JPH11255784A - チタン錯体およびその合成方法 - Google Patents

チタン錯体およびその合成方法

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JPH11255784A
JPH11255784A JP979798A JP979798A JPH11255784A JP H11255784 A JPH11255784 A JP H11255784A JP 979798 A JP979798 A JP 979798A JP 979798 A JP979798 A JP 979798A JP H11255784 A JPH11255784 A JP H11255784A
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titanium
formula
reaction
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JP979798A
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Yoshimi Sato
善美 佐藤
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Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd
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Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱安定性、気化安定性の良好な新規なチタン
錯体を提供する。またそれを簡便な方法で収率よく合成
できる方法を提供する。 【解決手段】 下記一般式(I): 【化1】 (式中、R1は直鎖または分枝の炭素原子数1〜15の
アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基で
あり、dpmはジピバロイルメタン残基である)で表わ
されるチタン錯体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なチタン錯体
およびその合成方法に関するものである。さらに詳しく
は本発明は、有機金属気相成長法(MOCVD)用のチ
タン原料として利用が期待できる新規なチタン錯体およ
びその合成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】Ti(OR)2(dpm)2 (ここに、
Rは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロ
ピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基を表わし、
dpmは次式:
【0003】
【化7】
【0004】で表わされるジピバロイルメタン残基を表
わす)で表わされるチタン錯体は、主にBaTiO
3(BTO)、SrTiO3(STO)、BaxSr1-x
iO3(BST)等の、強誘電体、常誘電体等の被膜を
形成するためのMOCVD用の材料として知られている
(特開平5−271253号公報、特開平9−4068
3号公報、「半導体・集積回路技術 第51回シンポジ
ウム講演論文集」、電気化学会電子材料委員会、199
6年11月28日発行、60-65頁;「MOCVD原料と
しての高純度〔Ti(dpm)2(i−C37O)2〕の
合成」、日本化学会誌、1993、(4)、404-407
頁)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、現在知られて
いるチタン錯体の多くは、使用中に熱分解したり、表面
に凹凸がある基板に対しては側面被覆性に劣る等の欠点
が指摘されている。その中で、上記式において、Rがイ
ソプロピル基のもの、即ちTi(i−C37O)2(d
pm)2は、分子中に塩素のような腐食性の成分を含ま
ず、かつ揮発性のよいCVD用材料とされている一方、
熱分解温度が270℃(255〜290℃)と低いため
分解反応が進みやすく、気相分解種の基板への吸着確立
が増大し、基板表面に緻密な膜を形成することが困難で
ある。なお、Ti(OR)2(dpm)2以外にも、Ti
Cl4、Ti(C552Cl2、Ti(OR)4(Rは、
炭素原子数1〜5のアルキル基)、TiCl2(dp
m)2等のMOCVD用Ti原料が知られているが、こ
れらの多くは、大気中で発煙性(大気中の水分との反応
による)であるため、その取扱性の悪さが問題とされて
いる(「強誘電体薄膜メモリ」、59-65頁、(株)サイ
エンスフォーラム、1995年6月30日発行)。本発
明では、緻密な膜の形成が可能で、熱安定性、気化安定
性の良好な新規なチタン錯体を提供し、またこのチタン
錯体を副生物が少ない簡便な方法で、収率よく合成する
ことのできる製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、下記
一般式(I):
【0007】
【化8】
【0008】(式中、R1は直鎖または分枝の炭素原子
数1〜15のアルキレン基、シクロアルキレン基、アル
ケニレン基であり、dpmは前記に定義したとおりであ
る)で表わされるチタン錯体を提供するものである。さ
らに本発明は、上記一般式(I)において、R1が下記
式(II):
【0009】
【化9】
【0010】(式中、R2、R3はそれぞれ独立に水素原
子、炭素原子数1〜3の直鎖または分枝アルキル基、R
4は炭素原子数1〜6の直鎖または分枝アルキレン基を
表わす)、または下記式(III):
【0011】
【化10】
【0012】(式中、R5、R6はそれぞれ独立に単結合
または炭素原子数1〜3の直鎖または分枝アルキレン基
を表わす)であるチタン錯体を提供するものである。ま
た本発明は、下記一般式(IV):
【0013】
【化11】Ti(OR74 (IV)
【0014】(式中、R7は直鎖または分枝の炭素原子
数1〜4のアルキル基を表わす)で表わされるチタンテ
トラアルコキシドと、下記一般式(V):
【0015】
【化12】HOR1OH (V)
【0016】(式中、R1は前記と同じ意味を表わす)
で表わされる2価アルコールとのアルコール交換反応
を、副生するR7OHを反応系外に除去しながら行い、
次いでジピバロイルメタン(Hdpm)を反応させるこ
とを特徴とする上記一般式(I)で表わされるチタン錯
体の合成方法を提供するものである。さらに本発明は、
上記一般式(IV)で表わされるチタンテトラアルコキシ
ドとHdpmとを反応させ、次いで上記一般式(V)で
表わされる2価アルコールとのアルコール交換反応を、
副生するR7OHを反応系外に除去しながら行うことを
特徴とする上記一般式(I)で表わされるチタン錯体の
合成方法を提供するものである。さらにまた本発明は、
上記一般式(IV)で表わされるチタンテトラアルコキシ
ド、Hdpmおよび上記一般式(V)で表わされる2価
アルコールとを同時に仕込み、副生するR7OHを反応
系外に除去しながら反応を行うことを特徴とする上記一
般式(I)で表わされるチタン錯体の合成方法を提供す
るものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に本発明をさらに詳細に説明
する。 1.(チタンテトラアルコキシド) 本発明のチタン錯体の製造に使用するチタンテトラアル
コキシドとしては、例えば上記一般式(IV)で表わされ
るものであり、中でもテトラメトキシチタン、テトラエ
トキシチタン、テトライソプロポキシチタン等の低級ア
ルコキシドチタンを好ましく挙げることができる。 2.(2価アルコール) また、上述のチタンテトラアルコキシドとアルコール交
換反応する2価アルコールは、式 HOR1OH (V)
で表わされ、これには前記の一般式(II)または(II
I)の置換基に対応したアルコールが例示される。 一般式(II)の置換基に対応したアルコールとは、下記
一般式(VI):
【0018】
【化13】
【0019】(式中、R2〜R4は前述と同じ)で表わさ
れる2価アルコールであり、2,2−ジメチル−1,3−
ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−ブタンジ
オール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−2,3−
ブタンジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオ
ール(ピナコール)、2−メチル−2,4−ブタンジオ
ール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−
ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,
4−ペンタンジオール(ヘキシレングリコール)、2,
5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2,2−ジエ
チル−1,3−プロパンジオール等が挙げられ、特に2,
5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2,2−ジエ
チル−1,3−プロパンジオール、ピナコールが好まし
い。一般式(III)の置換基に対応したアルコールと
は、下記一般式(VII):
【0020】
【化14】
【0021】(式中、R5、R6は前述と同じ)で表わさ
れる2価の脂環式アルコールであり、特に1,4−シク
ロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオ
ールが好ましい。
【0022】3.(ジピバロイルメタン(Hdpm)) 本発明で用いるHdpmとしては、市販されているもの
をそのまま使用してもよいが、好ましくは、一旦精製し
て、不純物を取り除いたものを用いることが好ましい。
精製法としては、塩酸等で弱酸性とした純水で洗浄後、
減圧蒸留する等の方法で行うことができる。
【0023】4.(反応溶媒) 本発明では、溶媒を用いずに反応を行うことも可能であ
るが、上記チタンテトラアルコキシド、Hdpmを均一
に溶解する溶媒、特に常法により脱水および蒸留精製し
た溶媒に溶解した溶液系で行うことが、反応をスムーズ
に進行させることができ好ましい。これらの溶媒として
は、上記の原料を溶解するものであれば特に限定はされ
ないが、特に脂肪族炭化水素系溶媒、エーテル基、カル
ボニル基等を分子中に含有する炭化水素系溶媒が好まし
く、アルコール置換反応により遊離する低級アルコール
を効率よく除去することを考慮すると、中でも低沸点で
共沸するものが好ましい。なお、これらの溶媒は、原料
と反応しないものであることが望まれるため、アルコー
ル類、アミン類は好ましくない。
【0024】5.合成方法について 本発明の提供するチタン錯体の合成方法としては、次の
3つの方法がある。 (合成例1) 市販の低級チタンテトラアルコキシド1モルとその
約2倍モルのHOR1OH(R1は、上記と同様の意味を
表わす)とのアルコール交換反応を行い、 これに約2倍モルのHdpm(ジピバロイルメタ
ン)を反応させて上記一般式(I)で表わされるチタン
錯体を合成する方法。
【0025】(合成例2) 市販の低級チタンテトラアルコキシド1モルと約2
倍モルのHdpmを反応させ、 これに約1倍モルのHOR1OHを反応させて上記
一般式(I)で表わされるチタン錯体を合成する方法。
【0026】(合成例3) 市販の低級チタンテトラアルコキシド1モルと約2
倍モルのHdpm、および約1倍モルのHOR1OHを
同時に反応させて合成する方法。
【0027】なお上記合成例1は、低級アルコキシル基
が高級アルコキシル基により置換されやすい性質を利用
したものであり、副生物の低級アルコールは、反応溶液
を加熱して系外に留去することにより逆反応を防ぐこと
ができる。合成例2および3では、HdpmがTi原子
に対して2モル以上結合しにくい性質を利用したもので
あり、使用するHOR1OHの量を合成例1の方法に比
べ半分にできるメリットがある。また合成例2は、先に
Hdpmとの反応で、原料の反応溶媒に対する溶解性を
向上させることにより、その後の反応が均一に行われる
点で好ましく、特に低級チタンテトラアルコキシドがテ
トラメトキシチタン、テトライソプロポキシチタン等の
反応溶媒に対する溶解度が低いものである場合に有効で
ある。上述した合成例1〜3の中でも、合成例3の方法
が最も合理的で好ましい。
【0028】なお、上記の低級チタンテトラアルコキシ
ド、低級アルコキシル基、低級アルコール等に使用した
「低級」とは、ここでは炭素原子数1〜4の炭化水素基
を指すものとし、低級チタンテトラアルコキシドとは、
炭素原子数1〜4のアルコキシル基からなるチタンテト
ラアルコキシド、低級アルコキシル基とは、炭素原子数
1〜4のアルコキシル基、低級アルコールとは、炭素原
子数1〜4のアルコールをそれぞれ意味する。
【0029】なお、反応中は、水分を含まない不活性ガ
ス中で行うことが好ましい。反応後は、溶液を冷却し
て、析出した結晶をろ取し、次いでアセトン等で洗浄し
た後、乾燥することにより一般式(I)で表わされる目
的物を得る。このとき、高純度の結晶を得るために、上
記の冷却した溶液にシクロヘキサンを適量加え、析出し
ていた結晶を一旦溶解させ、これを冷却して再結晶化さ
せる方法さらに必要により昇華法、蒸留法等、化合物に
合わせた精製法もとれる。以上の合成方法によれば、簡
便な方法で、高純度のチタン錯体を得ることができる。
【0030】
【実施例】(実施例1)撹拌機、窒素吹き込み管、還流
管および受器を付けた300mlの三ツ口フラスコをオ
イルバス上にセットする。次いで、フラスコに脱水処理
したシクロヘキサン70gを入れ、これにチタンテトラ
メトキシド10g(0.058モル)、Hdpm21.8
4g(チタンテトラメトキシドの1.02倍モル量)、
およびヘキシレングリコール7.00g(チタンテトラ
メトキシドの1.02倍モル量)を仕込んだ。フラスコ
内に乾燥した窒素ガスを吹き込むことで、常にフラスコ
内を乾燥した不活性ガス雰囲気に保った。次に液を撹拌
しながら70℃まで加熱し、2時間還流を行ったとこ
ろ、副生したメタノールが留去した。また、液は仕込直
後の白濁から透明へと変化した。次に、エバポレーター
により、10〜20mmHg、80℃の条件下で濃縮を
行ったところ、粘ちょうな透明液体の化合物Aを得た。
【0031】得られた化合物Aについて以下の分析を行
った。 1.質量分析:EI法により測定(機種:JSM-DX303;日
本分光(株)製) 結果:図1より分子量531(理論値531)が確認さ
れた。 2.13C−NMR:重クロロホルムにて測定(機種:JN
M-GX400;日本分光(株)製) 結果:下記式(VIII)で表わされる化合物Aのa、b位
の炭素原子に相当するピークがそれぞれ確認された。な
お、ケミカルシフトの位置は、重クロロホルムの77.00p
pmを基準にして求めた。チャート上に示された主なピー
クを以下に示す。 (δ:201.2ppm,200.9ppm,197.3ppm,92.8ppm(b位),90.4
ppm(a位),82.8ppm(b位),52.9ppm,40.3ppm,39.3ppm,3
1.1ppm,28.0ppm,27.3ppm,23.8ppm) 3.IR測定:KBr錠剤法(機種:スヘ゜クトラム2000型;パ
ーキンエルマー社製) 結果:図2に示した。 4.熱重量分析(TG曲線):窒素中、10℃/分の昇
温速度で測定(機種:TG/DTA-200型;セイコー電子工業
(株)製) 結果:化合物Aの気化温度は183.5℃であった。 5.元素分析:Ti分析はICP法により測定 結果:Ti=8.99(9.02)、C=63.70(63.38)、H=9.57
(9.50)であった。なお、カッコ内は理論値を示す。 以上の分析1〜5の結果より、本実施例1で得られた化
合物Aは、分子量531の下記式(VIII)のチタン錯体
であると同定される。
【0032】
【化15】
【0033】(実施例2)実施例1と同様の装置を用
い、ヘキシレングリコール7.00g(チタンテトラメ
トキシドの1.1倍モル量)の代わりに2,5−ジメチル
−2,5−ヘキサンジオール8.92g(チタンテトラメ
トキシドの1.05倍モル量)を用いた以外は実施例1
と同様にしてフラスコ内に原料を仕込んだ。フラスコ内
に乾燥した窒素ガスを吹き込むことで、常にフラスコ内
を乾燥した不活性ガス雰囲気に保った。次に液を撹拌し
ながら60℃まで加熱し、同温度を維持して1時間撹拌
し、次いで80℃まで昇温して3時間反応を続けた。反
応終了後、副生したメタノールおよび溶媒のn−ヘプタ
ンがほとんど留去したスラリー状物を得た。これを室温
(25℃)まで放冷し、固形物をろ取した。これをn−
ヘプタンを再結晶溶媒にして、再結晶を行い、ろ取した
結晶を脱水メタノールで洗浄後、得られた結晶を80℃
の減圧乾燥機中で6時間乾燥を行い、化合物Bを得た。
【0034】得られた化合物Bについて実施例1と同様
の方法で分析を行った。 1.質量分析 結果:図3より分子量414(理論値559)が確認さ
れた。なお、実測値と理論値との差(559−414=
145)は、ジオールのアルコキサイドがEI(電子衝
撃)により脱離したことによるものと考えられる。 2.13C−NMR 結果:下記式(IX)で表わされる化合物Bのa、b位の
炭素原子に相当するピークがそれぞれ確認された。な
お、ケミカルシフトの位置は重クロロホルムの77.00ppm
を基準にして求め、チャート上に示された主なピークを
以下に示す。 (δ:199.0ppm,195.4ppm,90.8ppm(a位),84.8ppm(b
位),40.1ppm,28.4ppm,28.3ppm,28.0ppm) 3.IR測定 結果:図4に示した。 4.熱重量分析(TG曲線) 結果:図5にTG曲線を示した。図5から化合物Bの気
化温度は186.8℃であった。 5.元素分析 結果:Ti=8.40(8.57)、C=63.87(64.50)、H=9.68
(9.74)であった。なお、カッコ内は理論値を示す。 以上の分析1〜5の結果より、実施例2で得られた化合
物Bは、分子量559の下記式(IX)のチタン錯体であ
ると同定される。
【0035】
【化16】
【0036】(実施例3)還流管を用いなかった以外は
実施例1と同様の装置を用い、フラスコに脱水処理した
n−ヘプタン70gを入れ、これにチタンテトライソプ
ロポキシド10g(0.035モル)、Hdpm13.5
4g(チタンテトライソプロポキシドの2.1倍モル
量)、および1,4−シクロヘキサンジオール4.19g
(チタンテトライソプロポキシドの1.03倍モル量)
を仕込んだ。フラスコ内に乾燥した窒素ガスを吹き込む
ことで、常にフラスコ内を乾燥した不活性ガス雰囲気に
保った。次にオイルバスの温度を85℃まで加熱して、
副生するイソプロピルアルコールを留去しながら1時間
反応を行い、次いで、エバポレーターで実施例1と同様
の条件で濃縮を行ったところ、粘ちょうな無色透明液体
を得た。次いでn−ヘプタンを再結晶溶媒にして再結晶
を行い、得られた結晶を80℃の減圧乾燥機中で6時間
乾燥を行い、化合物Cを得た。
【0037】得られた化合物Cについて実施例1と同様
の方法で分析を行った。 1.質量分析 結果:図6より分子量527(理論値529)が確認さ
れた。 2.13C−NMR 結果:下記式(X)で表わされる化合物Cのa、b位の
炭素原子に相当するピークがそれぞれ確認された。な
お、ケミカルシフトの位置は重クロロホルムの77.00ppm
を基準にして求め、チャート上に示された主なピークを
以下に示す。 (δ:199.9ppm,196.6ppm,92.1ppm(b位),91.8ppm(a
位),40.4ppm,40.0ppm,32.9ppm,32.7ppm,30.7ppm,28.1p
pm,28.0ppm) 3.IR測定 結果:図7に示した。 4.熱重量分析 結果:化合物Cの気化温度は221.8℃であった。 5.元素分析 結果:Ti=9.02(9.06)、C=63.71(63.63)、H=9.17
(9.15)であった。なお、カッコ内は理論値を示す。 以上の分析1〜5の結果より、実施例3により得られた
化合物Cは、分子量529の下記式(X)のチタン錯体
であると同定される。
【0038】
【化17】
【0039】(実施例4)還流管を用いなかった以外は
実施例1と同様の装置を用い、フラスコに脱水処理した
n−ヘプタン70gを入れ、これにチタンテトライソプ
ロポキシド10g(0.035モル)、Hdpm13.5
4g(チタンテトライソプロポキシドの2.1倍モル
量)、および2,2−ジエチルプロパンジオール4.72
g(チタンテトライソプロポキシドの1.02倍モル
量)を仕込んだ。フラスコ内に乾燥した窒素ガスを吹き
込むことで、常にフラスコ内を乾燥した不活性ガス雰囲
気に保った。次にオイルバスの温度を70℃まで加熱し
30分間撹拌を行い、次いで、85℃まで昇温し、副生
するイソプロピルアルコールおよびn−ヘプタンの大部
分を留去しながら1時間反応を行った。反応溶液を室温
(25℃)まで放冷し、析出した結晶をろ取し、淡黄色
結晶を得た。次いでジブチルエーテルを再結晶溶媒にし
て、再結晶を行い、得られた結晶を80℃の減圧乾燥機
中で6時間乾燥を行い、化合物Dを得た。
【0040】得られた化合物Dについて実施例1と同様
の方法で分析を行った。 1.質量分析 結果:図8より分子量545(理論値545)が確認さ
れた。 2.13C−NMR 結果:下記式(XI)で表わされる化合物Dのa、b位の
炭素原子に相当するピークがそれぞれ確認された。な
お、ケミカルシフトの位置は重クロロホルムの77.00ppm
を基準にして求め、チャート上に示された主なピークを
以下に示す。 (δ:201.5ppm,93.7ppm(b位),81.8ppm(a位),42.4ppm,
40.3ppm,28.1ppm,22.8ppm,7.8ppm) 3.IR測定 結果:図9に示した。 4.熱重量分析 結果:化合物Dの気化温度は186.2℃であった。 5.元素分析 結果:Ti=8.71(8.79)、C=64.64(63.96)、H=9.67
(9.62)であった。なお、カッコ内は理論値を示す。 分析1および分析2〜5の結果より、化合物Dは、分子
量544.57の下記式(XI)のチタン錯体であると同
定された。
【0041】
【化18】
【0042】次に、実施例1〜4で製造したチタン錯体
(化合物A〜D)を用いて、CVD法により、BST薄
膜を作成した。その結果を以下に示す。 (成膜条件) Ba源:Ba(dpm)2 Sr源:Sr(dpm)2 CVD装置:基板加熱式CVD装置 反応ガス:O2 キャリアガス:Ar 気化温度:Ba源(200℃)、Sr源(190℃) 化合物A 化合物B 化合物C 化合物D 気化温度(℃) 160 210 180 180 成膜圧力:2.0Torr 基板:Pt/SiO2基板 基板温度:700℃ 膜厚:2000Å 得られたBST薄膜の表面形状及び断面を走査型電子顕
微鏡で観察した結果、いずれも緻密で均質な膜であっ
た。
【0043】
【発明の効果】本発明では、副生物が少ない、熱安定
性、気化安定性の良好な新規なチタン錯体を簡便な方法
で収率よく合成できるため、安価なチタン原料を提供で
きる。また、Ba、Sr等の化合物と同時に使用して複
合金属酸化物被膜を形成する場合には、本願の種々のチ
タン錯体の中から気化分解温度の相性が良いものを選択
して用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における質量分析の結果を示す図であ
る。
【図2】実施例1におけるIR分析の結果を示す図であ
る。
【図3】実施例2における質量分析の結果を示す図であ
る。
【図4】実施例2におけるIR分析の結果を示す図であ
る。
【図5】実施例2におけるTG曲線の結果を示す図であ
る。
【図6】実施例3における質量分析の結果を示す図であ
る。
【図7】実施例3におけるIR分析の結果を示す図であ
る。
【図8】実施例4における質量分析の結果を示す図であ
る。
【図9】実施例4におけるIR分析の結果を示す図であ
る。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I): 【化1】 (式中、R1は直鎖または分枝の炭素原子数1〜15の
    アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基で
    あり、dpmは次式: 【化2】 で表わされるジピバロイルメタン残基を表わす)で表わ
    されるチタン錯体。
  2. 【請求項2】 上記一般式(I)で表わされる化学式
    中、R1は下記一般式(II): 【化3】 (式中、R2、R3はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子
    数1〜3の直鎖または分枝アルキル基、R4は炭素原子
    数1〜6の直鎖または分枝アルキレン基を表わす)で表
    わされる基であることを特徴とする請求項1記載のチタ
    ン錯体。
  3. 【請求項3】 上記一般式(I)で表わされる化学式
    中、R1は下記一般式(III): 【化4】 (式中、R5、R6はそれぞれ独立に単結合または炭素原
    子数1〜3の直鎖または分枝アルキレン基を表わす)で
    表わされる基であることを特徴とする請求項1記載のチ
    タン錯体。
  4. 【請求項4】 下記一般式(IV): 【化5】Ti(OR74 (IV) (式中、R7は直鎖または分枝の炭素原子数1〜4のア
    ルキル基を表わす)で表わされるチタンテトラアルコキ
    シドと、下記一般式(V): 【化6】HOR1OH (V) (式中、R1は前記と同じ意味を表わす)で表わされる
    2価アルコールとのアルコール交換反応を、副生するR
    7OHを反応系外に除去しながら行い、次いでジピバロ
    イルメタン(Hdpm)を反応させることを特徴とする
    上記一般式(I)で表わされるチタン錯体の合成方法。
  5. 【請求項5】 上記一般式(IV)で表わされるチタンテ
    トラアルコキシドとHdpmとを反応させ、次いで上記
    一般式(V)で表わされる2価アルコールとのアルコー
    ル交換反応を、副生するR7OHを反応系外に除去しな
    がら行うことを特徴とする上記一般式(I)で表わされ
    るチタン錯体の合成方法。
  6. 【請求項6】 上記一般式(IV)で表わされるチタンテ
    トラアルコキシド、Hdpm、および上記一般式(V)
    で表わされる2価アルコールとを同時に仕込み、副生す
    るR7OHを反応系外に除去しながら反応を行うことを
    特徴とする上記一般式(I)で表わされるチタン錯体の
    合成方法。
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