JPH08134227A - プロピレン系樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

プロピレン系樹脂成形体の製造方法

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JPH08134227A
JPH08134227A JP30029394A JP30029394A JPH08134227A JP H08134227 A JPH08134227 A JP H08134227A JP 30029394 A JP30029394 A JP 30029394A JP 30029394 A JP30029394 A JP 30029394A JP H08134227 A JPH08134227 A JP H08134227A
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Japan
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propylene
group
melt
based resin
amide compound
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JP30029394A
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English (en)
Inventor
Hisao Takeuchi
内 久 雄 竹
Masanobu Yokoyama
山 雅 将 横
Yumito Uehara
原 弓 人 上
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高結晶性で剛性、耐熱性に優れ、特に熱変形
温度の著しく高いプロピレン系樹脂成形体の製造方法を
提供する。 【構成】 プロピレン系樹脂100重量部に対して、ア
ミド系化合物を0.0001〜10重量部の割合で配合
し、これを該アミド系化合物のプロピレン系樹脂溶融物
に対する溶解温度以上の温度で溶融混練した後冷却して
成形材料を得、これを該アミド系化合物の該溶解温度未
満の温度にて成形することを特徴とするプロピレン系樹
脂成形体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高結晶性で剛性、耐熱
性に優れ、特に熱変形温度の著しく高いプロピレン系樹
脂成形体の製造方法に関するものである。更に詳しく
は、特殊な形状を有する結晶核剤を含有するプロピレン
系樹脂成形体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】結晶性ポリプロピレン樹脂は、優れた機
械的性質、熱的性質を有しており、各種成形体の原料樹
脂として広範囲な用途に使用されている。特に近年、そ
の剛性及び耐熱性を生かして工業部品の分野での利用が
広がっている。従来、一般的に、プロピレン系樹脂の剛
性、耐熱性の改良には、結晶核剤(造核剤或いは単に核
剤と呼ばれることもある。)の添加や、ガラス、マイ
カ、タルク等の無機フィラーの添加等が行なわれてい
る。この様な結晶核剤のプロピレン系樹脂への添加方法
としては、一般的に結晶核剤の粉末を樹脂ペレット等に
混合し、混練機で溶融混練する方法が採用されており、
この様にして得られた混練物(ペレット)を、更に、射
出成形、押出成形、シート成形等によって成形加工して
成形体としていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般に、プロピレン系
樹脂へ結晶核剤をブレンドする時に問題となっているの
が、結晶核剤の分散性である。例えば、結晶核剤の分散
が悪い場合には、結晶核剤としての機能が十分に発現さ
れず、また、混合物の透明性に悪影響を及ぼしていた。
従って、この様な問題点を解決するために、現在では主
に混練技術の改良によって解決が図られている。しかし
ながら、この様な混練技術の改良だけでは、結晶核剤の
分散性や剛性、耐熱性の向上については必ずしも十分と
は言えなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
[発明の概要]本発明者らは、有機結晶核剤の分散性向
上を目的として鋭意検討した結果、特定の結晶核剤を特
定な条件下で処理して形成した成形材料を、特定な条件
下で成形することにより、有機結晶核剤がプロピレン系
樹脂中において特徴ある形状をとり、熱変形温度を驚く
べき程度にまで向上させた成形体とすることができるこ
とを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明のプ
ロピレン系樹脂成形体の製造方法は、プロピレン系樹脂
100重量部に対して、下記一般式(1)乃至(3)で
表わされるアミド系化合物の少なくとも1種を0.00
01〜10重量部の割合で配合し、これを該アミド系化
合物のプロピレン系樹脂溶融物に対する溶解温度以上の
温度で溶融混練した後冷却して成形材料を得、これを該
アミド系化合物の該溶解温度未満の温度にて成形するこ
とを特徴とするものである。一般式 R2 −NHCO−R1 −CONH−R3 (1) R2 −CONH−R1 −CONH−R3 (2) R2 −CONH−R1 −NHCO−R3 (3) (式中、R1 は炭素数1〜28の飽和又は不飽和の脂肪
族、脂環族若しくは芳香族の炭化水素基を表し、R2
びR3 は同一又は異なっていても良い炭素数3〜18の
シクロアルキル基、シクロアルケニル基、
【0005】
【化3】
【0006】又は
【0007】
【化4】
【0008】で示される基を表す。なお、式中のR4
5 は水素原子或いは炭素数1〜12の直鎖状或いは分
岐鎖状のアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル
基又はフェニル基を表し、R6 、R7 は炭素数1〜4の
直鎖状或いは分岐鎖状のアルキレン基を表す。)
【0009】[発明の具体的説明] [I] プロピレン系樹脂成形成形体の製造 (1) 原材料 (a) プロピレン系樹脂 本発明のプロピレン系樹脂成形体の製造方法において用
いられるプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独
重合体、或いは、プロピレンを主成分とする共重合体を
挙げることができる。該プロピレンを主成分とした共重
合体としては、例えば、プロピレンを主成分とした他の
1−アルケン(エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、
1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1等)との共重合
体(ランダム、ブロックのいずれをも含む)、プロピレ
ン・エチレン多元共重合体(5−エチリデン−2−ノル
ボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン又は1,4
−ヘキサジエンを含む)、プロピレンとスチレン、無水
マレイン酸、(メタ)アクリル酸等のコモノマーとの共
重合体等が例示することができる。更には、上記プロピ
レン系重合体に、高密度ポリエチレン、ポリブテン−
1、ポリ−4−メチルペンテン−1等の熱可塑性樹脂
を、本発明の効果を著しく損なわない範囲でブレンドし
た樹脂も挙げることができる。
【0010】かかるプロピレン系重合体は、従来公知の
製造方法を適用して製造することができる。該製造に用
いられる触媒としては、特に限定されるものではない
が、例えば、チタン含有固体触媒成分と有機アルミニウ
ム化合物を共触媒成分として含む触媒系を挙げることが
できる。該チタン含有固体触媒成分は、固体のマグネシ
ウム化合物、四ハロゲン化チタン及び電子供与性化合物
を接触させて得られる公知の担体担持型触媒成分、三塩
化チタン或いは三塩化チタンを主成分として含む公知の
触媒成分から選ばれる。更に、上記固体触媒成分及び共
触媒成分の他に、第三の成分として公知の電子供与性化
合物を使用した触媒系を使用しても良い。また、これら
の触媒系の他に、いわゆるカミンスキー触媒と言われる
メタロセン系の触媒も使用することができる。また、該
プロピレン系重合体の製造に用いられる重合法として
は、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素を溶媒とするスラ
リー重合法、液体プロピレンを溶媒とする塊状重合法及
び気相法等、公知の各種の方法を挙げることができる。
上記プロピレン系樹脂のメルトフローレート(以下、単
に「MFR」と略記する。ASTM D1238の規定
で定義する。)は、その適用する成形方法により適宜選
択されるが、通常、0.01〜500g/10分程度、
好ましくは0.1〜200g/10分程度のものが使用
される。
【0011】(b) アミド系化合物 本発明のプロピレン系樹脂成形体の製造方法において用
いられるアミド系化合物としては、下記一般式(1)乃
至(3)で表わされる少なくとも1種のアミド系化合物
である。一般式 R2 −NHCO−R1 −CONH−R3 (1) R2 −CONH−R1 −CONH−R3 (2) R2 −CONH−R1 −NHCO−R3 (3) (式中、R1 は炭素数1〜28、好ましくは2〜20の
飽和又は不飽和の脂肪族、脂環族若しくは芳香族の炭化
水素基を表し、R2 及びR3 は、同一又は異なっていて
も良く、炭素数3〜18、好ましくは6〜18のシクロ
アルキル基、シクロアルケニル基、
【0012】
【化5】
【0013】又は
【0014】
【化6】
【0015】で示される基を表す。なお、式中のR4
5 は水素原子或いは炭素数1〜12、好ましくは1〜
8の直鎖状或いは分岐鎖状のアルキル基、アルケニル
基、シクロアルケニル基又はフェニル基を表し、R6
7 は炭素数1〜6、好ましくは1〜4の直鎖状或いは
分岐鎖状のアルキレン基を表す。) 上記一般式(1)及び一般式(2)及び一般式(3)に
含まれる炭化水素基R1 として、より好ましくは直鎖の
アルキル基、並びに以下の炭化水素基が例示される。
【0016】
【化7】
【0017】
【化8】
【0018】
【化9】
【0019】
【化10】
【0020】又は
【0021】
【化11】
【0022】(式中、Xは−CH2 −、−O−、−SO
2 −、−S−、−CO−、又は−C(CH3 2 −を表
す。) また、R2 及びR3 として、より好ましくはシクロアル
キル基及びその置換体、芳香族炭化水素基及びその置換
体等が例示される。更に好ましくは、シクロヘキシル
基、及び2−メチルシクロヘキシル基、3−メチルシク
ロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、2−エチ
ルシクロヘキシル基、3−エチルシクロヘキシル基、4
−メチルシクロヘキシル基、2−プロピルシクロヘキシ
ル基、2−イソプロピルシクロヘキシル基、4−プロピ
ルシクロヘキシル基、4−イソプロピルシクロヘキシル
基、2−tert−ブチルシクロヘキシル基、4−n−
ブチルシクロヘキシル基、4−イソブチルシクロヘキシ
ル基、4−sec−ブチルシクロヘキシル基、4−te
rt−ブチルシクロヘキシル基、4−n−アミルシクロ
ヘキシル基、4−イソアミルシクロヘキシル基、4−s
ec−アミルシクロヘキシル基、4−tert−アミル
シクロヘキシル基、4−ヘキシルシクロヘキシル基、4
−ヘプチルシクロヘキシル基、4−オクチルシクロヘキ
シル基、4−ノニルシクロヘキシル基、4−デシルシク
ロヘキシル基、4−ウンデシルシクロヘキシル基、4−
ドデシルシクロヘキシル基、4−シクロヘキシルシクロ
ヘキシル基、4−フェニルシクロヘキシル基等のシクロ
ヘキシル基の置換体が例示される。すなわち、上記一般
式(1)又は一般式(2)又は一般式(3)で表される
アミド系化合物のうち、好ましい化合物を例示すると、
N,N´−ジシクロヘキシル−1,4−シクロヘキサン
ジカルボキシアミド、N,N´−ジシクロヘキシル−テ
レフタルアミド、N,N´−ジシクロヘキシル−2,6
−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N´−ジシクロ
ヘキシル−4,4´−ビフェニルジカルボキシアミド、
p−(N−シクロヘキサンカルボニルアミノ)安息香酸
シクロヘキシルアミド、N,N´−ジシクロヘキサンカ
ルボニル−p−フェニレンジアミン、N,N´−ジシク
ロヘキサンカルボニル−1,4−ジアミノシクロヘキサ
ン等を挙げることができる。これらアミド系化合物は混
合物で使用することもできる。
【0023】(c) 他の配合剤(任意成分) 本発明のプロピレン系樹脂成形体の製造方法において
は、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、必要に
応じて他の配合剤を添加することができる。この様な配
合剤の具体例としては、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、酸
化防止剤、中和剤、制酸剤、難燃性物質、帯電防止剤、
滑剤、アンチブロック剤、顔料、充填剤、抗菌剤、物性
調整剤(エラストマー、その他の樹脂等)、分子量調整
剤(ラジカル発生剤)、架橋剤、発泡剤等を挙げること
ができる。これらの配合剤は1種又は2種以上を適宜組
み合わせて使用することができる。
【0024】(2) 配合量比 上記プロピレン系樹脂と上記一般式(1)乃至(3)で
表わされるアミド系化合物の配合量比としては、上記プ
ロピレン系樹脂100重量部に対して、上記アミド系化
合物を0.0001〜10重量部、好ましくは0.00
1〜1重量部程度、より好ましくは0.005〜0.5
重量部程度の割合で配合される。上記範囲未満の配合量
では結晶核剤としての効果が殆ど見られない。一方、上
記範囲を超えて含有させても効果上の有意差が認められ
ず、経済的に不利となるので望ましくない。しかしなが
ら、上記アミド系化合物を高含量で含有するプロピレン
系樹脂成形材料を、マスターバッチの素材として用いる
場合にはこの限りでない。
【0025】(3) プロピレン系樹脂成形材料の調製 (a) 調製方法 本発明のプロピレン系樹脂成形体の製造方法において
は、上記プロピレン系樹脂に上記アミド系化合物を上記
割合で配合し、該アミド系化合物のプロピレン系樹脂溶
融物に対する溶解温度以上の温度で溶融混練を行ない、
該アミド系化合物を一旦プロピレン系樹脂溶融物中に溶
解せしめ、次いで、これを冷却して、該プロピレン系樹
脂溶融物中で上記アミド系化合物を再結晶化させること
により上記アミド系化合物の針状の形状を有する結晶を
含有するプロピレン系樹脂成形材料を調製する。また
は、上記プロピレン系樹脂成形材料の調製において、上
記アミド系化合物を高含量で含有させて調製したプロピ
レン系樹脂成形材料をマスターバッチとして使用し、こ
れに別途前記したプロピレン系樹脂を配合し、これを斯
かるアミド系化合物の該溶解温度未満の温度で再度溶融
混練を行なうことにより、アミド系化合物の針状結晶が
均一に微分散した成形材料を調製することができる。こ
の場合も最終の配合量比は上記した通りである。
【0026】配 合 上記プロピレン系樹脂と上記アミド系化合物との配合
は、該アミド系化合物をプロピレン系樹脂の調製時に配
合しても良いし、別途調製したプロピレン系樹脂中に配
合させても良い。上記原材料のプロピレン系樹脂と上記
アミド系化合物との配合割合は、上記配合量比で行なわ
れる。更に、必要に応じて上記他の配合剤を添加配合す
ることができる。
【0027】溶融混練 上記溶融混練は、有機結晶核剤である上記アミド系化合
物のプロピレン系樹脂溶融物に対する溶解温度以上の温
度で行なわれる。該溶融混練の温度が、有機結晶核剤で
ある上記アミド系化合物のプロピレン系樹脂溶融物に対
する溶解温度未満の温度では、針状の形状を有する結晶
核剤として利用することができない。該溶融混練は、一
軸又は二軸押出機、ブラベンダープラストグラフ、バン
バリーミキサー、ニーダーブレンダー等の通常の混練機
を用いて行なうことができる。
【0028】冷 却 上記プロピレン系樹脂溶融物を冷却すると、プロピレン
系樹脂溶融物中に溶解した有機結晶核剤であるアミド系
化合物が、針状の形状を有して斯かるプロピレン系樹脂
中に析出する。冷却は、この析出温度以下の温度で行な
われる。すなわち、有機結晶核剤であるアミド系化合物
のプロピレン系樹脂溶融物に対する溶解温度以上の温度
で溶融押し出しされ、上記の冷却温度下で冷却されたプ
ロピレン系樹脂成形材料中では、有機結晶核剤であるア
ミド系化合物が針状の形状を有する結晶として含有され
る。この様な有機結晶核剤であるアミド系化合物の針状
の形状を有する結晶は、偏光顕微鏡等で観察することが
できる。
【0029】(b) 形 態 プロピレン系樹脂の溶融物に一旦アミド系化合物を溶解
し、プロピレン系樹脂溶融物中で再結晶化させた、係る
結晶核剤であるアミド系化合物の針状の結晶は、最も単
純な場合、結晶核剤であるアミド系化合物の単一の針状
結晶自体であるが、これら単一の針状結晶形状のものの
みに限定されるものでなく、それらの集合体や結合体等
であっても良く、例えば、針状結晶が放射状に成長した
羽毛の如き形状のものや、その他の針状結晶の凝集物も
含まれるものである。これらアミド系化合物の針状結晶
からなる有機結晶核剤が、プロピレン系樹脂中に存在し
て、何等かの影響を与えているから、高結晶性で剛性、
耐熱性に優れ、特に熱変形温度の著しく高いプロピレン
系樹脂成形体とすることができるものと思われる。該ア
ミド系化合物はポリプロピレンの結晶変態の一つである
β晶を選択的に成長させる結晶核剤として知られている
が(特開平5−262936号公報、特開平6−107
875号公報参照)、これがプロピレン系樹脂溶融物に
溶解し、冷却により針状の形状を有して再結晶化するこ
とができることまでは未だ知られていない。
【0030】(3) プロピレン系樹脂成形材料の成形 (a) 成形方法 本発明のプロピレン系樹脂成形体の製造方法は、上記成
形材料を用い、該成形材料中のアミド系化合物の針状結
晶が溶解しないアミド系化合物のプロピレン系樹脂溶融
物に対する溶解温度未満の温度で成形される。この際、
係るプロピレン系樹脂成形材料をマスターバッチとし、
別途プロピレン系樹脂を混合してから成形を行なうこと
もできる。上記成形に当たり、前記原材料における任意
成分として用いることができる他の配合剤を、この成形
時に配合することもできる。更に、上記マスターバッチ
の際に、別途混合されるプロピレン系樹脂中にこの他の
配合剤を配合して成形体中に配合することもできる。本
発明におけるプロピレン系樹脂成形材料の成形において
適用することができる成形方法としては、射出成形、押
出成形、圧縮成形等の各種成形方法を採用することがで
きる。成形温度が該アミド系化合物の溶解温度未満の温
度であるために、アミド系化合物の針状の結晶は溶解し
ないまま存在するが、成形加工時の機械的作用により、
通常は成形体中に微分散される。
【0031】(b) 形 態 得られる成形体を偏光顕微鏡或いは電子顕微鏡等で観察
すると、針状の形状を有する有機結晶核剤が微分散され
ていることが判る。この様な本発明のプロピレン系樹脂
成形体は、特殊な形状を有する結晶核剤を含有している
ことから、高結晶性で、剛性、耐熱性に優れ、特に熱変
形温度が著しく高いものである。
【0032】[II] プロピレン系樹脂成形体の用途 この様な本発明のプロピレン系樹脂成形体は、高結晶性
で、剛性及び耐熱性に優れ、特に極めて高い熱変形温度
を有していることから、自動車部品、機械工学部品、化
学工業部品、家電部品等の広い分野での応用が可能であ
る。
【0033】
【実施例】以下に、実験例を挙げて、本発明を更に具体
的に説明する。なお、以下に示す実験例においては、下
記に示す評価方法にて評価を行なった。 [I] 評価方法 曲げ弾性率 :ASTM D790−86に準拠して測
定した。 荷重撓み温度:JIS K7207に準拠し、120℃
で30分間アニールした試料を用いた。サンプルに負荷
する曲げ応力は4.6kg/cm2 とした。 衝撃強度(IZOD):JIS K7110に準拠して
測定した。 MFR :ASTM D1238に準拠し
て測定した。
【0034】[II] 実験例 実施例1 (1) 溶融混練 ポリプロピレンホモポリマーペレット(MFR:4.7
g/10分)100重量部に、有機結晶核剤としてN,
N´−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボ
キシアミドの粒状粉末を0.2重量部添加し、更に、B
HT(2,6−ジターシャリーブチル−4−メチルフェ
ノール)を0.1重量%、IRGANOX 1010
[商品名、チバガイギー社製安定剤、ペンタエリスリチ
ル−テトラキス{3−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル}プロピオネート]を0.1重量%、
IRGAFOS 168[商品名、チバガイギー社製難
燃剤、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォ
スファイト]を0.1重量%添加し、押出機(東洋精機
(株)製二軸押出機 LABO PLASTMILL3
0C150)の4箇所の加熱帯域を、270℃(供給
部)、300℃、300℃及び290℃(ダイトップ
部)の温度に設定し、押出スクリューの回転数を100
rpmで操作して溶融混練を行なった。なお、N,N´
−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシ
アミドは270℃より高い温度でポリプロピレン溶融物
に溶解する。得られた溶融物をストランドとして押し出
し、常温の水を通した水槽で冷却した後、ペレタイザー
でペレットとした。
【0035】(2) 射出成形 上記ペレットを用いて、日本製鋼社製0.8oz射出成
形機(J−28SA)の3箇所の加熱帯域を、200℃
(供給部)、230℃、220℃(ダイトップ部)の各
温度に設定して、金型温度40℃にて射出成形を行ない
試験片を作成した。
【0036】(3) 評 価 上記のペレットから薄片を切り出し、その薄片を200
℃の温度で溶融させて偏光顕微鏡で観察したところ、ポ
リプロピレンの融体中に有機結晶核剤の針状結晶が羽毛
の如く放射状に成長した形状を確認した(図1参照)。
また、上記の射出成形片から薄片を切り出し、四酸化ル
テニウム染色を施した後、透過型電子顕微鏡で観察した
ところ、N,N´−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタ
レンジカルボキシアミドの針状結晶が分散されているこ
とが確認された(図2、矢印参照)。これはペレット中
に含まれる図1に示した羽毛の如く放射状に成長した有
機結晶核剤が、成形時に粉砕され、針状の有機結晶核剤
として微分散されたものである。この射出成形試験片の
物性を評価した。その評価結果は、後記表1の通りであ
り、剛性の向上は勿論であるが、荷重撓み温度の向上が
極めて顕著であることが判る。
【0037】実施例2 実施例1において、N,N´−ジシクロヘキシル−2,
6−ナフタレンジカルボキシアミドの添加量を2重量部
に変更した以外は実施例1と同様にして、成形材料であ
るポリプロピレンペレットを調製した。一方、MFR
4.7g/10分のポリプロピレン900gに、このポ
リプロピレンペレット100gをブレンドし、230℃
の温度で溶融混練した後、ペレット化し、N,N´−ジ
シクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミ
ド含有ポリプロピレン系樹脂成形材料を得た。この成形
材料を用いて実施例1と同様に射出成形を行ない、物性
の測定を行なった。表1に示す様に、極めて良好な荷重
撓み温度を有することが判る。また、得られた射出成形
片から薄片を切り出し、四酸化ルテニウム染色を施した
後、透過型電子顕微鏡で観察したところ、実施例1と同
様に針状の有機結晶核剤が分散されていることが確認さ
れた。
【0038】比較例1 N,N´−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカ
ルボキシアミド(結晶核剤)を添加しなかった以外は、
実施例1と同様にして射出成形を行なって試験片を作成
し、物性を測定した。その結果を表1に示す。
【0039】比較例2 溶融混練温度を230℃の温度に設定した以外は実施例
1と同様に射出成形を行ない、試験片を作成し、物性の
測定を行なった。上記230℃の溶融混練温度では、
N,N´−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカ
ルボキシアミド(結晶核剤)はポリプロピレンホモポリ
マー溶融物には溶解しない。従って、表1に示す様に、
剛性と荷重撓み温度は比較例1に比べて向上している
が、実施例1ほどの向上が得られないことが判る。この
試験片から切り出された薄片を200℃の温度で溶融さ
せ偏光顕微鏡で観察すると、有機結晶核剤の針状結晶は
認められず、粒状の有機結晶核剤が分散されていること
が確認された(図3参照)。
【0040】結晶核剤としてp−t−ブチル安息香酸ア
ルミニウムを用いた以外は、実施例1と同様にして射出
成形を行ない、試験片を作成し、物性の測定を行なっ
た。このペレットから切り出された薄片を200℃で溶
融させ偏光顕微鏡で観察すると、有機結晶核剤の針状結
晶は認められず、粒状の有機結晶核剤が分散されている
ことが確認された(図4参照)。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】本発明のプロピレン系樹脂成形体の製造
方法は、特定の結晶核剤を特定な条件下で処理した成形
材料を特定な条件下で成形することにより、剛性及び耐
熱性に優れる、特に極めて高い熱変形温度を有するプロ
ピレン系樹脂成形体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例1によって製造されたプロピレン
系樹脂ペレット中の有機結晶核剤の針状結晶構造を表す
写真である。
【図2】本発明実施例1のプロピレン系樹脂射出成形体
中の有機結晶核剤の結晶構造(形状及び分散状態)を表
わす写真である。
【図3】溶融混練温度を有機結晶核剤のプロピレン溶融
物に対する溶解温度未満の温度に設定して製造した比較
例2のプロピレン系樹脂成形体中の有機結晶核剤の結晶
構造を表す写真である。
【図4】比較例3のプロピレン系樹脂成形体中の有機結
晶核剤の結晶構造を表す写真である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プロピレン系樹脂100重量部に対して、
    下記一般式(1)乃至(3)で表わされるアミド系化合
    物の少なくとも1種を0.0001〜10重量部の割合
    で配合し、これを該アミド系化合物のプロピレン系樹脂
    溶融物に対する溶解温度以上の温度で溶融混練した後冷
    却して成形材料を得、これを該アミド系化合物の該溶解
    温度未満の温度にて成形することを特徴とするプロピレ
    ン系樹脂成形体の製造方法。 一般式 R2 −NHCO−R1 −CONH−R3 (1) R2 −CONH−R1 −CONH−R3 (2) R2 −CONH−R1 −NHCO−R3 (3) (式中、R1 は炭素数1〜28の飽和又は不飽和の脂肪
    族、脂環族若しくは芳香族の炭化水素基を表し、R2
    びR3 は同一又は異なっていても良い炭素数3〜18の
    シクロアルキル基、シクロアルケニル基、 【化1】 又は 【化2】 で示される基を表す。なお、式中のR4 、R5 は水素原
    子或いは炭素数1〜12の直鎖状或いは分岐鎖状のアル
    キル基、アルケニル基、シクロアルケニル基又はフェニ
    ル基を表し、R6 、R7 は炭素数1〜4の直鎖状或いは
    分岐鎖状のアルキレン基を表す。)
  2. 【請求項2】プロピレン系樹脂100重量部に対して、
    上記一般式(1)乃至(3)で表わされるアミド系化合
    物の少なくとも1種を0.0001〜10重量部の割合
    で配合し、当該アミド系化合物のプロピレン系樹脂溶融
    物に対する溶解温度以上の温度で溶融混練させた後、こ
    れに別途プロピレン系樹脂を混合して、当該アミド系化
    合物の該溶解温度未満の温度にて成形することを特徴と
    するプロピレン系樹脂成形体の製造方法。
  3. 【請求項3】アミド系化合物の炭化水素基R2 及びR3
    が、シクロヘキシル基である、請求項1又は2に記載の
    プロピレン系樹脂成形体の製造方法。
  4. 【請求項4】アミド系化合物が、N,N´−ジシクロヘ
    キシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミドであ
    る、請求項1又は2に記載のプロピレン系樹脂成形体の
    製造方法。
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