JP2003080596A - 樹脂成形品及びその製造方法 - Google Patents

樹脂成形品及びその製造方法

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resin molded
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Kazushige Uchida
一茂 内田
Sadao Yabu
貞男 薮
Hidemi Ibi
秀実 揖斐
Takashi Nakai
隆 中井
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Matsushita Electric Works Ltd
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    • B29C55/18Shaping by stretching, e.g. drawing through a die; Apparatus therefor of plates or sheets by squeezing between surfaces, e.g. rollers
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  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱可塑性非晶質樹脂において、弾性率を向上
することができると共に線膨張係数を低減することがで
きる樹脂成形品の製造方法を提供する。 【解決手段】 分散相2を含有する熱可塑性非晶質樹脂
を押出し成形し、次いでこれを圧延することによって、
分散相2を圧延方向に引き延ばす。分散相2が圧延方向
に延びることによる分子の配向で、弾性率を高めること
ができると共に、線膨張係数を低減することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ABS樹脂やAA
S樹脂など分散相を含有する熱可塑性非晶質樹脂を成形
して得られる樹脂成形品及びその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジ
エン−スチレン共重合体樹脂)やAAS樹脂(アクリロ
ニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体樹脂)は、
従来から自動車部品、電気製品、住宅部材等の各種用途
に用いられている。
【0003】これらABS樹脂やAAS樹脂は一般的
に、押出し成形、射出成形、真空成形などで成形されて
いるが、このようにして成形された成形品は弾性率が1
〜2GPa、線膨張係数が8〜10×10-5/℃であ
る。しかし、例えば雨樋のように長尺に成形して使用す
る場合、成形品の剛性や寸法安定性を確保するために、
弾性率が高く、線膨張係数が小さいことが必要とされる
が、弾性率や線膨張係数がこのような範囲では、充分な
剛性や寸法安定性を得ることはできない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、ABS樹脂や
AAS樹脂を成形して得られる成形品の弾性率を向上さ
せると共に線膨張係数を低減させるために、樹脂100
質量部に対してガラス繊維を10〜30質量部程度添加
することが従来から行なわれている。
【0005】しかしこの方法では、有機物である樹脂に
無機物であるガラスが複合されることになるために、成
形品をリサイクルをすることが困難になるという問題が
あった。
【0006】また、このようなガラス繊維を複合せずに
弾性率の向上と線膨張係数の低減をはかる方法として、
延伸成形がある。延伸成形は樹脂を構成する分子に引っ
張り応力を与えながら成形する成形法であり、このよう
に延伸して分子を配向させることによって樹脂の結晶化
度を高め、これにより弾性率を向上することができると
共に線膨張係数を低減することができるのである。
【0007】しかしながら、このような延伸工法は、ポ
リエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂
のような結晶性を有する樹脂をフィルム状に成形する場
合に有効であるが、ABS樹脂やAAS樹脂のような非
晶質樹脂には大きな効果を期待することはできない。し
かも延伸工法では厚み0.5mm未満の薄いフィルム状
のものに限定され、用途が制限されたものになるという
問題もあった。
【0008】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、熱可塑性非晶質樹脂を成形するにあたって、弾性
率を向上することができると共に線膨張係数を低減する
ことができる樹脂成形品及びその製造方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
樹脂成形品は、分散相を含有する熱可塑性非晶質樹脂を
押出し成形した後、圧延することによって製造され、分
散相及び分散媒が圧延方向に延ばされていることを特徴
とするものである。
【0010】本発明の請求項2に係る樹脂成形品の製造
方法は、分散相を含有する熱可塑性非晶質樹脂を押出し
成形し、次いでこれを圧延することによって、分散相及
び分散媒を圧延方向に延ばすことを特徴とするものであ
る。
【0011】また請求項3の発明は、請求項2におい
て、分散相を含有する熱可塑性非晶質樹脂は、ABS樹
脂とAAS樹脂の少なくとも一方であることを特徴とす
るものである。
【0012】また請求項4の発明は、請求項2におい
て、分散相を含有する熱可塑性非晶質樹脂は、ポリブタ
ジエンの含有量が5〜30質量%のABS樹脂であるこ
とを特徴とするものである。
【0013】また請求項5の発明は、請求項2におい
て、分散相を含有する熱可塑性非晶質樹脂は、ガラス転
移温度を上昇させる成分が添加されたABS樹脂である
ことを特徴とするものである。
【0014】また請求項6の発明は、請求項5におい
て、分散相を含有する熱可塑性非晶質樹脂は、ガラス転
移温度上昇成分としてN−フェニルマレイミドを5〜2
0質量%添加したABS樹脂であることを特徴とするも
のである。
【0015】また請求項7の発明は、請求項6におい
て、N−フェニルマレイミドはアクリルニトリルとスチ
レンの共重合体よりなる分散媒内に均一に分散している
ことを特徴とするものである。
【0016】また請求項8の発明は、請求項5におい
て、分散相を含有する熱可塑性非晶質樹脂は、ガラス転
移温度上昇成分としてα−メチルスチレンを5〜20質
量%添加したABS樹脂であることを特徴とするもので
ある。
【0017】また請求項9の発明は、請求項8におい
て、α−メチルスチレンはアクリルニトリルとスチレン
の共重合体よりなる分散媒内に均一に分散していること
を特徴とするものである。
【0018】また請求項10の発明は、請求項2におい
て、分散相を含有する熱可塑性非晶質樹脂は、ポリカー
ボネートをアロイ化したABS樹脂であることを特徴と
するものである。
【0019】また請求項11の発明は、請求項2乃至1
0のいずれかにおいて、圧延方向に延ばされた分散相の
最大部分の長さが、樹脂成形品の厚み方向での分散相の
最大部分の厚みの2倍以上であることを特徴とするもの
である。
【0020】また請求項12の発明は、請求項2乃至1
1のいずれかにおいて、押出し成形された分散相を含有
する熱可塑性非晶質樹脂を、1.2〜5倍の圧延倍率に
圧延することを特徴とするものである。
【0021】また請求項13の発明は、請求項2乃至1
2のいずれかにおいて、圧延された樹脂成形品の厚みは
0.5〜10mmの範囲であることを特徴とするもので
ある。
【0022】また請求項14の発明は、請求項2乃至1
3のいずれかにおいて、押出し成形された分散相を含有
する熱可塑性非晶質樹脂を、当該樹脂のガラス転移温度
−30℃からガラス転移温度+60℃の温度範囲に加熱
した状態で、当該樹脂のガラス転移温度−50℃からガ
ラス転移温度の温度範囲のロールに通して圧延すること
を特徴とするものである。
【0023】また請求項15の発明は、請求項2乃至1
4のいずれかにおいて、押出し成形された分散相を含有
する熱可塑性非晶質樹脂を圧延した後、70〜100℃
の温度で加熱することを特徴とするものである。
【0024】また請求項16の発明は、請求項2乃至1
5のいずれかにおいて、分散相を含有する熱可塑性非晶
質樹脂がABS樹脂であり、ABS樹脂の表面にアクリ
ル系樹脂を積層した押出し成形品を圧延することを特徴
とするものである。
【0025】また請求項17の発明は、請求項16にお
いて、アクリル系樹脂としてAAS樹脂を用いることを
特徴とするものである。
【0026】また請求項18の発明は、請求項2乃至1
7のいずれかにおいて、圧延された樹脂成形品は弾性率
が2.5GPa以上であることを特徴とするものであ
る。
【0027】また請求項19の発明は、請求項2乃至1
8のいずれかにおいて、圧延された樹脂成形品は線膨張
係数が2〜6×10-5/℃であることを特徴とするもの
である。
【0028】また請求項20の発明は、請求項2乃至1
9のいずれかにおいて、圧延された樹脂成形品を寸法変
化しないように固定した状態で、当該樹脂のガラス転移
温度からガラス転移温度−30℃の間の温度で加熱する
ことを特徴とするものである。
【0029】また請求項21の発明は、請求項20にお
いて、加熱処理を2分間以上行なうことを特徴とするも
のである。
【0030】また請求項22の発明は、請求項20又は
21において、熱可塑性非晶質樹脂は、ABS樹脂、A
AS樹脂、HI−PS樹脂、ポリカーボネート樹脂から
選ばれるものであることを特徴とするものである。
【0031】また請求項23の発明は、請求項22にお
いて、ABS樹脂が、N−フェニルマレイミドとα−メ
チルスチレンの少なくとも一方を添加したもの、ポリカ
ーボネート樹脂をアロイ化したものから選ばれるもので
あることを特徴とするものである。
【0032】また請求項24の発明は、請求項22にお
いて、ABS樹脂が、ポリブタジエン成分を5〜30質
量%含有するものであることを特徴とするものである。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0034】本発明において分散相を含有する熱可塑性
非晶質樹脂としては、ABS樹脂やAAS樹脂を用いる
ことができる。ABS樹脂はアクリロニトリルとスチレ
ンの共重合体を分散媒とし、この分散媒中にポリブタジ
エンが分散相として分散した樹脂組織になっており、ま
たAAS樹脂はアクリロニトリルとスチレンの共重合体
を分散媒とし、この分散媒中にアクリルゴムが分散相と
して分散した樹脂組織になっている。ABS樹脂とAA
S樹脂はいずれか一方を単独で用いる他、両者をブレン
ドして用いることもできる。
【0035】そして本発明では、この分散相を含有する
熱可塑性非晶質樹脂を押出し成形した後、押出し成形し
た板状乃至シート状の押出し成形品Aを、さらに長手方
向に圧延することによって成形を行ない、樹脂成形品B
を得ることができるものである。圧延は、図2に示すよ
うに押出し成形品Aを一対のロール1の間に通すことに
よって行なうことができる。このとき、押出し成形品A
を引きながらロール1の間に通すことによって、押出し
成形品Aの幅と略同じ幅を保ちつつ厚みを薄くするよう
に引き延ばして圧延を行なうものである。
【0036】ここで、分散相を含有する熱可塑性非晶質
樹脂を押出し成形して得た押出し成形品Aの状態では、
樹脂の分子は配向しておらず、図1(a)に示すよう
に、アクリロニトリルとスチレンの共重合体分子からな
る分散媒3中に分散しているポリブタジエンあるいはア
クリルゴムからなる分子の分散相2は球状である。そし
てこの押出し成形品Aをロール1に通して圧延すること
によって、分散相2及び分散媒3は圧延方向に延ばさ
れ、図1(b)に示すように、分散相2は厚み方向に扁
平になると共に圧延方向に長い楕円状に変形し、かつこ
の楕円状の総ての分散相2は長手方向が圧延方向に向
く。このように、圧延して分散相2及び分散媒3を圧延
方向に引き延ばして特定の一定方向に向くようにするこ
とによって、得られた樹脂成形品Bは分子が圧延方向に
配向方向し、この方向において弾性率が向上すると共に
熱膨張係数が低減するものである。尚、本発明において
樹脂成形品Bの圧延方向とは、樹脂成形品Bの厚み方向
と垂直な方向であり、且つロール1で送られる方向を意
味する。
【0037】上記のように圧延して得られる樹脂成形品
Bは、弾性率が2.5GPa以上、線膨張係数が2〜6
×10-5/℃の範囲であることが望ましい。弾性率が
2.5GPa未満であると、樹脂成形品Bを長尺物など
として使用する際に剛性が不足して変形等が発生し易く
なる。弾性率の上限は特に設定されないが、高過ぎると
脆くなる等の問題が生じるおそれがあるために、実用的
には10GPa程度が上限である。また線膨張係数が6
×10-5/℃を超えると、樹脂成形品Bを長尺物などと
して使用する際に温度変化に応じて伸縮が大きく生じて
寸法安定性が悪くなる等の問題が発生するおそれがあ
る。線膨張係数は小さいほうが望ましいが、自ずと限界
があり、2×10-5/℃が実用上の下限である。
【0038】このとき、上記の圧延を行なうことによっ
て図1(b)のように楕円状に延ばされる分散相2は、
分散相2の最大部分の長さ、つまり圧延方向での分散相
2の最大長さ(L1)が、圧延された樹脂成形品Bの板
厚方向での分散相2の最大部分の長さ(L2)の2倍以
上(L1/L2>2)になっていることが、圧延による弾
性率や線膨張係数を改善する効果を高く得るうえで好ま
しい。このL1/L2は大きい程好ましいが、実用的には
5倍程度が上限である。
【0039】尚、上記のように圧延して分散相2を配向
させる方法としては、図2のようにロール1に通して行
なう方法の他に、樹脂をガラス転移温度以上の温度で引
き延ばす方法や、流動状態で高速にスリット状の隙間を
通して急冷する方法などでも可能である。
【0040】上記の図2のように、分散相を含有する熱
可塑性非晶質樹脂を押出し成形した押出し成形品Aを一
対のロール1の間に通して圧延する場合、押出し成形品
Aをその樹脂の塑性変形可能な温度に加温した後、ロー
ル1に通して圧延を行なうのがよい。このときの押出し
成形品Aの加熱温度は、樹脂のガラス転移温度より30
℃低い温度(ガラス転移温度−30℃)から、樹脂のガ
ラス転移温度より60℃高い温度(ガラス転移温度+6
0℃)までの温度範囲に設定するのが好ましい。押出し
成形品Aの温度がこの温度範囲より低い温度では圧延が
困難になると共に、圧延時に成形品の表面に白化が顕著
に発生するおそれがある。逆に押出し成形品Aの温度が
この温度範囲より高い温度では、圧延による弾性率や線
膨張係数を改善する効果を高く得ることができないおそ
れがある。
【0041】またこのとき、一対のロール1は二本とも
同じ温度である必要はないが、各ロール1の温度を、押
出し成形品Aの樹脂のガラス転移温度より50℃低い温
度(ガラス転移温度−50℃)から、樹脂のガラス転移
温度までの温度範囲に設定しておくのが好ましい。ロー
ル1の温度がこの温度範囲より低い温度では圧延の作業
性が悪くなると共に、成形品の表面に白化が発生し易く
なるおそれがある。逆にこの温度範囲より高い温度で
は、圧延による弾性率や線膨張係数を改善する効果が低
下するおそれがある。
【0042】圧延の際の上記の各温度の影響による現象
は、温度が高すぎるときには、流動による塑性変形が生
じ易くなって、樹脂中の分散相の分子が引き延ばされた
状態で配向することが起こり難くなることから生じるも
のであり、また温度が低過ぎるときには、圧延による応
力で樹脂に破断等の欠損が起こることから生じるもので
ある。
【0043】ちなみに、ガラス転移温度が110℃のA
BS樹脂の押出し成形品Aを圧延前の厚み2.5mmか
ら圧延後の厚み2mmへと1.25倍の圧延倍率で圧延
するにあたって、押出し成形品Aを60℃に加熱すると
共にロール1の温度を40℃に設定すると、樹脂成形品
Bの弾性率は3GPa、線膨張係数は5×10-5/℃で
あったが、温度が低過ぎるので、表面に白化が生じるも
のであった。またこのABS樹脂の押出し成形品Aを圧
延前の厚み2.5mmから圧延後の厚み1mmへと2.
5倍の圧延倍率で圧延するにあたって、押出し成形品A
を180℃に加熱すると共にロール1の温度を120℃
に設定すると、樹脂成形品Bの外観は良好であったが、
温度が高すぎるので、弾性率は2GPa、線膨張係数は
9×10 -5/℃であり、弾性率や線膨張係数を改善する
効果は得られなかった。
【0044】さらに、ガラス転移温度が110℃のAA
S樹脂の押出し成形品Aを圧延前の厚み5mmから圧延
後の厚み2mmへと2.5倍の圧延倍率で圧延するにあ
たって、押出し成形品Aを130℃に加熱すると共にロ
ール1の温度を120℃に設定すると、ロール1の温度
が高すぎるので、樹脂成形品Bの弾性率は2GPa、線
膨張係数は8×10-5/℃であり、弾性率や線膨張係数
を改善する効果は得られなかった。またこのAAS樹脂
の押出し成形品Aを同じ圧延倍率で圧延するにあたっ
て、押出し成形品Aを130℃に加熱すると共にロール
1の温度を50℃に設定すると、ロール1の温度が低過
ぎるので、押出し成形品Aの抵抗が強くて圧延すること
ができなかった。さらにこのAAS樹脂の押出し成形品
Aを同じ圧延倍率で圧延するにあたって、押出し成形品
Aを180℃に加熱すると共にロール1の温度を90℃
に設定すると、押出し成形品Aの加熱温度が高過ぎて、
押出し成形品Aのうねりが多くて圧延することができな
かった。さらにこのAAS樹脂の押出し成形品Aを同じ
圧延倍率で圧延するにあたって、押出し成形品Aを70
℃に加熱すると共にロール11の温度を80℃に設定す
ると、押出し成形品Aの加熱温度が低過ぎて、押出し成
形品Aの抵抗が強くて圧延することができなかった。
【0045】また、上記のように圧延して得られた樹脂
成形品Bを熱処理するようにしてもよい。熱処理の温度
は、樹脂のガラス転移温度より数十℃程度低い温度が好
ましく、特に70〜100℃の温度範囲が好ましい。加
熱時間は特に設定されないが、2分〜1時間程度の範囲
が望ましく、この範囲の時間加熱した後、冷却を行なう
のである。このとき、樹脂成形品Bに圧延方向に引っ張
り応力を加えながら熱処理を行なうようにしてもよい。
そして圧延して得られた樹脂成形品Bにこのように熱処
理を行なうことによって、樹脂成形品Bの弾性率をさら
に向上させることができると共に熱膨張係数をさらに低
減することができるものである。熱処理の温度が70℃
未満であると、弾性率や線膨張係数を改善する効果を充
分に得ることができない。逆に熱処理の温度が100℃
を超えると、弾性率や線膨張係数は却って悪くなるおそ
れがあると共に樹脂成形品Bに変形が生じるおそれがあ
る。
【0046】ちなみに、ガラス転移温度が110℃のA
BS樹脂の押出し成形品Aを110℃に加熱すると共に
ロール1の温度を80℃に設定して、圧延前の厚み2.
5mmから圧延後の厚み1mmへと2.5倍の圧延倍率
で圧延した後、130℃の温度で5分間熱処理した場
合、熱処理温度が高過ぎるので、樹脂成形品Bの弾性率
は2GPa、線膨張係数は9×10-5/℃であり、弾性
率や線膨張係数を改善する効果は得られず、しかも表面
に凹凸が発生するものであった。
【0047】そして上記のように分散相を含有する熱可
塑性非晶質樹脂を押出し成形した押出し成形品Aを圧延
して樹脂成形品Bを成形するにあたって、圧延倍率(圧
延前の押出し成形品Aの厚みをT1、圧延後の樹脂成形
品Bの厚みをT2としたとき、圧延倍率=T1/T2)は
1.2〜5倍の範囲に設定するのが好ましい。図2のよ
うに一対のロール1の間に押出し成形品Aを通して圧延
する場合、押出し成形品Aの厚みとロール1間のクリア
ランスの比率の設定によって、圧延倍率を容易に規定す
ることができるものである。
【0048】ここで、圧延して得られた樹脂成形品Bの
圧延倍率が大きくなるにつれて、弾性率を向上すると共
に線膨張係数は低減する。従って、圧延倍率が1.2倍
未満であると、弾性率や線膨張係数を改善する効果を充
分に得ることができない。一方、圧延倍率が大きくなり
過ぎても、弾性率や線膨張係数を改善する効果はそれ以
上向上せず、却って、圧延倍率が5倍を超えると切断が
生じたりして圧延ができなくなるおそれがある。
【0049】ちなみに、ガラス転移温度が110℃のA
BS樹脂の押出し成形品Aを110℃に加熱すると共に
ロール1の温度を80℃に設定して、圧延前の厚み2.
5mmから圧延後の厚み2.25mmへと約1.1倍の
圧延倍率で圧延した場合、圧延倍率が小さ過ぎるので、
樹脂成形品Bの弾性率は2GPa、線膨張係数は9×1
-5/℃であり、弾性率や線膨張係数を改善する効果は
得られなかった。
【0050】また、ガラス転移温度が110℃のAAS
樹脂の押出し成形品Aを130℃に加熱すると共にロー
ル1の温度を90℃に設定して、圧延前の厚み5mmか
ら圧延後の厚み4.5mmへと約1.1倍の圧延倍率で
圧延した場合、圧延倍率が小さ過ぎるので、樹脂成形品
Bの弾性率は2GPa、線膨張係数は8×10-5/℃で
あり、弾性率や線膨張係数を改善する効果は得られなか
った。さらに同じ条件でこのAAS樹脂を圧延前の厚み
5mmから圧延後の厚み0.8mmへと約6倍の圧延倍
率で圧延した場合、圧延倍率が大き過ぎるので、切断が
発生して圧延をすることができなかった。
【0051】そして、圧延して得られた樹脂成形品B
は、厚みが0.5mm〜10mmの範囲であることが望
ましい。自動車用品、電気製品、住宅部材等の各種の用
途に用いるためには、厚みは0.5mm以上が必要であ
り、また10mmを超える厚みで使用されることは殆ど
無い。図2のように一対のロール1の間に押出し成形品
Aを通して圧延する場合、ロール1間のクリアランスの
設定によって、樹脂成形品Bの成形厚みを容易に規定す
ることができるものである。
【0052】ここで、ABS樹脂は耐候性が不十分であ
るので、ABS樹脂の成形品を屋外等で使用する場合に
は、ABS樹脂成形品の表面に耐候性に優れたアクリル
系樹脂を被覆し、耐候性を確保することがなされている
が、塗装や押出し成形によって形成されるアクリル系樹
脂の被覆では耐候性を向上させる効果を高く得ることが
できない。そこで本発明では、分散相を含有する熱可塑
性非晶質樹脂としてABS樹脂を用いて樹脂成形品Bを
製造するにあたって、図3に示すように、ABS樹脂の
押出し成形品Aの表面にアクリル系樹脂被覆層4を積層
し、これをロール1に通して圧延することによって樹脂
成形品Bを得るようにしている。このように圧延して得
られたABS樹脂の樹脂成形品Bの表面に積層されてい
るアクリル系樹脂被覆層4は、ロール1を通して圧延さ
れる際に緻密化されており、アクリル系樹脂被覆層4に
よる耐候性の向上の効果を高く得ることができるもので
ある。このアクリル系樹脂としては、ポリメチルメタク
リレート樹脂(PMMA樹脂)などを用いることができ
るが、圧延によって弾性率や線膨張係数が改善されるA
AS樹脂を用いるのが特に好ましい。
【0053】また、上記のように分散相を含有する熱可
塑性非晶質樹脂を押出し成形した押出し成形品Aを一対
のロール1間に通して圧延することによって樹脂成形品
Bを成形するにあたって、ロール1として外周の表面を
鏡面に仕上げたものを用いることによって、表面光沢に
優れた樹脂成形品Bを得ることができるものである。ま
た逆に、ロール1の外周表面の全面に微細な凹凸の梨地
模様を設けておくことによって、表面艶消しの樹脂成形
品Bを得ることができるものである。さらに図4に示す
ように、外周表面に凹凸5を設けたロール1を用いるこ
とによって、表面に凹凸模様を付けた樹脂成形品Bを成
形することができるものである。この凹凸5は一対のロ
ール1の一方に設けるようにしても、両方に設けるよう
にしてもいずれでもよい。
【0054】上記のようにABS樹脂を押出し成形した
後、この押出し成形品Aを圧延することによって得られ
る樹脂成形品Bは、図1(a)のようにAS樹脂の分散
媒3中に球状で分散しているポリブタジエンの分散相2
が、図1(b)のように圧延方向に延ばされることによ
って、分子が圧延方向に配向し、弾性率が向上すると共
に線膨張係数が低減するものである。しかしこの反面、
圧延した樹脂成形品Bを50〜80℃程度の温度で加熱
すると、AS樹脂の分散媒3が軟化してポリブタジエン
の分散相2が延ばされた形状から安定状態の球状に戻り
易くなる。そしてAS樹脂の分散媒3やポリブタジエン
の分散相2の熱膨張によるわずかな変形よりも、ポリブ
タジエンの分散相2が延ばされた形状から球状に戻るこ
とによる収縮のほうが大きくなると、樹脂成形品Bは圧
延方向において収縮することになる。
【0055】そこでこのような樹脂成形品Bの加熱によ
る寸法収縮を小さくして耐熱性を高めるために、ABS
樹脂としてポリブタジエンの含有量が少ないものを用い
るのが好ましい。ポリブタジエンの含有量が少ないと、
ポリブタジエンによる分散相2の量が少なくなり、ポリ
ブタジエンの分散相2が延ばされた形状から球状に戻る
ことによる収縮の程度を小さく抑えることができ、樹脂
成形品Bが圧延方向において寸法収縮することを低減す
ることができるものである。しかし、ポリブタジエンの
含有量を極端に低減すると、ABS樹脂の耐衝撃性が低
下するので、本発明では、ポリブタジエンの含有量が5
〜30質量%のABS樹脂を用いるのが好ましい。
【0056】また本発明にあって、樹脂成形品Bの加熱
による寸法収縮を小さくするために、ABS樹脂として
ガラス転移温度を上昇させる成分を添加してガラス転移
温度(Tg)を上昇させたものを用いるようにすること
もできる。すなわち、ABS樹脂のガラス転移温度を高
めることによって、樹脂成形品Bに熱変形が生じ始める
温度を高温側へシフトさせることができ、樹脂成形品B
の加熱による寸法収縮を小さくして耐熱性を高めること
ができるのである。ABS樹脂のガラス転移温度を上昇
させる成分としては、N−フェニルマレイミドやα−メ
チルスチレンを用いることができ、これらは単独で用い
る他、併用することもできる。N−フェニルマレイミド
やα−メチルスチレンの添加量は、ABS樹脂に対して
5〜20質量%の範囲が好ましい。添加量が5質量%未
満であると、ガラス転移温度の上昇は殆ど見られないも
のであり、また20質量%を超えて添加してもガラス転
移温度の上昇の効果はそれ以上得ることができず、逆に
衝撃強度の低下が発生するおそれがある。
【0057】ここで、上記のようにABS樹脂にN−フ
ェニルマレイミドやα−メチルスチレンを添加してガラ
ス転移温度を高めるにあたって、ガラス転移温度を効率
良くアップさせるには、ABS樹脂内にN−フェニルマ
レイミドやα−メチルスチレンを均一に分散させる必要
がある。すなわち、ABS樹脂内にN−フェニルマレイ
ミドやα−メチルスチレンを添加する方法としては、ア
クリロニトリルとスチレン及びN−フェニルマレイミド
あるいはα−メチルスチレンを重合させた共重合体と、
ポリブタジエンラテックス存在下でアクリロニトリルと
スチレンを重合させたグラフト重合体とをブレンドする
方法が従来から一般的であるが、このようにして得られ
るABS樹脂では、樹脂内にN−フェニルマレイミドや
α−メチルスチレンが多く含まれる部分が存在し、AB
S樹脂のガラス転移温度を高める効果を効率高く得るこ
とができず、また圧延を行なう際にこのN−フェニルマ
レイミドやα−メチルスチレンが多く含まれた部分が延
ばされ難く、圧延による物性値の向上の効果が小さい。
【0058】そこで、ABS樹脂内にN−フェニルマレ
イミドやα−メチルスチレンを均一に分散させるために
は、次のようにしてABS樹脂を製造するのが好まし
い。まず、ポリブタジエンラテックス中でアクリロニト
リルとスチレン及びN−フェニルマレイミドあるいはα
−メチルスチレンさらに必要に応じて他の添加物を重合
させてグラフト重合体を調製し、またアクリロニトリル
とスチレン及びN−フェニルマレイミドあるいはα−メ
チルスチレンさらに必要に応じて他の添加物を重合させ
て共重合体を調製する。そして前者のグラフト重合体と
後者の共重合体を溶融状態でブレンドすることによっ
て、N−フェニルマレイミドやα−メチルスチレンを均
一に分散させたABS樹脂を得ることができるものであ
り、このものではN−フェニルマレイミドやα−メチル
スチレンはアクリルニトリルとスチレンの共重合体より
なる分散媒3内に均一に分散している。
【0059】また、ABS樹脂の耐熱性を向上させるた
めにガラス転移温度を高めるにあたっては、ABS樹脂
にガラス転移温度がABS樹脂よりも高い樹脂材料を複
合してアロイ化することによっても行なうことができ
る。ABS樹脂よりもガラス転移温度が高く、かつAB
S樹脂とアロイ化が可能な樹脂材料としては、ポリカー
ボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PB
T)などがあるが、ABS樹脂とポリブチレンテレフタ
レートを複合化したABS/PBTアロイはPBT成分
が結晶化するために、圧延成形には適さない。一方、A
BS樹脂とポリカーボネートを複合化したABS/PC
アロイは圧延性に優れており、本発明ではABS樹脂と
してポリカーボネートをアロイ化したものを用いるのが
好ましい。
【0060】樹脂成形品Bの加熱による寸法収縮を小さ
くするためには、圧延して得られた樹脂成形品Bを、寸
法変化しないように固定した状態で、この樹脂成形品B
のガラス転移温度(ヤング率が急激に低下する温度)か
ら、ガラス転移温度より30℃低い温度(ガラス転移温
度−30℃)までの温度範囲で加熱する熱処理をするこ
とによっても行なうことができる。樹脂成形品Bを寸法
変化しないように固定するには、樹脂成形品Bの圧延方
向の両端をクランプ具などで掴んで固定するようにすれ
ばよく、この状態で樹脂成形品Bを熱処理することによ
って、樹脂成形品Bの寸法安定性を高めることができ、
樹脂成形品Bの加熱による寸法収縮を小さくすることが
できるものであり、また樹脂成形品Bに反りやうねり等
の変形があっても、このような変形が無くなって平滑な
樹脂成形品Bを得ることができるものである。加熱時間
は2分以上が好ましく、2分未満の加熱であると効果を
十分に得ることができない、加熱時間の上限は特に設定
されないが、60分を超えて加熱を行なっても、効果が
それ以上高くなることは期待できない。
【0061】この熱処理を適用して好ましい樹脂として
は、ABS樹脂、AAS樹脂の他に、HI−PS樹脂
(ハイインパクトポリスチレン)、ポリカーボネート樹
脂を挙げることができる。またABS樹脂を用いる場合
には、上記のようにN−フェニルマレイミドやα−メチ
ルスチレンを添加したものや、ポリカーボネート樹脂を
アロイ化したものを用いるのが、上記の熱処理による効
果を特に高く得ることができるので好ましい。さらにA
BS樹脂としてポリブタジエン成分(ゴム成分)を5〜
30質量%含有するものは、上記の熱処理による効果を
特に高く得ることができるので好ましい。
【0062】ちなみに、N−フェニルマレイミドを5〜
30質量%添加したABS樹脂、ゴム成分が5質量%の
ABS樹脂、ゴム成分が30質量%のABS樹脂、HI
−PS樹脂をそれぞれ用い、これらの樹脂を押出し成形
して押出し成形品Aを作製すると共に、この押出し成形
品Aを圧延することによって得られた樹脂成形品Bにつ
いて、圧延方向の両端をクランプ具で掴んで固定し、表
1の熱処理条件で加熱した。そして熱処理をした後の樹
脂成形品Bの寸法収縮率を測定し、また比較のために熱
処理しない樹脂成形品Bについても寸法収縮率を測定し
た。寸法収縮率の測定は、樹脂成形品Bを80℃の恒温
槽に24時間放置して加熱し、そして加熱する前の寸法
と加熱後の寸法をそれぞれ計測することによって行なっ
た。結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】表1にみられるように、熱処理を行なうこ
とによって、寸法収縮率が小さくなっており、耐熱性が
向上していることがみられる。また樹脂成形品Bは反り
やうねりが解消されていた。
【0065】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0066】(実施例1)東レ(株)製のABS樹脂ペ
レット「トヨラック600」を用い、これを押出し成形
温度200℃で押出し成形し、厚み2.5mmの押出し
成形品Aを得た。このように成形したABS樹脂のガラ
ス転移温度を粘弾性スペクトロメーターによって測定し
たところ、約110℃であった。
【0067】次にこの押出し成形品Aを110℃で加熱
し、110℃に温度制御された二本のロール1間に通す
ことによって圧延した。このとき、極端に引き延ばされ
ない程度の引っ張り応力を与えながらロール1間に通し
て圧延を行ない、圧延して得られた厚み1mmの樹脂成
形品Bを冷風で冷却した。
【0068】このように圧延して得た樹脂成形品Bにつ
いて、弾性率をASTM D790に準拠して、線膨張
係数をASTM D696に準拠してそれぞれ測定し、
その結果を表2に示した。また樹脂成形品Bを圧延方向
に沿った線で厚み方向に切断し、その切断面の電子顕微
鏡による透過写真を図5(a)に示す。
【0069】比較のために、圧延する前の押出し成形品
Aについて、弾性率及び線膨張係数を測定し、その結果
を比較例1として表2に示した。また圧延する前の押出
し成形品Aの同様な切断面の電子顕微鏡による透過写真
を図5(b)に示す。
【0070】
【表2】
【0071】図5(b)の電子顕微鏡写真にみられるよ
うに、圧延する前の押出し成形品Aでは、アクリロニト
リルとスチレンの共重合体からなる分散媒3中に分散し
ているポリブタジエンからなる分散相2は球状である
が、図5(a)の電子顕微鏡写真にみられるように、ロ
ール1に通して圧延した樹脂成形品Bでは、分散相2は
圧延方向に延伸するように延ばされ、厚み方向に扁平に
なると共に圧延方向に長い楕円状に変形し、かつこの楕
円状の総ての分散相2は長手方向が圧延方向に向いて配
向しているものであった。そして図5(a)の電子顕微
鏡写真にみられるように、分散相2の最大長さは、板厚
方向での分散相2の最大値の2倍以上であることが確認
された。
【0072】また表2にみられるように、圧延して得ら
れた実施例1の樹脂成形品Bは、圧延前の比較例1より
も、弾性率が向上し、線膨張率が低減しているものであ
った。
【0073】(実施例2〜9)東レ(株)製のABS樹
脂ペレット「トヨラック600」を用い、これを押出し
成形温度200℃で押出し成形し、厚み2.5mm〜1
2.5mmの押出し成形品Aを得た。
【0074】次にこの押出し成形品Aを柔らかくはなる
が流動はしない温度である70℃〜160℃で加熱し
た。そしてこの押出し成形品Aを50℃〜100℃に温
度制御された二本のロール1間に通すことによって圧延
した。このとき、極端に引き延ばされない程度の引っ張
り応力を与えながらロール1間に通して圧延を行ない、
圧延して得られた厚み0.5mm〜10mmの樹脂成形
品Bを冷風で冷却した。
【0075】このように圧延して得た実施例2〜9の樹
脂成形品Bについて、弾性率をASTM D790に準
拠して、線膨張係数をASTM D696に準拠してそ
れぞれ測定し、その結果を表3に示した。また比較のた
めに、圧延する前の押出し成形品Aについて、弾性率及
び線膨張係数を測定し、その結果を比較例2として表3
に示した。
【0076】
【表3】
【0077】表3にみられるように、各実施例のもの
は、比較例2のものよりも、弾性率が向上し、線膨張係
数が低減しているものであった。
【0078】(実施例10)実施例3と同様に、東レ
(株)製のABS樹脂ペレット「トヨラック600」を
押出し成形すると共に圧延して得られた樹脂成形品B
を、70℃で60分間熱処理した後、冷風で冷却した。
【0079】(実施例11)実施例3と同様に、東レ
(株)製のABS樹脂ペレット「トヨラック600」を
押出し成形すると共に圧延して得られた樹脂成形品B
を、90℃で5分間処理した後、冷風で冷却した。
【0080】このように圧延して得た実施例10,11
の樹脂成形品Bについて、弾性率をASTM D790
に準拠して、線膨張係数をASTM D696に準拠し
てそれぞれ測定し、その結果を表4に示した。
【0081】
【表4】
【0082】表4にみられるように、各実施例10,1
1のものは、熱処理をしていない実施例3よりもさら
に、弾性率が向上しているものであった。
【0083】(実施例12)東レ(株)製のABS樹脂
ペレット「トヨラック600」を用い、また日立化成
(株)製のAAS樹脂ペレット「バイタックスV670
0」を用い、これらを押出し成形温度200℃で二層押
出し成形し、厚み2.0mmのABS樹脂の層の表面に
厚み0.5mmのAAS樹脂の被覆層4を積層した厚み
2.5mmの押出し成形品Aを得た。
【0084】次にこの押出し成形品AをABS樹脂やA
AS樹脂が柔らかくはなるが流動はしない温度である1
10℃で加熱すると共に、80℃に温度制御された二本
のロール1間に通すことによって圧延した。このとき、
極端に引き延ばされない程度の引っ張り応力を与えなが
らロール1間に通して圧延を行ない、圧延して得られた
厚み1mmの樹脂成形品Bを冷風で冷却した。
【0085】このように圧延して得た実施例12の樹脂
成形品Bについて、弾性率をASTM D790に準拠
して、線膨張係数をASTM D696に準拠してそれ
ぞれ測定し、さらにこの樹脂成形品Bについてサンシャ
インウェザオメーターを用いて500時間の耐候性試験
をして、耐候性試験の前後での色差(ΔE)を色差計で
測定した。また比較のために、上記のABS樹脂とAA
S樹脂を二層押出し成形し、ABS樹脂が0.8mm、
AAS樹脂が0.2mmとなった厚み1mmの押出し成
形品を作製し(比較例3)、またABS樹脂のみで厚み
1mmの押出し成形品を作製し(比較例4)、これらに
ついて弾性率及び線膨張係数を測定すると共に、耐候性
試験をして色差を測定した。その結果を表5に示した。
【0086】
【表5】
【0087】(実施例13)東レ(株)製のABS樹脂
ペレット「トヨラック600」を用い、これを押出し成
形温度200℃で押出し成形し、厚み2.5mmの押出
し成形品Aを得た。次にこの押出し成形品Aを110℃
で加熱し、外周表面が鏡面に仕上げられ、80℃に温度
制御された二本のロール1間に押出し成形品Aを通すこ
とによって圧延した。このとき、極端に引き延ばされな
い程度の引っ張り応力を与えながらロール1間に通して
圧延を行ない、圧延して得られた厚み1mmの樹脂成形
品Bを冷風で冷却した。
【0088】(実施例14)東レ(株)製のABS樹脂
ペレット「トヨラック600」を用い、また日立化成
(株)製のAAS樹脂ペレット「バイタックスV670
0」を用い、これを押出し成形温度200℃で二層押出
し成形し、厚み2.0mmのABS樹脂の層の表面に厚
み0.5mmのAAS樹脂の被覆層4を積層した厚み
2.5mmの押出し成形品Aを得た。次にこの押出し成
形品Aを110℃で加熱し、外周表面が鏡面に仕上げら
れ、80℃に温度制御された二本のロール1間に押出し
成形品Aを通すことによって圧延した。このとき、極端
に引き延ばされない程度の引っ張り応力を与えながらロ
ール1間に通して圧延を行ない、圧延して得られた厚み
1mmの樹脂成形品Bを冷風で冷却した。
【0089】(実施例15)外周表面を梨地に仕上げた
ロール1を用いるようにした他は、実施例13と同様に
した。
【0090】(実施例16)外周表面を梨地に仕上げた
ロール1を用いるようにした他は、実施例14と同様に
した。
【0091】このように圧延して得た実施例13〜16
の樹脂成形品Bについて、その表面の光沢度を堀場製作
所製「グロスチェッカーIG−330」で測定した。ま
た比較のために、実施例13で得たABS樹脂の厚み
2.5mmの押出し成形品Aについて(比較例5)、実
施例14で得たABS樹脂とAAS樹脂の二層押出し成
形品Aについて(比較例6)、それぞれ光沢度を測定し
た。これらの結果を表6に示す。
【0092】
【表6】
【0093】(実施例17〜25)日立化成(株)製の
AAS樹脂ペレット「バイタックスV6700」を用
い、これを押出し成形温度200℃で押出し成形し、厚
み5mm〜10mmの押出し成形品Aを得た。このよう
に成形したAAS樹脂のガラス転移温度を粘弾性スペク
トロメーターによって測定したところ、約110℃であ
った。
【0094】次にこの押出し成形品Aを柔らかくはなる
が流動はしない温度である90℃〜170℃で加熱し
た。そしてこの押出し成形品Aを60℃〜110℃に温
度制御された二本のロール1間に通すことによって圧延
した。このとき、極端に引き延ばされない程度の引っ張
り応力を与えながらロール1間に通して圧延を行ない、
圧延して得られた厚み1mm〜8mmの樹脂成形品Bを
冷風で冷却した。
【0095】このように圧延して得た実施例17〜25
の樹脂成形品Bについて、弾性率をASTM D790
に準拠して、線膨張係数をASTM D696に準拠し
てそれぞれ測定し、その結果を表7に示した。また比較
のために、圧延する前の厚み2mmの押出し成形品Aに
ついて、弾性率及び線膨張係数を測定し、その結果を比
較例7として表7に示した。
【0096】
【表7】
【0097】表7にみられるように、各実施例のもの
は、比較例7のものよりも、弾性率が向上し、線膨張係
数が低減しているものであった。
【0098】(実施例26)ゲル含有率が80質量%の
ポリブタジエンラテックスを固形物換算で60質量部と
り、これにアクリロニトリル30質量部とスチレン70
質量部よりなる単重合体混合物を40質量部加えて乳化
重合することによって、パウダー状のグラフト共重合体
を得た。次に、このグラフト共重合体(イ)に、アクリ
ロニトリル30質量部とスチレン70質量部よりなる単
量体混合物を乳化重合することにより得られたパウダー
状の共重合体(ロ)を、(イ):(ロ)=1:11の質
量比でブレンドし、これを溶融、押出し成形、粉砕の各
処理をすることによって、ポリブタジエンの含有率が5
質量%のABS樹脂を得た。
【0099】そしてこのABS樹脂を押出し成形温度2
00℃で押出し成形し、厚み2.5mmの押出し成形品
Aを得た。次にこの押出し成形品Aを110℃で加熱
し、110℃に温度制御された二本のロール1間に通し
て圧延することによって、厚み1mmの樹脂成形品Bを
得た。
【0100】(実施例27)実施例26において、
(イ):(ロ)=1:5の質量比でブレンドすることに
よって、ポリブタジエンの含有率が10質量%のABS
樹脂を得た。後は、このABS樹脂を用いて実施例26
と同様にして樹脂成形品Bを得た。
【0101】(実施例28)実施例26において、
(イ):(ロ)=1:3の質量比でブレンドすることに
よって、ポリブタジエンの含有率が15質量%のABS
樹脂を得た。後は、このABS樹脂を用いて実施例26
と同様にして樹脂成形品Bを得た。
【0102】(比較例8)実施例26において、
(イ):(ロ)=1:14の質量比でブレンドすること
によって、ポリブタジエンの含有率が4質量%のABS
樹脂を得た。後は、このABS樹脂を用いて実施例26
と同様にして樹脂成形品Bを得た。
【0103】(比較例9)実施例26において、
(イ):(ロ)=1:2の質量比でブレンドすることに
よって、ポリブタジエンの含有率が20質量%のABS
樹脂を得た。後は、このABS樹脂を用いて実施例26
と同様にして樹脂成形品Bを得た。
【0104】このようにして得た実施例26〜28及び
比較例8〜9の樹脂成形品Bについて、IZOD衝撃値
をASTM−D698(ノッチ付き)に準拠して測定
し、また加熱による寸法収縮率を測定した。寸法収縮率
は、樹脂成形品Bを80℃の恒温槽に24時間放置して
加熱し、そして加熱する前の寸法L0と加熱後の寸法L1
をそれぞれ25℃の品温で測定し、 寸法収縮率(%)=(L0−L1)/L0×100 から求めた。結果を表8に示す。
【0105】
【表8】
【0106】表8にみられるように、ABS樹脂として
ポリブタジエンの含有率が5〜15質量%のものを用い
ることによって、耐衝撃性を低下させることなく、加熱
による寸法収縮を低減して耐熱性を向上することができ
るものである。
【0107】(実施例29)ゲル含有率が80質量%の
ポリブタジエンラテックスを固形物換算で60質量部と
り、これにアクリロニトリル30質量部とスチレン70
質量部よりなる単重合体混合物を40質量部加えて乳化
重合することによって、パウダー状のグラフト共重合体
を得た。次に、このグラフト共重合体(イ)に、アクリ
ロニトリル30質量部とスチレン70質量部とN−フェ
ニルマレイミド11質量部よりなる単量体混合物を乳化
重合することにより得られたパウダー状の共重合体
(ロ)を、(イ)100質量部に対して(ロ)90質量
部の質量比でブレンドし、これを溶融、押出し成形、粉
砕の各処理をすることによって、N−フェニルマレイミ
ドを5質量%含有するペレット状のABS樹脂を得た。
【0108】そしてこのABS樹脂を押出し成形温度2
00℃で押出し成形し、厚み3mmの押出し成形品Aを
得た。次にこの押出し成形品Aを110℃で加熱し、1
10℃に温度制御された二本のロール1間に通して圧延
することによって、厚み1mmの樹脂成形品Bを得た。
【0109】(実施例30)実施例29で得たグラフト
共重合体(イ)に、アクリロニトリル30質量部とスチ
レン70質量部とN−フェニルマレイミド25質量部よ
りなる単量体混合物を乳化重合することにより得られた
パウダー状の共重合体(ハ)を、(イ)100質量部に
対して(ハ)80質量部の質量比でブレンドし、これを
溶融、押出し成形、粉砕の各処理をすることによって、
N−フェニルマレイミドを10質量%含有するペレット
状のABS樹脂を得た。後は、このABS樹脂を用いて
実施例29と同様にして樹脂成形品Bを得た。
【0110】(実施例31)実施例29で得たグラフト
共重合体(イ)に、アクリロニトリル30質量部とスチ
レン70質量部とN−フェニルマレイミド66質量部よ
りなる単量体混合物を乳化重合することにより得られた
パウダー状の共重合体(ニ)を、(イ)100質量部に
対して(ニ)60質量部の質量比でブレンドし、これを
溶融、押出し成形、粉砕の各処理をすることによって、
N−フェニルマレイミドを20質量%含有するペレット
状のABS樹脂を得た。後は、このABS樹脂を用いて
実施例29と同様にして樹脂成形品Bを得た。
【0111】(実施例32)実施例29で得たグラフト
共重合体(イ)に、アクリロニトリル30質量部とスチ
レン70質量部とα−メチルスチレン11質量部よりな
る単量体混合物を乳化重合することにより得られたパウ
ダー状の共重合体(ホ)を、(イ)100質量部に対し
て(ホ)90質量部の質量比でブレンドし、これを溶
融、押出し成形、粉砕の各処理をすることによって、α
−メチルスチレンを5質量%含有するペレット状のAB
S樹脂を得た。後は、このABS樹脂を用いて実施例2
9と同様にして樹脂成形品Bを得た。
【0112】(実施例33)実施例29で得たグラフト
共重合体(イ)に、アクリロニトリル30質量部とスチ
レン70質量部とα−メチルスチレン25質量部よりな
る単量体混合物を乳化重合することにより得られたパウ
ダー状の共重合体(ヘ)を、(イ)100質量部に対し
て(ヘ)80質量部の質量比でブレンドし、これを溶
融、押出し成形、粉砕の各処理をすることによって、α
−メチルスチレンを10質量%含有するペレット状のA
BS樹脂を得た。後は、このABS樹脂を用いて実施例
29と同様にして樹脂成形品Bを得た。
【0113】(実施例34)実施例29で得たグラフト
共重合体(イ)に、アクリロニトリル30質量部とスチ
レン70質量部とα−メチルスチレン66質量部よりな
る単量体混合物を乳化重合することにより得られたパウ
ダー状の共重合体(ト)を、(イ)100質量部に対し
て(ト)60質量部の質量比でブレンドし、これを溶
融、押出し成形、粉砕の各処理をすることによって、α
−メチルスチレンを20質量%含有するペレット状のA
BS樹脂を得た。後は、このABS樹脂を用いて実施例
29と同様にして樹脂成形品Bを得た。
【0114】(比較例10)実施例29で得たグラフト
共重合体(イ)に、アクリロニトリル30質量部とスチ
レン70質量部よりなる単量体混合物を乳化重合するこ
とにより得られたパウダー状の共重合体(チ)を、
(イ)100質量部に対して(チ)100質量部の質量
比でブレンドし、これを溶融、押出し成形、粉砕の各処
理をすることによって、N−フェニルマレイミド及びα
−メチルスチレンを含有しないペレット状のABS樹脂
を得た。後は、このABS樹脂を用いて実施例29と同
様にして樹脂成形品Bを得た。
【0115】(比較例11)実施例29で得たグラフト
共重合体(イ)に、アクリロニトリル30質量部とスチ
レン70質量部とN−フェニルマレイミド8.7質量部
よりなる単量体混合物を乳化重合することにより得られ
たパウダー状の共重合体(リ)を、(イ)100質量部
に対して(リ)92質量部の質量比でブレンドし、これ
を溶融、押出し成形、粉砕の各処理をすることによっ
て、N−フェニルマレイミドを4質量%含有するペレッ
ト状のABS樹脂を得た。後は、このABS樹脂を用い
て実施例29と同様にして樹脂成形品Bを得た。
【0116】(比較例12)実施例29で得たグラフト
共重合体(イ)に、アクリロニトリル30質量部とスチ
レン70質量部とN−フェニルマレイミド100質量部
よりなる単量体混合物を乳化重合することにより得られ
たパウダー状の共重合体(ヌ)を、(イ)100質量部
に対して(ヌ)50質量部の質量比でブレンドし、これ
を溶融、押出し成形、粉砕の各処理をすることによっ
て、N−フェニルマレイミドを25質量%含有するペレ
ット状のABS樹脂を得た。後は、このABS樹脂を用
いて実施例29と同様にして樹脂成形品Bを得た。
【0117】(比較例13)実施例29で得たグラフト
共重合体(イ)に、アクリロニトリル30質量部とスチ
レン70質量部とα−メチルスチレン8.7質量部より
なる単量体混合物を乳化重合することにより得られたパ
ウダー状の共重合体(ル)を、(イ)100質量部に対
して(ル)92質量部の質量比でブレンドし、これを溶
融、押出し成形、粉砕の各処理をすることによって、α
−メチルスチレンを4質量%含有するペレット状のAB
S樹脂を得た。後は、このABS樹脂を用いて実施例2
9と同様にして樹脂成形品Bを得た。
【0118】(比較例14)実施例29で得たグラフト
共重合体(イ)に、アクリロニトリル30質量部とスチ
レン70質量部とα−メチルスチレン100質量部より
なる単量体混合物を乳化重合することにより得られたパ
ウダー状の共重合体(ヲ)を、(イ)100質量部に対
して(ヲ)50質量部の質量比でブレンドし、これを溶
融、押出し成形、粉砕の各処理をすることによって、α
−メチルスチレンを25質量%含有するペレット状のA
BS樹脂を得た。後は、このABS樹脂を用いて実施例
29と同様にして樹脂成形品Bを得た。
【0119】このようにして得た実施例29〜34及び
比較例10〜14の樹脂成形品Bについて、IZOD衝
撃値をASTM−D698(ノッチ付き)に準拠して測
定し、また加熱による寸法収縮率を測定した。寸法収縮
率は、樹脂成形品Bを80℃の恒温槽に24時間放置し
て加熱し、そして加熱する前の寸法L0と加熱後の寸法
1をそれぞれ25℃の品温で測定し、 寸法収縮率(%)=(L0−L1)/L0×100 から求めた。結果を表9に示す。
【0120】
【表9】
【0121】表9にみられるように、ABS樹脂として
N−フェニルマレイミドやα−メチルスチレンを5〜2
0質量%含有するものを用いることによって、耐衝撃性
を低下させることなく、加熱による寸法収縮を50〜8
0%低減して耐熱性を向上することができるものであ
る。
【0122】(実施例35)ゲル含有率が80質量%の
ポリブタジエンラテックスを固形物換算で60質量部と
り、これにアクリロニトリル30質量部とスチレン70
質量部とN−フェニルマレイミド8質量部よりなる単重
合体混合物を40質量部加えて乳化重合することによっ
て、パウダー状のグラフト共重合体(イ)を得た。ま
た、アクリロニトリル30質量部とスチレン70質量部
とN−フェニルマレイミド8質量部よりなる単量体混合
物を乳化重合することにより得られたパウダー状の共重
合体(ロ)を得た。そしてグラフト共重合体(イ)10
0質量部に対して共重合体(ロ)90質量部の質量比で
ブレンドし、これを溶融、押出し成形、粉砕の各処理を
することによって、N−フェニルマレイミドを5質量%
含有するペレット状のABS樹脂を得た。
【0123】そしてこのABS樹脂を押出し成形温度2
00℃で押出し成形し、厚み3mmの押出し成形品Aを
得た。次にこの押出し成形品Aを110℃で加熱し、1
10℃に温度制御された二本のロール1間に通して圧延
することによって、厚み1mmの樹脂成形品Bを得た。
【0124】(実施例36)アクリロニトリル30質量
部とスチレン70質量部とN−フェニルマレイミド17
質量部よりなる単量体混合物を乳化重合することにより
得られたパウダー状の共重合体(ハ)を得た。そして実
施例35で得たグラフト共重合体(イ)100質量部に
対して共重合体(ハ)80質量部の質量比でブレンド
し、これを溶融、押出し成形、粉砕の各処理をすること
によって、N−フェニルマレイミドを10質量%含有す
るペレット状のABS樹脂を得た。後は、このABS樹
脂を用いて実施例35と同様にして樹脂成形品Bを得
た。
【0125】(実施例37)アクリロニトリル30質量
部とスチレン70質量部とN−フェニルマレイミド40
質量部よりなる単量体混合物を乳化重合することにより
得られたパウダー状の共重合体(ニ)を得た。そして実
施例35で得たグラフト共重合体(イ)100質量部に
対して共重合体(ニ)80質量部の質量比でブレンド
し、これを溶融、押出し成形、粉砕の各処理をすること
によって、N−フェニルマレイミドを20質量%含有す
るペレット状のABS樹脂を得た。後は、このABS樹
脂を用いて実施例35と同様にして樹脂成形品Bを得
た。
【0126】(比較例15)ゲル含有率が80質量%の
ポリブタジエンラテックスを固形物換算で60質量部と
り、これにアクリロニトリル30質量部とスチレン70
質量部よりなる単重合体混合物を40質量部加えて乳化
重合することによって、パウダー状のグラフト共重合体
(ホ)を得た。また、アクリロニトリル30質量部とス
チレン70質量部よりなる単量体混合物を乳化重合する
ことにより得られたパウダー状の共重合体(へ)を得
た。そしてグラフト共重合体(ホ)100質量部に対し
て共重合体(ヘ)100質量部の質量比でブレンドし、
これを溶融、押出し成形、粉砕の各処理をすることによ
って、N−フェニルマレイミドを含有しないペレット状
のABS樹脂を得た。
【0127】そしてこのABS樹脂を押出し成形温度2
00℃で押出し成形し、厚み3mmの押出し成形品Aを
得た。次にこの押出し成形品Aを80℃で加熱し、80
℃に温度制御された二本のロール1間に通して圧延する
ことによって、厚み1mmの樹脂成形品Bを得た。
【0128】(比較例16)ゲル含有率が80質量%の
ポリブタジエンラテックスを固形物換算で60質量部と
り、これにアクリロニトリル30質量部とスチレン70
質量部よりなる単重合体混合物を40質量部加えて乳化
重合することによって、パウダー状のグラフト共重合体
(ホ)を得た。また、アクリロニトリル30質量部とス
チレン70質量部とN−フェニルマレイミド20質量部
よりなる単量体混合物を乳化重合することにより得られ
たパウダー状の共重合体(ト)を得た。そしてグラフト
共重合体(ホ)100質量部に対して共重合体(ト)1
00質量部の質量比でブレンドし、これを溶融、押出し
成形、粉砕の各処理をすることによって、N−フェニル
マレイミドを10質量%含有するペレット状のABS樹
脂を得た。後は、このABS樹脂を用いて実施例35と
同様にして樹脂成形品Bを得た。
【0129】このようにして得た実施例35〜37及び
比較例15〜16の樹脂成形品Bについて、線膨張係数
をASTM−D696に準拠して測定し、弾性率をAS
TM−D790に準拠して測定し、IZOD衝撃値をA
STM−D698(ノッチ付き)に準拠して測定し、ま
た加熱による寸法収縮率を測定した。寸法収縮率は、樹
脂成形品Bを80℃の恒温槽に24時間放置して加熱
し、そして加熱する前の寸法L0と加熱後の寸法L1をそ
れぞれ25℃の品温で測定し、 寸法収縮率(%)=(L0−L1)/L0×100 から求めた。結果を表10に示す。
【0130】
【表10】
【0131】表10にみられるように、ABS樹脂とし
てN−フェニルマレイミドやα−メチルスチレンを均一
に分散させるように調製したものを用いることによっ
て、機械的特性や耐熱性を向上することができるもので
ある。
【0132】(実施例38)ABS樹脂とポリカーボネ
ートのアロイ品として東レ株式会社製「トヨラックPX
10」を用いた。そしてこれを押出し成形温度200℃
で押出し成形し、厚み2mmの押出し成形品Aを得た。
次にこの押出し成形品Aを110℃で加熱し、110℃
に温度制御された二本のロール1間に通して圧延するこ
とによって、厚み0.8mmの樹脂成形品Bを得た。
【0133】(比較例17)ABS樹脂(ポリカーボネ
ートを含まない)として東レ株式会社製「トヨラック6
00」を用いた。そしてこれを押出し成形温度200℃
で押出し成形し、厚み2mmの押出し成形品Aを得た。
次にこの押出し成形品Aを80℃で加熱し、80℃に温
度制御された二本のロール1間に通して圧延することに
よって、厚み0.8mmの樹脂成形品Bを得た。
【0134】このようにして得た実施例38と比較例1
7の樹脂成形品Bについて、加熱による寸法収縮率を測
定した。寸法収縮率は、樹脂成形品Bを80℃の恒温槽
に24時間放置して加熱し、そして加熱する前の寸法L
0と加熱後の寸法L1をそれぞれ25℃の品温で測定し、 寸法収縮率(%)=(L0−L1)/L0×100 から求めた。結果を表11に示す。
【0135】
【表11】
【0136】表11にみられるように、ABS樹脂とし
てポリカーボネートをアロイ化したものを用いることに
よって、加熱による寸法収縮を20%に低減して耐熱性
を向上することができるものである。
【0137】(実施例39)ガラス転移温度が100℃
のABS樹脂を用い、このABS樹脂を押出し成形温度
200℃で押出し成形し、厚み3mmの押出し成形品A
を得た。次にこの押出し成形品Aを80℃で加熱し、8
0℃に温度制御された二本のロール1間に通して圧延す
ることによって、厚み1mmの樹脂成形品Bを得た。
【0138】そしてこの樹脂成形品Bの圧延方向の両端
をクランプ具で掴んで固定し、表12に示すように、6
0℃、70℃、100℃の恒温槽に、2分間、5分間、
30分間、60分間入れて、熱処理をした。
【0139】このように熱処理した後の樹脂成形品Bに
ついて、加熱による寸法収縮率を測定した。寸法収縮率
は、樹脂成形品Bを80℃の恒温槽に24時間放置して
加熱し、そして加熱する前の寸法L0と加熱後の寸法L1
をそれぞれ25℃の品温で測定し、 寸法収縮率(%)=(L0−L1)/L0×100 から求めた。結果を表12に示す。
【0140】
【表12】
【0141】表12にみられるように、熱処理をしない
ものに比べて、70℃、100℃で2分以上熱処理した
ものは寸法収縮率が小さくなっており、耐熱性が向上し
ているものであった。また60℃で熱処理したものは寸
法収縮率の向上がみられず、熱処理はガラス転移温度−
30℃より高い温度で2分間以上行なう必要があること
が確認される。
【0142】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1に係る樹
脂成形品は、分散相を含有する熱可塑性非晶質樹脂を押
出し成形した後、圧延することによって製造され、分散
相及び分散媒が圧延方向に延ばされているものであるか
ら、分散相及び分散媒が圧延方向に延ばされることによ
る分子の配向で、樹脂成形品の弾性率を高めることがで
きると共に、線膨張係数を低減することができるもので
ある。
【0143】また、上記のように本発明の請求項2に係
る樹脂成形品の製造方法は、分散相を含有する熱可塑性
非晶質樹脂を押出し成形し、次いでこれを圧延すること
によって、分散相及び分散媒を圧延方向に延ばすように
したので、分散相及び分散媒を圧延方向に延ばすことに
よって分子を配向させることができ、樹脂成形品の弾性
率を高めることができると共に、線膨張係数を低減する
ことができるものである。
【0144】また請求項3の発明は、分散相を含有する
熱可塑性非晶質樹脂は、ABS樹脂とAAS樹脂の少な
くとも一方であることを特徴とするものであり、ABS
樹脂やAAS樹脂から作製した樹脂成形品の弾性率を高
めることができると共に、線膨張係数を低減することが
できるものである。
【0145】また請求項4の発明は、分散相を含有する
熱可塑性非晶質樹脂は、ポリブタジエンの含有量が5〜
30質量%のABS樹脂であることを特徴とするもので
あり、樹脂成形品の耐衝撃性を低下させることなく、樹
脂成形品の加熱時の寸法収縮を低減して耐熱性を高める
ことができるものである。
【0146】また請求項5の発明は、分散相を含有する
熱可塑性非晶質樹脂は、ガラス転移温度を上昇させる成
分が添加されたABS樹脂であることを特徴とするもの
であり、ガラス転移温度を高めることによって樹脂成形
品に熱変形が生じ始める温度を高温側へシフトさせるこ
とができ、樹脂成形品の加熱時の寸法収縮を低減して耐
熱性を高めることができるものである。
【0147】また請求項6の発明は、分散相を含有する
熱可塑性非晶質樹脂は、ガラス転移温度上昇成分として
N−フェニルマレイミドを5〜20質量%添加したAB
S樹脂であることを特徴とするものであり、N−フェニ
ルマレイミドの添加でガラス転移温度を高めることがで
き、樹脂成形品に熱変形が生じ始める温度を高温側へシ
フトさせることによって、樹脂成形品の加熱時の寸法収
縮を低減して耐熱性を高めることができるものである。
【0148】また請求項7の発明は、N−フェニルマレ
イミドはアクリルニトリルとスチレンの共重合体よりな
る分散媒内に均一に分散していることを特徴とするもの
であり、N−フェニルマレイミドの添加によるガラス転
移温度を高める作用を高く得ることができるものであ
る。
【0149】また請求項8の発明は、分散相を含有する
熱可塑性非晶質樹脂は、ガラス転移温度上昇成分として
α−メチルスチレンを5〜20質量%添加したABS樹
脂であることを特徴とするものであり、α−メチルスチ
レンの添加でガラス転移温度を高めることができ、樹脂
成形品に熱変形が生じ始める温度を高温側へシフトさせ
ることによって、樹脂成形品の加熱時の寸法収縮を低減
して耐熱性を高めることができるものである。
【0150】また請求項9の発明は、α−メチルスチレ
ンはアクリルニトリルとスチレンの共重合体よりなる分
散媒内に均一に分散していることを特徴とするものであ
り、α−メチルスチレンの添加によるガラス転移温度を
高める作用を高く得ることができるものである。
【0151】また請求項10の発明は、分散相を含有す
る熱可塑性非晶質樹脂は、ポリカーボネートをアロイ化
したABS樹脂であることを特徴とするものであり、ポ
リカーボネートのアロイ化でガラス転移温度を高めるこ
とができ、樹脂成形品に熱変形が生じ始める温度を高温
側へシフトさせることによって、樹脂成形品の加熱時の
寸法収縮を低減して耐熱性を高めることができるもので
ある。
【0152】また請求項11の発明は、圧延方向に延ば
された分散相の最大部分の長さが、樹脂成形品の厚み方
向での分散相の最大部分の厚みの2倍以上であるので、
分散相が延ばされることによる分子の配向性を高めるこ
とができ、弾性率と線膨張係数の改善の効果を高く得る
ことができるものである。
【0153】また請求項12の発明は、押出し成形され
た分散相を含有する熱可塑性非晶質樹脂を、1.2〜5
倍の圧延倍率に圧延するようにしたので、分散相が延ば
されることによる分子の配向性を高めることができ、弾
性率と線膨張係数の改善の効果を高く得ることができる
ものである。
【0154】また請求項13の発明は、圧延された樹脂
成形品の厚みは0.5〜10mmの範囲であることを特
徴とするものであり、樹脂成形品を自動車用品、電気製
品、住宅部材等の各種の用途に用いることが可能になる
ものである。
【0155】また請求項14の発明は、押出し成形され
た分散相を含有する熱可塑性非晶質樹脂を、当該樹脂の
ガラス転移温度−30℃からガラス転移温度+60℃の
温度範囲に加熱した状態で、当該樹脂のガラス転移温度
−50℃からガラス転移温度の温度範囲のロールに通し
て圧延するようにしたので、弾性率と線膨張係数の改善
の効果を高く得ることができるものである。
【0156】また請求項15の発明は、押出し成形され
た分散相を含有する熱可塑性非晶質樹脂を圧延した後、
70〜100℃の温度で加熱するようにしたので、弾性
率と線膨張係数の改善の効果を高く得ることができるも
のである。
【0157】また請求項16の発明は、分散相を含有す
る熱可塑性非晶質樹脂がABS樹脂であり、表面にアク
リル系樹脂を積層したこのABS樹脂を圧延することを
特徴とするので、ABS樹脂の耐候性を圧延して緻密化
されたアクリル系樹脂で向上させることができるもので
ある。
【0158】また請求項17の発明は、上記のアクリル
系樹脂としてAAS樹脂を用いるようにしたものであ
り、圧延されたAAS樹脂でABS樹脂の耐候性を高め
ることができると共に圧延によってAAS樹脂の弾性率
と線膨張係数を改善することもできるものである。
【0159】また請求項18の発明は、圧延された樹脂
成形品は弾性率が2.5GPa以上であることを特徴と
するものであり、樹脂成形品の剛性を高く得ることがで
きるものである。
【0160】また請求項19の発明は、圧延された樹脂
成形品は線膨張係数が2〜6×10 -5/℃であることを
特徴とするものであり、樹脂成形品の寸法安定性を高く
得ることができるものである。
【0161】また請求項20の発明は、圧延された樹脂
成形品を寸法変化しないように固定した状態で、当該樹
脂のガラス転移温度からガラス転移温度−30℃の間の
温度で加熱するようにしたので、樹脂成形品の寸法安定
性を高めることができ、樹脂成形品の加熱時の寸法収縮
を小さくして耐熱性を高めることができるものであり、
また樹脂成形品の反りやうねり等の変形を解消すること
ができるものである。
【0162】また請求項21の発明は、上記の加熱処理
を2分間以上行なうようにしたので、加熱処理による効
果を有効に得ることができるものである。
【0163】また請求項22の発明は、熱可塑性非晶質
樹脂は、ABS樹脂、AAS樹脂、HI−PS樹脂、ポ
リカーボネート樹脂から選ばれるものであることを特徴
とするものであり、上記の加熱処理による効果を高く得
ることができるものである。
【0164】また請求項23の発明は、上記ABS樹脂
が、N−フェニルマレイミドとα−メチルスチレンの少
なくとも一方を添加したもの、ポリカーボネート樹脂を
アロイ化したものから選ばれるものであることを特徴と
するものであり、上記の加熱処理による効果を高く得る
ことができるものである。
【0165】また請求項24の発明は、上記ABS樹脂
が、ポリブタジエン成分を5〜30質量%含有するもの
であることを特徴とするものであり、上記の加熱処理に
よる効果を高く得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例における樹脂の組織
を拡大してイメージ的に示すものであり、(a)は圧延
前の断面図、(b)は圧延後の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の一例の正面図である。
【図3】本発明の実施の形態の他の一例の正面図であ
る。
【図4】本発明の実施の形態の更に他の一例を示すもの
であり、(a)はロールの斜視図、(b)はイ部分の拡
大した断面図である。
【図5】(a)は実施例1の電子顕微鏡による透過写
真、(b)は比較例1の電子顕微鏡による透過写真であ
る。
【符号の説明】
1 ロール 2 分散相 3 分散媒 A 押出し成形品 B 樹脂成形品
フロントページの続き (72)発明者 揖斐 秀実 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 中井 隆 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA22 AA33 AA34 AA50 AA77 AF13 AF54 AH19 BA01 BB05 BB06 BB07 BC01 4F073 AA32 BA19 BA26 BA34 BB01 GA01 4F210 AA13 AA28 AB19 AG01 AR06 AR11 QA04 QC02 QD13 QD25 QG01 QG18

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散相を含有する熱可塑性非晶質樹脂を
    押出し成形した後、圧延することによって製造され、分
    散相及び分散媒が圧延方向に延ばされていることを特徴
    とする樹脂成形品。
  2. 【請求項2】 分散相を含有する熱可塑性非晶質樹脂を
    押出し成形し、次いでこれを圧延することによって、分
    散相及び分散媒を圧延方向に延ばすことを特徴とする樹
    脂成形品の製造方法。
  3. 【請求項3】 分散相を含有する熱可塑性非晶質樹脂
    は、ABS樹脂とAAS樹脂の少なくとも一方であるこ
    とを特徴とする請求項2に記載の樹脂成形品の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 分散相を含有する熱可塑性非晶質樹脂
    は、ポリブタジエンの含有量が5〜30質量%のABS
    樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の樹脂成形
    品の製造方法。
  5. 【請求項5】 分散相を含有する熱可塑性非晶質樹脂
    は、ガラス転移温度を上昇させる成分が添加されたAB
    S樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の樹脂成
    形品の製造方法。
  6. 【請求項6】 分散相を含有する熱可塑性非晶質樹脂
    は、ガラス転移温度上昇成分としてN−フェニルマレイ
    ミドを5〜20質量%添加したABS樹脂であることを
    特徴とする請求項5に記載の樹脂成形品の製造方法。
  7. 【請求項7】 N−フェニルマレイミドはアクリルニト
    リルとスチレンの共重合体よりなる分散媒内に均一に分
    散していることを特徴とする請求項6に記載の樹脂成形
    品の製造方法。
  8. 【請求項8】 分散相を含有する熱可塑性非晶質樹脂
    は、ガラス転移温度上昇成分としてα−メチルスチレン
    を5〜20質量%添加したABS樹脂であることを特徴
    とする請求項5に記載の樹脂成形品の製造方法。
  9. 【請求項9】 α−メチルスチレンはアクリルニトリル
    とスチレンの共重合体よりなる分散媒内に均一に分散し
    ていることを特徴とする請求項8に記載の樹脂成形品の
    製造方法。
  10. 【請求項10】 分散相を含有する熱可塑性非晶質樹脂
    は、ポリカーボネートをアロイ化したABS樹脂である
    ことを特徴とする請求項2に記載の樹脂成形品の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 圧延方向に延ばされた分散相の最大部
    分の長さが、樹脂成形品の厚み方向での分散相の最大部
    分の厚みの2倍以上であることを特徴とする請求項2乃
    至10のいずれかに記載の樹脂成形品の製造方法。
  12. 【請求項12】 押出し成形された分散相を含有する熱
    可塑性非晶質樹脂を、1.2〜5倍の圧延倍率に圧延す
    ることを特徴とする請求項2乃至11のいずれかに記載
    の樹脂成形品の製造方法。
  13. 【請求項13】 圧延された樹脂成形品の厚みは0.5
    〜10mmの範囲であることを特徴とする請求項2乃至
    12のいずれかに記載の樹脂成形品の製造方法。
  14. 【請求項14】 押出し成形された分散相を含有する熱
    可塑性非晶質樹脂を、当該樹脂のガラス転移温度−30
    ℃からガラス転移温度+60℃の温度範囲に加熱した状
    態で、当該樹脂のガラス転移温度−50℃からガラス転
    移温度の温度範囲のロールに通して圧延することを特徴
    とする請求項2乃至13のいずれかに記載の樹脂成形品
    の製造方法。
  15. 【請求項15】 押出し成形された分散相を含有する熱
    可塑性非晶質樹脂を圧延した後、70〜100℃の温度
    で加熱することを特徴とする請求項2乃至14のいずれ
    かに記載の樹脂成形品の製造方法。
  16. 【請求項16】 分散相を含有する熱可塑性非晶質樹脂
    がABS樹脂であり、ABS樹脂の表面にアクリル系樹
    脂を積層した押出し成形品を圧延することを特徴とする
    請求項2乃至15のいずれかに記載の樹脂成形品の製造
    方法。
  17. 【請求項17】 アクリル系樹脂としてAAS樹脂を用
    いることを特徴とする請求項16に記載の樹脂成形品の
    製造方法。
  18. 【請求項18】 圧延された樹脂成形品は弾性率が2.
    5GPa以上であることを特徴とする請求項2乃至17
    のいずれかに記載の樹脂成形品の製造方法。
  19. 【請求項19】 圧延された樹脂成形品は線膨張係数が
    2〜6×10-5/℃であることを特徴とする請求項2乃
    至18のいずれかに記載の樹脂成形品の製造方法。
  20. 【請求項20】 圧延された樹脂成形品を寸法変化しな
    いように固定した状態で、当該樹脂のガラス転移温度か
    らガラス転移温度−30℃の間の温度で加熱することを
    特徴とする請求項2乃至19のいずれかに記載の樹脂成
    形品の製造方法。
  21. 【請求項21】 加熱処理を2分間以上行なうことを特
    徴とする請求項20に記載の樹脂成形品の製造方法。
  22. 【請求項22】 熱可塑性非晶質樹脂は、ABS樹脂、
    AAS樹脂、HI−PS樹脂、ポリカーボネート樹脂か
    ら選ばれるものであることを特徴とする請求項20又は
    21に記載の樹脂成形品の製造方法。
  23. 【請求項23】 ABS樹脂が、N−フェニルマレイミ
    ドとα−メチルスチレンの少なくとも一方を添加したも
    の、ポリカーボネート樹脂をアロイ化したものから選ば
    れるものであることを特徴とする請求項22に記載の樹
    脂成形品の製造方法。
  24. 【請求項24】 ABS樹脂が、ポリブタジエン成分を
    5〜30質量%含有するものであることを特徴とする請
    求項22に記載の樹脂成形品の製造方法。
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