JP2003073507A - ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 流動性および溶融強度のバランスに優れたポ
リプロピレン系樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 分子量の異なる2つ以上の成分からな
り、分子量が最も高い成分の極限粘度が5(dL/g)
以上であり、分子量が最も低い成分の極限粘度の2倍以
上であるプロピレン系重合体100重量部と、特定の式
で示される亜リン酸エステル類0.01〜0.5重量部
からなり、190℃でのメルトテンション(MT、単
位:g)と230℃でのメルトフローレート(MFR、
単位:g/10分)が、 MT×Log(MFR)≧2 の関係を満足するポリプロピレン系樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリプロピレン系
樹脂組成物に関するものである。さらに詳しくは、溶融
強度に優れたポリプロピレン系樹脂組成物に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン系樹脂は、包装、容器、
家電製品、自動車部品等の分野で幅広く利用されてお
り、ポリプロピレン系樹脂には、例えば、包装用フィル
ム加工時の製膜安定性や容器の真空成形性の点で、高い
溶融強度が求められている。
【0003】溶融強度を高くする方法としては、従来か
ら、分子量の異なる複数の成分からなる重合体を用いる
方法が知られており、例えば、特開平11−22862
9号公報には、第一段階で極限粘度が5dl/g以上の
結晶性プロピレン系重合体成分を製造し、第二段階以降
で極限粘度が3dl/g未満の結晶性プロピレン系重合
体を連続的に製造して得られ、溶融強度、伸び特性およ
び流動性のバランスに優れるプロピレン系重合体が記載
されているが、現在では、より高い溶融強度を有するポ
リプロピレン系樹脂が求められている。
【0004】また、特開2000−53726号公報の
具体的な実施例には、二段階の重合からなる重合体であ
り、一段目のプロピレン系重合体のHLMFRが3〜1
0g/10分、二段目のみにおけるプロピレン系重合体
のMFRが8.5〜20g/10分、一段目と二段目の
重合体の組成比は45/55重量%〜50/50重量%
である、MFRが0.15〜0.5g/10分であり、
曲げ弾性率、耐熱性に優れ、ドローダウン性やフィッシ
ュアイが少ないシート成形に適したポリプロピレン系樹
脂および樹脂組成物が記載されている。しかし、上記の
特開2000−53726号公報に記載されているポリ
プロピレン系樹脂および樹脂組成物は、MFRが低いた
め、例えば、薄いフィルムに用いる場合等については、
流動性の改良が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、流動
性および溶融強度のバランスに優れたポリプロピレン系
樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実
情に鑑み、鋭意検討の結果、分子量の異なる2つ以上の
成分からなり、分子量が最も高い成分の極限粘度が特定
の範囲であり、分子量が最も低い成分の極限粘度の特定
数倍以上であり、配合量が特定であるプロピレン系重合
体と、配合量が特定の範囲である特定の亜リン酸エステ
ル類からなり、190℃でのメルトテンションと230
℃でのメルトフローレートが、特定の関係を満足するポ
リプロピレン系樹脂組成物が上記課題を解決できること
を見出し、本発明の完成に至った。
【0007】すなわち、本発明は、分子量の異なる2つ
以上の成分からなり、分子量が最も高い成分の極限粘度
が5(dL/g)以上であり、分子量が最も低い成分の
極限粘度の2倍以上であるプロピレン系重合体100重
量部と、下記一般式(I) (式中、R1、R2、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原
子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロ
アルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル
基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表
し、R3は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表
す。Xは硫黄原子もしくは−CHR6−基(R6は水素原
子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシク
ロアルキル基を示す。)を表し、nは0または1であ
る。Aは炭素数2〜8のアルキレン基又は*−CO(R
7)m−基(R7は炭素数1〜8のアルキレン基を、*は
酸素原子と結合する部分であることを示し、mは0また
は1である。)を表す。Y、Zは、いずれか一方がヒド
ロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7
〜12のアラルキルオキシ基を表し、もう一方が水素原
子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。)で示される
亜リン酸エステル類0.01〜0.5重量部からなり、
190℃でのメルトテンション(MT、単位:g)と2
30℃でのメルトフローレート(MFR、単位:g/1
0分)が、 MT×Log(MFR)≧2 の関係を満足するポリプロピレン系樹脂組成物に係るも
のである。以下、本発明について具体的に説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明で用いられるプロピレン系
重合体としては、プロピレンの単独重合体、プロピレン
とエチレンを重合して得られるプロピレン−エチレンラ
ンダム共重合体、プロピレンとα−オレフィンを重合し
て得られるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合
体、プロピレンとエチレンとα−オレフィンを重合して
得られるプロピレン−エチレン−α−オレフィンランダ
ム共重合体、または上記の重合体を組み合わせた重合体
が挙げられる。
【0009】α−オレフィンとして、好ましくは炭素数
4〜12のα−オレフィンであり、より好ましくは1−
ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
【0010】プロピレン−α−オレフィンランダム共重
合体としては、例えば、プロピレン−1−ブテンランダ
ム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合
体等が挙げられ、プロピレン−エチレン−α−オレフィ
ンランダム共重合体としては、例えば、プロピレン−エ
チレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エ
チレン−1−ヘキセンランダム共重合体等が挙げられ
る。
【0011】本発明で用いられるプロピレン系重合体
は、分子量の異なる2つ以上の成分からなり、その製造
方法としては、例えば、それぞれ個別に重合して得られ
た分子量の異なる2つ以上の重合体をブレンドする方
法、2種類以上の触媒を同時に用いて重合する方法、触
媒を変性させることによって複数の成分を同時に重合す
る方法、触媒を用いて第一の成分を重合した後、触媒を
失活させずに、触媒と第一の成分を次の工程以降へ移
し、次の工程以降で第一の成分と分子量が異なる成分を
重合する方法、または上記の方法を組み合わせた方法等
がある。
【0012】本発明で用いられるプロピレン系重合体の
製造方法として、好ましくは、溶融強度や生産性の観点
から、触媒を用いて第一の成分を重合した後、触媒を失
活させずに、触媒と第一の成分を次の工程以降へ移し、
次の工程以降で第一の成分と分子量が異なる成分を重合
する方法である。
【0013】本発明で用いられるプロピレン系重合体の
製造に用いられる重合触媒としては、立体規則性触媒が
用いられ、例えば、チーグラー型触媒、チーグラー・ナ
ッタ型触媒、シクロペンタジエニル環を有する周期表第
IV族の遷移金属化合物とアルキルアルミノキサンとの
組み合わせからなる触媒系、またはシクロペンタジエニ
ル環を有する周期表第IV族の遷移金属化合物とそれと
反応してイオン性の錯体を形成する化合物および有機ア
ルミニウム化合物との組み合わせからなる触媒系等が挙
げられる。
【0014】本発明で用いられるプロピレン系重合体に
おいて、分子量が最も高い成分の極限粘度は5(dL/
g)以上であり、分子量が最も低い成分の極限粘度の2
倍以上である。分子量が最も高い成分の極限粘度が5
(dL/g)未満の場合や分子量が最も低い成分の極限
粘度の2倍を超えない場合、溶融強度が不充分なことが
ある。
【0015】本発明で用いられる亜リン酸エステル類
は、下記一般式(I) (式中、R1、R2、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原
子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロ
アルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル
基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表
し、R3は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表
す。Xは硫黄原子もしくは−CHR6−基(R6は水素原
子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシク
ロアルキル基を示す。)を表し、nは0または1であ
る。Aは炭素数2〜8のアルキレン基又は*−CO(R
7)m−基(R7は炭素数1〜8のアルキレン基を、*は
酸素原子と結合する部分であることを示し、mは0また
は1である。)を表す。Y、Zは、いずれか一方がヒド
ロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7
〜12のアラルキルオキシ基を表し、もう一方が水素原
子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。)で示される
亜リン酸エステル類である。
【0016】式(I)で示される亜リン酸エステル類に
おいて、置換基R1、R2、R4及びR5はそれぞれ独立に
水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8の
シクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロア
ルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル
基を表す。R1、R2、R4は、炭素数1〜8のアルキル
基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12
のアルキルシクロアルキル基であることが好ましく、R
5は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5
〜8のシクロアルキル基であることが好ましい。ここ
で、炭素数1〜8のアルキル基の代表例としては、例え
ばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル
基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、
t−ブチル基、t−ペンチル基、i−オクチル基、t−
オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。ま
た炭素数5〜8のシクロアルキル基の代表例としては、
例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘ
プチル基、シクロオクチル基等が、炭素数6〜12のア
ルキルシクロアルキル基の代表例としては、例えば1−
メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル
基、1−メチル−4−i−プロピルシクロヘキシル基等
が挙げられる。炭素数7〜12のアラルキル基の代表例
としては、例えばベンジル基、α−メチルベンジル基、
α,α−ジメチルベンジル基等が挙げられる。
【0017】なかでも、R1、R4は、t−ブチル基、t
−ペンチル基、t−オクチル基等のt−アルキル基、シ
クロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基であるこ
とが好ましい。R2は、メチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル
基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基
等の炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、
とりわけメチル基、t-ブチル基、t-ペンチル基であるこ
とが好ましい。R5は、水素原子、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、
i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−
ペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基であることが
好ましい。
【0018】置換基R3は、水素原子又は炭素数1〜8
のアルキル基を表すが、炭素数1〜8のアルキル基とし
ては、例えば前記と同様のアルキル基が挙げられる。好
ましくは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であ
り、とりわけ水素原子又はメチル基であることが好まし
い。
【0019】また置換基Xは、nが0である場合、二つ
のフェノキシ基骨格を有する基が直接結合していること
を表し、nが1である場合、硫黄原子又は炭素数1〜8
のアルキルもしくは炭素数5〜8のシクロアルキルが置
換していることもあるメチレン基を表す。ここで、メチ
レン基に置換している炭素数1〜8のアルキル基、炭素
数5〜8のシクロアルキル基としては、それぞれ前記と
同様のアルキル基、シクロアルキル基が挙げられる。X
は、nが0であり、二つのフォノキシ基骨格を有する基
が直接結合していること、または、nが1であり、メチ
レン基又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−
プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル
基等が置換したメチレン基であることが好ましい。
【0020】また置換基Aは、炭素数2〜8のアルキレ
ン基又は*−CO(R7)m−基(R7は炭素数1〜8の
アルキレン基を、*は酸素原子と結合する部分であるこ
とを示し、mは0または1である。)を表す。ここで、
炭素数2〜8のアルキレン基の代表例としては、例えば
エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレ
ン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2,2−
ジメチル−1,3−プロピレン基等が挙げられる。プロ
ピレン基が好ましく用いられる。また*−CO(R7
m−基における*は、カルボニルがホスファイトの酸素
原子と結合する部分であることを示す。R7における、
炭素数1〜8のアルキレン基の代表例としては、例えば
メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、
ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン
基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基等が挙げ
られる。*−CO(R7)m−基として好ましくは、m
が0である*−CO−基、または、mが1でありR7
してはエチレンである*−CO(CH2CH2)−基であ
る。
【0021】Y、Zは、いずれか一方がヒドロキシル
基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12の
アラルキルオキシ基を表し、もう一方が水素原子又は炭
素数1〜8のアルキル基を表す。ここで、炭素数1〜8
のアルキル基としては、例えば前記と同様のアルキル基
が挙げられ、炭素数1〜8のアルコキシ基としては、例
えばアルキル部分が前記の炭素数1〜8のアルキル基と
同様のアルキル基であるアルコキシ基が挙げられる又炭
素数7〜12のアラルキルオキシ基としては、例えばア
ラルキル部分が前記炭素数7〜12のアラルキル基と同
様のアラルキル基であるアラルキルオキシ基が挙げられ
る。
【0022】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物にお
けるプロピレン系重合体と亜リン酸エステル類の配合量
は、プロピレン系重合体100重量部に対して、亜リン
酸エステル類0.01〜0.5重量部である。亜リン酸
エステル類の配合量が0.01重量部未満の場合、重合
体の分解等によって溶融強度が低下することがあり、
0.5重量部を超えた場合、過剰な添加剤のブリードに
よる弊害が起こることがある。
【0023】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の1
90℃でのメルトテンション(MT、単位:g)と23
0℃でのメルトフローレート(MFR、単位:g/10
分)は、 MT×Log(MFR)≧2 の関係を満足する。ポリプロピレン系樹脂組成物の19
0℃でのメルトテンションと230℃でのメルトフロー
レートの関係が、 MT×Log(MFR)<2 である場合、溶融強度または流動性が低く加工性に劣る
ことがある。
【0024】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に
は、必要に応じて、本発明の目的、効果を損なわない範
囲で、亜リン酸エステル類以外の各種添加剤を添加する
ことができる。各種添加剤としては、例えば、金属石
鹸、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光
安定剤、無機充填剤、造核剤、発泡剤等が挙げられる。
【0025】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製
造方法としては、組成物の均一性の観点から、好ましく
はプロピレン系重合体と亜リン酸エステル類を加熱溶融
混合する方法である。加熱溶融混合に用いる装置として
は、例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキ
サー、ロール式混練機等が挙げられ、不均一性を防止す
るという観点から、好ましくは十分な混練力を有する装
置であり、より好ましくは二軸押出機である。
【0026】加熱溶融混合の温度としては、通常300
℃未満であり、好ましくは180℃〜250℃である。
また、加熱溶融混合は、不活性ガス(窒素、アルゴン
等)の存在下で行ってもよい。
【0027】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製
造方法としては、組成物の均一性を向上させるという観
点から、好ましくは加熱溶融混合に先立ってプロピレン
系重合体と亜リン酸エステル類および必要に応じて添加
される各種添加剤をヘンシェルミキサー、リボンブレン
ダー、タンブルミキサー等の混合装置を用いて混合する
方法、定量供給機を用いて一定の割合でプロピレン系重
合体と亜リン酸エステル類および必要に応じて添加され
る各種添加剤を連続供給する方法や、亜リン酸エステル
類と必要に応じて添加される各種添加剤をあらかじめ混
合した後にプロピレン系重合体と混合する方法である。
【0028】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製
造方法として、より好ましくは、重合槽から抜き出した
粉状(パウダー状)であるプロピレン系重合体と亜リン
酸エステル類および必要に応じて添加される各種添加剤
を、上記のいずれかの方法によってあらかじめ混合した
後に加熱溶融混合する方法である。
【0029】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、
射出成形、押出成形、真空成形、プレス成形、ブロー成
形、発泡成形等の幅広い用途に好適に用いることができ
る。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に
応じて、本発明で用いられるプロピレン系重合体以外の
他の樹脂を配合してもよく、本発明のポリプロピレン系
樹脂組成物を用いることにより、他の樹脂の流動性と溶
融強度を改良することができる。
【0030】
【実施例】以下、実施例および比較例を用いて本発明を
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。 (1)重合体各成分の含有量(単位:重量%) 重合時の物質収支から求めた。
【0031】(2)重合体各成分の極限粘度([η]、
単位:dL/g) ウベローデ型粘度計を用いて135℃テトラリン中で測
定を行った。直接測定のできない成分の極限粘度は、全
体のプロピレン系重合体の極限粘度および重合体各成分
の含有量を用いて、以下の計算式から求めた。 [η]B=([η]T×100−[η]A×WA)/W
B [η]T:プロピレン系重合体全体の極限粘度 [η]A:第1工程で得られる成分の極限粘度 WA:第1工程で得られる成分の含量(重量%) WB:第2工程で得られる成分の含量(重量%)
【0032】(3)メルトフローレート(MFR、単
位:g/10分) JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2
1.18Nで測定した。
【0033】(4)メルトテンション(MT、単位:
g) 東洋精機社製溶融張力測定機を用い、下記条件にて測定
した。メルトテンションの数値が高いほど、溶融強度が
優れることを示す。 オリフィス:L/D=4(D=2mm) 測定温度:190℃ 予熱:10分 押出速度:5.7mm/分 引取速度:15.6m/分
【0034】実施例および比較例に用いたプロピレン系
重合体、亜リン酸エステル化合物およびその他の添加剤
を以下に示した。 PP:プロピレン系重合体 特開平11−228629号公報の実施例1に記載され
ている重合触媒を用いて、同実施例1に記載されている
重合方法および重合条件に準拠して、第1工程で第一の
成分を重合した後、触媒を失活させずに、触媒と第一の
成分を第2工程へ移し、第2工程で第一の成分と分子量
が異なる成分を重合する方法によって得られた、極限粘
度が7.6dL/gである成分9重量%と、極限粘度が
1.2dL/gである成分91重量%からなるプロピレ
ン単独重合体。
【0035】A1:亜リン酸エステル化合物 化合物名:2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6
−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチ
ルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,
3,2]ジオキサホスフェピン
【0036】B1:IRGANOX1010(チバ・ス
ペシャリティ−ケミカルズ社製) 化合物名:ペンタエリスリトール テトラキス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート] B2:IRGAFOS168(チバ・スペシャリティ−
ケミカルズ社製) 化合物名:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)
フォスファイト B3:ステアリン酸カルシウム
【0037】実施例1 二軸押出機TEM75(東芝機械製)を用いて、PP1
00重量部に対して、A1を0.2重量部供給し、吐出
量300Kg/時、スクリュー回転数250rpmで、
200℃で加熱溶融混合を行い、ペレットを得た。この
ペレットのMFRは14g/10分であり、MTは3.
2gであった。結果を表1に示した。
【0038】実施例2 実施例1において、A1を0.1重量部に変更した以外
は実施例1と同様に行った。得られたペレットのMFR
は15g/10分であり、MTは2.7gであった。結
果を表1に示した。
【0039】比較例1 二軸押出機TEM75(東芝機械製)を用いて、PP1
00重量部に対して、B1を0.1重量部、B2を0.
15重量部、B3を0.05重量部供給し、吐出量30
0Kg/時、スクリュー回転数250rpmで、200
℃で加熱溶融混合を行い、ペレットを得た。このペレッ
トのMFRは22g/10分であり、MTは1.1gで
あった。結果を表1に示した。
【0040】
【表1】
【0041】本発明の要件を満足する実施例1および2
は流動性および溶融強度のバランスに優れるものであ
り、本発明の要件である亜リン酸エステル類を用いなか
った比較例1は溶融強度が不充分なものであることが分
かる。
【0042】
【発明の効果】以上、詳述したとおり、本発明により、
流動性および溶融強度のバランスに優れたポリプロピレ
ン系樹脂組成物を得ることができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BB121 BB141 BB151 EW066 4J100 AA02Q AA03P AA04Q AA16Q AA19Q CA01 CA04 DA01 DA06 DA09 DA43 FA08 FA34

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分子量の異なる2つ以上の成分からなり、
    分子量が最も高い成分の極限粘度が5(dL/g)以上
    であり、分子量が最も低い成分の極限粘度の2倍以上で
    あるプロピレン系重合体100重量部と、下記一般式
    (I) (式中、R1、R2、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原
    子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロ
    アルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル
    基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表
    し、R3は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表
    す。Xは硫黄原子もしくは−CHR6−基(R6は水素原
    子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシク
    ロアルキル基を示す。)を表し、nは0または1であ
    る。Aは炭素数2〜8のアルキレン基又は*−CO(R
    7)m−基(R7は炭素数1〜8のアルキレン基を、*は
    酸素原子と結合する部分であることを示し、mは0また
    は1である。)を表す。Y、Zは、いずれか一方がヒド
    ロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7
    〜12のアラルキルオキシ基を表し、もう一方が水素原
    子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。)で示される
    亜リン酸エステル類0.01〜0.5重量部からなり、
    190℃でのメルトテンション(MT、単位:g)と2
    30℃でのメルトフローレート(MFR、単位:g/1
    0分)が、 MT×Log(MFR)≧2 の関係を満足することを特徴とするポリプロピレン系樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】プロピレン系重合体が、触媒を用いて第一
    の成分を重合した後、触媒を失活させずに、触媒と第一
    の成分を次の工程以降へ移し、次の工程以降で第一の成
    分と分子量が異なる成分を重合する方法によって得られ
    た重合体であることを特徴とする請求項1記載のポリプ
    ロピレン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】プロピレン系重合体と亜リン酸エステル類
    を加熱溶融混合することを特徴とする請求項1または2
    記載のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
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