JP4104713B2 - チタン錯体及びその合成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なチタン錯体及びその合成方法に関するものである。さらに詳しくは本発明は、有機金属気相成長法(MOCVD)用のチタン原料として利用が期待できる新規なチタン錯体およびその合成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
Ti(OR)2(dpm)2 (ここに、Rは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基を表わし、dpmは次式:
【0003】
【化10】
【0004】
で表わされるジピバロイルメタン残基を表わす)で表わされるチタン錯体は、主にBaTiO3(BTO)、SrTiO3(STO)、BaxSr1-xTiO3(BST)等の、強誘電体、常誘電体等の被膜を形成するためのMOCVD用の材料として知られている(特開平5−271253号公報、特開平9−40683号公報、「半導体・集積回路技術 第51回シンポジウム講演論文集」、電気化学会電子材料委員会、1996年11月28日発行、60-65頁;「MOCVD原料としての高純度〔Ti(dpm)2(i−C3H7O)2〕の合成」、日本化学会誌、1993、(4)、404-407頁)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、現在知られているチタン錯体の多くは、使用中に熱分解したり、表面に凹凸がある基板に対しては側面被覆性に劣る等の欠点が指摘されている。
その中で、上記式において、Rがイソプロピル基のもの、即ちTi(i−C3H7O)2(dpm)2は、分子中に塩素のような腐食性の成分を含まず、かつ揮発性のよいCVD用材料とされている一方、熱分解温度が270℃(255〜290℃)と低いため分解反応が進みやすく、気相分解種の基板への吸着確立が増大し、基板表面に緻密な膜を形成することが困難である。
なお、Ti(OR)2(dpm)2以外にも、TiCl4、Ti(C5H5)2Cl2、Ti(OR)4(Rは、炭素原子数1〜5のアルキル基)、TiCl2(dpm)2等のMOCVD用Ti原料が知られているが、これらの多くは、大気中で発煙性(大気中の水分との反応による)であるため、その取扱性の悪さが問題とされている(「強誘電体薄膜メモリ」、59-65頁、(株)サイエンスフォーラム、1995年6月30日発行)。
本発明では、緻密な膜の形成が可能で、熱安定性、気化安定性の良好な新規なチタン錯体を提供し、またこのチタン錯体を副生物が少ない簡便な方法で、収率よく合成することのできる製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、下記一般式(I):
【0007】
【化11】
Ti(OR1)2(dpm)2 (I)
【0008】
(式中、R1は炭素原子数4〜10のアルコキシアルキル基、アルキルカルボニルアルキル基、または炭素原子数5〜10の直鎖または分岐アルキル基であり、dpmは上記したとおりである)
で表わされるチタン錯体を提供するものである。
【0009】
さらにまた本発明は、上記一般式(I)で表わされる化学式中、R1が下記一般式(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)であるチタン錯体を提供するものである。
【0010】
【化12】
【0011】
【化13】
【0012】
【化14】
【0013】
【化15】
【0014】
【化16】
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
1.合成方法について
本発明の提供する式(I)のチタン錯体:
Ti(OR1)2(dpm)2 (I)
の合成方法としては、次の3つの方法がある。
(合成例1)
▲1▼ 市販の低級チタンテトラアルコキシド1モルとその約4倍モルのR1OH(R1は、上記と同様の意味を表わす)とのアルコール交換反応によりTi(OR1)4を合成し、
▲2▼ これに約2倍モルのHdpm(ジピバロイルメタン)を反応させて上記一般式(I)で表わされるチタン錯体を合成する方法。
【0016】
(合成例2)
▲1▼ 市販の低級チタンテトラアルコキシド1モルと約2倍モルのHdpmを反応させて、Ti(OR)2(dpm)2 を合成し(ここにRは使用した市販の低級チタンテトラアルコキシドのアルキル基)、
▲2▼ これに約2倍モルのR1OHを反応させて上記一般式(I)で表わされるチタン錯体を合成する方法。
【0017】
(合成例3)
▲1▼ 市販の低級チタンテトラアルコキシド1モルと約2倍モルのHdpm、および約2倍モルのR1OHを同時に反応させて上記一般式(I)で表わされるチタン錯体を合成する方法。
【0018】
なお、上記合成例1は、低級アルコキシル基が高級アルコキシル基(OR1)により置換されやすい性質を利用したものであり、副生物の低級アルコールは、反応溶液を加熱して系外に留去することにより逆反応を防ぐことができる。
合成例2および3では、HdpmがTi原子に対して2モル以上結合しにくい性質を利用したものであり、使用するR1OHの量を合成例1の方法に比べ半分にできるメリットがある。また合成例2は、先にHdpmとの反応で、原料の反応溶媒に対する溶解性を向上させることにより、その後の反応が均一に行われる点で好ましく、特に低級チタンテトラアルコキシドがテトラメトキシチタン、テトライソプロポキシチタン等の反応溶媒に対する溶解度が低いものである場合に有効である。
【0019】
上述の合成例1〜3の中でも合成例3の方法が最も合理的で好ましい。
なお、反応中は、水分を含まない不活性ガス中で行うことが好ましい。反応後は、溶液を冷却して、析出した結晶をろ取し、次いでアセトン等で洗浄した後、乾燥することにより一般式(I)で表わされる目的物を得る。このとき、高純度の結晶を得るために、上記の冷却した溶液にシクロヘキサン等を適量加え、析出していた結晶を一旦溶解させ、これを冷却して再結晶化させる方法、さらに必要により昇華法、蒸留法等、化合物に合わせた精製法もとれる。
以上の合成方法によれば、簡便な方法で、高純度のチタン錯体を得ることができる。
【0020】
2.低級チタンテトラアルコキシドについて
なお、上記の低級チタンテトラアルコキシド、低級アルコキシル基、低級アルコール等に使用した「低級」は、ここでは炭素原子数1〜4の炭化水素基を指すものとし、低級チタンテトラアルコキシドとは、炭素原子数1〜4のアルコキシル基からなるチタンテトラアルコキシド、低級アルコキシル基とは、炭素原子数1〜4のアルコキシル基、低級アルコールとは、炭素原子数1〜4のアルコールをそれそれ意味する。
【0021】
本発明のチタン錯体の合成に用いる、低級チタンテトラアルコキシドとしては、例えば下記一般式(VII):
【0022】
【化17】
Ti(OR14)4 (VII)
【0023】
(式中、R14は、置換または未置換の炭素原子数1〜4の飽和または不飽和炭化水素基を表わす)
で表わされ、中でもテトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン等の低級Tiテトラアルコキシドを好ましく挙げることができる。
また、上述のR1OHとしては、上記の一般式(II)〜(VI)の置換基に対応したアルコールが例示される。
一般式(II)の置換基に対応したアルコールとは、下記一般式(IX):
【0024】
【化18】
【0025】
(式中、R2、R3は前述と同じ)
で表わされる第2アルコールであり、特に2,4−ジメチル−3−ペンタノール、3−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノール、ピナコリルアルコールが好ましい。
一般式(III)の置換基に対応したアルコールとは、下記一般式(X):
【0026】
【化19】
【0027】
(式中、R4〜R6は前述と同じ)
で表わされる第3アルコールであり、特に2−メチル−2−ブタノール、ペンタメチルエチルアルコールが好ましい。
一般式(IV)の置換基に対応したアルコールとは、下記一般式(XI):
【0028】
【化20】
【0029】
(式中、R7〜R10は前述と同じ)で表わされるモノアルコキシ置換の第3アルコールであり、特に1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールが好ましい。
一般式(V)の置換基に対応したアルコールとは、下記一般式(XII):
【0030】
【化21】
【0031】
(式中、R7〜R10は前述と同じ)
で表わされるケトン基含有第3アルコールであり、特にジアセトンアルコール(4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン)、4−ヒドロキシ−2,2,5,5−テトラメチル−3−ヘキサノン(ピバロイン)が好ましい。
一般式(VI)の置換基に対応したアルコールとは、下記一般式(XIII):
【0032】
【化22】
【0033】
(式中、R11〜R13は前述と同じ)
で表わされる分枝アルキル基含有第1アルコールであり、特に2,2−ジメチル−1−プロパノールが好ましい。
【0034】
3. ジピバロイルメタン(Hdpm)について
本発明のチタン錯体の合成に使用するHdpmとしては、市販されているものをそのまま使用してもよいが、好ましくは、一旦精製して、不純物を取り除いたものを用いることが好ましい。精製法としては、塩酸等で弱酸性とした純水で洗浄後、減圧蒸留する等の方法で行うことができる。
【0035】
4.反応溶媒について
本発明では、溶媒を用いずに反応を行うことも可能であるが、上記チタンアルコキシド、Hdpmを均一に溶解する溶媒、特に常法により脱水および蒸留精製した溶媒に溶解した溶液系で行うことが、反応をスムーズに進行させることができ好ましい。
これらの溶媒としては、上記の原料を溶解するものであれば特に限定はされないが、特に脂肪族炭化水素系溶媒、エーテル基、カルボニル基等を分子中に含有する炭化水素系溶媒が好ましく、アルコール置換反応により遊離する低級アルコールを効率よく除去することを考慮すると、中でも低沸点で共沸するものが好ましい。なお、これらの溶媒は、原料と反応しないものであることが望まれるため、アルコール類、アミン類は好ましくない。
【0036】
【実施例】
(実施例1)
撹拌機、窒素吹き込み管、還流管、冷却器および受器を付けた300mlの三ツ口フラスコをオイルバス上にセットする。次いで、フラスコに脱水処理したn−ヘプタン50gを入れ、これにチタンテトライソプロポキシド10g(0.035モル)とHdpm13.54g(チタンテトライソプロポキシドの2.1倍モル量)を仕込んだ。
フラスコ内に乾燥した窒素ガスを吹き込むことで、常にフラスコ内を乾燥した不活性ガス雰囲気に保った。
次に液を撹拌しながら50℃まで加熱し、1時間還流を行った。続けて還流管の冷却水を止め、オイルバスの温度を85℃まで上げて、Hdpmの付加反応により生成したイソプロピルアルコール(IPA)の除去を行った。
次に、85℃を保った状態で、2,4−ジメチル−3−ペンタノール8.54g(チタンテトライソプロポキシドの2.1倍モル量)を加え、アルコール交換反応を行うと同時に、生成するIPAの除去を続けた。なお、2,4−ジメチル−3−ペンタノールとIPAとの沸点差が大きいのでIPAの除去は容易であった。
同温度を維持したまま2時間反応を行った後、室温(25℃)まで放冷したところ、一部結晶が析出した溶液35gが得られた。
これを−10℃まで冷却し、結晶をろ別、乾燥して18.4gの生成物を得た。
得られた生成物をアセトン(生成物の2倍の重量を用いた)を用いて再結晶を行い、60℃の減圧乾燥機中で6時間乾燥を行い、化合物Aを得た。
【0037】
得られた化合物Aについて以下の分析を行った。
1.質量分析:EI法により測定(機種:JSM-DX303;日本分光(株)製)
結果:図1より分子量529(理論値645)が確認された。
なお、実測値と理論値との差(645−529=116)は、2,4−ジメチル−3−ペンタノールの分子量に相当する。
このことから、測定時において、化合物AよりOR1基1モルがEI(電子衝撃)の影響を受け、外れたものと考えられる。
2.13C−NMR:重クロロホルムにて測定(機種:JNM-GX400;日本分光(株)製)
結果:下記式(XIV)で表わされる化合物Aのa、b位の炭素原子に相当するピークがそれぞれ確認された。なお、ケミカルシフトの位置は重クロロホルムの77.00ppmを基準にして求め、チャート上に示された主なピークを以下に示す。
(δ:199.5ppm,195.8ppm,96.9ppm(bピーク),92.1ppm(aピーク),40.6ppm,40.0ppm,32.3ppm,32.2ppm,28.4ppm,28.1ppm,20.4ppm,18.2ppm)
3.IR測定:KBr錠剤法(機種:スペクトラム2000型;パーキンエルマー社製)
結果:図2に示した。
4.熱重量分析(TG曲線):窒素中、10℃/minの昇温速度で測定(機種:TG/DTA-200型;セイコー電子工業(株)製)
結果:図3にTG曲線を示した。図3から化合物Aの気化温度は222.3℃であった。
5.元素分析:TiはICP法により測定
結果:Ti=7.40(7.43)、C=67.08(67.06)、H=10.63(10.63)であった。なお、カッコ内は理論値を示す。
分析1〜5の結果より、実施例1で得られた化合物Aは、分子量645の下記式(XIV)のチタン錯体であると同定された。
【0038】
【化23】
【0039】
(実施例2)
還流管を用いなかった以外は実施例1と同様の装置を用い、フラスコに脱水処理したシクロヘキサン100gを入れ、これにチタンテトラメトキシド10g(0.058モル)と2−メチル−2−ブタノール20.48g(チタンテトラメトキシドの4倍モル量)を仕込んだ。
フラスコ内に乾燥した窒素ガスを吹き込むことで、常にフラスコ内を乾燥した不活性ガス雰囲気に保った。次に液を撹拌しながらオイルバスの温度を75℃まで加熱したところ、約15分経過後にチタンテトラメトキシドが溶解し、溶液は白濁から透明へと変化した。
同温度を維持しながら約40分間撹拌を行い、メタノールの蒸発が収まったところでHdpm22.45g(チタンテトラメトキシドの2.1倍モル量)を加え、添加後30分経ったところでオイルバスの温度を90℃に上げ、約2時間40分間撹拌を続けたところ、溶媒と副生成した2−メチル−2−ブタノールの大部分が除去され、反応液の液面付近に結晶性の被膜が生成した。
加熱を止め、室温(25℃)まで放冷し、これにn−ヘキサン10gを加えて析出物を一旦溶解させた。次いでこれを−20℃まで冷却し、析出した白色結晶をろ別した。得られた白色結晶を少量のメタノールで洗浄し、60℃の減圧乾燥機中で6時間乾燥を行い、化合物Bを得た。
【0040】
得られた化合物Bについて実施例1と同様の方法で分析を行った。
1.質量分析
結果:図4より分子量501(理論値589)が確認された。
なお、実測値と理論値との差(589−501=88)は、2−メチル−2−ブタノールの分子量に相当する。
このことから、測定時において、化合物BよりOR1基1モルがEI(電子衝撃)の影響を受け、外れたものと考えられる。
2.13C−NMR
結果:下記式(XV)で表わされる化合物Bのa、b位の炭素原子に相当するピークがそれぞれ確認された。なお、ケミカルシフトの位置は重クロロホルムの77.00ppmを基準にして求め、チャート上に示された主なピークを以下に示す。
(δ:199.2ppm,195.5ppm,91.2ppm(aピーク),85.0ppm(bピーク),40.6ppm,40.1ppm,36.8ppm,29.1ppm,28.3ppm,28.0ppm,8.8ppm)
3.IR測定
結果:図5に示した。
4.熱重量分析(TG曲線)
結果:図6にTG曲線を示した。図6から化合物Bの気化温度は205.9℃であった。
5.元素分析
結果:Ti=8.06(8.13)、C=65.51(65.29)、H=10.32(10.27)であった。なお、カッコ内は理論値を示す。
分析1〜5の結果より、実施例2で得られた化合物Bは、分子量589の下記式(XV)のチタン錯体であると考えられる。
【0041】
【化24】
【0042】
(実施例3)
還流管を用いなかった以外は実施例1と同様の装置を用い、フラスコに脱水処理したシクロヘキサン100gを入れ、これにチタンテトラメトキシド10g(0.058モル)と1−メトキシ−2−プロパノール10.98g(チタンテトラメトキシドの2.1倍モル量)を仕込んだ。
フラスコ内に乾燥した窒素ガスを吹き込むことで、常にフラスコ内を乾燥した不活性ガス雰囲気に保った。
次に液を撹拌しながらオイルバスの温度を70℃まで加熱して、アルコールの交換反応により生成するメタノールを留去させながら反応を進めた。
同温度を維持しながら約45分間撹拌を行い、メタノールの蒸発が収まったところでHdpm22.45g(チタンテトラメトキシドの2.1倍モル量)を加え、約40分間、同温度を維持して撹拌を行った。
オイルバスの温度を85℃に上げてシクロヘキサンの留去を行い、次いでエバポレーターで、20mmHgの減圧下、90℃で反応溶液を濃縮した。
濃縮後、室温(25℃)まで放冷し、ペースト状化合物Cを得た。
【0043】
得られた化合物Cについて実施例1と同様の方法で分析を行った。
1.質量分析
結果:図7より分子量503(理論値593)が確認された。
なお、実測値と理論値との差(593−503=90)は、1−メトキシ−2−プロパノールの分子量に相当する。
このことから、測定時において、化合物CよりOR1基1モルがEI(電子衝撃)の影響を受け、外れたものと考えられる。
2.13C−NMR
結果:下記式(XVI)で表わされる化合物Cのa、b位の炭素原子に相当するピークがそれぞれ確認された。なお、ケミカルシフトの位置は重クロロホルムの77.00ppmを基準にして求め、チャート上に示された主なピークを以下に示す。
(δ:200.3ppm,196.8ppm,92.5ppm(aピーク),77.8ppm(bピーク),58.9ppm,40.4ppm,40.0ppm,28.0ppm,27.8ppm,27.2ppm,20.6ppm,20.3ppm)
3.IR測定
結果:図8に示した。
4.熱重量分析(TG曲線)
結果:化合物Cの気化温度は207.4℃であった。
5.元素分析
結果:Ti=8.11(8.08)、C=60.72(60.80)、H=9.49(9.52)であった。なお、カッコ内は理論値を示す。
分析1〜5の結果より、実施例3で得られた化合物Cは、分子量593の下記式(XVI)のチタン錯体であると同定された。
【0044】
【化25】
【0045】
(実施例4)
還流管を用いなかった以外は実施例1と同様の装置を用い、フラスコに脱水処理したシクロヘキサン100gを入れ、これにチタンテトライソプロポキシド10g(0.035モル)とジアセトンアルコール8.54g(チタンテトライソプロポキシドの2.1倍モル量)を仕込んだ。
フラスコ内に乾燥した窒素ガスを吹き込むことで、常にフラスコ内を乾燥した不活性ガス雰囲気に保った。
次に液を撹拌しながらオイルバスの温度を85℃まで加熱して、アルコールの交換反応により生成するイソプロパノールを留去させながら反応を進めた。
同温度を維持しながら約30分間撹拌を行い、次いでHdpm13.54g(チタンテトライソプロポキシドの2.1倍モル量)を加え、約3時間、同温度を維持して撹拌を行った。
ほとんど乾固状態になった反応物を取り出し、これを減圧乾燥機で乾燥した。これにn−ヘプタンを加え、加熱溶解後、−20℃まで冷却することで再結晶を行い、得られた結晶をろ別後、60℃の減圧乾燥機中で8時間乾燥を行い、化合物Dを得た。
【0046】
得られた化合物Dについて実施例1と同様の方法で分析を行った。
1.質量分析
結果:図9より分子量529(理論値645)が確認された。
なお、実測値と理論値との差(645−529=116)は、ジアセトンアルコールの分子量に相当する。
このことから、測定時において、化合物DよりOR1基1モルがEI(電子衝撃)の影響を受け、外れたものと考えられる。
2.13C−NMR
結果:下記式(XVII)で表わされる化合物Dのa、b位の炭素原子に相当するピークがそれぞれ確認された。なお、ケミカルシフトの位置は重クロロホルムの77.00ppmを基準にして求め、チャート上に示された主なピークを以下に示す。
(δ:209.0ppm,200.1ppm,195.9ppm,92.6ppm(aピーク),83.2ppm(bピーク),57.5ppm,40.5ppm,40.0ppm,32.1ppm,29.8ppm,29.7ppm,28.0ppm,27.8ppm)
3.IR測定
結果:図10に示した。
4.熱重量分析(TG曲線)
結果:化合物Dの気化温度は209.3℃であった。
5.元素分析
結果:Ti=7.33(7.43)、C=63.32(63.34)、H=9.36(9.38)であった。なお、カッコ内は理論値を示す。
分析1〜5の結果より、実施例4で得られた化合物Dは、分子量645の下記式(XVII)のチタン錯体であると考えられる。
【0047】
【化26】
【0048】
(実施例5)
還流管を用いなかった以外は実施例1と同様の装置を用い、フラスコに脱水処理したメチルエチルケトン(MEK)80gを入れ、これにチタンテトラメトキシド10g(0.058モル)、Hdpm22.45g(チタンテトラメトキシドの2.1倍モル量)、および2,2−ジメチル−1−プロパノール10.74g(チタンテトラメトキシドの2.1倍モル量)を仕込んだ。
フラスコ内に乾燥した窒素ガスを吹き込むことで、常にフラスコ内を乾燥した不活性ガス雰囲気に保った。次にオイルバスの温度を60℃まで加熱して、同温度を維持しながら1時間撹拌を行い、次いで80℃まで昇温し、同温度を維持したまま3時間反応を行った。
析出物をろ別して、減圧乾燥したところ、粗収率は87%であった。これをジブチルエーテルで再結晶を行い、得られた結晶を60℃の減圧乾燥機中で6時間乾燥を行い、化合物Eを得た。
【0049】
化合物Eについて実施例1と同様の方法で分析を行った。
1.質量分析
結果:図11より分子量501(理論値589)が確認された。
なお、実測値と理論値との差(589−501=88)は、2,2−ジメチル−1−プロパノールの分子量に相当する。
このことから、測定時において、化合物EよりOR1基1モルがEI(電子衝撃)の影響を受け、外れたものと考えられる。
2.13C−NMR
結果:下記式(XVIII)で表わされる化合物Eのa、b位の炭素原子に相当するピークがそれぞれ確認された。なお、ケミカルシフトの位置は重クロロホルムの77.00ppmを基準にして求め、チャート上に示された主なピークを以下に示す。(δ:199.3ppm,195.6ppm,91.2ppm(aピーク),82.4ppm(bピーク),40.5ppm,40.2ppm,31.3ppm,28.3ppm,28.0ppm)
3.IR測定
結果:図12に示した。
4.熱重量分析(TG曲線)
結果:図13にTG曲線を示した。図13から化合物Eの気化温度は196.6℃であった。
5.元素分析
結果:Ti=8.10(8.13)、C=65.41(65.29)、H=10.30(10.27)であった。なお、カッコ内は理論値を示す。
分析1〜5の結果より、実施例5で得られた化合物Eは、分子量589の下記式(XVIII)のチタン錯体であると考えられる。
【0050】
【化27】
【0051】
次に、実施例1〜5で製造したチタン錯体(化合物A〜E)を用いて、CVD法により、BST薄膜を作成した。
その結果を以下に示す。
得られたBST薄膜の表面形状及び断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、いずれも緻密で均質な膜であった。
【0052】
【発明の効果】
本発明では、副生物が少ない、熱安定性、気化安定性の良好な新規なチタン錯体を簡便な方法で収率よく合成できるため、安価なチタン原料を提供できる。また、Ba、Sr等の化合物と同時に使用して複合金属酸化物被膜を形成する場合には、本願の種々のチタン錯体の中から気化分解温度の相性が良いものを選択して用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における質量分析の結果を示す図である。
【図2】実施例1におけるIR分析の結果を示す図である。
【図3】実施例1におけるTG曲線の結果を示す図である。
【図4】実施例2における質量分析の結果を示す図である。
【図5】実施例2におけるIR分析の結果を示す図である。
【図6】実施例2におけるTG曲線の結果を示す図である。
【図7】実施例3における質量分析の結果を示す図である。
【図8】実施例3におけるIR分析の結果を示す図である。
【図9】実施例4における質量分析の結果を示す図である。
【図10】実施例4におけるIR分析の結果を示す図である。
【図11】実施例5における質量分析の結果を示す図である。
【図12】実施例5におけるIR分析の結果を示す図である。
【図13】実施例5におけるTG曲線の結果を示す図である。
Claims (9)
- 上記一般式(VII)で表わされるチタンテトラアルコキシドとHdpmとを反応させ、次いで上記一般式(VIII)で表わされるアルコールとのアルコール交換反応を、副生するR14OHを反応系外に除去しながら行うことを特徴とする上記一般式(I)で表わされるチタン錯体の合成方法。
- 上記一般式(VII)で表わされるチタンテトラアルコキシド、Hdpm、および上記一般式(VIII)で表わされるアルコールとを同時に仕込み、副生するR14OHを反応系外に除去しながら反応を行うことを特徴とする上記一般式(I)で表わされるチタン錯体の合成方法。
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