島町5丁1番地 堺化学工業 株式会社内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC41 AC90 BD70 BE11 4H048 AA02 AC41 AC90 BD70 BE11 VA20 VA60 VB10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルコールと、1種または2種以上のアル
    カリ土類金属酸化物とを反応させてアルカリ土類金属ア
    ルコキシドを得、これをβ−ジケトンと反応させること
    を特徴とするアルカリ土類金属のβ−ジケトネート金属
    錯体の製造方法。
  2. 【請求項2】β−ジケトンとしてジピバロイルメタンを
    用いることを特徴とする請求項1記載のアルカリ土類金
    属のβ−ジケトネート金属錯体の製造方法。
  3. 【請求項3】アルカリ土類金属酸化物として酸化バリウ
    ム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムと酸化ストロン
    チウムの混合物を用いることを特徴とする請求項1また
    は2記載のアルカリ土類金属のβ−ジケトネート金属錯
    体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006111538A (ja) * 2004-10-12 2006-04-27 Central Glass Co Ltd イオン性金属錯体の合成法
CN115838186A (zh) * 2022-10-26 2023-03-24 东部超导科技(苏州)有限公司 一种锶掺杂钡源及其制备方法与在制备高温超导带材中的应用

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